あなたも違法?正しい固定残業代の計算方法と残業代を取り返す2つの手段

監修者

監修者 住川佳祐

弁護士法人QUEST法律事務所
住川 佳祐

あなたも違法?正しい固定残業代の計算方法と残業代を取り返す2つの手段
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 固定残業代の仕組みと残業代の計算方法
  • 固定残業代制の超過分の計算方法
  • 固定残業代の計算で確認すべき4つのポイント
  • 未払い残業代を請求する3つの方法
  • 残業代請求における2つのポイント

あなたは、

  • 固定残業代は適正な金額か計算方法が知りたい
  • 固定残業代を超えた分の残業代を計算したい
  • 固定残業代制の未払残業代を計算して請求したい

などとお考えではないですか?

結論から言うと、固定残業代は、実際の残業が少なかった月でも、決められた固定残業代を受け取れるメリットはありますが、みなし残業時間を超えた残業代が未払いになるケースも多いので注意が必要です。

なぜなら、固定残業代を導入している会社の中には、固定残業代を支給するだけで、みなし残業時間を超える残業代が適切に計算されていない可能性があるからです。

そのため、固定残業代の仕組みと残業代の計算方法をしっかり理解し、自分で正確な残業代を計算し把握することが重要です。

もし会社から、みなし残業時間を超えた残業代や割増率が適切に支払われていない場合は、未払い残業代として会社に請求できます。

そこでこの記事では、1章で固定残業代制の仕組みと残業代の計算方法を、2章では固定残業代の計算で注意すべき7つのポイントについて解説します。

さらに、3章では未払い残業代請求の3つの方法を、4章では残業代請求における2つのポイントについて解説していきます。

この記事の内容をしっかり理解し、未払い残業代がある場合は、確実に取り返せるように行動を開始しましょう。

未払い残業代を取り返したいというあなたへ、まずはお気軽にご相談ください
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1章:固定残業代の仕組みと残業代の計算方法

この章では、固定残業代の仕組みと2種類の支給方法や、それぞれの固定残業代の計算方法、超過分の残業代の計算方法について解説します。

1-1:固定残業代の仕組みと2種類の支給方法

固定残業代(みなし残業代)とは、毎月一定時間の残業をしたとみなして、最初から定額の固定残業代を給料として支払う制度のことです。

あらかじめ残業時間をみなして、固定残業代を固定給(基本給や手当)に含むことから、別名「みなし残業代制」とも言われています。

会社は社員に対して、固定残業代と残業時間を定めて就業規則等に記載し、社員に周知する義務があります。

ここで一例として、毎月30時間のみなし残業に対して、5万円の固定残業代を支払う場合は次のようになります。

固定残業代(みなし残業代制)

固定残業代では、実際の残業時間がみなし残業時間より少なかった場合も、固定残業代として決められた残業代が支払われます。

また実際に、そのみなし残業時間を超えて働いた時間がある場合は、その時間分は別途残業代として支払われなければ違法です。

また、みなし残業時間に上限はありませんが、労働基準法の時間外労働の上限が原則として「⽉45時間・年360時間」となっているため、これを大幅に超えると無効になる場合もあります。

固定残業代の支給方法には、次の2つがあります。

  • 手当型
  • 基本給組込型

① 手当型支給
残業代の支払いの代わりに、定額の手当を支給するもので、「基本給+固定残業代」となり次のように記載されます。

「基本給○万円・固定残業手当○万円(月○時間分)」

② 基本給組込型支給
残業代を基本給に組込んで支給するもので、次のように記載されます。

「基本給〇万円(固定残業代○万円/○時間相当分 を含む)」

それぞれの支給方法の、固定残業代の計算については、次の章で解説していきます。

1-2:手当型の固定残業代の計算方法

手当型の固定残業代の計算方法は、次のようになります。

固定残業代=(基礎時給)×固定残業時間×1.25(割増率)

まずは、「基礎時給」の計算から説明します。

基礎時給とは、あなたの1時間当たりの賃金のことで、時給制で働いている場合はそのまま自分に適用されている時給のことです。

月給制の場合は、次の式で計算することができます。

基礎時給の計算式

ここでの「月給」には、自分の基本給だけではなく、以下の手当を含めることができます。

基礎時給に入れられる手当・入れられない手当

固定残業代制の場合、固定残業代は月給に含めることができませんので、注意してください。

「一月平均所定労働時間」とは、あなたの雇用契約で定められている1か月あたりの平均労働時間のことで、次の式で計算します。

一月平均所定労働時間=(365日-1年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間÷12か月

一般的に、170時間前後であることが多いです。

例えば、基本給が20万円、基礎時給の計算に含めることができる手当が3万円あり、所定労働時間が165時間の場合、基礎時給を計算すると次のようになります。

(基本給20万円+手当3万円)÷165時間≒1,394円

次に割増率とは、法定時間外の労働や休日労働に対して、時間当たりに換算した基礎時給にかけられる倍率のことで、大きく分けると次のようになります。

割増率

1日8時間・週40時間を超える時間外労働の場合、原則的に、その時間の基礎時給に「1.25倍」の割増率をかけた残業代が支払われます。

ここで固定残業代の計算に戻ると、

  • 基本給20万円+手当3万円
  • 一月平均所定労働時間165時間
  • 固定残業時間30時間

以上の場合、固定残業代を計算すると次のようになります。

1,394円(基礎時給)×30時間×1.25(割増率)
5万2,275円

この結果、先にあげた条件を満たす手当型の固定残業代は5万2,275円となるため、1-1の例として示した固定残業代5万円は、ここで計算した金額より少ないことになります。

そのため、本来もらうべき残業代より少ないため、固定残業代としては認められない可能性があります。

1-3:基本給組込型の固定残業代の計算方法

基本給組込型の固定残業代の場合も、

「基本給〇万円(固定残業代○万円/○時間相当分 を含む)」

のように記載されるため、手当型と同じように基礎時給・一月平均所定労働時間から固定残業代を計算することができます。

また、基本給の総額から基本給組込型の固定残業代の目安を計算する場合は、次のようになります。

固定残業代=基本給÷{一月平均所定労働時間+(固定残業時間×1.25)}×固定残業時間×1.25

例えば、

  • 基本給28万円
  • 一月平均所定労働時間165時間
  • 固定残業時間30時間

以上の場合、基本給に組込む固定残業代を計算すると次のようになります。

28万円÷{165時間+(30時間×1.25)}×30時間×1.25 ≒ 5万1,851円

この結果、基本給28万円で先にあげた条件を満たす基本給組込型の固定残業代は、目安として5万1,851円となります。

例えば会社がこれを提示する場合は、

「基本給28万円(固定残業代5.2万円30時間相当分 を含む)」

このように固定残業代を含めて記載することができます。

2章:固定残業代制の超過分の計算方法

固定残業代制では、以下の計算式で超過分の残業代が計算できます。

残業代(超過分)=基礎時給×超過分の残業時間×1.25(割増率)

計算式は簡単ですが、正しく残業代を計算するには、次の3つのポイントをしっかり押さえることが重要です。

  • 基礎時給を計算する
  • 適切な割増率をかける
  • 正しい残業時間を把握する

基礎時給の計算は、1章で解説しましたので、ここでは割増率と正しい残業時間について解説していきます。

2-1:残業の種類に合った割増率をかける

残業の種類・労働条件に対する割増率は、大きく分けると次のようになります。

労働条件 割引率

通常の時間外労働の他に、法定休日労働や深夜労働など、それぞれ割増率が定められています。

【法定休日の労働】
法定休日とは、使用者が労働者に対して必ず与えなければならない休日のことで、労働基準法では週に1日以上、もしくは4週に4日以上の休日を、会社は社員に与えなければならないと定められています。

そのため、法定休日に出勤をした場合は、休日出勤になるため休日手当として3割5分以上の割増賃金が発生します。

例えば、週休2日制の会社であればいずれか1日が法定休日で、もう1日は会社が定めた法定外休日になります。

法定外休日に労働した場合も一般的には休日出勤と呼ばれますが、「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超過した場合だけ、時間外労働(残業)として2割5分以上の割増賃金の対象になります。

【深夜労働の時間】
深夜労働とは、深夜(22時〜翌朝5時)の時間帯に働いた時間のことです。

深夜労働は、通常の残業とは適用される割増率が異なり次のようになります。

深夜労働をした場合の割増率

深夜残業の場合は、残業の割増率1.25倍に深夜労働の割増率0.25倍を加えた1.5倍で、法定休日の深夜労働では1.6倍になります。

2-2:残業時間を正しくカウントする

残業時間とは、以下のように「法定労働時間」を超えて働いた時間のことです。

  • 1日8時間を超えて働いた時間
  • 週40時間を超えて働いた時間

残業時間には1.25倍の割増率がかけられる

「1日8時間・週40時間」のどちらか一方でも超えて働いた時間は、すべて残業時間になります。

さらに、実際に働いた時間であっても、会社から「サービス残業」としてごまかされやすい時間として、次の8つがあげられます。

  • 準備時間:制服、作業服、防護服などに着替える時間、始業前の朝礼・体操の時間など
  • 後始末時間:着替え、掃除、清身
  • 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
  • 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
  • 待機時間:トラックの荷待ちの時間
  • 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
  • 研修:会社からの指示で参加した研修
  • 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間

働いた時間としてカウントできるのは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」であると認められる場合です。

例えば、上司などから明らかに「この作業をやりなさい」と指示されていた場合や、明確な指示は無かったものの、納期に間に合わないために、どうしても残業しなければなかった場合などがあげられます。

残業の定義

上記の「8つの時間」について、残業時間にカウントするためには証拠が必要です。

必要な証拠については、第5章で詳しく解説します。

ごまかされやすい8つの時間について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

弁護士が解説する「残業の定義」とごまかされやすい8つの労働時間

3章:固定残業代の計算で確認すべき4つのポイント

固定残業代の計算で確認すべきポイントとして、次の4つがあげられます。

  • 雇用契約書や就業規則の記載
  • 基本給と残業代の区別と金額
  • 固定残業時間を超えた分の残業代の支払い
  • 基本給が最低賃金を上回っているか

また、これらのポイントで固定残業代の違法性が認められた場合は、固定残業代は無効とされ改めて残業代を請求できる可能性があります。

それぞれ解説していきます。

3-1:雇用契約書や就業規則の記載

固定残業代が適用されるには、雇用契約書や就業規則に固定残業代に関する内容が記載されている必要があります。

口頭で「うちは固定残業代だから、残業代は出ないよ」などと説明するだけではなく、雇用契約書で合意したり、就業規則で周知させる必要があります。

【就業規則の記載例】

(固定残業代制度の定め)

第〇条 〇〇手当は固定残業手当として、あらかじめ設定した時間(〇〇時間)に対して支給し、実際の労働時間がこれを超えた場合は、法令に基づき割増賃金を加算して支給する。

また、仮に就業規則にこのような記載があったとしても、就業規則が誰でも見えるところに掲示または備え付けられている必要があります。

3-2:基本給と残業代の区別と金額

固定残業代では、固定残業となる金額を明確に記載する必要があります。

例えば、「月給28万円(固定残業代を含む)」だけでは、「月給のうちいくらが固定残業代なのか?」「それは何時間に相当するのか?」ということが分かりません。

そのため次のように、具体的に固定残業代の金額を(できれば残業時間も)明記する必要があります。

「月給28万円(30時間分の固定残業代5万円を含む)」

つまり、30時間以内の残業に対する固定残業代を5万円として、会社は固定残業代を利用すると、約束することになります。

もしこの労働契約で、30時間以上の残業をした場合は、超過した分の残業代を、上乗せして払う義務が会社にはあります。 

3-3:固定残業時間を超えた分の残業代の支払い

2章で解説した計算方法で、固定残業時間を超えた分の残業代を算出し、超過分を含めた適正な残業代が支払われているか確認する必要があります。

もし、固定残業時間を超えた分の残業代が支払われていない場合は、違法です。

未払残業代として、会社に請求することができます。

また、固定残業時間を超えた残業だけでなく、今までサービス残業としてカウントされなかった残業時間も、併せて請求することも可能です。

3-4:時間給が最低賃金を上回っているか

固定残業代を計算する場合、基礎時給や固定残業代の時間給が、最低賃金を上回っているか確認することが重要です。

1章で解説したように、基礎時給の計算には入れて良い手当と入れられない手当があり、間違った計算で最低賃金を下回っている可能性もあるため注意が必要です。

もし最低賃金を下回る場合は、違法となるため差額を請求することができます。

3-5:固定残業代制が認められない場合の残業代計算

ここまで確認してきた内容で固定残業代が認められなかった場合、残業代として請求できる金額が大きく変わる可能性があります。

1-2の例で再計算すると、

  • 基本給20万円+手当3万円
  • 固定残業代5万円
  • 一月平均所定労働時間165時間
  • 固定残業時間30時間

まず基礎時給の計算では、固定残業代の5万円は残業代とは認められないため、基本給の総額28万円になります。

(20万円+3万円+5万円)÷165時間≒1,697円

と大きくなります。

次に1か月の残業代は、

1,697円(基礎時給)×30時間×1.25(割増率)
6万3,637円

になります。

これを、請求できる3年分の未払残業代として合計すると、

6万3,637円×36か月=229万932円

となり、固定残業時間(30時間)を超える残業が認められた場合はさらに高額になります。

4章:未払い残業代を請求する3つの方法

未払い残業代を請求する方法としては、次の3つがあげられます。

  • 残業代を請求する内容証明を送る
  • 労働基準監督署に申告する
  • 弁護士に依頼して残業代を請求する

それぞれ解説していきます。

4-1:残業代を請求する内容証明を送る

会社に残業代を請求するためには、会社に「配達証明付き内容証明郵便」で、請求書を送る必要があります。

【内容証明ひな形】

私は○○年○○月○○日、貴社に入社し、○○年○○月○○日に退社した者です

私は、○○年○○月○○日から○○年○○月○○日(以下「請求期間」とします。)まで、貴社に対し、合計■時間の時間外労働を提供いたしましたが、貴社からは、一切、割増賃金のお支払いただいておりません。

よって、私は、貴社に対し、請求期間内の未払割増賃金の合計額である★円の支払を請求いたしますので、本書面到達後1週間以内に、以下の口座に振り込む方法によるお支払をお願いいたします。

○○銀行○○支店 

○○預金(普通・定期などの別) 

口座番号○○ 

口座名義人○○

なお、本書面到達後1週間を過ぎても貴社から何らご連絡いただけない場合は、やむを得ず訴訟を提起させていただくことをあらかじめ申し添えます。

ただし、会社に残業代を請求する内容証明を送っても、会社側にうまく丸め込まれてしまう恐れがあります。

その場合は、労働基準監督署に申告するという方法があります。

4-2:労働基準監督署に申告する

「労働基準監督署」とは、厚生労働省の出先機関で、労働基準法に基づいて会社を監督するところです。

給料の未払いは労働基準法違反のため、労働基準監督署に相談することで解決にいたる可能性があります。

労働基準監督署に相談したときの流れ

このような流れで労働基準監督署に申告することができますが、この方法は「残業代を請求したい場合」は、あまりおすすめできません。

なぜなら、労働基準監督署は、労働基準法に違反している会社の行為を「正す」機関であり、残業代を取り返してくれる機関ではないからです。

また、労働基準監督署は、労働者からのすべての申告で動くわけではありません。

それは、全国には400万を超える法人があるにもかかわらず、日本の労働基準監督署の人員は、非常勤の職員を含めても約2,400人しかおらず、明らかに人員不足だからです。

そのため、過労死や労働災害などの「人命に関わる問題」が優先して処理されるため、「残業代の未払い」では、直ちに動いてもらえない可能性もあります。

そこで、残業代を取り返す場合には、最初から弁護士に依頼することをおすすめします。

4-3:弁護士に依頼して残業代を請求する

ここまで解説してきたように、未払い残業代の請求や会社との交渉は、専門的な知識が必要なため、弁護士に依頼することをおすすめします。

自分で請求する場合と、弁護士に依頼する場合のメリット・デメリットは次のようになります。

残業代請求を自分でやる場合と弁護士に依頼する場合の違い

このように、自分で請求する方法では、手間・時間・精神的負担が大きいだけでなく、弁護士に頼む方法に比べて回収できる金額が少なくなる可能性が高いです。

そのため、残業代請求はプロの弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士に相談するというと

「裁判みたいな大事になるのはちょっと・・・」
「初期費用だけで何十万円もかかるのでは?」

と考えてしまう人もいるかもしれません。

しかし、弁護士に頼む=裁判ではありません。

残業代の請求でいきなり裁判になることは少なく、多くの場合「交渉」「労働審判」という形で会社に請求していきます。

また、残業代請求に強い「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。

弁護士に依頼した場合の流れは、次のようになります。

弁護士に依頼した場合の流れ

弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という精神的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできるのです。

ただし、弁護士に依頼する場合は、「弁護士なら誰でもいいだろう」とは考えないでください。

実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の得意分野以外の事案については、あまり知識がない弁護士が多いです。

そのため、残業代請求に強い弁護士に依頼することをおすすめします。

残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧ください。

【残業代請求】弁護士選びの8つのポイントと解決までの流れや費用を解説

5章:残業代請求における2つのポイント

残業代請求のポイントとして、次の2つがあげられます。

  • 残業代請求には3年の時効がある
  • 必要な証拠を集めておく

それぞれ順番に解説します。

5-1:残業代請求には3年の時効がある

未払いの残業代は、いつまでも請求できるわけではありません。

「3年」の時効が成立すると、二度と請求できなくなります。 

時効の基準となるのは、「毎月の給料日」です。

【給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合】
例えば、給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合、2020年2月16日から3月15日までの給料は、2020年4月30日に支払われます。

そのため、2020年3月15日締めの給料は、2023年の4月30日経過時に時効を迎えます。

そこで、2020年3月15日締めの給料の時効を止めるためには、2023年の4月末までに「時効を止める」手続きを行う必要があります。

残業代請求の3年の時効

毎月の給料日から3年経過するごとに1か月分の給料の時効が成立し、1か月分の未払い給料が消滅してしまうことになります。

少しでも多くの残業代を取り返すために、できるだけ早く行動を開始しましょう。

5-2:残業代請求に必要な証拠一覧

未払い残業代を請求するときに、まずやるべきなのが「証拠集め」です。

証拠集めは、まずは自分で行うことをおすすめします。

証拠集めも弁護士に依頼することは可能ですが、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです。

残業代請求の証拠として有効なのは、以下のようなものです。

【勤怠管理している会社で有効な証拠】
  • タイムカード
  • 会社のパソコンの利用履歴
  • 業務日報
  • 運転日報
  • メール・FAXの送信記録
  • シフト表
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
  • 手書きの勤務時間・業務内容の記録(おすすめ)
  • 残業時間の計測アプリ
  • 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)

会社が勤怠管理をしていないため、自分で勤務時間を記録する場合は、毎日手書きで1分単位で時間を書きましょう。

具体的な業務についても書くのがベストです。

家族に帰宅を知らせるメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。

証拠は、できれば3年分あることが望ましいですが、なければ一部でもかまいません。

できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。

ただし、手書きの場合絶対に「ウソ」の内容のことを書いてはいけません。

証拠の中にウソの内容があると、その証拠の信用性が疑われ、証拠として利用できなくなり、残業していた事実を証明できなくなる可能性があります。

そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、曖昧さが指摘されないようにしておきましょう。

まとめ:固定残業代の計算

最後に、今回の内容をまとめます。

【固定残業代の計算方法】
固定残業代=(基礎時給)×固定残業時間×1.25(割増率)

【基礎時給の計算方法】
基礎時給=月給÷一月平均所定労働時間

【割増率】
労働条件 割引率

固定残業代制でも、固定残業時間を超えた残業代が支払われない場合は、未払い残業代として請求できます。

また、固定残業代制が認められない場合は、さらに未払い残業代として請求できる金額が増える可能性があります。

自分の正確な残業代を把握した上で、一刻も早く取り返すための行動をはじめましょう。

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