
あなたは、浮気、不倫されたときに何が「証拠」になるのかご存知ですか?
配偶者に浮気、不倫される・・・そんなことはあまり考えたくないかもしれませんが、私の弁護士としての経験上、相談に来られる多くの方が「自分に限って浮気されるとは思っていなかった」とおっしゃいます。
そのため、浮気、不倫に関する情報を持っておらず、そんな状況に遭遇してから、
「何が証拠になるのか、どう集めれば良いのか分からない」
「感情的になって違法な集め方をしたために、かえって不利になった」
といったことで悩まれるようです。
浮気、不倫をされた場合は「証拠としてみなされやすいもの」を「正しい方法」で集めることが、離婚や慰謝料請求をより有利に進めるポイントになります。
そのため、今は「自分に限って浮気、不倫されるなんてあり得ない」と思われているかもしれませんが、万が一に備えてこれから紹介する証拠に関する知識を知っておくことが大事です。
そこでこの記事では、まずは証拠を集める必要性についてお伝えし、それから「証拠になるもの」「証拠にならないもの」について詳しく解説します。
実は、浮気、不倫の証拠としては、よく言われる「写真」「録音した音声」などだけでなく「クレジットカードの利用明細」「Suica、PASMOの利用履歴」「SNS」なども証拠にできる一方で、デジタルデータ(デジカメの写真、スクリーンショットなど)は証拠として弱いことがありますので、参考にしてください。
さらに、証拠を集める方法は「自分で集める」もしくは「興信所、探偵に依頼する」という方法がありますので、それらの方法のポイントや、証拠集めの後にやるべきことについても解説します。
しっかり読んで、万が一のために覚えておいてください。
※逆に、あなたが「不倫相手の奥さんから慰謝料を請求された」立場だった場合は、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【保存版】奥さんから慰謝料請求された時に知っておくべき全知識
目次
1章:浮気、不倫をされたら、まずは証拠を集めよう
それではさっそく、集めるべき証拠について解説したいところですが、まずは基礎知識として、
- 浮気と不倫の違い
- 証拠を集める必要性
について解説します。
それよりも、先に具体的な集めるべき証拠について知りたいという場合は、2章から読みください。
それでは解説します。
1−1:浮気と不倫の違い
そもそも「浮気」と「不倫」の違いは混同されやすいものですが、厳密に言うと意味が異なります。
浮気とは、一般的に、配偶者以外の異性と恋愛関係になること、もしくはそう疑われるような行為をすること全般を指すことが多いです。
また、婚姻関係がない恋人同士の間でも使われます。
一方で不倫は、配偶者以外の異性と肉体関係になること、つまり性交渉をするという意味で使われることが多いです。
また、婚姻関係がある夫婦間において、使われる言葉です。
しかし、実はどちらも法的な概念ではなく、法的には婚姻関係がある配偶者の不倫のことを「不貞行為」と言います。
なぜ浮気と不倫(不貞行為)を区別する必要があるのかというと、不倫(不貞行為)でなければ、法的には、「慰謝料請求」や「離婚請求」が認められないからです。
そして、あなたが配偶者やその不倫相手に対して何らかの行動を起こしたい場合は、証拠を集める必要があります。
1−2:証拠を集める必要性
証拠を集める必要があるのは、以下の4つの理由があるからです。
①自分からの離婚請求が認められやすい
離婚は、誰でも簡単にできるというわけではなく、相手が離婚したがらなかったり、条件に折り合いが付かない場合、裁判になることもあります。
ただし、その場合に「一方がした行為が原因で、夫婦関係が破綻した」ということが分かると、離婚の請求が通りやすいです。
不倫(不貞行為)は、夫婦関係を破綻させる「離婚事由」になるため、あなたからの離婚の請求が認められやすいのです。
その場合に、不倫(不貞行為)があったことを、弁護士や裁判官に証明するために「証拠」が必要であるため、離婚請求を認めてもらうためには証拠が必要なのです。
②相手からの離婚が認められにくい
配偶者が不倫をした証拠を持っている場合、あなたの配偶者が「離婚したい」と言ってきても、認められにくいです。
なぜなら、配偶者側の原因で夫婦関係が崩壊したのに、配偶者からの離婚請求を認めると、あまりにも理不尽であり、裁判でも認められないからです。
つまり、不倫(不貞行為)の証拠を持っておくことで、離婚において、あなたが有利な立場になるのです。
③慰謝料請求の際に有利に進められる
不倫(不貞行為)の証拠がある場合、あなたの配偶者やその不倫相手の両方に、有利に慰謝料を請求を進められます。
なぜなら、不倫(不貞行為)は民法709条における「不法行為」であると、法律上も規定されているからです。
場合によって異なりますが、証拠を持っていれば50万円〜300万円程度の慰謝料を請求することが可能です。
証拠がなく、あなたの配偶者が不倫を認めていなければ、慰謝料請求は認められにくいです。
そのため、慰謝料を請求するためには、証拠を集めることが大事なのです。
④夫婦関係の再構築への利用
離婚も慰謝料請求もしないという場合でも、夫婦関係を再構築するために証拠が有効な場合があります。
証拠がなければ、配偶者は不倫(不貞行為)を認めず、曖昧なまま問題をなかったことにしようとするかもしれません。
そうすれば、夫婦関係は冷え切ったままになってしまうかもしれません。
しかし、証拠があれば配偶者も不倫(不貞行為)を認めざるを得ず、素直に謝罪する可能性もあります。
相手が認めれば、まずは再構築に向けて行動をはじめることもできるのです。
2章:浮気、不倫の証拠になるもの一覧
さっそくですが、浮気・不倫の証拠になるものは以下ものです。
証拠になるものとは、裁判になったときに認められやすい証拠のことです。
ただし、裁判ではなく示談交渉を行う場合でも、裁判になれば結局証拠として認められるため、交渉時にも有利に働きます。
証拠になるものは、以下のものです。
【裁判・交渉で不倫の証拠になるもの】
- 写真
- 録音した音声データや録画した撮影データ
- クレジットカードの利用明細、レシート
- Suica、PASMOなどの利用履歴
- メールや手紙
- SNSやブログ
- 手帳、日記、メモ
- GPS
- 住民票の写し
- 妊娠、堕胎を証明できるもの
- 子どもの血液型
- 興信所や探偵の調査報告書
順番に解説します。
2−1:写真
証拠として認められやすい写真は、具体的には以下のようなものです。
①性行為やその疑似行為、裸体写真
②ラブホテルや自宅に出入りしている所が分かる写真(入る所、出る所の両方)
③浮気・不倫相手と二人での旅行写真
④一夜をともにしたことが分かる写真(自宅、ホテル、旅館など)
⑤外泊した日に撮られたプリクラ
これらのものは、裁判になっても浮気・不倫をしていたと認められやすいです。
ただし、不倫(不貞行為)があったと認めてもらうためには、
- 撮影日時が記録されていること
- 複数回にわたる不倫(不貞行為)が明らかであること
- ホテルや自宅の出入りは、入る所と出る所の両方が写真に撮られていること
などがポイントになります。
詳しい集め方については、3章で解説します。
配偶者が保有していた携帯電話内のSDカード内に、不倫相手のバスローブを着た写真や上半身裸の写真が入っていたことから、証拠として認められました。
(東京地裁平成27年3月17日)
2−2:録音した音声データや録画した撮影データ
あなたの配偶者と浮気・不倫相手との間での、不貞行為が明らかである録音した音声データや、録画した撮影データがあれば、証拠としての価値が高いです。
ICレコーダー、ビデオカメラやスマホで録音・録画したものが一般的です。
具体的には、以下のようなものです。
①夫婦間の会話で、浮気・不倫の事実を認めた会話の録音
②不倫相手との電話の録音
③性行為やその類似行為の録音・録画データ
④ホテルや不倫相手の自宅から一緒に出てくる動画
⑤一緒に旅行に行っていることが分かる動画
ポイントは、
- 一緒にいることや日常的な会話などがあるだけでなく、不貞行為の事実が分かる音声や動画であること
- 著しく反社会的な方法で集められたものではないこと(※)
ということです。
※盗聴や盗撮による証拠集めは本来違法ですが、3章で解説するように、裁判では証拠として認められることも多いです。
【著しく反社会的な証拠の集め方の例】
- スマホのSDカードを窃盗してコピー
- 配偶者や不倫相手の会社に不法侵入して証拠収集
- 自宅以外(不倫相手の家など)にカメラを設定しての盗撮
2−3:クレジットカードの利用明細、レシート
クレジットカードの利用履歴やレシートが、浮気・不倫の証拠として使えることもあります。
具体的には以下のものです。
①ホテル、旅館などの宿泊施設のクレジットカードの利用明細
②ホテル街や不倫相手の自宅近くで使われたレシート(コンビニ、レジャー施設、レストランなど)
ポイントは、以下の点です。
- 繰り返し使われていること
→繰り返し使われていることで、単発的ではなく浮気・不倫が続いていることが分かります。 - 不貞行為があったとみなせるものであること
→異性の下着や避妊具、性行為用のグッズの購入履歴などの履歴があれば、証拠として認められやすいです。
配偶者が不倫相手に婚約指輪を購入し、購入時の販売証明書にサインをしていたことから、不貞行為の証拠として認められたケースがあります。
(東京地判平成19年3月19日)
2−4:Suica、PASMOなどの利用履歴
電車移動や自動車での移動の履歴についても、証拠として認められることがあります。
具体的には以下のようなものです。
①Suica、PASMOの利用履歴
SuicaやPASMOは、駅の券売機に挿入して「履歴表示」のボタンを押すと利用履歴を確認し、印字することが可能です。
②インターネットの乗り換え検索サービスの履歴
Yahoo!乗り換えやNAVITIMEなどの乗り換え検索サービスの場合、スマホアプリ上の「検索履歴」ボタンを押すと、過去に検索した乗り換え駅の履歴が表示されます。
③自動車のETC利用履歴
下記のページから過去の利用履歴の明細を確認、印刷することができます。
ただし、以下のようなポイントがあります。
- 継続的に履歴が残っていること
→1回のみの履歴では、たまたま移動しただけの可能性があり、浮気・不倫があったとは認められにくいです。ケースバイケースですが、複数回同じ所に通っていることが分かる履歴があることが望ましいです。 - 他の証拠もあること
→移動の履歴だけでは証拠として弱いため、他の浮気・不倫の証拠(ホテル、旅館、食事のレシートや避妊具のレシート、クレカ明細など)もあることで、特定の相手との不貞行為を証明できます
2−5:メール、LINEや手紙
メール、LINEや手紙の文面も、浮気・不倫の証拠として認められることがあります。
特にメールは、不貞行為の証拠として裁判で提出されることが非常に多く、これから紹介する内容・ポイントを押さえたものなら、認められる可能性が高いです。
具体的には以下のようなものです。
①配偶者が浮気・不倫相手に送ったメールや、不倫相手が配偶者に送ったメールのコピー、文面を撮影したもの
②LINE(スクリーンショットではなく、画面をそのまま撮影したもの)
スクリーンショットは加工が疑われやすく、相手から偽造を主張されることがあるため、画面を撮影した方が良いとされています。SNSのDMやメールも同様です。詳しくは3章で解説します。
③手紙、年賀状
④贈り物(浮気・不倫関係が疑わしい贈り物)
- 指輪、アクセサリー
- 洋服、下着
など
また、類似のものとしてTwitterやFacebookのDMでのやり取りなども証拠になり得ます。
ポイントは以下のものです。
- 肉体関係があったことが分かる内容であること
→友達同士でふざけてじゃれあうメールを送りあうことはよくあるため、親密な関係であることが分かるだけでは、不貞行為があったとは認められにくいため。肉体関係があったことが推測できる内容である必要があります。 - 複数回のやり取りがあること
→何度も継続的にやり取りされたものであることが分からなければ、浮気・不倫が継続的に行われていたことが証明できないためです。 - メールの場合は、送受信の日時が明確に残っていること
→日時が明確でなければ、不倫関係が分かったことと夫婦関係の破綻の時期との前後が分からないためです。
また、メールについては違法に集められたものではないかという点も注意が必要ですので、2−2で詳しく解説します。
2−6:SNSやブログ
最近では、SNSやブログを使っている人も多いため、不貞行為が分かるものであればこれらも証拠として認められることがあります。
具体的には、以下のものです。
①Facebookに投稿されたツーショット写真
②ブログにアップされたツーショット写真やそれが分かる記事
③Facebook、Twitter、InstagramのDMの文面のコピーや画面を撮影したもの
ただし、SNSの場合は本人のアカウントであることが明らかある必要があります。
これらは、撮影された日時・場所が明らかであれば、証拠として認められることがあります。
配偶者の写真が、不倫相手から撮影され、しかもその姿が裸に近いものであったこと、さらにその写真がアップされがブログ内に「愛する人に」など、浮気・不倫関係が分かる文章が書かれていたことから、ブログにアップされた写真が不貞行為の証拠として認められたケースがあります。
(東京地裁平成21年5月13日)
2−7:手帳、日記、メモ
紙媒体での記録でも、以下のようなものなら証拠として使える場合があります。
①紙の手帳やスマホのスケジュールアプリの浮気・不倫相手と会う記録
②浮気・不倫相手と会ったことが分かる日記
③メモ、付箋、名刺などの書かれた私的な電話番号やメールアドレス
証拠として認められる上でのポイントは以下のものです。
- 日時や場所が明らかで、不貞行為があったことが推測できるもの
→日時や場所が明らかでないと、証拠としては認められにくいです。 - 手帳や日記の場合、継続的に記録されていること
→特定の日だけ記録されている場合、不自然であるため、証拠として認められないことがあります。
【手帳が証拠になった判例】
手帳のカレンダー欄の特定の日に水色のマーカーで印があり、それが継続的にあることから、手帳の印が浮気・不倫関係の証拠として認められたケースがあります。
(東京地裁平成15年11月6日)
2−8:GPS
GPSを使って証拠を集めた場合も、証拠として認められることがあります。
具体的には、浮気・不倫が疑われる配偶者の鞄の中に入れて、行く場所を追跡し、
- ラブホテル
- 旅館
- 異性の自宅
などに行ったことが記録されているものです。
ただし、GPSはプライバシーを侵害するものとして、違法とみなされることもあるため、注意が必要です。
2−9:住民票の写し
あなたが配偶者と別居している場合は、配偶者と浮気・不倫相手が同棲している可能性もあります。
そのため、あなたの配偶者と不倫相手の住民票が同一の場合は、同棲していることになるため、不倫(不貞行為)をしている事実が認められるのが一般的です。
※同棲は、裁判では不貞行為があったと認められやすいです。
ポイントは、住民票が同一というだけでなく、同居している事実が示せる証拠も集めることです。
なぜなら、住民票が同一なだけなら、大家と借主というケースもあり得るからです。
2−10:妊娠、堕胎を証明できるもの
あなたの配偶者が女性である場合、配偶者が妊娠・堕胎した事実が分かる証拠があれば、浮気・不倫をしていたと認められます。
具体的には、裁判時に病院に記録の開示を求めることで、証拠を集めることができます。
ただし、
- 妊娠・堕胎時にかかった病院を特定する必要がある
- 裁判以外では、病院が情報を開示してくれないこともある
という点に注意が必要です。
不倫相手の中絶手術を行うために、配偶者がサインしていることから、不貞行為があったと認められたケースがあります。
(東京地裁平成19年9月28日)
2−11:子どもの血液型
子どもの血液型があり得ないものであり、かつ配偶者の浮気・不倫相手の血液型と一致する場合、子どもの血液型を浮気・不倫の証拠として利用することもできます。
ただし、以下の点がポイントです。
- 血液型以外の証拠もあること
→血液型だけでは、あなたの子どもではないことが明らかにできても、誰との間にできた子どもなのかを特定することができず、慰謝料を請求することができません。そのため、浮気・不倫相手を特定できる別の証拠も集める必要があります。 - 子どもが4歳以上になってから鑑定された血液型であること
→4歳以下の子どもは、血液型が変わる可能性があるためです。
2−12:興信所や探偵の調査報告書
配偶者の浮気・不倫を疑う場合、興信所や探偵会社に調査を依頼するケースも多いです。
興信所・探偵からは、調査の結果が「調査報告書」として提出されるのが一般的ですが、これも裁判では証拠として認められることが多いです。
ポイントは、信頼できる興信所・探偵会社に依頼するということです。
この点について、詳しくは3章で解説します。
【調査会社の報告書が証拠になった判例】
配偶者の浮気・不倫を疑い、調査会社に依頼したところ、配偶者の不貞行為が明らかになったため、その調査結果が不貞行為の証拠として認められたケースがあります。
(東京地裁平成16年8月31日)
3章:浮気、不倫の証拠にならないもの一覧
証拠にならない、なりにくいものは以下のものです。
【裁判・交渉で不倫の証拠になりにくいもの】
- 改ざんが疑われてしまうもの
- 異性といつも出かけているという事実
- 違法に集めたもの(盗聴、盗撮、盗み見)
- 風俗店のレシートや風俗嬢の名刺
それぞれ解説します。
3−1:改ざんが疑われてしまうもの(デジカメの画像、メールやLINEのスクショなど)
あなたが本当に何も手を加えていなくても、証拠として加工、編集できるものについては、証拠として認められないことがあります。
具体的には、以下のものです。
①デジカメで撮られた写真や動画
②メールやLINEのスクリーンショットや文面をコピー&ペーストして保存したもの
③加工が可能な音声データ
このようにデジタルデータで保存されたものは、証拠を有利なものにするために加工したとみなされてしまうことがあります。
そのため、他の証拠も合わせて集めておくことや、加工が疑われない形(画面の撮影や、デジタルではないカメラでの撮影など)での記録をすることが大事です。
3−2:異性といつも出かけているという事実
あなたが、あなたの配偶者が何度も異性と出かけているのを見たというだけでは、証拠として認められないことが多いです。
なぜなら、あなたが見ただけでは、第三者に客観的に浮気・不倫の事実を知らせることができないからです。
そのため、必ず何らかの形で証拠として残すようにしておきましょう。
3−3:違法に集めたもの(盗聴、盗撮、窃盗)
浮気・不倫されて感情的になっていると、違法な方法を使ってでも証拠を集めようとされるケースがあります。
具体的には、以下のようなものです。
①盗聴器を使っての電話や部屋の盗聴
②浮気・不倫相手の部屋にカメラを設置しての盗撮
③携帯電話のデータを勝手に抽出し、データ化する
④日記、手帳を窃取(盗み)しての証拠としての提出
⑤配偶者が風呂に入っている時に、こっそりスマホの画面を撮影する
これらはプライバシーの侵害であり、通常は違法です。
そのため「違法収集証拠」とみなされ、裁判では証拠から削除されることもあり得ます。
ただし、浮気・不倫の事実を証明することは普通の方法では困難であるため、実際には、勝手に録音、録画したデータや、勝手に撮影・コピーしたメール、手紙、日記などが証拠として使われることが非常に多いですし、証拠として認められることが多いです。
以下の場合は、多少の違法性が疑われる場合でも、証拠として認められることがあります。
- 不貞行為を証明するために、違法性が疑われる集め方を取らざるを得なかったこと
- 著しく反社会的な方法ではないこと(盗聴器の利用など)
上記のポイントに注意すれば、証拠の集め方が違法であることを理由に証拠を却下されることは少ないです。著しく反社会的な方法とは、以下のようなものです。
【著しく反社会的な証拠の集め方の例】
- スマホのSDカードを窃盗してコピー
- 配偶者や不倫相手の会社に不法侵入して証拠収集
- 自宅以外(不倫相手の家など)にカメラを設定しての盗撮
違法性が疑われる集め方でも、証拠が認められた例として、以下のような判例があります。
写真の隠し撮りや、GPS機能付きの携帯電話を使った居場所の探索という方法での証拠集めが、著しく反社会的であるとは言えないとして、証拠として認められたケースがあります。
(東京地裁平成25年10月9日)
【ボイスレコーダーが認められた判例】
配偶者の浮気・不倫を疑い、自動車内にボイスレコーダーを設置し、その音声を証拠としたことが、著しく反社会的というわけではないとされ、認められたケースがあります。
(東京地裁平成21年11月17日)
3−4:風俗店のレシートや風俗嬢の名刺
風俗で性的サービスを受けることは、不貞行為ではあります。
しかし、1回きりの利用では離婚事由として認められないことが多く、継続的に利用していることが分かる証拠(日付入りのポイントカード)などがなければ、離婚請求は認められない事が多いです。
証拠があったとしても、離婚時の慰謝料は一般人との不倫の場合よりも少なくなりがちです。
また、風俗嬢は業務として性的サービスを提供しているため、風俗嬢に対して慰謝料請求することは難しいです。
4章:浮気、不倫の証拠を集めるポイント
証拠を集める上では、
- 自分で集める
- 興信所・探偵に依頼して集める
という方法があります。
それぞれ、注意点を解説します。
4−1:自分で集める場合のポイント
証拠を自分で集める場合は、以下の注意点があります。
①できるだけ複数集める
②継続的に集める
③違法性が疑われにくい方法で集める
順番に解説します。
①できるだけ複数集める
証拠は、1種類だけ(写真だけ、メールだけなど)よりも、複数の種類がある方が、証拠能力が高いとされています。
レシートやメール・LINEの文面など、集めやすいものだけでもできるだけたくさん集めておきましょう。
②継続的に集める
浮気・不倫は、継続的な関係があることを証明できる必要があります。たとえば、1度だけの電話やメール、ラブホテルに行った記録などでは、風俗等の可能性もあるからです(風俗も不貞行為ですが、1回限りの利用では離婚・慰謝料請求は難しいです)。
したがって、浮気・不倫相手と継続的な関係があることを示せるように、
- 一定の期間分のメール・LINEのやり取り
- 何度も特定の場所に通っているPASMOやETCの履歴
- 何度も行っている二人分のレストランやレジャー施設のレシート
などを集めることをおすすめします。
③違法性が疑われにくい方法で集める
さらに、2−2でも解説したように、集め方が著しく反社会的であるとみなされると、証拠が否認されることがあります。
ある程度勝手にやらなければ、証拠を集められないという事情はあると思いますが、できるだけ違法性が疑われにくい方法で集めましょう。
4−2:興信所・探偵に依頼する場合のポイント
あなたが自分だけで証拠を集めようとすると、
- 認められやすい証拠が十分に集まらない
- 違法な方法で証拠を集めてしまい、証拠が却下される
- 証拠を集めていることが配偶者や不倫相手にバレて、トラブルになる
といったことになりかねません。
興信所、探偵ならプロですので、
- 認められやすい証拠を最大限集めてくれる
- 反社会的な方法を避けて、否認されない方法で集めてくれる
- 証拠を集めていることが配偶者や不倫相手にバレにくい
- 調査報告書自体が証拠になる
といったメリットがありますので、できるだけ興信所、探偵を使って証拠を集めることをおすすめします。
興信所・探偵に依頼する場合は、以下の点に注意しましょう。
①信頼できる興信所・探偵に依頼する
②あらかじめ日時や場所を指定する
順番に解説します。
①信頼できる興信所・探偵に依頼する
興信所・探偵の中には、法外な費用を請求したり、まともな調査を行わない所もあるようです。
そのため、
- 料金体系が明らかで、相場からかけ離れた高額な料金ではないこと
- ある程度知名度があること
- こちらの疑問に丁寧に回答してくれること
などに注意し、信頼できる興信所・探偵に依頼するようにしましょう。
②あらかじめ日時や場所を指定する
興信所・探偵に依頼すると、証拠集めにかかった時間の分だけ費用も高額になっていきます。
そのため、
- そもそも、浮気・不倫をしている確信があるかどうか
- 大体、いつ、どこで浮気・不倫をしている可能性があるか
ということを明確にした上で、依頼することをおすすめします。
5章:証拠を集めたら行動を始めよう
さて、ある程度証拠を集めたら、次の行動に移る必要があります。
証拠を集めた後の行動としては、以下のものがあります。
①慰謝料を請求する
②離婚を請求する
③関係を再構築する
どの方法も、自分だけでやることもできなくはありません。しかし、①、②の場合は、自分だけで行おうとすると、
- 感情的になり、交渉が進まない
- 相手方の弁護士に言いくるめられ、あなたが損する形で終わらせられる
- 逆ギレした不倫相手から嫌がらせを受ける
- 本来請求できる額よりも、ずっと少ない慰謝料で妥協せざるを得なくなる
などの可能性があります。
そのため、できるだけ慰謝料請求に強い弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、
- 弁護士が代理人として交渉を進めるため、冷静に交渉を進めることができる
- 過去の判例を根拠に、相手に高額の請求をしたり、あなたに有利な条件での解決を見込める
- 手続きにかかる手間、時間を大幅に短縮できる。
というメリットがあります。
これらのポイントに注意することで、よりスムーズに浮気、不倫のトラブルを解決することができますので、万が一のためにしっかり覚えておいてください。
不倫トラブルを弁護士に依頼するメリットや、不倫の慰謝料請求に強い弁護士の選び方について詳しく知りたい方は、以下の記事も読んでみてください。
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もし、不倫の慰謝料相場について詳しく知りたい方は、以下の記事も読んでみてください。
まさか自分の家庭で・・不倫の慰謝料相場と増額・減額を左右する7つの要因とは
まとめ
いかがでしたか?
最後にもう一度、今回の内容を振り返ります。
【浮気・不倫で証拠を集める必要性】
- 自分からの離婚請求が認められやすい
- 相手からの離婚が認められにくい
- 慰謝料請求ができる
- 夫婦関係の再構築への利用
【裁判・交渉で不倫の証拠になるもの】
- 写真
- 録音した音声データや録画した撮影データ
- クレジットカードの利用明細、レシート
- Suica、PASMOなどの利用履歴
- メールや手紙
- Facebookやブログ
- 手帳、日記、メモ
- GPS
- 住民票の写し
- 妊娠、堕胎を証明できるもの
- 子どもの血液型
- 興信所や探偵の調査報告書
【裁判・交渉で不倫の証拠になりくいもの】
- 改ざんが疑われてしまうもの
①デジカメで撮られた写真や動画
②メールやLINEのスクリーンショットや文面をコピー&ペーストして保存したもの
③加工が可能な音声データ - 異性といつも出かけているという事実
- 違法に集めたもの(盗聴、盗撮、盗み見)
【自分で証拠を集めるポイント】
- できるだけ複数集める
- 継続的に集める
- 違法性が疑われにくい方法で集める
【興信所・探偵に依頼するポイント】
- 信頼できる興信所・探偵に依頼する
- あらかじめ日時や場所を指定する
適切な証拠を集めて、あなたが最大限有利な形で解決できるようにしていきましょう。
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