
「固定残業代制(みなし残業代制)になってから、どれだけ残業しても残業代が変わらない」
「適正な残業代をもらえていない気がするけれど、計算方法が分からない」
あなたもこのような悩みをお持ちではありませんか?
固定残業代制(みなし残業代制)は、
「できるだけ長く働かせて、残業代を定額までしか払わない」というブラック企業の手口として悪用されていることが多いです。
固定残業代制にしてから、いくら残業させても残業代が増えないから、めっちゃお得!
あなたの残業代もごまかされているとしたら、許せませんよね。
そのため、まずは自分で正確な残業代を把握し、残業代請求の手続きを始めることがとても大切です。
そこで、この記事では、
- 簡単にできる、固定残業代制(みなし残業代制)の正しい残業代の計算方法
- ブラック企業が固定残業代制(みなし残業代制)を悪用する手口
- 残業代を取り返すための具体的な手続き・流れ
などについて、詳しく解説しています。
しっかり読んで、確実に残業代を取り返すための行動を開始しましょう。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■固定残業代制(みなし残業代制)の残業代の計算式
残業代=基礎時給×割増率×残業時間-固定残業代
■基礎時給の計算
基礎時給=月給÷所定労働時間
■割増率
- 通常の残業時間:1.25倍
- 深夜残業:1.5倍
- 法定休日:1.35倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
固定残業代制でも「みなし残業」を超えて働いた分の残業代は出るため、未払い残業代がないかしっかり確認することが大事です。
目次
1章:固定残業代制(みなし残業代制)とは?その仕組みと残業代の計算方法
固定残業代制(みなし残業代制)とは、毎月の決められた時間の残業に対して、定額の固定残業代を支払う制度のことです。たとえば、毎月30時間のみなし残業に対して、3万円の固定残業代を支払うイメージです。
毎月100時間も残業しているけれど、会社からは毎月3万円の固定残業代をもらっているから、文句言えないのかな?
固定残業代は、毎月何時間の「みなし残業時間」に対して払うのか明確に決められていなければなりません。そのみなし残業時間を超えて働いた時間があれば、それは別途残業代として払われる権利があります。
固定残業代制(みなし残業代制)では、以下の計算式で残業代が計算できます。通常の計算方法と異なるのは、最後に固定残業代を引く点だけです。
計算式は簡単ですが、正しく残業代を計算するには、以下のステップの通りに計算していくことをオススメします。
それでは、順番に解説していきます。
1−1:1時間あたりの賃金を正しく求めよう
まずは「基礎時給」の計算にから説明します。
基礎時給とは、あなたの1時間当たりの賃金のことで、時給制で働いている場合はそのまま自分に適用されている時給のことです。
月給制の場合は、以下の計算式で計算することができます。
ここでの「月給」には、自分の基本給だけではなく、以下の手当を含めることができます。
固定残業代制(みなし残業代制)の場合の固定残業代は、月給に含めることができませんので、注意してください。
「一月平均所定労働時間」とは、あなたの雇用契約で定められている1ヶ月あたりの平均労働時間のことで、一般的に170時間前後であることが多いです。
たとえば、基本給が20万円、基礎時給の計算に含めることができる手当が3万円あり、所定労働時間が170時間である場合は、
(基本給20万円+手当3万円)÷170時間=約1353円
と計算することができます。
次に、基礎時給に「割増率」をかける方法に進みましょう。
1−2:働いた時間ごとに異なる「割増率」について把握しよう
それでは、割増率について解説します。割増率とは、1時間当たりの賃金(基礎時給)に対してかける割合のことで、以下の種類があります。
1日8時間・週40時間を超える時間働くと、原則的に、その時間の基礎時給に「1.25倍」の割増率をかけた残業代が支払われます。
また、通常の残業とは別に、深夜労働の時間についても把握しておく必要があります。
【深夜労働の時間】
深夜労働とは、深夜(22時〜翌朝5時)の時間帯に働いた時間のことです。深夜労働は、通常の残業とは適用される割増率が異なりますので、注意してください。
また、通常の残業と法定休日の労働も適用される割増率が異なるため、区別して考えなければなりません。
【法定休日の労働】
法律上、労働者は週1日以上の休日(法定休日)を取得できる権利があります。
そのため、その週に7日働いた場合は、7日目が法定休日になります。
うちの会社では土日が休みだけれど、土日に出勤したらどっちも法定休日出勤になるのかな?
法定休日はあくまで「週1日」ですので、日曜から土曜まで働いた場合、その週の7連勤目である土曜日のみ「法定休日」になります。
たとえば、基礎時給が1000円の場合は、
- 通常の残業:1250円
- 深夜残業:1500円
- 法定休日労働:1350円
- 法定休日における深夜労働:1600円
が、1時間あたりの残業代として支払われるということです。
残業時間やって、正確にはどの時間のことなんだろう?
それらの時間について、これから詳しく解説します。
1−3:残業時間を正しくカウントしよう
それでは、残業時間の正しいカウントの仕方について解説します。
残業時間とは、以下のように「法定労働時間」を超えて働いた時間のことです。
- 1日8時間を超えて働いた時間
- 週40時間を超えて働いた時間
「1日8時間・週40時間」のどちらか一方でも超えて働いた時間は、すべて残業時間です。
さらに、以下の8つの時間は、会社から「サービス残業」としてごまかされやすい時間ですが、実際は、働いた時間としてカウントできる可能性が高いです。以下の時間を残業時間としてカウントしなければ、残業代の請求額も大幅に少なくなる可能性があるため、あなたも思い当たることがないかよく考えてください。
【ごまかされやすい8つの時間】
- 準備時間:制服、作業服、防護服などに着替える時間、始業前の朝礼・体操の時間など
- 後始末時間:着替え、掃除、清身
- 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
- 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
- 待機時間:トラックの荷待ちの時間
- 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
- 研修:会社からの指示で参加した研修
- 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間
じゃあ、自分が勝手に会社に残って働いた時間も残業時間にできるっていうこと?
そうではありません。働いた時間としてカウントできるのは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」である必要があります。簡単に言うと、上司などから明らかに「この作業をやりなさい」と指示されていた場合や、明確な指示は無かったものの、納期に間に合わないために、どうしても残業しなければなかった場合などの時間のことです。
上記の「8つの時間」について、残業時間にカウントするためには証拠が必要です。必要な証拠については、第4章で詳しく解説します。
ごまかされやすい8つの時間について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
弁護士が解説する「残業の定義」とごまかされやすい8つの労働時間
さて、残業時間のカウントの仕方について、理解できたでしょうか?
・「1日8時間・週40時間」を超えて働いた時間が残業時間
・週に7日働いた場合、7日目が法定休日
ということです。
1−5:固定残業代制(みなし残業代制)が認められない場合の残業代計算
固定残業代で残業手当(残業代)を支払うことは、
- 固定残業代を、何時間の残業時間の対価として支払っているのか曖昧にしている
- 固定残業代として支払っている金額を、固定残業分とされている残業時間で割ると、最低賃金を下回る
などの場合、認められません。
固定残業代が認められなかった場合、請求できる金額が大きく変わる可能性があります。先ほどと同じ例でシミュレーションしてみます。
(例)営業職のBさん
- 月給20万円(手当込み)
- 固定残業代3万円
まず、基礎時給が、
月給23万円÷一月平均所定労働時間170時間=約1353円
と大きくなります。
次に1ヶ月の残業代は、
基礎時給1353円×1.25倍×100時間=16万9125円
になります。
請求できる3年分の未払いの残業代を合計すると、608万8500円にもなります。
じゃあ固定残業代制(みなし残業代制)が違法の場合ってどういうもの?
それをこれから詳しく解説しましょう
固定残業代制(みなし残業代制)は、記事の冒頭でも触れたように、「いくら働かせても定額の固定残業代しか払わない」というブラック企業の手口として使われることが多いです。
そこで、これから固定残業代制(みなし残業代制)が悪用される手口と、違法性を判断するポイントを紹介します。もし、あなたの固定残業代の払われ方が違法だった場合、あなたの請求できる残業代はさらに増える可能性があります。
2章:あなたも違法?固定残業代の払われ方の違法性をチェックしよう
固定残業代制(みなし残業代制)は、ブラック企業にとって、
- 一見、給与を高く見せることができて、求人が有利になる
- 社員を低賃金で長時間働かせることができる
というメリットがあります。
そのため、無知な社員は固定残業代制(みなし残業代制)を悪用されているケースがとても多いのです。そこで、2章では、固定残業代制(みなし残業代制)が悪用される手口の仕組みと、あなたの払われ方に違法性がないかチェックする判断基準についてお伝えします。
2−1:ブラック企業が固定残業代制(みなし残業代制)を悪用する手口・意図
固定残業代制(みなし残業代制)を違法に利用する手口は、
- 各種手当を残業代だと偽る手口
- 基本給に一定の残業代を組み込む手口
の2つがあります。
それぞれについて解説します。
2-1-2:各種手当を残業代だと偽る手口
ひとつは「手当」をつけることで、本来支払われるべき残業代を支払わない手口です。
「役職手当が固定で残業代として支払われているから、いくら残業しても給料は変わらない」
と思っていませんか?
役職手当などの「固定手当」を、「残業代」だと説明している企業は多数存在します。
こういった固定手当を残業代ということにして、残業代を支払わないケースは、専門家から見ると違法なケースが多々あるのです。
給与明細を確認し、こういった手当のみで残業代が支払われていない場合は、違法性を疑ってかかるべきでしょう。
固定手当は、役職手当のほかに、残業手当や営業手当などと記載されている場合もあります。
「○○手当は、残業代の代わりに支払っている」と会社から言われたとしても、残業代を受け取る権利があるケースが多いことを認識しておきましょう。
2-1-2:基本給に一定金額の残業代を含む手口
もうひとつの手口は、基本給に組み込むことで、基本給の水増しをする方法です。
まず、下記の求人を見てください。
A社:基本給30万円(45時間分の残業代3万円を含む)
B社:基本給27万円
A社は、残業代組み込み型の固定残業代制(みなし残業代制)を導入している企業です。
上記だけをみると、A社の方が基本給が3万円高く、報酬を充分に支払ってくれる企業のように見えます。
けれど実際には、定められた時間以上(上記のケースでは45時間以上)の残業をしたとしても、追加で残業代が支払われないケースが多いのです。
2−2:違法性を判断する7つのポイント
会社が固定残業代制(みなし残業代制)を悪用して、社員を違法に働かせる手口について理解できたでしょうか?会社から不当に扱われないためには、固定残業代制(みなし残業代制)の違法性を判断するために、就業規則を確認したりする必要があります。
以下のいずれかに該当する場合は、みなし残業が違法になることが極めて多いです。
- 就業規則がない or どこにあるか知らされていない
- 基本給部分と残業部分の区別がつかない
- 残業に対する対価でないものを残業代と言っている
- みなし残業を超えた分の残業代が支払われない
- みなし残業が想定する残業時間が異常に長い
- 基本給が最低賃金を下回っている
- 給与規程が改定されている
当てはまるものはありませんでしたか?当てはまれば必ず違法というわけではありませんが、以上の7つに1つでも該当したら、弁護士に相談することを強くオススメします。
これらのポイントについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
みなし残業(固定残業)の違法性を判断する7つのポイントを徹底解説
固定残業代の払われ方の違法性を判断する基準について、理解できたでしょうか?
「私も違法なケースに当てはまるんだけど・・・」
と思ったあなたは、これから紹介する方法で、残業代を取り返すための行動をはじめてください。
3章:残業代を取り返すには?残業代請求の2つの方法の手続きと流れ
会社から残業代を取り返すための方法には、
- 自分で直接請求する方法
- 弁護士に依頼する方法
という2つがあります。
自分で請求する場合と、弁護士に依頼して請求する場合とでは、下記のように流れが異なりますので、注意してください。
それでは、これから残業代請求の2つの方法について、詳しく解説します。
3−1:自分で残業代を請求する方法はこの2つ!
自分で請求するには『内容証明を送る』方法と『労働基準監督署に相談する』方法の2種類があります
それぞれの方法の流れについて、詳しく解説します。
【自分で会社に内容証明を送って直接請求する】
自分で会社に残業代を請求するためには、会社に「配達証明付き内容証明郵便」で、請求書を送る必要があります。
内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。また、配達証明とは、届けた日付を証明してくれる仕組みのことです。
<内容証明テンプレート>
私は○○年○○月○○日,貴社に入社し,○○年○○月○○日に退社した者です
私は,平成○○年○○月○○日から平成○○年○○月○○日(以下「請求期間」とします。)まで,貴社に対し,合計■時間の時間外労働を提供いたしましたが,貴社からは,一切,割増賃金のお支払いただいておりません。
よって,私は,貴社に対し,請求期間内の未払割増賃金の合計額である★円の支払を請求いたしますので,本書面到達後1週間以内に,以下の口座に振り込む方法によるお支払をお願いいたします。
○○銀行○○支店
○○預金(普通・定期などの別)
口座番号○○
口座名義人○○
なお,本書面到達後を1週間を過ぎても貴社から何らご連絡いただけない場合は,やむを得ず労働基準監督署への申告,訴訟の手段をとらせていただくことをあらかじめ申し添えます。
内容証明で請求書などを送ることで、会社は「届いてない」と言い張っても、郵便局が届いたことを証明してくれます。これが内容証明です。
ただし、自分で会社に内容証明を送って残業代を請求しても、会社側にも顧問弁護士が付いていて、うまく丸め込まれてしまう可能性が高いです。つまり、あなたが残業代を請求しても、1円も取り戻せないかもしれないのです。
そこで、もう1つの自分でできる手段として、労働基準監督署に申告するという手段があります。
【労働基準監督署に申告する】
「労働基準監督署」とは、厚生労働省の出先機関で、労働基準法に基づいて会社を監督するところです。給料の未払いは労働基準法違反のため、労働基準法に相談することで解決にいたる可能性もあります。
労働基準監督署への申告は、以下のような流れで可能です。
このような流れで労働基準監督署に申告することができるのですが、この方法は「残業代を請求したい場合」は、あまりおすすめではありません。
なぜなら、労働基準監督署は、労働基準法に違反している会社の行為を「正す」機関であり、残業代を取り返してくれる機関ではないからです。
また、労働基準監督署は、労働者からのすべての申告で動くわけではありません。それは、全国には400万を超える法人があるにもかかわらず、日本の労働基準監督署の人員は、非常勤の職員を含めても約2400人しかおらず、明らかに人員不足だからです。そのため、過労死や労働災害などの「人命に関わる問題」が優先して処理されるため、「残業代の未払い」では、動いてもらえない可能性が高いのです。
そこで、残業代を取り返す場合には、最初から弁護士に依頼することをオススメします。
3-2:より多く取り戻すには弁護士がオススメ
残業代をより高額かつ確実に取り返すためには、弁護士に依頼することが最善です。なぜなら、残業代の計算や交渉は、専門的な知識が必要なため、1人で戦っては会社側の弁護士に負けてしまうからです。
弁護士に依頼した場合、
・交渉
・労働審判
・訴訟(裁判)
という手段によって、残業代請求の手続きが進められます。
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟」になることは少ないです。おそらくあなたが心配しているであろう「費用」の面でも、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
「自分で請求する方法」と「弁護士に依頼する方法」のメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。
弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という精神的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできるのです。さらに、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼することで、初期費用もほぼゼロにできるのです。
ただし、弁護士に依頼する場合は「弁護士なら誰でもいいだろう」とは考えないでください。実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いです。そのため、残業代請求に強い弁護士に依頼することをお勧めします。
残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧になってください。
失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用
残業代請求の手続きの方法・流れについて、理解できたでしょうか?
こうした請求の手続きを進める前にやっておいてほしいのが、「証拠集め」です。必要な証拠と、集める上での注意点についてお伝えします。
4章:残業代請求のために集めるべき証拠一覧
残業代を請求する最初のステップとして、自分で証拠集めを始めることをオススメします。
残業代請求でもっとも大事なのが「証拠集め」です。証拠集めは弁護士に依頼し、弁護士から会社に証拠提出を要求してもらうこともできます。しかし、悪質な会社は、証拠を提出しないケースがあります。
そのため、可能ならば、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです。
残業代の証拠として有効なものを、勤怠管理をしている会社と勤怠管理していない会社に分けてご紹介します。
【勤怠管理している会社で有効な証拠】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠を集めることができなくても、諦める必要がありません。以下のように「手書き」のものなども証拠になるのです。
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もオススメ)
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
①の本人の筆跡が確認できる「手書き」のものが、もっとも証拠としての有効性を認められる可能性が高いです。③のような家族へのメールなどは、証拠として認められる可能性が低いため、できるだけ手書きで記録を残すようにしてください。
証拠は、できれば3年分集めることが望ましいですが、難しければ半月分でもかまいません。できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
手書きの証拠を集めるときに注意しなければならないのは「ウソ」を絶対に書かないことです。ウソの内容が発覚すれば、証拠の信用性が疑われて、その証拠が認められなくなるからです。そのため、証拠はたとえば「20時30分」ではなく「20時27分」のように、できるだけ正確に記録するようにしましょう。
集めるべき証拠について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【保存版】知らないと損する?残業代請求する為に揃えておくべき証拠
5章:残業代請求には3年の時効がある!行動は早めに
もう一点注意してもらいたいのが、残業代請求には3年という消滅時効があるということです。時効を過ぎると、どんなブラック企業が相手だったとしても、残業代は二度と取り返すことができなくなります。
そのため、未払いの残業代を取り返したい場合は、すぐに行動を始める必要があるのです。
残業代請求の時効について、詳しくは以下の記事を参照してください。
残業代請求の時効は3年!時効を止める3つの手段と具体的な手続きの流れ
まとめ:固定残業代の計算
いかがだったでしょうか?
最後に、今回の内容をまとめます。
まず、もっとも大事なことは、固定残業代制(みなし残業代制)でも「みなし残業」を超えて働いた分の残業代は出るということです。
そして、固定残業代制(みなし残業代制)の場合の残業代の計算方法をまとめると、以下のようになります。
【固定残業代制(みなし残業代制)の残業代の計算式】
残業代=基礎時給×割増率×残業時間-固定残業代
【基礎時給の計算】
基礎時給=月給÷所定労働時間
【割増率】
- 通常の残業時間:1.25倍
- 深夜残業:1.5倍
- 法定休日:1.35倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
【残業時間・休日労働】
- 「1日8時間・週40時間」を超えて働いた時間が残業時間
- 週に7日働いた場合、7日目が法定休日
ただし、以上の残業代の計算は固定残業代制(みなし残業代制)が合法な場合で、違法な場合はもっと請求できる金額が増える可能性があります。
自分の正確な残業代を把握した上で、一刻も早く取り返すための行動をはじめましょう。
【参考記事一覧】
弁護士が解説する「残業の定義」とごまかされやすい8つの労働時間
みなし残業(固定残業)の違法性を判断する7つのポイントを徹底解説
失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用