- 2024.07.24
- 2024.12.20
- #離婚してくれない夫
離婚してくれない夫への対処法や離婚方法と注意点や交渉術を弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- 婚してくれない夫への対処法
- 離婚してくれない夫と離婚する方法
- 離婚してくれない夫にやってはいけないこと
- 離婚してくれない夫への最後の交渉
あなたは、
- 離婚してくれない夫への対処法が知りたい
- 離婚してくれない夫とどうしたら離婚できる?
- 離婚してくれない夫にやってはいけないことが知りたい
などとお考えではありませんか?
結論から言うと、離婚してくれない夫と別れるためには、まずは協議離婚の方法を模索し、どうしても難しい場合には離婚調停そして裁判離婚を考えるのが望ましいといえます。
そして、法的な問題についてのアドバイスが必要な場合には、法律のプロである弁護士に相談することが重要です。
そのため、離婚してくれない夫とどう向き合ったらよいか、その対処法はないか考える必要があります。
また、離婚してくれない場合に離婚する方法には何があるか、離婚を望んでも身を慎まなければならないことなども十分理解することが重要です。
そこでこの記事では、
1章では、離婚してくれない夫への対処法
2章では、離婚してくれない夫と離婚する方法
3章では、離婚してくれない夫にやってはいけないこと
4章では、離婚してくれない夫への最後の交渉
について解説します。
この記事を読んで、離婚してくれない夫への対処法などをしっかり理解し、現在離婚してくれない夫とどうしたら別れられるのか悩んでいる方はもちろん、今後において離婚問題に直面するようなことがあれば参考にして下さい。
目次
1章:離婚してくれない夫への対処法
この章では、離婚してくれない夫への対処法について解説します。
- 不倫やDVなどの証拠を提示する
- 別居を提案し婚姻費用を請求する
- 弁護士に依頼して交渉してもらう
それぞれ説明します。
1-1:不倫やDVなどの証拠を提示する
夫の不倫やDVなどが原因で離婚を考えている場合には、証拠を確保することが重要になります。
夫にその証拠を提示することで、夫が離婚に応じてくれるかも知れないからです。
そのためには、夫が不倫やDVなどの事実を否定できない確実な証拠でなければなりません。
まず不倫の場合であれば、
- 性行為中の写真や動画、音声
- ラブホテルに出入りしている写真や動画
- お互いの自宅に出入りしている写真
- 宿泊を伴う旅行に一緒に行った際の写真
などを集めるのが一般的です。
不倫の証拠を自分で集めることが難しい場合は、探偵事務所や興信所に依頼することも検討しましょう。
探偵事務者や興信所が作成する調査報告書は、事実関係が明確で証拠能力が高いため、離婚調停や訴訟の際にも不倫の有力な証拠となり得ます。
DV行為によって怪我をしたり、心身に変調をきたし精神疾患を発症したりした場合には、医療機関で必ず受診し「夫からの暴力により」受傷や発症した旨の記載のある診断書を作成してもらう必要があります。
また、モラハラの証拠については、モラハラを受けている様子を録音した音声データが考えられます。
このような不倫やDVなどの証拠を提示して、離婚に応じるように説得すれば、夫も離婚を認めざるを得ない状況になるでしょう。
ただし、その提示の際に、証拠のすべてを夫に渡してしまうと、破棄や隠匿のおそれもありますので、必ず写し(カラーコピーのもの)を作成して、その写しを提示するようにし不測の事態に備えることも大切です。
1-2:別居を提案し婚姻費用を請求する
離婚の話を持ち出したものの、夫が一向に離婚に応じない場合は、少し冷却期間を置きたいと申し出て別居を提案することも考えられます。
そのような場合、心配になるのが別居中の生活費です。
しかし、別居中であっても、夫婦にはお互いの生活を保持する義務がありますから、婚姻費用の分担として収入の多い方は少ない配偶者に生活費を渡さなければなりません。
したがって、妻は、有責配偶者でない限り、上述した要件に当てはまれば、別居を提案して婚姻費用を請求できます。
1-3:弁護士に依頼して交渉してもらう
離婚をスムーズに進めるためには、弁護士に依頼して交渉してもらうのが得策です。
離婚の話を進める際には、法的問題や離婚に関連するいろいろな判断が必要になるからです。
相手にどのような提案をすべきか、相手の提案を受け入れるべきか、どこまで譲歩すべきかなど、離婚の解決に向けて決断を迫られる場面が多くあります。
離婚交渉で想定される問題については、事前に弁護士と十分打ち合わせをすることで、弁護士を信頼して全て任せられます。
離婚問題に精通している弁護士であれば、
- 未成年の子どもの養育費や面会交流、親権問題
- 財産分与の方法
- 離婚慰謝料の請求
- 年金分割
などについても理解しているため、適切な内容で相手との合意が得られる可能性が高まります。
2章:離婚してくれない夫と離婚する方法
この章では、離婚してくれない夫と離婚する方法について解説します。
- 離婚調停を申し立てる
- 離婚裁判を提起する
それぞれ説明します。
2-1:離婚調停を申し立てる
ここでは、離婚調停の申し立てについて詳しく確認しましょう。
- 直接話し合わなくて済む
- あくまで夫婦の合意が必要になる
では一つ一つ見ていきます。
2-1-1:直接話し合わなくて済む
離婚についての話し合い(協議)がまとまらない、あるいは話し合いができない場合、離婚してくれない夫と離婚する方法としては家庭裁判所の手続きを経る必要があります。
家庭裁判所の手続きも、相手の所在が分からない場合などを除き、いきなり離婚裁判を提起することは認められません。
離婚裁判を提起する前に、必ず離婚調停を申し立てる必要があります。
離婚調停では、裁判官と調停委員2人以上で構成される調停委員会が、当事者双方から言い分を聞きながら話し合いを進めます。
離婚調停には、当事者双方が出席するのが原則です。
しかし、調停では、当事者双方が別々の待合室で待機した上で、交互に調停室に入り話し合いを進めていくのが一般的です。
当事者双方が、面と向かって話し合いをするわけではないので、直接顔を合わせ、話し合わなくても済むのです。
ただし、最終的に合意した内容を確認するときなどには、同席することはあります。
その場合でも、相手との同席に耐えられない場合には、事前にその旨を家庭裁判所に申し出れば、同席しないように配慮されます。
2-1-2:あくまで夫婦の合意が必要になる
離婚調停では、調停委員会が当事者双方の言い分を調整し、お互いが納得できる解決案を示すなどしながら、話し合いが進められます。
そして、離婚調停は、当事者双方が話し合いにより解決する手続きですので、離婚調停が成立するためにはあくまでも夫婦の合意が必要です。
当事者間に合意が成立すれば、裁判所書記官がその内容を記載した調停調書を作成します。
離婚調停では、協議離婚の場合(離婚届が受理されて初めて離婚が成立)と異なり、調停調書が作成された時点で離婚が成立します。
2-2:離婚裁判を提起する
ここでは、離婚裁判を提起することについて詳しく確認しましょう。
- 離婚が認められる5つの条件
- 裁判所が離婚を決めてくれる
では一つ一つ見ていきます。
2-2-1:離婚が認められる5つの条件
離婚調停で話し合いがまとまらない場合や家庭裁判所の審判にも納得がいかない場合に、どうしても離婚をしたいと望むのであれば、離婚裁判を提起する必要があります。
ただし、離婚が認められる条件としては、民法770条で定められた5つの法定離婚事由があげられます。
1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
(民法第770条)
各離婚事由について、具体的に見ていきましょう。
■不貞な行為
いわゆる不倫のことで、配偶者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の人と肉体関係を持った場合をいいます。
■悪意の遺棄
配偶者が、同居義務、協力義務、扶助義務といった夫婦の義務を尽くさない場合をいいます。
■3年以上の生死不明
配偶者が、最後の音信から3年以上にわたり、生存も死亡も確認できない状況が現在まで続いている場合をいいます。
■回復が見込めない強度精神病
配偶者が夫婦の義務を果たせない程度の不治の精神疾患にかかり、回復の見込みのない場合をいいます。
■その他婚姻を継続しがたい重大な事由
1~4の離婚事由がなくても、夫婦生活が修復不可能な程度にまで破綻し、婚姻を継続させることができないと考えられる場合をいいます。
家庭裁判所は、これらの離婚事由について審理し、5つの離婚事由のどれかが認められる場合に、離婚判決を下します。
離婚を認める判決が確定すると、離婚が成立します。
2-2-2:裁判所が離婚を決めてくれる
離婚裁判では、訴えた側が集めた証拠によって離婚事由が明らかな場合は、相手が離婚に納得していない状況でも裁判において離婚が認められる可能性が高くなります。
離婚裁判では、本人だけで裁判手続きを進めることもできますが、やみくもに意見を主張するだけでは裁判所に認められることは難しいため、弁護士への依頼が必須と言えます。
弁護士は、訴訟代理人として、本人の言い分を離婚事由に該当する具体的な事実の主張として整理し、裁判所に提出する訴状等の法的書面を作成します。
さらに、弁護士は、証拠資料を収集して裁判所に提出するほか、証人や当事者本人への尋問等によって立証する必要があります。
離婚裁判では、判決によって離婚だけでなく訴状で請求された親権や財産分与、慰謝料など、離婚にかかわる様々な条項に対しての判断が下されます。
3章:離婚してくれない夫にやってはいけないこと
この章では、離婚してくれない夫にやってはいけないことについて解説します。
- 感情的になって夫に暴言を吐く
- 勝手に離婚届を提出する
- 正当な理由なく勝手に別居する
- 不倫する
それぞれ説明します。
3-1:感情的になって夫に暴言を吐く
離婚を望んでいる場合は、感情的になって夫に対し「死ネ」「クズ」などといった暴言を吐くことは、厳に慎まなければなりません。
感情的になれば、夫の方も感情的になり、いかに離婚を望んでも、冷静に話し合いができる状況にはならないからです。
少しでも離婚の話し合いが進展することを望むのであれば、自分の感情をコントロールすることも大事なことです。
冷静に話し合うことが難しい場合は、いったん時間を置き、お互いの気持ちが落ち着くのを待ってから話し合いを始めましょう。
お互いに面と向かって話すのが気まずい場合は、メールやLINEなどの手段を用いて、自分の意思を伝え合いながら、解決策を見いだすことが重要です。
3-2:勝手に離婚届を提出する
勝手に離婚届を提出すれば、刑法上の犯罪が成立する可能性があります。
他人の署名と押印を勝手にして離婚届を作成するのは、有印私文書偽造罪に該当し、その離婚届を市区町村役場に提出するのは、偽造有印私文書行使罪と公正証書原本不実記載罪に該当するからです。
そして、勝手に届け出た協議離婚は無効となります。
しかし、市区町村役場は、形式的な要件が揃っていれば、偽造された離婚届かどうか判断することはできないため受理されます。
夫が戸籍の記載を元に戻すためには、妻を相手方として家庭裁判所に協議離婚無効確認の調停を申し立てる必要があります。
調停手続きの話し合いで決着がつけば、先に届出された協議離婚が無効であることの合意に従った審判がされます。
調停不成立の場合は、夫は協議離婚無効確認訴訟を提起して、判決で協議離婚の無効を確認してもらうことになります。
判決が確定して初めて、市区町村役場に戸籍訂正の申し出ができるのです。
勝手に離婚届を提出すれば、法律的にも大変なことになりますので、時間がかかっても調停や裁判による離婚を検討すべきです。
3-3:正当な理由なく勝手に別居する
夫婦には同居義務がありますので、正当な理由なく勝手に別居することは、同居義務違反として「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。
悪意の遺棄と認められた場合は、裁判においては有責配偶者からの離婚請求は、信義則に反するため原則として認められません。
また、別居が悪意の遺棄に該当すると判断された場合、夫から有責配偶者である妻に対する慰謝料請求が認められる可能性も出てきます。
正当な理由のない別居は、婚姻関係が破綻する原因を作ったものと評価され、有責配偶者からの婚姻費用の分担請求は認められない可能性があります。
そうはいっても、同居状態が続いていると離婚事由が認められないため、別居せざるを得ない場合もあるのが実情ですので、どのタイミングで別居するのが適切であるかというのは悩ましい問題です。
正当な理由なく勝手に別居することは、それだけ不利益になる場合がありますので、弁護士などに事前に相談する必要があります。
3-4:不倫する
離婚成立前に夫以外の第三者と肉体関係を持った場合、不貞行為として離婚事由に該当するため、不倫した妻が有責配偶者になります。
夫が離婚してくれない場合、協議離婚が難しいため離婚調停を申し立てたり、離婚裁判を提起したりしますが、裁判においては有責配偶者からの離婚請求は認められないことがほとんどです。
不倫した場合は、自分で自分の立場を苦しいものにするため、絶対にやめましょう。
4章:離婚してくれない夫への最後の交渉
この章では、離婚してくれない夫への最後の交渉について解説します。
- 離婚条件を譲歩する
- 離婚裁判は双方にメリットがないことを伝える
それぞれ説明します。
4-1:離婚条件を譲歩する
離婚条件としては、財産分与、慰謝料、年金分割、そして未成年の子どもがいる場合には、親権、養育費、面会交流の問題が考えられます。
どれも大事な問題です。
しかし、そのすべてを思い通りに要求していては、いつまで経っても決着をみないのも事実です。
そのためには、ある程度離婚条件を譲歩すべきだともいえます。
だからといって、離婚後の生活のことも考えなければなりませんし、子どもがいれば、子どもの将来のことも考えなければなりません。
そこでまず、離婚条件については、ある程度譲歩できる部分と、絶対に譲歩できない部分を整理することが大切です。
夫側の提示する離婚条件の内容を聞いて一つずつ検討しながら、個別の問題ごとに絶対に譲れない点がなければ、離婚条件を譲歩することで離婚を決めることも重要だといえます。
離婚条件を譲歩することで合意できた場合には、できれば弁護士に依頼してその内容を確認してもらい、強制執行を可能にする公正証書という形で書面化しましょう。
4-2:離婚裁判は双方にメリットがないことを伝える
離婚裁判は双方にメリットがないことを伝えるためには、離婚裁判になった場合、双方にとってどのようなデメリットがあるのかを理解する必要があります。
離婚裁判のデメリットとして、次の3つがあげられます。
- プライバシーが守られないおそれがある
- 費用と時間がかかる
- 当事者のストレスになる
■プライバシーが守られないおそれがある
まず言えるのは、お互いのプライバシーが守られないおそれがあるということです。
離婚裁判の場合は、原則として公開の法廷で行われるため、夫婦や家庭内のプライバシーも公になり、お互いにとっての私生活上の重大な秘密も明らかになるおそれがあります。
そうなれば、離婚したとしても、離婚後の社会生活に支障が生じないとも限りません。
■費用と時間がかかる
離婚裁判の場合、お互いがそれぞれ弁護士に依頼することになるでしょうから、法律相談料・着手金・報酬金のほか交通費・通信費等の実費を負担しなければなりません。
また、裁判で決着するまでには、それなりの時間がかかりますし、仕事や生活面でも裁判に時間を割かれることになります。
このように離婚裁判では、それ相応の費用と時間がかかることは避けられません。
■当事者のストレスになる
裁判では、かつて夫婦であった者が、対立した敵同士となって争います。
そして、離婚事由の有無を巡って、お互いが相手の弱みを攻撃し、また自分の立場を有利にするため、相手の不利な点の探り合いをします。
離婚裁判では、弁護士が書面で主張のやり取りをするだけでなく、当事者本人が尋問を受けたり、場合によっては上述したように、公開の法廷で他人には知られたくない夫婦だけの秘密も明らかになったりします。
裁判が続くことで、お互いが心身ともに疲弊し激しいストレスを受けます。
子どもがいたりすれば、子どもへの気遣いから、そのストレスは更に大きくなることも考えられます。
以上のように、離婚裁判は、双方にメリットがないことを離婚してくれない夫に伝えることによって、協議離婚か離婚調停という離婚裁判以外での解決に協力してほしい旨を求めます。
まとめ:離婚してくれない夫への対処法や離婚する方法
■離婚してくれない夫への対処法
- 不倫やDVなどの証拠を提示する
- 別居を提案し婚姻費用を請求する
- 弁護士に依頼して交渉してもらう
■離婚してくれない夫と離婚する方法
- 離婚調停を申し立てる
- 離婚裁判を提起する
■離婚してくれない夫にやってはいけないこと
- 感情的になって夫に暴言を吐く
- 勝手に離婚届を提出する
- 正当な理由なく勝手に別居する
- 不倫する
■離婚してくれない夫への最後の交渉
- 離婚条件を譲歩する
- 離婚裁判は双方にメリットがないことを伝える
もし、離婚してくれない夫との関係でお悩みの場合には、ぜひ法律のプロである弁護士への相談を検討しましょう。