【不倫相手への接触禁止】示談書の内容や違約金、注意点を弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- 不倫相手への接触禁止とは?内容と示談書の条項
- 接触禁止条項を入れるための条件
- 不倫相手への接触禁止条項を定めるメリット
- 接触禁止を定める際の注意点
あなたは、
- 不倫相手への接触禁止とはなにか?
- 不倫相手に接触禁止を守らせるにはどうすればいい?
- 示談書に接触禁止条項を入れるための条件を知りたい
などとお考えではありませんか?
不倫相手への接触禁止とは、不倫相手と示談する際に、今後配偶者との接触などのコミュニケーションを禁止することをいいます。
不倫の再発防止を目的として定めるもので、不倫相手との示談書に記載する条項の1つとして含めることが多いです。
ただし、接近禁止条項を定めるには、不倫した配偶者と離婚せずに婚姻生活を続けることや、不倫相手と配偶者の双方が合意するといった条件も必要です。
そこで、この記事では、
1章では、不倫相手への接触禁止とは?内容と示談書の条項
2章では、接触禁止条項を入れるための条件
3章では、不倫相手への接触禁止条項を定めるメリット
4章では、接触禁止を定める際の注意点
について詳しく解説します。
この記事を読んで、不倫相手への示談書に接触禁止条項を入れるための条件や具体的な内容、メリットや注意点をよく理解して、役立ててください。
目次
1章:不倫相手への接触禁止とは?内容と示談書の条項
不倫相手への接触禁止とは、不倫関係の再発防止を目的として、不倫相手に配偶者との接触やコミュニケーションを禁止することをいいます。
主に、不倫慰謝料の話し合いの場で双方が合意するときに、接近禁止条項を示談書に盛り込むことが一般的です。
しかし、配偶者に隠れて接触するおそれもあるため、接触禁止条項を破ったときの違約金を定めることも検討した方がよいでしょう。
そこで、この記事では、
- 不倫相手の接触禁止の具体的な内容
- 示談書の接触禁止条項
- 接触禁止条項を破ったときの違約金
- 示談書は書面で残すことが重要
それぞれ解説します。
1-1:不倫相手の接触禁止の具体的な内容
不倫相手への接触禁止を求める際は、不倫相手と交渉して示談書を作成し、そのなかに接近禁止を約束させる内容を盛り込むことが一般的です。
不倫した配偶者との婚姻期間中に、不倫相手が正当な理由もなくプライベートで、配偶者に連絡や接触することを認めない条項を示談書に明記します。
1-2:示談書の接触禁止条項
示談書に明記する接触禁止条項の例として、次のようなものがあげられます。
第◯条(関係解消)
乙は、丙との不貞関係を完全に解消し、合理的理由なく丙に連絡(面会、電話、電子メール、SNS、第三者を介した連絡などの一切を含む)、接触してはならない。
※不倫相手を乙、不倫した配偶者を丙とした場合
不倫相手と不倫した配偶者のすべての連絡・接触を絶つことができれば一番よいですが、外出先でばったり会う可能性も考えられます。
また、不倫相手のみが不倫慰謝料を支払った場合は、求償権を行使して不倫慰謝料の一部の支払いを、不倫した配偶者に求めるために連絡してくることもあるでしょう。
こうした場合は、故意に接触禁止の約束を破ったわけではないため、条項には「合意的理由のない連絡・接触を禁止する」とするのが妥当です。
1-3:接触禁止条項を破ったときの違約金
接触禁止条項は、禁止する文言のみを明記するのではなく、接触禁止条項を破ったときの違約金についても明記することが重要です。
違約金については、「50万円」などのように具体的な金額を定めることがポイントになります。
示談書に、接近禁止条項に関する違約金を明記して双方が合意することで、再接触した際には、不倫相手が違約金を支払うことに同意しているとみなされるからです。
ただし悪質な相手方の場合、「違約金を払えば接触しても良い」などと捉えかねないため、必ず違約金を明記しなければならないわけではなく、ケースバイケースの判断が必要になります。
1-4:示談書は書面で残すことが重要
接近禁止条項と違約金に関する内容を定めた示談書は、書面にして残すことが重要です。
口頭のみのやり取りの場合、後々言った・言わないのトラブルに発展するおそれがあるためです。
書面にする際は、同じものを2部作成して、1部は加害者である不倫相手、もう1部は被害者である不倫された配偶者が保管するのが望ましいでしょう。
また、不倫相手が書面の示談書を破棄することも考えられるため、接近禁止を約束した証明として残す場合は、公正証書を作成することもオススメです。
2章:接触禁止条項を入れるための条件
接触禁止条項を示談書にいれるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
主な条件には次のようなものがあげられます。
- 話し合いで解決する
- 不倫した配偶者と婚姻関係を継続する
- 接触禁止条項の内容に双方が合意する
それぞれ解説します。
2-1:話し合いで解決する
不倫相手との交渉の際は、話し合いで解決することが必要です。
不倫慰謝料を請求する方法には、調停や裁判などがありますが、裁判で判決が下される場合は、接近禁止条項を入れることができないためです(裁判の中で和解をすれば、接触禁止条項を入れることも可能です)。
そのため、接近禁止条項を入れるためには、話し合いでの合意が必要になります。
2-2:不倫した配偶者と婚姻関係を継続する
不倫した配偶者ともう一方の配偶者が婚姻関係を継続することも、接触禁止条項を入れるために必要な条件です。
不倫した配偶者と離婚する場合、不倫相手との接触を禁止する必要性がないからです。
そのため、不倫した配偶者と離婚した場合は、接触禁止条項の効力は及ばなくなります。
2-3:接触禁止条項の内容に双方が合意する
接触禁止条項を入れるためには、不倫相手との間でお互いの合意が必要です。
不倫された被害者だけが希望しても、加害者である不倫相手が合意しない場合は強制することはできません。
そのため、どうしても接触禁止条項を入れたい場合は、話し合いによる説得が必要です。
3章:不倫相手への接触禁止条項を定めるメリット
不倫相手への接触禁止条項は、定めることで不倫の再発防止などのメリットがあります。
不倫した配偶者との関係修復にも、ポジティブな影響を与えるでしょう。
- 不倫の再発防止ができる
- 夫婦関係を修復しやすくなる
- 再度不倫したときに慰謝料請求しやすくなる
それぞれ解説します。
3-1:不倫の再発防止ができる
接近禁止条項を定める最大のメリットとして、不倫の再発防止があげられます。
不倫の当事者同士が約束を守っている限り、同じ不倫相手との復縁は難しくなるからです。
3-2:夫婦関係を修復しやすくなる
接触禁止条項に双方が同意し、双方が約束を守ることで夫婦関係を修復しやすくなります。
不倫された配偶者は、夫婦関係の修復を妨げるものがなくなり、再度、不倫した配偶者と向き合うきっかけになるでしょう。
不倫した配偶者としても、不倫相手と縁を切り、家庭に戻りやすくなります。
3-3:再度不倫したときに慰謝料請求しやすくなる
接近禁止条項に同意した不倫相手と再度不倫した場合は、慰謝料請求しやすくなります。
接近禁止条項の中に違約金を盛り込んでおけば、違約金を請求できますし、違約金条項がなくても接触禁止に違反したことは慰謝料の増額事由になる可能性があります。
さらに、不貞行為の存在まで立証できなかったとしても、接触禁止条項があれば、連絡を取り合っていた時点で違反が認められます。
4章:接触禁止を定める際の注意点
接触禁止を定める際は、不倫相手との交渉次第で慰謝料の減額を求められるなど、いくつか注意したいことがあります。
また、接近禁止の約束を破ったときの違約金を含め、明確かつ実現可能な内容を盛り込むことも意識しなければなりません。
- 不倫相手から慰謝料減額を求められる可能性
- 違約金を定めないと効果がない場合もある
- 禁止条項は明確かつ実現可能な範囲にする
それぞれ解説します。
4-1:不倫相手から慰謝料減額を求められる可能性
接近禁止条項を示談書に盛り込む場合、接近禁止条項に同意する代わりに、不倫相手から慰謝料減額を求められる可能性があります。
不倫相手から見れば、法的義務のない接触禁止条項を受け入れるため、その分の見返りを求める場合もあるのです。
接触禁止条項との交換条件として慰謝料減額を受け入れる場合は、希望よりも低い慰謝料金額で示談する場合もあるでしょう。
4-2:違約金を定めないと効果がない場合もある
接近禁止条項に、約束を破ったときの違約金について定めなかった場合、効果がないか半減するおそれがあります。
接触を禁止しただけの場合、不倫された配偶者に隠れて密会しても、直ちに慰謝料の支払義務が発生するとは限らないためです。
そのため、違約金について具体的な金額を明記することが重要になります。
ただし悪質な相手方の場合、「違約金を払えば接触しても良い」などと捉えかねないため、必ず違約金を明記しなければならないわけではなく、ケースバイケースの判断が必要になります。
4-3:禁止条項は明確かつ実現可能な範囲にする
接触禁止条項の内容は、明確にすることはもちろん、実現可能な範囲に定めなければなりません。
たとえば、一切の接触を禁止したとしても、外出先などで偶然会う可能性はあります。
また、不倫相手が同じ職場なら、理由を問わず一切接触しないようにする、といった条件では、不倫相手が納得しない場合もあります。
接触する手段は多岐にわたるため、それらを明確に記載することは手間がかかりますが、「正当な理由なく、電話、メール、SNS等方法の如何を問わず接触しない」といった表現でも、禁止の範囲を特定することは可能です。
不倫相手に納得してもらうためも、できる限り明確にする必要があるでしょう。
まとめ:不倫相手への接触禁止は違約金を定め書面に残すことが重要
不倫相手への接触禁止は、不倫相手が配偶者と、電話や電子メール、SNSなど複数種類の手段で、接触を禁止することを指します。
示談書に明記する際は、接触禁止の内容のみならず、約束を破ったときの違約金や、具体的な金額を明記し、公正証書などの書面で残すことが大切です。
書面で残す場合は2部作成し、加害者である不倫相手と不倫された被害者が、それぞれ保管することが望ましいです。
■接触禁止条項を入れるための条件
- 話し合いで解決する
- 不倫した配偶者と婚姻関係を継続する
- 接触禁止条項の内容に双方が合意する
■不倫相手への接触禁止条項を定めるメリット
- 不倫の再発防止ができる
- 夫婦関係を修復しやすくなる
- 再度不倫したときに慰謝料請求しやすくなる
■接触禁止を定める際の注意点
- 不倫相手から慰謝料減額を求められる可能性
- 違約金を定めないと効果がない場合もある
- 禁止条項は明確かつ実現可能な範囲にする
この記事の内容を参考にして、不倫相手に接触禁止を求める際の条件などを把握して、示談書の内容と条項を役立ててください。