
あなたは、以下のような疑問・悩みをお持ちではありませんか?
「うつ病を理由に休職ってできるのかな?」
「うつ病で休職する場合は、何をすれば良いんだろう?」
「うつ病で休職したいけれど、休職後のことなどに悩みがある」
うつ病になってしまうと、とても仕事などしていられなくなりますよね。そのため「休みたい」と思うことは当然です。
しかし、休職の手続きが分からなかったり、「お金のこと」「仕事のこと」など心配事があって、行動できずにいることもあるのではないでしょうか?
でも、安心してください。正しい手続きやトラブルへの対処法を知っておけば、すぐに行動をはじめて休職することができます。
そこでこの記事では、まずはうつ病を理由に休職できる場合と、うつ病で休職するメリット・デメリットについて解説します。
そして、うつ病で休職する場合の手続きの全てと、休職後にやるべきことについてもお伝えします。
しっかり読んで、次の行動のために活用してください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■休職できるかどうか調べる方法
- 就業規則を確認する
- 上司や人事部に聞いてみる
■休職のメリット
- 心身を休めることができる
- 就業規則で定められた期間内なら復職できる
■休職のデメリット
- 収入が減る
- 会社での評価に影響
■休職後にやること
- 復職手続きをする
- 退職手続きをする
- 労災認定してもらう
- 未払い残業代を請求する
目次
1章:うつ病を理由に休職できる場合とは
うつ病になってしまった場合、休職できるかどうかは「会社の就業規則次第」になります。なぜなら、休職は法律で定められた会社の義務ではないため、会社がそれぞれ与えるかどうかを決められるものだからです。
そのため、あなたが休職できるかどうかは、
- 就業規則を確認する
- 上司や人事部に聞いてみる
という方法で分かります。
就業規則に、以下のような文章があれば、申請すれば休職できる可能性があります。
【就業規則の一例】
そこで、うつ病で休職できるか、また何日まで休職できるのか、まずは就業規則もしくは人事部等に聞いて確認してみましょう。
2章:うつ病で休職するメリット・デメリット
うつ病で休職する際は、復職できるのかどうかや、休職中の収入などデメリットにばかり目が行ってしまうかもしれません。
しかし、うつ病の場合は、休職のメリットの方が大きいですので、とにかくすぐにでも休職手続きを開始して、会社を休んでしまうことをおすすめします。
そこでここでは、休職のメリットとデメリットについて解説します。
2−1:うつ病で休職するメリット
うつ病で休職するメリットには、以下の2つがあります。
【メリット】
- 心身を休めることができる
- 就業規則で定められた期間内なら復職できる
順番に解説します。
2−1−1:心身を休めることができる
うつ病で休職する最大のメリットは、仕事を完全に休んで心身を休めることができるということです。うつ病は、
- 環境要因:家族や職場での人間関係
- 性格要因:義務感、責任感が強い、完璧主義
- 遺伝的要因:生まれつきの脳神経の機能
- 慢性的な身体疾患
など、様々な原因から発症すると考えられています。
そのため、たとえあなたが、うつ病の原因は仕事ではないと考えているとしても、仕事を休んで日々の緊張感から解放されることが、快復に繋がる可能性はあるのです。
また、うつ病の治療には、
- 休養
- 精神療法
- 薬物療法
が必要と言われています。もちろん、働きながら治療することもできますが、働きながらでは、せっかく治療してもストレスで後戻りし、効率的に治すことができません。
そのため、会社を休職することで、集中的に治療することが何より大事なのです。
2−1−2:就業規則で定められた期間内なら復職できる
うつ病の場合、今の時点で「休職後」のことを考えることは、心の負担になるため、おすすめしません。とは言え、休職する以上先のことは気になりますよね。
以下の場合は、休職後に復職できる可能性が高いです。
- 就業規則で定められた期間内であること
- 休職前の業務を行うことができる状態まで快復していること
1章でお伝えしたように、休職のルールは会社ごとの就業規則によるため、あなたが復職できるかどうかは会社次第ではあります。
しかし、就業規則で休職の期間が定められている場合は、その期間内に快復した場合は、復職できると考えて良いでしょう。
なぜなら、復職ができないなら、それは解雇を延長しているだけに過ぎないからです。
あなたが上記の条件を満たしているのに、会社が復職を拒否することは、過去の判例から「無効」になる可能性が高いです。
2−2:うつ病で休職するデメリット
次に、うつ病で休職する場合に「デメリット」として捉えられがちなことを紹介します。
【デメリット】
- 収入が減る
- 会社での評価に影響
それでは順番に解説します。
2−2−1:収入が減る
うつ病で休職する場合、一番のデメリットは「収入が減ること」です。休職中は原則として給与・賞与が出ません。なぜなら、休職はあくまで社員が自分の都合で休むものとされるためです。
ただし、以下に紹介する公的な制度を使うことで、収入の減少をカバーすることができます。
①傷病手当金
傷病手当金とは、会社とは関係のない業務外のケガや病気で会社を休み、給料をもらえないときに健康保険から支給されるお金のことを言います。
《もらえる条件》
傷病手当金をもらうためには、以下の2つの条件をクリアする必要があります。
A.会社とは関係のない病気やケガで療養中であること
療養とは、病気やケガの治療をしていることを言います。入院していなくても、医師の指示があれば、自宅療養でも構いません。
なお、会社の業務と関係ある病気やケガの場合は、労働災害保険の対象になります。
B.業務外の病気やケガのため、仕事に就けないこと
「私は仕事をすることができません」という医師による証明書(労務不能の証明書)が必要です。医師の診断を受ける際にもらうようにしましょう。
②休業補償給付
休業補償給付とは、仕事中または通勤途中に原因があるケガや病気で会社を休んだ場合にもらえるお金のことです。
《もらえる条件》
A.仕事中または通勤途中に原因がある病気やケガで療養中であること
→例えば、以下のようなものが該当します。
- 足場から転落して骨折した
- 過労によってうつ病になった
- 残業が続き睡眠不足となり、心筋梗塞を起こした
- 介護の仕事で腰を痛めた
- アスベストによって肺がんになった
B.私的な病気やケガのため、仕事に就けないこと
申請書に医師の証明欄があります。診察の際、申請書を持っていきましょう。
C.原則として4日以上休んでいること
休業補償給付は、4日目の休みから支給されます。はじめの3日間は待期期間と呼ばれ、傷病手当を受けることができません。また、この3日間は連続している必要があります。
2−2−2:会社での評価に影響
うつ病で休職する場合、「会社での評価に影響するかも」ということが心配になるかもしれません。
確かに、休職すればその分会社での実績は少なくなりますし、ブランクができてしまします。そのため、会社での評価に影響し、昇進スピードが遅くなったり、賞与が少なくなったりする可能性はあります。
しかし、もしあなたが休職せずに働き続けたら、
- 普通ならあり得ないミスをしてしまう
- 遅刻、欠席が多くなる
- コミュニケーションがうまくできず、社内外での人間関係に影響
- 負担に耐えられなくなって重い健康障害を発症してしまう
などになりかねません。
このようなことになれば、むしろ休職する場合よりも、会社での評価には悪影響です。そのため、評価を気にするより、自分の健康を第一に考えて、休職することをおすすめします。
3章:うつ病で休職するためにやるべき全手順
うつ病で休職する場合の流れは、以下のようになっています。
それぞれの手続きについて順番に解説します。
①医師の診断書をもらう
休職をする際には、医師の診断書を会社に提出することが必要です。診断を受けるときに、どのような症状があるのかとともに「これ以上仕事を続けられない」ということをはっきり伝えましょう。
②上司に相談する
診断書を持って、上司に相談しに行きましょう。その際、
- 自分の症状
- どのくらい休みたいか
- 有給休暇を使うのか、休職制度を使うのか
について必ず話すようにしてください
③産業医の診断を受ける
会社によっては、休職のための産業医の診断が必要な場合があります。このときも主治医の診断書を持っていくとスムーズです。
④人事部と面談する
会社によっては、上司だけでなく、人事部との面談が必要なことがあります。また、上司が原因で休職したい場合には、はじめから人事部に相談した方が良いケースもあります。
⑤傷病手当の申請
2章で解説したように、休職中は健康保険の制度の、傷病手当金を受給することで、生活費を賄うことができます。
詳しい条件や申請の方法等について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
休職とは?休職中のお金の話から申請方法~復職・退職まで徹底解説!
4章:うつ病で休職した後にやること
今の時点で休職した後のことまで決めておく必要はありませんが、先のことも気になりますよね。
休職した後の選択肢としては、
- 元の会社に復職する
- 会社を退職する
という2つがあります。また、退職する場合は未払い残業代を請求することもできますので、これからこの3つのことについて解説します。
4−1:復職手続きをする
休職後に復職を望む場合、あなたは会社に「自分が快復したこと」「再び働けること」を示さなければなりません。
そのために、
- 医師の診断書を提出する
- 産業医による復職の可否の判断を受ける
- 会社から復職の可否の判断を受ける
という必要があります。
会社員の中には、復職後に再び休職するケースもあるため、会社は復職の判断に慎重であることが多いです。
無理に復職できる状態を装っても、あなたのためにはなりませんし、会社にもばれてしまいます。そのため、復職は本当に健康になってからにしましょう。
会社によって復職手続きは異なりますので、詳しくはある程度快復してから、人事部等に問い合わせてみましょう。
4−2:退職手続きをする
休職しても、
- 休職できる期間内に快復できない
- 仕事に戻る気になれない
ということもあると思います。その場合は、そのまま退職手続きを行いましょう。
退職は、正しい手続きを取れば会社が拒否することはできませんので、あなたは退職届の提出から、最短2週間で退職することが可能です。
退職手続きについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
最短2週間で退職可!労働基準法・民法上のルールと退職手続きの流れ
4−3:労災認定してもらう
うつ病を理由に退職した場合、労働災害保険で休業補償給付を受けられる可能性もあります。
うつ病の原因が、
- 100時間を超えるような異常な長時間残業が続いている
- 職場での厳しいノルマや責任
- いじめ、パワハラ、セクハラ
などの場合は、労災認定されやすくなるからです。
詳しい条件は手続きの方法については、以下の記事で解説しています。
労働災害とは?保険が貰えるケース・申請方法・トラブル解決法まとめ
4−4:未払い残業代を請求する
会社を退職する場合、会社に未払い残業代を請求することも可能です。
たとえばあなたが、
- サービス残業をしていた
- みなし残業代制や歩合給制、年俸制、管理職などを理由に残業代が出ていなかった
などの場合は、未払い残業代が発生しています。
未払い残業代の金額は、以下の例のように、あなたが思っているより高額になることが多いです。
(例)
- 基本給20万円
- 月の残業100時間
- 一月平均所定労働時間170時間
※一月平均所定労働時間とは、病院によって定められた1ヶ月の平均労働時間のことで、170時間前後であることが一般的です。
以上の条件で計算してみると、
(20万円÷170時間)×1.25倍×100時間=14万7000円
と、1ヶ月分の残業代だけでも高額になります。
さらに、残業代は3年分までさかのぼって請求することもできますので、
14万7000円×36ヶ月=529万2000円
と、請求できる金額は300万円を超えるのです。
未払い残業代の詳しい請求方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【在職中でも退職後でもOK】残業代を請求するための完全マニュアル
まとめ
いかがでしたか?
最後にもう一度、今回の内容を振り返ります。
【休職できるかどうか調べる方法】
- 就業規則を確認する
- 上司や人事部に聞いてみる
【休職のメリット】
- 心身を休めることができる
- 就業規則で定められた期間内なら復職できる
【休職のデメリット】
- 収入が減る
- 会社での評価に影響
【休職後にやること】
- 復職手続きをする
- 退職手続きをする
- 労災認定してもらう
- 未払い残業代を請求する
あなたの健康のために、今すぐにでも行動をはじめてしっかり心身を休めましょう。
【参考記事一覧】
休職について詳しくは以下の記事をご覧ください。
休職とは?休職中のお金の話から申請方法~復職・退職まで徹底解説!
退職する場合は、以下の記事で手続きについて詳しく解説しています。
最短2週間で退職可!労働基準法・民法上のルールと退職手続きの流れ
労働災害(労災)を申請する場合は、以下の記事で条件や方法を解説していますので、参考にしてください。
労働災害とは?保険が貰えるケース・申請方法・トラブル解決法まとめ
未払い残業代を会社に請求する方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。