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残業100時間は過労死基準!心身や生活への影響と現状を変える方法とは?

QUEST法律事務所

代表弁護士住川 佳祐

残業100時間を超えて健康障害を発症した男性

あなたは、会社から、「月100時間」を超えるような長時間の残業を強いられていませんか?

100時間を超えるような残業は、間違いなく異常な長時間残業であり、命の危険に関わる危険な水準です。

社員
確かに残業は辛いけれど、上司から昔はみんなやっていたと言われたし、まだ頑張れる気がする・・・
もし、あなたもこのような考えを持っていたら危険です。

なぜなら、月100時間を超える残業は、政府によって定められた「過労死基準」において、仕事と脳・心臓疾患との結びつきが非常に強いと考えられているからです。

そのため、もし会社から100時間超の残業を強いられるような環境にいるのであれば、すぐにそこから脱出するための行動を起こすことを強くおすすめします。

そこでこの記事では、「過労死基準」100時間超の残業をした場合、心・体・生活へどのような影響が出るのか、そしてその環境から脱出するためにどんな行動をとれば良いのか、詳しく解説します。

残業100時間を放置した場合・改善した場合

心や体を病んでからでは遅いですので、この記事を最後まで読んだら、すぐに行動をはじめてください。


1章:あなたの身が危険です!残業の定義と月100時間残業の過労死基準 

社員
今月は残業時間が100時間を超えそうだよ。
社員
月100時間なんて異常すぎます!そんなに働いたら危険なんじゃないですか?
社員
確かに最近相当ストレスが溜まっている気がする・・・法律的に、こんなに残業することって問題ないのかなあ?
弁護士
100時間も残業をさせることは、長時間の残業が当たり前になっているブラック企業の中でも、とても異常な長さですよ。
 もしあなたが月100時間という長時間の残業をしているとしたら、それは異常な長時間残業です。そのままの状態が続くと、脳・心臓や精神状態に重大な影響がある可能性があります。

この長時間残業の心身への影響の基準として、「過労死基準」という基準が、厚生労働省によって定められています。

しかし、この基準は「違法性を判断する」基準ではありません。月100時間残業したからといって、ただちに違法な状態であるとは判断できません。

そこで、まずは、残業時間についての、

  • 違法性の判断基準
  • 過労死基準

という2つについて解説します。

残業時間に関する基準を知ることは、現状を変える第一歩になりますので、まずはしっかり理解してください。

長時間残業を判断する3つの基準

それでは、順番に解説します。

1-1:そもそも残業時間は月45時間が上限(36協定が締結されている場合)

まずは、残業時間の違法性の判断基準から解説します。

そもそも、残業とは「1日8時間・週40時間」を超える労働のことで、基本的に禁止されています。ただし、会社と社員の間で「36協定」が締結されている場合は、残業が可能になります。

※36協定とは、会社と社員との間で、社員の残業を可能にするために締結されるものです。

1日8時間・週40時間を超えたら残業

ただし、36協定が締結されていても、以下のように残業が可能な時間には上限が設定されています。

36協定が締結されている場合の残業時間の上限

36協定が締結されていても、週15時間・月45時間を超える残業はできません。しかし、会社と社員の間で「特別条項付き36協定」を締結している場合はこの上限を延長することも可能です。

「特別条項付き36協定」が締結されている場合、条件さえ満たせば、実質1ヶ月の残業時間に上限がなくなるのです。

弁護士
特別条項付き36協定とは、通常の36協定で定められた限度時間を超えて「臨時的・突発的」に、残業しなければならない場合に備えて、あらかじめ延長時間を定めておく協定のことです。
 いつでも残業時間の上限を延長できるわけではなく、以下のような条件を満たす場合のみ認められます。

特別条項付き36協定の条件

しかし、実際には、このような条件はあってないようなもとして、いつも社員に45時間を超えるような残業をさせている会社が多いです。

そのため、特別条項付き36協定があると、月の残業時間が、実質、無制限にできることになってしまう現実があります。

社員
100時間残業しても、違法だとみなされないということ?
弁護士
特別条項付き36協定が締結されていれば、100時間残業していても、一概に違法になるとは言えなくなります。しかし、それでは社員が際限なく残業させられてしまいますので、「過労死基準」が定められているのです。
 

1-2:過労死基準には2つの基準がある

あなたの月の残業時間が100時間を超えている場合、「過労死基準」について知っておく必要があります。

なぜなら、もしあなたが過労死基準を超えるような残業をしていて、過労等から健康障害を発症してしまった場合、過労死基準を超えていた場合は、「労災認定」されやすくなるからです。

「過労死基準」とは、労働者が一定の時間を超えた残業をしていて、過労死したり、脳・心臓疾患などを発症した場合に、「仕事に原因があった」とみなされやすくなる基準のことです。

残業による健康障害発症で労災認定

そのため、過労死基準は残業の違法性を判断する基準ではなく、労災認定(労働災害が仕事に関係するものなのかどうか判定する)の基準です。

労災認定されると「療養給付」「休業補償給付」などを受けることができます。

過労死基準には、以下の2つがあります。

  1. 健康障害を発症する前の2ヶ月ないしは6ヶ月にわたって、1ヶ月の残業時間の平均が80時間を超えている
  2. 健康障害が発症する前の1ヶ月間に100時間を超えている

「脳血管疾患及び虚血性疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(基発1063号平成13年12月12日))

過労死基準の定義

社員
難しいです。どういうことですか?
弁護士
あなたが脳・心臓疾患などになった場合に、発症前にこれらの基準を超えた残業をしていたら、「仕事が原因で病気になった」と、労働災害として認められやすくなるということです。
 
社員
実際、100時間残業したら健康生活にはどのような影響があるのでしょうか?
弁護士
それでは、次に月100時間残業した場合の、心・体・生活への影響についてみてみましょう。
 

【コラム】法改正で過労死基準を超える残業は規制される!

過労死基準を超える残業は、ただちに違法になるわけではないと解説しました。

しかし、過労死基準に当たるような長時間残業は、あまりに危険な水準であるため、政府は「働き方改革」の一環で、

  • 2ヶ月〜6ヶ月の平均残業時間がいずれも80時間未満
  • 1ヶ月の残業時間が100時間未満

であることを明確に定めました。2019年からは、残業時間がこれを超えた場合は、違法になります。

過労死基準にあたる残業時間は、政府が法改正をするほど危険な水準なのです。


2章:残業を100時間した場合に現れる体調・精神への影響

100時間の残業は、週に6日、1ヶ月に24日出勤していたとすると、毎日4時間以上の残業になります。就業時間が9時〜18時の場合、毎日22時過ぎまで残業しているということになります。

これほど残業していれば、プライベートはほぼありませんし、集中力が維持できず、仕事の効率も悪くなるはずです。

しかし、より問題なのは精神や体の健康への影響です。厚生労働省は、

  • 脳・心臓疾患による死亡
  • 心理的負荷による精神障害を原因とする自殺
  • 脳・心臓疾患や精神障害になった状態(死亡していなくても)

という3つを過労死基準の労災認定の対象と定めています。

そこで、100時間残業した場合の、心身への影響をこれまでに起こった事件を判例からご紹介します。

2-1:あなたの健康は問題ない?疲労蓄積度をチェックしよう

まずは、あなたの健康状態についてチェックしてみましょう。

あなたは、以下のようなことに当てはまるものがありませんか?

《疲労蓄積度チェックリスト》

□仕事中、強い眠気におそわれることがよくある

□慢性的に疲れている

□ゆううつな気分やほとんどのことに興味が持てない状態が続いている

□頭痛、めまい、手足のしびれ・脱力感、脈の乱れ、胸痛などの症状がある

□健康診断で血圧、血糖、血清脂質の異常を指摘された(1 個以上)ことがある

1つでも当てはまれば、あなたには疲労が蓄積されていると思われます。3つ以上ならかなり危険な状態です。

このような状態を放置していると、いずれは重大な健康障害を発症したり、最悪の場合過労死してしまうかもしれません。

これから紹介するように、慢性的な長時間残業で健康障害を発症したり、死亡してしまった事件はいくつも起こっているのです。

2-2:過去の事件に見る長時間残業による心身への悪影響

過去の事例から、長時間の残業が続くと、脳や心臓の疾患から健康障害を発症・悪化させたり、精神障害を発症し、最悪の場合自殺にいたってしまうことがあることが分かっています。

【長時間残業を原因とした脳疾患の発症】

長時間の残業で、支店長専属の運転手がもともと持っていた脳動脈瘤が悪化し、くも膜下出血を発症した事件がありました。

もともと持っていた動脈瘤は、治療の必要性があるものではなかったため、長時間の残業による精神的・身体的負荷から症状が悪化し、くも膜下出血発症の原因となったと認められました。

支店長付き運転手くも膜下出血事件(最判平成12717日)

このように、長時間の残業は脳疾患の発症との関連性が強いとみなされているのです。

厚生労働省の発表によると、脳・心臓疾患に関する労災補償の請求件数は、平成28年度の1年間で825件、支給が決定した数は260件あります。

※平成28年度「過労死等の労災補償状況」

1年間で、厚生労働省が把握しているだけでも、全国でこれほどの数の、過労を原因とした脳・心臓疾患による健康障害や過労死が発生しているのです。

もしあなたも、月100時間の過労死基準を超える残業をしているのだとしたら、人ごとではありません。すぐに自分の健康状態を病院でチェックしてもらいましょう。

【長時間の残業で自殺に追い込まれた事件】

異常な長時間残業を原因として、精神状態に異常をきたし、自殺に追い込まれてしまった事件がありました。これが電通事件です。

この社員は自殺する前の月には、午前6時半や7時に自宅に帰宅し、午前8時ごろには自宅を出て出勤するという異常な生活をしていました。
周囲も心配するほどのストレスを抱えた状態でしたが、職場の環境が改善されることはなく、その後自宅で自殺してしまいました。

電通事件(平成12324日)

このように、長時間の残業は精神状態にも影響を及ぼし、正常な判断能力を奪い、最悪の場合自殺につながってしまうことがあるのです。

先ほども紹介した厚生労働省発表では、精神障害に関する請求件数は、平成28年度の1年間で1586、支給決定件数は498件もありました。さらに、このうち自殺(未遂を含む)の件数は84件もありました。

これは厚生労働省が把握しているもののみの件数ですので、残業によって精神障害になった人の数は、実際にはもっと多い可能性が高いです。

社員
私もこのまま今の長時間残業を続けていくと、かなり危険なことになりそうですね・・・
弁護士
その通りです。100時間を超えるような残業をしていると、正常な判断ができなくなっている可能性があります。そのため、自分では大丈夫と思っていても、実際にはとても危険な状態にあり、自分で気付いていないだけかもしれません。
 
社員
怖いですね。
弁護士
さらに、社員に異常な長時間の残業をさせるような会社は、適正な金額の残業代を支払っていない可能性もあります。そのため、自分がもらっている残業代の金額が適正な金額かどうか、自分で計算してみることをおすすめします。
 

【コラム】残業100時間を超えると産業医に報告しなければならない

平成296月から、社員の残業が100時間を超えた場合、会社は産業医に報告しなければならないと義務付けられました。

“ (規則第52条の2関係)

事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、その超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならないものとする。”

これも長時間の残業による過労死が増えていることを背景としたものです。もしあなたの会社でこのような義務が無視されていたら、あなたの会社は明らかにブラック企業です。


3章:全額支払われている?月100時間の残業をした場合の残業代

「月100時間」という残業時間は非常に長いため、適正な金額の残業代が支払われていたら、かなりの高額になるはずです。

しかし、社員に長時間の残業をさせるような会社は、それに見合う残業代を支払うと利益が減ってしまうため、さまざまな理由をつけて残業代をごまかし、不当に低い金額の残業代しか支払っていないことが多いです。

そこで、自分の力で自分の「本当の残業代」を計算できるようになっておくことをおすすめします。

それでは、残業代の計算方法について解説します。

3-1:月100時間分の残業代計算

残業代は、以下の計算式で計算することができます。

残業代の計算式

基礎時給とは、あなたの1時間あたりの賃金のことで、時給制の場合はあなたの時給そのままのもので、月給制の場合は以下の計算式で計算することができます。

基礎時給の計算式

※「一月平均所定労働時間」とは、あなたの雇用契約で定められている1ヶ月あたりの平均労働時間のことで、一般的に170時間前後であることが多いです。

法定休日の労働や深夜労働がなかった場合として、以下の例で計算してみましょう。

※法定休日とは、法律で定められた週1日の休日のことで、7連勤した場合は7日目が法定休日に当たります。

(例)

  • 月給20万円
  • 一月平均所定労働時間170時間
  • 1ヶ月の残業が100時間

20万円÷170時間=1176円(基礎時給)

1176円×1.25倍×100時間=約14万7058円(1ヶ月の残業代)

残業代は2年分さかのぼって計算できるため、

14万7058円×24ヶ月=359万9320円

と、2年分の合計は360万円近くにもなることが分かります。

もし、同じ条件でこれよりも少ない金額しか残業代をもらっていなかったら、会社に請求することで適正な残業代が支払われる可能性があります。 

残業代の計算方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

5分で分かる!正しい残業代の計算方法と実は残業になる8つの時間

3-2100時間分の残業代がみなし残業代として支払われている場合

みなし残業代制(固定残業代制)とは、一定の残業時間分の残業代を、毎月定額支払う制度のことです。

たとえば、「毎月30時間の残業に対して5万円のみなし残業代を払う」というように取り決められます。

しかし、残業100時間分の残業代みなし残業代として支払うことは、無効になる可能性が高いです。

なぜなら、過労死基準とされている危険なレベルの残業をあらかじめ予定することが、認められるわけにはいけないからです。

もし、残業100時間分を超える残業代が、みなし残業代として支払われていたら、そのみなし残業代は無効になり、3-1で計算した残業代が支払われる可能性が高いです。

【自分のみなし残業代が100時間以上を想定しているかチェックする】

それでは、あなたのみなし残業代が、100時間以上の残業を想定しているかどうかチェックしてみましょう。

チェックの方法は以下の手順になります。

①まず給与明細を見て、基本給を170で割ります。

②①の結果を1.25倍します。

③みなし残業代を②の結果で割った結果、100を超えるかチェックします。

③の結果が100を超えるのであれば、あなたには100時間を超える残業時間に対する残業代が、みなし残業代として支払われていると思われます。

この場合、みなし残業代は違法無効である可能性が極めて高いです。

みなし残業代が100時間分出ているかチェックする方法

社員
私も同じくらいのみなし残業代をもらっているので、これは確実に無効になるということでしょうか?
弁護士
あなたの場合に無効になるかどうかは、様々な条件によって変わってきます。そのため、確実な判断をするためには、残業代請求に強い弁護士に詳しく聞いてみることをおすすめします。
 これまでもお伝えしたように、毎月100時間を超える残業をしている場合は、健康障害を発症する可能性があり、命の危険があります。

そのため、一刻も早く現状を変えるための行動を起こすことをおすすめします。そこで、次に現状を変えることができる方法についてお伝えします。


4章:現状を変えることができるたった1つの効果的な選択肢

「まだ頑張れそうだから」などと考えて、長時間残業の現状を放置しないでください。

100時間もの残業をしていると、今は大丈夫と思っていても、確実に心身への疲労が蓄積されています。なんらかの健康障害が発生してからでは遅いですので、すぐに現状を変える行動を起こしましょう。

そこで、現状を確実に変える唯一の手段が「会社を辞めてしまう」ことです。

社員
会社を辞めるのは勇気がいります。会社に残って、なんとか残業時間を改善することはできないのでしょうか?
弁護士
自分で工夫して残業を減らしたり、労働基準監督署に相談したりする方法もあります。しかし、そもそも100時間もの残業は自分で何とかできるレベルではありませんし、労働基準監督署は長時間残業の改善くらいでは、ほとんど動いてくれません。

実際、長時間労働に関連する事案で、平成2811月からの1年間で、東京都で書類送検された企業は4件に過ぎません。

 
社員
なるほど・・・確かに一番有効なのは新しい会社に転職することなのかもしれません。
社員に長時間残業を強いるような会社は、適正な金額の残業代を支払っていない可能性があります。なぜなら、長時間の残業に見合う残業代を支払うと、会社の利益が少なくなってしまうからです。

そこで、会社を辞めた後に未払いにされている残業代を請求することをおすすめします。

残業代を請求する方法には、

  • 自分で会社に直接請求する方法
  • 弁護士に依頼して請求してもらう方法

2つがありますので、それぞれについて解説します。

4-1:自分で会社に直接請求する方法

自分で直接請求する方法は、以下のような流れで行うことができます。

残業代請求を自分で行う流れ

①「配達証明付き内容証明郵便」を会社に送って時効を止める

残業代請求には「2年」の時効があり、時効を過ぎると残業代が消滅してしまうため、まずは時効を止める手続きを行う必要があります。

時効は、会社に「配達証明付き内容証明郵便」で残業代を請求する旨を通知することで、半年の間止めることができます。

※内容証明郵便とは、送った郵便物の宛名や内容について、日本郵便が証明してくれる制度のことで、配達証明とは、郵便物を配達した日付について証明してくれる制度のことです。

①残業があった事実を証明するための証拠を収集する

 自分で残業代を請求するためには、で残業していた事実を自分自身で証明する必要があります。そのためには、証明するための「証拠」を集める必要があります。

必要な証拠について、詳しくは「4-3-1:まずは自分で証拠を集める」で解説しています。

②未払いになっている残業代を計算する

さらに、自分が請求できる残業代はいくらあるのか、自分で計算する必要があります。残業代を正しく計算するためには、専門知識が必要ですので、計算する前に正しい知識を学んでおく必要があります。

③「配達証明付き内容証明郵便」を会社に送って時効を止める

残業代請求には「2年」の時効があり、時効を過ぎると残業代が消滅してしまうため、まずは時効を止める手続きを行う必要があります。

時効は、会社に「配達証明付き内容証明郵便」で残業代を請求する旨を通知することで、半年の間止めることができます。

※内容証明郵便とは、送った郵便物の宛名や内容について、日本郵便が証明してくれる制度のことで、配達証明とは、郵便物を配達した日付について証明してくれる制度のことです。

④自分で会社と交渉する

ここまでの作業を終えたら、会社と自分で直接交渉する必要があります。会社には顧問弁護士等がいる可能性がありますので、この場面でも専門的知識や交渉力が必要です。

社員
自分で請求するのは難しそうですね。
弁護士
そうなんです。そのため、多くの人は残業代請求に強い弁護士に依頼して残業代を回収しています。
 

4-2:弁護士に依頼する方法

弁護士に依頼すると、以下のような流れで残業代を回収していきます。

残業代請求を弁護士に依頼する流れ

弁護士に依頼した場合、

  • 交渉
  • 労働審判
  • 訴訟(裁判)

という手段によって、残業代請求の手続きが進められます。

弁護士
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟」になることは少ないです。おそらくあなたが心配しているであろう「費用」の面でも、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という精神的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできるのです。さらに、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼することで、初期費用もほぼゼロにできるのです。
弁護士
ただし、弁護士に依頼する場合は「弁護士なら誰でもいいだろう」とは考えないでください。実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いです。そのため、残業代請求に強い弁護士に依頼することをお勧めします。
 残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧になってください。

失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用

4-3:残業代請求を行う上で重要な2つのポイント

次に、残業代を請求する上で必ず知っておかなくてはならない2つのポイントについて解説します。

4-3-1:まずは自分で証拠を集める

残業代を請求するためには、残業していた事実を証明できる「証拠」が必要です。

弁護士
証拠集めは、まずは自分で行うことをおすすめします。証拠集めも弁護士に依頼することは可能です。しかし、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです
 残業代請求の証拠として有効なのは、以下のようなものです。

勤怠管理している会社で有効な証拠

  1. タイムカード
  2. 会社のパソコンの利用履歴
  3. 業務日報
  4. 運転日報
  5. メール・FAXの送信記録
  6. シフト表

勤怠管理していない会社で有効な証拠

  1. 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
  2. 残業時間の計測アプリ
  3. 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)

証拠として一番良いのは①です。毎日手書きで、1分単位で時間を書きましょう。具体的な業務についても書くのがベストです。③のメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。

証拠は、できれば2年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまいません。できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。

ただし、手書きの場合絶対に「ウソ」の内容のことを書いてはいけません。証拠の中にウソの内容があると、その証拠の信用性が疑われ、証拠として利用できなくなり、残業していた事実を証明できなくなる可能性があります。

そのため、証拠は「1930分」ではなく、「1927分」のように、1分単位で記録するようにし、正確に記録していることをアピールできるようにしておきましょう。

残業代請求に必要な証拠について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

【保存版】知らないと損する?残業代請求する為に揃えておくべき証拠

4-3-2:残業代が請求できるのは2年の時効が成立するまで

残業代請求には「2年」という時効があります。そのため、2年の時効が成立してしまうと、それ以前の残業代が二度と請求できなくなってしまいます。

そのため、残業代の請求手続きは、なるべく早めにはじめることを強くおすすめします。

残業代請求の時効について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

残業代請求の時効は2年!時効を止める3つの手段と具体的な手続きの流れ

社員
退職を機に残業代を請求する方法は分かりました。でも、転職した先が、また長時間残業をさせるようなブラック企業だったら嫌ですね。
弁護士
それでは最後に、就職・転職活動をするときに、ブラック企業を見分けるポイントについて簡単に紹介しましょう。
 


5章:就職・転職時に残業の多いブラック企業を見分ける基準

就職・転職する上でブラック企業を見分ける基準としては、以下のものがあります。

求人・インターネット上の情報での見分け方

・常に求人をかけている

・長時間のみなし残業がある(月80時間など)

・みなし残業代制や裁量労働制での雇用

・仕事内容が不明確

・ネット上で悪い口コミばかりが出る

説明会・選考での見分け方

・説明会で「やる気」「情熱」など精神論が多い

・面接でやたら体力の有無を確認してくる

・その場で内定が出る

・夜遅くや休日にも電話が繋がる

雇用契約締結時の見分け方

・求人票と雇用契約の内容が異なる

・裁量のある職種じゃないのに裁量労働制

特に、「長時間のみなし残業がある」「みなし残業代制や裁量労働制での採用」「就業時間外の夜遅くや休日にも電話がつく」などの会社に注意してください。

これらの特徴のある会社は、社員に長時間の残業を強いるブラック企業である可能性があります。

みなし残業代制や裁量労働制について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

みなし残業(固定残業)の違法性を判断する7つのポイントを徹底解説

【裁量労働制とは?】弁護士が解説する本当の意味と残業代のカラクリ


まとめ

いかがだったでしょうか?

最後にもう一度、今回の内容を振り返ります。

まず、もっとも重要なことは、月100時間にも及ぶ残業は異常な状態であり、疲労の蓄積によって、

  • 脳・心臓疾患による健康障害の発症や過労死
  • 精神障害の発症や自殺

という健康上のトラブルを抱える可能性が高いです。

100時間の残業は過労死基準ですが、

過労死基準とは、脳・心臓疾患になったときに、仕事と疾患に関連性があると認められやすくなる基準のことで、以下の2つがあります。

  • 直近の26ヶ月で平均80時間超の残業をしていた
  • 直近の1ヶ月間で100時間超の残業をしていた

これほどの残業を自分で改善することは難しいため、現状を変える方法として、

「少しでも残業の少ない会社に転職する」

ということを強くおすすめします。

現在の会社を辞める際には、以下の方法で未払いにされている残業代を請求することができます。

  • 自分で会社に直接請求する
  • 弁護士に依頼して請求する

「まだ大丈夫」と我慢せず、少しでも残業の少ない職場に転職して、自分の身を守ってください。

【参考記事一覧】

残業代の請求方法について、詳しくは

【退職後でも可!】残業代請求の2つの方法と在職中から集めることができる証拠

をご覧ください。

残業代を請求する場合に集めるべき証拠について、詳しくは

【保存版】知らないと損する?残業代請求する為に揃えておくべき証拠

をご覧ください。

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