不倫・モラハラ夫/妻と離婚する3つの方法と慰謝料請求のポイント
この記事を読んで理解できること
- 不倫・モラハラは離婚理由になる
- 不倫・モラハラ夫/妻と離婚する方法
- 不倫・モラハラ夫/妻との離婚の慰謝料は50万~300万円が相場
- 不倫・モラハラ夫/妻との離婚に向けた3ステップ
あなたは、不倫・モラハラ夫/妻と、
- 離婚できるのか知りたい
- 離婚する方法を知りたい
- 離婚した場合の慰謝料について知りたい
このようにお考えではありませんか?
配偶者から不倫・モラハラされた場合は、精神的に非常につらく離婚を考える方も多いでしょう。
しかし、「不倫やモラハラを理由に離婚できるのか」「慰謝料はもらえるのか」など、不安に思いますよね。
結論から言うと、配偶者が不倫・モラハラしている場合、相手の不倫・モラハラを理由に離婚できます。
また、相手の不倫・モラハラで離婚した場合には、慰謝料を請求できます。
この記事を読むと、「相手の不倫・モラハラを理由に離婚する方法」「相手の不倫・モラハラを理由に離婚した場合の慰謝料」についてわかります。
さらにこの記事では、
1章では、不倫・モラハラは離婚理由になる、
2章では、不倫・モラハラ夫/妻と離婚する方法、
3章では、不倫・モラハラ夫/妻との離婚の慰謝料は50~300万円が相場、
4章では、不倫・モラハラ夫/妻との離婚に向けた3ステップ
について説明します。
この記事を読んで、配偶者に不倫・モラハラされて離婚を考えた場合にも適切に対処しましょう。
目次
1章:不倫・モラハラは離婚理由になる
配偶者の不倫やモラハラは、離婚理由として認められます。
この章では、相手の不倫・モラハラを理由とした離婚について、以下3つのポイントを解説します。
- 不倫・モラハラとは
- 不倫は離婚事由として法律で定められている
- モラハラは「婚姻の継続が難しい原因」と立証できれば離婚可能
それぞれ解説します。
1-1:不倫・モラハラとは
まずは、不倫・モラハラとはどのような行為を指すのかを押さえておきましょう。
■不倫とは
不倫とは、既婚者が配偶者以外の人と性的関係を持つことで、法律上は不貞行為と呼ばれます。
不倫とみなされるポイントは、「肉体関係があったかどうか」であり、手をつなぐ・抱擁・キスなどは不貞行為にはあたりません。
夫婦には、お互いに相手以外と肉体関係を持たない義務(貞操義務)があります。
不倫(不貞行為)は貞操義務違反にあたり、夫婦の権利を侵害する民法上の違法行為です。
■モラハラとは
モラハラとは、言葉や態度により精神的に相手を傷つけることです。
たとえば、
- きつい言葉で相手を傷つける
- ちょっとしたミスを執拗に責める
- 理由なく無視する
- 相手の考え方・趣味を否定する
- 人前で相手を見下す
といった行為があげられます。
1-2:不倫は離婚事由として法律で定められている
不倫は、民法第770条が定める離婚事由に該当します。
そのため、配偶者の不倫を理由に離婚できます。
民法で定められた離婚事由は、以下の5つです。
- 配偶者の不貞行為
- 配偶者からの悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上不明
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他、婚姻の継続が難しい重大な事由ある
不倫は法律で離婚の理由として認められているため、もし不倫夫/妻が離婚を拒んだとしても、不倫を理由に離婚できます。
1-3:モラハラは「婚姻の継続が難しい原因」と立証できれば離婚可能
モラハラは、法律で定められた5つの離婚事由に明示的には含まれません。
しかし、配偶者からのモラハラが離婚事由の「その他、婚姻の継続が難しい重大な事由」に該当すると立証できれば離婚できます。
配偶者のモラハラを理由に離婚をするためには証拠を集め、
- モラハラがあった事実
- モラハラが原因で夫婦関係が破綻し、継続が困難であること
の2点を立証する必要があります。
【コラム】モラハラへの対処法
モラハラは加害者が意識せずおこなっている場合も多く、放っておいても改善しません。
配偶者からモラハラを受けている場合は、
- モラハラで困っている知人・友人の話を聞かせる(加害者にモラハラ行為を認識させる)
- いいなりにならない
- 第三者に相談する
- 別居する
といった対応により、モラハラがおさまるケースもあります。
それでも状況が改善されない場合は、離婚も視野に入れて行動を起こしましょう。
2章:不倫・モラハラ夫/妻と離婚する方法
配偶者のモラハラが改善されない、配偶者の不倫が発覚したといった場合、離婚を考える人も多いでしょう。
不倫・モラハラ夫/妻と離婚する方法は、以下の3つです。
- 夫婦で離婚に向けて話し合う
- 離婚調停を申し立てる
- 離婚訴訟をする
それぞれ解説します。
2-1:夫婦で離婚に向けて話し合う
離婚をしたい場合は、まずは夫婦で話し合い、お互いの合意による協議離婚を目指します。
協議離婚では、相手の合意が取れれば離婚理由に関わらず離婚できます。
ただし、お互いの主張が食い違うと、当事者同士では話し合いがうまくいきません。
- 相手が離婚に応じない
- 慰謝料や財産分与などに納得できない
といった場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。
とくに、モラハラする人は離婚を受け入れないケースが多く、当事者での解決は難しい場合があります。
話し合いで解決しない場合は、離婚調停に進みます。
2-2:離婚調停を申し立てる
夫婦だけでは離婚がまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。
離婚調停では、調停委員が間に入って両者の言い分を聞き、話し合いで解決を目指します。
他にも離婚調停では、離婚そのものだけでなく慰謝料や財産分与、子どもの親権や養育費についても一緒に話し合います。
離婚や慰謝料に関して離婚調停で有利に話を進めるためには、モラハラや不倫の証拠を十分に集めておくことが重要です。
ただし、離婚調停はあくまで話し合いの場であり、お互いの合意が得られなければ離婚できません。
相手が離婚に同意しない場合は、離婚訴訟に進みます。
2-3:離婚訴訟をする
離婚調停でも話がまとまらなかった場合は、最終的に離婚訴訟を起こして裁判所に離婚を認めてもらいます。
離婚訴訟で認められると、たとえ相手が離婚を拒んでいても離婚が成立するため、相応の離婚理由と証拠が必要です。
不倫は離婚事由として法的に認められていますが、モラハラの場合は「モラハラが原因で婚姻関係を継続するのは難しい」と証明できなければなりません。
相手の不倫・モラハラを理由に離婚をしたい人は、しっかりと証拠を集めて離婚訴訟に臨みましょう。
【コラム】自分も不倫してしまうと離婚に不利になる
モラハラされると気持ちが弱り、つい他の異性に頼りたくなってしまいます。
しかし、もし不倫をしてしまうと「有責配偶者」となり、自分から離婚できなくなる恐れがあります。
有責配偶者とは「婚姻関係が破綻する原因について責任のある配偶者」のことで、有責配偶者からの離婚請求は原則認められません。
相手の不倫やモラハラを理由として離婚を望んでいる人は、決して不倫しないようにしましょう。
3章:不倫・モラハラ夫/妻との離婚の慰謝料は50万~300万円が相場
相手の不倫やモラハラが原因で離婚をする場合は、慰謝料を請求できます。
不倫・モラハラの慰謝料は、それぞれ50万~300万円が相場です。
慰謝料の請求には不倫やモラハラを立証する必要があるため、事前に不倫やモラハラの証拠を集めておきましょう。
■不倫の慰謝料
不倫の慰謝料は、不倫により夫婦関係がどのくらい破綻したかによって、以下のように金額が異なります。
- 不倫はしたが夫婦関係は継続:50万円~100万円
- 不倫が原因で別居に至った:100万円~200万円
- 不倫が原因で離婚に至った:150万円~300万円
他にも慰謝料の金額は、婚姻期間や不倫の期間・回数、子どもの有無によっても変わります。
■モラハラの慰謝料
モラハラの慰謝料は、モラハラ行為の内容・期間・回数・被害者が受けた精神的損害の程度などによって左右されます。
モラハラの加害者は自分の非を認めない傾向にあり、慰謝料の支払いにもなかなか同意してくれないケースがあります。
慰謝料の話し合いがうまくいかない場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。
4章:不倫・モラハラ夫/妻との離婚に向けた3ステップ
不倫・モラハラ夫/妻とスムーズに離婚するためには、以下の3ステップを意識しましょう。
- 不倫の証拠を集める
- モラハラの証拠を集める
- 相手に離婚を切り出す
それぞれ解説します。
4-1:不倫の証拠を集める
不倫・モラハラ夫/妻との離婚に向けた3ステップの1つ目は、不倫の証拠を集めることです。
不倫は離婚の理由になりますが、証拠が不十分だと相手の不貞行為を裁判で認めてもらえません。
相手の不倫を認めてもらうためには、以下のような不倫の証拠となるものを用意しておきましょう。
- ラブホテルに出入りする写真・動画
- ラブホテルの領収書・ポイントカードなど
- 肉体関係を持っているときの写真・動画
- 肉体関係があったとわかるメール・SNSのメッセージ
- 不倫を認める書面・音声データ
自分で証拠を集めるのが難しい場合は、興信所や探偵事務所に依頼するのも有効です。
4-2:モラハラの証拠を集める
不倫・モラハラ夫/妻との離婚に向けた3ステップの2つ目は、モラハラの証拠を集めることです。
モラハラで離婚するためには、以下のような証拠を集めましょう。
- モラハラの内容を記した日記
- モラハラ現場の録音・録画
- モラハラがわかるメール・SNSのメッセージ
- モラハラが原因で通院した病院の診断書・領収証
- 警察・弁護士など第三者への相談記録
配偶者からのモラハラは家庭内でおこなわれる上に、DVのような目で見える被害がないため、被害を証明しにくい特徴があります。
また、離婚を認めてもらうためには、「モラハラの事実」だけでなく「モラハラのせいで婚姻関係が破綻していて、継続は困難である」ことを立証しなければなりません。
どのような証拠を集めればよいのか迷った場合は、弁護士に相談するとアドバイスを受けられます。
4-3:相手に離婚を切り出す
不倫・モラハラ夫/妻との離婚に向けた3ステップの3つ目は、相手に離婚を切り出すことです。
不倫やモラハラの証拠が十分に揃ったら、相手に離婚を切り出し離婚に向けた話し合いに進みましょう。
ただし、闇雲に離婚を切り出すと離婚話がこじれたり、証拠を隠されたりする恐れがあります。
不倫の場合もモラハラの場合も、大切なのは証拠を十分に集めてから離婚を切り出すことです。
以下の離婚を切り出すときのコツをふまえて、円滑に離婚の意思を伝えましょう。
■不倫夫/妻に離婚を切り出すコツ
不倫夫や妻に離婚を切り出すときは、必ず証拠を集めてから相手に伝えましょう。
証拠が揃わないうちに相手を責めたり、離婚を切り出したりすると証拠を隠されてしまうためです。
離婚を考えていることがバレると、その後の証拠集めが困難になります。
■モラハラ夫/妻に離婚を切り出すコツ
モラハラ夫や妻に離婚を切り出すコツは、以下の3つです。
- 離婚する意志が固いことをきっぱりと伝える
- 離婚したい理由を具体的に用意しておく
- 冷静に話し合う
モラハラ夫や妻は、あなたが離婚話をしても耳を貸さず、強く反論してくる恐れがあります。
スムーズに離婚を伝えるためには、冷静にしかしきっぱりと、具体的な理由を添えて離婚の意思を伝えることが大切です。
また、モラハラの場合は、夫婦だけでは話し合いがうまくいかないケースも多くあります。
当事者同士での話し合いが難しい場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
まとめ:不倫・モラハラで離婚したいなら証拠を集めて冷静に対処しよう
配偶者に不倫やモラハラされた場合、相手の不倫・モラハラを理由に離婚できます。
不倫・モラハラ夫/妻と離婚する方法には、以下の3つがあります。
- 夫婦で離婚に向けて話し合う
- 離婚調停を申し立てる
- 離婚訴訟をする
配偶者の不倫・モラハラが原因で離婚した場合は、慰謝料の請求が可能であり相場は50~300万円です。
不倫の場合もモラハラの場合も、離婚や慰謝料請求に大切なのは、「証拠を十分に集めてから離婚を切り出す」ことです。
離婚の話し合いが困難、どのような証拠が必要かわからない、といった場合は弁護士へ相談しましょう。