モラハラで離婚するための6つの証拠と離婚できるケース、やるべきこと
この記事を読んで理解できること
- モラハラで離婚するときの証拠6パターン
- モラハラの証拠を集めて離婚できるケース
- モラハラ離婚で請求できる慰謝料相場
- モラハラで離婚する場合にやるべきこと
あなたは、
- モラハラで離婚する時はどんなものが証拠になるの?
- モラハラの証拠を集めて離婚し慰謝料を請求したい
- モラハラで離婚する時にやるべきことは?
などとお考えではありませんか?
モラハラを理由に離婚するためには、モラハラを立証できる証拠が必要です。
夫婦間のモラハラは家庭内の密室で行われることが多いため、「モラハラ被害を受けています」という口頭の説明だけでは、調停委員や裁判官など第三者を納得させることはできないからです。
配偶者のモラハラが認められる可能性がある証拠としては、次のものがあげられます。
- モラハラを記録した日記やメモ
- モラハラを録音・録画したデータ
- モラハラ配偶者からのメールやSNSのやりとり
- 家族や友人の証言
- 精神科などへの通院履歴や診断書
- 警察や公的機関への相談履歴
これらの証拠の有無は、離婚の成否だけでなく、慰謝料の請求等にも影響してくる重要ポイントになり得ます。
そこでこの記事では、
1章では、モラハラで離婚するときの証拠6パターンを
2章では、モラハラの証拠を集めて離婚できるケースを
3章では、モラハラ離婚で請求できる慰謝料相場を
4章では、モラハラで離婚する場合にやるべきこと
について解説します。
この記事を読んで、モラハラを立証するための証拠についてしっかり理解し、離婚に向けた行動の参考にしてください。
目次
1章:モラハラで離婚するときの証拠6パターン
モラハラで離婚するときの証拠としては、次の6つのパターンがあげられます。
- モラハラを記録した日記やメモ
- モラハラを録音・録画したデータ
- モラハラ配偶者からのメールやSNSのやりとり
- 家族や親族、友人の証言
- 精神科などの診断書や通院履歴
- DV相談プラスや女性センターなど公的機関への相談履歴
それぞれ解説します。
1-1:①モラハラを記録した日記やメモ
配偶者のモラハラ的な言動が日常的にある場合、モラハラの内容や日時を記録した日記やメモを残しておくことで有効な証拠となり得ます。
モラハラの期間の長さや頻度の多さが慰謝料の増額要素となることもあるため、それらが分かるように日時や行為の内容などを詳しく書いておく必要があります。
1-2:②モラハラを録音・録画したデータ
配偶者のモラハラ的な言動が日常的にある場合、モラハラを録音・録画したデータを残しておくことで有効な証拠となり得ます。
配偶者のモラハラの最も客観的で確実な証拠になりますが、加害者にバレてしまうと暴行などの被害を受ける危険もあるので慎重に行いましょう。
1-3:③モラハラ配偶者からのメールやSNSのやりとり
モラハラ配偶者からのメールやSNSのやりとりは、モラハラが推認できる内容であれば有効な証拠となり得ます。
配偶者のモラハラを記録した日記やメモと合わせることで、モラハラを受けた状況がより明確になる場合もあるため、必ず保存しておくことが重要です。
1-4:④家族や親族、友人の証言
家族や親族、友人の前で配偶者がモラハラ発言をした場合、第三者の目撃証言として有効な証拠となり得ます。
また、以前から配偶者のモラハラを相談していた場合は、「モラハラの相談を受けていた」という証言が間接的な証拠となる可能性があります。
1-5:⑤精神科などの診断書や通院履歴
配偶者のモラハラで精神的苦痛を負い精神科などに通院するようになった場合は、医師の診断書や通院履歴が証拠になり得ます。
医師の診断書においては、精神疾患とモラルハラスメントとの因果関係が非常に重要です。
そのため、精神科や心療内科を受診する際には、
- 現在自分がどのような状況にあるのか
- 配偶者からどのような扱いを受けているのか
- どんな症状が現れているのか
を明確に伝えるようにしましょう。
1-6:⑥DV相談プラスや女性センターなど公的機関への相談履歴
配偶者のモラハラでDV相談プラスや女性センターなど公的機関に相談した場合、その相談履歴は有効な証拠となる可能性があります。
これらの機関に相談した内容は、必ず相談票などの書面として保管されているため、日記やメモなどその他の証拠と照らし合わせることで、モラハラの事実を証明する証拠になり得ます。
2章:モラハラの証拠を集めて離婚できるケース
モラハラの証拠を集めて離婚できるケースとして、次の2つがあげられます。
- 話し合いで離婚の合意が得られた場合
- 離婚裁判で「離婚事由」が認められた場合
それぞれ解説します。
2-1:話し合いで離婚の合意が得られた場合
モラハラの証拠を集めて離婚できるケースとしては、相手との話し合いで離婚の合意が得られた場合は離婚(協議離婚)できます。
協議離婚は、どのような理由でも、どのような条件でも離婚できますが、モラハラを繰り返す配偶者が、簡単に離婚に応じてくれるとは限りません。
また、離婚を切り出した場合、あなたにとって不利な条件を強要してくる可能性もあります。
そのため、モラハラ配偶者とは、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停の場でお互いに合意し離婚手続きを進めることをおすすめします。
離婚調停では、裁判官や調停委員が第三者として間に入るだけでなく、調停委員による聴き取りも夫婦別々に行われることが一般的です。
そのため、モラハラの場合も、お互いが感情的になることなく、話し合いがスムーズに進みやすいというメリットがあります。
2-2:離婚裁判で「離婚事由」が認められた場合
離婚調停でも夫婦間の合意が得られなかった場合、裁判所に訴状を提出し離婚訴訟を申し立てることができます。
離婚裁判では、民法770条第1項に定められている「離婚事由」が存在するか裁判所が判断します。
離婚裁判によって、
- モラハラの具体的な内容
- モラハラによってあなたが被った被害の内容
が離婚事由にあたると認められた場合は、裁判上の和解や判決によって離婚が認められます。
配偶者のモラハラは、下記の法定離婚事由の内「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると考えられます。
【離婚事由】
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
(民法770条1項各号)
離婚裁判では、証拠を基に民法で定める法定離婚事由があることを主張しなければならないため、弁護士への依頼が必須となります。
3章:モラハラ離婚で請求できる慰謝料相場
配偶者のモラハラが原因で離婚する場合は、モラハラの加害者である配偶者に対して、慰謝料を請求できます。
モラハラの慰謝料相場は、50万円〜300万円程度が目安とされていますが、次のような点を考慮して決められます。
- モラハラの程度や内容
- モラハラの被害を受けていた期間
- モラハラの被害者側に非があるかどうか
- モラハラにより精神疾患を発症したかどうか
例えば、モラハラの程度や内容が悪質だったり、被害を受けていた期間が長かったりした場合は、慰謝料が増額される可能性があります。
一方、被害者側にも非がある場合は、その程度に応じて減額されます。
どの程度の額が、モラハラの慰謝料として適切なのかは、判断が難しいため、弁護士などの専門家に相談しましょう。
4章:モラハラで離婚する場合にやるべきこと
配偶者のモラハラが原因で離婚する場合、モラハラの証拠を集めるだけでなく、次の3つのやるべきことがあります。
- 財産分与や慰謝料などを請求する準備をする
- 離婚後の生活の準備をする
- モラハラ離婚に強い弁護士に依頼する
それぞれ解説します。
4-1:財産分与や慰謝料などを請求する準備をする
離婚時には、慰謝料を含めて次のようなお金を請求できます。
- 婚姻費用
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
- 年金分割
- 公的な助成金
そのため、あなたにとって有利な形で離婚するためには、これらを請求するための周到な準備が必要です。
もし、感情に任せて離婚を切り出し何の準備もなく離婚した場合は、次のような問題が残る可能性があります。
- 財産が正当に分配されない
- 慰謝料を払ってもらえない
- 親権を得られない
- 養育費を払ってもらえない
このような問題が起これば、離婚後の生活にも大きな影響を及ぼします。
そのため、モラハラの証拠以外にも、次のような資料を事前に集めておくことが重要です。
- 預貯金通帳(通帳のコピー)
- 所得を証明する書類(給与明細、確定申告書類など)
- 不動産登記簿
- 証券口座の明細
- 生命保険に関する書類
- 夫の会社の就業規則の規定や現在の退職金支給実態
- 厚生年金保険料の支払い実績(標準報酬)
4-2:離婚後の生活の準備をする
配偶者のモラハラが原因で離婚する場合、離婚後に備えて計画を立てておくことが大切です。
具体的には、
- 住居の確保
- 当面の資金、仕事の確保
- 子どもの養育
この3つについて、計画し準備する必要があります。
それぞれ説明します。
■住居の確保
離婚に先立って、別居するのが身の安全を守るためにも有効ですが、いつどこに引っ越すか相手にバレないように計画し実行することが大切です。
■当面の資金、仕事の確保
別居後の生活費は、婚姻費用として相手に請求できるとは言え、相手に支払わせるためには、調停手続きが必要になることも多いため、当面の資金は確保しておく必要があります。
引っ越しの費用、引っ越し先の物件の費用、生活費なども考えると、少なくとも100万円単位のお金を用意したいところです。
さらに離婚成立後は、相手の収入に頼ることなく生活しなければならないので、専業主婦の方であれば仕事を見つける必要があります。
■子供の養育
子供を連れて別居する場合は、子どもの面倒をどう見るのか、学校はどうするのかといったことも検討しなければなりません。
こうした計画を、モラハラ被害を受けるなか一人で冷静に立てることはなかなか難しいので、弁護士などの専門家に相談しながら着実に進めていきましょう。
4-3:モラハラ離婚に強い弁護士に依頼する
配偶者のモラハラを理由に離婚するには、モラハラの証拠を集めておくことが最も大切ですが、具体的にどういう証拠を集めるのが有効なのかは、モラハラの状況によって異なります。
自分ではモラハラの有力な証拠だと思って集めても、専門家から見れば、証拠として弱いこともあります。
そのため、証拠の集め方については、モラハラ離婚に強い弁護士に相談することが大切です。
また、モラハラを日常的に行うような配偶者との離婚の場合、
- 相手が感情的になり話し合いが進まない
- 相手のモラハラ的な行動がエスカレートする
- 交渉における精神的ストレスが大きい
- 離婚後も慰謝料を踏み倒そうとする、などのトラブルに発展しやすい
といった様々な問題が発生するリスクがあります。
弁護士に依頼すれば、依頼後の交渉や裁判などの離婚手続きを代わりに行ってくれるため、手間、時間、精神的ストレスを最小限にすることができます。
また、離婚後に起こり得るトラブルに対しても、弁護士であれば対応可能です。
まとめ:モラハラで離婚するときの証拠とやるべきこと
■モラハラで離婚するときの証拠としては、次の6つがあげられます。
- モラハラを記録した日記やメモ
- モラハラを録音・録画したデータ
- モラハラ配偶者からのメールやSNSのやりとり
- 家族や親族、友人の証言
- 精神科などの診断書や通院履歴
- DV相談プラスや女性センターなど公的機関への相談履歴
■モラハラの証拠を集めて離婚できる2つのケース
- 話し合いで離婚の合意が得られた場合
- 離婚裁判で「離婚事由」が認められた場合
■モラハラの慰謝料相場は、50万円〜300万円程度が目安
■モラハラで離婚する場合にやるべきこと
- モラハラの証拠を集める
- 財産分与や慰謝料などを請求する準備をする
- 離婚後の生活の準備をする
- モラハラ離婚に強い弁護士に依頼する
配偶者のモラハラで悩んでいる場合は、早めに弁護士に相談し、状況を改善させるための一歩を踏み出しましょう。