
「今日も残業か・・・こんなに働いてるのに残業代が出ないなんて・・・」
あなたも、こんなことに悩み、辛い思いをしながら働いていませんか?
毎日長い時間働くのは辛いですよね。会社から言われたのなら、素直に従って働くしかない、残業はしょうがないことだと諦めているかもしれません。
しかし、残業代を支払わないブラック企業は、あなたに長時間残業をさせているにもかかわらず、様々な手口を駆使してあなたを騙しているのです。
しかし、どんな理由を付けたとしても正しい残業代を払わないのは違法です。法律では「1日8時間、週40時間を超えて働かせるのは違法」であり、それを超えて働かせた残業時間に対しては適正に残業代を払わなければならないことになっているからです。
もし、あなたも残業代をごまかされているとしたら・・・今まで働かされてきた分のお金を取り戻したくはありませんか?
あなたはこの記事を読むことで、あなたの会社の残業時間が違法であるかどうか判断できます。さらに、ブラック企業が残業代を支払わないようにするあらゆる巧妙な手口が理解でき、払ってもらうことができる残業代がどのくらいあるのか、それはどうしたらもらうことができるのか、行動に移すための方法を知ることもできます。
ぜひ最後まで読んで、会社に都合良く使われないようになり、きちんと残業代を取り返す方法を理解してください。
目次
第1章:あなたの会社がブラック企業なのか、残業時間から分かる!
会社からは「残業はして当たり前のもの」という空気を作られているかもしれませんが、それは間違いです。残業はするのが当然ではありません。
これからブラック企業を見分けるための基本的な考え方と3つの基準についてご紹介します。
1−1:1日8時間・週40時間を超えて働いた時間が残業時間
残業時間は、以下の2つのどちらか一方を超えた部分のすべてが当てはまります。
- 1日の労働時間の8時間を超えた部分
たとえば、始業時間が9:00で終業時間が18:00(休み時間1時間)の会社の場合、18:00を超えた時間がすべて残業時間になります。 - 1週間の労働時間が40時間を超えた部分
月曜日〜金曜日の5日間、毎日9:00〜18:00まで働いたとすると、金曜日の18:00で1週間の労働時間の合計が40時間になります。そのため、土曜日に少しでも出勤すると40時間を超えるため、土曜日の労働時間のすべてが残業時間になります。
1と2のどちらか一方でも当てはまれば、その時間が残業時間になるのです。そしてこれを超えた残業時間については、会社は残業代を払うことが法律で決められています。
そのため、どんな場合でもこれを超えた時間働かせて、残業代を支払わないのは違法なのです。
1−2:残業時間で分かるあなたの会社のブラック度
残業時間が発生する仕組みは理解できましたか?それでは、これから残業時間からブラック企業を判断する3つの基準について解説します。
1−2−1:ブラック企業度★:1ヶ月の残業時間が45時間以上
あなたの会社の1ヶ月の残業時間が「45時間」を超えていたら、あなたの会社はブラック企業の疑いがあります。
実はほとんどの人が経験していると思われる残業ですが、原則的に、労働時間は1日8時間、週40時間を超えてはならないと法律で決められています。
ただし、会社と従業員の間で「それ以上働いても良いよ」という協定が締結されている場合は、会社は従業員に「1日8時間、週40時間」を超えて働かせることができます。この協定を「36協定」と言います。
しかし、36協定を結んでいても、下記の時間を超えて残業させられていたら違法です。
- 1週間に15時間
- 1ヶ月に45時間
毎日2時間ちょっとも残業していたら、1ヶ月で45時間を超えてしまいますので、一度確認してみてください。これを超えていたら労働基準監督署の指導対象になります。
残業の違法性を判断するために、あなたが最初に確認しなければならないことは、以下の2点です。
- そもそもあなたの会社では36協定が結ばれているのかどうか
- 36協定を締結している場合、残業時間が45時間を超えていないか
ただし「特別な事情」がある場合は、会社はあなたと上記の時間以上働かせても良いという協定を結ぶことができます。これを「特別条項付き協定」といいます。
そのため、実際には「1ヶ月45時間」という限度をはるかに超えて働かせている会社がたくさんあるのです。
そこで、次に目安になるのが「過労死ライン」と言われる労働時間の限度の時間です。
1−2−2:ブラック企業度★★:1ヶ月の残業時間が80時間以上
あなたの会社の1ヶ月の残業時間が「80時間」を超えていたら、あなたの会社がブラック企業である可能性がかなり高いです。この「80時間」は「過労死ライン」と言われているからです。
「過労死ライン」とは、厚生労働省の通達に基づいて目安とされている残業時間の基準のことです。
あなたがもしも働き過ぎで脳や心臓に疾患を抱えてしまった場合、その発症前の2ヶ月ないし6ヶ月にわたって、1ヶ月の残業時間が80時間を超えていたら、労災として認められる可能性が高いというのがこの基準です。
1−2−3:ブラック企業度★★★:1ヶ月の残業時間が100時間以上
あなたの会社の1ヶ月の残業時間が「100時間」を超えていたら、あなたの会社はブラック企業です!この「100時間」も「過労死ライン」で設定されている基準です。
発症前の1ヶ月間に100時間を超える残業時間があった場合、労災として認められる可能性が高いという基準です。
つまり、月に80時間ないし100時間を超えて労働していた場合は、あなたの体が危険な状態に置かれることになると政府がみなしているのです。
一度自分の残業時間を計算してみてください。これらの基準を超えていたら、かなり危険なブラック企業です。
第2章:ブラック企業が残業時間をごまかす10の手口
こうした長時間労働を強いるブラック企業の多くは、残業時間をごまかして、適切な残業代を払ってない場合が多いです。
なぜなら、時間外労働をさせても、それに見合った残業代を全額支払ってしまうと人件費が高額になり利益を出せなくなってしまうからです。
そこでブラック企業は、あなたのような従業員が分からないように、巧妙に残業時間をごまかす手口を使って、人件費を不当に抑え、利益を出そうとします。
それが以下の10の手口です。
- サービス残業が当たり前の空気をつくる
- みなし残業を使って残業時間をごまかす
- 勤怠管理をせず残業時間をごまかす
- 残業は禁止していると主張する
- 名ばかり管理職にして残業代を払わない
- 自宅やカフェで残業させる
- 個人事業主として外注して経費削減
- プログラマーに裁量労働制を適用して残業代を払わない
- 変形労働時間制を適用して残業代を払わない
- フレックスタイム制を適用して残業代を払わない
これらの手口は違法であり、残業代を取り戻すことができる可能性が高いです。
それでは、まずはこれから10個の手口について、詳しく解説します。
2−1:サービス残業が当たり前の雰囲気を作る
1.ブラック企業の手口
- 「残業するのは仕事のできないやつ」
- 「自分の仕事を時間内に終わらせられないのは自分の責任」
このような言葉でサービス残業を正当化し「サービス残業をすることが当たり前」という空気を作る手口があります。
この手口の悪質なところは、本人に対して「会社に貢献できてなくて申し訳ない」と思わせることです。
2.ブラック企業の意図
ブラック企業の意図は、「サービス残業が当たり前」と従業員に思わせて、人件費を抑えてあなたを安くこき使うことです。サービス残業は違法なので、あなたには払われてない残業代をもらう権利があります。
2−2:みなし残業を使って残業時間をごまかす
1.ブラック企業の手口
- 「営業手当」「残業手当」「役職手当」などが残業代の代わりとして支払われていると言われている。
- 「基本給の中に45時間分の残業代3万円が含まれている」と言われている。
思い当たることはありませんか?
これは、みなし残業代(固定残業代)を使い、毎月一定の金額を払うだけで、会社が従業員を違法に働かせる手口です。
2.ブラック企業の意図
この手口には、あなたに残業代を払っているように見せかけておいて、実は残業代をごまかして人件費を抑えようとする、ブラック企業の意図があります。
2−3:勤怠管理をせず残業時間をごまかす
1.ブラック企業の手口
- タイムカードがない
- 誰も労働時間を記録してない
- 給料はシフト表の通りにしか出ないが実働は異なる
これらに思い当たることがありませんか?これはブラック企業が勤怠管理をわざと行わず、あえて証拠を残さないことで労働時間をごまかす手口です。
2.ブラック企業の意図
この手口には、労働時間をごまかすことで賃金を不当に安く抑えようとするブラック企業の意図があります。
2−4:残業は禁止していると主張する
1.ブラック企業の手口
- 就業時間内に終わらないような量の仕事をあえてやらせる。
- 就業時間後の労働を黙認している。
これは建前上残業を禁止し、実際には残業させるブラック企業の手口です。
2.ブラック企業の意図
実際には残業しているのに、会社は「残業を指示してない」と言うのは、従業員から残業代を請求された時に「会社としては残業は強制してない、自分たちで自主的に残っていただけだから残業代は払えない」と主張するためなのです。
2−5:名ばかり管理職にして残業代を払わない
1.ブラック企業の手口
ブラック企業は、ほとんど一般社員と変わらない従業員に「店長」や、「課長」「部長」という役職をつけて、残業代ゼロで働かせようとします。
2.ブラック企業の意図
法律上、「管理監督者」にあたる人は、残業代を払わなくて良いということになっています。それを悪用して合法的に残業代ゼロで働かせようというのがブラック企業の意図です。
しかし、実は「店長」「課長」「部長」という役職がついているだけでは、法律上の「管理監督者」にはなりません。
つまり、役職をつけたから残業代を払わないというのはほとんどの場合で違法なのです。
さらに、昇進させることで本人の承認欲求や自己充足感を満たし、愛社精神や会社への帰属意識を高めることで、会社側の手口に一切の疑問を持たせないという点でも極めて悪質です。
2−6:自宅やカフェで残業させる
1.ブラック企業の手口
タイムカードを切らせた上で自宅作業を強要することで、 自宅やカフェなどで作業させ、 社員を違法に働かせる手口があります。
2.ブラック企業の意図
ブラック企業にはこんな意図があります。
- 社員が残業していた記録を残したくない
↓ - 解決策として、自宅やカフェなどの社外で作業させれば良い
↓ - 定時で社員を強制的に退社させる + 仕事量はそのまま
↓ - 業務時間外に会社の外で働くよう仕向ける
この手口の意図は、もし、社員や弁護士などから残業代を請求された時、「会社から残業の指示は一切していない」「自宅での作業は、あくまで自主的な活動だから残業代は発生しない」と主張するためです。
2−7:個人事業主として外注して経費削減
1.ブラック企業の手口
会社から「雇用契約」ではなく「業務委託契約」を結ばされて、個人事業主として働かされる手口があります。
実際は、会社の事業所や在宅などで会社の命令の下に拘束して働かせているのですが、見た目上は外注にしてしまうというのがこの手口です。
2.ブラック企業の意図
ブラック企業には以下のような意図があります。
- 残業代を払う必要がない
- 仕事に必要な経費を負担させることができる
- 報酬をいつでも大幅に下げられる
- 社員ではないのでボーナスを払う必要がない
- 会社の都合で契約をいつでも解除できる
- 休日に休ませる必要がない
- 社会保険、雇用保険、失業保険、労災保険に入らせずに済む
会社側は、雇用契約ではなく業務委託にすることで大幅な経費削減ができるため、このような手口を使うのです。
2−8:プログラマーに裁量労働制を適用して残業代を払わない
1.ブラック企業の手口
システムエンジニアや弁護士、コピーライターなどの専門職に適用できる、 「裁量労働制」を悪用してプログラマーを違法に働かせる手口があります。
「裁量労働制」とは、「仕事の自由度が高く、労働時間を会社が管理することが出来ないため、何時間働いても一定時間労働したものとみなす」という制度です。
この「裁量労働制」が適用される業務の中に「情報処理システムを開発する人」というものがあるため、上長の管理下で働かされているプログラマーも、裁量労働制が適用できる専門職とみなされて働かされていることがあります。
2.ブラック企業の意図
- プログラマーに残業させたいが残業代を払いたくない
↓ - プログラマーも裁量労働制が適用できることにして働かせる
↓ - プログラマーに長時間残業させ、裁量労働制を理由に残業代を払わない
「裁量労働制」は、IT業界における「エンジニア」という言葉の曖昧さを利用して、「残業代を払わずに社員をこき使うための手口」である場合があるので注意が必要です。
2−9:変形労働時間制を適用して残業代を払わない
1.ブラック企業の手口
「うちは変形労働時間制を適用しているから、残業しても残業代は出ないんだ」そんなことを言われて、残業代が出なかったことはありませんか?
変形労働時間制とは、一定の期間内で特定の日に8時間を超えて働かせたり、特定の週に40時間を超えて働かせたりしても、残業代を出さなくて良いという制度です。そのため、これを悪用した手口が使われることがあります。
2.ブラック企業の意図
ブラック企業にはこんな意図があります。
- 残業代を払いたくないので、変形労働時間制を適用する
↓ - 1日8時間または週40時間を超えて、従業員を労働させる
↓ - 変形労働時間制を理由に残業代を払わない
これも、従業員の無知を利用して残業時間をごまかそうとするブラック企業の意図があるのです。
2−10:フレックスタイム制を適用して残業代を払わない
1.ブラック企業の手口
「うちの会社はフレックスだから、残業代は発生しないよ」そんなことを言われて騙されていませんか?
フレックスタイム制とは、従業員が契約時間の中で始業時間と終業時間を自由に決めることができる制度です。
フレックスタイム制が採用されていれば、1ヶ月の労働時間のトータルが法定労働時間を超えてなければ、1日8時間、週40時間の労働時間を超えて働いた分も残業代にはなりません。これを悪用して残業時間をごまかす手口が使われます。
2.ブラック企業の意図
ブラック企業にはこんな意図があります。
- 残業代を払いたくないため、フレックスタイム制で働かせる。
↓ - 従業員を長時間残業させて働かせる。
↓ - 従業員が残業代を要求しても「フレックスタイム制だから残業代は発生しない」と言い逃れする。
ブラック企業が残業時間や残業代をごまかすためにどんな手口を使っているのか、理解できたでしょうか。これらの手口は、専門家が見れば違法とみなされる可能性が非常に高いです。
もし、1つでも思い当たることがあるなら、自分の働いた分の残業代を取り戻すために行動を起こすことをおすすめします。
次の章から、残業代を取り戻すための方法を解説します。
第3章:残業代を正しく計算して、残業代をもらう方法を知ろう!
会社に残業代を払ってもらうためにあなたがやるべきことは、まず自分の残業代が大体いくらくらいになるのか把握することです。
そして、以下の3つの方法のどれかで残業代を請求する行動を起こしましょう。
- 自分で請求する:おすすめ度★
- 労働基準監督署に申告する:おすすめ度★★
- 弁護士に相談する:おすすめ度★★★
特におすすめなのは、最も残業代を取り戻せる可能性が高い「弁護士に相談すること」です。それでは、まずは計算方法から解説しましょう
3−1:自分の本当の残業代を計算してみよう!
残業代は、以下のような簡単な計算式で計算することができます。
残業代=基礎時給×割増率×残業時間
ここでの「残業時間」とは、第1章で説明したように「1日の労働時間の8時間を超える部分」もしくは「週の労働時間の40時間を超える部分」のことです。
「基礎時給」とは、あなたの時給のことです。月給制で働いている人は、自分の月給を170で割ると自分の基礎時給を計算することができます。
※時給の計算について、詳しくは以下の記事を参照してください。
残業代の時給をごまかす「3つの手口」と残業代の「正しい計算方法」
「割増率」とは「1日8時間、週40時間」を超えた残業時間の時給にかけられるもので、中小企業の場合は以下の4つがあります。
- 通常の残業時間:1.25倍
- 法定休日(週1日は必ず休まなければならない日):1.35倍
- 通常の深夜残業(22:00〜翌朝5:00):1.5倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
それでは実際に計算してみましょう。
あなたの基礎時給が1,200円で、1ヶ月の残業時間が60時間、深夜や法定休日の残業がなかったとすると、1ヶ月の残業代は以下のように計算できます。
基礎時給1,200円×割増率1.25倍×残業時間60時間=9万円
残業代は2年間までさかのぼって請求することができますので、
9万円×24ヶ月=216万円
2年間の合計で最大216万円ももらうことができるのです。
3−2:残業代をもらうための方法はこの2つ
自分の残業代がどれくらいになるか、計算できましたか?では、どうすれば、ごまかされている残業代をもらうことができるでしょうか。これから具体的な方法を解説します。
3−2−1:自分で請求する方法
まずは、自分で請求する方法をご紹介します。あなたも、まずは自分で請求してみようと思っているかもしれませんが、自分で請求する方法にはデメリットもあります。詳しく見てみましょう。
【会社に自分で内容証明を送る:おすすめ度★】
残業代をもらうための方法として、まずは自分で会社に請求するという選択肢があります。残業代の請求は2年間の時効があるため、時効を止めるために、請求書は「配達証明付き内容証明郵便」で出すのが確実です。
しかし、相手はさまざまな手口で残業代を払わないようにしようとするブラック企業ですので、請求書を届けたところですんなり払ってくれる可能性は低いでしょう。
そこで、次に労働基準監督署に申告する方法が考えられます。
【労働基準監督署に相談する:おすすめ度★★】
労働基準監督署に申告して労働基準監督署が動いてくれれば、労働基準監督署から会社へ「是正勧告」があり、会社が勧告に従わない場合は、逮捕に踏み切ることもあります。
しかし、全国の労働基準監督署は人員不足で、すべての申告をまともに相手にしてくれるわけではありません。そのため、もっとも有効な方法は、残業代請求に強い弁護士に相談することです。
3−2−2:弁護士に依頼する−裁判になることは少ない
自分で内容証明を送る方法には「会社に相手にされない可能性がある」、労働基準監督署に相談する方法には「労働基準監督署が動いてくれないことがある」というデメリットがあることが分かります。
そこで、もっとも有効な方法が弁護士に依頼することです。
【弁護士への依頼:おすすめ度★★★】
弁護士に相談するというと「裁判みたいな大事になるのはちょっと・・・」「何十万もかかるんじゃ?」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、弁護士に頼む=裁判ではありません。
残業代請求のためにいきなり裁判になることは少なく、たいていは「交渉」や「労働審判」という形で会社に対して残業代を請求していきます。
【交渉】
「交渉」とは、弁護士が会社に対して請求書を送ったり、電話で残業代の督促をしたりすることです。あなたが直接会社に行ったり、連絡をとったりする必要はなく、時間やお金の面での負担は少ないです。
【労働審判】
「労働審判」とは、交渉で解決しなかった時にとられる選択肢で、あなた側、会社側、裁判官の三者が裁判所の会議室のようなところに集まって話し合うものです。最大3回まで話し合いが行われます。ただし、あなたが参加する必要があるのは1回目のみで、それ以降は参加する必要がないことが多いです。
しかも、労働審判は裁判官を交えるため、会社に対して非常に強力な圧力になります。
【裁判】
これらの手段で解決できなかった時にとられるのが「裁判」です。裁判は金銭的な負担が大きく、時間もかかってしまいますが、最近では「完全成功報酬制」を採用する事務所も増えています。「完全成功報酬制」とは、相談料や着手金が無料で、実際に残業代が戻ってきたときに、回収できた残業代から報酬金を払うという制度です(ただし実費のみは発生する場合があります)。
残業代請求をする上で、実際に裁判になってしまうことは少ない上に、完全成功報酬制の事務所なら、あなたの金銭的負担も極めて低いのです。まずは相談してみると良いでしょう。
第4章:まずは証拠集めからはじめよう!
さて、残業代をもらうためには、まずは自分で証拠を集めることをおすすめします。弁護士に依頼する場合でも、相談した後に証拠集めを弁護士にやってもらうこともできます。しかし、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです。
そのため、これから紹介する「集めるべき証拠」をしっかりチェックしてください。
4−1:勤怠管理している会社で有効な証拠
証拠として有効なものには、以下のものがあります。
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠になるものがなくても、諦める必要はありません。
4−2:勤怠管理していない会社でも証拠集めできる
タイムカードを置いてなかったり、日報をつけないような勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
できるだけ2年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまわないので、写真にとったりコピーをとったりして、できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
4−3:証拠は必ず正確に取ろう
ただし、注意点があります。勤怠管理してない会社なら、自分で記録したものも有効な証拠になるとお伝えしました。
そのとき、絶対に「ウソ」を書いてはいけません。
意図的に実際に働いた時間と異なることを書くと、それがばれてしまった時に、証拠の信用性が疑われて不利になってしまいますので、気をつけてください。
4−4:残業代がさかのぼってもらえるのは2年間
残業代請求の時効は「2年」と決められています。つまり2年よりも前の残業代分はもらえなくなってしまいます。
残業代をもらいたい場合は、早めに行動するのがとても大事です。
まとめ
自分の会社がブラック企業なのかどうか、そして払われてない残業代はどうやったらもうらことができるのか、理解できたでしょうか?
最後にもう一度今回の内容を振り返ってみましょう。
【ブラック企業と判断できる3つの基準】
- 1ヶ月45時間以上(ブラック企業の疑いあり)
- 1ヶ月80時間以上(ブラック企業の可能性が高い)
- 1ヶ月100時間以上(確実にブラック企業)
【ブラック企業の残業時間をごまかす手口】
- サービス残業が当たり前の空気をつくる
- みなし残業を使って残業時間をごまかす
- 勤怠管理をせず残業時間をごまかす
- 残業は禁止していると主張する
- 名ばかり管理職にして残業代を払わない
- 自宅やカフェで残業させる
- 個人事業主として外注して経費削減
- プログラマーに裁量労働制を適用して残業代を払わない
- 変形労働時間制を適用して残業代を払わない
- フレックスタイム制を適用して残業代を払わない
【残業代をもらうためにとるべき3つの行動】
- 自分で請求する:おすすめ度★
- 労働基準監督署に申告する:おすすめ度★★
- 弁護士に相談する:おすすめ度★★★
【集めるべき証拠】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
残業代の時効は2年ですので、是非、今すぐに行動を起こすことをおすすめします。