
あなたは、
「未払いの給料を会社から取り返したい!どこに相談したら取り返せるんだろう?」
という悩みをお持ちではありませんか?
実は、未払い給料は、相談先によって取り返すことが出来る可能性やかかる期間、金額などが異なってきます。そのため、未払い給料を取り返すためには「短期間でより確実に取り返せるところ」に相談することが大事です。
そこでこの記事では、まずは未払いの給料について相談できる「3つの相談先」についてご紹介します。次に、未払い給料を取り返すために必要な「2つの条件」について解説します。
また、派遣やアルバイトで、未払い給料が少額であるために泣き寝入りしている場合でも、取り返すことができる方法を紹介しています。
しっかり最後まで読んで、会社からお金を取り返すための行動をはじめましょう。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
まず最初に知っておくべきことは、給料の未払いは違法であるため、以下の2つの条件が満たされていれば、給料を取り返せる可能性が高いということです。
■未払い給料を請求するための条件
①給料が未払いになっている事実・金額を証明する
②労働を行った事実を証明する
未払い給料については下記の相談先に相談可能です。
■未払い給料を相談できる相談先
- 労働基準監督署
- 労働組合
- 弁護士
給料を取り返せる可能性がもっとも高いのは弁護士ですので、早めに相談することをおすすめします。
目次
1章:未払いの給料は取り返せる!相談できる3つの相談先
ブラック企業が給料を払わないことは、労働基準法に違反しており、「犯罪」です。
そのため、適切な手続きを取ることで、未払いの給料を取り返せる可能性が高いです。
そこで、以下の3つの相談先を選択し、問題の解決を図る方法があります。
- 労働基準監督署
- 労働組合
- 弁護士
まずは、3つの相談先に相談する方法と、相談した場合の流れについて詳しく解説します。
1−1:労働基準監督署に相談する:オススメ度★
「労働基準監督署」とは、厚生労働省の出先機関で、労働基準法に基づいて会社を監督するところです。残業代の未払いは労働基準法違反のため、労働基準法に相談することで解決にいたる可能性もあります。
まずは、労働基準監督署に相談する場合の流れについて解説します。
【労働基準監督署に相談するまでの流れ】
①証拠を集めておく
労働基準監督署に動いてもらうためには、証拠を集めて直接相談に行くことが一番有効です。何故なら、証拠がないと労働基準監督署は、ただの「情報提供」としてしか扱わず、実際に調査に入らないことが多いからです。
②労働基準監督署に相談する
労働基準監督署に相談する場合、「電話」「メール」「窓口で相談」のどれかの方法を選ぶことができます。また、匿名での相談も可能です。
ただし、電話・メールでの相談や匿名の相談だと「緊急性が低い」と思われて、実際に動いてくれないことがあるので注意が必要です。
そのため、やはり、直接相談に行くことが一番有効です。(この場合は匿名での相談は難しい)
労働基準監督署の窓口は土日祝日が休みであり、かつ平日の17:15までしか開いていないため、平日の昼間に行く必要があります。
【労働基準監督署に相談した後の流れ】
①労働基準監督署が会社を調査
労働基準監督署があなたの申告から、まずは実態がどうなっているのか調査します。調査では、労働基準監督署から調査員が会社を訪問し、労働関係の帳簿を調べたり、責任者や労働者にヒアリングしたりします。
②違法性があったら会社へ是正勧告
違法性があった場合に、それを改善させるために「これをやめなさい」「こう改善しなさい」という是正勧告をします。
③従わなければ経営者を逮捕
再三の勧告で改善されなかった場合は、最終的には逮捕に踏み切ることもあります。ただし、労働基準監督署が逮捕に踏み切るのは例外的な悪質なケースのみです。
ただし、「労働基準監督署は労働基準法に違反する会社を取り締まる機関」である、ということに注意する必要があります。つまり、「労働者の給料を取り返してくれる機関」ではないため、未払い給料を取り返せる可能性は低いのです。
労働基準監督署の人員は、全国400万の法人に対して約2400人しかおらず、慢性的な人員不足です。そのため、「人命に関わる」ような案件を優先し、「給料の未払い」などは後回しにされます。つまり、「給料の未払い」のために動いてくれることは少なく、相談しても無駄足になる可能性が高いのです。
そこで、未払い給料を取り返すためには、これから紹介する方法をおすすめします。
1−2:労働組合に相談する:オススメ度★★
労働組合とは、労働者が自分たちの立場を守るために集まって作る組織で、誰でも入ることができるものです。自分の会社に労働組合がなくても、個人で加盟が可能な「個人加盟労働組合」に入ることができます。
ブラック企業を訴える場合、あなた個人で訴えるのではなく、労働組合に入ることで、「団体の力を使って会社と戦う」という選択肢もあります。まずは、労働組合に相談する場合の流れについて解説します。
【労働組合に入るステップ】
①自分にあった労働組合を選んで入る
労働組合はどこでも良いわけではないため、以下の2つの点から選ぶ必要があります。
<ポイント①>
繰り返し通うことになるため、自宅から通いやすいところを選ぶ。
どの地域にも複数の労働組合があるため、まずは自分の住む地域から加入できるところを探す必要があります。インターネットで検索すれば簡単に探すことができます。
<ポイント②>
労働組合は、それぞれ得意とする問題が異なるため、業界・職種などに合ったところを選ぶ。
地域によっては以下のような様々な種類の労働組合があります。
- 女性の問題が得意な労働組合
- 管理職の問題が得意な労働組合
- 35歳未満のみが参加できる若者向けの労働組合
など。
そのため、よく調べてあなたに合った組合に入ることをおすすめします。
②相談して参加する
労働組合には、アポイントメントをとってトラブルの内容を相談し、自分のトラブルがその労働組合で解決できそうであれば、会費を払えばすぐにでも加入することができます。(会費は安いところで1000円程度のようです。)
【労働組合に入った後の流れ】
労働組合に加入すると、あなたの問題を解決するために助言やサポートしてくれます。加入後は、労働組合があなたと一緒に団体として、会社に対して未払い給料の支払いを求めて交渉します。労働組合との団体交渉を経営者が拒否することはできませんので、確実に交渉の場を設けることができます。労働組合は、団体交渉を進めて和解に持ち込むノウハウを持っているため、団体交渉で残業代を取り返すことができる可能性もあるでしょう。
しかし、労働組合へ加盟しての活動は、手間や時間、会費などのお金がかかるだけでなく、自分が中心になって会社と戦わなければならない点で、精神的負担も大きいです。
さらに、労働組合に入ると団体で会社と戦うために、会社の近くに横断幕を張ったり、ビラ配りをしたりという活動に参加しなければならないこともあります。
このように、労働組合に相談する方法にもデメリットが多く、未払い給料を取り返すためのベストな選択肢だとは言えません。そこで、次に「弁護士に相談する」方法をご紹介します。
1-3:弁護士に依頼する:オススメ度★★★
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟(裁判)」になることは少ないです。おそらくあなたが心配しているであろう「費用」の面でも、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
弁護士に依頼した場合、
- 交渉
- 労働審判
- 訴訟(裁判)
という手段によって、給料が請求されていきます。弁護士に依頼した場合の流れは、以下のようになります。
弁護士に依頼することは時間・手間・精神的負担が少ない、弁護士によっては初期費用もかからない、などメリットが多いです。
以上を踏まえて、紹介した3つの方法のメリット・デメリットを整理すると、以下のようになります。
【3つの方法のメリット・デメリット】
それでは次に、「未払い給料」を請求するために満たすべき2つの条件について解説します。以上のように、「未払い給料を請求する」場合には、弁護士に依頼する方法がもっともオススメなのです。
2章:未払い給料を請求するための2つの条件
未払いの給料を請求するためには、満たすべき2つの条件があります。それは、
- 給料が未払いになっている事実・金額を証明できる(証拠がある)こと
- 労働していた事実を証明できる(証拠がある)こと
という2つです。
なんだか難しそう・・・これができなかったら、給料は取り返せないの?
完璧な証拠がなくても、未払い給料を取り返すことができることが多いです。弁護士が会社に証拠の提出を求めることもできますので、心配する必要はありませんよ。
それでは、2つの条件について詳しくみてみましょう。
2−1:条件①給料が未払いになっている事実・金額を証明できること
給料が未払いになっているという事実を証明するためには、
- 「もらえるはずの給料」の金額
- 未払い給料が存在すること
という2つを示す証拠が必要です。
これらについて証明しないと、会社から以下のように言われてしまう可能性があります。
給料がいくらだったか分からないから払えないよ。
給料はもう払ったはずだろう?
悪質な経営者は、給料をできるだけごまかして、未払いのままにしようとします。経営者に反論し、給料を取り返すためには、以下の証拠が必要です。
【本来の給料の金額を示す証拠】
まずは、そもそもあなたがいくらの給料をもらう契約になっていたのかを示す証拠が必要です。そこで、以下のものなどが証拠になります。
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
【実際に払われた給料の金額を示す証拠】
次に、もらえるはずだった給料が未払いにされていることを証明する証拠が必要です。以下のものが、証拠になります。
- 給与明細
- 給与口座の取引明細
- 源泉徴収票
「本来の給料の金額を示す証拠」と「実際に払われた給料の金額を示す証拠」を比較して、実際に払われた給料の金額が少なければ、未払いになっていることが証明できるのです。
2−2:条件②労働していた事実を証明できること
上記の条件①で必要なものに加えて、あなたが会社で労働していたという事実を示す証拠が必要です。そこで、以下のものを証拠にすることができます。勤怠管理している会社と勤怠管理していない会社とに分けて解説します。
【勤怠管理している会社で有効な証拠】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠になるものについて、会社から証拠隠滅されないように、パソコンからデータをダウンロードしたり、シフト表や日報は写真に撮ったりして、保存しておきましょう。
また、これらの証拠になるものがなくても、諦める必要はありません。
勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
証拠としては、本人の筆跡が確認できる「手書き」のものが、もっとも証拠として認められる可能性が高いです。できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまわないので、できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
ただし、証拠を記録するときに、絶対に「ウソ」の内容を書いてはいけません。意図的に実際に働いた時間と異なることを書くと、それがばれてしまった時に、証拠の信用性が疑われて不利になってしまうからです。そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、曖昧さが指摘されないようにしておきましょう。
詳しい証拠の集め方については「【保存版】知らないと損する?残業代請求する為に揃えておくべき証拠」の記事を参照してみてください。
未払いの給料を請求するために満たすべき、2つの条件について理解することはできましたか?実は以下のようなケースでも、上記の条件を満たしていれば、未払い給料を請求することができます。
3章:泣き寝入りはダメ!こんな場合も給料がもらえる
あなたは以下のようなことを理由に、給料を取り返すことを諦めていませんか?
①派遣社員・アルバイト・パート職であるため
派遣社員やアルバイト・パートであっても、正社員と同じく労働基準法で、給料が適正に払われることが義務づけられています。そのため、これらの職種でも未払いの給料は取り返すことができます。
②すでに退職した会社であるため
すでに会社を辞めていても、時効が成立するまでの3年以内であれば、未払いの給料をもらう権利があります。また、退職金の場合は、3年の時効が成立するまでは、請求の手続きを行うことができます。
③管理職であったため
管理職扱いされていても、労働基準法で給料が払われることが義務づけられています。さらに管理職扱いされていた人は、残業代がごまかされていることが多いため、残業代も合わせて請求できる可能性が高いです。
④会社とトラブルを起こして辞めたため
社長と喧嘩をして辞めた、給料をもらわないうちにバックレてしまった、などトラブルを起こして辞めた場合でも、労働した時間分は給料をもらう権利があります。
以上のような理由で集められそうな証拠がない、という場合も諦める必要はありません。弁護士に依頼すれば、弁護士が会社に証拠の提出を要求するため、未払い給料を請求できる可能性もあるのです。とはいえ、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、できるだけ会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことが望ましいです。
「未払いの給料を取り返すための2つの条件」と「実は取り返すことができるケース」について、理解できたでしょうか。
最後に未払い給料を請求する上で、必ず知っておかなければならない「時効」について解説します。
4章:未払いの給料が請求できるのは3年!行動は早めに
あまり知られていませんが、未払い給料は3年で時効が成立します。時効の基準になるのは、その給料が支払われている(支払われていた)毎月の給料日です。つまり、毎月の給料日を過ぎるたびに、1ヶ月分の給料が消滅していくのです。
「未払いの給料の時効」について、詳しくは以下の記事を参照してください。
二度ともらえなくなる前に!未払い給料の3年の時効と集めるべき証拠
時効を過ぎてしまうと、二度と未払いの給料を取り返すことができなくなってしまいます。たとえ、相手が不当に給料を払っていないブラック企業であったとしてもです。
そのため、時効を迎える前に請求の手続きが間に合うように、早めに行動を始めましょう。
まとめ:未払い給料の請求と相談先
いかがだったでしょうか?
最後にもう一度、今回の内容を振り返りましょう。
もっとも大事なことは、「給料が未払いにされることは違法」であり、以下の2つの条件を満たすことができれば、給料を取り返す事ができる可能性が高いということです。
①給料が未払いになっている事実・金額を証明する
【証拠の例】
- 雇用契約書
- 給与明細
- 労働条件通知書
- 求人票
- 給与口座の取引明細
- 源泉徴収票
②労働を行った事実を証明する
【証拠の例】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
給料の未払いについて相談できる相談先には、
- 労働基準監督署
- 労働組合
- 弁護士
の3つがありますが、もっとも給料を取り返せる可能性が高いのは弁護士への依頼です。
また、弁護士に依頼しても「訴訟(裁判)」になることは少なく、ほとんどは時間・手間・お金があまりかからない「交渉」で解決します。
未払いの給料が請求できるのは「3年」までですので、すぐに行動をはじめることをオススメします。
【内部リンク一覧】