
あなたは、
「内容証明で慰謝料を請求する方法、流れが知りたい」
「内容証明で慰謝料を請求するのにかかる費用が知りたい」
「内容証明で慰謝料を請求された場合の、返事や解答の方法が知りたい」
などの悩み・疑問をお持ちではありませんか?
内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。
内容証明により慰謝料請求をすることで、慰謝料請求の確たる意思があることを相手に伝えることができ、慰謝料請求を相手に無視される可能性を低くすることができます。
ただし、内容証明で慰謝料を請求するためには、通常とは異なる郵便の手続きが必要であり、独自のルールがあります。
そのため、スムーズかつ確実に内容証明で送るためには、これから紹介するポイントを押さえて送付することをおすすめします。
そこでこの記事では、まずは内容証明で慰謝料を請求するメリット、デメリットについて紹介し、それから内容証明の書き方について詳しく解説します。
さらに、内容証明を書く場合の注意点や、弁護士に依頼するポイントについても紹介します。
また、不倫をして「内容証明で慰謝料を請求された」という場合のために、5章で対処法を解説します。
あなたが知りたいところから読んで、すぐに役立ててください。
不倫をしてしまい、内容証明で慰謝料請求されてしまったという場合は、5章をお読みください。
目次
1章:内容証明を使って慰謝料を請求するメリット・デメリット
不倫の慰謝料は、通常の郵便で請求することもできます。
それをわざわざ「内容証明」という形にするべきなのは、それなりのメリットがあるためです。
そこでまずは、内容証明を使って、不倫の慰謝料請求をするメリット、デメリットを解説します。
それより先に内容証明で慰謝料を請求する具体的な方法や手順を知りたい場合は、2章からお読みください。
ちなみに、不倫慰謝料請求の内容証明とは以下のようなものです。
1−1:内容証明での慰謝料請求のメリット
内容証明を使って慰謝料を請求するメリットは、以下の通りです。
【内容証明を使って慰謝料請求するメリット】
- 時効の完成を一時的に阻止することができる。
- 慰謝料請求の意思表示をした証拠になる
- 相手に対して心理的圧力をかけられる
順番に解説します。
1−1−1:時効の完成を一時的に阻止することができる。
不倫の慰謝料請求には、3年の時効があります。
時効の基準になるのは、請求相手の名前や住所が判明してから3年間です。配偶者に請求する場合や、発覚と同時に不倫相手の素性も分かった場合は、不倫発覚から3年が時効になります。
この時効が過ぎると、慰謝料を請求する権利を失い、慰謝料を支払ってもらうことができなくなります。
しかし、内容証明で慰謝料を請求すると、時効がギリギリまで迫っている場合に限り、半年間時効を止めることができます。
そのため、慰謝料請求の手続きを進めるための時間的な余裕を得ることができるのです。
時効について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
1−1−2:慰謝料請求の意思表示をした証拠になる
内容証明で慰謝料を請求すると、あなたが請求相手(不倫相手やあなたの配偶者)に対して慰謝料を請求した、という証拠になります。
たとえ請求相手が内容証明で送った書面を捨ててしまっても、郵便局が送ったことを証明してくれますし、書面の控えが郵便局にも保管されています。
そのため、後に法的な措置を取る場合に、内容証明を送付したのに相手が無視した、という証拠として使うことができるのです。
1−1−3:相手に対して心理的圧力をかけられる
内容証明で慰謝料を請求すると、あなたが本気で慰謝料を請求していることを、請求相手(不倫相手やあなたの配偶者)に知らせることができます。
そのため、請求相手に対して心理的に圧力をかけることができ、それだけでも慰謝料を支払わせることができる可能性もあります。
1−2:内容証明での慰謝料請求のデメリット
内容証明での慰謝料請求には、以下のデメリットもあります。
【内容証明で慰謝料請求するデメリット】
- 内容に強制力はない
簡単に解説します。
内容証明では、送った内容や宛名、日付などを証明することができますが、送付した書面の内容に強制力はありません。
そのため、裁判による判決等とは違い
「慰謝料を請求する」
と書いたからと言って、不倫の加害者である請求相手に対して、強制的に慰謝料を支払わせることはできません。
そのため、内容証明は慰謝料請求の最初のステップとして活用し、その後の手続きをスムーズに進めるための一つの手段として考えておくことをおすすめします。
より確実に慰謝料を支払わせたい場合は、4章をお読みください。
2章:不倫慰謝料請求の内容証明の書き方
それではこれから、内容証明で慰謝料請求するための具体的な方法を解説します。
内容証明のテンプレートは、以下からダウンロートしてください。
それでは、各項目の詳しい書き方を順番に解説していきます。
2−1:準備
まず、具体的な内容を書いていく前に、内容証明を作成する上での準備をします。
準備が必要なのは、以下の通りです。
【内容証明の作成に必要なもの】
- お金:1252円
- 印鑑:シャチハタは不可
- 紙(A4サイズが一般的、コピー用紙など)
- PCもしくは消えないペン(手書きでもPCでもOK)
費用の内訳は、以下の通りです。
【内容証明にかかる費用】
①郵便料:82円(定型25gまでの場合)
②書留料:430円(一律)
③内容証明料:430円(2枚目以降は1枚260円増)
④配達証明料:310円(※)
合計:1252円
※配達証明とは、郵便物が配達された宛名や日付についても、日本郵政が証明してくれる制度のことです。
上記が準備できたら実際に書いていきますが、内容証明には書式があるため、以下の行数、字数の制限があります。
【内容証明の行数と字数の制限】
|
1行当たり |
1枚あたり |
横書き |
20字以内 |
26行以内 |
縦書き |
20字以内 |
26行以内 |
縦書き |
13字以内 |
40行以内 |
縦書き |
26字以内 |
20行以内 |
また、タイトルは自由ですが「通知書」などとするのが一般的です。
上記のルールを守って、実際に書いていきましょう。
それでは、具体的な本文の内容から解説します。
2−2:請求者と請求相手の関係性
不倫で慰謝料を請求する場合、まずは不倫の被害者であり、慰謝料の請求者であるあなたと、不倫の加害者であり、慰謝料を請求する請求相手との関係性について書く必要があります。
相手の名前は、本名で書くことが大事です。
ここでは不倫相手に請求するケースとして記載していますが、あなたの配偶者に請求することもできますので、その場合は、その旨を記載します。
実際の文面では、2−2の文章と一緒に書くこと良いでしょう。
2−2:不倫の事実について(内容、期間)
内容証明で慰謝料を請求する場合、不倫の事実について端的に書く必要があります。
そこで、以下のことを記載します。
- 不倫がはじまった時期
- 不倫が行われた期間、回数
- 不倫が行われた場所
以上について、判明している範囲で具体的に記載しましょう。
ポイントは、感情的になって相手を罵るようなことは書かないということです。感情的なことを書いても、相手には伝わりませんし、侮辱罪等の罪に問われてしまうこともあります。
そこで、ここでは以下のように記載しましょう。
「私 (以下、「通知人」といいます。)は、××の妻である■■■■です。
通知人は、夫である××の不貞行為を疑い、調査したところ、貴殿が平成_年_月ころから、××と不貞関係を開始し、_年にわたって週に_回、__において不貞行為を続けていることが判明しました。」
※ここでは、不倫の加害者である不倫相手に請求する形で書いていますが、配偶者に慰謝料請求する場合は、配偶者に対しても内容証明を作成します。
2−3:受けた被害と違法性
不倫の慰謝料請求は、あなたが受けた精神的苦痛に対して要求します。
そのため、不倫の事実だけでなく、あなたが受けた被害についても記載する必要があります。さらに、不倫は民法における不法行為です(民法709条)。そのため、相手の行為の違法性についても記載します。
実際の文面は、以下のようになります。
「貴殿の行為によって、通知人と××の結婚生活は破綻し、通知人は多大な精神的苦痛を与えられました。
貴殿の行為は、民法709条の不法行為に該当します。」
また、不倫によって離婚や別居に至った場合、もしくはこれから離婚、別居する予定の場合などは、その旨も上記の文章に入れておきましょう。
2−4:請求する慰謝料の金額と支払方法
内容証明で慰謝料を請求する場合、当然慰謝料を請求する旨と、以下のことを記載する必要があります。
- 慰謝料の金額
- 慰謝料の支払方法(期日、振り込みか現金かなど)
振り込みの場合は、振込先の銀行口座と名義についても記載しましょう。
実際の文面は、以下のようになります。
「よって、通知人は、貴殿に対し、不貞行為に対する慰謝料として___円の支払を請求いたします。本通知到着後1週間以内に下記口座にお振込みください。
振込先
〇〇銀行〇〇支店
普通口座
口座番号 ○○○○
名義 ○○○○」
ただし、慰謝料の金額は50〜500万円程度という相場があるため、相場を大きく超える金額を請求しても、あまり意味がありません。
ここでは、上記の相場の範囲内、もしくはそれより少し高額になるくらいの範囲で記載した方が良いです。
慰謝料の金額について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
まさか自分の家庭で・・不倫の慰謝料相場と増額・減額を左右する7つの要因とは
2−5:支払わない場合の措置について
慰謝料を請求する旨を記載した後は、支払わなかった場合の措置についても記載します。
支払わなかった場合のことについても書くことで、相手に、強く行動を促すことができます。
実際の文面は、以下のように書きます。
「なお、上記期間内に全額の支払がない場合は、直ちに法的手続きを講じますので、あらかじめご了承ください。」
2−6:署名、印鑑
本文は上記の項目までになりますが、本文以外には、差出人と受取人の住所と名前を書く必要があります。
差出人はあなた、受取人は慰謝料の請求相手(不倫相手やあなたの配偶者)です。
テンプレートの書面では、受取人を本文の上に、差出人を本文の下に記載しています。
住所は番地や部屋番号まで正確に記載し、名前は本名を書きましょう。
印鑑は、1つは自分の名前の横に押します。
また、書面が2枚以上になる場合は、つなぎ目に割り印します。
3章:内容証明で慰謝料請求する場合の注意点
内容証明を送付する準備ができたらいよいよ送付するのですが、その前に、以下の点に注意してください。
【内容証明で慰謝料請求する場合の注意点】
- 誹謗中傷しない
- 請求相手の住所を調べておく
- 消えないペンやPCで書く
- 文書を3通用意する
- 利用予定の郵便局が内容証明を扱っているか確認しておく
順番に解説します。
3−1:誹謗中傷しない
慰謝料を請求する場合、相手に対して恨み辛みを書きたくなるかもしれません。
相手の行為への怒りを抑えきれず、相手の人格を否定するようなことも書きたくなることがあると思います。
しかし、慰謝料を請求する時に、相手を誹謗中傷するようなことを書くと、それによって相手が「精神的苦痛を受けた」と言い出して、あなたが侮辱罪等の罪に問われる可能性があります。
そのため、内容証明の中では、あくまで端的に、2章でお伝えした内容のみを記載するようにしましょう。
3−2:請求相手の住所を調べておく
内容証明は、当然ですが、請求相手の住所が分かっていなければ送ることができません。
そのため、もし請求相手の住所が分からないという場合は、事前に調べておく必要があります。
もし分からないという場合は、弁護士に依頼することで、弁護士が職権で相手の住所を明らかにできることがありますので、相談してみてください。
3−3:消えないペンやPCで書く
内容証明は、手書きでもPCでも構いませんが、手書きで書く場合は、内容が改変されないように「消えないペン」で書くようにしましょう。
3−4:文書を3通用意する
内容証明で慰謝料請求する場合は、文書を3枚用意する必要があります。
1枚は自分の保管用、1枚は郵便局の保管用、1枚が相手に送付する用です。
そのため、同じものを3部印刷、作成して準備しておきます。
3−5:利用予定の郵便局が内容証明を扱っているか確認しておく
内容証明はどこの郵便局でもできるだわけではありません。
そのため、事前に行く予定の郵便局が、内容証明も扱っているかインターネット上で確認するか、もしくは問い合わせて確認しておきましょう。
【コラム】忙しいなら電子内容証明を活用しよう
忙しくて郵便局に行く時間がないという場合、電子内容証明という手段もあります。
これは、PCから24時間、いつでも出すことができる内容証明のことです。
※スマホやタブレットからは利用できません。
効果は通常の内容証明と同じです。
送り方等については、詳しくはこちらのページをお読みください。
4章:内容証明は弁護士に作成してもらおう
内容証明は、弁護士に依頼して作成してもらうことをおすすめします。
なぜなら、自分だけで作成すると、
- 手間や時間がかかる
- 相手の住所が分からない場合は送れない
- 送付後に相手とトラブルになり、心理的ストレスを与えられた
- 送付後に交渉や裁判が必要になり、自分だけでの対応が困難
- 自分で交渉してみて失敗したら,そのあとに弁護士に依頼しても挽回が難しいことがあること
などのことになりかねないからです。
繰り返しになりますが、内容証明を送るだけで慰謝料の支払に応じるケースは稀であり、実際には、
「慰謝料を減額してほしい」
「不倫なんてしていない」
「そっちの方が悪かったんだ」
などと言われ、慰謝料の支払が拒否されることが多いです。
そのため、内容証明で慰謝料を請求することは、慰謝料請求の最初のステップと考え、それから交渉などで慰謝料をより確実に支払わせるようにする必要があります。
したがって、内容証明を送る段階から、弁護士に依頼することをおすすめします。
特に、不倫トラブルに強い弁護士に依頼すれば、
- 内容証明の作成、送付からその後の対応まで、すべて行ってくれる
- 弁護士が代理人になるため、手間や時間、ストレスが最小限になる
- より確実に慰謝料を支払わせることができる
- 住所が分からなくても、弁護士の職権で調べることも可能
といったメリットがあるのです。
不倫に強い弁護士の選び方や、かかる費用等について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【保存版】不倫の慰謝料請求に強い弁護士の基準を現役弁護士が解説
5章:不倫して内容証明が届いた場合の対処法
不倫をしてしまい、自分の配偶者や不倫相手の配偶者から、内容証明が届いたという場合、これからどうしたら良いのか不安になりますよね。
内容証明で慰謝料請求された場合、内容にそのまま従う必要はありません。なぜなら、内容証明で慰謝料請求されたとしても、その内容には法的拘束力はないからです。
とは言え、無視するのは問題です。
内容証明を送るということは、請求してきた相手はそれだけ本気の姿勢を見せているのであり、無視すれば、裁判を起こされる可能性すらあるからです。
そのため、内容証明が届いたら、以下の行動を取りましょう。
【内容証明で慰謝料請求された場合の対処法】
- 内容を確認する
- 弁護士に相談する
順番に解説します。
慰謝料請求された場合の詳しい対処法については、以下の記事で解説しています。
【示談書雛形付き】不倫で慰謝料請求されたら?慰謝料を減額・回避する方法
5−1:内容を確認する
内容証明が届いたら、まずは中身を確認してみましょう。
内容証明には、
- 不倫の事実(期間や回数など)
- 相手が被った被害(精神的苦痛、離婚、別居など)
- 慰謝料の金額は支払方法
などについて書かれています。
確認した上で、
- 不倫の事実について、実際のものと異なる部分がある
- 慰謝料の金額が相場(50万円〜500万円)を大きく超えている
などの場合は、慰謝料を減額できる可能性があります。
そうでなくても、慰謝料は複数の要素と過去の類似の判例から決まりますので、あなたの慰謝料は減額できることがあります。
そのため、内容証明が届いたら、まずは上記の点についてしっかり確認し、次の行動に移りましょう。
なお,弁護士が内容証明を作っている場合,あなたに脅しをかける意味で,不倫によって夫婦が離婚をするかのような記載があることがあります。
明確に
「離婚予定です」
との記載があれば,離婚する可能性が極めて高いと思われますが,
- 「離婚を検討中です」
- 「夫婦関係が危機に瀕しています。」
という記載であれば,相手方夫婦は離婚をしない可能性が高いです(つまり,慰謝料の金額が低くなります。)。
弁護士には真実義務(嘘をついてはいけない義務)があるので,慰謝料額を吊り上げるために,真実に反して明確に「離婚予定」と記載することができないためです。(逆に本当に離婚に向けて動いているのであれば,慰謝料の金額を上げるために明確に離婚について記載するはずです。)
夫婦関係が危機に瀕したり,離婚を検討する程度であれば,嘘ではないと考える弁護士が多いため,このような記載がされることが多いのです。
「夫婦関係が危機」等と一般の人が見ればショックを受けて,相場より高い慰謝料を支払うだろうと見込んでのことです。
5−2:弁護士に相談する
繰り返しになりますが、慰謝料は言い値で支払う必要はなく、しっかりとした根拠があれば、減額してもらうことも可能です。
ただし、慰謝料を減額して欲しい場合、相手に対して直接交渉をしなければならず、それは、
- 相手と直接交渉するため、心理的ストレスが大きい
- 互いに感情的になって、交渉が進まない
という可能性が高いです。
また、慰謝料が減額できるのは、慰謝料の金額が、類似の不倫の判例で認められた慰謝料よりも高額になるケースです。
そのため、慰謝料を減額してもらうには、過去の判例に関する豊富な専門知識と交渉テクニックを必要とします。
したがって、あなた一人で慰謝料を減額してもらうのは困難だと言わざるを得ません。
そのため、スムーズに対応できるように、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
多くの不倫トラブルに強い弁護士は、無料相談を行っていますので、まずは一度相談してみることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
【内容証明を使って慰謝料請求するメリット】
- 費用が安い
- 相手に対して心理的圧力をかけられる
- 時効を止めることができる
- 慰謝料請求の意思表示をした証拠になる
【内容証明で慰謝料請求するデメリット】
内容に強制力はない
【内容証明で慰謝料請求する場合の注意点】
- 誹謗中傷しない
- 請求相手の住所を調べておく
- 消えないペンやPCで書く
- 文書を3通用意する
- 利用予定の郵便局が内容証明を扱っているか確認しておく
【内容証明で慰謝料請求された場合の対処法】
- 内容を確認する
- 弁護士に相談する
この記事でかいたポイントを踏まえて、さっそく行動に移っていきましょう。
コメント