【不妊による離婚】離婚できるケースや流れ、慰謝料請求を弁護士が解説

監修者

弁護士法人新橋第一法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

【不妊による離婚】離婚できるケースや流れ、慰謝料請求を弁護士が解説
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 不妊を理由に離婚できるケース
  • 不妊を理由に離婚した時の慰謝料請求
  • 不妊を理由に離婚する方法と流れ
  • 離婚問題を弁護士に依頼する4つのメリット

あなたは、

  • 不妊を理由に離婚できるか知りたい
  • 不倫を理由に慰謝料請求できる?
  • 不妊を理由に離婚する方法が知りたい

などとお考えではありませんか?

結論から言うと、不妊という理由だけで配偶者に離婚を求めても、相手の合意が得られず他に離婚理由がない場合は、離婚訴訟を申し立てても離婚できない可能性が高いです。

不妊という理由だけでなく、他にも不倫やDV・モラハラなど法律で認められた離婚の理由(法定離婚事由)がある場合は離婚できる可能性があります。

また、不妊という理由だけで離婚した場合は、配偶者に不妊の原因があったとしても、慰謝料請求は難しいでしょう。

他にも、配偶者の不倫やDV・モラハラなど不法行為が認められる場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。

そこでこの記事では、

1章では、不妊を理由に離婚できるケース

2章では、不妊を理由に離婚した時の慰謝料請求

3章では、不妊を理由に離婚する方法と流れ

4章では、離婚問題を弁護士に依頼する4つのメリット

について解説します。

この記事の内容をしっかり理解して、不妊を理由とした離婚問題を解決する際の参考にしてください。

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1章:不妊を理由に離婚できるケース

不妊を理由に離婚できるケースとして、次の2つがあげられます。

  • 配偶者が離婚に同意した場合
  • 他に離婚が認められる理由がある場合

それぞれ解説します。

1-1:配偶者が離婚に同意した場合

配偶者が離婚に同意した場合は、不妊といった理由であっても離婚できます。

離婚の方法としては、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟の3つが一般的です。

離婚協議では、夫婦間の話し合いにより離婚することと、離婚条件(慰謝料、財産分与、親権など)に合意したうえで、離婚届を提出することで離婚が成立します。

また離婚調停では、家庭裁判所で調停委員を介して話し合いを行いますが、離婚や離婚条件について意見を調整し双方の合意が得られれば離婚が成立します。

1-2:他に離婚が認められる理由がある場合

不妊という理由だけでなく、他にも不倫やDV・モラハラなど離婚が認められる理由(法定離婚事由)がある場合は、離婚できる可能性があります。

法定離婚事由としては、次の5つになります。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

(民法第770条1項)

■不貞な行為

いわゆる不倫のことで、配偶者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の第三者と肉体関係を持った場合をいいます。

■悪意の遺棄

配偶者が、同居義務、協力義務、扶助義務といった夫婦の義務を尽くさない場合をいいます。

■3年以上の生死不明

配偶者が、最後の音信から3年以上にわたり、生存も死亡も確認できない状況が現在まで続いている場合をいいます。

■回復が見込めない強度精神病

配偶者が夫婦の義務を果たせない程度の不治の精神疾患にかかり、回復の見込みのない場合をいいます。

■その他婚姻を継続しがたい重大な事由

1~4の離婚事由がなくても、夫婦生活が修復不可能な程度にまで破綻し、婚姻を継続させることができないと考えられる場合をいいます。

家庭裁判所はこれらの離婚事由について審理し、法定離婚事由のどれかが認められる場合は、離婚を認める判決を下し離婚が成立します。

また、長期間の別居をしていて夫婦関係の回復が見込めない場合は、離婚が認められる可能性があります。

別居期間は定められているわけではなく、同居期間や家族構成などにもよりますが、3年から5年程度が目安です。

2章:不妊を理由に離婚した時の慰謝料請求

不妊を理由に離婚した時の慰謝料請求は、難しいケースが多いです。

ただし、他にも不倫やDV・モラハラなど理由がある場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。

それぞれ解説します。

2-1:不妊を理由とした慰謝料請求は難しい

配偶者への不妊を理由とした慰謝料請求は、難しいといえます。

配偶者に不妊の原因があったとしても、本人に責任を問うことはできないため、基本的に慰謝料請求は認められないからです。

ただし子どもを望む相手に対して、不妊の事実を隠して結婚していた場合は、不法行為が認めら慰謝料請求できる可能性があります。

2-2:他にも理由がある場合は認められる可能性がある

不妊という理由だけでなく、他にも不倫やDV・モラハラなど法定離婚事由がある場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。

離婚の慰謝料を請求できるケースとしては、次の5つがあげられます。

  • 不倫・浮気をした場合
  • DV(暴力)、モラハラの場合
  • 悪意の遺棄(生活費を渡さない、他)の場合
  • セックスレスの場合
  • 悪質な借金がある場合

これらの慰謝料を請求できるケースでも、その内容・事例によって請求できる慰謝料の金額は様々ですが、大体の相場としては次の表のようになると言われています。

離婚の原因と慰謝料相場

離婚の際に相手に慰謝料を請求するためには、不倫やDV、セックスレスなどの離婚原因の証拠となる画像や音声、詳細な記録などを集めておくことが重要です。

ただし、セックスレスや借金などの場合、直ちに慰謝料が認められるわけではありません。

例えば、

  • 性交渉を拒否する際に侮辱的なことを言われた
  • 配偶者の悪質な浪費によって多額の借金が生じた

などの証拠も必要です。

3章:不妊を理由に離婚する方法と流れ

不妊を理由に離婚する方法と流れは、次のようになります。

  • まずは離婚協議を行う
  • 離婚調停を申し立てる
  • 離婚訴訟を申し立てる

それぞれ解説します。

3-1:①まずは離婚協議を行う

まずは、夫婦間で離婚についての話し合い、離婚協議を行います。

離婚協議の流れとしては、次のようになります。

  1. 夫婦の話し合いで、離婚条件(慰謝料、財産分与、親権など)を決める
  2. 離婚条件を離婚協議書にまとめる
  3. 作成した離婚協議書を公正証書にまとめる
  4. 離婚届を作成し、役場に提出する

離婚の方法としては最も多い形ですが、話し合いによって口頭で離婚条件を決めて離婚届けを出すだけでは、後から問題が生じる可能性が高いです。

特に、離婚後に慰謝料や養育費など金銭による支払いを受けるときには、支払われない場合に備えて、できれば公正証書を作成することをおすすめします。

公正証書とは、公証役場で公証人が法律にしたがって作成する公文書のことです。

公正証書に記載された慰謝料や養育費などの未払いが発生した際は、裁判を起こさなくても、相手の給料や財産を差し押さえるなど法的手続きがとれます。

離婚協議でも、DVなどで直接の交渉が難しい場合や、不利な条件で離婚に合意してしまう不安がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

3-2:②離婚調停を申し立てる

夫婦間の話し合いがうまくいかなかった場合は、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てましょう。

離婚調停では、裁判官1名と調停委員2名からなる調停委員会によって、双方の意見の聞き取りや条件面の話し合いが夫婦別々に行われます。

夫婦双方が合意した場合は、合意した内容が調停調書に記載され、調停離婚が成立します。

申立人は、調停成立の日から10日以内に、離婚届に離婚調停調書の謄本を添えて、市町村役場に提出しなければなりません。

もし、相手が離婚を拒否したり、金銭面や子供の親権等で合意が得られない場合は、調停不調となります。

その場合は離婚をあきらめるか、離婚を再度協議するか、あるいは家庭裁判所に離婚訴訟するか選択しましょう。

3-3:③離婚訴訟を申し立てる

離婚調停で合意が得られない場合は、離婚訴訟を申し立てましょう。

離婚訴訟では、離婚の成否と一緒に慰謝料なども判決によって決められます。

離婚訴訟の流れとしては、次のようになります。

  1. 家庭裁判所に離婚裁判の訴状を提出
  2. 裁判所から口頭弁論期日の呼出状
  3. 第1回口頭弁論が開かれる
  4. 第2回目以降も口頭弁論が開かれる
  5. 判決、裁判の終了

離婚訴訟の内容はもちろん様々ですが、裁判にかかる期間は1年以上となることが多いです。

離婚訴訟では、離婚協議・調停のような話し合い、合意による決定ではなく、提出された訴状・書面等をもとに、裁判官の判断によって離婚の成否や慰謝料等が決められるのが原則です。

ただし、双方が希望すれば、和解によって離婚をしたり慰謝料額を決めたりできます。

離婚の問題について、ここまで合意が得られずに離婚訴訟にまで及んだ場合は、弁護士への依頼を強くおすすめします。

4章:離婚問題を弁護士に依頼する4つのメリット

不妊を理由に離婚する際に、弁護士に依頼するメリットとしては、次の4つがあげられます。

  • 話し合いを有利に進められる
  • 手続きを弁護士に任せられる
  • 離婚成立後のトラブルを防げる
  • 離婚調停・訴訟に進んだときも安心

それぞれ解説していきます。

4-1:話し合いを有利に進められる

離婚協議を法律のプロである弁護士に依頼することで、各離婚条件の話し合いを有利に進められる可能性が高まります。 

また相手が離婚に応じない状況でも、弁護士に依頼することで夫婦間では難しい離婚交渉もスムーズに進み、離婚の成立が望める場合があります。

弁護士は、法律のプロであるだけでなく交渉のプロでもあるので、あなたの主張を法的に有効な形で提示するだけでなく、落としどころを踏まえて交渉を進められる可能性が高いです。

4-2:手続きを弁護士に任せられる

弁護士に依頼することで、離婚交渉だけでなく、各種手続きも弁護士に任せられます。

離婚協議を弁護士に依頼した場合、あなたの代理人として相手との交渉など一切の連絡の窓口となるため、あなたは相手と直接かかわる必要はないです。

離婚が成立した場合、弁護士が離婚協議書を作成し、離婚協議で合意が得られた各条件を書面化し証拠として残しておくことが重要です。

また、離婚協議書で強制執行認諾文言付公正証書を作成する合意を得て、公正証書にする手続きを行うこともできます。

強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくことで、養育費等の未払いなどが発生した際は、裁判を起こさなくても相手の給料や財産を差し押さえるなど法的手続きがとれます。

4-3:離婚成立後のトラブルを防げる

離婚成立後のよくあるトラブルとしては、主に次の4つがあげられます。

  • 財産分与・慰謝料など金銭の未払い
  • 不動産の名義変更やローンの未払い
  • 養育費の未払いや最終年齢
  • 離婚後の財産分与・慰謝料・年金分割の請求

弁護士に依頼することによって、離婚で合意された各条件が、こちらに不利な内容となっていないか、離婚後も合意を守ってもらえる内容となっているかなどチェックできます。

弁護士は、離婚成立後のトラブルを防ぐための離婚協議書や公正証書など、対処法を熟知しているので、離婚後のこうした不安を抑えられます。

4-4:離婚調停・訴訟に進んだときも安心

離婚協議での合意が得られず、離婚調停・訴訟に進んだ場合でも、弁護士はこれまでの当事者双方の状況を理解しているため十分に対応できます。

離婚調停の今後の見通しや、離婚条件に関するアドバイスなどが得られるので、離婚調停に進んでも安心して任せられるでしょう。

また、離婚調停に必要な訴状や書類の作成、手続き等の煩雑な作業もすべて任せられます。

これによって、離婚調停の準備や離婚調停期間中の精神的負担を軽減できます。

まとめ:不妊を理由に離婚できるケースと離婚する方法

不妊を理由に離婚できるケースとして、次の2つがあげられます。

  • 配偶者が離婚に同意した場合
  • 他に離婚が認められる理由がある場合

不妊を理由に離婚した時の慰謝料請求は、難しいケースが多いです。

ただし、他にも不倫やDV・モラハラなど理由がある場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。

不妊を理由に離婚する方法と流れは、次のようになります。

  • まずは離婚協議を行う
  • 離婚調停を申し立てる
  • 離婚訴訟を申し立てる

離婚問題を弁護士に依頼することで、離婚の話し合いをスムーズにかつ有利に進められます。

また、離婚協議での合意が得られず、離婚調停・訴訟に進んだ場合でも安心して任せられます。

不妊を理由とした離婚問題を解決したい場合は、この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。

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