【保存版】大麻で逮捕される4つの行為と刑罰・事例を弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- 大麻で逮捕される4つの行為と刑罰
- 大麻事件の特徴、逮捕後の流れ
- 大麻で逮捕されたら弁護士に依頼するのがおすすめ
あなたは、
「大麻で逮捕されたらどうなるの?」
「大麻で逮捕されるのはどんなケース?」
「大麻で逮捕されそうだけど、どうすればいいの?」
などの不安や疑問をお持ちではないですか?
結論から言うと、あなたやあなたの家族が大麻を持っていたり、大麻事件で逮捕された場合には、すぐに弁護士に相談されることをお勧めします。
大麻事件で逮捕され起訴されてしまうと、ほとんどのケースが有罪となり前科がついてしまうので、本人や家族の生活にとっては大きなデメリットとなります。
早期の解決とその後の生活への影響を最小限に抑えるには、できるだけ早い段階から弁護士に相談することが重要です。
特に、次のような場合は、弁護士の適切なアドバイスや素早い弁護活動が必要です。
- 家族が大麻で逮捕された場合
- 過去にも犯罪を行っている場合
- 家族が誤認逮捕された場合
大麻事件の解決は、時間との勝負になります。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
大麻で逮捕された場合のリスクとしては、主に次の4つです。
- 長期間身柄を拘束される可能性が高い
- 初犯でも起訴される可能性が高い
- 内容によっては重い処分になる可能性がある
- 会社や学校で解雇や処分を受ける可能性がある
リスクを避けるためには、逮捕後すぐに弁護士に相談しましょう。
弁護士にできることは、主に次の5つです。
- 逮捕直後から面会(接見)して助言する
- 身柄の解放、勾留阻止を求める
- 不起訴処分を求める
- 執行猶予・減刑を求める
- 再犯防止のための活動をする
大麻事件に強い弁護士に依頼することによって、逮捕後のリスクを最小限に抑えることができます。
1章:大麻で逮捕される4つの行為と刑罰
大麻で逮捕された場合は、大麻取締法によって処罰されます。
平成30年度の大麻取締法違反の検挙件数は、覚醒剤取締法違反(14,135件)に次いで多い4,687件となっています。
また、大麻取締法違反の検挙人員は、平成26年から5年連続で増加し、平成30年の検挙人員は過去最多の3,762人(前年比16.9%増)となっています。
大麻取締法違反に当たる行為として、次の4つがあげられています。
- 大麻所持
- 大麻譲渡・譲受
- 大麻栽培
- 大麻輸出・輸入
さらに、その違反行為が営利目的かも含めて個々の罰則が定められています。
ここで、大麻事件の罰則を、下の表で示します。
大麻の営利目的での違反に対しては、とくに罰則が重くなっています。
※併科とは、刑事裁判で同時に二つ以上の刑(懲役刑と罰金刑)を科することです。
薬物事件として疑いをかけられて逮捕されると、捜査・取り調べを受けて起訴されるまで、法律では被疑者(ひぎしゃ)として扱われます。
そして、検察官によって起訴されると被告人と呼ばれます。
1-1:大麻を所持していたとき
大麻所持による逮捕件数は、平成30年度では3,913件と多く、逮捕件数全体の83.4%となっています。
大麻取締法における「大麻」とは、大麻草すべてが対象ではなく、衣服の材料として活用されている麻(大麻草の成熟した茎)や、七味唐辛子などの調味料に利用されている麻の実(大麻草の種子)などは除外されています。
1-1-1:大麻所持で逮捕されるケース
大麻所持で逮捕されるケースとしては、職務質問や他の大麻事件による捜査、家族または友人等からの通報による家宅捜索などがあります。
職務質問や通報による家宅捜索によって、大麻と疑われるものが発見されると、簡易検査が行われます。
検査の結果、大麻であることが確認された場合は、その場で大麻所持による大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕されます。
簡易検査の結果、大麻であることが明確とならなかった場合には、科学捜査研究所の正式鑑定に回されます。
被疑者は身柄をいったん解放されますが、正式鑑定の結果、大麻であることが判明した場合には、大麻所持による大麻取締法違反の疑いで後日逮捕されます。
職務質問などの際に、大麻と疑われるものが発見されて、尿検査を求められる場合があります。
大麻取締法では、大麻の使用は違反行為とはなっていません。
理由の一つとしては、昔から使用されている麻や麻の実と、大麻草の規制対象となっている部分を使用したときの区別が困難なためです。
1-1-2:大麻所持の刑罰
営利目的ではない大麻の単純所持の場合は、5年以下の懲役刑となっています。
これに対して、営利目的での大麻所持は、7年以下の懲役、又は情状により200万円以下の罰金との併科となっています。
営利目的の大麻所持の場合は、所持量も多く繰り返し売買される可能性があるため、社会的危険性も高くなるので、より重い刑罰となっています。
1-1-3:大麻所持の逮捕事例
【大麻所持容疑、高校生2人逮捕 親「息子が密売話」通報】朝日新聞デジタル(2020年2月9日)
この事例では、高校生2人が、それぞれ自宅で乾燥大麻を5グラム以上所持していた疑いがあるとして逮捕されています。
「息子が大麻を栽培し、密売してもうけると言っている」という親からの110番通報によって家宅捜索が行われています。
捜査の結果、いずれも容疑を認め、乾燥大麻や大麻の種、さらには大麻栽培用のプランターや土などが押収されています。
1-2:大麻を譲渡・譲受したとき
警察に大麻の取引現場を目撃された場合は、当然現行犯逮捕されることになります。
また、大麻を所持していなくても、譲渡・譲受したという証拠があれば逮捕される可能性があります。
1-2-1:大麻の譲渡・譲受で逮捕されるケース
大麻の譲渡・譲受による逮捕では、大麻の売人の逮捕によって押収された顧客名簿や、メール・LINE等の証拠をもとに、購入者が特定され逮捕されるケースが多くあります。
被疑者として特定されると、自宅に突然家宅捜索が入り、大麻が発見されればそのまま逮捕されることになります。
大麻が発見されなかったとしても、すでに逮捕された譲渡者の自供や、メールやLINE等の被疑者の譲受に関する履歴から逮捕につながる可能性もあります。
1-2-2:大麻の譲渡・譲受の刑罰
営利目的ではない大麻の譲渡・譲受の場合は、5年以下の懲役刑となっています。
これに対して、営利目的での大麻の譲渡・譲受は、7年以下の懲役、又は情状により200万円以下の罰金との併科となっています。
営利目的での大麻取締法違反の場合は、初犯でも執行猶予がつくことはなく、ほぼ間違いなく実刑判決が下されることになります。
1-2-3:大麻の譲渡・譲受の逮捕事例
【大麻で大学生ら10人摘発、譲渡や所持疑い 静岡県警と清水署】静岡新聞NEWS(2020年6月3日)
この事例では、警察は営利目的で大麻を譲渡や所持したなどとして、大麻取締法違反などの疑いで16~24歳の男女10人を摘発しました。
リーダー格の19歳の少年を中心に、大学生を含めた仲間に大麻の譲渡、譲受が行われ、大麻に関する人脈が広まったと見られています。
詳しい入手ルートについては、現在も警察で捜査が行われているようです。
1-3:大麻を栽培していたとき
大麻は古くから衣料品の材料として栽培されています。
都道府県知事の免許を受けて農家が大麻を栽培することや、研究目的で栽培することは合法です。
しかし、免許を持たずに栽培していた場合は、大麻取締法違反となります。
1-3-1:大麻の栽培で逮捕されるケース
大麻の栽培で逮捕されるケースでは、すでに大麻取締法違反で逮捕された被疑者に対する捜査で、入手先が特定されて大麻の栽培が発覚することが多いです。
他には、大麻草の種や苗の購入履歴が発覚した場合や、室内やベランダでの栽培を友人や近所の人が警察に通報して逮捕されるケースなどがあります。
1-3-2:大麻の栽培の刑罰
営利目的ではない大麻の栽培の場合は、7年以下の懲役刑となっています。
これに対して、営利目的での大麻の栽培では、10年以下の懲役、又は情状により300万円以下の罰金との併科となっています。
大麻栽培は、栽培していた大麻草の株数が多いほど、多数の人に譲渡される可能性が高くなります。
そのため、大麻所持や譲渡に比べて重い罰則が定められています。
初犯であっても執行猶予が付かない可能性もあり、さらに営利目的の場合には、原則として懲役刑に加えて罰金刑も併科されます。
1-3-3:大麻の栽培の逮捕事例
【大麻草118本、民家で営利目的栽培 同居の男2人を再逮捕 京都府警】京都新聞(2020年6月21日)
この事例では、すでに大麻所持による大麻取締法違反で逮捕された被疑者2人が、営利目的で大麻を栽培していた疑いで再逮捕されています。
被疑者2人は共謀し同居する自宅の民家で、大麻草118本を営利目的で栽培し、逮捕時には大麻草約8.297グラムを所持した疑いです。
1-4:大麻を輸出・輸入したとき
大麻を輸出・輸入すると大麻取締法違反となります。
大麻の輸出入も栽培と同じく、大麻所持や譲渡に比べて重い罰則が定められています。
1-4-1:大麻の輸出・輸入で逮捕されるケース
大麻の輸出・輸入で逮捕されるケースとしては、海外からの大麻輸入を図って、空港の税関検査での発見・摘発によって逮捕されるケースが多いです。
これらは、インターネットによる取引で、個人使用や営利目的で海外から購入したものが多く、乾燥大麻だけでなく液状のものや大麻を含有する食品等も含まれています。
大麻発見後は、税関からの通報を受けた警察が、大麻輸入の疑いで被疑者の自宅を家宅捜索し捜査が進められます。
そこで大麻が発見された場合は、大麻所持の容疑でも逮捕されることになります。
1-4-2:大麻の輸出・輸入の刑罰
営利目的ではない大麻の輸出・輸入の場合は、7年以下の懲役刑となっています。
これに対して、営利目的での大麻の輸出・輸入では、10年以下の懲役、又は情状により300万円以下の罰金との併科となっています。
大麻の輸出・輸入も栽培の時と同じように、大麻の所持や譲渡・譲受より重い罰則となります。
初犯であっても執行猶予が付かない可能性もあり、さらに営利目的の場合には、原則として懲役刑に加えて罰金刑も併科されます。
1-4-3:大麻の輸出・輸入の逮捕事例
【乾燥大麻密輸 芦屋の男逮捕「ネットは安いから」】ラジオ関西トピックス(2020年6月10日)
この事例では、33歳の男性が、インターネットでアメリカ・オレゴン州のドラッグストアから乾燥大麻を購入し、国際郵便で密輸した疑いで逮捕されました。
密輸した乾燥大麻は66.86グラム(末端価格40万円相当)で、関西国際空港に到着した際に神戸税関の係員によって発見されました。
2章:大麻事件の特徴、逮捕後の流れ
この章では、大麻事件の特徴と逮捕後の流れを解説していきます。
平成30年における大麻事犯検挙人員は前年に引き続いて過去最多を更新し、若年層を中心とした増加傾向が継続しています。
大麻取締法違反の年齢層別の検挙人員を見ると、平成30年は、20歳代(1,521人)、30歳代(1,101人)の順に多く、両年齢層で全検挙人員の73.3%を占めています。
さらに、20歳未満の検挙人員は、前年度の1.4倍にあたる434人と急増しています。
2-1:大麻事件の特徴
大麻事件の特徴としては、先に数値でも示したように、年々若年層を中心に逮捕者が急増していることです。
「大麻の使用は違反にならない」
「海外では大麻が合法となっているので安全」
「大麻はほかの薬物と違って依存性がない」
などの誤った情報をもとに、興味本位や誘われたからといった理由で安易に使用する若者が多いようです。
また、海外の友人や留学経験のある人などが、罪の意識をあまり持たずに使用していると、オシャレなものとして感じてしまうこともあるようです。
大麻の使用は体にとって有害であり、他の薬物と同じように依存性もあり、違反すれば逮捕されます。
1章でも解説したように、大麻取締法違反に対する刑罰は、決して軽いものではなく、事例によっては実刑が下され、さらに罰金刑も合わせて科せられる場合もあります。
2-1-1:原則勾留される
大麻事件で逮捕された場合は、検察官による勾留請求によって逮捕後もそのまま身柄を拘束される場合が多くなっています。
大麻や他の薬物事件での逮捕においても、通常、現場や家宅捜索において薬物の所持や、尿検査による薬物の陽性反応など、犯罪を裏付ける証拠が十分そろっている場合が多いです。
しかし、薬物の入手先などの証拠隠滅の恐れや、薬物依存による再犯の恐れがあるため、逮捕後も勾留される場合が多くなっています。
さらに、10日間の勾留期間に捜査が終わらない場合は、共犯者や入手先の捜査の継続や鑑定結果が出ていないなどの理由で、勾留延長が認められるケースもあります。
2-1-2:不起訴処分は難しい
先に説明した通り、大麻事件で逮捕された場合は、犯罪を裏付ける証拠が十分そろっている場合が多いため、不起訴処分を得るのは難しいです。
「平成30年版 犯罪白書」によると、平成29年における起訴率は、覚醒剤取締法違反では77.7%、大麻取締法違反では51.6%、麻薬取締法違反では59.1%となっています。
同じく、平成29年における刑法犯の起訴率は、37.5%となっているので、薬物事件の起訴率は高く、他の刑法犯に比べて不起訴処分は難しいと言えます。
2-2:大麻事件で逮捕後の流れ
この章では、大麻事件で逮捕された後の流れについて説明します。
逮捕から判決までの流れは、上図のようになります。
2-2-1:逮捕から勾留決定までの72時間
大麻事件で逮捕されると、警察では取り調べを行い、逮捕から48時間以内に、被疑者本人や事件の証拠・資料などを検察官に引き継ぐ手続き「送致」をします。
送致後、検察官の判断で引き続き身柄拘束が必要な場合には、24時間以内に裁判所に対して勾留請求されます。
逮捕から72時間後に勾留が決定されると、引き続き身柄は拘束されることになります。
出来ればこの72時間の間に、弁護士を通して被疑者に証拠隠滅や逃亡の恐れがないことや、初犯で再犯の恐れもないことを検察官に訴えて、身柄の解放を求めることが重要です。
2-2-2:起訴・不起訴の判断が下される
逮捕後の勾留期間である最長23日間までに、検察官によって被疑者を起訴するか不起訴とするか判断されます。
先に説明した通り、薬物事件で逮捕された場合は、初犯でも不起訴処分を得ることは大変難しくなっています。
それでも、この23日間の弁護士による起訴をされないための弁護活動は、被疑者本人にとっては重要なものとなります。
なぜなら、不起訴になると刑事裁判にはならず、原則として罪に問われることなくそのまま身柄を解放されますが、起訴されてしまうと非常に高い確率で有罪となり前科がついてしまうことになるからです。
2-2-3:起訴から裁判まで
起訴された場合には、略式裁判(略式起訴)または刑事裁判が行われます。
略式裁判(略式起訴)とは、懲役刑を求めるほどの事件内容ではなく、さらに被疑者が罪を認めている場合に、検察官の判断によって裁判所に対して罰金刑を請求することです。
しかし、大麻事件をはじめ薬物事件の多くは、懲役刑が妥当と判断され、刑事裁判として公判が開かれます。
起訴された後、大麻の所持事件で初犯の場合には、身元引受人を用意することで保釈が許可されることもありますが、通常、判決が出るまではそのまま身柄を拘束されます。
刑事裁判の場合は、被疑者は必ず出廷し、検察、弁護人それぞれの証拠等をもとに、裁判官が判決を下すことになり、最終的に有罪の判決を受けた場合は前科がつくことになります
コラム:大麻で逮捕されると実名報道される場合がある
大麻事件で逮捕されると、地方都市などでは実名報道されたり、近所に噂が広まったりする可能性があります。
大麻で逮捕されたことが、周囲の人に知られることになると、本人はもとより家族に対しても厳しい目が向けられることになります。
当然、普段の生活を続けることが難しくなるだけでなく、有罪判決を受けて前科がついてしまうと、本人の将来にとっては大きなデメリットとなります。
3章:大麻で逮捕されたら弁護士に依頼するのがおすすめ
大麻で逮捕されたら、弁護士に依頼するのがおすすめです。
なぜなら、2章で説明したように大麻で逮捕された場合は、積極的な弁護活動をしなければ、そのまま起訴される可能性が高いからです。
大麻事件で逮捕された場合に、弁護士にできることとして、次の5つがあげられます。
- 逮捕直後から面会(接見)して助言をする
- 検察に早期釈放を求める
- 検察に不起訴処分を求める
- 執行猶予・減刑を求める
- 再発防止のための活動をする
3-1:逮捕直後から面会(接見)して助言をする
弁護士であれば、逮捕直後から被疑者と面会(接見)して助言することができます。
家族が被疑者と面会できるのは、警察から連絡があってから捜査が進み、勾留が決定された後になります。
つまり、逮捕直後から勾留が決定されるまでの約3日間は、家族でも面会は認められていません。
場合によっては、共犯者や犯罪組織とのつながりを疑われて、勾留期間中も接見禁止となることもあります。
弁護士による接見は、原則として自由に面会することができるので、必要なものや書類などを差し入れすることもできます。
さらに、接見の際に立会人が付くこともないので、被疑者に今後の流れや状況を説明し、適切なアドバイスをすることが可能になります。
被疑者との面会は、家族であっても警察署の定める面会時間に合わせて事前に連絡を取り、10分~20分程度面会できるだけで、その他にも、留置場で被疑者と面会するにはいろいろな制限が定められています。
弁護士による接見は、被疑者にとっては大きな支えとなり得るでしょう。
3-2:検察に早期釈放を求める
2-1-1で解説した通り、薬物事件で逮捕された場合は、薬物の入手先などの証拠隠滅の恐れや、薬物依存による再犯の恐れがあるため、そのまま身柄を拘束される場合が多くあります。
しかし、弁護士による検察官・裁判所に対しての、意見書の提出や勾留決定に対する準抗告によって、釈放される場合もあります。
釈放してもらうための主な条件としては、次のようなものがあげられます。
- 初犯である
- 薬物の単純使用・所持である
- 薬物の押収、家宅捜索なども終え、鑑定結果も既に出ている
- 入手先などの信用できる供述をしている
釈放された後も捜査は続きますが、被疑者は普段通りの生活ができるので会社や学校にも行くことができます。
これだけでも、逮捕されたことを周囲に知られる心配を、少なからず抑えることができます。
3-3:検察に不起訴処分を求める
弁護士に依頼することで、検察官に働きかけて不起訴処分を得られる可能性が高まります。
不起訴処分とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない、つまり罪に問わない決定をすることで、当然前科はつきません。
不起訴処分の理由としては、下図の3種類があります。
被疑者が犯行を否認している否認事件の場合は、被疑者に有利となる証拠を集めて、検察官に無実の主張が合理的であることを訴えていきます。
そして、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」として不起訴処分が得られるように求めていきます。
被疑者の犯行が証拠上明らかな場合は、事件内容によって様々ですが、主に次のような事情を訴えて、「起訴猶予」による不起訴処分を求めていきます。
- 大麻の所持量が微量なこと
- 使用回数が少なく依存性が低いこと
- 同種犯罪の前科前歴の有無
- 反省の度合い
- 更生に協力できる身元引受人の存在
不起訴処分の獲得を目指すには、早い段階からの弁護活動が大変重要となります。
3-4:執行猶予、減刑を求める
被疑者の犯行が証拠上明らかで起訴された場合は、執行猶予又は減刑を求める弁護活動を行います。
不起訴処分を求めた時と同様に、被疑者にとって有利となる実情を裁判官に対して訴えていきます。
大麻の所持の場合、初犯で営利目的がなければ、執行猶予付きの判決が出る可能性は高いです。
ここで、執行猶予について簡単に解説します。
執行猶予とは、有罪の判決を下されたが、その刑の執行を猶予する期間を与えるという意味です。
例えば、「懲役3年・執行猶予5年」の場合は、執行猶予期間中の5年間は、刑務所に入れられることはなく、通常の生活を送ることができます。
その執行猶予の5年間に罪を犯さなければ、懲役3年の刑は消滅します。
しかし、期間中に罪を犯すと執行猶予は取り消され、懲役3年の刑と犯した罪の懲役刑と合わせた期間、刑務所に入れられることになります。
裁判によって懲役刑が下されるか、執行猶予つきの判決が下されるかでは、被告人の今後の人生にとっては大きな違いがあります。
弁護士による執行猶予を求める弁護活動は、被告人にとってはとても重要なものとなります。
3-5:再犯防止のための活動をする
大麻事件においては、弁護活動の中でも重要なものとして、再犯防止のための活動があげられます。
再犯防止のための活動は、被疑者・被告人にとっての有利な情状として検察官や裁判官にアピールするだけでなく、本人の将来を正常な状態にするためにはどうしても必要なものです。
大麻事件では再犯の可能性もあるので、被疑者本人の自覚や反省はもちろんですが、家族や医療機関等の更生に向けた協力がとても重要となります。
弁護士は、本人の社会復帰後の再犯防止のために、本人や家族に対するアドバイスをはじめ、各種医療機関や施設等の紹介などの支援活動を行います。
薬物事件で、弁護士に相談すべきケースや、弁護士選び方、費用などについて詳しく知りたい方は、
こちらの記事をご覧ください。
【薬物で逮捕】弁護士に依頼すべきケース、依頼メリット、費用相場などを解説
まとめ
ここまで、大麻で逮捕されたらどうなるのか、詳しく解説してきました。
最後に今回の内容をまとめます。
■大麻で逮捕される4つの行為と刑罰
- 大麻を所持していたとき
- 大麻を譲渡・譲受したとき
- 大麻を栽培したとき
- 大麻を輸出・輸入したとき
■大麻事件の特徴、逮捕後の流れ
- 若年層を中心に、逮捕者が年々急増している
- 原則勾留される
- 不起訴処分は難しい
■大麻で逮捕されたら弁護士に依頼するのがおすすめ
弁護士にできることとして、次の5つがあげられます。
- 逮捕直後から面会(接見)して助言をする
- 検察に早期釈放を求める
- 検察に不起訴処分を求める
- 執行猶予・減刑を求める
- 再発防止のための活動をする
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。