- 2017.11.16
- 2024.11.20
- #名ばかり管理職
名ばかり管理職チェックリスト!問題点と残業代の請求方法を弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- 名ばかり管理職とは
- なぜ会社は名ばかり管理職をつくる?
- 名ばかり管理職が残業代を請求するための注意点
- 「名ばかり管理職」から抜け出す3つの方法
「管理職に昇進した!」
本来喜ばしいはずの出来事ですが、現代においては、一概に良いこととは言えなくなってきました。
なぜなら、現代日本では「名ばかり管理職」がはびこっているからです。
名ばかり管理職になると、責任や勤務時間は増えるのに、給料が変わらない、残業代が出ない、という事態に陥ってしまいがちです。
ブラック企業は、「君には期待しているから管理職に任せよう」と言いながら、その実「管理職という名前さえつけておけば、残業代支払わないでいいからラッキー」とほくそえんでいるのです。
今回は、自分が「名ばかり管理職」ではないか、と考えている方むけに、名ばかり管理職の定義、会社が名ばかり管理職をつくるワケを解説します。
名ばかり管理職にあてはまる場合、不当に支払われなかった残業代を取り返すことも可能です。
名ばかりの管理職として不当に労働力を搾取されないための知識を記載しました。
あなたの武器になる知識をチェックしてみてください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■名ばかり管理職とは
名ばかり管理職とは、「管理職という名前はついているが、残業代を支払わなくてもよいほどの権限を持つ管理職ではない」ポジションのこと。
■残業代を支払わなくてもよい管理職とは、管理監督者のこと
管理監督者とは、以下の3つの要素をすべて満たす人のこと。
- 経営者に近い責任・権限
- 自由な労働時間
- 残業代をもらう必要がないほど高い待遇
この要素を1つでも満たしていないなら、管理監督者ではなく「名ばかり管理職」。
■名ばかり管理職は残業代が請求できる
ブラック企業は、社員を名ばかり管理職にして、残業代を支払わずに済ませようとする。
しかし、名ばかり管理職であれば未払い残業代が請求可能であるため、行動を始めることが大事。
1章:名ばかり管理職とは
これを読んでいるみなさんは、自分が「名ばかり管理職」ではないか、と考えている方が多いかと思います。
まずは名ばかり管理職の定義について解説していきます。
1-1:名ばかり管理職の定義・問題点
1-1-1:定義
名ばかり管理職とは、「管理職という名前はついているが、残業代を支払わなくてもよいほどの権限を持つ管理職ではない」ポジションのことです。
というのは、法律上、会社のサービス、採用などに大きな裁量をもった管理職は管理監督者と呼ばれ、管理監督者には、割増賃金(時間外手当,休日手当)を支払う必要がない(なお,深夜手当は支払う必要があります)とされています。
裁判例上,次の4つのうち,一つでも該当しない場合は,名ばかり管理職とされています(つまり,残業代を請求できる。)。
逆に言うと,管理監督者となるためには,下の4つを全て満たしていなければなりません
(ゲートウェイ21事件東京地方裁判所平成20年9月30日判決)。
- 職務内容が,少なくともある部門全体の統括的な立場にあること
- 部下に対する労務管理上の決定権等につき,一定の裁量権を有しており,部下に対する人事考課,機密事項に接していること
- 管理職手当等の特別手当が支給され,待遇において,時間外手当が支給されないことを十分に補っていること
- 自己の出退勤について,自ら決定し得る権限があること
です。
わかりにくいので,かみ砕いて言うと
①は,文字どおり一つの部門を取りまとめる人であること。
例えば,一つの支社の組織上最上位にある人です。
②は,採用の決定権限を有していたり,人事上の評価をして給料を決めたり,解雇したりする権限を有することです。
ただ単に,採用面接に参加していただけでは,採用の決定権限があるとはみなされません。
③これは,残業をいくらしても残業代が払われなくてもよいほどの好待遇であるかという話です。
役員より圧倒的に低い賃金では管理監督者とはされないようです。
裁判例では,月給40万という給与額では,優遇されていないといえるでしょう
(スタジオツインク事件東京地裁平成23年10月25日判決)。
裁判例では,上場企業の部長クラスの平均年収(約1044万円)を超える年収1250万円の年俸の人でも,名ばかり監督者とされた事例があります
(HSBCサービシーズ・ジャパン・リミテッド事件東京地裁平成23年12月27日判決)。
④は,自分の勤怠について自由であり,会社に勤怠を報告する義務がないということです。
タイムカード等で時間を管理されているのであれば,名ばかり管理職である可能性が高いです。
また,仕事上,長時間労働を余儀なくされるような状況であれば,労働時間に裁量はないとされやすいです。
つまり、経営者と一体的な立場にない管理職には残業代が支払われる必要があるのです。
1-1-2:問題点
名ばかり管理職に就任させることにより、従業員に責任だけ押し付け、不当に安い賃金でこき使うという問題が発生しています。
1-2:名ばかり管理職とされた過去の裁判例
①インフォマーシャル作成の従業員兼取締役(スタジオツインク事件東京地裁平成23年10月25日判決)
「取締役として役員会に出席」していたのであり,管理監督者であるという主張が会社からされました。
しかし,裁判所は,役員会に出席していたといっても,所属部門の業務の進捗状況を報告する程度であり,社長に対する監督権限を行使していないことを重視し,重要な権限を有していないと判断しました。
また,月収40万円では,好待遇とはいえないとしました。
この社員は,取締役でありながら,個々のCM作成のプロデューサー,プランナーといった現業業務に忙殺されており,プレイヤーとしての要素が強かったのが,勝訴につながっています。
②留学商品販売の銀座支社長(ゲートウェイ21事件東京地方裁判所平成20年9月30日判決)
この事件では,新宿支店と肩を並べるほどの上級の支社である銀座支社の最上位者について,名ばかり管理職とした判例です。
この社員は,支社長会議に出席しておりましたが,支社長会議に最高経営会議といった性格はなく,支社長会議の決定権限もありませんでした。
この会議では,社長からの訓示や営業成績の叱咤激励がされるだけのものでした。
支社の採用について面接に立ち会ったりしておりますが,採用ついては,本社にうかがいを立てなければならず,決裁されないこともありました。
部下のシフト表を作成していたのですが,シフト作成は早番遅番を割り振るだけで,裁量は小さいとされました。つまり,部下のシフト表作成については裁判所は会社有利に判断しません。
そして,自分の出退勤について,会社に報告することになっていました。
以上から,管理監督者性を否定しました。
③銀行の支店長代理(静岡銀行事件静岡地方裁判所昭和53年3月28日判決)
銀行の支店長代理とされておりましたが,
- 毎朝出勤時に出勤簿に押印することが義務付けされていたこと
- 遅刻すれば懲戒解雇されることになっていたこと
- 銀行の機密事項に関与したことは一度もないこと
以上から,名ばかり管理職とされました。
④外資系銀行のバイスプレジデント
年収が1250万円であり,上場企業の部長クラスの平均年収を超えるものでした。しかも,タイムカードによる管理もされておらず,遅刻や欠勤で給料が減らされたりしないような人でした。
業務上の裁量権も十分でした。
しかし,判例は,この社員の所属部門が,支社の6つの部門の一つの,その中のインターネットバンキングサービスという限定された業務についての裁量しか有していないことに着目しました。
そして,何より,この社員には,部下がいませんでした。
そこで,会社が業務に裁量があると主張してきたのに対し,判例は,裁量があってもそれは自分の担当業務の処理をする裁量に過ぎず,会社のある部門を統括するような裁量ではないと判断したのです。
⑤不動産事業部の部長
社員の採用が社長の権限であり,この社員に労務管理権限はないこと,タイムカードで労働時間を管理されており,営業現場への直行・直帰も申請書を提出しなければならないことから,名ばかり管理職と判断しました。
⑥ソフトウェア開発の上級プロジェクトマネージャー(エス・エー・ディー情報システムズ事件東京地方裁判所平成23年3月9日判決)
月収45万円で,ほかの従業員より高収入で,しかも出退勤が自由であったのに,名ばかり管理職となった事例。
しかも,部下の月間実績報告書の点検と確認をしており一定の労務管理までしていた。
判例は,
- ほかの従業員が接することができない機密事項に接していないこと
- ほかの従業員も出勤時間が一定でないこと
等に着目して,名ばかり管理職としました。
⑦飲食店の店長(日本マクドナルド事件東京地方裁判所判決平成20年1月28日)
アルバイトの採用・時給の決定権限や開店時刻を決める権限があった
シフト表作成もできた。
店の支出の決裁権限があった。
しかし,名ばかり管理職とされました。
お店独自のメニュー開発や,原材料仕入れ先や商品の価格の決定はできないことを重視し名ばかり管理職とされました。
⑧コンビニの店長
アルバイトと業務内容が大差ないことから名ばかり管理職とされました。
しかも,残業代が出されていた,アルバイトの方が年収が高かったことも重視されました。
⑨統括運行管理者(WILLER EXPRESS西日本事件東京地判平成25年4月9日)
労働時間に裁量があるとされていたが名ばかり管理職とされた。
自由に自己判断で帰宅できなかったことを重視。
⑩学習塾の営業課長(育英社事件 札幌地判平成14年4月18日)
この事例では
営業課長は,人事管理を含めた運営に関する管理業務全般の事務を担当しておりました。
しかし,裁判所は
裁量的な権限が認められていなかったこと
出退勤について、タイムカードへの記録が求められ、他の従業員と同様に勤怠管理が行われていたこと
給与等の待遇も一般従業員と比べてそれほど高いとはいえなかったこと
に着目し,管理監督者性を否定しました。
1-3:チェックリスト
どうでしょうか。
ブラック企業は,残業代の請求をするとお題目のように,「管理監督者だから残業代を払わない」と言ってきます。
しかし,裁判例をくまなく探しても,管理監督者であると認められた事例は極めて少ないのです。
以上のような,裁判例を研究し,あなたが名ばかり管理職であるかどうかのチェックリストを作りました。
以下の一つでも該当したら,名ばかり管理職の可能性が高いので,専門家にご相談ください。
<チェックリスト>
(給料)
□年収700万円以下の給料
□自分より給料が高い社員がいる。
□残業代が出るバイトの方が給料が高い
□役員より,圧倒的に給料が低い。
□給料は高いが,役職自体ではなく,仕事の成果に応じて支払われている。
(人事)
□採用に関わらない。
□面接に立ち会いはするが,採用の決定は上司がする。
□推薦はしたことはあるが,上司に却下されたことがある。
□部下のお給料を決めたり,クビにしたりできない。
□部下の労務管理に関する機密事項に接していない。
□部下のシフト表を作成しない。
□シフト表を作成するが,遅番と早番を決めるだけ。
□部下がいない。
(組織図)
□自分より上の役職がある。
□自分の役職が会社内では数が多い。
(会議)
□経営会議に参加したことはない。
□会議に参加しても,成績を報告するだけ。
(権限)
□原材料の仕入れ先を決める権限はない。
□商品・サービスの内容を決める権限はない。
□商品・サービスの価格を決める権限はない。
□店の支出の権限もない
□店の支出について権限あるが,小口のものについてしかない。
(労働時間)
□タイムカード等での管理あり。
□会社に勤怠を報告する義務がある。
□遅刻や欠勤で評価が下がる。
□プレイングマネージャーであり,マネジメント業務が7割にも満たない。
□出退勤が自由とされてはいるが,長時間の残業を余儀なくされ,実際のところは自由がない。
2章:なぜ会社は名ばかり管理職をつくる?
2-1:会社が名ばかり管理職をつくるワケ
なぜ会社は名ばかり管理職をつくるのでしょうか?
形だけの管理職をつくる理由はただひとつ、長時間、できるだけ安く社員を働かせ利益を出すためです。
残業を無制限にさせておいて、残業代を支払わないというのは、明らかに違法行為があり、誠実な企業が行うことだとは思えません。
名ばかり管理職をつくり、不当に長時間働かせる企業は、典型的なブラック企業だと言えるでしょう。
ブラック企業は、あなたが法律について知識がないと高をくくっており、法律の抜け道を探し、従業員を長時間働かせています。
従業員側も、「権限のない管理職だけれど、残業代が出ないのは皆同じだし」と、残業代が支払われないことに不満を感じつつも、受け入れてしまっていることが多いのが実情です。
そのため、名ばかり管理職をつくり残業代を支払わない企業は減ることがありません。
2-2:名ばかり管理職は違法である
しかし、形式だけ管理職にそえて、残業代を支払わない行為は違法行為です。
時間外、休日及び深夜の割増賃金については、法律で定められています。
管理監督者ではない「名ばかり管理職」の場合、この法律に従わなければなりません。
2-3:管理監督者と主張する会社の言い訳リスト
- 会議に参加していた。
- お給料が多い
- 面接に参加していた。
- ほかの会社との折衝を,会社を代表して行っていた
↓
↓
これらは,全部会社の勝手な主張です!
これらを会社に言われたところで,直ちに管理監督者にはなりません!
これらを言われても,1-3のチェックリストで自分が管理監督者であるかチェックしてください。
3章:名ばかり管理職が残業代を請求するための注意点
3-1:必要なのは証拠集め
上記でみてきたように、名ばかり管理職の場合、残業代を請求することができます。
残業代請求には証拠が必要です。
① 残業の証拠
証拠としては、勤怠を管理するタイムカードなどが当てはまります。
★残業の証拠例★
- タイムカード
- 日報
- 業務メール
- シフト表
※タイムカードや日報は、原則3年分必要ですが、どうしてもすべて入手できない場合は半月分でもよいので、コピーをとるか、スマホで撮影するなどしておきましょう。半月分しかない場合は、それを使用し、推計計算します。
※タクシーやトラックの運転手の方の場合、「タコグラフ」「アルコールチェック」なども証拠になります。
名ばかり管理職になった場合、勤怠管理されていない人が極めて多いため、積極的に証拠集めを行いましょう。
勤怠管理以外の証拠としては下記のようなものが挙げられます。
- 日記・メモ(メモをとる際は、何時~何時まで勤務したか、仕事内容と時間などをできるだけ毎日メモしておきましょう)
- ICカード(PASMOなど)
- 会社内の時計をスマホで撮影
- PCの利用履歴
- 家族とのメール
- セキュリティーカード(後日,警備会社にセキュリティカードの利用状況を開示させる必要があるので,ID等とメモしておくとよいでしょう)
- 開店時刻と閉店時刻(名ばかり店長の場合,店長は開店時刻までに店におり,閉店時刻まではいる可能性が高いため,開店時刻と閉店時刻が残業時間の証明に役に立ちます。)
【弁護士が解説】残業代をアップさせる証拠一覧と集め方マニュアル
なお,ブラック企業は,「管理監督者だから,タイムカードなどで勤怠管理していない」と言い訳をよくします。
しかし,ブラック企業のこの反論は間違いです。
なぜなら,仮に(百歩譲って)管理監督者だとしても,深夜残業は払わなければならないため,時間の管理をする必要があるのです。
また,従業員の健康管理のためにも,労働時間の把握も必要です。
自分の会社の社員の体を預かる会社でありながら,社員の健康を鑑みず,勝手に名ばかり管理職と扱い,労働時間を管理しないことは極めて悪質といえましょう。
このような,勤怠管理をしていない会社については,裁判所は会社に厳しい判断を下す傾向にあります。
証拠がないからと言って,社員の皆さんが泣き寝入りする必要がないのです。
残業代をきちんと請求してしまいましょう!
② 名ばかり管理職であることの証拠
- 契約書
権限や業務の内容が,強大でないことの証拠になります。 - 会議の議事録や報告書
「会議に参加していた」というブラック企業への対抗のために,自分に実質的な決定権はないことを示す重要な証拠になります。 - 組織図
自分が会社全体でどのくらいの位置にいるのかを示します。 - 業務メール
本当に管理監督者であれば,労働時間について指示を受けませんので,業務について指示されるメールが存在すれば名ばかり管理職になりましょう。 - 給与明細
遅刻や欠勤でお給料が減額されている場合,名ばかり管理職である重要な証拠となります。 - 自分より上の役職の給料のわかるもの
給与規定などがそれにあたります。
また,社内に労働組合があるなら,役職ごとの給料の分布を聞いてみましょう。
3-2:できるだけ早く行動を!タイムリミットは3年
証拠を集め終わったら、いざ残業代請求です。
注意していただいたたいのは、残業代を請求できる期間には限度がある、ということです。
残業代は過去3年分までしか、請求できません。つまり、3年前の残業は時効となってしまうのです。
より多く残業代を請求するためにも、時効を迎えてしまう前に、気が付いた時点ですぐに請求の手続きをするのがよいでしょう。
3-3:実際に請求する方法
3-3-1:自分で請求する
残業代の請求を自分で行いたい、という場合には、内容証明を送付するのがよいでしょう。
※内容証明とは
手紙の一種。差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる。
3-3-2:弁護士に依頼する
自分で請求することも可能ですが、個人での請求は会社から軽く見られ、とりあってもらえないケースも散見されます。
やはり、一番の近道は弁護士などの専門家に依頼することでしょう。
「弁護士に依頼するなんてなんだか怖い」
と身構えている方も多いと思います。
「弁護士に相談→裁判で何年も争う」というイメージがあるからでしょう。
ですが、実際には弁護士に依頼しても裁判で争うケースはごくわずかなんです。
弁護士に依頼した場合、下記①~③の3つのパターンが考えられます。
- 交渉:弁護士が電話などで会社と交渉。依頼者が会社に出向く必要無し
- 労働審判:裁判所に1~3回(最大で3回)おもむき、裁判官に事実を伝える
- 訴訟(裁判):①、②で決着がつかなかった場合に行われる
実際に、残業代請求において、裁判までいくケースはごくわずかで、多くの場合交渉で決着がつきます。
4章:「名ばかり管理職」から抜け出す3つの方法
4-1:会社に相談する
会社に相談できる状態であれば、総務や人事に相談してみましょう。
ですが、会社に直接は言いにくい、という方もいらっしゃると思います。
そういった場合は、労働基準監督署や弁護士などの専門家を通しましょう。
4-2:労働基準監督署に訴える
「名ばかり管理職」として不当に長期労働を押し付けられ、残業代が支払われていない場合、労働基準監督署に訴えることで、事態が改善する可能性があります。
明らかな違法行為があると疑われる場合、監督官には、会社を捜査し、検察に送致するという、きわめて大きな権限があります。
労働基準監督署は、各都道府県に設置されているので、勤務地のある監督署に連絡してみましょう。
労働状況が改善されたり、場合によっては残業代が返ってくる可能性もありますが、可能性は高くないと言えます。
なぜなら、
- 監督官の数は基本的に足りていないため、忙しすぎてきちんと対応してくれないことが多い。
- 弁護士と違い報酬を受け取らないため、一所懸命にならない可能性が高い
からです。
また仮に支払われたとしても、不適切な金額で残業代が支払われてしまった場合、以後きちんとした額を請求してとしても会社が交渉に素直に応じなくなるという傾向もあります。
※全国労働基準監督署の所在案内
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html
4-3:転職する
名ばかり管理職として勤務させる会社は、ブラック企業である可能性が高いです。
そういったブラック企業は、長時間働いたことによってあなたが精神的・肉体的にダメージを受け、働けなくなったと知ると、すぐに使い捨てる傾向があります。
ブラック企業に搾取されないためにも、より人を大切にする会社に転職することも一つの手です。ブラック企業は「お前はダメなやつだから、ここを辞めたらどこも務まらない」などと圧力をかけてくる可能性もあります。
少しでもおかしいと思ったら身近な人に相談し、体調を壊す前に、長時間労働から脱する方法を考えましょう。
もちろん在職中でも堂々と残業代を請求すべきですが、転職を決意された場合は得に、気兼ねなく勤め先の会社に残業代を請求できると思います。
転職を決意された場合は、退職金代わりに、残業代を請求してみましょう。
まとめ:名ばかり管理職について
◆名ばかり管理職と管理監督者は違う
◆管理監督者でなければ、残業代はきちんと支払われるべきである
◆残業代には3年の時効がある
◆支払われていなかった残業代は取り戻すことができる
◆名ばかり管理職から抜け出す方法として、労働基準監督署などに訴えることもできる
ことがお分かりいただけたと思います。
名ばかり管理職は、ブラック企業が従業員を長時間、できるだけ安く働かせるために、法の抜け穴を利用しようとした違法行為であると言えます。
チェックリストを使用し、ご自身が名ばかり管理職に当てはまる場合は、一刻も早く現状を変える必要があります。長時間労働、残業未払いが当然と諦めていた方にも、支払わないのは不当であり、あなたには残業代を受け取る権利があることが理解いただけましたら幸いです。