
一生懸命働いた給料が「給料日に支払われない!」
こんなことがあったら働く意欲が落ちますし、生活するのにも困ってしまいますよね。
ブラック企業の経営者は、建前では「払う」と言いながら、本音では払う気はまったくなく、給料の支払いを踏み倒そうとしていることがあります。
給料?払う払う。
とりあえず○万円払うから残りは来月まで待ってくれ。
こっちも金に困っているのに払うわけがない!
とりあえず支払いを延ばしていれば、そのうち諦めるだろう。
せっかく働いた給料を踏み倒されては悔しいですよね。
実は、
- 会社に言っても払ってくれない
- 会社が倒産してしまった
- すでに退職してしまった
などの場合でも、未払いの給料は取り返すことができる可能性があります。
ただし、取り返すためには行動するための「正しい知識」が必要です。
そこでこの記事では、未払いの給料を取り返すために取るべき手段と具体的なやるべきことについて、弁護士が徹底的に解説します。
未払いの給料が少額でも諦めないでください。
少額でも請求できる手段について、3章で詳しく解説しています。
未払いの給料が請求できるのは、時効が成立する3年までです。最後までしっかり読んで、すぐにでも行動を開始しましょう。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■給料を取り返すためのできる3つの選択
- 会社に「配達証明付き内容証明」を送る
- 労働基準監督署に申告する
- 弁護士に依頼する
■給料を取り返すためにやるべき2つのこと
①未払い給料を確定させるために以下の証拠を集める。
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 給与明細
- 給与口座の取引明細(通帳)
- 源泉徴収票
②労働していた事実を証明する証拠を集める
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
■社が倒産してしまった場合にできること
- 未払賃金立替制度を利用する
目次
1章:未払い給料は取り返すことができる!あなたがやるべき2つの選択肢
繰り返しになりますが、あなたの未払いの給料は、適切な方法をとることで会社から取り返せる可能性があります。
そのために、あなたが自分でできる方法としては、
- 会社に内容証明で請求書を送る
- 労働基準監督署に申告して解決を図る
などがあります。
ただし、会社は社員とのトラブルには慣れており、一社員が動いたところで取り合ってくれないことがあります。
また、会社に顧問弁護士がいた場合、あなた個人で戦っても未払い給料を回収できなかったり、回収できても金額が少なくなってしまう可能性が高いです。
そこで、「少しでも多額の給料を取り返したい!」という場合におすすめなのは「弁護士に依頼する」方法です。
以下の請求の流れとメリット・デメリットから分かるように、弁護士に依頼する方法の法が、あなたの手間・時間・精神的負担が大きく削減できるのです。
とはいえ、「まずは自分で請求する方法を知りたい」という場合もあると思いますので、まずは自分でできる方法からご紹介します。
1-1:未払い給料を請求するために自分でできる2つの方法
まずは自分で給料を請求してみようかな。
そのように考える人は時々いますが、自分で請求するのはなかなか大変なんです。
何が大変なんですか?
それでは、これから自分でできる「自分で会社に内容証明を送る」方法と、「労働基準監督署に申告して解決を図る」方法の2つについて、何をやらなければならないのか詳しく解説しましょう。
1-1-1:自分で会社に内容証明を送って請求する
内容証明を送って未払い給料を請求する流れは、以下の4つのステップからなります。
それでは解説します。
【①証拠を収集する】
未払いの給料を請求するために、最も重要なポイント「未払いの給料がある」ことを証明することです。
そのため、証拠集めをする必要があります。必要な証拠について、詳しくは2章で解説しています。
【②未払い給料を計算する】
①で集めた証拠をもとに、未払いの給料がどれだけあるか計算します。
弁護士に頼むと、正確に請求金額を計算してもらうことができます。
【③時効を止める】
未払いの給料を請求できるのは、3年の時効が成立するまでの間と、法律で決められています。
そのため、もし時効を止めなければ、毎月の給料日が来るたびに、請求できる給料が1ヶ月分消滅してしまいます。
ただし、「配達証明付き内容証明」を会社に郵送することで時効を半年間止めることが可能です。
つまり、内容証明を送ることで、手続きや交渉を進めることができる期間が半年延びるのです。
内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。
配達証明とは、配達した日付や宛名を証明してくれる郵便の制度です。
つまり、「配達証明付き内容証明」で会社に請求書を送ることで、会社は「そんなもの届いていない」としらばっくれることができなくなります。
そのためできるだけ早く、会社に対して、未払いの給料などを記載した内容証明を送ることが重要です。
内容証明のひな形を下記に示しますので参考にしてください。
<内容証明ひな形>
私は○○年○○月○○日,貴社に入社し,○○年○○月○○日に退社した者です
私は,平成○○年○○月○○日から平成○○年○○月○○日(以下「請求期間」とします。)まで,貴社において、労働に従事いたしましたが,貴社からは,一切,給料をお支払いただいておりません。
よって,私は,貴社に対し,請求期間内の未払賃金の合計額である★円の支払を請求いたしますので,本書面到達後1週間以内に,以下の口座に振り込む方法によるお支払をお願いいたします。
○○銀行○○支店
○○預金(普通・定期などの別)
口座番号○○
口座名義人○○
なお,本書面到達後を1週間を過ぎても貴社から何らご連絡いただけない場合は,やむを得ず労働基準監督署への申告,訴訟の手段をとらせていただくことをあらかじめ申し添えます。
時効について、詳しくは、二度ともらえなくなる前に!未払い給料の3年の時効と集めるべき証拠を参照してください。
【④会社と交渉する】
ステップ③で内容証明を送ったところから会社との交渉がスタートします。運が良ければ、内容証明が届いた時点で支払いに応じる会社もあるかもしれません。
しかし、多くのブラック企業は、あなたになるべく給料を払いたくないため、顧問弁護士等を介して減額の交渉をしてくるでしょう。
どの金額で折り合いがつくかは、あなた次第ですが、相手は、法律のプロである弁護士なので本来もらえる額より少ない金額で妥協しなくてはならない可能性が高いです。
また、一人で交渉してもブラック企業に対してはあまり圧力とならないため、相手にしてもらえず、内容証明を送っても無視されるという可能性もあります。
そんな場合は、次に紹介する「労働基準監督署」に相談するのも一つの選択肢です。
1-1-2:労働基準監督署に申告する
「労働基準監督署」とは、厚生労働省の出先機関で、労働基準法に基づいて会社を監督するところです。
給料の未払いは労働基準法違反のため、労働基準法に相談することで解決にいたる可能性もあります。
労働基準監督署への申告は、以下のような流れで可能です。
このような流れで労働基準監督署に申告することができるのですが、この方法は「未払い給料を請求したい場合」は、あまりおすすめではありません。
労働基準監督署は、労働基準法に違反している会社の行為を「正す」機関であり、あなたの未払い給料を取り返してくれる機関ではありません。
そのため、未払い給料を請求したいというあなたのために積極的に動いてくれる可能性は低いのです。
また、労働基準監督署は、労働者からのすべての申告で動くわけではありません。
それは、全国には400万を超える法人があるにもかかわらず、日本の労働基準監督署の人員は、非常勤の職員を含めても約2400人しかおらず、明らかに人員不足だからです。
そのため、危険作業や労働災害などの「人命に関わる問題」などが優先して処理されるため、「給料の未払い」では、動いてもらえない可能性が高いのです。
そこで、未払い給料を取り返す場合には、最初から弁護士に依頼することをオススメします。
1-2:より多く取り戻すために弁護士に依頼しよう
未払い給料請求の成功する確率を上げるために、弁護士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、未払い給料の計算や交渉は、専門的な知識が必要なため、1人で戦っては会社側の弁護士に負けてしまうからです。
弁護士に依頼して裁判みたいな大事にするのはちょっと・・・
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟(裁判)」になることは少ないです。
ほとんどが交渉や労働審判という、訴訟(裁判)よりも簡単な手続きで解決します
でも、弁護士に依頼すると高いお金を払わないといけないイメージがあるんだけど・・・
実はそうとも限りません。
未払い給料請求に強い「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
弁護士に依頼した場合、
という流れで、解決に向けて手続きが進められていきます。
その内容について順番に解説します。
1-2-1:ほとんどこれで解決!弁護士と会社の「交渉」
交渉とは、弁護士が会社との間に入って、電話・書面・対面で直接会社と交渉してトラブルの解決を図るものです。
また会社の人と会ったりするのは怖いなあ
弁護士があなたからヒアリングした内容をもとに交渉しますので、あなたが会社に出向く必要はありません。
交渉ではあなたが会社の人と会う必要はありません。
また、あなたが在職中で、これから退職を考えている場合、実際に交渉を開始する時期については相談可能です。
つまり、会社にばれないようにこっそり準備を進め、退職と同時に未払い給料を請求し、交渉を開始するということも可能です。
交渉で合意に至らなかった場合に、労働審判や訴訟に進むことになります。
1-2-2:交渉で解決しなかった場合は「労働審判」
交渉で決着が付かなかった場合、労働審判を行います。
それって裁判とは違うの?
労働審判とは、裁判所に行き、会社・あなた・裁判官などの専門家で問題の内容を確認し、解決の方法を探す方法です。
裁判よりも手続きが簡単で、費用も少なく、解決までの期間も短いのが特徴です。
解決するまで何度も裁判所に行かなきゃいけないのかな?
最初の1回のみはあなたも行く必要がありますが、それ以降は参加の必要がない場合もありますよ。
労働審判は以下のような流れで、解決まで進められます。
多くの場合、「交渉」か「労働審判」で決着が付きますが、労働審判において決定されたことに不服がある場合は、訴訟(裁判)へ移行します。
1-2-3:最後の手段が訴訟(裁判)
訴訟(裁判)は労働審判と違い、何回までという制限がなく、長期に渡り争い続ける可能性があります。
ただし、あなたはほとんど出廷する必要がありません。
訴訟(裁判)では、裁判所で「原告(あなたもしくは、あなたが依頼した弁護士)」と「被告(会社)」が主張し合い、裁判官が判決を下します。
訴訟の流れはこのようになっています。
最高裁まで行くことはほとんどないため、多くは地方裁判所までの1〜2年程度で終わるようです。
裁判所で「原告(あなたもしくは、あなたが依頼した弁護士)」と「被告(会社)」が主張し合い、裁判官が判決を下します。
裁判になると数年単位で争うこともありますが、先ほどお伝えした通り、裁判まで行くことは、ほとんどなく労働審判で決着がつきます。
このように、弁護士を利用して訴えれば、あなたが思うよりも手間・時間・お金をかけずに、未払い給料を請求することができるのです。
1-3:労働問題に強い弁護士に依頼することが重要!
未払い給料の請求方法について、理解することはできたでしょうか?
ただし、弁護士に依頼して請求する場合は、一つ注意点があります。
それは、「未払い賃金の請求に強い弁護士」を選ぶということです。
弁護士はみんな法律の知識があるのだから、誰でも良いのでは?
実はそうではありません。
法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いのです。
特に、未払い賃金請求という分野は弁護士業界でも極めてニッチであり、かつ難しい分野です。
弁護士を何十年やっていたとしても、苦手な人が多いのです。
賃金請求を取り扱った経験が多い弁護士に頼むのがベストです。
弁護士の選び方や相談の流れ、かかる費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
今すぐ始めよう!未払い給料の2つの請求方法と弁護士が教える請求のコツ
2章:未払い給料を請求する前に必ずやるべき2つのこと
未払いの給料の請求方法について、しっかり理解することはできましたか?
早く取り返す行動をはじめなければ!
と、思っているかもしれませんが、未払い給料を請求するためには、やらなければならないことがあります。
それは、
- 未払い給料を確定させること
- 労働していた事実を証明すること
という2つです。
これから、詳しく解説します。
2-1:「未払い給料」を確定させる
まずは「未払い給料」を確定させるために、
・もらえるはずの給料の金額
・未払い給料が存在すること
という2つを証明する必要があります。
これらについて証明しないと、会社から以下のように言われてしまう可能性があります。
給料がいくらだったか分からないから払えないよ。
給料はもう払ったはずだろう?
悪質な経営者は、給料をできるだけごまかして、未払いのままにしようとします。
経営者に反論し、給料を取り返すためには、以下の証拠が必要です。
【本来の給料の金額を示す証拠】
まずは、そもそもあなたがいくらの給料をもらう契約になっていたのかを示す証拠が必要です。
そこで、以下のものなどが証拠になります。
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
【実際に払われた給料の金額を示す証拠】
次に、もらえるはずだった給料が未払いにされていることを証明する証拠が必要です。
以下のものが、証拠になります。
- 給与明細
- 給与口座の取引明細(通帳)
- 源泉徴収票
「本来の給料の金額を示す証拠」と「実際に払われた給料の金額を示す証拠」を比較して、実際に払われた給料の金額が少なければ、未払いになっていることが証明できるのです。
2-2:「労働を行った事実」を証明する証拠を集める
次に、あなたが会社で労働していたという実態を示す証拠が必要です。そこで、以下のものを証拠にすることができます。
「勤怠管理している会社」と「勤怠管理をしていない会社」の、それぞれで必要な証拠を解説します。
【勤怠管理している会社で有効な証拠】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠になるものについて、会社から証拠隠滅されないように、パソコンからデータをダウンロードしたり、シフト表や日報は写真に撮ったりして、保存しておきましょう。
また、これらの証拠になるものがなくても、諦める必要はありません。
勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
証拠としては、①の本人の筆跡が確認できる「手書き」のものが、もっとも証拠として認められる可能性が高いです。
③の家族へのメールなどは証拠として認められることは少ないため、できるだけ手書きで記録しましょう。
できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまわないので、できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
ただし、意図的に実際に働いた時間と異なることを書くと、それがばれてしまった時に、証拠の信用性が疑われて不利になってしまいますので、気をつけてください。
そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにしましょう。
1分単位で記載することで、後で裁判官に見せた時に、「きちんと毎日正確にメモしていたんだな。後でまとめてテキトーに書いたんじゃないんだな。」と思ってもらいやすくなり、認められる残業の額が多くなる可能性が高まります。
・既に会社を退職している
・会社と喧嘩して辞めた
・バックレた
などの場合で集められそうな証拠がなくても、諦める必要はありません。
弁護士に依頼すれば、弁護士が会社に証拠の提出を要求するため、未払い給料を請求できる可能性もあります。
しかし、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、できるだけ会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことが望ましいです。
さて、未払いの給料を請求する前にやっておくべき2つのことについて、理解することはできましたか?
私はバイトで未払いの給料が○万円しかないから、泣き寝入りするしかないのかなあ
そんなことはありません。
未払いの給料が少額の場合でも、取り返す方法はあります。
それでは、請求する金額が少額の場合の請求方法について、解説します。
3章:少額の場合の請求方法
前のバイト先を勢いで辞めてしまったけれど、5万円の給料が未払いのまま・・・どうしたら取り返せるんだろう?
そんな少額の未払い給料を取り返すためには、
- 支払督促
- 少額訴訟
- 民事調停
という3つの方法があります。
これから詳しく解説します。
3-1:「とりあえず自分で請求してみる」場合は支払督促
「支払督促」とは、簡易裁判所を通して、会社に「未払いの給料を払ってください」という旨の文書を送ることです。
会社が督促を無視すると、「強制執行」と言って、強制的に会社から給料を取り立てることができます。
支払督促は、少額の費用で行えることから、数万円程度の未払い金を回収するために使われることが多いです。
支払督促を行い、相手の会社が、給料を払わないと「異議申立て」した場合は、通常の訴訟に持ち込まれることになります。
これは後ほど紹介する「少額訴訟」ではなく「通常訴訟」なので、支払督促で解決しなかったから、少額訴訟や労働審判にしよう、ということはできません。
しかも、会社は強制執行は避けたいので、訴訟に持ち込まれることが多く、最初から訴訟をした方が良い場合も多いです。
支払督促は、このようにあまり効果があるとは言えないため、「とりあえずやるだけやってみる」という程度の方法と覚えておいてください。
3-2:「早く解決してしまいたい」という場合は少額訴訟
「少額訴訟」とは、60万円以下の未払い給料を請求するために、簡易裁判所で行うことができる訴訟のことです。
少額訴訟は、1回の審理で結論が出ます。
そのため、請求したい給料の金額が少額で、早く解決してしまいたいという人が使うことが多いです。
少額訴訟は、手続きが簡単なため法律知識がなくても、弁護士に依頼せずに自分で手続きを進めることができます。
少額訴訟の場合も、会社が判決に満足せず「異議申立て」した場合は、通常の訴訟に移って争うことになります。
少額訴訟のみで解決することもありますが、通常訴訟に移行することになれば時間・手間が余計にかかることになり、弁護士への依頼が必要です。
3-3:「第三者の前で会社と話し合って解決したい」場合は民事調停
「民事調停」とは、訴訟のように勝ち負けをはっきる付けるのではなく、裁判所で話し合って解決する方法です。
裁判所で手続きした上で話し合うため、個人的に話し合うよりは、円滑に解決できる可能性があります。
民事調停は、以下のような手続きで行うことが出来ます。
民事調停の場合は、強制的に結論を出すことはないため、合意に至らなければそこで終了となります。ただし、その後あらためて訴訟など他の方法をとることはできます。
民事調停はあくまでも「話し合い」なので、あなたと会社の間で意見がくいちがっている場合などに、利用することがオススメです。
「会社がまったく払う気がない」「会社に無視される」などの場合は「少額訴訟」や、弁護士に依頼して解決を図ることをおすすめします。
以上の3つの方法は、あまりお金をかけず、少ない手間・時間で行うことができるというメリットはありますが、確実に解決させる力はありません。
そのため、どうしても給料を取り返したいなら、一度、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
【コラム】アルバイト・パート・派遣社員でも請求できる
「未払いの給料があるけれど、自分は正社員じゃないから泣き寝入りするしかないのかな?」
そんな悩みを持っている人もいるようです。
アルバイトやパート、派遣社員などでも、正社員と同じ労働基準法が適用されます。そのため、給料が未払いになっているのは、会社の「違法行為」です。
雇用形態に関係なく、堂々と会社に給料を請求しましょう。
4章:会社が倒産!そんな場合でも請求することは可能
給料を払わないまま会社が倒産してしまった!もう給料を取り返す手段はないのだろうか・・・
そんな場合でも諦めないでください。
会社が倒産したときに、条件を満たしていれば、一部の給料を国が立て替えてくれる制度があります。
それが「未払賃金立替制度」です。
この制度では、
未払給料の8割のみ
(ただし、88万円〜296万円の範囲内(範囲内で年齢によって変動))
という条件付きではありますが、利用することで給料の一部を取り返すことができます。
この制度を利用するための条件には、以下のものがあります。
- 労災保険の適用事業で、1年以上事業活動を行っていた会社であること
- 会社が倒産又は事実上の倒産に該当したこと
- 破産申立て日又は労働者が事実上の倒産について申請した日の6ヶ月前から2年の間に退職した者であること
「未払賃金立替制度」を利用するステップは、「事実上の倒産」をしている会社と「法律上の倒産」をしている会社とで異なり、以下のようになります。
事実上の倒産の場合、認定申請書を提出することになりますが、認定申請書には、会社の事業活動の状況等を明らかにする資料の添付が要求されています。
しかし、このような資料がない場合は、認定申請書だけとりあえず出してもよいです
なお、事実上の倒産(左側)の場合、認定申請を、退職日の翌日から起算して6カ月以内に行わなければ、立替払いを受けられないので要注意です。
詳しくは、厚生労働省のサイトを参照してください。
厚生労働省 未払立替制度の概要と実績
まとめ:給料の未払い
いかがだったでしょうか?
最後に今回の内容を、もう一度振り返りましょう。
【給料を取り返すためのできる3つの選択】
- 会社に「配達証明付き内容証明」を送る
- 労働基準監督署に申告する
- 弁護士に依頼する
【「自分でやる」方法と「弁護士に頼む」方法の違い】
【給料を取り返すためにやるべき2つのこと】
①未払い給料を確定させるために以下の証拠を集める。
「本来の給料の金額を示す証拠」
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
「実際に払われた給料の金額を示す証拠」
- 給与明細
- 給与口座の取引明細(通帳)
- 源泉徴収票
②労働していた事実を証明する証拠を集める
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
【会社が倒産してしまった場合にできること】
・未払賃金立替制度を利用する
給料を取り返すことができるのは、時効が成立するまでの「3年」です。
少しでも多くの給料を取り返すために、今すぐ行動を開始しましょう。
【参考記事一覧】