【痴漢の慰謝料】相場と示談のメリット、知っておくべき3つのポイント
この記事を読んで理解できること
- 痴漢の慰謝料(示談金)の相場
- 早期に痴漢の慰謝料を支払う(示談が成立する)メリット
- 痴漢で逮捕された場合に、必ず知っておくべき3つのポイント
- 痴漢で逮捕されたらすぐに弁護士に相談すべき
あなたは、
「家族が痴漢で逮捕された。慰謝料が必要?」
「痴漢で逮捕されたときの慰謝料はいくら?」
「家族が痴漢で逮捕されたので、慰謝料を払って解決したい」
などとお考えではありませんか?
結論から言うと、家族が痴漢で逮捕された場合は、すぐに弁護士に依頼して、被害者と慰謝料などを交渉して、示談を成立させることが重要です。
なぜなら、痴漢で逮捕されて身柄を拘束された場合、次のようなリスクがあるからです。
- 最長23日間、身柄を拘束される
- 起訴され有罪になると前科がつく
- 会社や学校に知られる恐れがある
痴漢で逮捕された場合でも、被害者に慰謝料を払って示談が成立すれば、これらのリスクを最小限に抑えることができます。
この記事では、1章で、痴漢の慰謝料(示談金)の相場について、2章では、早期に慰謝料を払って示談を成立させるメリットについて、3章では、痴漢で逮捕されたときに知っておくべき3つのポイントについて解説します。
そして、痴漢で逮捕されたらすぐに弁護士に相談すべき理由や、弁護士にできることについて、4章で解説していきます。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
痴漢事件では、被害者が加害者に対して慰謝料を請求することができます。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
家族が痴漢で逮捕された場合は、すぐに被害者に謝罪し慰謝料などを交渉して、示談を成立させることが重要です。
■痴漢の慰謝料(示談金)の相場
- 迷惑行為防止条例違反:10~50万円程度
- 強制わいせつ罪:30~150万円程度
■早期に痴漢の慰謝料を払う(示談が成立する)メリット
- 身柄を解放される可能性が高くなる
- 前科がつかない不起訴処分の可能性が高くなる
- 判決で減刑される可能性が高くなる
ただし、弁護士でなければ、被害者との示談交渉は難しいため、すぐに弁護士に依頼されることをおすすめします。
目次
1章:痴漢の慰謝料(示談金)の相場
痴漢の被害者との示談交渉の場合、痴漢による精神的な損害を賠償する慰謝料や、当事者間の誓約事項などを取り決めていきます。
ここでは、痴漢の慰謝料(示談金)について、
- 痴漢の慰謝料の相場
- 痴漢の慰謝料が払えない、または法外な慰謝料請求の場合
それぞれを解説していきます。
1-1:痴漢の慰謝料の相場
一般的に痴漢の慰謝料(示談金)は、示談交渉の際に当事者間の話し合いによって決められますが、痴漢事件の被害の程度や内容によって、その金額は大きく変わってきます。
痴漢事件で適用される罪としては、「迷惑行為防止条例違反」と「強制わいせつ罪」の2つがあげられますが、それぞれの慰謝料相場としては、次のようになります。
- 迷惑行為防止条例違反:10~50万円程度
- 強制わいせつ罪:30~150万円程度
迷惑防止条例に違反する痴漢行為としては、一般的には直接または衣類の上から他人の身体に触れた場合となります。
迷惑防止条例は、各都道府県が定めたもので、それぞれ内容や罰則に若干の違いがあります。
罰則としては、例えば東京都の場合では、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
次に、強制わいせつ罪は、刑法によって定められており、一般的には着衣の中に手を入れたり、長時間触り続けるなど、痴漢行為が悪質な場合となります。
被害者が13歳未満だった場合は、比較的軽度な痴漢行為であっても、強制わいせつ罪が適用されます。
罰則としては、6ヶ月以上10年以下の懲役という重いものになっています。
罰則の重い「強制わいせつ罪」の方が、痴漢行為も悪質になるため、慰謝料も高額になる傾向があります。
1-2:痴漢の慰謝料が払えない、または法外な慰謝料請求の場合
痴漢の慰謝料が高額でまとめて払えない場合は、示談交渉で相手から分割払いの金額、支払期間等の合意が得られれば、慰謝料を分割払いすることも可能になります。
また、法外な慰謝料を請求された場合は、減額交渉をすることもできますが、示談そのものが不成立になる可能性もあります。
こういった場合でも、弁護士が法律の専門家として冷静に示談交渉を進めることで、被害者の対応も変わり妥当な慰謝料による解決を図れる可能性が高まります。
慰謝料などの示談交渉も含めて、痴漢で逮捕された場合は、すぐに弁護士に相談すべきだと言えます。
この後の4章で、弁護士にできることなど詳しく解説していきます。
2章:早期に痴漢の慰謝料を支払う(示談が成立する)メリット
痴漢で逮捕された場合に、早期に示談が成立して慰謝料を支払うメリットとしては、次の3つがあげられます。
- 身柄を解放される可能性が高くなる
- 前科がつかない不起訴処分の可能性が高くなる
- 判決で減刑される可能性が高くなる
なぜなら、被害者との示談が成立しているということは、
「被害者とのトラブルは解決している」
「被害者の許しを得ている」
「被疑者は十分反省している」
と、警察や検察官、裁判官に判断されるからです。
3つのメリットについて、それぞれ解説していきます。
2-1:身柄を解放される可能性が高くなる
痴漢の慰謝料を支払うことによって、示談が成立し当事者間で事件が解決していると解釈されるので、身柄を解放される可能性が高まります。
痴漢で逮捕された後、警察・検察では、痴漢事件の捜査を行い、刑事裁判に向けての証拠(被害者の証言等)を集めます。
この捜査の期間、被疑者は、「証拠隠滅」や「逃亡が行われる恐れ」があるとして身柄を拘束(勾留)されます。
これに対して、示談が成立して当事者間で事実関係に争いがないと警察・検察官に判断されると、証拠隠滅や逃亡の恐れがないので、被疑者の身柄は解放される可能性が高まります。
2-2:前科がつかない不起訴処分の可能性が高くなる
痴漢の慰謝料を支払うことによって、示談が成立した場合、不起訴処分になる可能性が高くなります。
特に、初犯の場合には、迷惑防止条例違反だけでなく強制わいせつ罪の場合でも、不起訴処分になる可能性があります。
不起訴処分とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない、つまり罪に問わない決定をすることで、当然前科はつきません。
痴漢事件では、被害者の加害者に対する処罰を求める感情が最も重視されます。
そのため、示談書の中に「被害者の許し」に関する条項(宥恕条項)が入っている場合は、被疑者にとって特に有利に働くものとなります。
2-3:判決で減刑される可能性が高くなる
もし、起訴されて刑事裁判になった場合でも、慰謝料を支払い示談が成立することによって、量刑が軽くなり罰金刑になる可能性や、執行猶予がつき実刑を免れる可能性も高くなります。
通常では「懲役刑」が科される恐れのある「強制わいせつ罪」の場合でも、示談が成立していれば執行猶予付きの判決が得られることもあります。
また、示談が成立することによって、保釈が認められ、勾留中の身柄が解放される可能性も高くなります。
【コラム】示談のデメリットは特になし
痴漢事件においては、示談することによるデメリットは、特にありません。
しいて言えば、慰謝料を支払うことがあげられますが、これは被害者側から痴漢行為に対する損害賠償請求されるものと考えれば、代償でありデメリットとも言えません。
3章:痴漢で逮捕された場合に、必ず知っておくべき3つのポイント
痴漢で逮捕された後の流れは、下の図のようになります。
痴漢で逮捕された場合に、知っておくべきポイントとして、次の3つがあげられます。
- 痴漢で逮捕されたら「72時間以内」の弁護活動が重要
- 痴漢で逮捕された場合の3つのリスク
- 痴漢で逮捕された場合は、すぐに弁護士に依頼する
それぞれ解説していきます。
3-1:痴漢で逮捕されたら「72時間以内」の弁護活動が重要
痴漢で逮捕された場合は、逮捕から「72時間以内」に、身柄の解放を求める弁護活動が重要となります。
なぜなら、上の図にあるように、逮捕から「72時間以内」に検察官によって、逮捕した被疑者を刑事施設に留置して拘束するための勾留請求が行われるからです。
2-1で解説したように、この段階でまでに、痴漢の慰謝料を支払い示談が成立している場合は、当事者間で事件が解決していると解釈されるので、身柄を解放される可能性はかなり高くなります。
しかし、痴漢事件では、被害者の心情的になかなか示談交渉に応じてもらえず、弁護士でなければ被害者の連絡先を教えてもらえない場合がほとんどです。
そのため、弁護士に依頼することが有効となります。
3-2:痴漢で逮捕された場合の3つのリスク
痴漢で逮捕された場合のリスクとしては、次の3つがあげられます。
- 最長23日間、身柄を拘束される
- 起訴され有罪になると前科がつく
- 会社や学校に知られる恐れがある
それぞれ解説していきます。
3-2-1:最長23日間、身柄を拘束される
上の図にあるように、痴漢で逮捕後勾留が決定されると、最長23日間身柄を拘束され、通常の生活には戻れないことになります。
その後、検察官によって起訴された場合は、刑事裁判までさらに1ヶ月ほど勾留が続くことになります。
当然、勾留期間が長引くほど、被疑者の社会生活に対するリスクは大きなものとなっていきます。
またこの間、被疑者は、家族であっても自由に面会することは難しい状態に置かれることになります。
前述したように、慰謝料を支払い示談が成立した場合は、その時点で早期に身柄を解放される可能性が出てきます。
3-2-2:起訴され有罪になると前科がつく
検察官によって起訴され、刑事裁判で有罪判決が言い渡された場合は、罰金刑であっても被告人には前科がつくことになります。
痴漢で逮捕された場合に適用される罪と刑罰は、
- 迷惑防止条例違反:6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金
- 強制わいせつ罪:6ヶ月以上10年以下の懲役
となります。
前科や痴漢で逮捕された前歴は、通常周囲に知られることはありませんが、特に前科がついた場合は、資格や免許の取り消しや、就職・転職の際にどうしても不利になります。
3-2-3:会社や学校に知られる恐れがある
痴漢で逮捕され身柄を拘束された場合は、会社や学校に知られる恐れがあります。
なぜなら、痴漢で逮捕されて勾留が決定した場合は、最長で23日間、起訴された場合はさらに長期間にわたって、通常の生活に戻れないことになるからです。
通常、警察の方から会社や学校に連絡がいくことはありませんが、長期間欠勤、欠席が続いた場合は、周囲に知られてしまうリスクが高まります。
リスクを避けるためには、できるだけ早く示談を成立させて、早期釈放を目指すことが重要です。
3-3:痴漢で逮捕された場合はすぐに弁護士に依頼する
痴漢で逮捕された場合は、すぐに弁護士に依頼して、被害者に慰謝料を支払い、示談を成立させることが最も重要です。
ここまで、示談を成立させるメリットを解説してきましたが、被害者との示談交渉を始めるためには、弁護士に依頼することが極めて重要であるといえます。
なぜなら、痴漢事件の場合、加害者やその家族は、警察や検察から被害者の連絡先を教えてもらうことはできないからです。
弁護士を通すことで、被害者の心証も変わり、ようやく連絡先を教えてもらうことが許されて、示談交渉が始められるケースが多いです。
弁護士が代理人として、被害者との示談交渉を進めることによって、被害者の心情を考慮したうえで、適切な内容、示談金による示談が成立する可能性が高まります。
4章:痴漢で逮捕されたらすぐに弁護士に相談すべき
痴漢で逮捕された場合、被害者との示談交渉を進めるためには、弁護士に依頼することが極めて重要であるといえます。
ここで、弁護士に依頼した場合に、
- 弁護士にできること
- 弁護士費用の相場
について解説していきます。
4-1:弁護士にできること
痴漢事件を弁護士に依頼した場合に、弁護士にできることは次の5つです。
- 早期の示談成立を目指す
- 逮捕直後から面会して助言をする
- 警察・検察に早期釈放を求める
- 検察に不起訴を求める
- 精神的負担や事務的な負担を軽減できる
それぞれ解説していきます。
4-1-1:早期の示談成立を目指す
示談交渉を弁護士に依頼することで、早期の示談成立が望めます。
弁護士に依頼するメリットは、次の5つです。
- 弁護士は被害者と連絡を取れる可能性がある
- 被害者が示談交渉に応じてくれる可能性が高くなる
- 被害者に、加害者の反省や謝罪を受け入れてもらえる可能性が高くなる
- 適正な示談金の金額がわかる
- 示談書の作成を任せられる
前述したように、痴漢事件では、被害者の連絡先を知ることは難しく、弁護士に依頼することでようやく連絡先を教えてもらうことが許されて、示談交渉が始められるケースが多いです。
弁護士であれば、被害者の対応も変わり示談交渉を進めやすくなり、被害者に対して冷静に被疑者の反省の度合いや、謝罪を受け入れてほしい家族などの現在の状況を伝えることができます。
また、示談金の金額は、当事者間の交渉で決められますが、弁護士であれば事件の内容によって適切な金額を判断することができます。
被害者との示談交渉が成立すると、弁護士は示談書を作成し、検察官や裁判所に提出します。
4-1-2:逮捕直後から面会して助言をする
弁護士であれば、逮捕直後から被疑者と面会(接見)して、今後の見通しについて説明し、取り調べの際の注意点など助言することができます。
弁護人による接見は、原則として自由に面会することができるので、必要なものや書類などを差し入れすることもできます。
さらに、接見の際に立会人が付くこともないので、被疑者に今後の流れや状況を説明し、適切なアドバイスをすることが可能になります。
被疑者と家族が面会できるのは、警察からの連絡のあと捜査が進み、勾留が決定されてからになるので、逮捕から約3日後となります。
さらに、被疑者に接見禁止処分が付された場合には、弁護人以外との面会が禁止されるので、家族でも面会することはできません。
これに対し、逮捕直後から認められている弁護士による接見は、被疑者にとっては大きな支えとなります。
4-1-3:警察・検察に早期釈放を求める
痴漢で逮捕された場合は、弁護士を通して、警察で送致前の釈放を求めたり、検察官、裁判官に対して勾留しないように働きかけることで、早期釈放を得られる可能性が高まります。
ここまで解説してきたように、逮捕されると同時に警察の取り調べは始まり48時間以内に検察官に送致され、検察官の取り調べを受けて必要であれば24時間以内に裁判所に勾留が請求されます。
この、逮捕直後から勾留請求されるまでの72時間の間に、できるだけ早く早期釈放を求めることが重要です。
弁護士に依頼することによって、被害者との示談が成立している場合は、さらに勾留されない可能性が高くなります。
釈放され在宅事件となった場合は、捜査は続いていますが、被疑者は普段通りの生活ができ、会社や学校にも行くことができます。
それだけでも、痴漢で逮捕された場合の社会生活におけるリスクを、少なからず抑えることができます。
4-1-4:検察に不起訴を求める
痴漢で逮捕された場合は、検察官が起訴の必要性を判断する勾留期間中(逮捕後13日以内)に、不起訴を求める弁護活動を行うことがとても大事です。
なぜなら、刑事事件においては、起訴された場合、保釈が認められなければ長期に渡り身体拘束が続くことになり、釈放されたとしても元の生活に戻ることが難しくなるため、検察官による不起訴処分を得ることがとても重要だからです。
不起訴処分を得るためには、弁護士を通して検察官に、証拠が不十分で被疑者に対する嫌疑が認められないことや、示談書や意見書を提出して、不起訴とすべき実情を主張する必要があります。
不起訴処分を得られた場合は、刑事裁判は行われず、そのまま身柄を解放され、再度逮捕される可能性は非常に低くなります。
4-1-5:精神的負担や事務的な負担を軽減できる
弁護士に依頼することで、経験に基づいた今後の見通しや適切なアドバイスを受けられるので、被疑者や家族の精神的な負担を軽減することができます。
さらに、迅速な行動によって、すぐに弁護活動や示談交渉にとりかかることで、早期の身柄の解放や示談成立を目指すことができます。
また、弁護士に依頼することによって、被害者との対応をはじめ、警察、検察さらには裁判所に対する手続きや、示談書・意見書の作成など様々な事務的負担を軽減することができます。
痴漢で逮捕された場合、被疑者本人はもとより家族も、どうしてよいのかわからず混乱されることが多いようです。
弁護士に依頼することで、逮捕後の被疑者・家族の不安や負担を最小限にすることができます。
4-2:弁護士費用の相場
痴漢事件として刑事事件化している場合の弁護士費用の相場は、着手金・成功報酬あわせておよそ66万~143万円程度となることが多いです。
弁護士費用の主な内訳としては、下の表の6つがあげられます。
各法律事務所によって、弁護士費用の料金体系は様々で、起訴前・起訴後の着手金や、不起訴処分の獲得・示談成立の成功報酬など、細かい料金設定となっている場合があります。
電話やメールでの無料相談などを利用して、事前に確認されることをおすすめします。
※当事務所(新橋第一法律事務所)では、ご相談は無料で受け付けていますので、ぜひお電話ください。
まとめ
ここまで、痴漢で逮捕された場合の、被害者に対する慰謝料の相場や、示談のメリット、知っておくべきポイントなどについて解説してきました。
最後に、今回の内容をまとめます。
■痴漢の慰謝料の相場
- 迷惑行為防止条例違反:10~50万円程度
- 強制わいせつ罪:30~150万円程度
■慰謝料を払って示談を成立させるメリット
- 身柄を解放される可能性が高くなる
- 前科がつかない不起訴処分の可能性が高くなる
- 判決で減刑される可能性が高くなる
■痴漢で逮捕された場合のリスク
- 最長23日間、身柄を拘束される
- 起訴され有罪になると前科がつく
- 会社や学校に知られる恐れがある
■痴漢で逮捕された場合は、すぐに弁護士に依頼して、被害者に謝罪し慰謝料を支払い、示談を成立させることが最も重要
■弁護士にできること
- 早期の示談成立を目指す
- 逮捕直後から面会して助言をする
- 警察・検察に早期釈放を求める
- 検察に不起訴を求める
- 精神的負担や事務的な負担を軽減できる
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。