家事分担で悩んでいる妻へ|夫が家事をしない場合の離婚と注意点


この記事を読んで理解できること
- 家事をしない夫と離婚できる2つのケース
- 家事をしない夫との離婚が難しいケース
- 家事をしない夫との離婚の注意点
あなたは、
- 家事をしない夫と離婚できるか知りたい
- 家事をしない夫と離婚する方法は?
- 家事をしない夫と離婚して慰謝料は請求できる?
などとお考えではありませんか?
結論から言うと、夫に「家事をしない」という理由だけで離婚を求めても、相手の合意が得られない場合は、離婚できないケースが多いです。
夫の不倫(不貞行為)やDV(暴力)など、他に裁判で離婚が認められる理由(法定離婚事由)がない場合は、離婚訴訟を申し立てても離婚が認められない可能性が高いからです。
また、離婚する際に慰謝料請求が認められるのは、夫の不倫(不貞行為)やDV(暴力)などの不法行為が離婚の原因であり、それによって損害が生じた場合になります。
そのため、夫が家事をしないといった理由による慰謝料請求は、認められない可能性が高いです。
この記事では、
1章では、家事をしない夫と離婚できる2つのケース
2章では、家事をしない夫との離婚が難しいケース
3章では、家事をしない夫との離婚の注意点
について解説します。
この記事の内容をしっかり理解して、家事をしない夫と上手に離婚できるように、これからの行動に役立てて下さい。
目次
1章:家事をしない夫と離婚できる2つのケース
家事をしない夫と離婚できるケースとしては、次の2つがあげられます。
- 夫婦の話し合いや離婚調停で夫が合意した
- 他にも離婚が認められる理由がある
それぞれ解説します。
1-1:夫婦の話し合いや離婚調停で夫が合意した
夫婦の話し合いや離婚調停で夫が離婚に合意した場合は、家事をしないといった理由であっても離婚できます。
協議離婚では、夫婦間で離婚することと、離婚条件(慰謝料、財産分与、親権など)に合意したうえで、離婚届を提出することで離婚が成立します。
また離婚調停では、家庭裁判所で調停委員を介して話し合いを行いますが、離婚や離婚条件について意見を調整し双方の合意が得られれば離婚が成立します。
1-2:他にも離婚が認められる理由がある
夫が家事をしないという理由だけでなく、他にも夫の不倫(不貞行為)やDV(暴力)など離婚が認められる理由(法定離婚事由)がある場合は、離婚できる可能性があります。
法定離婚事由としては、次の5つになります。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
(民法第770条1項)
例えば配偶者が、
- 不倫・浮気をした
- 十分な収入があるにも関わらず、妻に生活費を渡さず家庭を省みない
- DV(暴力)、継続した侮辱的発言などのモラハラがある
などの場合があげられます。
家庭裁判所に離婚訴訟を申し立て、これらの法定離婚事由が認められた場合は、離婚を認める判決が下されることで離婚が成立します。
2章:家事をしない夫との離婚が難しいケース
家事をしない夫との離婚が難しいケースは、次の2つです。
- 調停で合意できず離婚訴訟の場合
- 専業主婦は共働きより離婚が認められにくい
それぞれ解説します。
2-1:調停で合意できず離婚訴訟の場合
離婚調停で合意できない場合は、離婚訴訟を起こせますが、夫が家事をしないという理由だけでは離婚することは難しいです。
■理由-1
先にあげたように、裁判で離婚が認められるためには、法定離婚事由が必要だからです。
家事をしない夫の行動が、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたると主張できますが、裁判官に
「婚姻関係を継続することができず、夫婦関係の改善も望めない」
と判断されることは大変難しいといえます。
■理由-2
実際に夫が家事をしないという問題だけであれば、今後の話し合いによって家事の分担に夫が応じる可能性もあります。
また、夫婦のどちらかだけが家事をしていても、夫婦関係が円満で婚姻関係を継続しているケースも多いからです。
■但し
他の事情と合わせて主張することで、法定離婚事由にあたると判断され離婚できる可能性もあります。
具体的な事例としては、次のようなケースが挙げられます。
「家事は妻の仕事」といった固定観念から、妻に対して精神的な虐待を繰り返している
このような行為が継続的に行われていて、夫婦関係の修復が困難な場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると判断される可能性があります。
2-2:専業主婦は共働きより離婚が認められにくい
専業主婦は共働き夫婦の場合より、夫が家事をしないということだけでは離婚が認められにくいといえます。
専業主婦の場合は、夫は仕事に専念するため家事は妻が受け持つという、夫婦間の合意がすでに得られていると考えられるからです。
また、夫が家事を全くしないことに不満があるとしても、今後の話し合いによって家事の分担に夫が応じる可能性もあると判断されるでしょう。
3章:家事をしない夫との離婚の注意点
家事をしない夫との離婚の注意点は、次の3つです。
- 自分の主張を裏付ける証拠が必要
- 家事をしないだけでは慰謝料請求は難しい
- 共働きの場合は財産分与の割合が増える可能性がある
それぞれ解説します。
3-1:自分の主張を裏付ける証拠が必要
夫が家事をしないだけでなく、不倫(不貞行為)やDV(暴力)などの離婚原因がある場合は、夫の不法行為を立証する証拠あれば離婚が認められる可能性が高いです。
また先に解説したように、夫が家事をしないという理由だけでは離婚することは難しいため、夫の行動が、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたると主張する場合は、立証するための証拠が必要です。
例えば、
- 夫に家事や育児の協力を求めても、怒鳴られたり叱責されたりする音声や動画
- 夫が全く家事をせずゴミを散らかしたままの自室の画像や動画
などがあげられますが、これだけでも難しいでしょう。
あなたがいくら月日をかけて注意しても、夫が改善しなかったというような、「これ以上いくら話し合ったり注意しても、全く改善の兆しが無い」ということまで言うことができれば、可能性はあるでしょう。
3-2:家事をしないだけでは慰謝料請求は難しい
夫が家事をしないという理由だけでは、慰謝料請求は難しいでしょう。
離婚する際の慰謝料請求は、離婚の原因を作った相手に対して、精神的苦痛を補償するため求めるお金です。
例えば、相手の不倫(不貞行為)やDV(暴力)、モラハラなどがあげられます。
そのため、夫が家事をしなかったことによって、妻が精神的苦痛を受けたと立証できる証拠が無ければ慰謝料請求は認められない可能性が高いです。
3-3:共働きの場合は財産分与の割合が増える可能性がある
まず、財産分与の割合については、夫がプロ野球選手であるなど、よほどの特段の事情が無い限り、2分の1ずつと判断される傾向にあります。
もっとも、共働きで、かつ、夫が長年にわたって、まったく家事をしてこなかったことが立証された場合は、財産分与の割合が増える可能性があります。
例えば、妻の収入が夫より多い一方で、夫だけがまったく家事をしない場合は、財産形成に関する妻の貢献度が高いと判断される余地があるからです。
逆に、妻の方の収入が少ないからといって、それだけで、財産分与の割合が2分の1ずつから変わるということもまずありません。
収入が少ない妻の方が家事や育児をこなして家庭をサポートしていることで、夫婦の財産形成に貢献していると考えられるからです。
まとめ:家事をしない夫と離婚できるケース
■家事をしない夫と離婚できるケース
- 夫婦の話し合いや離婚調停で夫が合意した場合
- 夫の不倫やDVなど他にも離婚が認められる理由がある場合
■離婚訴訟をでは、夫が家事をしないという理由だけでは離婚することは難しい
■家事をしない夫との離婚の注意点
- 自分の主張を裏付ける証拠が必要
- 家事をしないだけでは慰謝料請求は難しい
- 共働きの場合は財産分与の割合が増える可能性がある
家事をしない夫との離婚は、夫の合意が得られない場合、難しいケースが多いです。
家事をしない夫との離婚問題を解決したい場合は、この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。