【薬物で逮捕】逮捕されるケースや逮捕後の流れ、弁護士にできること

著者情報

住川 佳祐
(QUEST法律事務所 代表弁護士)

東京弁護士会所属。東京大学法学部卒。『NHK あさイチ』のTV出演の他、『プレジデント』『ダイヤモンド・セレクト』などメディア掲載多数。QUEST法律事務所のHPはこちら。

あなたは、

薬物で逮捕されたらどうなるの?」

「薬物で逮捕されるのはどんなケース?

家族が薬物で逮捕されたらどうしたらいいの?」

などの不安や疑問をお持ちではありませんか?

結論から言うと、薬物で逮捕された場合は、初犯でも起訴される可能性が高く、内容によっては重い罪になることもあります。

たとえば、薬物犯罪の中でも、営利目的の犯罪は、重い罪で処分されます。

また、薬物による幻覚などで、強盗や殺人といった、さらに重大な犯罪に及ぶこともあります。

さらに、最近では未成年者を含めた多くの人に広がっており、大きな社会問題の一つとなっています。

とくに、覚醒剤事件は、検挙者数が最も多く毎年1万人を超えていて、再犯率も高く平成30年では65.9%となっています。

また、大麻事件では、未成年者や20歳代の若者の検挙者が年々増加していて、平成30年では未成年者の検挙者数は、前年度の1.4倍にあたる434人と急増しています。

薬物事件で有罪となり前科がついてしまうと、本人や家族の生活にとっては大きなデメリットとなります。

早期の解決とその後の生活への影響を最小限に抑えるには、できるだけ早い段階から弁護士に相談することが重要です。

当記事の要点

薬物で逮捕された時の特徴としては、次の3つがあげられます。

  • 長期間身柄を拘束されることが多い
  • 初犯でも起訴される可能性がある
  • 営利目的や再犯の場合は重い処分になる

上の特徴であげたように、薬物事件で逮捕された場合は、起訴されて実刑判決を受ける可能性が高くなっています。

薬物事件で弁護士にできることは、主に次の5つです。

  • 逮捕直後から面会(接見)して助言する
  • 身柄の解放、勾留阻止を求める
  • 不起訴処分を求める
  • 執行猶予減刑を求める
  • 再犯防止のための活動をする

薬物事件に強い弁護士に依頼することによって、逮捕後のリスクを最小限に抑えることができます。

記事の目次


 1章:薬物で逮捕される法律と罰則

薬物を取り締まる法律としては、主に次の4つがあげられます。

  • 覚醒剤取締法
  • 大麻取締法
  • 麻薬及び向精神薬取締法
  • 医薬品医療機器等法

それぞれの違反行為と罰則、逮捕事例等を解説していきます。

1-1:覚醒剤で逮捕された場合

覚醒剤は、覚醒剤取締法によって罰則が定められています。

覚醒剤とは、アンフェタミン(「フェニルアミノプロパン」)、メタンフェタミン(「フェニルメチルアミノプロパン」)を含む物質です。

覚醒剤は依存性が非常に強く、神経を興奮させ眠気や疲労感がなくなり、頭が冴えたような感覚になるといわれています。

しかし、その後は激しい脱力感や疲労感、倦怠感などに襲われるようです。

冒頭でもあげたように、覚醒剤取締法違反による検挙者は、毎年1万人を超えています。

また常習性が強いため再犯率も高く、さらに、幻覚症状などの薬害によって、殺傷事件などの危険犯罪に及ぶことも多くなっています。  

1-1-1:覚醒剤で逮捕される違反行為と罰則

覚醒剤取締法違反の罰則

※併科とは、刑事裁判で同時に二つ以上の刑(懲役刑と罰金刑)を科することです。

覚醒剤取締法では、次の5つの違反行為があります。

  • 使用
  • 所持
  • 譲渡・譲受
  • 輸出・輸入
  • 製造

それぞれに罰則が定められていて、営利目的での違反行為にはさらに重い処分が定められています。

■違反行為:使用、所持、譲渡・譲受

  罰則①営利目的なし:10年以下の懲役

    ②営利目的あり:1年以上の有期懲役、又は情状により500万円以下の罰金との併科

■違反行為:輸出・輸入、製造

  罰則①営利目的なし:1年以上の有期懲役

    ②営利目的あり:無期もしくは3年以上の有期懲役、又は情状により1000万円以下の罰金との併科

1-1-2:覚醒剤での逮捕事例

【覚せい剤を密売目的で所持か、男女2容疑者を逮捕 注射器1780本など押収、京都府警】京都新聞(202073)

この事例では、営利目的での覚醒剤所持の疑いで、京都市内の男女2人が逮捕されています。

警察は家宅捜索の際に、覚醒剤計約200グラム(末端価格約1280万円)と注射器1780本を押収しています。

1-2:大麻で逮捕された場合

大麻は、大麻取締法によって罰則が定められています。

大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)、 及びその製品(樹脂等を含む)をいいます 。

大麻の葉や穂に含まれ有害成分THCによって、幻覚作用、記憶への悪影響、学習能力の低下等を生じさせます。

冒頭でもあげたように、大麻事件は未成年者・20歳代を中心に年々増加しています。

大麻の使用は違反にならない

海外では大麻が合法となっているので安全」

「大麻はほかの薬物と違って依存性がない

などの誤った情報をもとに、興味本位や誘われたからといった理由で安易に使用する若者が多いようです。

大麻の使用は体にとって有害であり、他の薬物と同じように依存性もあります。

当然ですが、大麻取締法に違反すれば逮捕されることになります。

1-2-1:大麻で逮捕される違反行為と罰則

大麻取締法違反の罰則

※併科とは、刑事裁判で同時に二つ以上の刑(懲役刑と罰金刑)を科することです。

大麻取締法では、次の4つの違反行為があります。

  • 所持
  • 譲渡・譲受
  • 栽培
  • 輸出・輸入

それぞれに罰則が定められていて、営利目的での違反行為にはさらに重い処分が定められています。

■違反行為:所持、譲渡・譲受

  罰則①営利目的なし:5年以下の懲役

    ②営利目的あり:7年以下の懲役、又は情状により200万円以下の罰金との併科

■違反行為:栽培、輸出・輸入

  罰則①営利目的なし:7年以下の懲役

    ②営利目的あり:10年以下の懲役、又は情状により300万円以下の罰金との併科

弁護士

大麻取締法では、大麻の使用は違反行為とはなっていません。

理由の一つとしては、昔から使用されている麻や麻の実と、大麻草の規制対象となっている部分を使用したときの区別が困難なためです。

しかし、尿検査で陽性反応が出た場合は、大麻の所持を立証する証拠の一つとなります。

1-2-2:大麻での逮捕事例

【大麻取締法違反の疑い 大学生ら7人逮捕 県警 知人宅に集まり吸引か】新潟日報(2020619)

この事例では、新潟の大学生7人が、大麻所持、譲渡・譲受の疑いで逮捕されています。

警察は、2月に1人を現行犯逮捕し、その後の捜査の結果、3月に1人、6月に5人の計7人を大麻取締法違反の疑いで逮捕しています。

1-3:麻薬及び向精神薬で逮捕された場合

ヘロイン・コカイン・LSDMDMAなどの麻薬や、規制された向精神薬は、麻薬及び向精神薬取締法によって罰則が定められています。

麻薬の中でもヘロインは、依存性が強く、激しい禁断症状をともなうため、特に重い罰則となっています。

向精神薬については、使用や譲受は違反行為とはならず、譲渡と譲渡目的での所持が違反行為として罰則の対象となっています。

1-3-1:麻薬及び向精神薬で逮捕される違反行為と罰則

麻薬及び向精神薬で逮捕される違反行為と罰則

ヘロインに対する違反行為と罰則

■違反行為:使用、所持、譲渡・譲受

  罰則①営利目的なし:10年以下の懲役

    ②営利目的あり:1年以上の有期懲役、又は情状により500万円以下の罰金との併科

■違反行為:輸出・輸入、製造

  罰則①営利目的なし:1年以上の有期懲役

    ②営利目的あり:無期もしくは3年以上の有期懲役、又は情状により1000万円以下の罰金との併科

ヘロイン以外の麻薬に対する違反行為と罰則

■違反行為:使用、所持、譲渡・譲受

  罰則①営利目的なし:7年以下の懲役

    ②営利目的あり:1年以上10年以下の懲役、又は情状により300万円以下の罰金との併科

■違反行為:輸出・輸入、製造

  罰則①営利目的なし:1年以上10年以下の懲役

    ②営利目的あり:1年以上の有期懲役、又は情状により500万円以下の罰金との併科

向精神薬に対する違反行為と罰則

■違反行為:譲渡目的の所持、譲渡

  罰則①営利目的なし:3年以下の懲役

    ②営利目的あり:5年以下の懲役、又は情状により100万円以下の罰金との併科

■違反行為:輸出・輸入、製造

  罰則①営利目的なし:5年以下の懲役

    ②営利目的あり:7年以下の懲役、又は情状により200万円以下の罰金との併科

1-3-2:麻薬及び向精神薬での逮捕事例

【ラグビー日野の選手逮捕 コカイン使用容疑―警視庁】時事ドットコムニュース(20200305)

この事例では、ラクビートップリーグのNZ出身選手が、麻薬取締法違反の疑いで逮捕されています。

被疑者は、パトロール中の警察に違法薬物使用の疑いで職務質問を受け、その後の尿検査の結果コカインの陽性反応が出ています。

【向精神薬を「やせ薬」として大量密売 容疑の薬剤師逮捕】朝日新聞デジタル(2016824)

この事例では、福岡に住む薬剤師の男が、向精神薬の「マジンドール」約2万錠を処方箋なしで福岡や東京、大阪などに住む中国人9人に密売し、430万円の利益を得ていたというものです。

九州厚生局麻薬取締部は、この男を麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いで逮捕しています。

1-4:危険ドラッグなどで逮捕された場合

危険ドラッグは、医薬品医療機器等法によって罰則が定められています。 

危険ドラッグとは、「合法ハーブ」「脱法ハーブ」などと呼ばれる、麻薬や覚醒剤と同じような成分が含まれている違法なドラッグです。

現在では、「お香やアロマ」「ハーブ」「バスソルト」など、用途がわからない形で販売されていることが多いです。

危険ドラッグを使用すると、依存性があったり有害なだけでなく、その場で中毒を起こしたり、最悪な場合は死に至ることもあります。

さらに、使用中の心身への影響によって、交通事故や殺傷事件などの危険犯罪に及ぶことも多くなっています。

1-4-1:危険ドラッグなどで逮捕される違反行為と罰則

危険ドラッグなどで逮捕される違反行為と罰則

医薬品医療機器等法では、次の8つの違反行為があります。

  • 使用
  • 所持
  • 製造
  • 輸入
  • 販売
  • 授与
  • 購入
  • 譲受

営利目的での違反行為にはさらに重い処分が定められています。

■営利目的なし:3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金又は併科 

■営利目的あり:5年以下懲役、もしくは500万円以下の罰金又は併科 

1-4-2:危険ドラッグなどでの逮捕事例

【危険ドラッグ36億円分を押収 アパートで保管の疑い】朝日新聞デジタル(2018310)

この事例では、危険ドラッグを販売目的で保管していた疑いで、住居、職業ともに不詳の男が警視庁によって逮捕されています。

警視庁はすでに、練馬区のアパート室内から過去最大規模となる約185キログラム(約36億円相当)の危険ドラッグや、その原料などを押収していています。

1-5:その他の薬物で逮捕された場合

その他の薬物を取り締まる法律として、次の2つがあります。

  • あへん法
  • 毒物及び劇物取締法

それぞれ説明します。

1-5-1:あへん法

それぞれ違反行為に罰則が定められていて、営利目的での違反行為にはさらに重い処分が定められています。

■違反行為:あへん又はケシガラの所持・譲渡・譲受・吸食

  罰則①営利目的なし:7年以下の懲役

    ②営利目的あり:1年以上10年以下の懲役、又は情状により300万円以下の罰金との併科 

■違反行為:ケシの栽培・あへんの採取・あへん又はケシガラの輸出入

  罰則①営利目的なし:1年以上10年以下の懲役

    ②営利目的あり:1年以上の有期懲役、又は情状により500万円以下の罰金との併科 

1-5-2:毒物及び劇物取締法

シンナーやトルエンなどの危険な毒劇物について、適切な取扱い方法などが定められています。

■違反行為:興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する特定の毒物又は劇物についての摂取・吸入・所持

  罰則:1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金、もしくは併科

■違反行為:興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する特定の毒物又は劇物についての販売・授与

  罰則:2年以下の懲役、又は100万円以下の罰金、もしくは併科

■違反行為:毒物又は劇物の無登録販売・授与

  罰則:3年以下の懲役、又は200万円以下の罰金、もしくは併科


2章:薬物事件の特徴、逮捕後の流れ

ここまで説明したように薬物事件では、さまざまな薬物に対して、さらに各違反行為別に、厳しい罰則が定められています。

また、厳しい罰則だけでなく、その捜査の進め方や処分においても薬物事件ならではの特徴があります。

ここでは、薬物事件の特徴と逮捕後の流れについて説明します。

2-1:薬物事件の特徴

薬物で逮捕された時の特徴としては、次の3つがあげられます。

  • 長期間身柄を拘束されることが多い
  • 初犯でも起訴される可能性がある
  • 営利目的や再犯の場合は重い処分になる

それぞれ解説していきます。 

2-1-1:長期間身柄を拘束されることが多い

薬物事件で逮捕された場合は、検察官による勾留請求によって逮捕後もそのまま身柄を拘束される場合が多くなっています。

なぜなら、薬物の入手先などの証拠隠滅の恐れや、薬物依存による再犯の恐れがあるためです。

10日間の勾留期間に捜査が終わらない場合は、共犯者や入手先の捜査の継続や鑑定結果が出ていないなどの理由で、さらに10日間の勾留延長が認められるケースもあります。 

薬物事件での逮捕においては、通常、現場や家宅捜索によって薬物の所持や、尿検査による薬物の陽性反応など、犯罪を裏付ける証拠が十分そろっている場合が多いです。

しかし、大麻や危険ドラッグなど、現場での簡易検査では判断できない場合は、身柄は拘束されず正式な鑑定結果を待って後日逮捕される場合もあります。

2-1-2:初犯でも起訴される可能性がある

先に説明した通り、薬物事件で逮捕された場合は、犯罪を裏付ける証拠が十分そろっている場合が多いため、初犯でも起訴される可能性があります。

とくに覚醒剤事件においては、「令和元年版 犯罪白書」によると、平成30年の起訴率は76.9とかなり高くなっています。

つづいて、麻薬取締法違反では56.0大麻取締法違反では50.8となっており、平成30年における刑法犯の起訴率32.8%と比べると、薬物事件での起訴率が高いことがわかります。

さらに、令和元年の覚醒剤取締法違反者の再犯者率は66.3と高いので、これも起訴率が高い要因となっています。

令和元年版 犯罪白書

2-1-3:営利目的や再犯の場合は重い処分になる

1章で示した各薬物の罰則表で分かるように、営利目的での違反行為に対する罰則は、特に厳しく重いものとなっています。

初犯でも違反行為が営利目的と認められた場合は、執行猶予がつくことなく実刑判決が下されることになります。

営利目的が認められるのは、薬物を売買していた証拠が上がっていたり、個人使用とは思えないほど大量の薬物を所持していた場合などになります。

また、薬物犯罪に関する前科があり、再度、薬物事件で逮捕された「再犯」の場合は、執行猶予はつかず実刑判決が下されることになります。

さらに、執行猶予期間中の再犯の場合は、執行猶予は取り消され、前回の懲役刑と今回判決を受けた懲役刑と合わせた期間、刑務所に入れられることになります。

2-2:薬物事件で逮捕後の流れ

逮捕から判決までの流れ

この章では、薬物事件で逮捕された後の流れについて説明します。

逮捕から判決までの流れは、上図のようになります。

2-2-1:逮捕から勾留決定までの72時間

薬物事件で逮捕されると、他の事件と同様に逮捕後48時間以内に検察官に送致されます。

送致とは、警察から被疑者本人や事件の証拠・資料などを検察官に引き継ぐ手続きです。  

送致後、検察官の判断として、引き続き身柄の拘束が必要な場合には、24時間以内に裁判所に対して勾留請求されます。

この勾留が決定されるまでの72時間は、家族でも被疑者と面会することはできず、弁護士しか面会できません。

逮捕から72時間後に勾留が決定されると、引き続き身柄は拘束されることになります。

出来ればこの72時間の間に、弁護士を通して被疑者に証拠隠滅や逃亡の恐れがないことや、再犯の恐れもないことなどを検察官に訴えて、身柄の解放を求めることが重要です。

2-2-2:起訴・不起訴の判断が下される

勾留が認められた場合、10日間の勾留と延長を含めた合計20日間の間に、検察官によって被疑者を起訴するか不起訴とするか判断されます。

先に説明した通り、薬物事件で逮捕された場合は、他の刑法犯より起訴率が高く、初犯でも不起訴処分を得ることは大変難しくなっています。

それでも、この勾留期間中の弁護士による起訴をされないための弁護活動は、被疑者本人にとっては最も重要なものとなります。

なぜなら、不起訴になると刑事裁判にはならず、原則として罪に問われることなくそのまま身柄を解放されますが、起訴されてしまうとかなり高い確率で有罪となり前科がついてしまうことになるからです。  

2-2-3:起訴から裁判まで

起訴された場合には、略式裁判(略式起訴)または刑事裁判が行われます。

略式裁判(略式起訴)とは、懲役刑を求めるほどの事件内容ではなく、さらに被疑者が罪を認めている場合に、検察官の判断によって裁判所に対して罰金刑を請求することです。

薬物事件で略式起訴されるのは、危険ドラッグなどの使用・所持などで医薬品医療機器等法違反として起訴された場合などに限られています。

薬物事件の多くは、懲役刑が妥当と判断され、刑事裁判として公判が開かれます。

起訴された後、薬物の使用・所持事件で初犯の場合には、身元引受人を用意することで保釈が許可されること        もありますが、通常、判決が出るまではそのまま身柄を拘束されます。

刑事裁判の場合は、被疑者は必ず出廷し、検察、弁護人それぞれの証拠等をもとに、裁判官が判決を下すことになり、最終的に有罪の判決を受けた場合は前科がつくことになります。

コラム:薬物で逮捕されると実名報道される場合がある

薬物事件で逮捕されると、地方都市などでは実名報道されたり、近所に噂が広まったりする可能性があります。

薬物で逮捕されたことが、周囲の人に知られることになると、本人はもとより家族に対しても厳しい目が向けられることになります。

当然、普段の生活を続けることが難しくなるだけでなく、有罪判決を受けて前科がついてしまうと、本人の将来にとっては大きなデメリットとなります。


3章:薬物で逮捕されたら弁護士に依頼するのがおすすめ

薬物で逮捕された場合は、できるだけ早い段階から弁護士に依頼されることをおすすめします。

なぜなら、薬物で逮捕された場合は、2-1で説明したように、

  • 長期間身柄を拘束されることが多い
  • 初犯でも起訴される可能性がある
  • 営利目的や再犯の場合は重い処分になる

などの特徴があるからです。

薬物事件で弁護士にできることは、主に次の5つです。

  • 不利益な供述や取り調べを防げる
  • 身柄の解放、勾留阻止を求める
  • 不起訴処分を求める
  • 執行猶予・減刑を求める
  • 再犯防止のための活動をする

それぞれ解説していきます。

3-1:不利益な供述や取り調べを防げる

逮捕直後の取り調べの段階から弁護士に依頼することで、被疑者にとって不利益な供述や取り調べを防ぐことができます。

なぜなら、弁護士であれば逮捕直後から被疑者に面会(接見)して、今後の捜査の見通しや状況を説明し、適切なアドバイスをすることができるからです。 

薬物事件で逮捕された場合は、逮捕後3日間(72時間)家族でも被疑者と面会することはできません。 

また、被疑者との面会は、家族であっても警察署の定める面会時間に合わせて事前に連絡を取り、10分~20分程度面会できるだけで、その他にも、留置場で被疑者と面会するにはいろいろな制限が定められています。

さらに、場合によっては共犯者や犯罪組織とのつながりを疑われて、勾留期間中も接見禁止となることもあります。

弁護士による接見は、原則として自由に面会することができるので、被疑者にとっては大きな支えとなります。

3-2:身柄の解放を求める

薬物事件で逮捕された場合は、薬物の入手先などの証拠隠滅の恐れや、薬物依存による再犯の恐れがあるため、そのまま身柄を拘束される場合が多くあります。

しかし、弁護士が、検察官に被疑者の身柄の解放を求める意見書を提出したり、裁判所に勾留決定に対する準抗告を行うことによって、釈放される場合もあります。

釈放してもらうための主な条件としては、次のようなものがあげられます。

  • 初犯である
  • 十分反省していて再犯の可能性がない
  • 薬物の単純使用・所持である
  • 薬物の押収、家宅捜索なども終え、鑑定結果も既に出ている
  • 入手先などの信用できる供述をしている

身柄を解放されても在宅事件として捜査は続きますが、被疑者は普段の生活に戻ることで、会社や学校にも行くことができます。

これだけでも、逮捕されたことを周囲に知られる心配を、少なからず抑えることができます。 

3-3:不起訴処分を求める

弁護士に依頼することで、検察官に働きかけて不起訴処分を得られる可能性が高まります。

不起訴処分とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない、つまり罪に問わない決定をすることで、当然前科はつきません。

不起訴処分の理由としては、下図の3種類があります。

不起訴処分の種類

被疑者が犯行を否認している否認事件の場合は、被疑者に有利となる証拠を集めて、検察官に無実の主張が合理的であることを訴えていきます。

そして、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」として不起訴処分が得られるように求めていきます。

被疑者の犯行が証拠上明らかな場合は、事件内容によって様々ですが、主に次のような事情を訴えて、「起訴猶予」による不起訴処分を求めていきます。

  • 薬物の所持量がごく微量なこと
  • 使用回数が少なく依存性が低いこと
  • 同種犯罪の前科前歴の有無
  • 反省の度合い
  • 更生に協力できる身元引受人の存在

不起訴処分の獲得を目指すには、早い段階からの弁護活動が大変重要となります。 

3-4:執行猶予、減刑を求める

被疑者の犯行が証拠上明らかで起訴された場合は、執行猶予又は減刑を求める弁護活動を行います。

不起訴処分を求めた時と同様に、被疑者にとって有利となる実情を裁判官に対して訴えていきます。

薬物事件の場合、初犯で営利目的がなければ、執行猶予付きの判決が出る可能性は高いです。

ここで、執行猶予について簡単に解説します。

執行猶予とは、有罪の判決を下されたが、その刑の執行を猶予する期間を与えるという意味です。

例えば、「懲役3年・執行猶予5年」の場合は、執行猶予期間中の5年間は、刑務所に入れられることはなく、通常の生活を送ることができます。

その執行猶予の5年間に罪を犯さなければ、懲役3年の刑は消滅します。

しかし、期間中に罪を犯すと執行猶予は取り消され、懲役3年の刑と犯した罪の懲役刑と合わせた期間、刑務所に入れられることになります。

裁判によって懲役刑が下されるか、執行猶予つきの判決が下されるかでは、被告人の今後の人生にとっては大きな違いがあります。

弁護士による執行猶予を求める弁護活動は、被告人にとってはとても重要なものとなります。

3-5:再犯防止のための活動をする

薬物事件においては、弁護活動の中でも重要なものとして、再犯防止のための活動があげられます。

再犯防止のための活動は、被疑者・被告人にとっての有利な情状として検察官や裁判官にアピールするだけでなく、本人の将来を正常な状態にするためにはどうしても必要なものです。

薬物事件では再犯の可能性もあるので、被疑者本人の自覚や反省はもちろんですが、家族や医療機関等の更生に向けた協力がとても重要となります。

弁護士は、本人の社会復帰後の再犯防止のために、本人や家族に対するアドバイスをはじめ、各種医療機関や施設等の紹介などの支援活動を行います。

薬物事件で、弁護士に相談すべきケースや、弁護士選び方、費用などについて詳しく知りたい方は、

こちらの記事をご覧ください。

【薬物で逮捕】弁護士に依頼すべきケース、依頼メリット、費用相場などを解説


まとめ

ここまで、薬物で逮捕されたらどうなるのか、詳しく解説してきました。

最後に今回の内容をまとめます。

■薬物で逮捕される法律と罰則

薬物を取り締まる法律としては、主に次の4つがあげられます。

  • 覚醒剤取締法
  • 大麻取締法
  • 麻薬及び向精神薬取締法
  • 医薬品医療機器等法

■薬物事件の特徴、逮捕後の流れ

薬物で逮捕された時の特徴としては、次の3つがあげられます。

  • 長期間身柄を拘束されることが多い
  • 初犯でも起訴される可能性がある
  • 営利目的や再犯の場合は重い処分になる

逮捕から判決までの流れ 

 ■薬物で逮捕されたら弁護士に依頼するのがおすすめ

弁護士にできることとして、次の5つがあげられます。

  • 不利益な供述や取り調べを防げる
  • 検察に早期釈放を求める
  • 検察に不起訴処分を求める
  • 執行猶予・減刑を求める
  • 再発防止のための活動をする

この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。