
「自分にひどい扱いをしてきた会社を訴えたい!」
あなたは、こんなことを考えたことがありませんか?
しかし、
「会社を訴えたいけど、どうやったら訴えることができるのだろう?」
「裁判に負けたら自分がお金を払わなければいけないのかな…?」
このような疑問や不安を持って、訴えるための第一歩を躊躇しているかもしれません。
しかし、そのままでは会社に都合の良いように使われ続けることになるでしょう。
実は、訴えること自体、手続きが分かってしまえばそんなに難しいことではありません。
更に、弁護士を利用して訴えることで、あなたと相手に会社は対等な戦いをすることができます。
万が一負けても相手にお金を払う必要はありません。
あなたは、この記事を読むことで、
- あなたのトラブルを円滑に解決し、お金を取り戻すことができる、弁護士の選び方。
- 初期費用をかけずに訴えるための方法。
- 実はそれほど手間がかからない、「訴えるまで」と「訴えた後」の流れについて。
などについて理解し、すぐに行動できるようになります。
ブラック企業を訴える方法を学んで、しっかり会社からお金を取り戻しましょう。
第1章:初期費用ゼロでも可能!弁護士を利用して確実に会社からお金を取り戻そう
1-1:弁護士に依頼することを怖がる必要はない!
あなたが、弁護士を利用して訴えることに対して、以下のような不安を抱いているかもしれませんが、実はそれは取り越し苦労かもしれません。
まずは、あなたが疑問に思っているかもしれないことを、Q&Aで解消します。
弁護士を利用して訴えることで、あなたは手軽に訴えて会社からお金を受け取ることができる可能性が高くなるのです。
ただし、弁護士に依頼できるのは、以下のような「お金の請求」に関するトラブルです。
- パワハラやセクハラを受けたため、慰謝料を請求する。
- 不当解雇されたため、慰謝料を請求する。
- 残業代がきちんと支払われていないため、残業代を請求する。
また、パワハラで慰謝料を請求することもできますが、これらのトラブルで訴えても勝てるのは30%程度で、受け取ることのできる金額も数十万円程度です。
そこで、これらのトラブルでも「残業代」の請求でお金を取り返すことをおすすめします。
パワハラやセクハラ、不当解雇などを行うブラック企業は、残業代もごまかしている可能性が高く、残業時間によっては、金額が100万円以上になることがあるため、あなたにとってメリットが大きいのです。
それでは、実際に訴える場合の流れはどんなものなのでしょうか。1-2で詳しく解説していきます。
【コラム】パワハラでは慰謝料がとりづらい?悪質なパワハラでも慰謝料が取れなかった判例
【ケース①】
ノルマを達成できないと「なぜ売れないんだ!いつまでに売るんだ!」「おまえ、頭や考え方がおかしいんじゃないのか」などとののしられた。また、会議に出席しようとすると「ここからは君に関係ないから」と追い出されてしまった。このようなストレスから、視覚障害になってしまった。
↓
客観的な証拠がないとしてパワハラが認められなかった。
【ケース②】
引継ぎノートを残しておいたのに「お前の書き方が悪かったから仕事はしなかった」と言いがかりをつけられた。また、先輩に意見すると「口答えするな」と怒鳴りつけられた。
↓
先輩からの指導には従うべきであり、この程度ではパワハラにあたらない。
このように、悪質と思われるケースでも慰謝料は取れないことが多いのです。
1-2:弁護士に依頼した場合の請求の流れと費用
ここからは、実際に依頼した場合の流れについてみていきましょう。
「弁護士に相談=すぐに裁判」ではありません。
実際には、上記のように「交渉」や「労働審判」と言われる他の手段で解決されることが多く、裁判まですることはほとんどありません。
それでは、依頼後の流れについて下記で詳しくみていきましょう。
1-2-1:相談:無料でも可能
まずは、弁護士に電話や対面で相談してみましょう。事前の相談で、「請求できるか否か」「請求した場合のおおまかな金額」を知ることができます。
また、あなたが在職中で、今後、退職を考えている場合、実際に交渉する時期については相談可能です。そのため、弁護士に相談していることが会社にばれることはありませんので、安心して下さい。
依頼時には注意点があります。それは「完全成功報酬制」の弁護士を選ばなければ、以下のような「相談料」「着手金」といった初期費用がかかってしまうことです。
【費用】相談料の相場:0~10000円
相談料が「有料」の弁護士事務所と「無料」の弁護士事務所があるので事前に調べ「無料」のところを選びましょう。
【費用】着手金の相場:20〜30万円
着手金とは、弁護士に依頼する場合、通常かかる費用です。依頼人の1ヶ月分の給料の額であるのが一般的です。
【費用】「完全成功報酬制」の弁護士事務所の場合
「相談料」や「着手金」などの、初期費用をかけずに訴えることが可能です。
相談の次に、実際に会社に残業代を請求していきます。
あなたは、自分と会社との間で、持っている資金の差から自分が不利な争いをしなければならなくなるイメージを持っているかもしれません。しかし、完全成功報酬制の弁護士を利用することで、持っている資金の差に関係なく、あなたと会社は対等な立場で争うことができるようになります。
残業代の請求は「交渉」「労働審判」「裁判」の流れが多いので、この順番で詳しく解説していきます。
【コラム】初期費用を抑えて訴えるもう1つの方法
国が運営する「法テラス(日本司法支援センター)」では、弁護士に初期費用を払う余裕がない人に対して、初期費用の一部を立て替えてくれる制度があります。
ただし、立て替え制度を利用できるのは、は以下の条件をクリアする一部の人だけです。
<条件>
・勝訴の見込みがないとはいえないこ
・民事、家事、行政に関する問題であるこ
・収入、資産が一定以下
など。
また、あくまで「立て替え制度」なので、後からお金を返していく必要があります。そのため、完全成功報酬制の弁護士を利用する方が、より負担が少なく訴えることができます。
1-2-2:交渉:弁護士が会社と交渉
交渉の場合、弁護士は、あなたからヒアリングした内容をもとに交渉しますので、あなたは会社に出向く必要はありません。
交渉は、弁護士と会社との間で、当事者間での合意によるトラブルの解決がゴールであり、合意できた場合は、あなたに会社から慰謝料や未払いの残業代が支払われることになります。合意に至らなかった場合に、労働審判や訴訟に進むことになります。
交渉だけで終わった場合、あなたはほとんど何もする必要がなく、いつのまにか弁護士が解決して口座にお金が振り込まれているイメージです。
【費用】実費の相場:1万円~2万円
実費とは、弁護士が交渉の過程で使用するお金(郵送代・通信費・コピー代など)のことです。
この実費は、あなたの負担となりますが、慰謝料の請求や残業代請求に自信のある弁護士なら、慰謝料・残業代を回収した後に支払うようにしてくれる可能性もあります。
【費用】成功報酬の相場:回収金額の20〜30%
回収した後の成功報酬は事務所によって異なります。事務所のHPをチェックするか、直接問い合わせをしてみましょう。
1-2-3:労働審判:裁判より簡単
労働審判とは、裁判所に行き、会社・あなた・裁判官などの専門家で問題の内容を確認し、解決の方法を探す方法です。
労働審判の場合は、解決するまで以下のような流れで進みます。
第1回労働審判で解決されれば、申立てから70日程度、第2回、第3回まで延びれば1ヶ月〜2ヶ月程度期間も延びることになります。
労働審判の回数は、最大3回までと決められているため、裁判のように何回も裁判所に行ったり、長期化することがないのが特徴です。あなたも初回の労働審判のみは参加する必要がありますが、それ以降は参加しなくていい場合もあります。
裁判になると費用や手間がかかるため、ブラック企業の経営者もできれば裁判はやりたくないと考えています。
そのため、多くの場合、「交渉」か「労働審判」で決着が付きます。
しかし、労働審判において決定されたことに不服がある場合は、訴訟(裁判)へ移行します。
1-2-4:訴訟(裁判):まれに裁判に進む
訴訟(裁判)では、裁判所で「原告(あなたもしくは、あなたが依頼した弁護士)」と「被告(会社)」が主張し合い、裁判官が判決を下します。
訴訟の流れはこのようになっています。
最高裁まで行くことはほとんどありません。訴訟は、労働審判と違って、回数の制限が無いため、数年単位に長期化する可能性があります。
ただし、先ほどお伝えした通り、で裁判まで行くことはほとんどなく労働審判で決着がつきます。
【費用】労働審判申立て・訴訟提起費用
労働審判申立てや訴訟提起の費用は、請求額によって変わってきます。
参考:http://www.courts.go.jp/vcms_lf/315004.pdf
弁護士を利用して訴えれば、思ったよりも手軽に、お金もかけずに会社と戦うことができることが理解できたかと思います。
それでは、実際に会社を訴える上で、依頼する弁護士はどうやって選んだら良いのか、これから詳しく解説します。
第2章:ブラック企業に強い弁護士の選び方5つのポイント
あなたが、会社からどれだけのお金を取り戻すことができるのかは、あなたが依頼する弁護士によって変わる可能性があります。
弁護士なら誰でも良い訳ではありません。 法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の得意な分野以外は、あまり知識がない弁護士が多いのです。 そのため、労働問題に強い経験豊富な弁護士に依頼しましょう。
そこで、これから本サイト(ハタラクエスト)の考える弁護士の選び方について、詳しく解説します。
2-1:HPに過去に取れた金額の実績が掲載されている
残業代の請求や労働問題の慰謝料請求に強い弁護士事務所であることが分かったら、次は過去に取れた金額の実績を確認してみましょう。
残業代・慰謝料請求に関して、実績がある事務所であれば、取れた金額の実績をHP(ホームページ)などに記載していることが多いです。できればきちんと請求額実績が確認できる事務所を選ぶのが良いでしょう。
2-2:大手の事務所だから安心は間違い!小さい事務所を選ぶ方が失敗しない
請求実績を見るにあたって、注意して頂きたいことがあります。それは大手の事務所HPで「全体で○件の実績がある」と表示されているケースです。
大きな事務所だと、労働問題が得意な弁護士が在籍していたとしても、実際にあなたを担当するのは実績のあまりない弁護士になる可能性があります。
そのため、小さめの事務所できちんと今までの実績を公開しているところを選ぶのが間違いない選択です。
2-3:企業の顧問になっているところは避ける
避けるべき弁護士の特徴として「企業の顧問になっていること」があげられます。
企業の顧問になっている弁護士は、「企業と戦おう」としているあなたとはまったく違った立場、いわば企業の味方にあたります。残業代・慰謝料請求をする際は、あなたの味方、つまり労働者側の利益のために戦っている弁護士を選ぶべきでしょう。
HPに「企業法務が得意」や「企業顧問をやっている」などの記載がる場合、企業側の味方をする弁護士ですので、避けた方が良いと思います。
2-4:裁判の実績が多い弁護士は避ける
あなたは、「裁判の実績が豊富な方が経験値の高い弁護士さんなんじゃないの?」と思うかもしれません。
ですが、実際は、残業代・慰謝料の請求はほとんど裁判をすることなく、交渉で取り返すことが多いです。
裁判はお金も時間もかかるし大変ですが弁護士の報酬は高くなります。すぐに裁判に持ち込もうとする弁護士は、あなたの利益をあまり考えていない弁護士だと言えますので、避けた方が良いでしょう。
2-5:相談料無料、着手金ゼロ、完全成功報酬
先ほども触れましたが、「相談料」「着手金」が無料の弁護士を選ぶのも、大事なポイントです。
残業代・慰謝料を取り返す自信のある経験豊富な弁護士は、相談料や着手金にこだわらず、お金を取れたあとに報酬を受け取る完全成功報酬制を導入しています。
自信があるからこそできることですよね。あなたには是非、労働問題に強く自信のある弁護士を選んでほしいと思います。
弁護士の選び方については、詳しくは以下の記事を参照してみてください。
失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用
第3章:訴える内容によって異なる「必要な証拠」とは
これから弁護士に依頼するという方は、依頼前に、まずは自分で証拠を集めることをおすすめします。証拠集めは、弁護士に丸投げすることもできますが、弁護士が証拠を要求してもそれに応じない、悪質な会社も存在します。そのため、可能ならば、会社に在籍しているときから証拠を集めておく方が、より確実にお金を取り戻すことができるのです。
有効な証拠は会社にさせたい対応の種類によって違います。あなたのやりたい行動に適した証拠を集めることがとても大事なのです。
それでは、まずはそれぞれのトラブルにおける証拠について紹介します。
3-1:残業代を払ってもらえない
残業代を払ってもらうための証拠として有効なものには以下のものがあります。
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
また、これらの証拠になるものがなくても、諦める必要はありません。
タイムカードを置いてなかったり、日報をつけない、勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
証拠はできれば2年分証明できるものであることが望ましいですが、2年分集めることができなければ、半月分でもかまわないので、写真にとったりコピーをとったりして、できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
残業代請求の詳しい証拠については、以下の記事を参考にしてください。
【保存版】知らないと損する?残業代請求する為に揃えておくべき証拠
弁護士が証拠を要求しても提示しない会社もあるため、在籍しているうちから証拠を集めておくことが、より確実なのです。
3-2:パワハラ、セクハラ
あなたが日常的に会社の人からパワハラやセクハラを受けていたら、それを証明できる証拠があれば訴えることができます。
たとえば、ICレコーダー、スマホなどによる録音、メールを印刷したもの、パワハラを受けた日時や内容について詳細に記録したメモなどが有効です。
3-3:危険作業
危険な現場や状況で仕事させられていた場合、それを記録することは難しいかもしれません。
現場を写真に撮っていたら重要な証拠になります。
しかし、写真がなくても、時間や場所、内容について記録した手書きのメモがあれば立派な証拠になります。
諦めずにしっかり記録しておきましょう。
3-4:暴力で怪我をした、暴言でうつ病になった
会社の上司から日常的に暴言や暴力のパワハラを受けてうつ病になった、怪我をしてしまった、そのような場合は後から慰謝料を請求できる可能性があります。
そのため、暴言や暴行を受けていた時の証拠だけでなく、病院に行った時に医師から診断書をもらって保存しておきましょう。
3-5:不当解雇、不当な減給、不当な出向など
解雇が不当なことを証明するための証拠は、会社が提示した解雇理由によって異なります。
整理解雇の場合
会社の業績が極端に悪化してないことを示す証拠、自分が解雇された後に会社が新しく社員を募集していたことを示す求人票など。
能力不足を理由にした解雇
営業成績を示す表の写真、自分が担当して作った成果物などあなたの実績を証明できるもの。
病気を理由にした解雇
病気がちでも働くことに問題はないことを示す診断書。
懲戒解雇
解雇理由を詳しく確認できる「懲戒理由証明書」。
詳しくは、不当解雇した会社を訴える!丸わかり訴訟マニュアルの記事をご参照ください。
【コラム】解雇の種類
-
整理解雇
会社の経営悪化を理由にした、人員整理に伴う解雇。 -
能力不足解雇
従業員の能力が経営者の考える水準に達していないことを理由にした解雇。 -
懲戒解雇
従業員が犯罪や社内の規定を犯したことを理由にした解雇。退職金が払われないことが多い。
まとめ
今回はブラック企業を訴える方法と、訴える場合の具体的な流れやイメージについて詳しく解説してきました。
あなたも、自分が取るべき行動について理解することはできましたか?すぐに行動に移れるように、もう一度内容を整理してみましょう。
まず、この記事でもっとお伝えしたいことは、
「弁護士を利用して訴えるのは、意外と大変ではない」
ということです。なぜなら、
- 相談料、着手金が無料の弁護士事務所がある
- 負けても会社にお金を払う必要はない
- 弁護士が前面に立って会社と戦ってくれる
ためです。
弁護士への依頼について、覚えておいてほしいことは以下のポイントです。
- 完全成功報酬制の弁護士に頼むことで、初期費用をかけずに訴えることが可能
- 着手金が払えない場合は、立て替え制度がある
また、依頼する弁護士は
- 請求実績がある
- 小さな事務所
- 企業の顧問になってない
- 裁判実績が少ない
- 完全成功報酬制
などの条件から判断することが必要です。
自分にあった弁護士を見つけて、まずは相談してみてはいかがでしょうか。