- 更新日:2024.09.27
- #残業時間計算
残業時間と残業代の計算方法やよくある疑問と残業代が少ない時の請求方法
この記事を読んで理解できること
- ケース別に解説!残業代の計算方法とカウントできる残業時間
- こんな場合などうなるの?残業時間に関するよくある疑問
- 残業代が少ない?そんな場合は請求して取り返そう
あなたは、以下のような疑問を持っていませんか?
人によって残業時間のカウント方法が異なるため、残業代の計算方法を調べても「結局、自分の場合はどうやって計算すればいいの?」と思ってしまうこともあると思います。
でも、安心してください。
自分の残業時間がどこからどこまでなのかしっかり把握することで、後は簡単なステップに沿って、簡単に残業代を計算することができるのです。
そこで、この記事では、残業代の計算方法と残業時間のカウント方法について、記事を読みながら一緒に計算できるように、詳しく解説します。
さらに、計算した結果、あなたのもらっている残業代が本来もらうべき残業代より少なかった場合に、会社に請求して取り返す方法について解説します。
もし手元に給与明細などがあれば、ぜひ読みながら計算してみてください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■残業代の基本的な計算式
■残業代の計算の流れ
- 基礎時給を計算する
- 1の結果に適切な割増率をかける
- 2の結果にすべての残業時間をかける
■基礎時給とは
基礎時給=月給÷一月平均所定労働時間(平均170時間前後)
■割増率とは
- 通常の残業:1.25倍
- 法定休日の労働:1.35倍
■残業時間とは
1日8時間を超えた労働時間、もしくは週40時間を超えた労働時間
※みなし残業代(固定残業代)制、歩合制、裁量労働制などで計算方法が異なるため注意
目次
1章:ケース別に解説!残業代の計算方法とカウントできる残業時間
残業代の計算は、以下の式で計算することができます。
しかし、歩合給制やみなし残業代制、変形労働時間制など、勤務形態や給与の支払い形態は人それぞれです。
そのため、人によって残業代の計算方法や、カウントできる残業時間の範囲が異なることがあります。
そこで、
- 一般的な勤務形態の場合
- みなし残業代制の場合
- 歩合給制の場合
- 裁量労働制の場合
- 変形労働時間制の場合
- 年俸制の場合
に分けて、それぞれ解説していきます。
まずは、1-1で基本的な計算方法を紹介しますので、まずは1-1を読んでから、自分の場合の計算方法を解説しているところを読んで欲しいと思います。
1-1:残業代の原則的な計算方法
それでは、まずは残業代の原則的な計算方法から解説します。
【原則的な計算方法で計算できる人の条件】
原則的な計算方法だけで計算できる人の条件は、
- 1日8時間、週40時間のどちらか一方を超える労働時間がすべて残業時間になる
- 残業代が毎月一定額ではなく、残業した時間に応じて支払われる
- 歩合によって残業代が払われる部分がない
などのことで、特殊な雇用形態・給料の支払い形態の人以外の大多数の人は、この原則的な計算方法で残業代を計算できます。
それでは、残業代の計算方法について解説します。
【計算方法】
残業代の計算方法は、どのような給与の支払い形態であったとしても、基本的に以下のステップで計算することができます。
①基礎時給を計算する
まずは「基礎時給」を計算します。基礎時給とは、あなたの1時間あたりの賃金のことで、時給制の人の場合は時給そのまま、月給制の人の場合は、以下の計算式で算出できます。
ここでの「月給」には、以下の手当も含めて計算することができるため、注意してください。
※「一月所定労働時間」とは、あなたの雇用契約で定められている1ヶ月あたりの平均労働時間のことで、一般的に170時間前後であることが多いです。
(例)
- 基本給18万円
- 基本給の計算に入れることができる手当:2万円
- 一月平均所定労働時間170時間
(基本給18万円+2万円)÷170時間=約1176円(基礎時給)
②割増率をかける
次に、基礎時給に割増率をかけます。
割増率とは、残業した時間や法定休日出勤した場合に基礎時給にかけるもので、以下の種類があります。
深夜に働いた場合は、「+0.25倍」の割増率をかけた賃金をもらうことができます。
たとえば、さきほど計算したように、基礎時給が1176円の場合は、
- 通常の残業:1176円×1.25倍=1470円
- 深夜残業:1176円×1.5倍=1764円
- 法定休日労働:1176円×1.35倍=約1587円
- 法定休日の深夜労働:1176円×1.6倍=約1181円
が、1時間あたりの賃金として支払われるということです。
③残業時間をかける
そして、基礎時給に割増率をかけて出た数字(残業1時間あたりの時給)に、1ヶ月の残業時間をかけることで、1ヶ月の残業代を算出することができます。
この場合に、残業時間にカウントできるのは、「1日8時間・週40時間」を超えて働いたすべての時間のことです。
ただし、労働時間としてカウントできるのは、
「使用者の指揮命令下に置かれている」時間
です。
「使用者」とは、簡単に言えばあなたの職場の「上司」や「社長」「店長」などのことです。その使用者から「この仕事をやってくれ」「この時間は働いてくれ」という指示を受けている時間は、すべて残業時間としてカウントされます。
さらに、会社から明らかに「この仕事を残ってやってくれ」と指示されていなくても、
- 就業時間内に終わらないほどの量の仕事を任されている
- 納期が差し迫っていて残業せざるを得ない
などのような、仕事上働かざるを得なかった時間は、「働いた時間」としてカウントされる可能性が高いです。
(画像)指揮命令下の図
そのため、以下の時間も、使用者の指揮命令下に置かれたのであれば、働いた時間としてカウントされます。これらの時間もしっかり残業時間として計算に入れましょう。
- 準備時間:制服、作業服、防護服などに着替える時間、始業前の朝礼・体操の時間など
- 後始末時間:着替え、掃除、清身
- 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
- 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
- 待機時間:トラックの荷待ちの時間
- 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
- 研修:会社からの指示で参加した研修
- 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間
それでは、法定休日の労働や深夜労働がなかった場合として、以下の例で残業代を計算してみましょう。
(例)
- 基礎時給:1176円
- 1ヶ月の残業が80時間
11176円×1.25倍×80時間=11万7600円(1ヶ月の残業代)
このように、1ヶ月の残業代は11万7600円であることが分かります。
もし、同じ条件でこれよりも少ない金額しか残業代をもらっていなかったら、請求することで残業代を取り返せる可能性があります。
さらに、残業代を3年分さかのぼって請求すると考えると、請求金額は合計で、
11万7600円×24ヶ月=423万3600円
にもなります。
1-2:みなし残業代制の場合の残業代の計算方法
次に、みなし残業代制の人の場合の、残業代の計算方法について解説します。
【みなし残業代制に当てはまる条件】
毎月一定の残業に対して、定額の残業代が支払われている(○時間の残業に対し○万円のみなし残業代など)
【計算方法】
みなし残業代制の場合も、計算のステップは同じです。
しかし、最後に、毎月支払われているみなし残業代(固定残業代)を差し引く点で、「1-1」の計算方法と異なります。
①まずは、基礎時給を計算します。
(計算例)
- 基本給18万円
- 基本給の計算に入れることができる手当:2万円
- 一月平均所定労働時間170時間
(基本給18万円+2万円)÷170時間=約1176円(基礎時給)
②割増率をかけて1時間当たりの残業代を計算します。
通常の残業:1176円×1.25倍=1470円
③②に残業時間をかけます。
残業時間にカウントされる部分は、1-1と同じく、1日8時間・週40時間を超えて働いたすべての時間です。
(計算例)
- 基礎時給:1176円
- 1ヶ月の残業が80時間
11176円×1.25倍×80時間=11万7600円(1ヶ月の残業代)
④最後に、③から毎月支払われているみなし残業代を差し引きます。
(計算例)
- みなし残業代が月3万円
11万7600円-3万円=8万7600円
みなし残業代が支払われていたとしても、この場合は月8万7600円の残業代が出なければならないことが分かります。
みなし残業代制について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
みなし残業(固定残業)の違法性を判断する7つのポイントを徹底解説
1-3:歩合給制の場合の残業代の計算方法
歩合給制の場合の残業代の計算方法について解説します。
【歩合給制に当てはまる条件】
- 出来高払制、インセンティブ給制、請負給制などと言われている
- 出来高に応じて給与の金額が変わる
【計算方法】
歩合給制の場合も、1-1の計算ステップと同じく、
- 基礎時給を計算する
- 正しい割増率を把握し、①にかける
- 残業時間を把握し、②にかける
という流れで計算しますが、①の基礎時給の計算方法と、②の割増率のみが基本的な計算方法と異なります。
①基礎時給を計算する
歩合制の場合、
歩合給で算定される賃金の総額を総労働時間数で割ったものが基礎時給となります。
※総労働時間数というのは、所定労働時間と残業時間の合計です。
(計算例)
- 歩合給10万円
- 総労働時間270時間(一月平均所定労働時間170時間+残業100時間)の場合
10万円÷270時間=370円
②割増率をかける
次に、基礎時給に割増率をかけますが、歩合給の場合は「1.25倍」ではなく「0.25倍」をかけます。深夜残業の場合は「0.5倍」になります。
(計算例)
- 歩合給の基礎時給が370円の場合
370円×0.25倍=92.5円
③残業時間をかける
最後に、上記で計算したものに残業時間をかけます。
(計算例)
- 残業100時間の場合
92.5円×100時間=9250円
給与が歩合給のみで支払われている場合は、以上の計算式で出た残業代のみが支払われることになります。
「固定給+歩合給」という形で給与が出ている場合は、まずは1-1の計算式で固定給を計算します。
次に、ここで計算した歩合給部分を足した合計金額を、固定給部分に足すことで、トータルの残業代が計算できます。
歩合給については、以下の記事を参考にしてください。
歩合給制とは?誰でも5分でわかる正しい意味と不当な低賃金への対処法
1-4:裁量労働制の場合の残業代の計算方法
裁量労働制の場合の残業代の計算方法について解説します。
【裁量労働制が当てはまる条件】
何時間働いても、1日の労働時間は決められた「みなし労働時間」のみ(5時間働いても、10時間働いても、その日の労働時間は8時間とみなされる)
【裁量労働制の残業代の計算方法】
裁量労働制の場合も、残業代の計算ステップはこれまでと同じで、以下の計算式で残業代を計算することができます。
- 基礎時給を計算する
- 正しい割増率を把握し、①にかける
- 残業時間を把握し、②にかける
ただし、裁量労働制の場合は、残業代の計算式における③の残業時間のカウント方法のみが異なります。
裁量労働制とは、実際に働いた時間に関係なく、決められた時間働いたと「みなす」制度のことです。
そのため、みなし労働時間が1日8時間と決められていたら、1日何時間働いても、残業時間は発生しないことになります。
ただし、裁量労働制でも残業代が発生するケースもあります。
それは、みなし労働時間が最初から法定労働時間を超えて設定されている場合です。
たとえば、1日のみなし労働時間が「9時間」に設定されていたら、8時間を超える1時間分には、残業代が払われなければなりません。
(計算例)
- みなし労働時間が1日9時間
- 月の出勤が22日
みなし労働時間9時間-法定労働時間8時間=残業時間1時間(1日あたり)
残業1時間×22日=22時間(残業時間)
また、深夜の労働や休日の労働に関しても、割増賃金がもらえる権利があります。
さらに、そもそも裁量労働制が違法に適用されているケースが多くあります。
そのような場合は、1日8時間・週40時間を超えるすべての時間を残業時間にカウントできる可能性があります。
裁量労働制が適用される条件など、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【裁量労働制とは?】弁護士が解説する本当の意味と残業代のカラクリ
1-5:変形労働時間制の場合の残業代の計算方法
変形労働時間制の場合の残業代の計算方法について解説します。
【変形労働時間制に当てはまる条件】
あらかじめ、ある月の中で、特定の週だけ労働時間が短く(35時間など)、その分、他の週の労働時間が長く(45時間など)設定されていることがある
【計算方法】
変形労働時間制の場合も、以下のステップで計算します。
- 基礎時給を計算する
- 正しい割増率を把握し、①にかける
- 残業時間を把握し、②にかける
ただし、変形労働時間制の場合、残業時間のカウント方法のみが通常とは異なります。
変形労働時間制とは、一定の期間を設定し、その期間内の特定の日や週について、法定労働時間を超える所定労働時間を設定することができる制度です。
特定の期間(例えば1か月)の平均所定労働時間が40時間の範囲内となるのであれば、特定の日において、労働時間が一日8時間を超えたり、特定の週において週40時間を超えた残業が可能になる制度です。
通常は「週40時間」を超えて働いた時間は、残業代が払われなければなりませんが、変形労働時間制が正しく適用されていた場合、下記のような場合でも残業代は発生しません。
上の図の場合は、この週の木曜日と金曜日は、1日の労働時間が10時間30分を超えた時間(上図だと21時30分)から残業時間となります。
(例)
- 上の図における木曜日と金曜日のみ、23時まで残業していた場合
(木)の残業1.5時間+(金)の残業1.5時間=週の残業の合計3時間
変形労働時間制について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
変形労働時間制とは?誤解されがちな意味と企業が悪用している時の対処法
1-6:年俸制の場合の残業代の計算方法
年俸制の場合の残業代の計算方法について解説します。
【年俸制が当てはまる条件】
1年間の給与の総額が決められている(年俸400万円など)
【計算方法】
年俸制とは、年単位で賃金の金額を決める制度のことで、これまでと同様のステップで残業代を計算することができます。
- 基礎時給を計算する
- 正しい割増率を把握し、①にかける
- 残業時間を把握し、②にかける
年俸制の場合、残業代の計算式における「基礎時給の計算」のみが異なります。
年俸制の場合は、まずは年俸の金額を12で割り、その金額を一月平均所定労働時間で割って、基礎時給を計算します。
なお、ボーナスの額も含めて年俸額が決まっている場合は、年俸の金額からボーナスを引く必要がありません。
(計算例)
- 年俸400万円
- 一月平均所定労働時間170時間の場合
400万円÷12ヶ月÷170時間=基礎時給約1960円
この基礎時給に、通常通り割増率や残業時間をかけることで、残業代を計算することができます。
年俸制について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
あなたの場合の残業代の計算方法について、理解することはできたでしょうか?
次に、残業時間のカウント方法についてよくある疑問と回答をご紹介します。
2章:こんな場合などうなるの?残業時間に関するよくある疑問
残業時間について、よくある疑問として、
- 日をまたいで働いた場合、その日の勤務時間は何時まで?
- 有給をとった場合は、その分だけ残業時間から引かれる?
- 定時より早く退社した場合は、その週の残業時間はその分増えてもOK?
などがありますので、それぞれについて解説します。
2-1:日をまたいで勤務した場合の残業時間
たとえば、
「午前10時から翌朝の5時まで働いた」
場合に、その日の勤務としてカウントされるのは
「午前10時〜24時まで」なのか、
「午前10時〜翌朝5時まで」なのか、
法律を知らなければ判断に迷うかもしれません。
このような場合は、勤務が継続されている限り、その日の労働・残業時間としてカウントすることができます。つまり、午前10時〜翌朝5時までのすべてが労働時間になるため、定時である19時を過ぎてから翌朝5時までの10時間が残業時間としてカウントされます。
2-2:有給休暇を取った場合は、その分だけ残業時間から引かれる?
残業時間としてカウントされるのは「1日8時間・週40時間」を超えて働いた時間です。
有給休暇を取った場合は、その分が労働時間としてカウントされないため、他の週とは残業時間のカウントが異なることがあります。
(例)
- 月〜金が出勤日
- 月、火に有給休暇取得
- 土曜日に出勤
- 毎日の労働時間は8時間
この場合、土曜日に出勤しても、その週の労働時間は40時間に満たないため、1.25倍の割増賃金は発生しません。
※ただし、労働時間×割増率1.0倍の賃金は発生します。
2-3:定時より早く退勤した場合
定時より早く退勤した場合は、その分その週の労働時間が少なくなるため、その分、その週の残業時間のカウントが異なることがあります。
(例)
- 10時〜19時が定時の会社
- (月)のみ15時に退社した(定時より4時間前に退勤)
この場合、仮に土曜日に8時間出勤したとしても、8時間のうちの4時間は1.25倍の割増賃金は発生しません。
この土曜日は、8時間のうちの4時間が1.0倍の割増率の残業代、残りの4時間が1.25倍の割増率の残業代となります。
最後に、残業代を請求して取り返すための方法について、簡単にご紹介します。
3章:残業代が少ない?そんな場合は請求して取り返そう
この記事を読んで、
「自分の残業代は適正に払われてなかったんだ!」
と思ったあなたは、これから紹介する「残業代を取り返すための方法」をしっかり読んで、会社に請求し、残業代を取り返すことをおすすめします。
残業代を取り返す方法には、
- 自分で請求する
- 弁護士に依頼して請求する
という2つの方法があります。
また、残業代請求には「3年の時効」がありますので、できるだけ早く行動をはじめることをオススメします。
3-1:自分で会社に直接請求する方法
自分で会社に直接残業代を請求する場合、以下のように4つのステップで手続きを進めることになります。
- 残業があった事実を証明するための証拠を収集する
- 未払いになっている残業代を計算する
- 「配達証明付き内容証明郵便」を会社に送って時効を止める
- 自分で会社と交渉する
自分で残業代を請求する方法について、詳しくは以下の記事で紹介しています。
自分で残業代を請求する3つの方法と専門弁護士が教える請求額を増やすコツ
3-2:弁護士に依頼する方法
弁護士に依頼すると、以下のような流れで残業代を回収していきます。
弁護士に依頼した場合、
- 交渉
- 労働審判
- 訴訟(裁判)
という手段によって、残業代請求の手続きが進められます。
弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という精神的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできるのです。
さらに、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼することで、初期費用もほぼゼロにできるのです。
ただし、弁護士に依頼する場合は「弁護士なら誰でもいいだろう」とは考えないでください。
実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いです。
そのため、残業代請求に強い弁護士に依頼することをお勧めします。
残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧になってください。
失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用
3-3:残業代請求を行う上で重要な2つのポイント
最後に、残業代を請求する上で必ず知っておかなくてはならない2つのポイントについて解説します。
3-3-1:まずは自分で証拠を集める
残業代を請求するためには、残業していた事実を証明できる「証拠」が必要です。
残業代請求の証拠として有効なのは、以下のようなものです。
勤怠管理している会社で有効な証拠
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
勤怠管理していない会社で有効な証拠
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
証拠として一番良いのは①です。毎日手書きで、1分単位で時間を書きましょう。
具体的な業務についても書くのがベストです。
③のメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。
証拠は、できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまいません。
できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
ただし、手書きの場合絶対に「ウソ」の内容のことを書いてはいけません。
証拠の中にウソの内容があると、その証拠の信用性が疑われ、証拠として利用できなくなり、残業していた事実を証明できなくなる可能性があります。
そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、正確に記録していることをアピールできるようにしておきましょう。
残業代請求に必要な証拠について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
【保存版】知らないと損する?残業代請求する為に揃えておくべき証拠
3-3-2:残業代が請求できるのは3年の時効が成立するまで
残業代請求には「3年」という時効があります。
そのため、3年の時効が成立してしまうと、それ以前の残業代が二度と請求できなくなってしまいます。
そのため、残業代の請求手続きは、なるべく早めにはじめることを強くおすすめします。
残業代請求の時効について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
残業代請求の時効は3年!時効を止める3つの手段と具体的な手続きの流れ
まとめ:残業時間と残業代の計算
いかがでしたか?
最後にもう一度今回の内容を振り返ってみましょう。
まず、残業代は、雇用形態や給与形態によって計算方法が異なりますが、基本的に以下のステップで計算することができます。
①基礎時給を計算する
②①に適切な割増率をかける
③②にすべての残業時間をかける
残業時間に関して、以下のような疑問がありがちですので、その答えをまとめます。
日をまたいで勤務した場合の残業時間
→日をまたいでいても、継続して勤務した時間までがその日の勤務として労働時間がカウントされます。
有給休暇を取った場合の残業時間
→有給休暇を取った場合は、その日の労働時間分(8時間)だけ、その週の労働時間が減ります。その週に余分に働いた日があっても、その時間分だけ、1.25倍の割増賃金は発生しません。
定時より早く退勤した場合の残業時間
→定時より早く退勤した場合は、その時間分だけその週の労働時間が減ります。その週に余分に働いた日があっても、その時間分だけ、1.25倍の割増賃金は発生しません。
残業代が正しく出ていない場合、会社に請求して取り返すことができる可能性がありますので、不満があるなら行動を起こすことをおすすめします。
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