- 更新日:2024.08.21
- #給料未払い時効
二度ともらえなくなる前に!未払い給料の3年の時効と集めるべき証拠
この記事を読んで理解できること
- 未払い給料が請求できるのは3年間
- 未払い給料を請求する前に必ずやるべき2つのこと
- 給料請求の時効は「止める」ことができる3つの方法
- 未払い給料を取り戻す2つの方法
あたなは、
「未払い給料は時効が過ぎると請求できなくなるの?」
「時効って正確にはいつまでのこと?」
という疑問を持っていませんか?
実は、未払いの給料を請求できるのは「3年」という時効があり、それを過ぎてしまうと二度と取り返せなくなります。
そのため、あなたは給料を取り返すための行動を、すぐにでもはじめる必要があるのです。
未払い給料の時効は、適切な手続きで「止める」ことができます。時効を止めることで、余裕を持って請求手続きを進めることができます。
そこでこの記事では、
- 「未払い給料の時効」の正確な期間
- 時効を「止める」ことができる手続き
- 未払い給料を取り返すための3つの方法
ついて解説します。
最後までしっかり読んでください。
目次
1章:未払い給料が請求できるのは3年間
未払い給料の請求は、3年で時効が成立します。賃金の未払い請求権の時効の3年間は、労働基準法によって定められています(労働基準法115条)。
割増賃金手当につても、時効の期間は3年間になります。時効の基準になるのは、その給料が支払われている(支払われていた)毎月の給料日です。
つまり、「時効」とは、3年が経過したら3年分の未払い給料が一気に消滅するということではありません。
毎月の給料日を過ぎるたびに、3年前の1ヶ月分の給料が消滅していくということなのです。
まずは時効が成立する時期について確認し、時効を迎える前に請求の手続きを開始することが、とても重要です。
それでは、これから、未払い給料が時効になる期間について、詳しく解説します。
未払い給料請求の3年間の時効の基準は給料日
給料請求の時効は3年間で成立します。この「3年間」の基準日となるのは、給料が支払われる日です。
給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」と「15日締め・当月末払い」の場合を例に、時効の期間について見てみましょう。
【給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合】
たとえば、給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合、2020年2月16日から3月15日までの給料は、2020年4月30日に支払われます。
そのため、2020年3月15日締めの給料は、2023年の4月30日経過時に時効を迎えます。
そこで、2020年3月15日締めの給料の時効を止めるためには、2023年の4月末までに「時効を止める」手続きを行う必要があります。
【給料の支払日が「15日締め・当月末払い」の場合】
また、「15日締め・当月末払い」の場合、2020年3月16日から4月15日までの給料は、2020年の4月30日に支払われます。
そのため、時効は2023年の4月30日経過時に成立します。
そこで、2020年4月15日締めの給料の時効を止めるためには、2023年の4月末までに「時効を止める」手続きを行う必要があります。
これが「時効」の正確な期間です。
「面倒だから後から請求しよう」と思っているうちに、もらえるはずの給料がどんどん減ってしまう可能性もあります。
すぐにでも未払い給料の請求をはじめることをオススメします。
【コラム】会社と喧嘩して「払わない」と言われても払われないのは違法
- 遅刻や欠勤が多かったから
- バックレたから
- 喧嘩して辞めたから
こんな理由があったとしても、会社が給料を払わないのは違法です。
このようなことを言われていても泣き寝入りせず、4章で紹介する請求方法を試してみてください。
2章:未払い給料を請求する前に必ずやるべき2つのこと
未払いの給料請求の時効について、しっかり理解することはできましたか?
「時効があることは分かったから、早く取り返す行動をはじめなければ!」
と、思っているかもしれませんが、未払い給料を請求するためには、やらなければならないことがあります。それは、
- 未払い給料を確定させること
- 労働していた事実を証明すること
という2つです。
これから、詳しく解説します。
2-1:「未払い給料」を確定させる
まずは「未払い給料」を確定させるために、
- もらえるはずの給料の金額
- 未払い給料が存在すること
という2つを証明する必要があります。
これらについて証明しないと、会社から以下のように言われてしまう可能性があります。
- 経営者「給料がいくらだったか分からないから払えないよ」
- 経営者「給料はもう払ったはずだろう?」
悪質な経営者は、給料をできるだけごまかして、未払いのままにしようとします。
経営者に反論し、給料を取り返すためには、以下の証拠が必要です。
【本来の給料の金額を示す証拠】
まずは、そもそもあなたがいくらの給料をもらう契約になっていたのかを示す証拠が必要です。
そこで、以下のものなどが証拠になります。
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
労働基準法上では、会社は労働条件通知書を3年間保管する義務があります。
したがって、労働上条件書が証拠として提出する場合、給料の証明として有効であることを確認する前に、会社が該当書類を保管している可能性があることを留意してください。
なぜならば、自分が手元にある労働条件通知書と会社で保管されている労働条件通知書の相違がないかの確認のためです。
【実際に払われた給料の金額を示す証拠】
次に、もらえるはずだった給料が未払いにされていることを証明する証拠が必要です。
以下のものが、証拠になります。
- 給与明細
- 給与口座の取引明細(通帳)
- 源泉徴収票
未払給料を確定させるためには、取引明細が分かる給与明細や給与口座の取引明細(通帳)の保存は必須です。
なぜなら、源泉徴収票では給与の未払い時期を確定することが困難だからです。
給与明細や取引明細については、スキャンなどして自分のパソコンやUSBに保存することをおすすめします。
「本来の給料の金額を示す証拠」と「実際に払われた給料の金額を示す証拠」を比較して、実際に払われた給料の金額が少なければ、未払いになっていることが証明できるのです。
2-2:「労働を行った事実」を証明する証拠を集める
次に、あなたが会社で労働していたという実態を示す証拠が必要です。そこで、以下のものを証拠にすることができます。
「勤怠管理している会社」と「勤怠管理をしていない会社」の、それぞれで必要な証拠を解説します。
【勤怠管理している会社で有効な証拠】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠になるものについて、会社から証拠隠滅されないように、パソコンからデータをダウンロードしたり、シフト表や日報は写真に撮ったりして、保存しておきましょう。
また、これらの証拠になるものがなくても、諦める必要はありません。
勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
証拠としては、本人の筆跡が確認できる「手書き」のものが、もっとも証拠として認められる可能性が高いです。
できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまわないので、できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
裁判所の判例によると、労働者が個人的に記録した手帳のメモが証拠として採用されたことがあります。
なぜなら、会社側は従業員の労働時間を管理しなければならないからです。
従業員の労働時間を適正に管理していない会社は、不法行為責任が認められる可能性があります。
ただし、意図的に実際に働いた時間と異なることを書くと、それがばれてしまった時に、証拠の信用性が疑われて不利になってしまいますので、気をつけてください。
そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、曖昧さが指摘されないようにしておきましょう。
したがって、勤怠管理システムやタイムカードが導入されていない会社で働いている方は、自分の労働時間が適正に示せるようにしておくことをおすすめします。
詳しい証拠の集め方については【弁護士が解説】残業代をアップさせる証拠一覧と集め方マニュアルの記事を参照してみてください。
また、
- 既に会社を退職している
- 会社と喧嘩して辞めた
- バックレた
などの場合で集められそうな証拠がなくても、諦める必要はありません。
弁護士に依頼すれば、弁護士が会社に証拠の提出を要求するため、未払い給料を請求できる可能性もあります。
しかし、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、できるだけ会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことが望ましいです。
さて、未払いの給料を請求する前にやっておくべき2つのことについて、理解することはできましたか?
これらの証拠を集めた上で、次にやるべきことは「時効を止める」ことです。
3章:給料請求の時効は「止める」ことができる3つの方法
知っている人は少ないですが、給料の時効は、実は止めることができます。
時効を止めることで、
- 毎月の給料日ごとに、未払い給料が消滅することがなくなる
- 余裕を持って請求の手続きを進めることができる。
などのメリットがあります。
そのため、未払い給料を請求する前に、まずは「時効を止める手続き」を行うことがとても大切です。
時効を止める方法としては基本的に、
- 催告
- 労働審判の申立て
- 訴訟の提起
があります。
1.の方法(催告)では、時効を半年間止めることができます。
つまり、催告することで、時効を半年間延長することができます。
2,3の方法では、時効がリセットされて、もう3年時効が延びます。
中断手続きによって、それまで進行していた時効がリセットされてゼロになるのです。
(労働審判申立て、訴訟(裁判)の提起などで可能)
3つの時効中断の方法について、これから詳しく解説します。
3-1:催告(内容証明を会社へ送る)
未払い給料の時効を止めたい場合、最も手軽な方法が、「催告」です。
なぜなら、6か月間時効の期間を伸ばせるからです。
催告とは、会社に「内容証明」を送ることです。内容証明とは日本郵便が証明してくれる手紙の一種で、郵便局で簡単に送ることができます。
内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれるものです。
郵便局という第三者が届けたことを証明してくれるため、会社は「そんなもの届いていない」と無視することができなくなります。
内容証明を作成する際には、弁護士に依頼するか自分で作成するか決める必要があります。
特に、自分で作成する場合は、内容証明のルールに従って書く必要がありますので、事前にそのルールを調査しておくことをおすすめします。
以下のリンクに内容証明の利用条件が詳しく説明されていますので、参考してください。
https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/use.html
内容証明を送付することによって、手続きの翌日から半年間は、時効を停止することができます。
内容証明を送る場合、「弁護士に依頼する」「自分で送る」という2つの方法があります。
ただし、「自分で送る」方法では、会社側から無視されて給料を支払ってもらえないことがあります。
無視されてしまっても、それから弁護士に依頼することもできますが、
- 手続きをする期間が短くなる
- 交渉で解決できず、余計な時間・お金が必要になる
という可能性があるのです。
3-2:労働審判の申立て
労働審判とは、裁判所に行って、あなたと会社、裁判官などの専門家で事実関係を確認し、支払いの必要性や金額を決定する手続きのことです。
労働審判の審理期間は、約3か月程度と言われています。
なぜなら、労働審判の審理は、原則3回以内の期日で終えなければならないからです。
また、裁判所に支払う費用も訴訟額によって異なります。
例えば、訴訟額100万円程度であれば、裁判所に支払う労働審判手数料は、5,000円程度です。
労働審判の申立てをすることで時効はリセットされますので、3年間は残業代が消滅することがありません。
労働審判も自分で申立てすることは可能です。ただし、下記の書類を揃えて、裁判所に提出する必要があります。
【労働審判申し立てに必要な書類】
- 申立書(申立ての趣旨・理由などを書く書類)
- 会社の商業登記簿謄本または登記事項証明書
- 雇用関係についての証拠書類
これらの書類の準備には専門的な知識が必要ですので、実際に労働審判を申立てする場合には、弁護士に依頼するのがおすすめです。
3-3:民事訴訟の提起(裁判を起こす)
民事訴訟を起こすことでも、時効を3年間止める(中断する)ことができます。
「訴訟(裁判)の提起」も、実は自分で行うこともできます。
ただし、その場合は、法律や民事訴訟(裁判)の手続きについて熟知している必要があります。
よく理解しないまま、訴訟(裁判)を起こした場合、残業代を取り返すことができない可能性が高いため、弁護士に依頼することをおすすめします。
民事訴訟を提起するためには、裁判所に「訴状」を提出する必要があります。訴状とは、
- 原告(訴える人=あなた)と被告(会社)の氏名、住所
- 給料請求を行うという趣旨
- 請求を行う原因・争点について
などについて記入したものです。
訴状を裁判所に提出し、それが受理された時点で時効はリセットされます。
【コラム】会社が未払いの給料があると認めた場合(承認)でも時効は止まります。
会社に未払いの給料を請求した際、ほとんどの場合、ブラック企業は「未払いの給料はない」「払う必要はない」と突っぱねてきます。
しかし、まれに「未払いの給料はあることは分かりましたが、今は払えないので後にしてほしい」「未払いの給料を一部だけ先に払っておきます」と、未払いの給料を認めるケースがあります。この認めることを「承認」と言います。
「承認」で時効の中断を証明するためには、会社が認とめたことを示す証拠が必要です。
たとえば、
- 1万円でも返済してもらって、入金されたことを示す通帳を保管しておく
- 返済を認めたメールを保存、もしくはコピーしておく
などの証拠が有効です。メールなら、送られたその日の時点で「時効が中断」されます。
未払い給料の時効を止めるための方法について、理解できたでしょうか。
時効を止めたら、次に、給料を請求するための手続きを進めていく必要があります。
これから、時効を止めた後にやるべき手続きの流れについて、解説します。
4章:未払い給料を取り戻す2つの方法
未払い給料を取り戻すための方法には、
- 労働基準監督署に申告する
- 弁護士に依頼する
という2つの方法があります。
より手間・時間をかけず、できるだけ多くの給料を取り返したいという場合は、最初から弁護士に依頼することをオススメします。
とはいえ、労働基準監督署に申告することでも解決につながる可能性はありますので、まずは労働基準監督署に申告する方法から解説します。
4-1:労働基準監督署に申告する
「労働基準監督署」とは、厚生労働省の出先機関で、労働基準法に基づいて会社を監督するところです。
給料の未払いは労働基準法違反のため、労働基準法に相談することで解決にいたる可能性もあります。
労働基準監督署は、お住まいの都道府県にあります。以下に参考URLを載せていますので、ご活用ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html
まずは、労働基準監督署に申告する場合の流れについて解説します。
【労働基準監督署に相談するまでの流れ】
①証拠を集めておく
労働基準監督署に動いてもらうためには、証拠を集めて直接相談に行くことが一番有効です。
何故なら、証拠がないと労働基準監督署は、ただの「情報提供」としてしか扱わず、実際に調査に入らないことが多いからです。
典型的な証拠は以下のとおりです。
- 給与明細書
- タイムカード
- 源泉徴収票
- 雇用契約書
まずは、会社から支払われるべき給与が支払われていないという事実を労働基準監督署に報告しましょう。
②労働基準監督署に相談する
労働基準監督署に相談する場合、「電話」「メール」「窓口で相談」のどれかの方法を選ぶことができます。
また、匿名での相談も可能です。
ただし、電話・メールでの相談や匿名の相談だと「緊急性が低い」と思われて、実際に動いてくれないことがあるので注意が必要です。
そのため、やはり、直接相談に行くことが一番有効です。直接相談の場合は、匿名での相談が困難なため、相談したことが会社に発覚する可能性が高くなります。
会社側は、従業員が労働基準監督署に相談したという理由で解雇することはできません。
もし、相談した方が相談後もそのまま会社で働きたい場合は、労働基準監督署の担当者と相談しながら進めましょう。
労働基準監督署の窓口は土日祝日が休みであり、かつ平日の17:15までしか開いていないため、平日の日中に行く必要があります。
【労働基準監督署に訴えた後の流れ】
①労働基準監督署が会社を調査
労働基準監督署があなたの申告から、まずは実態がどうなっているのか調査します。
調査では、原則的に、予告なしで調査員が会社を尋ね、労働関係の資料のチェックや、責任者や労働者に対するヒアリングが行われます。
②違法性があったら会社へ是正勧告
調査で違法性があった場合に、それを改善させるために「これをやめなさい」「こう改善しなさい」という是正勧告をします。
③従わなければ経営者を逮捕
再三の勧告で改善されなかった場合は、最終的には逮捕に踏み切ることもあります。
ただし、労働基準監督署が逮捕に踏み切るのは例外的な悪質なケースのみです。
労働基準監督署に申告する流れは以上のようになっています。
しかし、未払い給料を請求する手段として「労働基準監督署への申告」を選ぶのは、あまり良い選択肢ではありません。
なぜなら、労働基準監督署は「人命にかかわる」ような案件から優先的に取りかかるため、「給料の未払い」のような案件は後回しにしてしまうからです。
労働基準監督署の人員は、全国400万の法人に対して約2400人しかおらず、慢性的な人員不足です。そのため、「給料の未払い」のような問題では、動いてもらえない可能性が高いでのです。
未払い給料の請求は、最初から弁護士に依頼することをオススメします。
4-2:弁護士に依頼して解決してもらう
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟(裁判)」になることは少ないです。
おそらくあなたが心配しているであろう「費用」の面でも、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
弁護士に依頼した場合、
- 交渉
- 労働審判
- 訴訟(裁判)
という手段によって、給料が請求されていきます。こ
れらの手段の流れと費用について解説します。
4-2-1:交渉:弁護士が会社と交渉
交渉とは、弁護士が会社との間に入って、電話・書面・対面で直接会社と交渉してトラブルの解決を図るものです。
交渉の場合、弁護士は、あなたからヒアリングした内容をもとに交渉しますので、あなたは会社に出向く必要はありません。
また、あなたが在職中で、これから退職を考えている場合、実際に交渉を開始する時期については、相談可能です。
そのため、弁護士に相談していることが会社にばれることはありません。
交渉は、弁護士と会社との間で、当事者間での合意によるトラブルの解決がゴールであり、合意できた場合は、あなたに会社から慰謝料や未払いの給料が支払われることになります。
合意に至らなかった場合に、労働審判や訴訟(裁判)に進むことになります。
4-2-2:労働審判:裁判より簡単
交渉で決着が付かなかった場合、労働審判を行います。
労働審判とは、裁判所に行き、会社・あなた・裁判官などの専門家で問題の内容を確認し、解決の方法を探す方法です。
労働審判の場合は、解決するまで以下のような流れで進みます。
第1回労働審判で解決されれば、申立てから1〜2ヶ月程度、第2回、第3回まで延びれば1ヶ月〜2ヶ月程度期間も延びることになります。
労働審判では、最大3回までの審判が許されており、裁判のように複数会の出廷や長期化する恐れはありません。
労働審判の回数は、最大3回までと決められているため、裁判のように何回も裁判所に行ったり、長期化することがないのが特徴です。
あなたも初回の労働審判のみは参加する必要がありますが、それ以降は参加しなくて良い場合もあります。
多くの場合、「交渉」か「労働審判」で決着が付きますが、労働審判において決定されたことに不服がある場合は、訴訟(裁判)へ移行します。
4-2-3:訴訟(裁判):まれに裁判に進む
訴訟(裁判)は労働審判と違い、何回までという制限がなく、長期に渡り争い続ける可能性があります。
ただし、あなたはほとんど出廷する必要がありません。行く必要があるのは本人尋問のときだけです。
訴訟(裁判)では、裁判所で「原告(あなたもしくは、あなたが依頼した弁護士)」と「被告(会社)」が主張し合い、裁判官が判決を下します。
訴訟(裁判)の流れはこのようになっています。
裁判になると数年単位で争うこともありますが、先ほどお伝えした通り、で裁判まで行くことは、ほとんどなく労働審判で決着がつきます。
弁護士を利用して訴えれば、思ったよりも手軽に、お金もかけずに会社と戦うことができることが理解できたかと思います。
繰り返しになりますが、未払い給料を請求できるのは「3年間」と決められています。
3年を過ぎると、二度ともらうことができなくなりますので、まずは証拠を集めてすぐにプロに相談しましょう。
まとめ:未払い給料を請求できるのは3年間
最後にもう一度、今回の内容を振り返りましょう。
まず、もっとも大事なことは、未払い給料が請求できるのは「3年」の時効が成立する前までだということです。
そのため、請求の手続きをその期間内に行わなければなりません。
ただし、時効は以下の方法で「止める」ことができます。
- 催告(内容証明を送る)
- 労働審判の申立て
- 民事訴訟の提起
これらの手段でとりあえず時効を止めておいて、それから未払い給料請求の手続きを進めます。
ただし、請求する前には以下の2つのことを事前に行う必要があります。
①未払い給料が存在することを証明できる証拠を集める
【証拠の例】
- 雇用契約書
- 給与明細
- 労働条件通知書
- 求人票
- 給与口座の取引明細
- 源泉徴収票
②労働を行った事実を証明できる証拠を集める
【証拠の例】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
その上で、弁護士に依頼して、未払い給料の請求手続きを進めていきましょう。
時効が成立してしまう前に、できることからはじめてみてはいかがでしょうか?
【内部リンクのまとめ】
【弁護士が解説】残業代をアップさせる証拠一覧と集め方マニュアル