【弁護士が解説】キスだけでも不倫慰謝料を請求される2つのケースを紹介
この記事を読んで理解できること
- キスだけで不倫が成立するケース・成立しないケース
- キスだけで不倫が成立するケース
- キスによって不倫が成立した場合の対処法
- キスだけの関係を続ける7つのリスク
- キスによって慰謝料請求が認められるケース
あなたは、
- 不倫はキスだけで成立するのか知りたい
- どのようなケースなら不倫として成立するのか気になる
- 不倫が成立した場合にすべき対処法を知りたい
このようにお考えではありませんか?
たしかに、結婚していて他の異性とキスしてしまった場合、キスだけで不倫は成立するのか気になりますよね。
結論からお伝えすると、一般的にキスだけで不倫は成立しません。
なぜなら、キスだけでは不貞行為(肉体関係)を持ったとは判断されないからです。
この記事を読めば、不倫はキスだけで成立しない理由や成立するケースなども知れます。
この記事では、
1章では、キスだけで不倫が成立するケース・成立しないケース
2章では、キスだけで不倫が成立するケース
3章では、キスによって不倫が成立した場合の対処法
4章では、キスだけの不倫関係を続ける7つのリスク
5章では、キスによって慰謝料請求が認められる2つのケース
について、解説しています。
この記事を読んで、キスだけで不倫が成立しないのを理解すれば、今後の動き方が分かるでしょう。
目次
1章:キスだけで不倫が成立するケース・成立しないケース
キスだけで不倫が成立しないケースは、以下のとおりです。
- 肉体関係をもっていない
- 証拠がない
キスだけで不倫が成立するケースは、複数の証拠により不貞行為を明らかにしたときです。
それぞれ説明します。
1-1:法律上は「キスだけで不倫」は成立しない
法律上、「キスだけで不倫」は成立しません。
なぜなら、不貞行為に当てはまらないからです。
不貞行為の基準は「配偶者以外の異性と肉体関係をもつこと」であり、肉体関係に該当しないキスだけで不貞行為を認定するのは困難です。
不倫が成立するポイントは、不貞行為に該当するかどうかであるため、キスだけで不倫は成立しません。
1-2:成立しないケース
キスだけで不倫が成立しないケースは、以下のとおりです。
- 肉体関係をもっていない
- 証拠がない
それぞれ説明します。
■肉体関係をもっていない
肉体関係をもっていなければ、キスだけで不倫は成立しません。
不貞行為=肉体関係であり、キスは不貞行為に含まれないからです。
肉体関係をもっていなければ、法律上は不法行為も認められにくいです。
しかし、性交類似行為(口腔性交など)がある場合は、肉体関係が存在するため不倫と認められます。
■証拠がない
証拠がない場合も、キスだけを不倫と判断するのは難しいケースです。
たとえば、ラブホテルの近くでパートナーが異性とキスし、入店したのを聞いたとします。
この場合、実際にはキスだけではなく、肉体関係もあった可能性が高いと思われます。
しかし、それを裏付ける証拠がないと、本人が認めない限り不倫を証明することができません。
証拠が揃っていないと不倫は成立せず、慰謝料を請求するのも難しくなるため、複数の証拠を確保しておきましょう。
1-3:成立するケース(例外的)
キスだけで不倫が成立する例外的なケースは、肉体関係を示す証拠があるケースです。
キスしている写真などを押さえたら、二人でラブホテルに入るところや、下着姿で異性と過ごしているシーンなども必ず証拠として確保してください。
これらの証拠があれば、本人が「キスをしただけで肉体関係はない」と主張した場合も、客観的に肉体関係の存在を推認できるので不倫が認められる可能性が高くなります。
証拠をあげたとき、いかに肉体関係と結びつけられるかが重要です。
詳しくは、後述する説明を参考にしてみてください。
2章:キスだけで不倫が成立するケース
キスを不倫として成立させるには、なによりも不貞行為を明らかにする証拠が大切です。
なぜなら、証拠がなければ、不貞行為を証明できないからです。
キスだけで不倫が成立した判例も交えて、紹介します。
■東京地方裁判所、令和2年9月24日の判決
被告はB氏で、ニューヨーク市にあるA氏の自宅での生活を証拠写真であげられました。
平成30年6月22日から平成30年8月23日までの間、B氏のA氏との過ごし方は以下のとおりです。
- うつ伏せのB氏にA氏が覆いかぶさってキスした
- B氏とA氏が横たわって顔を寄せ合った
- B氏が下着姿でA氏と密着していた
- ソファ上でA氏とキスした
- ベッドにA氏とB氏が横たわって一緒に寝ていた
- A氏とB氏で何度も買い物へ行っていた
以上を写真で明かされたため、性行為を含む異性の関係であるのが認められました。
不倫の判決が認められたポイントは、以下のとおりです。
- 自宅に2人きりで過ごしていた
- 繰り返しの買い物で同棲している可能性があった
このように、証拠を複数用意し不貞行為を証明できれば、不倫が成立し慰謝料請求にもつながります。
3章:キスによって不倫が成立した場合の対処法
キスによって不倫が成立した場合の対処法は、「弁護士に相談する」です。
不倫が成立すると、慰謝料や離婚の話へ発展するからです。
キスだけの関係でも、不貞行為と判断される証拠を突きつけられると不倫が認められ、パートナーとの示談や裁判が始まります。
その際、弁護士を立てていないと不利になる可能性があるため、示談などが始まる前に弁護士に相談しておいてください。
適切なタイミングで弁護士を立てておくことで、展開を有利に進められます。
4章:キスだけの関係を続ける7つのリスク
キスだけの関係を続ける7つのリスクは、以下のとおりです。
- 離婚せざるを得なくなる
- 風評被害をうける
- 不倫に発展する
- 子どもと離れることになる
- 生活が苦しくなる
- 親族に影響がある
- 慰謝料請求を受ける
それぞれ説明します。
4-1:離婚せざるを得なくなる
キスだけの関係を続けると、離婚せざるを得なくなる可能性が高いです。
キスだけで不倫は成立しませんが、配偶者以外の異性とラブホテルに入る写真や動画を撮られれば、本当にキスしかしてなかったとしても、肉体関係があったと推認される可能性が高いです。
不倫が成立すれば、離婚を請求される恐れもあるため、キスだけで安心するのはやめておきましょう。
4-2:風評被害をうける
キスだけの不倫関係を続けると、風評被害をうける可能性があります。
職場の人などに目撃されると、よくない噂が出回るからです。
悪い噂が広まると職場へ出勤しづらくなり、退職につながるおそれがあります。
風評被害は、精神的に辛くなり、その後の生活にも大きな支障をきたします。
キスだけの関係を続けていると、風評被害は常につきまとうリスクです。
4-3:不倫に発展する
キスだけの不倫関係を続けると、不倫に発展するおそれがあります。
キスだけでは、お互い気持ちを抑えきれなくなる可能性があるからです。
異性同士でキスすると、気持ちが高ぶってしまい、キスより先の関係を望むようになってしまいます。
肉体関係をもつと不倫は成立しますが、一時の感情でリスクより気持ちを優先する人が多いのも事実です。
4-4:子どもと離れることになる
キスだけの関係を続けると、子どもと離れることになる可能性があります。
子どもの親権がパートナーにわたってしまうケースがあるからです。
母親が親権を認められないケースは、以下のとおりです。
- 子どもを放置していた
- 子どもより、キスだけの関係をもった相手にお金を使っていた
- 子どもを虐待していた
親権をめぐる裁判などでは、母親が親権を得やすい状態ですが、このような場合はパートナーに親権がわたるでしょう。
母親だからといって、必ずしも親権を得られるわけではないため、注意してください。
4-5:生活が苦しくなる
キスだけの関係を続けると、生活が苦しくなるリスクもあります。
離婚まで話が進み、経済的に自立していない場合、収入が激減してしまうからです。
キスだけでも証拠を出され、不倫が証明されると離婚や慰謝料請求へ発展します。
パートナーの収入が生活の柱になっている場合や、慰謝料請求などをされたときは、大きな支出が伴います。
突然、生活が貧しくなるリスクもあるため、キスだけの関係でも気をつけてください。
4-6:親族に影響がある
キスだけの関係を続けると、親族に影響が及ぶ可能性もあります。
異性との行為に関して噂が広まったり、離婚したりすると自分だけの話では済まないからです。
キスだけで止まっていても、関係を知った方は不倫と感じてしまうため、黙っていられずに周りに話してしまうでしょう。
話が広まれば、夫婦関係も悪くなり、パートナーの家族とも不仲になってしまう可能性があります。
そして、子どもの精神面にも悪影響があり、そのような生活が続くと自分も精神的に辛い状況が続きます。
キスだけの関係でも安心するのは、やめておきましょう。
4-7:慰謝料請求を受ける
キスだけの関係を続けると、慰謝料請求を受ける可能性があります。
キスが不貞行為と認められる場合があるからです。
キスだけの関係でも「婚姻共同生活の平和を維持する権利」を侵害したと認められる場合には、不法行為が成立します。
また、態様によっては肉体関係もあったと認定される可能性があります。
不貞行為が成立したときに備え、弁護士に相談しておくのもよいでしょう。
5章:キスによって慰謝料請求が認められるケース
キスによって慰謝料請求が認められるケースは、家庭にお金を入れない場合です。
家庭にお金を入れていない状況が続いていると、パートナーから慰謝料を請求される可能性があります。
民法で定められている「悪意の遺棄」に該当するからです。
悪意の遺棄の具体例は、以下のとおりです。
- 収入があるのに生活費をわたさない
- 正当な理由がないのに同居しない
- 共働き世帯なのに家事などに協力しない
悪意の遺棄は、離婚や慰謝料請求が認められる法定離婚事由で、協力や扶助を継続的に行わない場合に成立します。
キスをした相手にはお金を使うのに、家庭にお金を使わない状況が長く続くと、悪意の遺棄とみなされてしまうため、注意してください。
まとめ:不倫はキスだけで成立しないが、認められるケースもある
結論をお伝えすると、キスだけで不倫は成立しません。
しかし、証拠さえ揃っていれば不倫として成立する可能性があります。
キスだけで不倫が成立しないケースは、以下のとおりです。
- 肉体関係がない
- 証拠がない
キスだけで不倫が成立するケースは、複数の証拠により不貞行為を明らかにしたときです。
肉体関係を思わせる写真や動画が撮られた場合は、法的に不利な立場になる危険性があります。
キスによって不倫が成立した場合の対処法は、「弁護士に相談する」です。
弁護士を立てると、離婚や慰謝料請求にも立ち向かえるでしょう。
キスだけの不倫関係を続ける7つのリスクは、以下のとおりです。
- 離婚せざるを得なくなる
- 風評被害をうける
- 不倫に発展する
- 子どもと離れることになる
- 生活が苦しくなる
- 親族に影響がある
- 慰謝料請求を受ける
キスによって慰謝料請求が認められるケースは、家庭にお金を入れない場合です。
キスだけで不倫は成立しませんが、例外的に不倫が成立するケースもあります。
証拠が揃ってしまうと、不倫が認められ、離婚や慰謝料請求のリスクにつながります。
不倫が認められた場合は、早めに弁護士に相談し対処できるようにしておきましょう。