
「うちの職場もブラックな気がするけど、どうやって判断すれば良いのか分からない・・・」
あなたも、そう思ったことがありませんか?
自分の会社がブラックなのかどうか判断できない。そんな悩みを持つのは、あなただけではありません。
ブラック企業は、こんなことを言ってあなたを都合良く使おうとしています。
では、自分がいるのがブラック企業なのかどうかどうやって判断すれば良いのでしょうか。それは、この記事で紹介するブラック企業のパターンを見れば分かります!
政府が毎月発表しているブラック企業のリストを見ると、ブラック企業の手口のパターンが分かり、それらがブラック企業の判断基準になるからです。
もし、あなたの会社もブラック企業だと分かったらどうしますか?
この記事を読めば、自分がいるのがブラック企業なのかどうか分かるだけでなく、その環境から脱出するためにどんな行動をすれば良いのか分かります。
最後までしっかり読んで、今の環境から脱出するための第一歩を踏み出してください!
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
ブラック企業には下記のような特徴があります。
■ブラック企業の特徴
- 異常な長時間労働をさせる
- 給料や残業代を払わない
- 危険な状況で作業させる
- 労働災害をごまかす
- 大量に採用して入社後も激しく競争させる
- パワハラで精神的に追い込む
- 不当な出向や異動で都合の良いようにこき使う
- 名ばかり管理職にして残業代をゼロにする
- 辞めさせずに搾取し続ける
上記の特徴に少しでも当てはまる場合は、下記のような対処法を始めることをおすすめします。
■ブラック企業に勤めている場合の対処法
- 証拠集め
タイムカードや業務日報、残業時間を記録したメモ、メールのコピーや録音などの有効な証拠を集める - 労働基準監督署に申告
労働環境の改善などを行政に訴えたい場合。 - 弁護士へ依頼
会社に残業代や慰謝料を請求して確実に解決したい場合。
第1章:ブラック企業の定義とは?
実はブラック企業について、政府は定義していません。
しかし、厚生労働省が毎月ブラック企業のリストを公表しており、それを見るとどんな会社が政府からブラック企業とみなされているのかよく分かります。
公表されている会社は、2016年10月1日以降に労働基準関連法に違反した会社で、その数は332社もあります。
このリストからブラック企業の特徴をまとめてみました。特徴は以下の4つです。
- 異常な長時間労働をさせる
- 給料や残業代を払わない
- 危険な状況で作業させる
- 労働災害をごまかす
さらに、政府はブラック企業として取り上げてないものの、特有の手口で従業員を圧迫する会社がたくさん存在します。
政府が把握してない、ブラック企業のグレーな特徴としては以下の5つがあります。
- 大量に採用して入社後も激しく競争させる
- パワハラで精神的に追い込む
- 不当な出向や異動で都合の良いようにこき使う
- 名ばかり管理職にして残業代を払わない
- 辞めさせずに搾取し続ける
これらの手口を従業員が入社してから辞めるまで継続して行い、従業員を安くこき使い、自分たちだけが儲けようとするのがブラック企業なのです。
それでは、詳しく解説していきます。
1−1:政府が発表!ブラック企業の特徴まとめ
政府の発表しているブラック企業のリストから、ブラック企業の特徴を以下の4つのパターンに分けることができます。1つずつ解説します。
1−1−1:異常な長時間労働をさせる
政府の公表しているリストには、長時間労働に関する事例が数十件あり、それらは以下の2つのケースに分けられます。
- 会社側と従業員が「残業時間は最大○時間までにしますよ」という協定(36協定)を結んだにもかかわらず、会社がそれを破って長時間働かせた。
- そもそも残業時間に関する協定(36協定)自体結ばずに、長時間残業させた。
36協定を結ばずに長時間労働をさせることは違法ですし、協定を結んでいても協定で決めた時間以上を働かせることは違法です。
【コラム】「36協定」とは?
36協定とは、労働組合と会社が労働時間について結ぶ協定のことです。
原則的に1日8時間、週40時間のどちらかを超える時間働かせると違法になりますが、36協定を結ぶことで、「残業代を払えば、法律で決められた労働時間を超えて労働させて良い」ということになります。
1−1−2:給料や残業代を払わない
給料や残業代に関する事例は332件中100件以上あります。それらの事例は以下の3つに分けられます。
- 定期賃金の未払い
そもそも給料そのものを払ってなかったというもっとも悪質なものです。もしあなたも給料が未払いになっていたら、一刻も早く行動を起こす必要があります。 - 払った賃金が最低賃金以下
給料は払っていたがそれが最低賃金以下だったというものです。給料が月給の場合は、その給料を「170時間」で割った金額が、だいたいの基礎時給になります。あなたも、あなたの会社があるところの最低賃金はどのくらいなのか調べてみてください。 - 残業代の未払い
残業代を残業手当などの「みなし残業代(固定残業代)」で払っていたが、それが残業させた時間に見合ってなかったというものです。
みなし残業について、詳しくは以下の記事を参照してください。
【みなし残業・年俸制はほとんど違法】社員をこき使いまくるブラック企業の7つの手口
自分は大丈夫と思っているあなたも、気付かないうちに会社から安くこき使われている可能性があるのです。
1−1−3:危険な状況で作業させる
政府の公表する事例の中でもっとも多いのが、従業員の安全を確保せずに作業を行っていた事例です。たとえば、代表的な例として以下のようなものがあります。
- 高さ6.8mの屋根の端に手すり等を設けることなく請負人の労働者に作業を行わせた。
- 食品加工用圧縮機に覆い、囲い等を設けることなく労働者に作業を行わせた。
- トラクター・ショベルの運転を無資格の労働者に行わせた。
あなたも危険な現場で働かせられたり、無資格なのに資格が必要な労働をさせられたりしていませんか?もしそんな経験があったら、あなたの会社もブラック企業です。
1−1−4:労働災害をごまかす
「労働災害」いわゆる「労災」について、中にはこんな事例もありました。
- 労働災害の発生状況を偽った報告書を労働基準監督署提出した
- 労働災害について、報告書を提出しなかった
労働災害を正しく報告しないことは違法ですので、あなたも思い当たる経験があったら、あなたの会社はブラック企業である可能性があります。
1−2 :政府も知らないブラック企業の特徴まとめ
ここまで紹介したものは政府がブラック企業とみなしている会社のもつ特徴です。しかし、実は政府が明確にブラック企業とみなしてないケースが存在します。それが分かる5つの特徴をご紹介します。
1−2−1:大量採用と入社後の苛烈な競争
ブラック企業の大きな特徴に、必要以上に「大量採用」することがあります。
そして、従業員を大量に入社させる手口として、以下のようなものが使われます。
- 求人時、残業代を含む給料を基本給であるかのよう載せて、採用時の給料を大きく見せる。
- 正社員として募集しているが、さまざまな理屈を使って契約社員として契約させる。
さらに、採用後も社内で苛烈な競争を作り出して、「使える人間」のみを残して辞めさせる、という手段も使われます。
ブラック企業は採用から辞めさせるまで、継続して従業員をこき使うテクニックを持っているのです。
1−2−2:パワハラで精神的に追い込む
採用した従業員に対して、パワハラをするブラック企業も多いです。パワハラは、従業員を自分から辞めさせるために行われることがあります。
例えば、以下のように使われます。
- 人格を否定する言葉を繰り返して従業員を精神的に追い込む
- とても達成できないような目標設定や、無理な課題を与える
- うつ病や適応障害になった従業員に退職を促す。
従業員には自分から辞めてもらった方が会社としては都合が良いため、パワハラをして従業員が自分から辞めるように追い込んでいくのです。
1−2−3:不当な出向・異動で都合良く使う
さらに、不当な出向や配置転換を命じられる手口もあります。例えば以下のようなケースがあります。
- 退職勧奨を拒否したら、遠い地方の営業所への配置転換を命じられた。
- 給料が大きく下がり、通勤時間も長くなる子会社への出向を命じられた。
意味のない配置転換や出向は拒否することができますし、違法である場合があります。
1−2−4:名ばかり管理職で残業代をゼロにする
ブラック企業が人件費を抑えるために使うのが、従業員を「名ばかり管理職」にしてしまう手口です。
法律上「管理監督者」という、いわゆる管理職にあたる人に対しては、残業代を払う必要がありません。
ブラック企業はこれを悪用して、ただの従業員を役職付きにすることで、残業代を払わないようにしようとするのです。
ほとんどの管理職扱いされている人は「名ばかり管理職」で、残業代がもらえないのは違法です。残業代をもらう権利を持っています。
詳しくは以下の記事を参照してください。
弁護士が「名ばかり管理職」を解説「管理職だから残業代無し」は違法
1−2−5:辞めさせずに搾取し続ける
さきほど、パワハラで辞めさせようとする手口を紹介しましたが、それとは逆に「辞めさせない」手口もあります。
例えば、以下のようなケースがあります。
- 「お前を雇うのにいくらかかっているんだ」と言われる。
- 「後続が決まらないと辞められない」と言われる。
- 無理矢理辞めようとしても離職手続きを進めない。
- 「お前が辞めて出た分の損失は請求する」と損害賠償請求をにおわせて脅される。
こうして、辞めてしまうギリギリまで都合の良いようにこき使うのがブラック企業のやり方なのです。
政府が公表している事例からまとめた4つの特徴と、それ以外の5つの特徴をご紹介しましたが、1つでも当てはまるものはありましたか?
もし当てはまれば、あなたがいるのがブラック企業である可能性が高いです!
その環境を抜け出すためには、これから紹介する方法で、すぐに行動を起こすことをおすすめします。
それでは、詳しく解説します。
第2章:うちはブラックかも?と思ったときにとるべき2つの手段
あなたがブラック企業にいて、会社に対して残業代や慰謝料を請求したい場合や、労働環境を変えさせたい場合、とるべき行動は以下の2つです。
- 労働基準監督署に申告する
- 弁護士に依頼する
特に、労働問題に強い弁護士に相談すると、残業代をもらえる可能性が高くなり、手間もかからないためおすすめです。
それでは、1つずつ解説していきます。
2−1:まずは労働基準監督署に申告する
あなたの職場で、これまでに説明してきたような違法な行為があった場合、まずは労働基準監督署に申告するという選択肢もあります。
労働基準監督署は労働基準法に違反している疑いのある会社を捜査することができるというとても大きな権限を持っているからです。
労働基準監督署に申告した場合、以下のような展開があります。
会社に知られたくない場合は、匿名での調査を依頼するもできます。
ただし、労働基準監督署に申告すれば必ず調査や是正勧告をしてくれるわけではありません。申告によっては後回しにされることもあり、調査すらされない可能性もあります。
また、パワハラや不当解雇で「慰謝料を請求したい」などのケースには介入してくれません。
そこでおすすめなのが、労働問題に強い弁護士に依頼することです。
2−2:おすすめは弁護士に依頼すること
「弁護士へ依頼」というと、「訴訟」「裁判」など大げさなものをイメージする人が多いかもしれません。「何十万円もかかるんでしょ?」と思っている人もいるでしょう。
しかし、実際にはほとんどが裁判にならずに解決されますし、費用も抑えて依頼できます。
弁護士に依頼した場合の展開は、以下のようになります。
2−2−1:交渉のイメージ
交渉は、弁護士が会社との間に入って、残業代の請求の場合はその請求書面を送ったり、電話で回収の督促をしたりします。不当解雇などの場合も同じです。弁護士が会社との間に入って、和解に持ち込みます。
交渉であれば、時間やお金の面での負担が少なくて済みます。
あなたからすると、普段通りの生活をしながら、ときどき弁護士と連絡をとって、数ヶ月後には和解金が自分の口座に振り込まれているというイメージです。
半分くらいは交渉で解決でき、手軽に解決することができます。
2−2−2:労働審判のイメージ
労働審判は、交渉で解決できなかったときに用いられることが多いです。
イメージとしては、裁判所を利用して、労働者側、会社側、裁判官の三者がそろって話し合うというものです。
裁判所に行くのですが、行く回数は少なければ1回、最大でも3回までです。裁判所の中の会議室のようなところで、裁判官に「こんな風に働かされたんです」と伝え、中立的な立場で裁判官が判決を決めます。
裁判官の判断には会社側もおとなしく従うことが多いです。
裁判所に支払うお金も安く設定されていますし、労働審判での結果をもとに会社の財産を差し押さえることもできるため、会社に対しては大きな圧力になります。
しかも、労働審判の解決率は80%にもなります。
(出典:厚生労働省 透明かつ国政名労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会 資料「労働審判制度について」)
それでも解決されない場合に、裁判に入ることになるのです。
2−2−3:訴訟のイメージ
労働審判は短い期間で裁判官が判断するため、ざっくりとした判断しかされません。そこで、もっと厳格な判断を仰ぎたい場合は訴訟を利用します。
訴訟のメリットは、残業代請求の場合は、残業代について年6%または14.6%の遅延損害金も含めて請求できるため、受け取る額も大きくなる点です。
残業代請求以外のケースでも、労働審判では解決できないような複雑な事案を解決することができたり、不当解雇の場合は、訴訟で判決が出るまでの間の給料を会社に出させる制度「賃金仮払い仮処分」の申立てができるというメリットがあります。
ただし、訴訟は時間が1年以上かかることが多く、その間の費用を弁護士に払い続けるので、金銭的・時間的負担が大きいです。
また、必ず勝てる保障もありませんし、結局和解で終わることも多いです。
そのため、訴訟までを考えるのであれば、着手金無料の弁護士事務所や、実際に残業代を回収できたときにその回収できた額から弁護士費用を払うという、「完全成功報酬制」をとる弁護士に依頼することがおすすめです。
第3章:まずは証拠集めからはじめよう
さて、労働基準監督署に申告する場合も弁護士に頼む場合も、まずは証拠を集めることをおすすめします。有効な証拠を集めることが、会社からお金をもらうためのもっとも大事なことだからです。
そして、有効な証拠は会社にさせたい対応の種類によって違います。あなたのやりたい行動に適した証拠を集めることがとても大事なのです。
それでは、まずは残業代をもらうために集めるべき証拠からお伝えします。
3−1:残業代を払ってもらうための証拠
残業代を払ってもらうため、また長時間労働やサービス残業を申告するために、証拠として有効なものには以下のものがあります。
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠になるものがなくても、諦める必要はありません。
タイムカードを置いてなかったり、日報をつけない、勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
できれば3年分の証拠を集めることが望ましいですが、それが無理なら半月分でもかまわないので、写真にとったりコピーをとったりして、できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
3−2:パワハラ、不当な扱いを受けたときに集めるべき証拠
パワハラや不当な解雇を受けた場合、以下のような証拠が必要になります。
3−2−1 不当解雇の証拠
解雇が不当なことを証明するための証拠は、会社の言う解雇理由によって異なります。
- 整理解雇の場合
会社の業績が極端に悪化してないことを示す証拠、自分が解雇された後に会社が新しく社員を募集していたことを示す求人票など。 - 能力不足を理由にした解雇
営業成績を示す表の写真、自分が担当して作った成果物など。 - 病気を理由にした解雇
病気がちでも働くことには問題がないことを示す診断書。 - 懲戒解雇
解雇理由を詳しく確認できる「懲戒解雇理由証明書」。
不当解雇に関して詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。
3−2−2:パワハラの証拠
会社の上司などからパワハラを受けていた場合、以下のようなものを証拠として残しておくことが重要です。
- 暴力を受けて怪我した場合
医師の診断書 - 暴言を受けていた場合
ICレコーダー、スマホなどによる録音、メールを印刷したもの、パワハラを受けた日時や内容について詳細に記録したメモ
ただし、パワハラは客観的に証明することが難しいです。労災として認定されるのは30%程度、慰謝料を請求してももらえるのは30万円前後が一般的のようです。
ただ、そのような会社は残業代もごまかしている可能性が高いです。そのため、慰謝料請求よりも残業代の請求でお金をとる方が確実です。
証拠は正確なものがたくさんあるほど有効ですので、今の会社を辞めてしまう前に、少しずつコツコツと集めて、会社からお金を取り戻しましょう!
まとめ:ブラック企業の定義
ブラック企業の特徴や、自分の会社がブラックだったときに脱出する方法についてご紹介しましたが、理解することができたでしょうか?
今回学んだことを忘れないために、もう一度ポイントを振り返りましょう。
ブラック企業の特徴
- 異常な長時間労働をさせる
- 給料や残業代を払わない
- 危険な状況で作業させる
- 労働災害をごまかす
- 大量に採用して入社後も激しく競争させる
- パワハラで精神的に追い込む
- 不当な出向や異動で都合の良いようにこき使う
- 名ばかり管理職にして残業代をゼロにする
- 辞めさせずに搾取し続ける
あなたがとるべき行動
- 証拠集め
タイムカードや業務日報、残業時間を記録したメモ、メールのコピーや録音などの有効な証拠を集める - 労働基準監督署に申告
労働環境の改善などを行政に訴えたい場合。 - 弁護士へ依頼
会社に残業代や慰謝料を請求して確実に解決したい場合。
この記事を読んだあなたは、すぐにでも行動を起こすことができます!
今の環境を変えるために、まずは証拠集めから始めてみてはいかがでしょうか?