【配偶者の不倫・同棲】やめさせる2つの方法と慰謝料請求する2つのポイント
この記事を読んで理解できること
- 配偶者と不倫相手の同棲は強制的に解消できない
- 不倫相手との同棲をやめさせる2つの方法
- 配偶者と不倫相手に慰謝料請求する際のポイント
- 慰謝料請求する4つの方法
あなたは、
- 配偶者が不倫相手と同棲しているので別れさせたい
- 配偶者と同棲している不倫相手に慰謝料を請求したい
- 配偶者が不倫相手と同棲しているので離婚したい
などとお考えではありませんか?
結論から言うと、配偶者と不倫相手の同棲は、強制的にやめさせられないため、不倫相手への慰謝料請求や離婚を検討する必要があるでしょう。
また、不倫相手に慰謝料を請求したり配偶者に婚姻費用を請求したりすることで、両者の金銭的負担が増えるため、不倫関係や同棲の解消につながる可能性もあります。
そのため、配偶者と不倫相手が同棲している場合は、不倫の証拠を集めるだけでなく、不倫や同棲を始めた時期など調べることが重要です。
そこでこの記事では、
1章では、配偶者と不倫相手の同棲は強制的に解消できない
2章では、不倫相手との同棲をやめさせる2つの方法
3章では、配偶者と不倫相手に慰謝料請求する際のポイント
4章では、慰謝料請求する4つの方法
について解説します。
この記事の内容をしっかり理解して、配偶者と不倫相手の同棲の解消や慰謝料請求、離婚を検討する際の参考にしてください。
目次
1章:配偶者と不倫相手の同棲は強制的に解消できない
配偶者が不倫相手と同棲を始めた場合、強制的に同棲を解消し、ご自身と同居するように強制できるのでしょうか?
- 配偶者に同居の強制はできない
- 配偶者の同棲を強制的に解消することは難しい
それぞれ解説します。
1-1:配偶者に同居の強制はできない
配偶者が不倫相手と同棲を始めた場合、夫婦には「同居し、互いに協力し、扶助しなければならない(民法752条)」という同居義務があるため、配偶者は同居義務違反に問われる可能性があります。
そのため、配偶者が別居した場合は、家庭裁判所に同居を求める調停や審判の申立てができます。
裁判所で同居義務違反が認められた場合は、同居義務の履行を命ずる審判が下されますが、同居命令に背いても罰則はなく、配偶者を強制的に家に連れ戻すことはできません。
ただし、同居を命じる審判に反し配偶者が同居しない場合は、同居義務違反となるため離婚原因として判断されるでしょう。
また、不倫相手との同棲が立証できる場合は、同居義務違反だけでなく不貞行為にあたる可能性があります。
1-2:配偶者の同棲を強制的に解消することは難しい
配偶者の同棲を強制的に解消するために、裁判所に配偶者の同棲を差し止めるよう求めた場合、過去の判例では次のように同棲について差止請求を否定しています。
同棲を差止めることについては、相手方の行動の事前かつ直接の禁止という強力な効果をもたらすものであるから、これが認められるについては、事後の金銭賠償によっては原告の保護として十分でなく事前の直接抑制が必要といえるだけの特別な事情のあることか必要である。
同棲によって侵害されるのはもっぱら原告の精神的な平和というほかない。このような精神的損害については、同棲が不法行為の要件を備える場合には損害賠償によっててん補されるべきものであり、これを超えて差止請求まで認められるべき事情があるとまでは言えない。
(大阪地裁平成11年3月31日判決)
もし仮に、差し止め請求が認められたとしても、配偶者が命令に反し同棲を続けた場合、同棲をやめることを強制できません。
ただし、不倫関係を解消するよう求めたにもかかわらず相手が関係を継続した場合は、悪質性があるとして慰謝料を増額できる可能性があるでしょう。
2章:不倫相手との同棲をやめさせる2つの方法
不倫相手との同棲をやめさせる方法としては、次の2つがあげられます。
- 不倫相手に慰謝料を請求する
- 配偶者に婚姻費用を請求する
不倫相手には慰謝料を、配偶者には婚姻費用を請求することで、両者の金銭的負担が増えるため、不倫関係や同棲の解消につながる可能性があります。
それぞれ解説します。
2-1:不倫相手に慰謝料を請求する
配偶者が不倫相手と同棲していることが立証できる場合、肉体関係(不貞行為)がある証拠となり得るため、配偶者だけでなく不倫相手に対しても、不法行為にもとづく慰謝料請求ができます。
不倫相手が、同棲している相手が既婚者であることを知っていたか、あるいは知らなかったことについて過失がある場合は、不法行為が成立し慰謝料の支払い義務が生じるからです。
不倫の慰謝料相場は、不倫が発覚した後の夫婦関係によって、次のような相場となっています。
配偶者が不倫相手と同棲した場合は、不倫が原因で別居に至った場合にあたるため100万円~200万円に、さらに夫婦が離婚した場合は、不倫慰謝料の相場は150万円~300万円になるといわれています。
不倫相手に慰謝料を請求することによって、不倫関係や同棲をやめさせられる可能性が高まります。
2-2:配偶者に婚姻費用を請求する
配偶者が不倫相手と同棲している場合でも、法律上は婚姻関係にあるため、収入の多い配偶者に対して婚姻費用を請求できます。
具体的には、
- 家賃・水道光熱費
- 食費
- 被服費・生活用品費
- 医療費
- 交通・通信費
- 子どもの学費
など、家族の生活に必要な費用があげられます。
民法760条では、
「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」
と定められているからです。
この「婚姻から生ずる費用」は婚姻費用にあたり、別居した場合でも婚姻を継続しているため、収入の多い方が収入の少ない配偶者に対して分担する義務があります。
ただし、実際には、各費目の合計金額をそのまま請求できるということではなく、裁判所が公開している算定表に基づいて計算された金額を請求することになるのが一般的です。
配偶者に婚姻費用を請求することで、金銭的な負担だけでなく配偶者としての責任を再認識できるでしょう。
3章:配偶者と不倫相手に慰謝料請求する際のポイント
配偶者と不倫相手に慰謝料請求する際のポイントは、次の2つです。
- 不倫の証拠や不倫・同棲を始めた時期を調べる
- 同棲するまで婚姻関係が破綻していなかった証拠を集める
それぞれ解説します。
3-1:不倫の証拠や不倫・同棲を始めた時期を調べる
配偶者と不倫相手に慰謝料請求する際のポイントとして、不倫の証拠を集めるだけでなく、不倫や同棲を始めた時期などを調べることが重要です。
同棲する前から不倫相手との間に肉体関係があった証拠や、同棲を始めた時期を調べて証拠を集めておく必要があります。
配偶者が別居し同棲する前から不倫していた場合は、より慰謝料請求できる可能性が高いです。
配偶者の不倫が別居の原因になった場合は、慰謝料金額が増額できる可能性があります。
また、配偶者が勝手に家を出ていった後に同棲した場合でも、別居中の不倫に対する慰謝料請求できる可能性が高いです。
配偶者の一方的な別居の場合、夫婦双方が離婚する意思をもっていたとは言えないため、婚姻関係が破綻していたとは認められないからです。
3-2:同棲するまで婚姻関係が破綻していなかった証拠を集める
配偶者と不倫相手に慰謝料請求する際のポイントとして、同棲するまで婚姻関係が破綻していなかった証拠を集めることが重要です。
同棲するまで家族間の交流が続いている場合は、配偶者と不倫相手に対して慰謝料請求できる可能性が高いです。
例えば、
- 夫婦・家族で連絡を取り合っている
- 夫婦・家族で外出している
- 子どもの学校行事に一緒に参加している
- 相手の両親と交流がある
などの場合は、婚姻関係の破綻が認められないからです。
夫婦間・家族間の交流を示す事実がある場合は、夫婦関係を修復できる可能性が残っているため、婚姻関係が破綻していないと判断されます。
4章:慰謝料請求する4つの方法
慰謝料を請求する方法としては、次の4つがあげられます。
- 書面の送付(内容証明郵便)による請求
- 不倫相手・配偶者との話し合いによる請求
- 不倫の慰謝料の民事訴訟による請求
- 離婚の慰謝料の調停・訴訟による請求
それぞれ解説します。
4-1:書面の送付(内容証明郵便)による請求
不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、一般的には内容証明郵便で慰謝料請求書を送付します。
内容証明郵便で送付することで、誰が誰に対してどんな内容でいつ送付したのか証明できるため、慰謝料の支払いを促し言い逃れを防げます。
さらに、弁護士から慰謝料請求書を送ることで、相手に対してプレッシャーを与えられるでしょう。
内容証明郵便による慰謝料請求書の送付で、不倫相手が支払いに応じた場合は、不倫問題も解決します。
4-2:不倫相手・配偶者との話し合いによる請求
不倫相手や配偶者との対面による話し合いによって、不倫慰謝料や離婚慰謝料を請求する方法もあります。
慰謝料の話し合いで、金額や支払い方法、支払期日が決まり交渉がまとまった場合は、合意書を公正証書にすることをおすすめします。
公正証書とは、公証役場において法務大臣に任命された公証人が作成し、その合意書の内容を証明する公文書のことです。
公正証書にすることによって、相手の支払いが約束に反した場合は、裁判手続きを取ることなく給料や財産を差し押さえできます。
4-3:不倫の慰謝料の民事訴訟による請求
不倫相手との慰謝料交渉によって合意が得られなかった場合は、民事訴訟によって慰謝料を請求しましょう。
裁判所に対して訴状及び証拠等を提出し、不倫相手と争うことになりますが、裁判の途中で裁判官のすすめによって和解が成立することも多く、最終的には裁判官の判断によって慰謝料の金額等が決められます。
民事訴訟の手続きは複雑で、提出する書類等も多いため、手続きをスムーズに進めて、さらに公判を有利に進めるためには、弁護士に依頼することをおすすめします。
4-4:離婚の慰謝料の調停・訴訟による請求
夫婦間の話し合いがうまくいかなかった場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。
離婚調停では、裁判官1名と調停委員2名からなる調停委員会によって、双方の意見の聞き取りや条件面の話し合いが夫婦別々に行われます。
夫婦双方が離婚や離婚慰謝料に合意した場合は、合意した内容が調停調書に記載され調停離婚が成立します。
離婚調停で夫婦の合意ができない場合は、家庭裁判所に離婚訴訟を起こし、裁判所の判決にる離婚(裁判離婚)を求めましょう。
裁判離婚が認められるたには、ここまで解説してきた法律上離婚の訴えが認められる法定離婚事由が必要となりますが、夫婦の合意は必要なく裁判所からの離婚判決が確定することで離婚となります。
また、裁判の過程において、和解によって離婚が成立する場合も多いです。
裁判離婚の場合は、法廷で争うことになるので、不利益な判決を避けるためには弁護士への依頼をおすすめします。
まとめ:配偶者が不倫相手と同棲していた場合の慰謝料請求
■配偶者が不倫相手と同棲を始めた場合、
- 配偶者に同居の強制はできない
- 配偶者の同棲を強制的に解消することは難しい
■不倫相手との同棲をやめさせる方法としては、
- 不倫相手に慰謝料を請求する
- 配偶者に婚姻費用を請求する
両者の金銭的負担が増えるため、不倫関係や同棲の解消につながる可能性があります。
■配偶者と不倫相手に慰謝料請求する際のポイントは、
- 不倫の証拠や不倫・同棲を始めた時期を調べる
- 同棲するまで婚姻関係が破綻していなかった証拠を集める
■慰謝料を請求する方法としては、
- 書面の送付(内容証明郵便)による請求
- 不倫相手・配偶者との話し合いによる請求
- 不倫の慰謝料の民事訴訟による請求
- 離婚の慰謝料の調停・訴訟による請求
配偶者が不倫相手と同棲し離婚や慰謝料請求する場合は、早めに弁護士に相談し交渉が有利に進められるようにしましょう。
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