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最大20日!法律上の有給休暇の日数と時期が変更される2つのケース

QUEST法律事務所

代表弁護士住川 佳祐

有給休暇の日数に関するポイント

あなたは有給休暇について、

「法律上の日数は何日なんだろう?」

「法律通りの日数が取得できなかったら、どうしたら良いんだろう?」

などの疑問、悩みはありませんか?

有給休暇は、労働基準法で与えられる日数が決められています。そして、会社には、従業員にその日数以上の有給休暇を、理由に関係なく与えなければならないというルールがあります。

しかし、一部の会社では、従業員に労働基準法上の正しい日数の有給休暇を与えていないこともあります。

そのため、もしあなたがこれから紹介する日数を取得できていなければ、しっかり取得するための手続きを取る必要があります。

ただし、

短時間労働の場合は取得できる日数が異なる」

「会社の事情で日程がずらされることがある」

などの例外もありますので、あなたの場合の労働基準法上の日数を判断するには、いくつかのルールを知っておくことが大事です。

そこでこの記事では、まずは有給休暇の日数と会社が取得できる日を変える権利について、さらに有給休暇の日数が法定日数より少ない場合や、有給休暇を使い切れなかった場合の対処法について紹介します。

最後までしっかり読んで、有給休暇を全部取得できるように行動していきましょう。

有給休暇の日数に関するポイント


1章:法律で定められた有給休暇の日数は最大20

さっそくですが、有給休暇の日数は

  • フルタイムで働いている場合
  • パート、アルバイト等の短時間勤務の場合

でそれぞれ以下のように決められています。

【フルタイムで働いている場合の有給休暇の日数】

フルタイムの場合の有給休暇の日数

【短時間勤務の場合の有給休暇の日数】

短時間勤務の場合の有給休暇の日数

有給休暇が付与されるタイミング

それでは、有給休暇の日数の考え方について、詳しく解説していきます。

1-1:有給休暇が与えられる2つの条件

そもそも有給休暇は、労働基準法で、会社が従業員に必ず与えなければならない休暇とされています。(労働基準法第39条)

そのため、上記の表に記載されている日数が取得できていなければ、違法なのです。

ただし、有給休暇が取得できるのは、

  • 雇入れの日から6ヶ月が経過していること
  • 全労働日の8割以上出社していること

という条件がありますので、

「入社してから半年も経過していない」

「病気や家庭の事情等で、定められた労働日のうち2割以上を欠席した」

などの場合は、上記の通りの有給休暇が取得できませんので注意してください。

弁護士

上記の表の日数は「最低これだけは与えてください」という日数ですので、福利厚生が手厚い会社の場合は、もっと多くの日数の休暇を与えることもあります。しかし、ほとんどの会社では労働基準法で定められた日数の通りしか与えられていないようです。

 

1-2 :短時間労働の場合は日数が少ない

さらに、有給休暇はフルタイムで働く従業員と、短時間勤務の従業員とで日数が異なります。

短時間勤務とは、具体的には以下の2つの条件を満たす人のことです。

【有給休暇の付与日数が異なる場合の条件】

  • 週所定労働日数が4日以下
  • 週所定労働時間が30時間未満

週所定労働日数とは、会社から「あなたは毎週○日働いてくださいね」と決められている日数のことです。

週所定労働時間とは、会社から「あなたは毎週○時間働いてくださいね」と決められている時間のことです。

どちらか一方ではなく「週所定労働日数が4日以下で、かつ週所定労働時間が30時間未満」という人が、短時間労働の場合の有給休暇の付与日数になります。

【短時間勤務の場合の有給休暇の日数】

短時間勤務の場合の有給休暇の日数

弁護士
正社員とパート・アルバイト等で日数が異なるのではありません。フルタイムか、短時間勤務かで異なるという点に注意してください。
 
社員
有給休暇の日数については分かりました。この日数の有給休暇は、私が自分の希望で申請すれば、必ず取得できるのでしょうか?
弁護士
基本的にはそうなのですが、例外がありますので、これからルールを解説します。
 


2章:有給休暇の取得時期を変更される時季変更権

 有給休暇は基本的に、どのような理由でも、あなたが希望すれば取得することができますが、有給休暇を取得する時には、あなたは自分で取得する「時季(日程)」を指定する必要があります。

ただし、会社にとって都合が悪い場合は、例外的に他の時季(日程)に変更することができます(労働基準法第395項但し書き)。

都合が悪い場合とは、あなたに有給休暇を取らせると「事業の正常な運営を妨げる」場合です。過去の判例から、以下の2つの要件を満たす場合、時季変更が認められるとされています。

【有給休暇の時季変更が認められる2つの要件】

①有給休暇を取ることで営業に支障が出ること

たとえば、引越会社の従業員の場合、引越が多い3月に有給休暇を申請されると、業務の営業上支障が出てしまいます。

会社側が有給休暇を取れるように配慮をしていること(シフト調整など)

会社は従業員に対して、有給休暇を取得できるように代わりの人員を補充したり、シフトを調整して部分的にでも有給休暇を認めるなど、できるだけ従業員が希望通りに有給休暇が取得できるように配慮する必要があります。(時事通信社事件・最三小判平4623日)

有給休暇を取得されることで営業に支障が出る場合で、従業員が有給休暇を取得できるように可能な範囲で配慮している場合は、会社からの時季変更が認められるのです。

弁護士
さらに、会社から特定の時期に有給休暇を取得することを指定されることもあります。
 


3章:指定された時期に取得しなければならない計画年休制

会社が事前に有給休暇を指定することもできます。これを「有給休暇の計画的付与(計画年休)」と言います。

有給休暇の計画的付与

労働基準法上の付与される有給休暇のうち、5日を除く日数に限り、会社が時期を指定して計画的に付与することができます。

たとえば、あなたが取得できる有給休暇が15日間の場合は、計画的付与ができるのは10日間のみです。あなたの有給休暇が5日間しかなければ、計画的付与できる日数は1日もありません。

計画的付与は、

  • 職場全体が休業して従業員に取得させる(夏休みなど)
  • 班やグループ別に交代制で取得させる
  • 個人ごとに指定して取得させる(誕生日の前後など)

などの方法が活用されています。

会社で計画的付与のルールがある場合、あなたはそのルールに従って、指定された時期に有給休暇を取得する必要があります。

弁護士
ただし、有給休暇の計画的付与は、就業規則と労使協定によって、従業員との間であらかじめ合意していおく必要があります。それらで定められていなければ、計画的付与は認められません。
 
社員
会社の都合で日程が変わることもあるんですね。しかし、私の会社の場合は法律上の日数よりも少ない日数しか取得できないようなのですが、、
弁護士
それは違法ですね。これから、その場合の対処法を説明します。
 


4章:有給休暇の日数が法律上の日数より少ない場合の対処方法

有給休暇が、労働基準法で定められた日数よりも少ない場合、それは違法です。

そのため、

  • 会社の担当部署等に相談する
  • 労働基準監督署に相談する

という手段を取ることをおすすめします。

順番に解説します。

4-1:会社の担当部署等に相談する

あなたの会社で、法律で定められた有給休暇よりも少ない日数しか取得できないようになっている場合、会社の経営者や人事部等の担当者が、労働基準法に関する十分な知識を持っていない可能性があります。

そのため、有給休暇の日数が、労働基準法で定められた日数に足りていないことを、経営者や担当者に相談することで、改善する可能性もあります。

弁護士
しかし、多くの会社では、法律上の日数に足りていないことを知った上で、従業員に十分に与えていないようです。その場合は、次に紹介する方法を実践してください。
 

4-2:労働基準監督署に相談する

有給休暇の日数が法律上の日数に足りていない場合、それは違法ですので、労働基準監督署に相談することで改善される可能性があります。

【労働基準監督署とは】

労働基準監督署とは、労働基準法にのっとって全国の会社を監督・指導する行政機関です。労働者の方は誰でも無料で相談することができます。

労働基準監督署に相談すると、

  • 会社に立入調査する
  • 会社に是正勧告(改善命令)が出される
  • 再三の是正勧告に従わない場合、経営者が逮捕される
  • 違法行為をした会社として、厚生労働省のHPで公表される

などの対応が取られることがあります。

そのため、労働基準監督署に相談することで、法律通りの有給休暇の日数が与えられるように、改善される可能性があるのです。

【コラム:有給休暇の取得が拒否された場合の対処法】

会社によっては、有給休暇を申請すると拒否されることもあります。

会社に認められているのは、時季(日程)を変更したり、一部の日数を事前に指定する権利だけです。そのため、有給休暇の申請が拒否されることは違法です。

拒否された場合の対処法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

有給が取れない方必見!今日からできるカンタン有給取得対策


5章:有給休暇の日数が使い切れない場合の2つのケース

場合によっては、有給休暇を取得するタイミングを逃して「その年度のうちに使い切れなかった」ということもあるかもしれません。

その場合は、

  • 2年の時効が過ぎるまでは繰り越すことができる
  • 退職時は残った日数の買取をしてもらえることもある

というケースもあります。

それぞれ順番に解説します。

5-12年の時効が過ぎるまでは繰り越せる

 有給休暇は、その年のうちに使い切れなくても、2年前の分までは申請して取得することができます。逆に、2年より以前の有給休暇は、どれだけ日数が余っていても、後から取得することはできません。

有給休暇の取得には、2年の時効があるからです。(労働基準法第115条)

たとえば、

2017年の101日に付与された有給休暇は、2019年の931日まで取得することができますが、101日には消滅してしまいます。

有給休暇が付与されるタイミング

弁護士
そのため、申請できる権利が消滅する前に、しっかり使い切ることが大事です。
 

5-2:退職時に買取りしてもらえることもある

原則的に「有給休暇の買取り」は違法です。

なぜなら、買取りを認めることは、労働基準法上付与される有給休暇を、取得させないことを前提にしているからです。

ただし、例外的に以下の2つのケースで、買取りも違法ではなくなるとされています。

【有給休暇の買取りが認められる2つのケース】

  1. 「会社が法定日数を上回る日数を設けた有休」の買取り
    1章でお伝えした通り、有給休暇は勤続年数ごとに決まった日数が与えられます。これを「法定日数」と言います。しかし、会社によっては、法定日数を超えた有給休暇を与えることもあります。
    この場合は、法定日数でしっかりと休むことができるので、プラスされた部分の買取りをしてもらっても違法ではないのです。
  2. 有給休暇が消滅してしまう場合の有給休暇の買取り
    退職時は、有給休暇を消化しなければ消滅してしまうため、消化できなければ従業員が損してしまいます。そのため、買取りしてもらっても違法ではありません。

ただし、結局は会社が買取りをしないと判断した場合は、買取りをしてもらうことができません。権利として、有給買取りを請求することはできないのです。

弁護士
つまり、一番良いのは自分でしっかり取得できるうちに取得しておくことなのです。
 


まとめ

いかがでしたか?

最後に今回のポイントをまとめます。

有給休暇は、労働基準法で、以下の通りの日数がすべての労働者に付与されます。

フルタイムの場合の有給休暇の日数

短時間勤務の場合の有給休暇の日数

【有給休暇の付与日数が異なる場合の条件】

  • 週所定労働日数が4日以下
  • 週所定労働時間が30間未満

【有給休暇の時期が会社の都合で変わるケース】

  • 時季変更権で有給休暇の取得時期を変更されるケース
  • 計画年休制で指定された時期に取得しなければならないケース

法律通りの有給休暇が取得できるように、正しい知識をしっかり覚えてくださいね。