不貞行為の慰謝料は二重取りできる?2つのケースと両方に請求する方法

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
住川 佳祐

不貞行為の慰謝料は二重取りできる?2つのケースと両方に請求する方法
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 不貞行為の慰謝料は原則として二重取りできない
  • 慰謝料の二重取りが事実上できる2つのケース
  • 配偶者・不倫相手に慰謝料を請求する方法
  • 慰謝料請求で失敗しないための3つのポイント

あなたは、

「不貞行為の慰謝料は二重取りできる?」

「不貞行為の慰謝料を二重取りする方法が知りたい」

「配偶者・不倫相手の両方に慰謝料を請求して解決したい」

などとお考えではないですか。

結論から言うと、原則として不貞行為の慰謝料を配偶者と不倫相手の両方から二重取りすることはできません。

配偶者と不倫相手の両方に請求はできますが、どちらか一方が慰謝料を全額支払った場合は、もう一方は慰謝料を支払う必要はありません。

なぜなら不倫の慰謝料は、当事者である配偶者と不倫相手の両方が連帯して債務を負うこと(不真正連帯債務)になるため、その負担割合は不倫の状況や当事者の関係性によって変化しますが、慰謝料の二重取りをすることはできないからです

ただし、不貞行為の慰謝料の金額は、決められた金額や算出する計算式などはないため、交渉においては慰謝料の二重取りが事実上できるケースもあります。

この記事では、1章で不貞行為の慰謝料は原則として二重取りできないことを、2章では慰謝料の二重取りが事実上できる2つのケースなどを解説します。

さらに3章では、配偶者・不倫相手に慰謝料を請求する方法を、4章では慰謝料請求で失敗しないための3つのポイントについて解説します。

個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。

【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】

■不貞行為の慰謝料は、配偶者と不倫相手の両方に請求することはできますが、原則として配偶者と不倫相手の両方から二重取りすることはできません。

■慰謝料の二重取りが事実上できる2つのケース

  • 配偶者・不倫相手双方との話し合いで合意が得られた場合
  • 配偶者から離婚慰謝料を受け取った場合

■配偶者や不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、内容証明郵便による慰謝料請求書の送付や、話し合いによる交渉、民事訴訟による慰謝料請求があります。

■慰謝料請求で失敗しないために最も有効なポイントは、できるだけ早い段階から弁護士に相談することです。

不貞行為の慰謝料の二重取りについてのポイント

不倫の慰謝料でお悩みのあなたへ、まずはお気軽にご相談ください
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1章:不貞行為の慰謝料は原則として二重取りできない

前述したように、不貞行為の慰謝料は、配偶者と不倫相手の両方に請求することはできますが、原則として配偶者と不倫相手の両方から二重取りすることはできません。

この章では、

  • 不貞行為の慰謝料を請求できる条件と相場
  • 配偶者と不倫相手の両方に全額請求できる
  • 一方から全額受け取った場合は他方には請求できない

以上3つの項目についてそれぞれ解説していきます。

1-1:不貞行為の慰謝料を請求できる条件と相場

不貞行為の慰謝料を請求するためには、不貞行為(肉体関係)の事実を明らかにする証拠や、不倫相手の故意・過失、夫婦関係の状況など、いくつかの条件を満たす必要があります。

配偶者や不倫相手に慰謝料を請求できる条件としては、次の5つです。

  • 配偶者と不倫相手に肉体関係がある
  • 不倫相手は既婚者だと知っていた・知ることができた
  • もともと夫婦関係は破綻していなかった
  • 不倫によって夫婦関係が悪化または破綻した
  • 時効が成立していない

まず不貞行為の慰謝料を請求するためには、配偶者と不倫相手に肉体関係(不貞行為)があることを、証明あるいは推認できる十分な証拠が必要です。

なぜなら、そもそも不貞行為とされる肉体関係を不倫相手が認めない場合、不貞行為があったことを証明する証拠がなければ、相手が慰謝料の請求に応じることはないからです。

さらに不倫相手が、自分の交際相手は既婚者だと知っていて、不貞行為を故意に行っていた場合は当然不法行為となり、故意ではなかったが知ることができた場合も、過失が認められるため不法行為が成立します。

また、もともと夫婦関係は破綻していなかったが、不倫(不貞行為)によって夫婦関係が悪化または破綻したことを示す必要があります。

最後に、不倫の慰謝料の請求には、不貞行為の事実と不倫相手を知ってから3年間という消滅時効があるため、時効が成立していないことが条件となります。

また不倫の慰謝料の一般的な相場としては、不倫によるその後の夫婦(婚姻)関係に応じて、次のような相場となっています。

不倫慰謝料の相場

慰謝料の相場が示すように、不倫によって夫婦(婚姻)関係が破綻し離婚に至った場合の方が、当然慰謝料金額は高額となっています。

1-2:配偶者と不倫相手の両方に全額請求できる

配偶者と不倫相手は、不貞行為を行った共同不法行為者となるため、ともに慰謝料の支払い義務「不真正連帯債務」を負います。

そのため配偶者と不倫相手それぞれが、慰謝料を全額支払う責任を負うことになるため、両方に対して慰謝料全額を請求できます。

例えば、不貞行為の正当な慰謝料が200万円とした場合、配偶者に対して200万円を請求することもできますし、不倫相手に対して200万円を請求することもできます。

つまり不真正連帯債務の場合は、一方の支払いを免除しても他方の支払い義務は免除されないため、夫婦関係を継続する配偶者には請求せず、不倫相手に慰謝料の全額を請求することができます。

1-3:一方から全額受け取った場合は他方には請求できない

不貞行為の慰謝料は、配偶者と不倫相手の両方に対して請求することはできますが、一方から全額を受け取った場合は、他方には請求することはできません。

例えば、不貞行為の正当な慰謝料が200万円とした場合、不倫相手だけに全額請求することもできますし、それぞれに100万円ずつ請求することもできますが、全額の200万円を超えて受け取ることはできません。

つまり、200万円の範囲内であればそれぞれから受け取る金額はいくらでも構いませんが、双方から200万円ずつ受取り慰謝料の二重取りをすることはできません。

2章:慰謝料の二重取りが事実上できる2つのケース

不貞行為の慰謝料の金額は、決められた金額や算出する計算式などはないため、それぞれ裁判で判決が下されない限りその金額が確定されることはありません。

そのため慰謝料の二重取りが事実上できる2つのケースがあります。

  • 配偶者・不倫相手双方との話し合いで合意が得られた場合
  • 配偶者から離婚慰謝料を受け取った場合

それぞれ解説していきます。

2-1:配偶者・不倫相手双方との話し合いで合意が得られた場合

裁判によらずに配偶者や不倫相手双方との交渉によって慰謝料金額を決める場合、それぞれの当事者が納得して合意すれば、合意が得られた慰謝料金額を受け取ることができます。

例えば不倫によって離婚に至り、本来であれば正当な慰謝料金額は300万円であったときに、配偶者と不倫相手それぞれから200万円の支払いで合意を得て合計400万円を受け取った場合は、増額分の100万円は実質的には二重取りしたと言えます。

2-2:配偶者から離婚慰謝料を受け取った場合

配偶者から離婚慰謝料を受け取った場合、基本的には、離婚慰謝料の中に不貞慰謝料も含まれていると解釈されます。

しかし,離婚慰謝料のうち、いくらが不貞行為の慰謝料であるのかを特定することは難しいため、不倫相手に対して別途に不貞行為に対する慰謝料を請求できる可能性があります。

例えば、不倫が原因で離婚に至った場合、配偶者は不貞行為に対する慰謝料の支払い義務が生じるだけですが、不貞行為以外にもDVやモラハラなどの離婚原因がある場合は、不貞行為とその他の離婚原因に対する慰謝料を合算した離婚慰謝料を支払う義務が生じます。

この場合、不貞行為の慰謝料を請求された不倫相手が、配偶者がすでに離婚慰謝料を全額支払っているため自分には支払い義務がないと主張しても、離婚慰謝料の中に不貞行為以外の慰謝料も含まれているため、不貞行為の慰謝料が全額支払われたとはいえないと判断される可能性があります

そのため、結果的には配偶者と不倫相手から慰謝料を二重取りできたことになります。

3章:配偶者・不倫相手に慰謝料を請求する方法

配偶者・不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、次の3つがあげられます。

  • 書面の送付による請求
  • 配偶者・不倫相手との話し合いによる請求
  • 民事訴訟による請求

それぞれ解説していきます。

3-1:書面の送付(内容証明郵便)による請求

不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、一般的には内容証明郵便で慰謝料請求書を送付します。

内容証明郵便で送付することで、誰が誰に対してどんな内容でいつ送付したのか証明することができるため、慰謝料の支払い義務を促し言い逃れを防ぐことができます。

さらに、弁護士から慰謝料請求書を送ることで、相手に対してプレッシャーを与えることができます。

内容証明郵便による慰謝料請求書の送付で、不倫相手が支払いに応じた場合は、不倫問題も解決することになります。 

3-2:配偶者・不倫相手との話し合いによる請求

配偶者と不倫相手それぞれとの対面による話し合いによって、慰謝料を請求する方法もあります。

配偶者との話し合いによって協議離婚に至る場合は、不貞行為の慰謝料だけでなく離婚条件(その他の慰謝料、財産分与、親権など)を決めて、離婚協議書を作成し公正証書にまとめます。

配偶者との話し合い(協議)がうまくいかなかった場合は、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることができます。

不倫相手と慰謝料の話し合いで、金額や支払い方法、支払期日が決まり交渉がまとまったら、長期の分割払いになる場合などは公正証書を作成することをおすすめします。

公正証書にすることによって、相手の支払いが約束に反した場合は、裁判手続きを取ることなく給料や財産を差し押さえることもできます。 

3-3:民事訴訟による請求

配偶者と離婚協議・離婚調停で合意ができない場合は、家庭裁判所に離婚訴訟を起こすことができます。

また、不倫相手との慰謝料交渉によって合意が得られなかった場合は、民事訴訟によって慰謝料を請求することができます。

裁判所に対して訴状及び証拠等を提出し、配偶者や不倫相手と争うことになりますが、裁判の途中で裁判官のすすめによって和解が成立することも多く、最終的には裁判官の判断によって離婚や慰謝料の金額等が決められます。

民事訴訟の手続きは複雑で、提出する書類等も多いため、手続きをスムーズに進めて、さらに公判を有利に進めるためには、弁護士に依頼することをおすすめします。

4章:慰謝料請求で失敗しないための3つのポイント

慰謝料請求で失敗しないためのポイントは、次の3つです。

  • 慰謝料を請求できる条件を確認する
  • 不貞行為の証拠を集め証拠に基づいて交渉する
  • できるだけ早い段階から弁護士に依頼する

それぞれ解説していきます。 

4-1:慰謝料を請求できる条件を確認する

不貞行為の慰謝料請求で失敗しないためには、1章で解説した慰謝料を請求できる条件を満たしているか確認することが重要です。

なぜなら、不貞行為の慰謝料を請求するためには、不貞行為(肉体関係)の事実を明らかにする証拠や、不倫相手の故意・過失、夫婦関係の状況など、いくつかの条件を満たす必要があるからです。

配偶者には、不貞行為の証拠によって慰謝料の請求が可能であっても、不倫相手に対しての慰謝料請求では、条件を満たしていない場合は反論され請求を拒否される可能性もあります。

4-2:不貞行為の証拠を集め証拠に基づいて交渉する

不貞行為の慰謝料請求で失敗しないためには、配偶者や不倫相手それぞれとの話し合いの場では、不貞行為を証明する証拠に基づいて、冷静に交渉することが重要です。

不倫の写真やその他の不貞行為が推測できる証拠等を検証することによって、不倫相手に不貞行為を認めさせることが大事です。

そのためには、不倫現場の写真や録音データ、配偶者のクレジットカードの利用明細やSuica、PASMOの利用履歴など、不貞行為や配偶者の行動を検証できる十分な証拠を事前に集めておくことが重要です。 

不倫の証拠になり得るものとその集め方について、次の記事で詳しく解説しています。

【こんなものも証拠に!?】浮気の証拠になりうるものとその集め方を弁護士が解説

4-3:できるだけ早い段階から弁護士に依頼する

慰謝料請求で失敗しないための一番有効なポイントは、できるだけ早い段階から弁護士に依頼することになります。

弁護士に依頼することによって、慰謝料相場や慰謝料請求のためのアドバイスだけでなく、必要な証拠とその集め方、不倫相手との交渉、慰謝料の請求書の作成と送付など、あらゆるサポートを受けることができます。

また、弁護士が交渉を代行することによって、専門的な知識や経験を駆使して、適正な慰謝料を得られる可能性が高まります。

さらに、訴訟が必要となった場合は、複雑な手続きを任せられるだけでなく、適切な弁護活動によって妥当な慰謝料を得られる可能性が高まります。

 ※当事務所(QUEST法律事務所)では無料相談を受け付けていますので、不倫問題でお悩みの際はぜひご利用ください。

まとめ

ここまで、不貞行為の慰謝料は原則として二重取りできないことや、逆に慰謝料の二重取りが事実上できる2つのケースなどについて解説してきました。

最後に、今回の内容をまとめます。

■不貞行為の慰謝料は、配偶者と不倫相手の両方に請求することはできますが、原則として配偶者と不倫相手の両方から二重取りすることはできません。

■慰謝料の二重取りが事実上できる2つのケース

  • 配偶者・不倫相手双方との話し合いで合意が得られた場合
  • 配偶者から離婚慰謝料を受け取った場合

■配偶者や不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、内容証明郵便による慰謝料請求書の送付や、話し合いによる交渉、民事訴訟による慰謝料請求があります。

■慰謝料請求で失敗しないために最も有効なポイントは、できるだけ早い段階から弁護士に相談することです。

この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。

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