妻が不倫!親権を獲得できないケースと、夫が親権を獲得するためのポイント
この記事を読んで理解できること
- 妻が不倫!原則として親権には影響しない
- 不倫した妻(母親)が親権を獲得できない3つのケース
- 夫(父親)が親権を獲得するための3つのポイント
- 離婚時に親権を決める流れ
あなたは、
- 妻が不倫して離婚するので親権を渡したくない
- 妻が不倫しても母親だから親権が認められやすい?
- 父親が親権を獲得する方法が知りたい
などとお考えではありませんか?
結論から言うと、親権を判断する際は「子どもの利益と福祉」が重視されるため、子どもの意思も尊重されたうえで、母親に親権が認められるケースが多いと言えます。
特に、これまで子どもの世話は主に妻が行っていた場合や、子どもの年齢が低い場合は、現状維持や母性優先の考え方が重視される可能性が高いからです。
父親の立場として仕事を優先したため、子どもと一緒に過ごせる時間が短かった場合は、親権獲得には不利な状況だと言えます。
そこでこの記事では、
1章では、妻が不倫!原則として親権には影響しない
2章では、不倫した妻(母親)が親権を獲得できない3つのケース
3章では、夫(父親)が親権を獲得するための3つのポイント
4章では、離婚時に親権を決める流れ
について解説します。
この記事を読んで、離婚の際の親権問題で有利な結果が得られるように、個々の内容をしっかりと理解し今後の行動に役立ててください。
目次
1章:妻が不倫!原則として親権には影響しない
妻が不倫して離婚問題に発展した場合でも、原則として親権の判断には影響しないとされています。
そこでこの章では、
- 親権とは?親権の判断基準
- 妻の不倫は原則として親権には影響しない
それぞれ解説します。
1-1:親権とは?親権の判断基準
親権とは、未成年の子どもを持つ親が負う、子どもの監護や教育、子どもの財産の管理を行う権利であり義務のことです。
親権は子どものためにある制度ですから、子どもの監護状況や子どもの意向、親権者の適格性などが調査されて総合的に判断されることになります。
親権者と認められるための判断基準としては、主に次の5つがあげられます。
- これまでの監護状況
- 子どもに対する愛情
- 親権者としての経済力
- 今後の生活(監護)環境
- 子どもの意思・希望
ただし、子どもの親権を夫婦間の話し合いで決める場合は、どちらかを親権者として認める合意が得られれば、特に親権者としての条件などはありません。
1-2:妻の不倫は原則として親権には影響しない
妻の不倫が原因で離婚に至った場合でも、原則として親権の獲得には影響しません。
親権の判断基準は、現状の子どもとの関係性や親権者としての適格性などによって決定されるため、不倫といった夫婦間の問題とは切り離されて考えられるからです。
特に、これまで子どもの世話は主に妻が行っていた場合や、子どもの年齢が低い場合は、妻の方が親権者として認められやすいと言えます。
ただし、妻の不倫によって子どもに悪影響がある場合や、長時間労働を必要とし十分な養育環境が築けない場合は、夫の親権獲得が認められるケースもあります。
2章:不倫した妻(母親)が親権を獲得できない3つのケース
不倫した妻(母親)が親権を獲得できないケースとして、次の3つがあげられます。
- 妻が不倫関係を優先し育児放棄をしている
- 妻や不倫相手が子どもを虐待している
- 子どもが父親と暮らすことを望んでいる
それぞれ解説します。
2-1:妻が不倫関係を優先し育児放棄をしている
妻が不倫関係を優先し育児放棄をしている場合は、親権を獲得できないでしょう。
育児放棄とみられる行動としては、次のような例があげられます。
- 食事を与えない
- お風呂に入れない、不衛生な環境で生活している
- 家に閉じ込める、学校に行かせない
- 病気やケガをしても病院に連れて行かない
- 子どもを家に残したままたびたび外出する
妻に以上のような行動が見られる場合は、親権者としてはふさわしくないと判断され、夫の親権が認められる可能性が高いです。
2-2:妻や不倫相手が子どもを虐待している
妻や不倫相手が子どもを虐待している場合は、親権を獲得できないでしょう。
虐待とみられる行動としては、次のような例があげられます。
- 暴力をふるう
- 暴言を吐く、過度の叱責
- 拒否的な態度や無視する
- 子どもの目の前で家族に暴力をふるう
- わいせつな行為をする・させる
妻に以上のような行動が見られる場合は、親権者としてはふさわしくないと判断され、夫の親権が認められる可能性が高いです。
2-3:子どもが父親と暮らすことを望んでいる
子どもが父親と暮らすことを望んでいる場合は、父親が親権者と認められる可能性があります。
親権の判断基準には、子どもの意思・希望を尊重することもあげられているからです。
特に、子どもが15歳以上の場合は、家庭裁判所は調査官によって子どもの意思・希望を聞く必要があると定められています。
また実際には子どもが10歳前後でも、自分の意思を持ちそれを人に伝えられる場合は、その子どもの意思が尊重され反映されることも多くあります。
3章:夫(父親)が親権を獲得するための3つのポイント
夫(父親)が親権を獲得するためのポイントとしては、次の3つがあげられます。
- 子どもの養育環境を整える
- 別居する場合は子どもと離れない
- 面会交流は積極的に認める
それぞれ解説します。
3-1:子どもの養育環境を整える
夫(父親)が親権を獲得するためには、子どもの養育環境を整えることが重要です。
子どもの親権の判断基準として、「子どもと一緒にいられる時間をどれだけ確保できるか」が非常に大事なポイントになります。
特に、子どもがまだ幼い場合は、親権者ができるだけ長く子どもと接する時間があるほうが望ましいとされます。
そのため、親権者が仕事をしている間、代わりに子どもの世話をしてくれる親・家族、または保育所等の有無が考慮されることになります。
また、子どもの環境の変化が、できるだけ少ない方が良いと判断される場合があります。
例えば、家の引っ越しや転校が必要となるのか、離婚後の生活環境、生活水準が、これまでより厳しいものとなるのかなど、子どもにとってより利益となる環境が重視される場合もあります。
3-2:別居する場合は子どもと離れない
不倫した妻と別居する場合は、絶対に子どもと離れないことが重要です。
夫(父親)が親権を獲得するためには、自分が別居する場合は必ず子どもを連れていき、妻が家を出るのであれば子どもをおいて一人で出ていくように主張しましょう。
父親が離婚する際にすでに子どもと一緒に暮らしていて、子どもが不自由なく良好な生活を送れている場合は、あえて現状の生活を壊して不倫した母親が親権者と認められる可能性は低いからです。
逆に、不倫した母親であっても子どもが慕い一緒に生活している場合は、改めて父親を親権者と認めるだけの明確な理由が必要となるため難しいケースが多いです。
3-3:面会交流は積極的に認める
夫(父親)が親権を獲得するためには、妻と子どもの面会交流は積極的に認めてあげましょう。
不倫した妻が許せず子どもにも会わせたくないと思っている場合でも、子どものために寛容になって親権者としてふさわしい行動をとることが重要です。
子どもは夫婦間の問題とは関係なく、母親との親子関係は一生変わらないものであり、子どもが健全に成長するためには母親の存在が必要不可欠だからです。
4章:離婚時に親権を決める流れ
離婚時に親権を決める流れは、次のようになります。
- 夫婦間の話し合い(離婚協議)で決める
- 離婚調停によって決める
- 離婚訴訟による決定
それぞれ解説します。
4-1:①夫婦間の話し合い(離婚協議)で決める
子どもの親権を決める場合、まずは夫婦間の話し合いから始めます。
親として子どもの将来を考えて子どもの利益を最優先にして、親権者を決めることが重要です。
離婚、親権等に関する合意が得られた場合は、合意の内容を記載した離婚協議書を作成します。
離婚後に養育費等の支払いを受ける場合は、未払い等の金銭トラブルに備えて「公正証書」にしておくことをおすすめします。
しかし、夫婦間の話し合いで親権者の指定だけでなく、離婚に関するいろいろな条項が合意に至らない場合は、家庭裁判所へ離婚調停の申し立てを行う必要があります。
4-2:②離婚調停によって決める
離婚調停では、裁判官1名と調停委員2名からなる調停委員会によって、双方の意見の聞き取りや条件面の話し合いが夫婦別々に行われます。
離婚調停で親権が問題となる場合は、子どもの実情や生活状況を把握するために、家庭裁判所の調査官による調査が行われます。
調査官は、子どもや両親の心情等に配慮しながらも、専門的立場から主な判断基準に沿って調査を進めていきます。
裁判官は、調査官の作成した調査報告書に基づいて判断し、調停における助言やアドバイスとして仲介による合意を促していきます。
夫婦双方が合意した場合は、離婚、親権等の合意した内容が調停調書に記載され、調停離婚が成立します。
申立人は、調停成立の日から10日以内に、離婚届に離婚調停調書の謄本を添えて、市町村役場に提出しなければなりません。
もし、相手が離婚を拒否したり、子どもの親権等で合意が得られない場合は、原則、調停不調となります。
4-3:③離婚訴訟による決定
離婚調停による話し合いで離婚の合意は得られたが親権者の決定には至らなかった場合は、離婚訴訟を起こして、裁判所の判決によって親権者が指定されます。
離婚訴訟では、離婚協議・調停のような話し合い、合意による決定ではなく、裁判官の判断によって親権者が決められます。
そのため、裁判官にいかに親権者としてふさわしいか認めてもらえる実情を、裁判官に伝えるための準備が必要となります。
そのため、親権の獲得を目指す場合は、弁護士に相談されることをおすすめします。
もし、決定した親権者を変更したい場合は、家庭裁判所に親権者変更の調停・審判を申し立てることができます。
ただし、この場合は、明らかに子どもの利益のために、変更が必要だと判断される特別な事情がある場合に限られるので、変更が認められる可能性は低いといえます。
まとめ:妻が不倫したときに夫が親権を獲得するためのポイント
妻が不倫して離婚問題に発展した場合でも、原則として親権の判断には影響しないとされています。
親権者と認められるための判断基準としては、主に次の5つがあげられます。
- これまでの監護状況
- 子どもに対する愛情
- 親権者としての経済力
- 今後の生活(監護)環境
- 子どもの意思・希望
不倫した妻(母親)が親権を獲得できないケースとして、次の3つがあげられます。
- 妻が不倫関係を優先し育児放棄をしている
- 妻や不倫相手が子どもを虐待している
- 子どもが父親と暮らすことを望んでいる
夫(父親)が親権を獲得するためのポイントとしては、次の3つがあげられます。
- 子どもの養育環境を整える
- 別居する場合は子どもと離れない
- 面会交流は積極的に認める
離婚の際の親権問題で有利な結果を得るためには、離婚問題に詳しい弁護士に依頼することをおすすめします。