【慰謝料請求しない方がいい】5つのケースや理由、請求しないデメリット
この記事を読んで理解できること
- 不倫の慰謝料請求しない方がいい5つのケース
- 慰謝料請求しない方がいい2つの理由
- 慰謝料請求しない3つのデメリット
- 慰謝料請求しない場合でもやっておくこと
あなたは、
- 不倫の慰謝料請求しないほうがいい場合もあるの?
- 不倫の慰謝料請求しない方がいい理由は?
- 不倫の慰謝料請求しない場合はどうする?
などとお考えではありませんか?
結論から言うと、配偶者に不倫された場合、配偶者や不倫相手に慰謝料請求しない方がいいケースがあります。
なぜなら状況によっては、
- 慰謝料請求しても費用がかかるばかりで高額な慰謝料が望めない
- 慰謝料請求しても時間や労力がかなりかかりそう
- 逆に慰謝料を請求される可能性がある
など、慰謝料請求してもメリットが見込めないか、あるいは少ないケースがあるからです。
そこでこの記事では、
- 不倫の慰謝料請求しない方がいい5つのケース
- 慰謝料請求しない方がいい2つの理由
- 慰謝料請求しない3つのデメリット
- 慰謝料請求しない場合でもやっておくこと
について説明します。
この記事の内容をしっかり理解して、不倫の慰謝料請求で悩むことなく、より良い解決が得られる行動を心掛けて下さい。
目次
1章:不倫の慰謝料請求しない方がいい5つのケース
不倫の慰謝料請求しない方がいいケースとして、次の5つがあります。
- 不倫(不貞行為)の証拠が少ない
- 慰謝料請求しても高額が望めない
- 自分の配偶者に非がある
- ダブル不倫で不倫相手にも配偶者がいる
- できるだけ早く離婚したい
それぞれ説明します。
1-1:不倫(不貞行為)の証拠が少ない
不倫の慰謝料請求しない方がいいケースの1つ目は、不倫(不貞行為)の確実な証拠が少ない場合です。
なぜなら、不貞行為を立証できる証拠が少ない場合は、法的な慰謝料請求権が認められない可能性があるからです。
不貞行為とは、「既婚者が配偶者以外の者と自由な意思のもとに性的関係を持つこと」で、不倫された配偶者の権利を侵害する不法行為にあたるため、損害賠償請求の対象となります。(民法第709条)
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
そのため、不倫の慰謝料請求においては、不貞行為を立証できる証拠を示すことが最も重要です。
例えば、次のような状況では、慰謝料請求が難しいケースが多いです。
- 性的関係の存在を推認させる写真や動画がない
- LINEやメールのやりとりが断片的
- ホテルの領収書などの物的証拠がない
- 目撃証言しか証拠が無い
また、不貞行為を示す決定的な証拠がないまま慰謝料請求すると、次のような事態を招くおそれがあります。
- 高額な弁護士費用や調査費用が無駄になる
- 感情的な対立が深まり、円満な解決が難しくなる
- 相手方から名誉毀損で訴えられる可能性がある
- 請求が認められず精神的ダメージを受ける
そのため、二人の写真やLINEのやりとりが数点あるだけで、間接的な状況証拠しかない場合は、慰謝料請求を見送ることを検討すべきでしょう。
1-2:慰謝料請求しても高額が望めない
不倫の慰謝料請求しない方がいいケースの2つ目は、慰謝料請求しても高額が望めない場合です。
不倫の慰謝料額は、一般的に次のような要素を考慮して決定されます。
- 不倫の回数や期間の長さ
- 不倫の頻度や内容
- 婚姻関係の長さ
- 婚姻関係や家族関係への影響
例えば、次のような場合は、慰謝料額は数十万~100万円程度にとどまる可能性があります。
- 不倫期間が1~2か月と短い
- 不倫の頻度も月1〜2回程度
- 婚姻関係は継続
さらに、不倫相手の収入が低い場合、仮に請求が認められても一括での支払いが難しく、分割払いになるケースもあります。
そのため、弁護士費用や調査費用などとの、費用対効果を考慮する必要があります。
■弁護士費用の目安
- 着手金:20〜30万円
- 報酬金:獲得額の10〜20%
- その他実費:数万円
これに加えて、証拠収集や交渉に要する時間的・精神的コストを考えると、必ずしも割に合うとはいえないケースもあります。
1-3:自分の配偶者に非がある
不倫の慰謝料請求しない方がいいケースの3つ目は、自分の配偶者にもっぱら非がある場合です。
配偶者の行為が不倫相手に対する違法行為や詐欺的な要素を含む場合、不倫相手への慰謝料請求ができないケースもあります。
なぜなら、不倫相手はむしろ被害者にあたる可能性があるからです。
具体的には、次のようなケースです。
- 配偶者が不倫相手に独身だと偽っていた
- 配偶者が不倫相手に離婚届を提出済みと嘘をついていた
- 配偶者が不倫相手を脅したり、強要したりして関係を持った
- 配偶者が不倫相手の弱みを握って関係を強要していた
不倫相手が配偶者の違法行為を主張した場合、単なる不倫問題にとどまらず、配偶者が訴えられたり、慰謝料を請求されたりする可能性もあります。
1-4:ダブル不倫で不倫相手にも配偶者がいる
不倫の慰謝料請求しない方がいいケースの4つ目は、ダブル不倫で不倫相手にも配偶者がいる場合です。
なぜなら、双方に配偶者がいる場合、問題は二組の夫婦におよぶため格段に複雑化するからです。
具体的には、次のような事態が想定されます。
■相互請求のリスクがある
不倫の事実を主張すれば、相手方の配偶者からも同様に慰謝料請求される可能性が高いです。
結果的に支払額が相殺されるだけでなく、より多額の支払いを求められる事態も考えられます。
■解決が長期化する
二組の夫婦、四者間での調整が必要となるため、解決までに相当な時間を要するケースが多いです。
その間、精神的なストレスや経済的な負担が継続するでしょう。
■関係者の範囲が拡大する
当事者だけでなく、双方の配偶者、子ども、親族まで巻き込んだ問題に発展する可能性があります。
特に、子どもにも影響がおよんだ場合は深刻です。
また、職場にも影響がおよぶ可能性があり、最悪の場合、双方の退職に発展するケースも考えられます。
ダブル不倫の場合は、静かに解決を図る方が、結果的に全員にとってダメージを最小限に抑えられる可能性が高いといえます。
1-5:できるだけ早く離婚したい
不倫の慰謝料請求しない方がいいケースの5つ目は、できるだけ早く離婚したい場合です。
慰謝料請求することで、離婚手続きが長期化するケースも少なくありません。
特に次のような事情がある場合、早期の解決を優先すべきでしょう。
■子どもへの影響を考慮する必要がある場合
離婚問題の長期化は、子どもの心理面や学業に大きな影響を与えます。
特に受験期や学年の変わり目などの重要な時期には、できるだけ早期の解決が望ましいです。
■心身の健康上の問題がある場合
不倫問題に起因するストレスで体調を崩したり、うつ状態に陥ったりするケースは珍しくありません。
このような場合、早期に区切りをつけて心身の回復に専念することが重要です。
■新生活を始める必要がある場合
転職や転居を控えている場合、また経済的に自立する必要がある場合などです。
新生活の開始を優先すべき状況では、慰謝料請求による解決の長期化は避けた方が賢明です。
2章:慰謝料請求しない方がいい2つの理由
慰謝料請求しない方がいい理由として、次の2つがあります。
- 不倫問題を早く解決できる
- お金やストレスがかからない
それぞれ説明します。
2-1:不倫問題を早く解決できる
慰謝料請求しない方がいい理由の1つ目は、不倫問題を早く解決できることです。
不倫相手に、慰謝料請求をしないので、不倫をやめてもらう約束をしてもらう、約束を合意書にする、といった話をすれば、慰謝料を請求する場合に比べて、すぐに解決する可能性がかなり高まるため、問題解決までの時間を大幅に短縮できるでしょう。
また、配偶者との離婚を前提にした場合、一般的な解決までの期間を比較すると、次のようになります。
■慰謝料請求する場合
- 証拠収集に1〜2か月
- 弁護士との相談・準備に1か月
- 示談交渉に2〜3か月
- 調停手続きに3〜6か月
- 訴訟となった場合は1年以上
■慰謝料請求しない場合
- 離婚協議に1〜2か月
- 必要書類の準備に2週間程度
- 手続き完了まで1か月程度
早期解決により得られる具体的なメリットとしては、次の4つがあります。
- 精神的なストレスから早期に解放される
- 子どもの心理的負担が軽減する
- 新生活設計が早期に着手できる
- 周囲への影響が最小化する
特に、不倫発覚後の感情が高ぶっている時期を早く脱することで、より冷静な判断と行動ができるでしょう。
2-2:お金やストレスがかからない
慰謝料請求しない方がいい理由の2つ目は、お金やストレスがかからないことです。
慰謝料請求しないことで、さまざまな負担から解放されます。
■経済的負担の具体例
慰謝料請求にかかる弁護士費用は着手金、報酬金を合わせると数十万円以上かかることもあります。
また、証拠収集のための探偵費用も決して安くありません。
慰謝料請求しない場合、これらの費用を全て回避できます。
■精神的負担の軽減
慰謝料請求のプロセスでは、不倫の詳細な事実確認や証拠の収集・提示が必要となります。
これは、不快な記憶を何度も思い出し、傷口を広げるような体験となりがちです。
慰謝料請求しないことで、このような精神的負担を回避できます。
■日常生活への影響
調停や裁判に要する時間は、仕事や家事、育児などの日常生活に大きな支障をきたします。
慰謝料請求しないことで、通常の生活リズムを維持しやすくなります。
3章:慰謝料請求しない3つのデメリット
慰謝料請求しないデメリットとして、次の3つがあげられます。
- 不倫の損害賠償(慰謝料)が受けられない
- 配偶者や不倫相手に制裁を与えられない
- 不倫が再発するおそれがある
それぞれ説明します。
3-1:不倫の損害賠償(慰謝料)が受けられない
慰謝料請求しないデメリットの1つ目は、不倫の損害賠償(慰謝料)が受けられないことです。
慰謝料請求権を放棄した場合、当然慰謝料が得られないため、経済的影響は決して小さくありません。
一般的な不倫慰謝料の相場は、次のとおりです。
- 不倫発覚後も夫婦関係は続いている場合:50万円~100万円
- 不倫が原因で別居した場合:100万円~200万円
- 不倫が原因で離婚した場合:150万円~300万円
これらの金額を受け取る機会を失うことは、特に経済的基盤が不安定な場合、将来の生活設計に大きな影響を与える可能性があります。
3-2:配偶者や不倫相手に制裁を与えられない
慰謝料請求しないデメリットの2つ目は、配偶者や不倫相手に制裁を与えられないことです。
不倫した配偶者や不倫相手に対して、適切な制裁を与えられないことの影響は次のとおりです。
■法的な制裁の機会を失う
慰謝料請求は、不法行為に対する法的な制裁としての意味を持ちます。
慰謝料請求しない場合は、損害賠償を受ける機会も失ってしまいます。
■道義的な責任追及の機会を失う
慰謝料請求しない場合は、慰謝料請求のプロセスをとおして、不倫した相手に対して道義的な責任を明確に追及する機会を失います。
結果として、真摯な反省を促す機会も失われる可能性があります。
3-3:不倫が再発するおそれがある
慰謝料請求しないデメリットの3つ目は、不倫が再発するおそれがあることです。
適切な制裁がない場合、次のような再発リスクが心配されます。
■直接的な再発リスク
不倫の代償を十分に認識させないことで、同様の行為を繰り返す可能性があります。
特に、不倫相手との関係が完全に断ち切れていない場合、再発するリスクが高いでしょう。
■間接的な再発リスク
周囲の者が「慰謝料請求されなかった」という事実を知ることで、不倫に対する抑止力が低下する可能性があります。
特に職場内の不倫の場合、この影響は無視できません。
このように、慰謝料を請求されるといった制裁を受けないことで、不倫行為の重大性に対する認識が希薄化するおそれがあります。
4章:慰謝料請求しない場合でもやっておくこと
慰謝料請求しない場合でも、将来のためにやっておくことがあります。
- 証拠を集めて保管する
- 配偶者や不倫相手に誓約書を書かせる
- 弁護士に相談する
それぞれ説明します。
4-1:証拠を集めて保管する
慰謝料請求しない場合でもやっておくことの1つ目は、証拠を集めて保管することです。
将来の不測の事態に備え、次のような証拠は確実に保管しておく必要があります。
■デジタル証拠の保管
スマートフォンやパソコンの記録は、定期的なバックアップが重要です。
特にLINEやメールの履歴は、クラウドストレージなど安全な場所に保存しておきましょう。
■物的証拠の保管
領収書やホテルの宿泊履歴、クレジットカードの利用明細など、物的証拠は日付順に整理して保管します。
デジタルデータとして保存する場合は、原本の保管場所も明確にしておくことが重要です。
単なる証拠の保管だけでなく、次のような整理も必要です。
- 証拠のリスト作成(証拠の種類、日時、内容を記載)
- 証拠と事実の関連付け(どの証拠が何を証明するのか)
- 関連する出来事の時系列整理
- 証人となりうる人物のリストアップ
これらの証拠は、将来的に次のような場面で必要となる可能性があります。
- 不倫が再発した場合の証拠として
- 離婚時の財産分与の交渉材料として
- 子どもの親権を争う際の資料として
- 相手方から不当な要求を受けた際の抑止力として
4-2:配偶者や不倫相手に誓約書を書かせる
慰謝料請求しない場合でもやっておくことの2つ目は、配偶者や不倫相手に誓約書を書かせることです。
誓約書は、将来的な問題防止のための重要な文書となります。
誓約書に盛り込むべき内容は、次のとおりです。
■基本的な記載事項
- 不倫の事実確認(期間、場所、頻度など)
- 今後の接触禁止の約束
- 秘密保持義務(SNSでの投稿禁止なども含む)
- 違反時の違約金の取り決め
■特に重要な条項
- 再発防止に関する具体的な約束
(職場での接触制限、連絡手段の遮断、勤務先の変更など)
- 将来的な関係修復の可能性がある場合の条件
(カウンセリングの受講、経済的な信頼回復など)
- 子どもがいる場合の配慮事項
(子どもへの接し方、教育方針の確認など)
■作成時の注意点
- 法的な効力を持たせるため、弁護士に内容を確認してもらう
- 日付、署名、捺印を確実に行う
- 複数部数を作成し、関係者で保管する
- 内容は具体的かつ実行可能なものにする
4-3:弁護士に相談する
慰謝料請求しない場合でもやっておくことの3つ目は、弁護士に相談することです。
慰謝料請求しない場合でも、弁護士への相談は重要です。
次のようなポイントを押さえて、さまざまなアドバイスが得られます。
■将来的なリスク管理
- 誓約書の法的効力の確認
- 再発時の対応方針の検討
- 子どもの利益保護
■離婚する場合の法的な権利の確認
- 財産分与に関する権利
- 親権に関する事項
- 養育費の取り決め
- 年金分割の手続き
■手続面でのアドバイス
- 離婚届の作成方法
- 必要書類の確認
- 役所での手続き
- 戸籍や住民票の処理
慰謝料請求をした方がいいのか、しない方がいいのか、その判断も含めて、早い段階で弁護士に相談することをオススメします。
まとめ:不倫の慰謝料請求しない方がいいケース
最後に、慰謝料請求しない判断をする際の重要なポイントをまとめます。
■総合的な判断の必要性
- 不倫を立証する証拠の質と量
- 経済的なメリット・デメリット
- 精神的な負担
- 子どもへの影響
- 時間的な制約
■特に注意すべきポイント
- 感情的にならず冷静な判断を心がける
- 将来的なリスクに対して備える
- 必要な証拠は確実に保管する
- 専門家の意見を積極的に取り入れる
このように、慰謝料請求しないという選択は、状況によっては最も賢明な判断となる可能性があります。
ただし、その判断は十分な検討と準備の上で行う必要があります。
また、請求しない場合でも、将来的な問題に備えた適切な対応を取ることが重要です。
必要に応じて弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けながら行動することをオススメします。
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