
あなたは、
などの疑問をお持ちではありませんか?
飲食業界は一般的に「ブラック」と言われますが、実際にはもちろんブラックではない飲食店もたくさんあります。
しかし、これから就職や転職、アルバイトなどで飲食業界で働きたい人にとって、ブラックな飲食店を見分けるのは難しいですよね。
すでに働いている人にとっても、自分が働いている飲食店がブラックかどうか、判断したいことがあると思います。
そこでこの記事では、まずはブラック飲食店の8つの特徴と、ブラックになる原因について解説します。
さらに、ブラック飲食店に入ってしまった場合の対処法や、就職・転職時にブラック企業を見分けるポイントについてもお伝えします。
最後までしっかり読んで、ブラック飲食店に搾取されないための知識を学んでください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点
■飲食業がブラックになりやすい理由
- 営業時間外の業務量が多い
- 客の入り具合によって業務量が変わる
- 人手不足になりやすい
- コストにおける人件費の割合が大きい
■ブラック飲食店に入ってしまった場合の対処法
- 労働基準監督署に相談する
- 弁護士に相談する
- 転職してホワイト飲食店で働く
■ブラック飲食店を見分けるポイント
- 常に求人をかけている
- 残業について明確な規定がない
- みなし残業代制での採用
- 店長候補としての採用・独立歓迎
- インターネットの口コミが悪い
目次
1章:ブラック飲食にありがちな8つの特徴
「ブラックな飲食店って、具体的にはどんなところ?」
「自分が働いている飲食店がブラックかどうか判断したい」
このように思っている人もいると思いますので、まずは、
ブラック飲食店の8つの特徴についてお伝えします。
順番に解説します。
1–1:長時間残業・深夜残業が日常化している
- 開店前に早く出勤して、店の掃除や仕入れ、その日の準備を行う必要がある
- 閉店後の片付けや掃除、次の日の仕込みなどの業務が深夜まである
などが日常的になっていることがあります。
しかし、会社は従業員にいくらでも残業させて良いというわけではありません。労働時間が長いと、従業員の心身に疲労が蓄積され、回復する時間もなくなるため、法律では残業時間には上限が規定されているのです。
そのため、長時間残業や深夜残業が日常化している場合は、「違法」である可能性があります。
日常的に残業が必要なほど労働力が足りていないなら、本来なら、会社が従業員を増やして対応する必要があります。しかし、人を増やすとその分人件費が増えるため、ブラック飲食店は、できるだけ少ない従業員に大量の仕事を押しつけて、処理させようとするのです。
もしあなたが、長時間残業や深夜残業で辛い思いをしている場合は、3章で解説する対処方法を行って、状況を変えることをおすすめします。
1–2:給料が滞納される
「給料を滞納する」
「給料を一部しか支払わない」
ということです。
しかし、労働基準法では、従業員への給料は「給料日に全額支払わなければならない」と定められています。
そのため、給料を滞納するような飲食店は、
- 違法行為をいとわない姿勢で店舗を経営している
- そもそも、経営者が正しい知識を持っていない
というブラック飲食店であると言えます。
給料が滞納(未払い)された場合の対処方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
今すぐ始めよう!未払い給料の2つの請求方法と弁護士が教える請求のコツ
1–3:残業代がごまかされる
- 営業時間外は残業代が発生しないと主張する
- 準備時間や仕込み時間は労働時間にカウントされない
- 休憩時間も働かせる
- 残業時間の端数を切り捨てる
- 残業は禁止していた、指示していないと主張する
- 基本給・固定残業代・各種手当に残業代を含んでいると言う
- アルバイトは残業代が出ないと主張する
しかし、実際には、以上のようなことを言われていても、残業代が発生するケースが大半です。そのため、このような手口を使う店は、ブラック飲食店です。
飲食店の残業代をごまかす手口などについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
もう損しない!飲食店でも残業代が出る理由と残業代をもらう2つの方法
1-4:店長であることを理由に長時間のサービス残業がある
確かに、労働基準法上、会社の経営や採用に関して大きな権限を持っている人のことを「管理監督者」と言い、普通の従業員に適用される「残業の上限」「残業代のルール」「休日出勤」などの規定の対象外になっています。
しかし、労働基準法上の管理監督者とみなされるには、厳しい要素を満たす必要があり、経営者から雇われているほとんどの「店長」の人は、労働基準法上の管理監督者ではありません。
たとえば、あなたが店舗の責任者で、アルバイト・従業員の採用権限やシフトの決定権、販促活動の企画・実施の権限などの持っていたとしても、
- 権限の範囲が自分の店舗に限られる
- 出退勤の時間が、事実上決められている(営業時間内は常に店舗にいる必要がある、など)
などの場合は、法律上の管理監督者とは言えません。
このように、たいした裁量もないのに、「店長」「マネージャー」といった名前だけ与えられ、残業代の支払いをされていない人のことを「名ばかり管理職」と言います。
名ばかり管理職は、ブラック飲食店によって、従業員を安い賃金で長時間こき使う手口として悪用されることがあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
1-5:パワハラが横行している
たとえば、
- 上司や店長が立場を利用して、あなたに無理な仕事を押しつける
- 殴る、叩く、蹴るなどの暴行
- バカ、クズなどの暴言や侮辱
このようなことが横行していれば、あなたが働いている飲食店はブラック飲食店です。
ブラック飲食店では、
- 従業員を「暴力」「脅し」「強い心理的プレッシャー」などによってコントロールしようとする
- 従業員を都合良く使うために、心理的に支配下に置こうとする
といった目的で、社内でパワハラが横行していることがあります。
しかし、「暴力」「侮辱」などの行為は刑事罰の対象になることもありますし、そうでなくても損害賠償請求できるケースもあります。そのため、適切な対処方法を行うことで、現状を変えることができます。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
1-6:常に人手不足
ただでさえ、多くの飲食店が人手不足ですので、その中でもブラックな飲食店となると、
- 社員が一人で店を回す(ワンオペレーション)状態が日常化している
- 大量に離職するため、あらかじめ大量に採用している
- 責任感の強い従業員がバイトの穴埋めなどをするため、心身の負担が大きい
などのことが発生します。
ブラック飲食店は、ブラックな経営をしているために従業員が定着せず、慢性的に人手不足になっていることが多いようです。
このような飲食店に入ってしまったら、あなたは大きな負担を抱えながら働くことになるでしょう。
1-7:洗脳に近い研修がある
たとえば、
- 「社員は家族」「仕事は志事」など、精神論だらけの聞こえの良いことばかりを言う
- 社訓を大声で唱和させられる
- 体力的、精神的に極限の状態に追い込まれる
- 素手でのトイレ掃除など、理不尽なことを強要される
なとの研修をさせられる飲食店があるようです。
こうした研修は、従業員の正常な判断能力を奪い、経営者の思い通りに働かせるための「洗脳」を目的にしているものです。
こうした研修は、ブラック飲食店の手口として使われるものであることを知っておきましょう。
1–8:外国人を違法に就労
外国人は、
- 働ける場所が少ない
- 日本の労働基準法について詳しくない
- お金が必要で、できるだけたくさん働きたいと思っている
ということが多いため、それを利用して、日本人よりも悪質な労働条件で働かせているブラック飲食店が存在します。
経営者からすれば、安い賃金で必死に働いてくれる外国人は都合の良い存在で、人件費の削減になります。そのため、ブラック飲食店では、外国人が悪質な条件の下で働かされていることが多いのです。
2章:なぜブラック飲食が多いのか?ブラックになる理由を解説
ここまでブラック飲食店について解説しましたが、飲食業界にブラック企業が生まれやすいのは、理由があります。
それは、主に以下のことです。
- 営業時間外の業務が多い
- 客の入り具合によって業務量が変わる
- 人手不足になりやすい
- コストにおける人件費の割合が大きい
それぞれの理由について解説します。
2-1:営業時間外の業務量が多い
飲食業界がブラックになりがちな理由の1つは、営業時間外の業務量が多いことです。
飲食店で働くあなたにとっては常識かもしれませんが、飲食店では、開店前には、店の掃除から料理の仕込み、材料の搬入や整理などがあります。閉店後には、食器や調理器具の片付け、店の掃除、会計処理、次の日の仕込みなどがあり、営業時間外にもたくさんの仕事があります。
そのため、営業時間外の仕事について、
「タイムカードを打刻する前や打刻後にも業務を行う」
「閉店の時刻までしか勤務時間に入らない」
などのことも多いようです。
また、個人経営の飲食店などでは、そもそも勤怠管理の仕組みを持っていないこともあります。出退勤の時間が大雑把にしか記録されず、営業時間外も働いているのに、店の営業時間しか出勤していないことになっている、というケースもあります。
このように、飲食店では営業時間外の業務量の多さが「長時間残業」「サービス残業」などのブラックな経営の原因の1つになっています。
2-2:客の入り具合によって業務量が変わる
客の入りや予約状況によって、業務量が大きく変わってくるというのも、飲食店がブラックになりやすい原因です。
たとえば、
- 次の日に急に大勢の予約が入ったため、遅くまで店に残って仕込み作業をしなければならない
- 予想より多くの客が来たため、片付けや掃除の量も多くなった
などのことは、経験がある人も多いのではないでしょうか。
こんなイレギュラーが発生すると、残業しなければ仕事が終わらないため仕方なく残業する雰囲気になり、結果的にサービス残業になるケースも多いようです。
さらに、こうしたことが繰り返されることで、飲食店の経営者や店長は、
「サービス残業して当然」
「飲食業界では当たり前」
という考えになっていき、それがブラックな経営につながっている可能性があります。
2-3:人手不足になりやすい
飲食店では、人員の多くをアルバイトで、しかも高くはない時給で雇用していることが多いです。そのため、店舗によっては常に人手が足りておらず、いつも誰かが無理しなければ店が回らない、ということもあります。
そのため、社員がアルバイトの穴を埋めて、長時間残業になったり、ほとんど休日もなく働かなければならない、ということにもなるのです。
2–4:コストにおける人件費の割合が大きい
飲食業を含むサービス業は、売上げにおける人件費の割合が高く、30%〜50%もあります。
また、飲食業の経営においては「FLコスト」と言う言葉があり、食材費と人件費の二大コストをコントロールすることが、経営上の重要なポイントと考えられています。
以上の理由から、飲食店の経営者は、他の業種の経営者よりも「人件費を削って利益を出そう」という考えになりやすいのです。
こうしたビジネスモデル上の理由も、飲食業にブラック企業が生まれやすい原因の一つになっています。
3章:ブラックな飲食店に入ってしまった場合の対処方法
あなたがブラック飲食店に入ってしまった場合、すぐに脱出することをおすすめします。
なぜなら、そのような飲食店に勤めている限り、経営者から良いようにこき使われ続けてしまうからです。
そこで、
- 労働基準監督署に相談する
- 弁護士に相談する
- 転職する
という方法をお伝えしますので、それぞれの方法が、どのようなケースに向いていて、どういった手続きで可能なのか、しっかりチェックしてみてください。
3-1:労働基準監督署に相談する
「店の違法行為を訴えたい」
「職場の違法な労働環境を改善して欲しい」
などの悩みをお持ちの場合、労働基準監督署に相談することをおすすめします。
労働基準監督署に相談することで、
- 労働基準法にのっとった具体的なアドバイスがもらえる
- 会社の行為が悪質な場合は、会社に対して「調査」「是正勧告」などの対応をとってもらえる
ということが期待できます。
労働基準監督署に相談できることや、相談する流れなどについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【労働基準監督署にできること】相談の流れとより確実に解決するコツ
ただし、あなたが、
「未払いの給料や残業代を支払って欲しい」
という場合は、労働基準監督署では不十分です。なぜなら、労働基準監督署はあくまで会社の違法行為を監督する機関であり、あなたのために、給料や残業代を取り返してくれる機関ではないからです。
そのため、給料や残業代を取り返したい場合などは、別の選択肢をおすすめします。
3–2:弁護士に相談する
あなたが、
「いじめやパワハラを受けているため、加害者を訴えたい」
「店に未払いの給料や残業代を請求したい」
と思っている場合、弁護士に相談することをおすすめします。
なぜなら、これらのトラブルはあなた個人でやろうとすると、大きな手間や時間がかかってしまうだけでなく、経営者や加害者との交渉などに、強い心理的負担がかかってしまうからです。
それに、相手が弁護士等の専門家を代理人として立てることもあり、その場合は、専門知識がなければ、「膨大な時間や手間がかかったのに、取り返せた額はゼロ」ということにもなりかねません。
【いじめ、パワハラを弁護士に相談する場合】
【未払い給料の請求を弁護士に依頼する場合】
【未払い残業代の請求を弁護士に依頼する場合】
3-3:転職してホワイト飲食店で働く
現状を変える最も抜本的な方法は、ブラック飲食店からホワイトな飲食店に転職することです。
なぜなら、あなたの努力で、たとえ一時的に現状が改善できても、ブラック飲食店の経営者の「考え方」は簡単には変わらないため、いずれ元の経営に戻ってしまう可能性大だからです。
そのため、すぐにでも転職のための行動を開始することをおすすめします。
転職する場合は、先ほども解説したように、「未払い給料・残業代を請求する」などのことを行って、できるだけ損しないように辞めることをおすすめします。
損しないための退職の流れについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
弁護士が徹底解説!退職するときに損しないための“有給消化”と“貰えるお金”の話
4章:ブラック飲食店を避けるための見分けるポイント
これから就職・転職する場合、ブラック飲食店を見抜くポイントには、以下の7個があります。
- 常に求人をかけている
- 残業について明確な規定がない
- みなし残業代制での採用
- 店長候補としての採用・独立歓迎
- インターネットの口コミが悪い
それぞれ簡単に解説します。
4–1:常に求人をかけている
1章でもブラック飲食店の特徴としてお伝えしたように、ブラックな飲食店は離職率が高いために、常に求人をかけている所が多いです。
そのため、求人情報をこまめにチェックして、頻繁に出向している飲食店は避けるようにしましょう。
4–2:残業について明確な規定がない
ブラック飲食店は、できるだけ少ない賃金で従業員を使いたいと考えています。そのため、残業について明確な規定がないところは、避けた方が良いです。
求人情報に書いていなければ、面接時などに残業の規定がどうなっているのか確認してみましょう。
4–3:みなし残業代制での採用
ブラック飲食店では、残業代をできるだけ減らすため、「残業代は基本給に含まれている」「残業代は一定額」というような制度(みなし残業代制)が採用されていることがあります。
多くのブラック飲食店は、みなし残業代制を「何時間働かせても、残業代を一定額しか出さない」という使い方をしています。
そのため、みなし残業代制の飲食店は避けるのが無難です。
4–4:店長候補としての採用・独立歓迎
求人情報に、店長候補としての採用や、独立歓迎などと書かれている場合、ブラック飲食店である可能性があります。
店長候補としての採用や、独立前提での採用の場合、「店長になるための修行」であることを理由に長時間のサービス残業を強いられる可能性があるからです。
4–5:インターネットの口コミが悪い
就職・転職をするときは、気になる会社について、インターネット上で口コミを調べてみましょう。
特に、大手の転職サイトで転職者が体験談をのせているようなものを参考にすることをおすすめします。
実際に働いた人の口コミが読めますので、あまりにもネガティブな口コミが多い会社は、避けた方が良いでしょう。
まとめ:ブラックな飲食店について
いかがでしたか?
最後に、今回の内容をまとめます。
【飲食業がブラックになりやすい理由】
- 営業時間外の業務量が多い
- 客の入り具合によって業務量が変わる
- 人手不足になりやすい
- コストにおける人件費の割合が大きい
【ブラック飲食店に入ってしまった場合の対処法】
- 労働基準監督署に相談する
- 弁護士に相談する
- 転職してホワイト飲食店で働く
【ブラック飲食店を見分けるポイント】
- 常に求人をかけている
- 残業について明確な規定がない
- みなし残業代制での採用
- 店長候補としての採用・独立歓迎
- インターネットの口コミが悪い
悪質な経営者から都合の良いように使われないように、すぐにでも行動を開始しましょう。
【参考記事一覧】
飲食店に未払い給料を請求する方法について、以下の記事をご覧ください。
今すぐ始めよう!未払い給料の2つの請求方法と弁護士が教える請求のコツ
飲食店でも残業代を請求する方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
もう損しない!飲食店でも残業代が出る理由と残業代をもらう2つの方法
店長やマネージャーの残業代について、詳しくは以下の記事で解説しています。
あなたが店でパワハラを受けている場合、以下の記事をご覧になってください。
店の上司や経営者の行為を労働基準監督署に相談したい場合、以下の記事を参考にしてください。
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職場でいじめられている場合、すぐにできる対処方法について以下の記事で解説していますので、参考にしてください。
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