
あなたは看護師の仕事をしてきて、
などの様々な理由から「看護師の仕事を辞めたい」と思っていませんか?
看護師の仕事は精神的にも肉体的にも辛いため、辞めたいと思う瞬間は多いですよね。
仕事をしたくないと思いながら、毎日体を引きずって職場に向かっているという人もいるのではないでしょうか?
しかし、仕事を辞めるというのは大きな決断ですので、簡単に決められることではありません。
一度立ち止まって、自分は本当に辞めるべきなのかどうか、辞める前にできることはないのか、よく考えてみることが大事です。
私はこれまで、弁護士として労働問題を多く扱ってきたのですが、看護師からの職場の悩みも多く聞いてきました。
そこでこの記事では、私の経験から、看護師を辞めるべき人、辞めるべきではない人の特徴や、「辞めたい」と思っている人にありがちな悩みについて紹介します。
さらに、看護師を辞める前にできることや、辞める場合のスムーズな退職方法について解説します。
この記事で、あなたの悩みを解決する手助けができればと思います。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■看護師を辞めるべき人の特徴
- 業務によるストレスで、何らかの健康障害を発症している
- 病院がブラックで残業代、深夜手当、休日手当などが出ない
- 看護業務自体がとても辛く、向いていないと感じている
- 夜勤が辛く体力が続かない
■看護師を辞めるべきではない人の特徴
- 職場でいじめ・嫌がらせ・パワハラにあっている
- 1年目、2年目などまだ経験が浅い
- 自分のミスで医療事故を起こすことが怖い
■看護師の退職時にありがちな悩みと対処方法
- 奨学金を理由に辞められない
→奨学金を理由に、病院は退職を拒否することはできないため、分割払いや転職先からの立て替えなどを使い、退職できる - 退職するなら違約金を請求すると言われる
→病院は看護師に違約金を予定する契約を締結することはできないため、退職可能 - 退職を拒否される
→退職を拒否されても、正しい手続きをとることで退職することが可能 - 周囲から辞めることを強く反対される
→耐えられないほどのストレスがあることや、いつか再就職することも可能であることを伝えて辞める
目次
1章:もう看護師を辞めるべき?辞めるべき人とそうでない人の特徴
看護師として働いていると、周りでも「辞めたい」という声を聞くことは多いのではないでしょうか?
とは言っても、実際に辞める人は一部ですし、辞めたい辞めたいと言いながら続ける人もいますよね。
そこでまずは、看護師として働いている人の中で、
- 本当に辞めるべき人
- まだ辞めるべきではない人
のそれぞれの特徴を紹介します。
あなたもどちらの特徴に当てはまるか、読んでチェックしてみてください。
1-1:看護師を辞めるべき人の特徴
看護師という仕事を辞めるべき人の特徴は、以下のものです。
- 業務によるストレスで、何らかの健康障害を発症している
- 病院がブラックで残業代、深夜手当、休日手当などが出ない
- 何年続けても看護業務自体がとても辛く、向いていないと感じている
- 夜勤が辛く体力が続かない
- 職場でいじめ・嫌がらせ・パワハラにあっている
それぞれ解説します。
1-1-1:業務によるストレスで、何らかの健康障害を発症している
もしあなたが、あまりにも仕事でのストレスが大きく、慢性的な体調不良や不眠、うつ状態、適応障害、過食などの摂食障害などを発症している場合、あなたは病院を退職すべきです。
なぜなら、それほどのストレスをそれ以上蓄積すると、もっと大きな疾患を抱えてしまう可能性があるからです。
ストレスの原因が仕事にあるなら、仕事を辞めない限りストレスの蓄積が続くでしょう。
多少のストレスには、耐えて克服していくことも必要ですが、それが健康に影響するほどなら話は別です。
看護師という仕事自体にストレスの原因があるなら、看護師からの退職を考えるべきですし、職場に原因があるなら、現在の職場からの異動や転職を考えるべきでしょう。
1-1-2:病院がブラックで残業代、深夜手当、休日手当などが出ない
看護師は業界柄、
- 残業しても残業代が出ないor少ない
- 深夜手当や休日手当が全額でない
などのことが起こりやすいです。
それは、
- 患者からのコールや急患などで、残業が増えやすい
- 看護以外にも、看護記録の作成などの業務が大量にある
- 就業時間外に、研修や勉強会などが頻繁にある
などの理由で長時間の残業が発生する一方で、
「新人は残業がつけられない」
「残業になるのは1日○時間まで」
「許可を取っていなければ、残業にならない」
などと言い、サービス残業を当たり前だと考える人が多いからです。
しかし、看護師ももちろん労働基準法の対象ですので、残業の事実があるのに残業代が出なければ違法です。
もし今の病院で、長時間のサービス残業があるようなら、看護師を辞めるか、他のホワイトな病院を探して転職することをおすすめします。
看護師の残業代のルールや、出ない場合の対処法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【弁護士が解説】看護師でも過去3年間の残業代が取り返せる方法とは?
1-1-3:看護業務自体がとても辛く、何年経っても向いていないと感じている
あなたが、
- 看護師として患者の世話をすること自体が辛い
- 患者や患者の家族と向き合い、コミュニケーションをとることが、何年たってもストレス
というように、看護業務そのものに強い辛さを感じている場合、あなたは看護師を辞めるべきです。
なぜなら、看護師という仕事についている限り、看護業務を避けて通ることはできないからです。
まだ1年目や2年目の新人なら別ですが、何年も看護師をしていて、看護業務そのものが克服できないほど苦手なら、早いうちに他の仕事に転職した方が良いかも知れません。
1-1-4:夜勤が辛く体力が続かない
看護師という仕事上、「夜勤」は避けては通れないものだと思います。
しかし、いざ看護師になって、何ヶ月も夜勤のある生活が続くようになると、
「生活リズムが乱れ、疲れが取れない」
「夜勤があると体力が続かない」
という人も多いのではないでしょうか。
特に「二交代制」の病院だと、日勤か夜勤かによって生活リズムが正反対になる上、一度の勤務時間が長いため、続けることが辛い人もいるでしょう。
夜勤には、次第に体が慣れてくる人もいるかもしれませんが、どうしても慣れることができない人もいるはずです。
体質的に夜勤が無理なら、看護師は向いていないのかも知れません。
そのため、看護師を辞めることも、一つの選択肢として考えるべきでしょう。
しかし、診療所・クリニックや介護施設など、基本的に夜勤のない看護師の仕事も存在します。
そのため、可能ならそのような職場への転職も検討してみてはいかがでしょうか。
1-1−5:職場でいじめ・嫌がらせ・パワハラにあっている
あなたが
- 上司から業務上の指導を超えるような暴言を言われる
- 同僚などが見ている前で侮辱される
- 無視されたり、人間関係から故意に外される
などのいじめや嫌がらせ、パワハラを受けている場合、あなたは今の職場を辞めるべきです。
なぜなら、一度出来上がってしまった人間関係を再構築することは難しいですし、いじめられている中で、あなたが自力で現状を変えることは、とても心理的負担の大きな行為だからです。
ただし、あなたによっぽど大きな原因がない限り、別の職場で新しい人間関係を構築すれば、いじめられることはなくなると思われます。
そのため、看護師そのものを辞めてしまうのではなく、まずは院内での異動、もしくは他の病院への転職をおすすめします。
1-2:看護師を辞めるべきでない人の特徴
では、次に看護師を辞めるべきではない人の特徴を紹介します。看護師を辞めるべきではない人の特徴は、以下のものです。
- 1年目、2年目などまだ経験が浅い
- 自分のミスで医療事故を起こすことが怖い
それぞれ解説します。
1-2-1:1年目、2年目などまだ経験が浅い
あなたがもし1年目や2年目の新人看護師なら、まだ辞める決断をするのは早いかもしれません。
看護師の仕事に限りませんが、ほとんどの仕事は、新人のうちほど覚えるのが大変ですし、周囲の先輩や上司の目も厳しくなりがちだからです。
特に、看護師の現場は患者の容体が最優先されるため、小さなミスでもきつく叱責されることも多いでしょう。
しかし、そこで諦めてしまえば、他の仕事でも続けることは難しいと思います。
仕事のストレスで心身の健康に悪影響が出ているなどの理由でないなら、すぐに辞めようとは考えず、2章以降でお伝えする行動を試してみてください。
1-2-2:自分のミスで医療事故を起こすことが怖い
看護師は、患者の命にかかわる大きな責任を抱える仕事で、それは新人のうちから変わらないと思います。
そのため、あなたも、
「重大なミスで患者さんに何かあったらどうしよう」
「医療事故を起こして、先輩、上司や病院に迷惑をかけるのが怖い」
「小さなミスを無くすことができず、このまま看護師を続けられるか不安」
などと思うことがあるのではないでしょうか?
しかし、おそらくその心配は、どの看護師も抱えているものだと思います。
小さなミスは、仕事に慣れていく中で解決していくことが可能ですし、あなたがまだ新人なら先輩がカバーしてくれるはずです。
むしろ、「自分はミスは犯さない」と思っている方が問題ですので、よっぽど医療事故への恐怖が負担になっているのでなければ、看護師を辞める必要なないのではないでしょうか。
それでも辞めたいと感じるなら、2章以降で解説する方法を試してからでも、遅くはありません。
自分も当てはまるものがありました。でも、いろいろ悩みがあって簡単には辞められません。
簡単には決断できませんよね。
そこで、これから、看護師を辞めたいと考えている人が抱えがちな悩みについて紹介します。
2章:看護師を辞めたい人が抱えがちな悩みと対処方法
私のこれまでの経験上、看護師を「辞めたい」と思っている人には、以下の悩みが多いようです。
- 奨学金を理由に辞められない
- 退職するなら違約金を請求すると言われる
- 退職を拒否される
- 家族や上司・同僚から、辞める事を強く反対される
2-1:奨学金を理由に辞められない
看護師に多いのが、
「病院に勤めながら看護師資格を取得したため、資格取得後もその病院で働き続けなければならない」
「○年以内に辞めるなら、奨学金を返還しろと言われた」
という「お礼奉公」の契約です。
あなたが、病院との間でこのような契約をしている場合、あなたは「奨学金があるから辞められない」と思っているかもしれません。
しかし、実は奨学金があり、退職時に返済を要求されても、全額の返還は必要ないケースもあります。
労働基準法では、会社や労働者の就労を強制するような「経済的な足止め」を行うことを禁じています。
(労働基準法16条)
そのため、病院は、奨学金の返済を理由に、退職を拒否することはできないのです。
実際、過去にも以下のような裁判がありました。
このケースでは、看護学校入学時に修学資金の貸与を病院から受けていた看護学生が、看護学校を退学したために、病院から修学資金の返済請求を受けました。
病院との契約では、学校卒業後に、3年以上その病院で働いた場合は修学資金の返還を免除するが、退学した場合などは、全額返還が必要と決められていました。
しかし、裁判では、修学資金の貸与を理由に、学生の就労や退職を制限することは認められないと判断され、病院の請求は棄却されました。
(和幸会事件:2002年11月11日)
もし奨学金を返済しなければならなくても、分割支払いにしてもらうことや、転職先の病院に立て替えてもらう、という手段もあります。
奨学金があるからといって、辞めることを諦める必要はありません。
2-2:退職するなら違約金を請求すると言われる
退職する?君に辞められたら、その分の仕事は誰がするんだ。
どうしても辞めるなら違約金を払ってもらうよ。
一部のブラックな病院では、退職を足止めするために「違約金を支払ってもらう」「損害賠償請求する」などと言われる可能性があります。
しかし、そもそも雇用契約に盛り込まれていない理由で、病院は看護師に損害賠償請求することはできません。
また、そもそも看護師の都合で退職することに対して、違約金や損害賠償を求める契約を締結することは、法律上禁止されています。
そのため、このような場合、正しい退職手続きを踏むことで、退職することは可能です。
退職手続きの流れについて、4章で詳しく解説します。
2-3:退職を拒否される
病院から、他の理由で退職することを拒否された場合でも、あなたには「病院を辞める権利」があります。
そのため、病院に対して、2週間以上前に退職の意思表示をすることで、法律上あなたは退職することが可能です。
退職の意思表示は、証拠を残しておく必要があるため、
- 直属の上司や人事課へメールを送る
- 退職届を「配達証明付き内容証明郵便」で病院に送る
などの方法で行いましょう。
これらの方法で証拠を残しておくことで、後から、病院から「退職することなんて聞いていない」などと言われても、意思表示したことを証明できるのです。
退職の1ヶ月前、ないしは最低でも2週間前までに「退職届」を内容証明で送っていれば、病院から退職を拒否されていても、あなたは退職届に書いた日程に退職することが可能です。
配達証明付き内容証明郵便を送る方法については、
詳しくは以下の記事をご覧ください。
残業代を内容証明で請求!自分で出す方法と適切なタイミングを徹底解説
2−4:家族や上司・同僚から、辞める事を強く反対される
看護師は、看護師になるまでに、
- 学生時代に、学費、実習費、教科書代など高い費用がかかる
- 学生時代から忙しく、家族からの援助に頼ることが多い
という特徴があります。
そのため、あなたが仕事が辛くて「辞めたい」と思い、そのことを周囲の人に伝えても、
「これまで頑張ったんだから、もう少し頑張りなさい」
「看護師になるまでに、どれだけお金がかかったとおもっているの」
などと言われて、辞めることを強く反対されることも多いようです。
確かに、せっかく看護師になるまで努力したのですから、簡単に辞めるべきではありません。
しかし、あなたが本当に強いストレスを感じているならば、そのまま仕事を続ければ、重い精神疾患などを発症してしまう可能性もあります。
そうなれば、完治するまで就業不能になるかもしれず、あなたの人生に大きな影響が出てしまいます。
看護師という資格を持っていれば、別の仕事に転職しても、またいつか看護師に再就職することも可能です。
そのため、周囲から強い反対を受けても、どうしても辞めたいなら、「耐えられないほどのストレスがあること」「いつか看護師に戻ることもできること」を伝えて、辞めることをおすすめします。
私の悩みも、解決方法があることが分かって良かったです。でも、もう少し考える時間も欲しいなあ・・・
まだ悩んでいるなら、辞める前にこれから紹介することをやってみてはいかがでしょうか?
3章:看護師を辞める前に試せる4つのこと
もしあなたが「すぐにでも辞めたい」と思っているとしても、もう一度、本当に辞めるべきかどうか検討する機会を作ってみるという選択肢もあります。
退職の再検討をおすすめするのは、看護師という仕事は、
- 女性の平均年収と比べて高給
- 専門職であり、他の仕事とは必要になるスキルや経験が大きく異なるため、転職しにくい
などの理由で、他の仕事に比べても辞めてしまうデメリットが大きいからです。
そこで、たとえば、
- 有給休暇を取得して心身を休める
- 休職する
- 友人などに相談してみる
- 辞めたい理由を自己分析する
などのことを試してみてはいかがでしょうか?
上記のことを通して、自分の状況や考えを整理し、客観的に考えてみましょう。
それでも、辞めるのがベストな選択肢だと思う場合は、これから紹介する方法で、円滑・穏便に病院を辞めましょう。
4章:どうしても辞めたい場合の円滑・確実に辞める方法
あなたが今の仕事を辞めたいと思っている場合、「看護師という仕事そのものを辞める」場合と、「看護師として他の病院に転職する」場合があると思います。
しかし、どちらの場合でも円滑かつ確実に退職する流れは同じです。
そこで、これから退職の流れを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
病院を辞める流れは以下のようになっています。
退職の流れについて、順番に解説していきます。
4-1:退職意思を伝える
まずは、できるだけ1ヶ月以上前に退職の意思を伝えることが必要です。
そのため、できれば1ヶ月前、最悪の場合でも2週間前には、看護師長などの上司に話しておきましょう。
ただし、多くの病院では人手不足で、引き継ぎの時間も考えると1ヶ月では短い可能性が高いです。
病院からの「○月まで待って欲しい」という要求を鵜呑みにする必要はありませんが、できれば1ヶ月以上前に伝えておくことをおすすめします。
【退職意思を伝えるときのポイント】
退職の意思を伝えると、まず引き止められる可能性があります。そのため、以下のポイントを覚えておいてください。
- 上司と2人で話す場を設ける
- 話を中断されないために、忙しくない時間帯を選ぶ
- 「辞めたいと思っている」などではなく、はっきり「辞めます」と伝える
- 「仕事がきついから」などネガティブな理由ではなく、ウソでも「やりたいことが見つかった」などポジティブな理由を伝える
【退職届を書く】
「退職届」とは、病院に対して一方的に「退職します」と宣言するものです。
一方で、「退職願」とは、社員が会社に「退職させてください」と願い出るものです。
そのため、退職願が受理されず、辞めることができなかったときは「退職届」を書いて、病院に渡す(送る)必要があります。
退職届には、詳しい退職の事情などを書く必要はありません。
会社によってフォーマットが用意されていることもありますが、なければ以下のものを参考にしてください。
退職届
私事、
一身上の都合により、来る平成○○年○月○日をもって退職致します。
平成○○年○月○日
○○事業部○課 退職太郎 印
医療法人○○会 〇〇病院 理事長○○殿
4-2:引き継ぎ・挨拶回り・退職時期などの交渉
退職届を提出したら、
- 具体的な退職時期の決定
- 有給休暇消化の時期
- 引き継ぎの計画
などを、上司との間で決めて、計画的に行動していきましょう。
また、引き継ぎの業務などと並行して、これまでにお世話になった院内の人や患者に、挨拶回りをしましょう。
4-3:すぐに転職しない場合は失業保険申請、社会保険・年金手続き
すぐに次の病院や会社への入社が決まっている場合、退職後にやるべきことは必要書類を転職先に提出するだけです。
しかし、まだ転職先が決まっていないなどの場合は、失業保険を受給できる可能性がありますので、まずはその手続きを行いましょう。
【失業保険の手続きを行う】
失業保険は、
- 退職前に2年以上雇用保険に加入していた
- 積極的に求職活動をしている
- 転職先が決まっていない
などの条件に当てはまる場合、受給することができます。
失業保険の受給について詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
失業保険とは?貰える金額から手続きの方法、受給資格などを徹底解説
【健康保険の変更手続きを行う】
次の病院・会社に入るまでブランクがある場合は、健康保険を変更する手続きが必要になります。
その選択肢としては、図の通り、
- 家族の扶養に入る
- 退職した病院の健康保険を「任意継続」する
- 自治体の窓口に行って「国民健康保険」への加入に変更する
の3つがあります。
なんか面倒くさそうだから、再就職するまでは加入しなくて良いかな。
国民健康保険に入らなければ、再就職するまでの間に病気や怪我をした場合、病院でかかった医療費を「全額」自分で支払わなければなりません。
加入していれば3割しか負担しなくていいため、必ず役所に行き加入するようにしましょう。
知らなかった!でも、失業中に保険料を払うのは苦しいです。
あなたに失業保険の受給資格があれば、国民健康保険の保険料の免除申請ができます。
失業保険の受給期間中は、健康保険の保険料を大幅に減らすことができるのです。
【年金の加入手続きを行う】
次の病院・会社に入社するまでにブランクがある場合は、年金も変更の手続きを行う必要があります。
手続きとは、看護師の種別である「第2号被保険者」から、「第1号被保険者」に種別を変更する手続き(種別変更)を行うものです。
なんのために行う必要があるのかな?
種別変更の手続きを行わないと、次の病院・会社に入社するまでの間に「年金の未納期間」が発生し、将来受給できる年金額が減ってしまうのです。
そのため、退職後は14日以内に、自治体の年金窓口で種別変更の手続きを行いましょう。
退職する場合にやるべきことについて理解することができたでしょうか?
最後に、退職時に、これまでの未払いの残業代や深夜手当を請求し、取り返す方法についてお伝えします。
5章:退職時に残業代を請求してお金が取り返せることもある
最後にもう一つ、お伝えしたいことがあります。それは、病院を退職する場合、未払いの残業代や深夜手当、休日手当等を請求することもできるということです。
(例)
- 基本給25万円
- 一月平均所定労働時間170時間
※一月平均所定労働時間とは、病院によって定められた1ヶ月の平均労働時間のことで、170時間前後であることが一般的です。
月の残業の合計:80時間
月の深夜労働の合計:28時間
上記の場合は、
- 1ヶ月の残業代
(25万円÷170時間)×1.25倍×80時間=14万7000円 - 1ヶ月の深夜手当
(25万円÷170時間)×1.25倍×28時間=5万1450円
と計算でき、合計金額は19万8450円にもなります。
残業代や深夜手当は、3年分までさかのぼって請求できるため、
19万8450円×24ヶ月=714万4200円
と高額になります。
看護師の場合は、前残業や研修、勉強会の時間、仮眠時間など、「実は残業時間としてカウントできる」可能性が高い時間が数多くあります。
そのため、他の職種よりも残業代が高額になる可能性が高いです。
看護師の残業代のルールや計算方法、請求する方法などについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【弁護士が解説】看護師でも過去3年間の残業代が取り返せる方法とは?
まとめ:看護師を辞めたい時に
いかがでしたか?
最後に、今回の内容をまとめます。
【看護師を辞めるべき人の特徴】
- 業務によるストレスで、何らかの健康障害を発症している
- 病院がブラックで残業代、深夜手当、休日手当などが出ない
- 看護業務自体がとても辛く、向いていないと感じている
- 夜勤が辛く体力が続かない
【看護師を辞めるべきではない人の特徴】
- 職場でいじめ・嫌がらせ・パワハラにあっている
- 1年目、2年目などまだ経験が浅い
- 自分のミスで医療事故を起こすことが怖い
【看護師の退職時にありがちな悩みと対処方法】
- 奨学金を理由に辞められない
→奨学金を理由に、病院は退職を拒否することはできないため、分割払いや転職先からの立て替えなどを使い、退職できる - 退職するなら違約金を請求すると言われる
→病院は看護師に違約金を予定する契約を締結することはできないため、退職可能 - 退職を拒否される
→退職を拒否されても、正しい手続きをとることで退職することが可能 - 周囲から辞めることを強く反対される
→耐えられないほどのストレスがあることや、いつか再就職することも可能であることを伝えて辞める
【辞める前に試せる4つのこと】
- 有給休暇を取得して心身を休める
- 休職する
- 友人などに相談してみる
- 辞めたい理由を自己分析する
いかがでしたか?
辞めたいと思ったら、いつでもこの記事を読んで参考にし、行動につなげてください。
【参考記事一覧】
看護師が未払い残業代を請求する上での手続きの方法、ポイント、集めるべき証拠などについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
【弁護士が解説】看護師でも過去3年間の残業代が取り返せる方法とは?
退職後の失業保険の受給について、詳しくは以下の記事で解説しています。