
あなたは、
「バイトの給料が出ない!どうしたら支払って貰えるんだろう?」
とお悩みではありませんか?
給料が出なかったら、生活費など、予定していた出費に影響して困りますよね。給料が出ない場合、
「バイト先の店長や社員に直接会って請求するのはイヤ」
「払う約束をしたのに、いつまでたっても払ってもらえない」
「どんな方法が確実なのか分からない」
などで、これからの行動方法に悩むことも多いと思います。
しかし、どのような理由があっても会社が従業員に給料を支払わないのは違法です。そのため、適切な手続きを取ることで、会社から給料を取り返すことができる可能性が高いです。
そこで、この記事では、まずは会社が給料を未払いにする意図や違法性を解説し、次に、会社から給料を取り返すための具体的な方法についてご紹介します。さらに、「バイト先をバックレた」「バイト先が倒産した」などのトラブルが発生したときのための、対処方法についても解説します。
たとえ数万円程度でも、泣き寝入りしないでください。この記事を最後まで読んで、順番に手続きをはじめていきましょう。
全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点
■バイト先に未払い給料を請求する方法
- バイト先に連絡する
- 自分で会社に直接「配達証明付き内容証明郵便」を送って請求する
- 労働基準監督署に申告する
- 弁護士に依頼する
■未払い給料を請求する上でのポイント
- 「未払い給料」を確定させる
- 「労働を行った事実」を証明する証拠を集める
■未払い給料を請求するために集めるべき証拠
- 本来の給料の金額を示す証拠
- 実際に払われた給料の金額を示す証拠
- 労働を行った事実を証明する証拠
目次
1章:アルバイトでも給料の未払いは違法!会社が給料を未払いにする意図とは
会社が従業員の給料を未払いにする理由は、会社によって様々だと思いますが、主に以下のものが考えられます。
①会社が経営不振で人件費を削って対応しようとしているため
会社が経営不振になっている場合、取引先への支払いや運転資金を優先させて、従業員に支払う人件費を削る場合があります。
本来なら従業員の給料も、契約通りに支払わなければなりません。しかし、経営が悪化し、会社のお金が少なくなると「来月には払うから!」などと言って支払いを先延ばしにする会社もあるのです。
②バイトの給料ならごまかしても問題にならないと思っているため
- すでに辞めてしまったから
- 学生や若者で法律のことに無知だから
このような理由で従業員を軽視し、給料をごまかすブラック企業も存在します。
あなたも、「支払わなくても、そのうち諦めるだろう」と思われている可能性もあります。
もちろん、どのような理由があっても、従業員に適正な金額の残業代を支払わないことは違法です。そのため、請求することで取り返せる可能性が高いです。
2章:未払い給料を取り返そう! すぐに始められる4つの選択肢
未払いの給料の請求方法には、以下の4つがあります。
- バイト先に自分で直接連絡して請求する
- 配達証明付き内容証明郵便を送って請求する
- 労働基準監督署に相談する
- 弁護士に依頼する
それぞれ手続きの流れややるべきことが異なりますので、「手続きの難易度」「手間」「給料を取り返す成功確率」の3つの点から紹介していきます。
2-1:バイト先に連絡する
未払い給料を取り返す最も簡単で手間のかからない方法は、「バイト先に連絡する」という方法です。
バイト先がチェーン展開している会社などなら、自分が勤務していた店舗や営業所ではなく、本社に直接連絡し、未払い給料を請求することをおすすめします。
なぜなら、あなたのバイト先の上司が給料を未払いにしていることを、本社は知らない可能性がある上、本社は問題になることを恐れて、あなたの上司よりも誠実な対応をしてくれる可能性があるからです。
しかし、
「そんなことはもう試した!」
という場合は、これから紹介する他の方法を試してみてください。
2-2:自分で会社に直接「配達証明付き内容証明郵便」を送って請求する
給料が未払いの場合、会社に「配達証明付き内容証明郵便」を送って給料を請求することで、給料を取り返せる可能性があります。
内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。そして、配達証明とは、配達した日付や宛名を証明してくれる郵便の制度です。
「配達証明付き内容証明」で会社に請求書を送ることで、バイト先の会社は「そんなもの届いていない」としらばっくれることができなくなります。
「配達証明付き内容証明郵便」を送って未払い給料を請求する流れは、以下の4つのステップからなります。
- 証拠を集める
- 未払い給料を計算する
- 会社に配達証明付き内容証明郵便を送る
- 自分で会社と交渉する
それでは解説します。
【①証拠を収集する】
未払いの給料を請求するために、最も重要なポイントは「未払いの給料がある」ことを証明することです。そのため、証拠集めをする必要があります。必要な証拠について、詳しくは3章で解説しています。
【②未払い給料を計算する】
①で集めた証拠をもとに、未払いの給料がどれだけあるか計算します。
弁護士に頼むと、正確に請求金額を計算してもらうことができます。
【③時効を止める】
未払いの給料を請求できるのは、3年の時効が成立するまでの間と、法律で決められています。そのため、もし時効を止めなければ、毎月の給料日が来るたびに、請求できる給料が1ヶ月分消滅してしまいます。
ただし、「配達証明付き内容証明」を会社に郵送することで時効を半年間止めることが可能です。
つまり、内容証明を送ることで、手続きや交渉を進めることができる期間が半年延びるのです。
そのためできるだけ早く、会社に対して、未払いの給料などを記載した内容証明を送ることが重要です。
内容証明のひな形を下記に示しますので参考にしてください。
私は○○年○○月○○日,貴社に入社し,○○年○○月○○日に退社した者です
私は,平成○○年○○月○○日から平成○○年○○月○○日(以下「請求期間」とします。)まで,貴社において、労働に従事いたしましたが,貴社からは,一切,給料をお支払いただいておりません。
よって,私は,貴社に対し,請求期間内の未払賃金の合計額である★円の支払を請求いたしますので,本書面到達後1週間以内に,以下の口座に振り込む方法によるお支払をお願いいたします。
○○銀行○○支店
○○預金(普通・定期などの別)
口座番号○○
口座名義人○○
なお,本書面到達後を1週間を過ぎても貴社から何らご連絡いただけない場合は,やむを得ず労働基準監督署への申告,訴訟の手段をとらせていただくことをあらかじめ申し添えます。
【④会社と交渉する】
ステップ③で内容証明を送ったところから会社との交渉がスタートします。運が良ければ、内容証明が届いた時点で支払いに応じる会社もあるかもしれません。
しかし、多くのブラック企業は、あなたになるべく給料を払いたくないため、顧問弁護士等を介して減額の交渉をしてくるでしょう。
どの金額で折り合いがつくかは、あなた次第ですが、相手は、法律のプロである弁護士なので本来もらえる額より少ない金額で妥協しなくてはならない可能性が高いです。
また、一人で交渉してもブラック企業に対してはあまり圧力とならないため、相手にしてもらえず、内容証明を送っても無視されるという可能性もあります。
そんな場合は、次に紹介する「労働基準監督署」に相談するのも一つの選択肢です。
2-3:労働基準監督署に申告する
このような流れで労働基準監督署に申告することができるのですが、この方法は「未払い給料を請求したい場合」は、あまりおすすめではありません。
そこで、未払い給料を取り返す場合には、最初から弁護士に依頼することをオススメします。
2-4:より多く取り戻すために弁護士に依頼しよう
次に、給料を請求する上で必ずやっておくべき2つのことについて解説します。
【コラム】警察に相談しても解決できる?
給料の未払いは「違法」です。それを知っている人は、「じゃあ警察に相談すればいいのかな?」と思うことがあるかもしれません。
しかし、給料の未払いは原則として民事であるため、警察は介入することができません。給料の未払いを公的な機関に相談したい、訴えたいという場合は、2章で説明したように、労働基準監督署に行きましょう。
3章:未払い給料を請求する前に必ずやるべき2つのこと
未払いの給料の請求方法について、しっかり理解することはできましたか?
- 未払い給料の金額を確定させること
- 労働していた事実を証明すること
という2つです。
これから、詳しく解説します。
3−1:「未払い給料」を確定させる
まずは「未払い給料」を確定させるために、
- もらえるはずの給料の金額
- 未払い給料が存在すること
という2つを証明する必要があります。
これらについて証明しないと、バイト先の会社から以下のように言われてしまう可能性があります。
【本来の給料の金額を示す証拠】
まずは、そもそもあなたがいくらの給料をもらう契約になっていたのかを示す証拠が必要です。そこで、以下のものなどが証拠になります。
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
【実際に払われた給料の金額を示す証拠】
次に、もらえるはずだった給料が未払いにされていることを証明する証拠が必要です。以下のものが、証拠になります。
- 給与明細
- 給与口座の取引明細(通帳)
- 源泉徴収票
「本来の給料の金額を示す証拠」と「実際に払われた給料の金額を示す証拠」を比較して、実際に払われた給料の金額が少なければ、未払いになっていることが証明できるのです。
3−2:「労働を行った事実」を証明する証拠を集める
次に、あなたが会社で労働していたという実態を示す証拠が必要です。そこで、以下のものを証拠にすることができます。
「勤怠管理している会社」と「勤怠管理をしていない会社」の、それぞれで必要な証拠を解説します。
【勤怠管理している会社で有効な証拠】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠になるものについて、会社から証拠隠滅されないように、パソコンからデータをダウンロードしたり、シフト表や日報は写真に撮ったりして、保存しておきましょう。
また、これらの証拠になるものがなくても、諦める必要はありません。
勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
証拠としては、①の本人の筆跡が確認できる「手書き」のものが、もっとも証拠として認められる可能性が高いです。③の家族へのメールなどは証拠として認められることは少ないため、できるだけ手書きで記録しましょう。
できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまわないので、できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
ただし、意図的に実際に働いた時間と異なることを書くと、それがばれてしまった時に、証拠の信用性が疑われて不利になってしまいますので、気をつけてください。そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにしましょう。
1分単位で記載することで、後で裁判官に見せた時に、「きちんと毎日正確にメモしていたんだな。後でまとめてテキトーに書いたんじゃないんだな。」と思ってもらいやすくなり、休まずに出勤していたと判断される可能性が高まります。
詳しい証拠の集め方については【保存版】知らないと損する?残業代請求する為に揃えておくべき証拠の記事を参照してみてください。
バイト先に未払い給料を請求する上でのポイントについて理解できたでしょうか?
最後に、未払い給料についてのよくある疑問とその回答を紹介します。
4章:給料が未払いになっている人にありがちな悩み
バイト先から給料を未払いにされている人の中には、
- 給料は手渡しで貰わなければいけない決まりなのかな?
- バイト先をバックレてしまったから給料をもらうことはできないのかな?
- バイト先が倒産してしまった!
- 給料が少額だから、弁護士に依頼して請求するのはムリなのかな?
などの悩みや疑問を持っていることが多いようです。
これらの疑問について、一つずつ回答していきます。
4-1:給料は手渡しでもらいに行かなければいけない?
これまでは普通に銀行の口座に給料が振り込まれていたのに、退職後に給料の手渡しを強要するのは、会社が「できれば支払いたくない」と思って使う手口です。
そのため、「会社に直接給料を取りに行く」のは正しい選択ではありません。
しかし、会社は嫌がらせをしているため、単にお願いしても振り込みにしてくれない可能性があります。その場合は、
- 配達証明付き内容証明郵便を送って振り込みを請求する
- 友達や家族と一緒に会社に出向く
- 弁護士に依頼する
などの方法を取りましょう。
4-2:バックレてしまったバイト先の給料はもらえない?
とはいえ、法律上は、バックレてしまったバイト先の給料でも、あなたにもらう権利があります。そのため、未払いの給料があるなら、2章で紹介した方法を使ってバイト先に請求しましょう。
ただし、以下のようなことが発生する可能性があります。
①損害賠償請求される
あなたが急にバイト先を辞めたことで、会社に損害が発生している可能性があります。そのような場合は、バイト先から損害賠償請求される可能性もあるので注意してください。
※ただし、労働者に対する損害賠償請求は、法律で厳しく制限されています。そのため、よっぽど悪質でない限り多額の損害賠償請求をされることは少ないです。
②制服等の実費を請求される
あなたがバイト先を急に辞めて、制服などのバイト先の備品を返却していなかった場合、その分の実費をバイト先から請求されることがあります。どうしてもバイト先に行きたくなければ、宅急便を使ってバイト先に返しましょう。
4-3:バイト先が倒産してしまった!
ただし、利用するには条件があり、未払いの給料が2万円以下の場合は利用することができません。
未払い賃金立替制度について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
「未払い賃金立替制度」
4-4:給料が少額だから請求できない?
また、少額の給料の請求には、以下の制度が使われることも多いです。
- 支払督促
- 少額訴訟
- 民事調停
これらの手続きの方法や、利用する上での注意点など、詳しくは以下の記事で解説しています。
【未払い給料の請求方法】弁護士が教えるあなたが取るべきベストな選択肢
まとめ:アルバイトの給料の未払い
いかがでしたか?
最後に、今回の内容を復習しましょう。
まず、最も大事なことは、どのような理由があっても給料が未払いにされることは違法であるということです。
バイト先に未払い給料を請求する方法には、以下の4つがあります。
- バイト先に連絡する
- 自分で会社に直接「配達証明付き内容証明郵便」を送って請求する
- 労働基準監督署に申告する
- 弁護士に依頼する
もっとも成功確率が高いのは、弁護士に依頼することです。
未払い給料を請求するためには、以下のポイントが大事です。
- 「未払い給料」を確定させる
- 「労働を行った事実」を証明する証拠を集める
集めるべき証拠としては、以下のものがあります。
【本来の給料の金額を示す証拠】
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
【実際に払われた給料の金額を示す証拠】
- 給与明細
- 給与口座の取引明細(通帳)
- 源泉徴収票
【労働を行った事実】を証明する証拠】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
未払い給料の請求には「3年」の時効がありますので、少しでも多く取り返したいならすぐにでも行動を開始しましょう。
【参考記事一覧】
会社が倒産した場合の、「未払い賃金立替制度」を利用する方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
「未払い賃金立替制度」
未払い給料を請求する流れや手続き方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。