不倫の公認が認められず慰謝料請求される4つのケースを弁護士が解説

監修者

弁護士法人新橋第一法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

不倫の公認が認められず慰謝料請求される4つのケースを弁護士が解説
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 不倫が公認の場合は、原則として慰謝料請求できない
  • 不倫が公認でも慰謝料を請求される可能性がある4つのケース
  • 不倫の公認を認めた判例と認めなかった判例
  • 不倫が公認でも、慰謝料請求された場合は弁護士に相談を

あなたは、

  • 不倫が公認なら慰謝料を請求されない?
  • 不倫が公認でも慰謝料を請求されるケースが知りたい
  • 不倫が公認と認められず慰謝料を請求されたらどうする?

などとお考えではありませんか?

結論から言うと、配偶者が真意から不倫を公認していた場合は、不倫(不貞行為)が配偶者に対する不法行為とは認められないため、慰謝料は請求できません。

ただし、配偶者が本当に不倫を公認していたのか疑問が残る点があり、配偶者が不倫の慰謝料を請求したことなどから、真意としては不倫を公認していなかったと判断される可能性があります。

実際に配偶者が、婚姻関係にあるもう一方の配偶者の不倫(不貞行為)を公認するとは通常では考えにくく、子どものためや経済的な事情などから我慢していただけで、精神的な苦痛を感じていたことも多いはずです。

不倫の慰謝料を請求された場合、不倫の公認に関する判例では、公認を認め慰謝料請求を棄却した判例と、公認は真意ではないとして慰謝料請求を認めた判例があります。

そこでこの記事では、

1章では、不倫が公認の場合は、原則として慰謝料請求できない

2章では、不倫が公認でも慰謝料を請求される可能性がある4つのケース

3章では、不倫の公認を認めた判例と認めなかった判例

4章では、不倫が公認でも、慰謝料請求された場合は弁護士に相談を

それぞれ解説します。

この記事を読んで、不倫の公認が認められるケースや認められないケースをしっかり理解し、今後の行動に役立てて下さい。

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1章:不倫が公認の場合は、原則として慰謝料請求できない

配偶者が真意から不倫を公認していた場合は、不倫が配偶者に対する不法行為とは認められないため、原則として慰謝料は請求できません。

不倫(不貞行為)は、婚姻生活の平穏を侵害する行為のため不法行為にあたりますが、配偶者が不倫を公認していた場合は、不法行為とはいえません。

そのため、不法行為にあたらない場合は、被害者の権利を侵害し損害を与えたとはいえないため、慰謝料請求も認められないからです。

2章:不倫が公認でも慰謝料を請求される可能性がある4つのケース

不倫が公認でも慰謝料を請求される可能性があるケースは、次の4つです。

  • 無理やり不倫を公認させた
  • 嘘をついて不倫を公認させた
  • 配偶者が感情的になって不倫を公認した
  • 配偶者が不倫を公認したことを証明できない

それぞれ解説します。

2-1:無理やり不倫を公認させた

配偶者に無理やり不倫を公認させた場合は、慰謝料を請求される可能性があります。

配偶者の自由な意思ではなく、強要されてやむを得なく不倫を容認していたと判断されるからです。

例えば、

  • 結婚を望む配偶者に対して、結婚の条件として不倫の公認を約束させた
  • 婚姻関係を続ける条件として、不倫を公認させた

などの例があげられます。

2-2:嘘をついて不倫を公認させた

配偶者に嘘をついて不倫を公認させた場合は、慰謝料を請求される可能性があります。

不倫を公認させたい配偶者に、騙されてやむを得なく不倫を容認していたと判断されるからです。

例えば、

  • 離婚する時は財産を全部与えると嘘をついて不倫を公認させた
  • セックスレスの状態で本気にはならないと騙して不倫を公認させた

などの例があげられます。

2-3:配偶者が感情的になって不倫を公認した

配偶者が感情的になって不倫を公認してしまった場合は、慰謝料を請求される可能性があります。

配偶者が不倫を公認したのは本心ではなく、その場では冷静に判断することができず不倫を容認したと判断されるからです。

例えば、どうしても離婚したくない思いが強い場合に、

  • 配偶者から直接不倫を告げられ感情的になってしまった
  • 配偶者の不倫相手に離婚を求められ感情的になってしまった

ため、つい不倫を公認してしまったケースなどがあげられます。

2-4:配偶者が不倫を公認したことを証明できない

配偶者が不倫を公認していたと主張しても、相手がそれを認めず慰謝料を請求している以上、不倫が公認であったことを証明できる証拠が必要になります。

そのため、配偶者が不倫を公認したことを立証できない場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。

また仮に、不倫が公認であったことを認める言動や誓約書等があったとしても、その態様によっては、不倫が公認であったと認められない可能性がります。

3章:不倫の公認を認めた判例と認めなかった判例

不倫の公認を認めた判例と認めなかった判例を、それぞれあげていきます。

  • 不倫の公認を認め、慰謝料請求を棄却した判例
  • 不倫の公認を認め、慰謝料減額の事由とした判例
  • 不倫の公認を認めず、慰謝料請求を認めた判例

それぞれ解説します。

※判例の解説にあたって、慰謝料請求者で不貞行為の被害者である原告を「X」、その加害者である配偶者を「A」、同じく加害者である不倫相手の被告を「Y」とします。

3-1:不倫の公認を認め、慰謝料請求を棄却した判例

■不倫の公認を認め、300万円の慰謝料請求を棄却

AとYは、AがXと結婚する前から交際を続けていて、Xは結婚当初から二人の交際を知りつつ容認していました。

Yは、XとAが経営するスナックの経営が苦しいことを知り、毎月5万円前後をAに渡しています。

しかし、Yの資金援助が難しくなると、Xは急に不貞行為や事実ではない強制わいせつ等を主張し、Yに対して法外な金銭を要求し始めました。

その後、XはYに対して、慰謝料として300万円を請求しました。

判決では、XはAとYの交際の事実を容認し金銭要求の手段として利用していたため、不倫によって婚姻関係が侵害されたとはいえないとして、Xの慰謝料請求を棄却しています。

※東京地裁平成28年10月12日判決

3-2:不倫を容認しているように見える発言を、慰謝料減額の事由とした判例

■Xの不倫に対する発言から、慰謝料を150万円に減額

XとAは、10年以上性交渉を行っていなかったが、一緒に11日間の旅行に行ったり、AからXに対して「生涯のビジネスパートナー」と手紙を送ったりするなど、婚姻関係は破綻していませんでした。

ただし、Xはお酒の場でAに対して、

  • 誰とでも性行為を行っても構わない
  • 何人でも子どもを産んでもらっても構わない

といった話をしたことがあります。

AとYとの間には肉体関係を前提とする会話もあり、Aは、Xが送った通知書によって離婚を決意し、Yとの結婚も考えていました。

その後、XはAとYに対して、連帯して5000万円の慰謝料を請求しました(ただし、実質的には、役員報酬の逸失利益が多分に含まれている。)。

判決では、Xのお酒の場での発言などからAの不貞行為を許容していたことを減額事由として、連帯して150万円の慰謝料を認めています。

※東京地裁平成30年2月22日判決

3-3:不倫の公認を認めず、慰謝料請求を認めた判例

■不倫の公認を認めず、300万円の慰謝料請求を認める

Xは結婚する際に、Aが作成した誓約書に

「結婚するにあたり、A様が浮気してもやむを得ません、騒ぎません。ここにその事を誓います。」

と署名捺印しています。

Aは、この誓約書によって不倫が容認されているとして、Yと交際し生まれた子どもも認知しています。

そのため、XはYに対して慰謝料として2000万円を請求しました。

判決によると、誓約書は結婚を望むXの弱みに付け入り作成したものであり、Xの真意を反映したものとは認められないとしています。

また誓約書の内容は、婚姻時に貞操義務の免除を認めさせるなど婚姻秩序に反し、法的効力がないだけでなく社会的良識にも外れたものであるとしています。

そのため判決では、不倫慰謝料として300万円を認めています。

「本件誓約書は、Aが婚姻を切望するXの弱みに付け入り交付させたものであり、Xの真意を反映したものとは解されず、その内容も、婚姻時にあらかじめ貞操義務の免除を認めさせるものであって、婚姻秩序の根幹に背馳し、その法的効力を首肯し得ないばかりか、社会的良識の埒外のものである。」

※東京地裁平成16年2月19日判決

4章:不倫が公認でも、慰謝料請求された場合は弁護士に相談を

不倫が公認されたものだと思っていても、慰謝料を請求された場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

配偶者が不倫の慰謝料を請求したことなどから、不倫が公認であったことを認める言動や誓約書等があったとしても、その態様によっては真意としては不倫を公認していなかったと判断される可能性があるからです。

不倫の公認は、社会的良識にも外れたものであり、配偶者の真意とは認められないことも多いため、法的効力がなく、慰謝料請求が認められるおそれがあります。

さらに、相手が弁護士を立てて慰謝料を請求された場合は、早急に対応を検討する必要があります。

そのため、相手との交渉を有利に進めるためには、不倫問題に詳しく経験豊富な弁護士に相談することが必須となります。

まとめ:不倫が公認でも慰謝料請求される可能性がある

■配偶者が真意から不倫を公認していた場合は、原則として慰謝料請求できない

■不倫が公認でも慰謝料を請求される可能性があるケース

  • 無理やり不倫を公認させた
  • 嘘をついて不倫を公認させた
  • 配偶者が感情的になって不倫を公認した
  • 配偶者が不倫を公認したことを証明できない

■不倫の公認を認めた判例と認めなかった判例

  • 不倫の公認を認め、300万円の慰謝料請求を棄却
  • 不倫の公認を認め、慰謝料を150万円に減額
  • 不倫の公認を認めず、300万円の慰謝料請求を認める

不倫が公認でも、配偶者の真意とは認められないケースも多いため、慰謝料を請求された場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

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