- 更新日:2024.09.06
- #不倫慰謝料条件
不倫の慰謝料を請求できる5つの条件と3つのポイントを弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- 不倫相手に慰謝料を請求できる5つの条件
- 不倫相手に慰謝料を請求できない場合
- 不倫相手に慰謝料を請求する方法
- 慰謝料請求で失敗しないための3つのポイント
あなたは、
「不倫の慰謝料を請求できる条件が知りたい」
「不倫の慰謝料を請求する方法は?」
「慰謝料を請求して不倫問題を早く解決したい」
などとお考えではないですか?
結論から言うと、不倫相手に慰謝料を請求するためには、不貞行為(肉体関係)の事実や夫婦関係の状況など、いくつかの条件を満たしている必要があります。
なぜなら不倫の慰謝料は、配偶者の不貞行為によって夫婦関係が悪化または破綻し、精神的苦痛を受けた場合に損害賠償金として支払われるお金だからです。
不倫の慰謝料を請求できる条件としては、次の5つがあげられます。
- 配偶者と不倫相手に肉体関係がある
- 不倫相手は既婚者だと知っていた・知ることができた
- もともと夫婦関係は破綻していなかった
- 不倫によって夫婦関係が悪化または破綻した
- 時効が成立していない
また不倫の慰謝料の一般的な相場としては、不倫によるその後の夫婦(婚姻)関係に応じて、次のような相場となっています。
この記事では、1章で不倫相手に慰謝料を請求できる条件を、2章では不倫相手に慰謝料を請求できない場合などを解説します。
さらに3章では、不倫相手に慰謝料を請求する方法を、4章では慰謝料請求で失敗しないための3つのポイントについて解説します。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■不倫の慰謝料を請求するためには、不貞行為(肉体関係)の事実を明らかにする証拠や、不倫相手の故意・過失、夫婦関係の状況など、いくつかの条件を満たす必要があります。
■不倫相手に慰謝料を請求できる5つの条件
- 配偶者と不倫相手に肉体関係がある
- 不倫相手は既婚者だと知っていた・知ることができた
- もともと夫婦関係は破綻していなかった
- 不倫によって夫婦関係が悪化または破綻した
- 時効が成立していない
■不倫相手に慰謝料が請求できない場合
- 肉体関係は不倫相手の自由意思ではなかった
- 既に配偶者から十分な慰謝料を受け取っている
■不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、内容証明郵便による慰謝料請求書の送付や、話し合いによる交渉、民事訴訟による慰謝料請求があります。
■慰謝料請求で失敗しないために最も有効なポイントは、できれば早い段階から弁護士に相談することです。
1章:不倫相手に慰謝料を請求できる5つの条件
不倫相手に慰謝料を請求できる条件としては、次の5つがあげられます。
- 配偶者と不倫相手に肉体関係がある
- 不倫相手は既婚者だと知っていた・知ることができた
- もともと夫婦関係は破綻していなかった
- 不倫によって夫婦関係が悪化または破綻した
- 時効が成立していない
それぞれ解説していきます。
1-1:配偶者と不倫相手に肉体関係がある
不倫の慰謝料を請求するためには、配偶者と不倫相手に肉体関係(不貞行為)があることを、証明あるいは推認できる十分な証拠が必要です。
なぜなら、そもそも不貞行為とされる肉体関係を不倫相手が認めない場合、不貞行為があったことを証明する証拠がなければ、相手が慰謝料の請求に応じることはないからです。
ただし、肉体関係がない場合であっても、頻繁にデートを重ねていたり、キスなどの行為をしていれば、「婚姻共同生活の平和を維持する権利」の侵害にあたるとして、慰謝料を請求できる場合もあります。
不倫の証拠としては、不倫現場の写真や録音データなどだけでなく、クレジットカードの利用明細やSuica、PASMOの利用履歴なども、配偶者の行動を補足するものとして利用できる可能性があります。
不倫の証拠になり得るものとその集め方について、次の記事で詳しく解説しています。
【こんなものも証拠に!?】浮気の証拠になりうるものとその集め方を弁護士が解説
1-2:不倫相手は既婚者だと知っていた・知ることができた
不倫の慰謝料を請求できるのは、不倫相手が既婚者だと知っていた、あるいは知ることができた場合になります。
例えば、同じ会社に勤めていて結婚していることや子供がいることを知っていた場合(故意)や、同僚や共通の友人などから既婚者であることは知り得た場合(過失)などがあげられます。
既婚者との不貞行為は、あなたの権利を侵害し精神的苦痛を与えたことになりますので、故意に行っていた場合は当然不法行為となり、故意ではなく過失の場合でも不法行為が成立します。
1-3:もともと夫婦関係は破綻していなかった
不倫の慰謝料を請求するためには、不貞行為が行われた時点では、夫婦関係が破綻していなかったことが条件になります。
不倫をする前から家庭内別居状態で離婚の話し合いを進めていたり、すでに離婚を前提に別居していて夫婦関係が破綻していた場合は、慰謝料を請求できない可能性があります。
なぜなら不倫の慰謝料は、不貞行為によって夫婦関係が壊され精神的苦痛を味わったことに対する賠償となるため、すでに夫婦関係が破綻していた場合は、損害が発生しないため慰謝料請求が認められないからです。
1-4:不倫によって夫婦関係が悪化または破綻した
すでに解説したように、不倫の慰謝料は、不貞行為による精神的苦痛に対する賠償となるため、夫婦が離婚した場合に限らず、夫婦関係が悪化または破綻した場合も慰謝料を請求することができます。
ただし、不貞行為によって夫婦関係が破綻し離婚する場合に比べて、精神的苦痛の程度は軽いと考えられるため、請求できる慰謝料額は低くなる傾向にあります。
1-5:時効が成立していない
不倫の慰謝料の請求には、不貞行為の事実と不倫相手を知ってから3年間という消滅時効があるため、時効が成立していないことが条件となります。
不倫相手を知ったということは、その名前や住所など慰謝料請求が可能な情報が得られた場合をいうため、不倫相手が存在することを知っただけの状況では時効期間とはなりません。
また、不貞行為がきっかけで離婚に至った場合は、離婚した時点から6ヶ月以内であれば、すでに3年間が経過した不貞行為であっても配偶者には慰謝料請求が可能となります。
2章:不倫相手に慰謝料を請求できない場合
不倫相手に慰謝料が請求できない場合としては、次の2つがあげられます。
- 肉体関係は不倫相手の自由意思ではなかった
- 既に配偶者から十分な慰謝料を受け取っている
それぞれ解説していきます。
2-1:肉体関係は不倫相手の自由意思ではなかった
不倫相手が自らの意思に反して、つまり配偶者による強姦や脅迫によって肉体関係を持たされた場合は、不倫相手は不法行為を行っていないため慰謝料を請求することはできません。
ただし状況によっては、配偶者に強引な側面があったとしても、自らの意思で断ることもできたという理由で、慰謝料請求が認められる場合もあります。
配偶者だけでなく自分も不倫(不貞行為)をしていた場合は、夫婦関係はすでに破綻していたと考えられるため、慰謝料を請求することは難しいと言えます。
また、あなたの配偶者があなたの不倫相手に慰謝料を請求することも考えられますが、同じように難しいと言えます。
またダブル不倫と呼ばれる、不倫相手も既婚者で配偶者がいる場合は、不倫の慰謝料請求はできますが、不倫の被害者は2人いるため双方の夫婦間で慰謝料が請求されることになります。
2-2:既に配偶者から十分な慰謝料を受け取っている
不倫相手に慰謝料を請求する時点で、既に配偶者から十分な慰謝料を受け取っている場合は、不倫相手に慰謝料を請求できない可能性があります。
なぜなら不倫の慰謝料は、当事者である配偶者と不倫相手の2人が「不真正連帯債務」を負うことになるため、慰謝料相当額以上の金額を不倫相手には請求できないからです。
不真正連帯債務とは、不倫の当事者である配偶者と不倫相手の両方が負う連帯債務のことで、その負担割合は不倫の状況や当事者の関係性により変化しますが、慰謝料の二重取りをすることはできません。
例えば、不倫の慰謝料相当額が100万円の場合、配偶者と不倫相手は100万円の連帯債務を負っているため、すでに配偶者から100万円以上の慰謝料を受け取っている場合は、不倫相手に対してそれ以上の請求をすることはできません。
3章:不倫相手に慰謝料を請求する方法
不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、次の3つがあげられます。
- 書面の送付による請求
- 不倫相手との話し合いによる請求
- 民事訴訟による請求
それぞれ解説していきます。
3-1:書面の送付による請求
不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、一般的には内容証明郵便で慰謝料請求書を送付します。
内容証明郵便で送付することで、誰が誰に対してどんな内容でいつ送付したのか証明することができるため、慰謝料の支払い義務を促し言い逃れを防ぐことができます。
さらに、弁護士から慰謝料請求書を送ることで、相手に対してプレッシャーを与えることができます。
内容証明郵便による慰謝料請求書の送付で、不倫相手が支払いに応じた場合は、不倫問題も解決することになります。
3-2:不倫相手との話し合いによる請求
不倫相手との対面による話し合いによって、慰謝料を請求する方法もあります。
不倫慰謝料の話し合いで、金額や支払い方法、支払期日が決まり交渉がまとまった場合は、合意書を公正証書にすることをおすすめします。
公正証書にすることによって、相手の支払いが約束に反した場合は、裁判手続きを取ることなく給料や財産を差し押さえることもできます。
3-3:民事訴訟による請求
不倫相手との慰謝料交渉によって合意が得られなかった場合は、民事訴訟によって慰謝料を請求することができます。
裁判所に対して訴状及び証拠等を提出し、不倫相手と争うことになりますが、裁判の途中で裁判官のすすめによって和解が成立することも多く、最終的には裁判官の判断によって慰謝料の金額等が決められます。
民事訴訟の手続きは複雑で、提出する書類等も多いため、手続きをスムーズに進めて、さらに公判を有利に進めるためには、弁護士に依頼することをおすすめします。
4章:慰謝料請求で失敗しないための3つのポイント
慰謝料請求で失敗しないためのポイントは、次の3つです。
- 感情的にならない
- 証拠に基づいて交渉する
- 弁護士に相談する
それぞれ解説していきます。
4-1:感情的にならない
まず始めに大事なことは、配偶者との不貞行為を行った不倫相手に対して、できるだけ感情的にならず冷静に話し合うということです。
不倫慰謝料の請求においては、相手の不法行為によってあなたに精神的苦痛という損害が生じ、不倫相手に慰謝料の支払い義務があるということを理解させることが重要です。
そのためには、感情的にならずに理詰めで話を進める必要があり、一人では対応が難しい場合は弁護士に依頼することをおすすめします。
4-2:証拠に基づいて交渉する
不倫相手との話し合いの場では、不貞行為を証明する証拠に基づいて、冷静に交渉することが重要です。
不倫の写真やその他の証拠によって不貞行為が十分推認される場合だけでなく、不貞行為が推測できる証拠等を検証することによって、不倫相手に不貞行為を認めさせることが大事です。
そのためには、不倫現場の写真や録音データ、配偶者のクレジットカードの利用明細やSuica、PASMOの利用履歴など、不貞行為や配偶者の行動を検証できる十分な証拠を事前に集めておくことが重要です。
4-3:弁護士に相談する
慰謝料請求で失敗しないための一番有効なポイントは、弁護士に依頼することになります。
弁護士に依頼することによって、慰謝料相場や慰謝料請求のためのアドバイスだけでなく、必要な証拠とその集め方、不倫相手との交渉、慰謝料の請求書の作成と送付など、あらゆるサポートを受けることができます。
また、弁護士が交渉を代行することによって、専門的な知識や経験を駆使して、適正な慰謝料を得られる可能性が高まります。
さらに、訴訟が必要となった場合は、複雑な手続きを任せられるだけでなく、適切な弁護活動によって妥当な慰謝料を得られる可能性が高まります。
※当事務所(新橋第一法律事務所)では無料相談を受け付けていますので、不倫問題でお悩みの際はぜひご利用ください。
まとめ
ここまで、不倫相手に慰謝料を請求できる条件や、不倫相手に慰謝料を請求する方法などについて解説してきました。
最後に、今回の内容をまとめます。
■不倫の慰謝料を請求するためには、不貞行為(肉体関係)の事実を明らかにする証拠や、不倫相手の故意・過失、夫婦関係の状況など、いくつかの条件を満たす必要があります。
■不倫相手に慰謝料を請求できる5つの条件
- 配偶者と不倫相手に肉体関係がある
- 不倫相手は既婚者だと知っていた・知ることができた
- もともと夫婦関係は破綻していなかった
- 不倫によって夫婦関係が悪化または破綻した
- 時効が成立していない
■不倫相手に慰謝料が請求できない場合
- 肉体関係は不倫相手の自由意思ではなかった
- 既に配偶者から十分な慰謝料を受け取っている
■不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、内容証明郵便による慰謝料請求書の送付や、話し合いによる交渉、民事訴訟による慰謝料請求があります。
■慰謝料請求で失敗しないために最も有効なポイントは、できれば早い段階から弁護士に相談することです。
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。