あなたの残業代は適正?ブラック企業を判断する残業時間の3つの基準
この記事を読んで理解できること
- 【残業時間別】ブラック企業度
- ブラック企業の基準となる年間休日数
- ブラック企業が残業時間をごまかす方法
- 残業代を正しく計算して、残業代をもらう方法を知ろう!
- まずは証拠集めが大切
「今日も残業か・・・こんなに働いてるのに残業代が出ないなんて・・・」
あなたも、毎日の残業で悩み、辛い思いをしながら働いていませんか?
毎日長い時間働くのは辛いですよね。
会社から言われたのなら、素直に従って働くしかない、残業はしょうがないことだと、あなたは諦めているかもしれません。
しかし、ブラック企業は、あなたに長時間残業をさせているにもかかわらず、様々な手口を駆使して残業代を支払わなくて済むようにあなたを騙しているのです。
例えば、人手不足を言い訳にして新しく人を増やさず、使いやすい社員をこき使ったり、管理職だからといって残業代を認めなかったりして人件費を削減しています。
しかし、どんな理由を付けたとしても正しい残業代を払わないのは違法です。
なぜなら、法律では1日8時間、週40時間を超えて働かせるのは原則違法であり、それを超えて働かせた残業時間に対しては適正に残業代を払わなければならないことになっているからです。
もし、あなたも残業代をごまかされているとしたら、今まで働かされてきた分のお金を取り戻したくはありませんか?
あなたはこの記事を読むことで、あなたの会社の残業時間が違法であるかどうか判断できます。
さらに、ブラック企業が残業代を支払わないようにするあらゆる巧妙な手口が理解でき、払ってもらうことができる残業代がどのくらいあるのか、それはどうしたら貰うことができるのか、行動に移すための方法を知ることができます。
ぜひ最後まで読んで、会社に都合良く使われないようになり、きちんと残業代を取り返す方法を理解してください。
目次
1章:【残業時間別】ブラック企業度
会社からは「残業はして当たり前のもの」という空気を作られているかもしれませんが、それは間違いです。
残業するのが当然ではありません。
これからブラック企業を見分けるための基本的な考え方と、3つの基準についてご紹介します。
1-1:1日8時間・週40時間を超えて働いた時間が残業時間
残業時間は、以下の2つのどちらか一方を超えた部分のすべてが当てはまります。
1. 1日の労働時間の8時間を超えた部分
例えば、始業時間が9:00で終業時間が18:00(休み時間1時間)の会社の場合、18:00を超えた時間がすべて残業時間になります。
2. 1週間の労働時間が40時間を超えた部分
月曜日〜金曜日の5日間、毎日9:00〜18:00まで働いたとすると、金曜日の18:00で1週間の労働時間の合計が40時間になります。そのため、土曜日に少しでも出勤すると40時間を超えるため、土曜日の労働時間のすべてが残業時間になります。
1と2のどちらか一方でも当てはまれば、その時間が残業時間になるのです。
そしてこれを超えた残業時間については、会社は残業代を払うことが法律で決められています。
そのため、どんな場合でもこれを超えた時間働かせて、残業代を支払わないのは違法なのです。
1-2:残業時間で分かるあなたの会社のブラック度
残業時間が発生する仕組みは理解できましたか?
それでは、これから残業時間からブラック企業を判断する3つの基準について解説します。
1-2-1:ブラック企業度★:1ヶ月の残業時間が45時間以上
あなたの会社の1ヶ月の残業時間が「45時間」を超えていた場合は、あなたの会社はブラック企業の疑いがあります。
実はほとんどの人が経験していると思われる残業ですが、原則的に労働時間は1日8時間、週40時間を超えてはならないと法律で決められています。
ただし、会社と従業員の間で「それ以上働いても良いよ」という協定が締結されている場合は、会社は従業員に「1日8時間、週40時間」を超えて働かせることができます。
この協定を「36協定」と言います。
しかし、36協定を結んでいても、下記の時間を超えて残業させられていた場合は違法です。
- 1週間に15時間
- 1ヶ月に45時間
毎日2時間ちょっと残業していた場合は、1ヶ月で45時間を超えてしまいますので、一度確認してみてください。
これを超えていた場合は、労働基準監督署の指導対象になります。
残業の違法性を判断するために、あなたが最初に確認しなければならないことは、以下の2点です。
- そもそもあなたの会社では36協定が結ばれているのかどうか
- 36協定を締結している場合、残業時間が45時間を超えていないか
ただし「臨時的な特別の事情」がある場合は、会社はあなたと上記の時間以上働かせても良いという協定を結ぶことができます。
これを「特別条項付き協定」といいます。
そのため、実際には「1ヶ月45時間」という限度をはるかに超えて働かせている会社がたくさんあるのです。
そこで、次に目安になるのが「過労死ライン」と言われる労働時間の限度の時間です。
1-2-2:ブラック企業度★★:1ヶ月の残業時間が80時間以上
あなたの会社の1ヶ月の残業時間が「80時間」を超えていた場合は、あなたの会社がブラック企業である可能性がかなり高いです。
なぜなら、残業時間「80時間」は、「過労死ライン」と言われているからです。
「過労死ライン」とは、厚生労働省の通達に基づいて目安とされている残業時間の基準のことです。
あなたがもしも働き過ぎで脳や心臓に疾患を抱えてしまった場合、その発症前の2ヶ月ないし6ヶ月にわたって、1ヶ月の残業時間が80時間を超えていれば、労災として認められる可能性が高いというのがこの基準です。
1-2-3:ブラック企業度★★★:1ヶ月の残業時間が100時間以上
あなたの会社の1ヶ月の残業時間が「100時間」を超えていた場合は、あなたの会社はブラック企業です。
この残業時間「100時間」は、残業時間80時間と同じく「過労死ライン」の基準とされています。
発症前の1ヶ月間に100時間を超える残業時間があった場合、仕事と発症との関連性が強いと判断され労災として認められる可能性が高いです。
この80時間、100時間というラインは厚生労働省の通達に基づいたもので、現在の労災認定の基準となっています。
つまり、月に80時間ないし100時間を超えて労働していた場合は、あなたの体が危険な状態に置かれることになると政府がみなしているのです。
一度自分の残業時間を計算してみてください。
これらの基準を超えていた場合は、かなり危険なブラック企業です。
2章:ブラック企業の基準となる年間休日数
ブラック企業では、残業時間が多いだけでなく、休みが取れないといった問題があります。
毎日の残業で疲れが貯まっていても、休日が少なくては体を癒すこともできず、身体的ストレスが増していくばかりです。
ここでは、ブラック企業の基準となる年間休日数と、ホワイト企業の基準となる年間休日数を比較していきます。
2-1:【ブラック】年間休日数が105日未満
ブラック企業の年間休日数の基準としては、105日未満となります。
1年は52週ですから毎週土日が休みの場合は、それだけで104日となるため、祝日や年末年始は休みなく出勤する形になります。
法律では「年間休日が●日以下は違法」といった決まりはありません。
しかし、労働時間の上限は、週40時間と定められているので、1年間の労働時間は、
52.14週 × 40時間 = 2085.6時間
となります。
さらに、1日に8時間を超えて労働させてはならないため、
2085.6時間 ÷ 8時間 = 260.7日
よって、1日8時間のフルタイムで働く場合、1年間の最大労働日数は260日となります。
そのため、1年365日から最大労働日数260日を引くと、1日8時間労働の場合における年間休日数の最低ラインは105日ということになります。
厚生労働省が発表している就労条件総合調査結果の概況によれば、労働者1人あたりの年間休日数の平均は107.0日となっています。
この数字より極端に少ないようであれば、ブラック企業の可能性が高いでしょう。
2-2:【ホワイト】年間休日数が125日以上
ホワイト企業の年間休日数の基準は、125日以上となります。
例えば、週休2日制で毎週土日を休むと104日になり、国民の祝日が16日(2022年)なので、カレンダー通りの休みが取れれば、年間休日数は120日になります。
さらに、年末年始休暇や夏季休暇などで5日が与えられた場合は、年間休日数は125日になります。
ブラック企業の年間休日数と比べた場合、1年間で20日も休日数が多いことになります。
3章:ブラック企業が残業時間をごまかす方法
こうした長時間労働を強いるブラック企業の多くは、残業時間をごまかして、適切な残業代を払ってない場合が多いです。
なぜなら、時間外労働をさせても、それに見合った残業代を全額支払ってしまうと、人件費が高額になり利益を出せなくなってしまうからです。
そこでブラック企業は、あなたのような従業員が分からないように、巧妙に残業時間をごまかす方法で、人件費を不当に抑え、利益を出そうとします。
主な方法としては、次のようなものがあげられます。
- サービス残業が当たり前の空気をつくる
- みなし残業を使って残業時間をごまかす
- 勤怠管理をせず残業時間をごまかす
- 残業は禁止していると主張する
- 名ばかり管理職にして残業代を払わない
- 個人事業主として外注して経費削減
- 裁量のないプログラマーに裁量労働制を適用して残業代を払わない
- 変形労働時間制を適用して残業代を払わない
- フレックスタイム制を適用して残業代を払わない
会社がこのようなやり方をとっている場合、残業代を取り戻せる可能性があります。
それぞれ解説していきます。
3-1:サービス残業が当たり前の雰囲気を作る
1.ブラック企業の手口
- 「残業するのは仕事のできないやつ」
- 「自分の仕事を時間内に終わらせられないのは自分の責任」
このような言葉でサービス残業を正当化し「サービス残業をすることが当たり前」という空気を作る手口があります。
この手口の悪質なところは、本人に対して「会社に貢献できてなくて申し訳ない」と思わせることです。
2.ブラック企業の意図
ブラック企業の意図は、「サービス残業が当たり前」と従業員に思わせて、人件費を抑えてあなたを安くこき使うことです。
サービス残業は違法なので、あなたには払われてない残業代をもらう権利があります。
3-2:みなし残業を使って残業時間をごまかす
1.ブラック企業の手口
- 「営業手当」「残業手当」「役職手当」などが残業代の代わりとして支払われていると言われている。
- 「基本給の中に45時間分の残業代3万円が含まれている」と言われている。
思い当たることはありませんか?
これは、みなし残業代(固定残業代)を使い、毎月一定の金額を払うだけで、会社が従業員を違法に働かせる手口です。
2.ブラック企業の意図
この手口には、あなたに残業代を払っているように見せかけておいて、実は残業代をごまかして人件費を抑えようとしています。
3-3:勤怠管理をせず残業時間をごまかす
1.ブラック企業の手口
- タイムカードがない
- 誰も労働時間を記録してない
- 給料はシフト表の通りにしか出ないが実働は異なる
これらに思い当たることがありませんか?
これはブラック企業が勤怠管理をわざと行わず、あえて証拠を残さないことで労働時間をごまかす手口です。
2.ブラック企業の意図
この手口には、労働時間をごまかすことで、賃金を不当に安く抑えようとしています。
3-4:残業は禁止していると主張する
1.ブラック企業の手口
残業を禁止にして
- 就業時間内に終わらないような量の仕事をあえてやらせる。
- 就業時間後の労働を黙認している。
これは建前上残業を禁止し、実際にはサービス残業をさせるブラック企業の手口です。
2.ブラック企業の意図
実際には残業しているのに、会社は「残業を指示してない」と言うのは、従業員から残業代を請求された時に「会社としては残業は強制してない、自分たちで自主的に残っていただけだから残業代は払えない」と主張するためなのです。
3-5:名ばかり管理職にして残業代を払わない
1.ブラック企業の手口
ブラック企業は、ほとんど一般社員と変わらない従業員に「店長」や、「課長」「部長」という役職をつけて、残業代ゼロで働かせようとします。
2.ブラック企業の意図
法律上、管理監督者にあたる人は、残業代を払わなくて良いということになっています。それを悪用して合法的に残業代ゼロで働かせようというのがブラック企業の意図です。
しかし、実は「店長」「課長」「部長」という役職がついているだけでは、法律上の管理監督者にはなりません。
つまり、役職をつけたから残業代を払わないというのはほとんどの場合で違法なのです。
さらに、昇進させることで本人の承認欲求や自己充足感を満たし、愛社精神や会社への帰属意識を高めることで、会社側の手口に一切の疑問を持たせないという点でも極めて悪質です。
3-6:個人事業主として外注して経費削減
1.ブラック企業の手口
会社から「雇用契約」ではなく「業務委託契約」を結ばされて、個人事業主として働かされる手口があります。
実際は、会社の事業所で会社の命令の下に拘束して働かせているのですが、見た目上は外注にしてしまうというのがこの手口です。
2.ブラック企業の意図
ブラック企業には以下のような意図があります。
- 残業代を払う必要がない
- 仕事に必要な経費を負担させることができる
- 報酬をいつでも大幅に下げられる
- 社員ではないのでボーナスを払う必要がない
- 会社の都合で契約をいつでも解除できる
- 休日に休ませる必要がない
- 社会保険、雇用保険、失業保険、労災保険に入らせずに済む
会社側は、雇用契約ではなく業務委託にすることで大幅な経費削減ができるため、このような手口を使うのです。
3-7:裁量のないプログラマーに裁量労働制を適用して残業代を払わない
1.ブラック企業の手口
システムエンジニアや弁護士、コピーライターなどの専門職に適用できる、「裁量労働制」を悪用してプログラマーを違法に働かせる手口があります。
「裁量労働制」とは、「仕事の自由度が高く、労働時間を会社が管理することが出来ないため、何時間働いても一定時間労働したものとみなす」という制度です。
この「裁量労働制」が適用される業務の中に「情報処理システムを開発する人」というものがあるため、上長の管理下で働かされているプログラマーも、裁量労働制が適用できる専門職とみなされて働かされていることがあります。
2.ブラック企業の意図
プログラマーに残業させたいが残業代を払いたくない
↓
プログラマーも裁量労働制が適用できることにして働かせる
↓
プログラマーに長時間残業させ、裁量労働制を理由に残業代を払わない
「裁量労働制」は、IT業界における「エンジニア」という言葉の曖昧さを利用して、残業代を払わずに社員をこき使うために行っている場合があるので注意が必要です。
3-8:変形労働時間制を適用して残業代を払わない
1.ブラック企業の手口
「うちは変形労働時間制を適用しているから、残業しても残業代は出ないんだ」そんなことを言われて、残業代が出なかったことはありませんか?
変形労働時間制とは、一定の期間内で特定の日に8時間を超えて働かせたり、特定の週に40時間を超えて働かせたりしても、残業代を出さなくて良いという制度です。
本来であれば、変形労働時間制は、変形期間、期間中の労働日とその所定労働時間等を定める必要があります。
しかし、ブラック企業では、そのようなことを定めずに、変形労働時間制を悪用した手口が使われることがあります。
2.ブラック企業の意図
ブラック企業にはこんな意図があります。
残業代を払いたくないので、変形労働時間制を適用する
↓
1日8時間または週40時間を超えて、従業員を労働させる
↓
変形労働時間制を理由に残業代を払わない
これも、従業員の無知を利用して残業時間をごまかそうとする、ブラック企業のやり方です。
3-9:フレックスタイム制を適用して残業代を払わない
1.ブラック企業の手口
「うちの会社はフレックスタイム制だから、残業代は発生しないよ」そんなことを言われて騙されていませんか?
フレックスタイム制とは、従業員が契約時間の中で始業時間と終業時間を自由に決めることができる制度です。
フレックスタイム制が採用されていれば、1ヶ月の労働時間のトータルが法定労働時間を超えてなければ、1日8時間、週40時間の労働時間を超えて働いた分も残業代にはなりません。
本来であれば、フレックスタイム制は、清算期間、総所定労働時間等を定める必要があります。
しかし、ブラック企業では、そのようなことを定めずに、フレックスタイム制を悪用して残業時間をごまかすことがあります。
2.ブラック企業の意図
ブラック企業にはこんな意図があります。
残業代を払いたくないため、フレックスタイム制で働かせる。
↓
従業員を長時間残業させて働かせる。
↓
従業員が残業代を要求しても「フレックスタイム制だから残業代は発生しない」と言い逃れする。
ブラック企業が残業時間や残業代をごまかすためにどんな手口を使っているのか、理解できたでしょうか。
これらの手口は、専門家が見れば違法とみなされる可能性が非常に高いです。
もし、1つでも思い当たることがあるなら、自分の働いた分の残業代を取り戻すために行動を起こすことをおすすめします。
次の章から、残業代を取り戻すための方法を解説します。
4章:残業代を正しく計算して、残業代をもらう方法を知ろう!
会社に残業代を払ってもらうためにあなたがやるべきことは、まず自分の残業代が大体いくらになるのか把握することです。
そして、以下の3つの方法のどれかで残業代を請求する行動を起こしましょう。
- 自分で請求する:おすすめ度★
- 労働基準監督署に申告する:おすすめ度★★
- 弁護士に相談する:おすすめ度★★★
特におすすめなのは、最も残業代を取り戻せる可能性が高い「弁護士に相談すること」です。
それでは、まずは計算方法から解説しましょう
4-1:自分の本当の残業代を計算してみよう!
残業代は、以下のような簡単な計算式で計算することができます。
残業代=基礎時給×割増率×残業時間
ここでの「残業時間」とは、第1章で説明したように「1日の労働時間の8時間を超える部分」もしくは「週の労働時間の40時間を超える部分」のことです。
「基礎時給」とは、あなたの時給のことです。
月給制で働いている人は、自分の月給を170で割ると自分の基礎時給を計算することができます。
※時給の計算について、詳しくは以下の記事を参照してください。
【図解】残業代の時給の計算方法と損しないために注意すべきポイント
「割増率」とは「1日8時間、週40時間」を超えた残業時間の時給にかけられるもので、中小企業の場合は以下の4つがあります。
- 通常の残業時間:1.25倍
- 法定休日(週1日は必ず休まなければならない日):1.35倍
- 通常の深夜残業(22:00〜翌朝5:00):1.5倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
それでは実際に計算してみましょう。
あなたの基礎時給が1,200円で、1ヶ月の残業時間が60時間、深夜や法定休日の残業がなかったとすると、1ヶ月の残業代は以下のように計算できます。
基礎時給1,200円×割増率1.25倍×残業時間60時間=9万円
残業代を2年分さかのぼって請求すると考えると、
9万円×24ヶ月=216万円
2年間の合計で、216万円ももらうことができます。
4-2:残業代をもらうための方法はこの2つ
自分の残業代がどれくらいになるか、計算できましたか?
では、どうすれば、ごまかされている残業代をもらうことができるでしょうか。
これから具体的な方法を解説します。
4-2-1:自分で請求する方法
まずは、自分で請求する方法を紹介します。
あなたも、まずは自分で請求してみようと思っているかもしれませんが、自分で請求する方法にはデメリットもあります。
【会社に自分で内容証明を送る:おすすめ度★】
残業代をもらうための方法として、まずは自分で会社に請求するという選択肢があります。
残業代の請求は3年間の時効があるため、時効を止めるために、請求書は「配達証明付き内容証明郵便」で出すのが確実です。
しかし、相手はさまざまな手口で残業代を払わないようにしようとするブラック企業ですので、請求書を届けたところですんなり払ってくれる可能性は低いでしょう。
そこで、次に労働基準監督署に申告する方法が考えられます。
【労働基準監督署に相談する:おすすめ度★★】
労働基準監督署に申告して労働基準監督署が動いてくれれば、労働基準監督署から会社へ「是正勧告」があり、会社が勧告に従わない場合は、逮捕に踏み切ることもあります。
しかし、全国の労働基準監督署は人員不足で、すべての申告をまともに相手にしてくれるわけではありません。
そのため、最も有効な方法は、残業代請求に強い弁護士に相談することです。
4-2-2:弁護士に依頼する-裁判になることは少ない
自分で内容証明を送る方法には「会社に相手にされない可能性がある」、労働基準監督署に相談する方法には「労働基準監督署が動いてくれないことがある」というデメリットがあることが分かります。
そこで、もっとも有効な方法が弁護士に依頼することです。
【弁護士への依頼:おすすめ度★★★】
弁護士に相談するというと
「裁判みたいな大事になるのはちょっと・・・」「費用だけで100万円くらいかかるのでは?」
と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、弁護士に頼む=裁判ではありません。
残業代請求のためにいきなり裁判になることは少なく、たいていは「交渉」や「労働審判」という形で会社に対して残業代を請求していきます。
【交渉】
「交渉」とは、弁護士が会社に対して請求書を送ったり、電話で残業代の督促をしたりすることです。
あなたが直接会社に行ったり、連絡をとったりする必要はなく、時間やお金の面での負担は少ないです。
【労働審判】
「労働審判」とは、交渉で解決しなかった時にとられる選択肢で、あなた側、会社側、裁判官の三者が裁判所の会議室のようなところに集まって話し合うものです。
最大3回まで話し合いが行われます。
ただし、あなたは1回目は参加する必要があるものの、弁護士に依頼すれば2回目以降は参加する必要がないことが多いです。
しかも、労働審判は裁判官を交えるため、会社に対して非常に強力な圧力になります。
【裁判】
これらの手段で解決できなかった時にとられるのが「裁判」です。
裁判は金銭的な負担が大きく、時間もかかってしまいますが、最近では「完全成功報酬制」を採用する事務所も増えています。
「完全成功報酬制」とは、相談料や着手金が無料で、実際に残業代が戻ってきたときに、回収できた残業代から報酬金を払うという制度です(ただし実費のみは発生する場合があります)。
残業代請求をする上で、実際に裁判になってしまうことは少ない上に、完全成功報酬制の事務所なら、あなたの金銭的負担も極めて低いのです。
まずは、相談してみると良いでしょう。
5章:まずは証拠集めが大切
残業代をもらうためには、まずは自分で証拠を集めることをおすすめします。
弁護士に依頼する場合でも、相談した後に証拠集めを弁護士にやってもらうこともできます。
しかし、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです。
そのため、これから紹介する「集めるべき証拠」をしっかりチェックしてください。
5-1:勤怠管理している会社で有効な証拠
証拠として有効なものには、以下のものがあります。
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠になるものがなくても、諦める必要はありません。
5-2:勤怠管理していない会社でも証拠集めできる
タイムカードを置いてなかったり、日報をつけないような勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、なければ一部でも構いません。
写真を撮ったりコピーをとったりして、できるだけ毎日記録を集めておきましょう。
5-3:証拠は必ず正確に取ろう
ただし、注意点があります。
勤怠管理してない会社なら、自分で記録したものも有効な証拠になるとお伝えしました。
そのとき、絶対に「ウソ」を書いてはいけません。
意図的に実際に働いた時間と異なることを書くと、それがばれてしまった時に、証拠の信用性が疑われて不利になってしまいますので、気をつけてください。
5-4:残業代がさかのぼってもらえるのは3年間
残業代請求の時効は「3年」と決められています。
つまり、3年よりも前の残業代は、もらえなくなってしまいます。
残業代をもらいたい場合は、早めに行動することがとても大事です。
まとめ:ブラック企業と残業
自分の会社がブラック企業なのかどうか、そして払われてない残業代はどうやったらもうらことができるのか、理解できたでしょうか?
最後にもう一度今回の内容を振り返ってみましょう。
- 1ヶ月45時間以上(ブラック企業の疑いあり)
- 1ヶ月80時間以上(ブラック企業の可能性が高い)
- 1ヶ月100時間以上(確実にブラック企業)
- サービス残業が当たり前の空気をつくる
- みなし残業を使って残業時間をごまかす
- 勤怠管理をせず残業時間をごまかす
- 残業は禁止していると主張する
- 名ばかり管理職にして残業代を払わない
- 個人事業主として外注して経費削減
- 裁量のないプログラマーに裁量労働制を適用して残業代を払わない
- 変形労働時間制を適用して残業代を払わない
- フレックスタイム制を適用して残業代を払わない
- 自分で請求する:おすすめ度★
- 労働基準監督署に申告する:おすすめ度★★
- 弁護士に相談する:おすすめ度★★★
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
残業代の時効は3年ですので、是非、今すぐに行動を起こすことをおすすめします。