- 更新日:2024.09.27
- #不倫制裁
不倫の制裁を与えたい!合法的に制裁を与える方法を弁護士が徹底解説
この記事を読んで理解できること
- 不倫された場合にできる制裁
- まずは証拠集めと弁護士への相談が重要
- 不倫相手に慰謝料を請求する方法3パターン
- やってはいけない不倫への制裁
あなたは、
「不倫された相手に制裁を与えたい」
「制裁を与えたいけれど、自分の立場が悪くならないか不安」
「合法的に制裁を与える方法を知りたい」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
不倫されて傷つけられると、相手に何らかの形でダメージを与えたいと思いますよね。
そのため、正しい法的知識を身に着け、合法的に可能な制裁のやり方と、絶対にやってはならない制裁をしっかり区別しておくことが非常に重要です。
そこでこの記事では、1章で不倫された場合にできる制裁を、2章では証拠集めと弁護士への相談を、3章では不倫相手に慰謝料を請求する方法3パターンについて解説します。
さらに、4章ではやってはいけない不倫の制裁について解説します。
しっかり読んで、適切な方法で行動をはじめてください。
1章:不倫された場合にできる制裁
この章では、不倫された場合に配偶者に与えられる制裁と、不倫相手に与えられる制裁について順番に解説していきます。
1-1:配偶者に与えられる制裁
不倫した配偶者に与えられる制裁は、次の3つです。
- 離婚請求
- 慰謝料請求
- 離婚せず誓約書を書かせる
それぞれ解説していきます。
1-1-1:離婚請求
配偶者に与えられる制裁として、まず離婚請求があります。
法律上、不倫は「離婚事由」になるとされており、不倫された場合、離婚を請求すれば離婚が認められるのです。
離婚すると、配偶者に対して以下のような制裁を与えることができます。
【離婚で与えられる制裁】
■経済的制裁
- 慰謝料の支払い
→1−1−2で解説。 - 財産分与による資産の一部の分割
→結婚後に貯めた貯金や購入した自宅、自動車などの資産は、財産分与によって、基本的に半分に分けられる。 - 養育費の支払い(子供がいる場合)
→子供がいる場合は、親権を失うと養育費を支払わなければならない。
■心理的な制裁
- 親権を失う(子供がいる場合)
→不倫が原因で離婚する場合、不倫した側は親権が認められないことがある。
このように、不倫をした配偶者に制裁を与えたい場合は、離婚することで様々な制裁を与えられるのです。
離婚によって配偶者に制裁を与えたい場合は、離婚問題の経験が豊富な弁護士に相談してみることをおすすめします。
1-1-2:慰謝料請求
不倫された場合、慰謝料請求することでも配偶者に制裁を与えることができます。
相手の不法行為によって離婚に至り、離婚の慰謝料を請求できるケースとしては、次の5つがあげられます。
- 不倫・浮気をした場合
- DV(身体的暴力)、モラハラ(言葉・精神的暴力)の場合
- 悪意の遺棄(生活費を渡さない、他)の場合
- セックスレスの場合
- 借金がある場合
これらの慰謝料を請求できるケースでも、その内容・事例によって請求できる慰謝料の金額は様々ですが、大体の相場としては次の表のようになります。
不貞行為による離婚の慰謝料相場としては、150万円~300万円となります。
このように、場合によっては数百万円の慰謝料を請求することができるため、配偶者には大きな経済的な制裁を与えることができるのです。
1-1-3:離婚せず誓約書を書かせる
まず不倫の誓約書とは、配偶者が不倫の事実とその責任などを認め、謝罪だけでなく今後違反した場合のペナルティなどを誓ったものです。
そのため、不倫の誓約書を作成することは、不倫の再発防止策として有効です。
また、配偶者があなたと別れたがっている場合は、あえて離婚せずに誓約書を書かせることで配偶者への制裁となります。
不倫をした配偶者(不貞行為を行った有責者)からの離婚請求は原則として認められないため、あなたが離婚に合意しない限り離婚することはできません。
1-2:不倫相手に与えられる制裁
不倫相手に与えることができる制裁には、以下のものがあります。
【不倫相手に与えられる制裁】
- 慰謝料請求
- 会社に不倫の訴状を送る
- 給与の差押え
それぞれ詳しく解説します。
1-2-1:慰謝料請求
不倫された場合、不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。
違法な不倫(不貞行為)は慰謝料請求できるとされているため、経済的な制裁として活用できるのです。
不倫相手に慰謝料を請求する際、離婚する場合、別居する場合、離婚も別居もしない場合で請求できる金額が異なります。
■不倫はしたが夫婦関係は継続:50万円~100万円
■不倫が原因で別居に至った:100万円~200万円
■不倫が原因で離婚に至った:150万円~300万円
また、不倫の慰謝料は複数の要素から決まるため、慰謝料が増額される要素が複数重なれば、上記の相場を超える金額が請求できることもあります。
このように、場合によっては数百万円の慰謝料を請求することができるため、不倫相手には大きな経済的な制裁を与えることができるのです。
ここで、不倫の慰謝料相場を決める複数の要素について詳しく知りたい方は以下の記事も読んでみてください。
まさか自分の家庭で・・不倫の慰謝料相場と増額・減額を左右する7つの要因とは
さらに、慰謝料を請求する上ではこれから紹介するような制裁の手段を使えることもあります。
1-2-2:会社に不倫裁判の訴状を送ることで心理的プレッシャーを与えられる
会社に不倫裁判の訴状を送ることで、不倫相手に強い心理的なプレッシャーを与えることができます。
なぜなら、以下の条件がそろっている場合、不倫相手が務めている会社に対して、不倫裁判の訴状を送ることができる可能性があるからです。
- 不倫相手が住所を教えてくれない
- 不倫相手の職場の住所は分かっている
不倫で裁判を起こす場合、訴状(裁判を起こすことを相手に伝える書面)を不倫相手にも送らなければなりません。
訴状は、相手の自宅に送ることができない事情がある場合、職場に送ることもできるという規定があります(民事訴訟法103条2項)。
訴状は裁判所からの郵便物であることが分かるように書かれているため、不倫相手の職場の人が見れば「何かトラブルに巻き込まれているのでは?」と思うでしょう。
条件がそろっている場合にしかできませんが、訴状を相手の職場に郵送することで、心理的なプレッシャーを与えることができるのです。
ただし、相手の家の住所に送ることができる場合に、あえて職場に知らせるようなことをした場合は「名誉毀損」などの罪になりかねませんので注意が必要です。
1-2-3:給与の差押え
裁判で慰謝料の支払いの判決が出たにもかかわらず、不倫相手が慰謝料を支払わない、踏み倒そうとしている、という場合は、給与を差し押さえることができます。
給与の差押えとは、裁判所から不倫相手の会社に差押えの命令が行き、不倫相手に支払われる給与からあなたの慰謝料が差し引かれる、という法的手段です。
裁判所からの命令が来るため、会社にも不倫相手が何らかのトラブルを抱えていることがバレてしまいます。
したがって、合法的に不倫相手に心理的な制裁を与えることができるのです。
ただし、給与の差押えができるのは、裁判の判決で慰謝料の支払いが命じられている場合のみとなります。
また、実際に給与の差押えができる範囲は、原則月給の手取額の4分の1に制限されている点も注意が必要です。
2章:まずは証拠集めと弁護士への相談が重要
不倫の制裁をするためには、まずは不倫の証拠を集める必要があります。
さらに、法的に問題がなく効果的な制裁を加えるためには弁護時に相談することが重要です。
それぞれ解説していきます。
2-1:不倫の証拠集め
あなたは配偶者や不倫相手に「今すぐにでも制裁を与えたい」と思っているかもしれませんが、まずやるべき行動があります。
それが、不倫で離婚請求や慰謝料請求をするために「証拠」を集めることです。
なぜなら、証拠がなければ弁護士に依頼しようとしても受けてもらえなかったり、裁判になっても裁判官から不倫が認められず、離婚請求や慰謝料請求に失敗してしまう可能性があるからです。
そこで、これから紹介する証拠をできるだけたくさん集めてください。
不倫(不貞行為)の証拠になるもの、ならないものは以下の通りです。
【証拠になるもの】
- 写真
→ラブホテルや旅館で泊まった写真など)
- 録音した音声データや録画した撮影データ
→性行為やそれを予測させる会話等の録音、撮影
- クレジットカードの利用明細、レシート
→ラブホテルや旅行先で利用したと思われるもの、避妊具等の明細やレシート
- Suica、PASMOなどの利用履歴
→不倫相手の自宅の最寄り駅等の利用履歴
- メール、LINEや手紙
→不倫相手とのやり取りが残っているもの
- SNSやブログ
→不倫相手との交際や行為について書かれたもの
- 手帳、日記、メモ
→配偶者との会話や目撃した行為等について、継続的にとった手書きの記録
- GPS
→ラブホテルや不倫相手の自宅に滞在したことが分かる記録
- 不倫相手の住民票の写し
→配偶者と不倫相手が同棲している場合の、同棲を示す住民票
- 妊娠、堕胎を証明できるもの
→配偶者が妊娠したor不倫相手を妊娠させた場合、それを示す証拠(中絶同意書のサインなど)
- 子どもの血液型
→子供の血液型が、夫婦の血液型から一致しない場合
- 興信所や探偵事務所の調査報告書
→興信所、探偵事務所に調査依頼した場合
慰謝料の金額は複数の要素によって決まるため「より長い期間不倫が行われていた」「より多くの回数不倫していた」などが分かる証拠があるほど、慰謝料が増額できる可能性があります。
また、改ざんが疑われる画像や、違法な手段で集められた証拠は、証拠と認められない場合もあるため注意が必要です。
証拠を集めることは難しい場合も多いですが、弁護士に依頼すれば、証拠の集め方のアドバイスを受けたり、弁護士が職権によって証拠を集めることも可能です。
2-2:弁護士に相談する
不倫で配偶者や不倫相手に、合法的に制裁を与えたいなら、弁護士に相談することをおすすめします。
理由は3つあります。
- 制裁はやり方によっては違法行為になるため
- 離婚や慰謝料請求を有利に進められる
- 相手に心理的なプレッシャーを与えられる
順番に解説します。
2-2-1:制裁はやり方によっては違法行為になるため
不倫の制裁としては「ネットやSNSへの書き込み、拡散」「職場に不倫をバラす」などが考えられる場合もあるようです。
しかし、これらの行為を実践すると「名誉毀損」「侮辱罪」などの罪に問われてしまいます。
その結果、あなた自身に懲役や罰金などの刑事罰が科されてしまうこともあるのです。
したがって、制裁を与えたい場合は、必ず合法的な行為に留めることが大事なのですが、そのためには何が違法で何が合法なのか、区別できる法的な知識が必要です。
そのため、違法行為をしないためにも、法律の専門家である弁護士に相談することが大事なのです。
2-2-2:離婚や慰謝料請求を有利に進められる
離婚問題や不倫の慰謝料請求を弁護士に依頼することで、離婚・慰謝料交渉を有利に進めることができます。
弁護士があなたの代理人として専門的な知識や経験を駆使して交渉することで、離婚・不倫の慰謝料金額を増額できる可能性が高まります。
さらに、訴訟に進んだ場合は、弁護士に依頼することで、面倒で複雑な裁判手続きや、裁判所とのやり取りなど、あなたの代理人としてすべてを任せることができます。
※当事務所(新橋第一法律事務所)では無料相談を受け付けていますので、不倫問題でお悩みの際はぜひご利用ください。
2-2-3:相手方へ心理的プレッシャーを与えることができるため
弁護士に依頼すると、弁護士は不倫相手に対して受任通知を送ります。
一般的にはこの受任通知は、内容証明郵便の形式で送付することが多いです。
不倫相手としては、不貞行為をしてしまったという負い目を感じているため、そのような状況で法律のプロである「弁護士」から、慰謝料を支払わないのであれば「裁判」をするという内容の書面が届いたら、やはり驚きます。
詳しい弁護士選びの方法や、弁護士に依頼する方法について、以下の記事で解説しています。
【保存版】不倫トラブルを弁護士に依頼して最大限有利に解決する全手法
3章:不倫相手に慰謝料を請求する方法3パターン
不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、次の3つがあげられます。
- 書面の送付による請求
- 不倫相手との話し合いによる請求
- 民事訴訟による請求
それぞれ解説していきます。
3-1:書面の送付による請求
不倫相手に慰謝料を請求する方法としては、一般的には内容証明郵便で慰謝料請求書を送付します。
内容証明郵便で送付することで、誰が誰に対してどんな内容でいつ送付したのか証明することができるため、慰謝料の支払い義務を促し言い逃れを防ぐことができます。
さらに、弁護士から慰謝料請求書を送ることで、相手に対してプレッシャーを与えることができます。
内容証明郵便による慰謝料請求書の送付で、不倫相手が支払いに応じた場合は、不倫問題も解決することになります。
3-2:不倫相手との話し合いによる請求
不倫相手との対面による話し合いによって、慰謝料を請求する方法もあります。
不倫慰謝料の話し合いで、金額や支払い方法、支払期日が決まり交渉がまとまった場合は、合意書を公正証書にすることをおすすめします。
公正証書にすることによって、相手の支払いが約束に反した場合は、裁判手続きを取ることなく給料や財産を差し押さえることもできます。
3-3:民事訴訟による請求
不倫相手との慰謝料交渉によって合意が得られなかった場合は、民事訴訟によって慰謝料を請求することができます。
裁判所に対して訴状及び証拠等を提出し、不倫相手と争うことになりますが、裁判の途中で裁判官のすすめによって和解が成立することも多く、最終的には裁判官の判断によって慰謝料の金額等が決められます。
民事訴訟の手続きは複雑で、提出する書類等も多いため、手続きをスムーズに進めて、さらに公判を有利に進めるためには、弁護士に依頼することをおすすめします。
4章:やってはいけない不倫への制裁
以下の不倫への制裁は、実践すると違法行為になりあなた自身に罪が科される行為です。
したがって、どんなに配偶者や不倫相手が憎くても、絶対に行わないようにしましょう。
【やってはいけない不倫への制裁】
- ネットやSNSで不倫の画像、動画、実名入りの文章などを拡散する
- 職場や近所に、電話、メールなどで不倫されたことをばらす、言いふらす
- 配偶者や不倫相手への暴言、暴力
- 脅迫してお金を請求する
順番に解説します。
4-1:ネット・SNSで不倫の画像、動画、実名入りの文章などを拡散する
ネット・SNSで不倫されたことが分かる画像や動画を公開したり、実名入りで不倫されたことをばらすような書き込みをした場合「名誉毀損」「侮辱罪」などの罪に問われる可能性が高いです。
なぜなら、たとえあなたが不倫の被害者であったとしても、加害者である配偶者や不倫相手の信用を失わせるような行為は犯罪になるからです。
名誉毀損の場合は、3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金という刑事罰が、侮辱罪の場合は、拘留または科料という刑事罰が科せられます。
こういった行為をすることで、あなたが前科者になってしまうのです。
そのため、ネット・SNSで不倫をばらすような方法で制裁を与えることは絶対に避けてください。
4-2:職場や近所に、電話、メールなどで不倫されたことをばらす、言いふらす
- 職場に不倫をばらすメールや電話をする、郵便物を送る
- 近所に不倫されたことを言いふらす
- 不倫相手の自宅前で「浮気女」「淫乱」などと叫ぶ
このような行為は、4−1と同様に「名誉毀損罪」「侮辱罪」といった刑事罰に問われてしまいます。
そのため、どんなに制裁を与えたくてもこのような行為は絶対に避けましょう。
4-3:配偶者や不倫相手への暴言、暴力
不倫されて怒りのあまり、配偶者や不倫相手に殴る、蹴るなどの暴力をふるったり「バカ」「死ね」「殺すぞ」などの暴言を言ったりする人もいるようです。
しかし、たとえあなたが不倫の被害者であったとしても、暴言や暴力が正当化されることはありません。
暴力は暴行罪になりますし、暴言は侮辱罪や名誉毀損罪という罪に問われる可能性があります。
したがって、どれだけ感情的になっていても暴言、暴力は絶対にふるわないようにしてください。
4-4:脅迫してお金を請求する
不倫された場合、配偶者や不倫相手に「不倫をばらされたくなければ、〇〇円支払え」と脅迫する人も稀にいるようです。
しかし、相手が悪いとしても絶対に脅迫してお金を請求してはなりません。
脅迫罪は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される犯罪です。
もし相手に訴えられたえら、あなたが犯罪者として罪に問われるのです。
したがって、お金を請求したい場合は必ず「慰謝料請求」という形で、合法的に行うようにしましょう。
まとめ:不倫の制裁について
いかがでしたか?
最後に今回の内容を振り返ります。
【配偶者に与えられる制裁】
- 離婚請求
- 慰謝料請求
- 離婚せずに誓約書を書かせる
【不倫相手に与えられる制裁】
- 慰謝料請求
- 会社に不倫の訴状を送る
- 給与の差押え
【やってはいけない不倫への制裁】
- ネットやSNSで不倫の画像、動画、実名入りの文章などを拡散する
- 職場や近所に、電話、メールなどで不倫されたことをばらす、言いふらす
- 配偶者や不倫相手への暴言、暴力
- 脅迫してお金を請求する
合法的な制裁と違法な制裁をしっかり区別し、正しい方法で行動をはじめてください。