
「残業手当って何?」
「残業手当の正しい計算方法ってどういうもの?」
「私の残業手当の払われ方って違法じゃない?」
あなたもこのような悩みをお持ちではありませんか?
残業手当(残業代)とは、1日8時間・週40時間を超えて働いた時間(残業時間)に対して支払われる賃金のことです。原則的に、通常の時間の賃金よりも多い「割増賃金」が払われることになっています。
しかし、自分の正確な残業手当(残業代)の計算を会社任せにしている多くの人は、会社から残業手当(残業代)をごまかされている可能性が高いです。
社員は残業手当(残業代)の計算方法を知らないから、こっちで勝手に減らしちゃえ。
汗水垂らして働いた賃金が、不当に未払いにされているとしたら許せませんよね。
しかし、こうして未払いにされている残業代は、請求することで取り返すことができます。
そこで、この記事では、
- 自分の本当の残業手当(残業代)の金額を把握するための計算方法
- 残業代の払われ方の違法性チェック
- 残業代を取り返すための3つの方法
について解説しています。
仮にあなたの月給が23万円で、毎月100時間の残業を続けていたとすると、請求できる残業代の合計は「約714万円」にもなります(請求できる3年分の合計)。しかし、請求しなければ、あなたの残業代は「ゼロ円」のままです。
そのため、最後までしっかり読んで、会社から不当に扱われないための知識を身につけましょう。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■残業手当(残業代)が発生する時間
- 1日8時間・週40時間を超えて働いた時間
- 「使用者の指揮命令下に置かれている」時間
上記の両方を満たす場合に支払われる。
■残業手当の割増率
- 通常の残業時間:1.25倍
- 深夜残業:1.5倍
- 法定休日:1.35倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
■未払いの残業手当がある場合の対処法
- 自分で会社に内容証明を送る
- 労働基準監督署に申告する
- 弁護士に依頼する
目次
1章:残業手当(残業代)とは何か?その仕組みと支払い条件を解説
残業手当(残業代)の計算方法について解説する前に、
- そもそも残業手当(残業代)とは何なのか
- どのような条件で払われるのか
ということを知っておく必要があります。
残業手当(残業代)の仕組みや支払われる条件について知っておくことで、残業代の計算方法や違法性の判断をより正しく行うことができます。
それでは、解説します。
残業手当(残業代)とは、以下の「法定労働時間を超えて働いた時間」に対して支払われる賃金のことです。
- 1日8時間を超えた労働時間
- 週40時間を超えた労働時間
この1日8時間、週40時間のどちらか一方を超えた時間が残業時間で、会社は社員に残業時間の分の残業代(割増賃金)を支払うことが義務づけられています。これが残業手当(残業代)です。
※割増賃金とは、時間当たりに換算した賃金(基礎時給)に1.25倍〜1.6倍の割増率をかけて支払われる賃金のことです。
つまり、残業手当(残業代)は1日8時間・週40時間を超えて働いた時間に、割増率をかけて支払われていなければ違法なのです。
ただし、残業手当(残業代)が支払われる条件として「法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた」ということだけでは不十分です。
過去の判例から、残業時間としてカウントできるのは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のこととされています。
(三菱重工業長崎造船所事件・最判平成12年3月9日労判778号)
「使用者」とは、簡単に言えばあなたの職場の「上司」や「社長」「店長」などのことです。その使用者から「この仕事をやってくれ」「この時間は働いてくれ」という指示を受けている時間は、すべて残業時間としてカウントされます。
さらに、明らかに会社から「この仕事を残ってやってくれ」を指示された場合ではなくても、仕事上働かざるを得なかった時間は、労働時間としてカウントされる可能性があります。
そのため、残業手当(残業代)が払われる条件についてまとめると、
- 1日8時間・週40時間のどちらか一方を超えた時間
- 「使用者の指揮命令下に置かれている」時間
の両方を満たす場合に、残業代が払われるということです。
つまり、勝手に会社に残って自分の作業をしていたり、勉強していたりする時間は残業時間としてカウントすることはできません。
残業手当(残業代)とはどのようなもので、どのような場合に払われるものなのか、理解できたでしょうか?
それでは、次に残業手当(残業代)の正しい計算方法についてお伝えします。あなたが本当にもらえるはずの残業代を計算することで、あなたの残業代が、会社から不当に未払いにされていないか判断することができます。
2章:すぐ計算できる!残業手当(残業代)の正しい計算方法
それでは、さっそく残業代の計算方法について、
- 固定残業代が出ない場合
- 残業手当(残業代)が固定手当残業代として支払われている場合
に分けて解説します。
まずは固定残業代が出ない場合から解説します。
2−1:固定残業代が出ない場合
残業代は、以下の簡単な計算式で計算することができます。
計算式は簡単ですが、正確に残業代を計算するためには、以下のステップで計算する必要があります。
- 1時間あたりの賃金(基礎時給)を計算する
- 適切な割増率をかける
- 正しい残業時間を把握する
それでは、順番に解説していきます。
2−1−1:1時間あたりの賃金を正しく求めよう
まずは「基礎時給」の計算にから説明します。
基礎時給とは、1時間当たりの賃金のことで、時給制で働いている場合は、そのまま自分に適用されている時給のことです。
月給制の場合は、以下の計算式で計算することができます。
ここでの「月給」には、自分の基本給だけではなく、以下の手当を含めることができます。
「所定労働時間」とは、あなたの雇用契約で定められている1ヶ月あたりの平均労働時間のことで、一般的に170時間前後であることが多いです。
たとえば、基本給が20万円、基礎時給の計算に含めることができる手当が3万円あり、所定労働時間が170時間である場合は、
(20万円+3万円)÷170時間=約1353円
と計算することができます。
基礎時給について理解できたら、次に、基礎時給に「割増率」をかける方法に進みましょう。
2−1−2:働いた時間ごとに異なる「割増率」について把握する
それでは、割増率について解説します。割増率とは、1時間当たりの賃金(基礎時給)に対してかける割合のことで、以下の種類があります。
【深夜残業の割増率】
深夜残業とは、22時より前に8時間を超えて働いており、かつ深夜(22時〜翌朝5時)の時間帯に働いた時間のことです。深夜残業は、通常の残業とは適用される割増率が異なりますので、注意してください。
また、通常の残業と法定休日の労働も、適用される割増率が異なるため、区別して考えなければなりません。
【法定休日の割増率】
法律上、労働者は週1日以上の休日(法定休日)を取得できる権利があります。
そのため、その週に7日働いた場合は、7日目が法定休日になります。
うちの会社では土日が休みだけれど、土日に出勤したらどっちも休日出勤になるのかな?
法定休日はあくまで「週1日」ですので、月曜から金曜まで働き、土日出勤した場合は、日曜日のみ「法定休日」になります。
ただし、その週の金曜日までに40時間を超えて働いていた場合は、土曜日働いた時間はすべて「通常の残業時間」として扱われます。
残業時間って、正確にはどの時間のことなんだろう?
それらの時間について、これから詳しく解説します。
2−1−3:残業時間を正しくカウントしよう
それでは、残業時間の正しいカウントの仕方について解説します。
残業時間とは、1章で解説したように、「1日8時間・週40時間」のどちらか一方でも超えて働いた時間のことです。
この残業時間には、基礎時給に先ほど説明した「割増率」がかけられた「残業代(割増賃金)」が支払われることが義務づけられています。
また、以下の8つの時間は、会社から「サービス残業」としてごまかされやすい時間ですが、実際は、働いた時間としてカウントできる可能性が高いです。
つまり、この時間も残業代計算に含めることができます。
- 準備時間:制服、作業服、防護服などに着替える時間、始業前の朝礼・体操の時間など
- 後始末時間:着替え、掃除、清身
- 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
- 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
- 待機時間:トラックの荷待ちの時間
- 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
- 研修:会社からの指示で参加した研修
- 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間
これらの「8つの時間」について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
弁護士が解説する「残業の定義」とごまかされやすい8つの労働時間
ただし、上記の「8つの時間」について、残業時間にカウントするためには証拠が必要です。必要な証拠については、4章で詳しく解説します。
さて、残業時間のカウントの仕方について、理解できたでしょうか?
まとめると、
- 「1日8時間・週40時間」を超えて働いた時間が残業時間
- 週に7日働いた場合、7日目が法定休日
であり、割増賃金は下記の倍率に応じて会社が支払う義務があるということです。
- 通常の残業:1.25倍
- 深夜残業:1.5倍
- 休日出勤:1.35倍
- 休日の深夜残業:1.6倍
たとえば、基礎時給が1000円の場合は、
- 通常の残業:1250円
- 深夜残業:1500円
- 法定休日の出勤:1350円
- 法定休日に深夜残業:1600円
が、1時間あたりの残業代として支払われるということです。
それでは、具体例を紹介しますので、一緒に計算してみましょう。
2−1−4:計算のシミュレーションをしよう
以下の例でシミュレーションしてみます。
(例)飲食店勤務のAさん
- 月給23万円(手当込み)
- 1ヶ月の残業時間100時間(深夜残業なし)
- 法定休日の出勤:8時間×2日
- 所定労働時間170時間
まずは基礎時給を計算すると、
月給23万円÷所定労働時間170時間=約1353円
Aさんは100時間の残業と16時間分の休日出勤をしているため、
- 通常の残業:基礎時給1353円×割増率1.25倍×100時間=16万9125円
- 休日出勤分:基礎時給1353円×割増率1.35倍×16時間=約2万9225円
で、1ヶ月の残業代は、
16万9152円+2万9225円=19万8350円
と、合計19万8350円になることが分かります。仮に、同じ残業・休日出勤をずっと続けているとすると、残業代は3年前の分までさかのぼって請求することができるため、
19万8350円×36ヶ月=714万600円
となります。これほどの多額の残業代を請求することができるのです。
ここまで、通常の固定残業代が払われていない場合の残業時間の計算方法について解説しましたが、理解できたでしょうか?
次に、これを踏まえて「残業手当(残業代)が固定残業代(みなし残業代)として払われている場合」の残業代計算の方法について、解説します。
固定残業代が支払われてない人は、3章の残業代請求の方法に飛んでください。
2−2:残業手当(残業代)が固定残業代として払われている場合の計算方法
固定残業代制(みなし残業代制)とは、毎月の決められた時間の残業に対して、定額の固定残業代を支払う制度のことです。
会社によっては、残業手当(残業代)が固定残業代として、毎月一定額しか出ないケースがあります。
たとえば、毎月30時間のみなし残業に対して、3万円の固定残業代が支払われているイメージです。
毎月100時間も残業しているけれど、会社からは毎月3万円の残業手当(固定残業代)をもらっているから、文句言えないのかな?
固定残業代は、毎月何時間の「残業時間」に対して払うのか明確に決められていなければなりません。その残業時間を超えて働いた時間があれば、それは別途残業代として払われる権利があります。
それでは、固定残業代で残業手当(残業代)が払われているケースの残業代計算の方法を解説します。
2−2−1:固定残業代制の場合の計算方法
固定残業代制の場合、まずは2章で解説したように、固定残業代制が支払われていないケースと同様の計算を行います。そして、最後に固定残業代として支払われていた分の金額を引くことで、1ヶ月分の支払われるべき残業代の金額が分かります。
また、固定残業代制の場合は、固定残業代が認められないケースがあります。認められなかった場合、請求できる残業代の金額はより大きくなる可能性があります。
- 固定残業代が認められた例
- 固定残業代が認められなかった例
のそれぞれについてシミュレーションしてみます。
2−2−2:固定残業代制の場合の計算のシュミレーションをしてみよう
それでは、以下の例で計算してみましょう。
(例)営業職のBさん
- 月給20万円(手当込み)
- 固定残業代3万円
【固定残業代が認められた例】
まずは基礎時給を計算します。
月給20万円÷所定労働時間170時間=基礎時給約1176円
深夜残業や法定休日の出勤がなかったとすると、
基礎時給1176円×割増率1.25倍×残業時間100時間−固定残業代3万円=11万7000円
残業代は3年の時効が成立するまでの3年分が請求できるため、3年の合計で421万2000円になります。
【固定残業代が認められなかった例】
固定残業代で残業手当(残業代)を支払うことは、
- 固定残業代を、何時間の残業時間の対価として支払っているのか曖昧にしている
- 固定残業代として支払っている金額を、固定残業分とされている残業時間で割ると最低賃金を下回る
などの場合、認められません。
固定残業代が認められなかった場合、請求できる金額が大きく変わる可能性があります。先ほどと同じ例でシミュレーションしてみます。
月給23万円÷所定労働時間170時間=約1353円
基礎時給1353円×1.25倍×100時間=16万9125円
請求できる3年分の未払いの残業代を合計すると、608万8500円にもなります。
固定残業代の計算について、詳しくは下記の記事を参照してください。
あなたも違法?正しい固定残業代の計算方法と残業代を取り返す2つの手段
私の場合も違法な可能性はあるのかなあ
固定残業代は、ブラック企業が社員を「長時間安くこき使う」ために悪用することが多いため、合法に使われていることの方が少ないくらいなのです。
あなたも、自分の残業手当(残業代)を計算することができたでしょうか?
「私の残業手当(残業代)は、実際に働いた分より少なかった!」
という場合は、これから紹介する、未払いの残業手当(残業代)を取り返す方法を実践することをオススメします。
3章:残業手当(残業代)を取り返す2つの方法
会社から残業代を取り返すための方法には、
- 自分で請求する方法
- 弁護士に依頼する方法
という2つがあります。
自分で請求する場合と、弁護士に依頼して請求する場合とでは、下記のように流れが異なりますので、注意してください。
また、この2つの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
【残業代のメリット・デメリット】
自分で請求する方法 |
弁護士への依頼 |
|
メリット |
お金がかからない |
|
デメリット |
|
費用がかかる(ただし完全成功報酬制の弁護士なら初期費用はかからない) |
それでは、これから残業代請求の2つの方法について、詳しく解説します。
3−1:自分で残業代を請求する方法はこの2つ!
自分で請求するには『内容証明を送る』方法と『労働基準監督署に相談する』方法の2種類があります
【自分で会社に内容証明を送って請求する】
自分で会社に残業代を請求するためには、会社に「配達証明付き内容証明郵便」で、請求書を送る必要があります。
内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。
内容証明で請求書などを送ることで、会社は「届いてない」と言い張っても、郵便局が届いたことを証明してくれます。これが内容証明です。
ただし、自分で会社に内容証明を送って残業代を請求しても、会社側にも顧問弁護士が付いていて、うまく丸め込まれてしまう可能性が高いです。つまり、あなたが残業代を請求しても、1円も取り戻せないかもしれないのです。
【労働基準監督署に申告する】
「労働基準監督署」とは、厚生労働省の出先機関で、労働基準法に基づいて会社を監督するところです。給料の未払いは労働基準法違反のため、労働基準法に相談することで解決にいたる可能性もあります。
ただし、労働基準監督署に申告する方法は「残業代を請求したい場合」は、あまりおすすめではありません。
なぜなら、労働基準監督署は、労働基準法に違反している会社の行為を「正す」機関であり、残業代を取り返してくれる機関ではないからです。
労働基準監督署は慢性的な人員不足であるため、過労死や労働災害などの「人命に関わる問題」が優先して処理されます。そのため、「残業代の未払い」では、動いてもらえない可能性が高いです。
そこで、残業代を取り返す場合には、最初から弁護士に依頼することをオススメします。
3-2:より多く取り戻すには弁護士がオススメ
残業代をより高額取り返すためには、弁護士に依頼することが最善です。なぜなら、残業代の計算や交渉は、専門的な知識が必要なため、1人で戦っては会社側の弁護士に負けてしまうからです。
弁護士に依頼した場合、
- 交渉
- 労働審判
- 訴訟(裁判)
という流れで残業代請求の手続きが進められます。
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟」になることは少ないです。ほとんどのケースで、交渉や労働審判の段階で解決されるため、期間・手間も少なく解決することができます。
おそらくあなたが心配しているであろう「費用」の面でも、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
3-3:労働問題に強い弁護士に依頼することが重要!
ここまで残業代請求の方法を解説しましたが、いかがだったでしょうか?結論としては、より確実かつ円滑に残業代を取り返すためには、「弁護士に依頼する」ことがもっともオススメの方法です。
ただし、ここで注意点があります。
それは、「残業代請求に強い弁護士」を選ぶことが重要ということです。
あなたは、
「弁護士さんは全員法律の知識があるのだから、誰でも良いのでは?」
と思っているかもしれません。
しかし、実際は法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いのです。
残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧になってください。
失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用
残業代請求の方法・流れについて、理解できたでしょうか?
こうした請求の手続きを進める前にやっておいてほしいのが、「証拠集め」です。必要な証拠と、集める上での注意点についてお伝えします。
4章:残業代請求のために集めるべき証拠一覧
残業代を請求する最初のステップとして、自分で証拠集めを始めることをオススメします。
弁護士に依頼すれば、証拠集めもやってもらうことができます。しかし、悪質なブラック企業は、弁護士から証拠の提出を要求されても、提出しないことがあります。
そのため、可能ならば、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです。
残業代請求の証拠として有効なものを、勤怠管理をしている会社としていない会社に分けてご紹介します。
【勤怠管理している会社で有効な証拠】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠を集めることができなくても、諦めないでください。以下のように「手書き」のものなども証拠になるのです。
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もオススメ)
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
①のように、本人の筆跡が確認できる「手書き」のものが、もっとも証拠としての有効性を認められる可能性が高いです。③の家族へのメールなどは、証拠として認められる可能性が低いため、できるだけ手書きで記録を残すようにしてください。
手書きでもいいなら、昔の分も思い出して手帳に書いておこうかな!
ちょっと待ってください。手書きで記録するときには、絶対に「ウソ」や曖昧なことを書かないようにしてください。手書きの証拠が間違った内容を含んでいることが分かると、証拠の信用性が疑われて不利になってしまうのです。
適当じゃかえって不利になってしまうのですね・・・
そうなんです。そのため、証拠はたとえば「20時30分」ではなく「20時27分」のように、できるだけ正確に記録するようにしましょう。「手書き」の証拠は、証拠としての有効性が認められる可能性がもっとも高いので、必ず正確に記録しましょう。
証拠は、できれば3年分集めることが望ましいですが、難しければ半月分でもかまいません。できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
集めるべき証拠について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【保存版】知らないと損する?残業代請求する為に揃えておくべき証拠
5章:残業代請求には3年の時効がある!行動は早めに
もう一点注意してもらいたいのが、残業代は3年という時効が成立してしまうと、二度と請求することができなくなるということです。
そのため、未払いの残業代を取り返したい場合は、すぐに行動を始める必要があるのです。
残業代請求の時効について、詳しくは以下の記事を参照してください。
残業代請求の時効は3年!時効を止める3つの手段と具体的な手続きの流れ
まとめ:残業手当(残業代)について
いかがだったでしょうか?
今回の内容を、最後にもう一度振り返りましょう。
まず、そもそも残業手当(残業代)とは、
- 1日8時間・週40時間を超えて働いた時間
- 「使用者の指揮命令下に置かれている」時間
の両方の条件を満たす場合に払われる賃金のことで、以下の割増率がかけられた「割増賃金」が払われるのです。
- 通常の残業時間:1.25倍
- 深夜残業:1.5倍
- 法定休日:1.35倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
未払いの残業手当(残業代)がある場合は、
- 自分で会社に内容証明を送る
- 労働基準監督署に申告する
- 弁護士に依頼する
という方法で請求することができますが、より確実かつ1円でも多く取り返したい場合は、弁護士に依頼するのがオススメです。
残業代請求には3年の時効があるため、できるだけ早く行動を開始しましょう。
【内部リンク一覧】