うつ病で解雇は無効!解雇された時の3つの対処法と請求できるお金

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

うつ病で解雇は無効!解雇された時の3つの対処法と請求できるお金
チェック
この記事を読んで理解できること
  • うつ病を理由に解雇されるのは違法?
  • うつ病を理由に解雇される可能性があるケース
  • うつ病を理由に解雇を言い渡された場合の対処法
  • うつ病で解雇・退職になった後にやるべき申請

あなたは、

「うつ病になったら解雇される?」
「うつ病を理由に解雇されるのは違法じゃない?」
「うつ病を理由に解雇された場合の対処法を知りたい」

などとお考えではありませんか?

うつ病で会社に行けなくなると、会社からどんな処分を受けるのか、この状態で会社に残ることはできるのか悩みますよね。

結論から言えば、基本的に会社は、うつ病を理由に社員を解雇することはできません。

ただし、就業規則に休職制度についての規定があり、休職期間満了時に従業員が治癒して復職できない場合は退職となると定められているのであれば、解雇されるケースもあります。

また私の経験上、一部のブラック企業では、社員がうつ病になったことを理由に、条件を満たしていないのに解雇してしまうケースも多く見受けられます。

その場合は、解雇の無効を訴えたり、会社に対してお金を請求することもできます。

さらに、長時間労働や職場環境が原因でうつ病を発症したと判断された場合は、休職期間が経過し復職できなかったとしても、解雇は不当解雇となります。

この記事では、1章でうつ病を理由にした解雇の違法性と、会社に求められるうつ病の従業員への対応について、2章ではうつ病を理由に解雇される可能性があるケースについて解説します。

さらに、3章ではうつ病を理由に解雇を言い渡された場合の対処法を、4章ではうつ病で解雇、退職になった後にやるべき申請について解説していきます。

しっかり読んで知識を身につけ、安心してうつ病の治療に専念してください。

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1章:うつ病を理由に解雇されるのは違法?

あなたは、

「解雇される可能性があるなら、うつ病は会社に隠しておこう」
「解雇されたくないから、できるだけ早く休職状態から復帰しよう」

と思うかもしれませんが、それではさらに症状が悪化する可能性が高いため本末転倒です。

そもそも会社は、簡単に社員を解雇することはできませんので、しっかり休むことをおすすめします。

そこでまずは、

  • うつ病を理由に簡単に解雇できない理由
  • 会社に求められる、うつ病になった従業員への対応

について詳しく解説します。

すでに解雇されて、今後の対処法に悩んでいる場合は3章からお読みください。

1-1:そもそも会社は簡単に社員を解雇できない

「うつ病でとても仕事できる体調じゃない。でも休んだりしたら解雇されるのかな?」

あなたもこのようにお悩みかもしれませんが、そもそも会社は簡単に社員を解雇することはできません。

解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当」であることが必要であり、これらの要件が満たされなければ、解雇権濫用として、解雇は無効になるのです。(労働契約法16条)

そのため、例えば、

「うつ病になったことを会社に伝えると、それを理由にすぐに解雇された」

というケースは明らかに解雇権濫用であり、解雇は認められません。

つまり、うつ病になったからといって即会社を解雇になる可能性は低いですし、もしそのような対応をされた場合は、不当解雇として法的な手段に訴えることができます。

ただし、どのようなケースでも解雇される可能性がゼロ、というわけではありません。

就業規則に定めた休職期間が満了になっても復職できないなど、会社に正当な理由があれば、あなたの解雇が認められることもあります。

詳しくは、2章で解説します。

1-2:会社に求められる、うつ病になった社員への対応

先に解説したように、社員がうつ病になった場合、会社は安易にその社員を解雇することはできません。

うつ病になった社員への対応として会社に求められるものは、次の4つです。

  • 医師の診察を受けさせる
  • 配置転換または業務量の軽減を検討
  • 休職制度や復職の流れについての説明
  • 労働環境のチェック

それぞれ解説します。

1-2-1:医師の診察を受けさせる

会社の、うつ病と思われる社員への対応としては、本人の体調を気遣い医師の診察を受けるようにすすめることが大事です。

なぜなら、うつ病は、今の仕事や生活環境を変えないまま簡単に治せるものではないため、医療機関によるカウンセリングや治療が必要だからです。

また、会社には、就業規則に定めていなくても合理的かつ相当な理由がある場合は、会社の安全配慮義務を履行するために、社員に対して医療機関の受診を命じることができます。

さらに、社員の休職を認めるか判断するためには、医師の診断書が必要なため、診断書の提出を求めます。

1-2-2:配置転換または業務量の軽減を検討

会社は、社員がうつ病であっても労務提供が可能な場合は、配置転換または業務量の軽減を検討する必要があります。

ただし、うつ病の社員を働かせて症状が悪化した場合は、社員の安全配慮義務違反に問われる可能性があるため、慎重に判断することが重要です。

また、社員が休職を希望し医師からの診断書が提出された場合は、速やかに応じて治療に専念してもらうことが大事です。

1-2-3:休職制度や復職の流れについての説明

休職制度とは、社員が病気やケガなどの事情によって働くことができない場合に、会社が一定期間の労働義務を免除して社員の身分を保証する制度です。

休職制度は、労働基準法などで規定されたものではなく、会社ごとに就業規則で定められているため、その内容や復職の流れを説明する必要があります。

休職制度の内容としては、主に次の5つがあげられます。

  • 休職制度の目的
  • 適用範囲・休職者の定義
  • 休職の判断・調査
  • 休職期間・休職期間中の待遇
  • 復職の要件や判定

一般的に、休職期間中は給与の支払いがないため、健康保険の「傷病手当金」など社員が受け取れる可能性がある公的な制度についても説明する必要があります。

1-2-4:労働環境のチェック

社員がうつ病を発症した場合、その原因が長時間労働や会社の労働環境にある可能性もあります。

そのため、会社としては、次にあげる3つの点をチェックする必要があります。

  • 法律で定められた上限を超える時間外労働はなかったか
  • 過度なノルマを強制してはいなかったか
  • 社員に対するパワハラやいじめ、セクハラなどはなかったか

もし、うつ病発症の原因が、これらの労働環境に起因する場合は、労働基準法違反や社員から損害賠償請求される可能性があります。

2章:うつ病を理由に解雇される可能性があるケース

ここまで解説したように、会社はうつ病を理由に即解雇することはできませんが、就業規則に定めた休職期間が満了になっても復職できないなど、会社に正当な理由があれば、あなたの解雇が認められる可能性もあります。

うつ病を理由に解雇される可能性があるケースとして、次の2つがあげられます。

  • 復職時に医師から復帰できないと診断された
  • 症状に応じた配置転換、復帰準備期間の提供などを行った

それぞれ解説していきます

2-1:復職時に医師から復帰できないと診断された

うつ病を理由に休職した場合、休職できる期間は、会社の就業規則の休職制度で定められた期間になります。

そのため、休職期間が満了した時点で、あなたは「復職する」か「退職するか」の選択肢に迫られることになります。

うつ病で休職した後の選択肢

会社は、休職期間が満了したからと言って、あなたをすぐに解雇することはできません。

ただし、休職期間が満了した時点で、あなたが仕事に復帰できるほどに快復していない場合は、解雇が認められることもあります。

実際、通常の休職制度では、休職期間が満了した時点で、復職できる状態でなければ、自動退職になることが定められているケースが多いです。

この場合、あなたの快復度を判断するのは、医師(産業医)の診断となります。

医師の診断から、あなたのうつ病の程度と会社の業務を比べて、あなたが復職できるのかどうかが判断されます。

その診断で、復職が不可能と判断されれば、あなたは解雇、自動退職になる可能性があります。

別の見方をすれば、医師の診断で復職が困難と判断された場合は、あなたの健康状態はまだまだ療養・治療を必要としているため、仕事から完全に離れて休息期間を持つのも大事なことだといえます。

2-2:症状に応じた配置転換、復帰準備期間の提供などを行った

うつ病は、そう簡単には治らないものです。

そのため、休職期間が満了した時点では、あなたが元の仕事を100%こなせるまで快復できているとは限りません。

そこで、会社は解雇回避のために、

  • 業務負担の軽い仕事に配置転換する
  • 復帰のための準備期間(一定期間の短時間勤務や残業の禁止)を提供する

などの配慮を行う義務があるとされています。

うつ病で解雇する場合に会社がやるべきこと

これは過去に、以下の裁判での判決で決まりました。

復職時には会社による配慮の義務があると判断された判例

休職した社員に対し、会社は、復職時には、「配置転換等の環境面の配慮が不可欠」であるとし、こうした配慮を欠いた会社による社員の解雇は無効であると判断されました。

(「ワークスアプリケーション事件」東京地判平26年8月20日労判1111号84頁)

そのため、会社によって、復職のための配置転換や準備期間の提供が行われた上で、それでも復職して仕事を続けることが困難であると判断された場合は、解雇や自動退職が認められることもあります。

過去には以下のようなケースで、解雇が「有効」と判断されました。

うつ病での解雇が認められた例

うつ病によって欠勤を繰り返し、在籍期間のうちの多くの期間を休職していた社員が解雇され、その解雇が認められたケースです。

この社員は、入社後しばらくして腰の手術によって約250日休職、その後3日間出勤し、その後また473日休職。

復職後も毎年数十日にわたって欠勤し、抑うつ状態と診断されてからは、さらに欠勤が増える、という異常な状態でした。

そのため、会社からの解雇は正当であると、裁判所によって判断されました。

実際、うつ病での解雇が認められるのは、上記の例のように社員が欠勤や休職と復職を繰り返すようなケースで、通常は簡単に解雇されることはありません。

ただし、正しい知識を持っていない会社や、社員を簡単に切り捨てるブラック企業の場合は、すぐに解雇されるケースもあり得ます。

その場合は、これから紹介する対処法を実践するべきです。

【コラム】うつ病を理由に退職勧奨されるのは違法?

1章で説明したように、会社は社員を解雇するためには、厳しい条件があります。
そのため、会社によっては「なんとかして自分で辞めて貰おう」と考えて、あなたに退職をしつこく勧めることがあります。

これを退職勧奨と言います。

退職勧奨を受け入れ、退職届を提出してしまうと、簡単には覆すことができなくなります。

そのため、退職勧奨されても絶対に応じないことが大事です。

ただし、万が一応じてしまった場合でも、

  • 退職しないなら解雇すると言われた
  • 暴言や暴行を受けて解雇を迫られた

などの場合は、脅迫であるため、場合によっては退職を無効にしたり、損害賠償請求ができる可能性もあります。

詳しくは弁護士に相談してみましょう。

3章:うつ病を理由に解雇を言い渡された場合の対処法

もしあなたが、うつ病を理由に「解雇する」と言われてしまった場合、これから紹介する対処法を実践することをおすすめします。

対処法は、

  • あなたが会社に残りたい場合
  • 会社から不当解雇された場合

によって異なりますので、順番に解説します。

3-1:会社に残りたい場合

もしあなたが、

「会社に残りたい」

「解雇を取り消して貰いたい」

という場合は、

  • 会社との交渉
  • 労働局のあっせん
  • 訴訟(裁判)

という手続きによって、解雇の取り消しを会社に求めることも可能です。

ただし、こうした手続きをとって、実際に解雇を撤回して貰えるとは限りませんし、もし会社に戻ることができても、一度争った会社に戻ることは、あなたにとって大きなストレスの原因になる可能性があります。

それでも、解雇を撤回させたいという場合のみ、これから紹介する手続きを参考にしてください。

それより、解雇は受け入れて会社にお金を請求するという手段もありますので、お金を請求したい場合は3-2へお進みください。

3-1-1:会社との交渉

あなたが会社に解雇を取り消してもらいたい場合、まずは会社と交渉を行うという選択肢があります。

交渉を行うことで、会社側の解雇が不当であることを示すことができれば、解雇を取り消して貰える可能性もゼロではありません。

ただし、あなたがうつ病の場合、あなたが自分で会社と交渉するのは大きなストレスになるため、弁護士に交渉を依頼することをおすすめします。

また、一度あなたの解雇を決定した会社は、そう簡単には解雇を取り消さないため、弁護士に依頼しても交渉で解雇を取り消せないことも多いです。

そこで、最初から別の選択肢をとる事をおすすめします。

3-1-2:労働局のあっせん

あっせんとは、全国の自治体にある労働局で行うことができる、会社とのトラブルを話し合いで解決するための手続きのことです。

あっせんに持ち込むと、労働局の第三者(紛争調停委員)の前で、会社の担当者とあなたとで、解雇の撤回を話し合うことができます。

紛争調停委員である弁護士や社会保険労務士等の専門家から、会社やあなたに対して、トラブル解決のための助言を行ってもらうことができます。

しかし、会社の担当者と顔を合わせる必要があるため、現実的には、うつ病であるあなたにとっては大きなストレスになります。

しかも、あっせんには強制力がないため、

  • あっせんで出た結論を、会社は無視することができる
  • あっせんの場に行くこと自体を拒否できる

というデメリットがあります。

つまり、会社側が話し合いに積極的でなければ、解決できる可能性が少ないといえます。

そのため、より強制力のある手段として、「地位確認」という手続きを取ることができます。

3-1-3:訴訟(裁判)

どうしても会社に解雇を撤回させたいという場合は、弁護士に依頼して訴訟(裁判)手続きを行うこともできます。

訴訟(裁判)の場合は、会社は出廷を拒否したり、判決を拒否することはできないため、交渉やあっせんのような手段よりも強制力があります。

訴訟(裁判)で不当解雇であることが認められた場合、「地位確認の訴え」という手続きで、裁判所から「あなたは○○社の社員ですよ」というお墨付きをもらうこともできます。

つまり、会社に解雇を撤回させることができる可能性があります。

ただし、訴訟(裁判)の場で争った会社に残ると、かえってストレスが大きくなる可能性がありますし、場合によっては再度解雇される可能性もあります。

うつ病のあなたにとっては、そのような心理的ストレスの大きい職場に戻ることは、現実的に見てあまり良い選択肢とは言えません。

そのため、この機会に会社と縁を切って、会社からお金を貰い、ゆっくり休むという選択肢を選ばれることをおすすめします。

3-2:会社から不当解雇された場合

不当解雇とは、労働基準法・労働契約法等の法律で規定された事柄や、会社の就業規則の規定を守らずに、事業主の都合だけで一方的に労働者を解雇することをいいます。

うつ病を理由に会社から不当解雇された場合は、会社に対してお金を請求することができます。

お金とは、

  • 解雇予告手当
  • 不当解雇の場合の賃金
  • 損害賠償請求
  • 未払い残業代

等のことです。

これらを貰う方法について解説します。

3-2-1:解雇予告手当を請求する

もしあなたがいきなり解雇されてしまった場合は、解雇予告手当を貰うことができます。

なぜなら、会社は30日前までに解雇を予告しなければならず、予告しない場合は、30日分以上の「解雇予告手当」を支払わなければならないからです。

そのため、もし30日未満で解雇された場合は、

  • 配達証明付き内容証明郵便を送って、会社に直接請求する
  • 労働基準監督署に相談する

という手段を採ることで、解雇予告手当を貰える可能性が高いです。

労働基準監督署に相談する場合は、以下の記事を参考にしてください。

【労働基準監督署】相談できることと相談前の準備、相談するメリット

3-2-2:不当解雇の場合の給料(賃金請求)

うつ病を理由にした解雇で、2章で紹介した、

  • 復職時に医師から復帰できないと診断された
  • 症状に応じた配置転換、復帰準備期間の提供などがあった

という条件を満たしていない場合、あなたの解雇は「不当解雇」である可能性があります。

その場合は、解雇は無効なものだったとして、交渉や訴訟(裁判)で会社に給料を請求することができます(賃金請求)。

つまり、解雇の無効が認められれば、あなたはまだ会社に在籍しているとみなされて、不当解雇されてから給料が支払われていない期間分の給料を、請求し貰える可能性があるのです。

不当解雇を会社に認めさせ、未払いの給料を請求する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

3-2-3:損害賠償請求

会社からの不当解雇が、民法上の不法行為にあたる場合は、損害賠償を請求することができます。

例えば、会社の上司によるパワハラが原因でうつ病を発症し、それをきっかけとして解雇された場合は、会社に損害賠償請求(慰謝料請求)することができます。

ただし、損害賠償請求をするためには、解雇が不法行為に当たり精神的苦痛を受けたことや、その金額を証明しなければならないため容易ではありません。

そのため、不当解雇での損害賠償請求は、認められる事案や金額は様々だと言わざるを得ません。

まずは弁護士に相談して、請求できるかどうかを聞いてみることをおすすめします。

詳しくは、以下の記事で解説しています。

不当解雇で訴えたい!慰謝料請求の手順と戦い方を弁護士が徹底解説

3-2-4:未払い残業代請求

うつ病の場合の解雇が無効であるという理由で、会社に「解雇予告手当」「給料(賃金請求)」「損害賠償請求」をするのは、認められないケースも多いです。

なぜなら、2章でお伝えしたように、うつ病での解雇は条件を満たせば認められることもあるからです。

そこでおすすめしたいのが、会社に対して未払い残業代を請求するということです。

もしあなたが、

  • 会社では長時間の残業があり、残業代は十分に出ていなかった
  • みなし残業代制で、どれだけ残業しても残業代が変わらなかった
  • 管理職を理由に残業代が出ていなかった

等の場合は、未払い残業代が発生している可能性が高いです。

未払い残業代の請求は、あなたの解雇が無効かどうかとは関係なく請求できますので、手間、時間、費用がほとんどかからない上、取り返せる可能性も高いです。

そのため、うつ病を自宅で療養しながら手続きを弁護士に丸投げし、残業代を取り返して貰うことが可能なのです。

残業代請求について、詳しく知りたい場合は、ぜひ以下の記事をご覧ください。

失敗しない残業代請求!有効な証拠と請求方法、ブラック企業の対処法

さらに、解雇や自動退職になった場合、失業保険労災保険を申請することで、解雇、退職後の収入を確保できる可能性もあります。

4章:うつ病で解雇・退職になった後にやるべき申請

うつ病で解雇・退職になった場合、今後の収入が心配で少しでも早く転職して働きたいと思われるかもしれませんが、まずはできるだけ仕事等のストレスから離れて休養するべきです。

そのためには、次にあげる3つの申請をすることで、休職中の収入を確保できる可能性があります。

  • 失業保険
  • 傷病手当金
  • 労災保険

これから、その方法を紹介します。

4-1:失業保険を受給する

退職後の転職先が決まっていない場合は、失業保険を受給できる可能性がありますので、まずはハローワークでその手続きを行いましょう。

失業保険とは、あなたが解雇・退職になった後、再就職するまでの間に、毎月一定額の保険金が支払われる制度です。

一定の条件を満たせば、90日から最大330日の間貰うことができます。

失業保険は、

  • 退職前の2年間に12ヶ月以上雇用保険に加入していた
  • 積極的に求職活動をしている
  • 転職先が決まっていない

などの条件に当てはまる場合、受給することができます。

雇用保険の失業給付を請求する際には離職票(雇用保険被保険者離職票)が必要になるので、会社を退職する際に離職票の交付を請求しましょう。

離職票は、一般的には退職後10日~2週間程度で自宅に郵送されます。

ただし、うつ病で退職する場合は、一つ注意点があります。

それは、失業保険の受給条件の一つに、再就職のために転職活動していること、という条件があることです。

そのため、うつ病でしばらくしっかり休みたいという場合は、失業保険を申請しても、貰うことができないのです。

その場合は、別の手続きで収入を確保することができます。

失業保険の詳しい受給条件や手続きについて、詳しくは以下の記事で解説しています。

失業保険とは?受給までの手続きと失業保険額・受給期間を弁護士が解説

4-2:健康保険の傷病手当金

傷病手当金とは、健康保険に加入している人が、在職中に何らかの病気になった場合に、療養中の生活を保障するために受けとることができるお金のことです。

傷病手当金は、退職後でも、以下の条件を満たせば受けとることができます。

【退職後に傷病手当金をもらえる条件】
  • 仕事とは関係のない病気やケガでの療養中である
  • 病気やケガが原因で仕事に就けない
  • 退職日までに健康保険に1年以上加入している
  • 退職日の前日までに、傷病による休みを連続で3日以上とっている
  • 退職日に傷病手当金を受給している(または受給できる状態にある)

最大で1年半受給できますので、しっかりうつ病の療養に集中することができます。

《支給金額》
(傷病手当金が支給される日以前の連続した12カ月の標準報酬月額の合計÷12カ月)÷30日×2/3
※標準報酬金額については全国健康保険協会のホームページに一覧表があります。

《支給期間》
1年6カ月
※休職期間中に出勤日があっても、1年6か月のカウントに含まれます。

《申請方法》
全国健康保険協会のホームページ
から申請書をダウンロードし、必要事項を記入します。

必要な添付書類は、以下の通りです。

  • 療養担当者の意見書
  • 事業主の証明※

※休業の期間について、医療担当者の意見書と事業主の証明をもらう必要があります。休職の相談をした上司や担当者に相談しましょう。

書類の準備ができたら、全国健康保険協会の各都道府県支部に郵送しましょう。

各支部の住所はこちらから確認できます。
全国健康保険協会支部

《注意点》
有給休暇を取得する場合には、傷病手当金をもらうことはできません。
欠勤の代わりに有給休暇を使っている場合には注意しましょう。
詳しくは、全国健康保険協会の以下のページをご覧ください。

「傷病手当金について」

4-3:労働災害保険

あなたのうつ病の原因が、

  • 月100時間を超えるような長時間残業
  • 職場でのパワハラ

などに原因がある場合、労働災害保険(労災保険)が受給できる可能性があります。

ただし、労働基準監督署にうつ病についての労働災害を認めてもらうためには、これが業務に起因することを示す、客観的な証拠が必要となります。

例えば、証拠としては次のものがあげられます。

  • タイムカード、業務日報、会社のパソコンの利用履歴など労働時間に関する記録
  • パワハラ・セクハラ発言のICレコーダー、スマホなどによる録音
  • パワハラを受けた日時や内容について詳細に記録したメモ
  • 上司や同僚による供述書 など

退職後に申請して受給する場合も、休職中に受給し、そのまま退職してしまう場合も、受給が可能です。

労働災害保険について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

労働災害とは?保険が貰えるケース・申請方法・トラブル解決法まとめ

解雇・退職になった後の収入を確保する方法について、お分かり頂けたでしょうか?

もしあなたが今、うつ病で悩んでいる場合は、「休職」もしくは「退職」して、心身をしっかり休めることをおすすめします。

なぜなら、うつ病を治すためには、ストレスの原因からできるだけ離れる必要があるからです。

休職、退職の手続き方法について、詳しくは以下の記事で解説していますのでご覧ください。

うつ病で休職する流れとメリットや復職・退職後にやるべきことを解説

【労働基準法の退職のルール】手続きとありがちな悩みや対処法を解説

まとめ:うつ病で解雇

いかがでしたか?

最後に今回の内容をまとめます。

まず、もっとも大事なことはうつ病を理由に、すぐに解雇されることは認められないということです。

ただし、就業規則の通りに休職した上で、

  • 復職時に医師から復帰できないと診断された
  • 会社が、症状に応じた配置転換、復帰準備期間の提供などを行った

という場合は、解雇が認められることもあります。

うつ病を理由に解雇された場合、以下の対処法をとる事ができます。

【会社に残りたい場合】
  • 会社との交渉
  • 労働局のあっせん
  • 訴訟(裁判)
【会社から不当解雇された場合】
  • 解雇予告手当を請求する
  • 不当解雇の場合の給料を請求する(賃金請求)
  • 損害賠償請求
  • 未払い残業代請求

うつ病の場合、解雇、退職した後の収入が心配だと思いますので、

  • 失業保険
  • 傷病手当金
  • 労働災害保険

を申請することで、収入を確保することができます。

これ以上うつ病を悪化させることがないように、正しい手続きを踏んで、しっかり療養に専念してくださいね。

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会社がおかしい・不当ではないかと感じたら1人で悩まずに、残業代請求に強い弁護士に相談することをおすすめします。残業代の時効は2年なので、時効になる前に早めに行動することが大切です。

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