【離婚協議書サンプル付】書き方と作成する流れ、公正証書のメリット

監修者

弁護士法人新橋第一法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

【離婚協議書サンプル付】書き方と作成する流れ、公正証書のメリット
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チェック
この記事を読んで理解できること
  • 離婚協議書のサンプルと内容を解説
  • 離婚協議書を作成する流れ
  • 離婚協議書は公正証書にするのがおすすめ
  • 有利な離婚協議書を作成する3つのポイント

あなたは、

離婚協議書のサンプルが欲しい」
「離婚協議書の内容について知りたい」
「離婚後にトラブルが起きないようにしたい」

などとお考えではないですか。

夫婦で離婚について話し合い、各条件について合意が得られた場合は、離婚協議書を作成し、合意した内容を書面に残しておくことが重要です。

なぜなら、離婚の話し合いで合意が得られても、養育費や財産分与、慰謝料などの大切な条件が口約束だけになってしまうため、離婚後には守られない可能性があるからです。

そのため、離婚協議書を作成し、証拠として残しておく必要があります。

また、離婚協議書を公正証書にすることによって、相手からの養育費や慰謝料などの支払いが約束に反した場合は、裁判手続きを取ることなく給料や財産を差し押さえることもできます。

そのため、離婚協議書に書くべき内容や作成する流れ、離婚協議書を公正証書にするための手続きなどをしっかり理解することが重要です。

この記事では、1章で離婚協議書のサンプルと内容を解説し、2章では離婚協議書を作成する流れを、3章では離婚協議書を公正証書にするメリットなどについて解説します。

さらに、4章では有利な離婚協議書を作成する4つのポイントを、5章では離婚協議書の作成を弁護士に依頼すべき理由について解説していきます。

個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。

【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】

■協議離婚では、離婚の各条件について合意が得られた場合は、離婚協議書を作成し合意した内容の証拠を残しておくことが重要です。

特に、養育費や財産分与、慰謝料など金銭の支払いを含む場合は、必ず公正証書にすることをおすすめします。

■離婚協議書を作成する流れ

  • 離婚条件の話し合い
  • 離婚協議書の案文と加筆・修正
  • 合意後の署名・押印

■離婚協議書を公正証書にするメリット

  • 証拠としての価値が高い
  • 給料や預金を差し押さえるできる
  • 内容に誤りがなく確実性が高い

■有利な離婚協議書を作成するための、最も有効なポイントは、弁護士に交渉と作成を依頼することです。

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1章:離婚協議書のサンプルと内容を解説

離婚協議書とは、夫婦が離婚に関する話し合いの際に、親権や養育費、財産分与、慰謝料などの合意した条件を記載した書面のことをいいます。

1-1:離婚協議書のサンプル

離婚協議書のサンプルとしては、次のようになります。

離婚協議書の内容

※離婚協議書

1-2:離婚協議書の内容

離婚協議書に記載する内容としては、主に次のようになります。

  • 離婚協議書のタイトル
  • 離婚の合意
  • 子供がいる場合に必要な親権等
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割
  • 清算条項
  • 公正証書
  • 作成日と氏名・住所

上記の内容は、一般的に取り決められることが多い内容となっていますが、合意内容に応じて条項を追加あるいは削除する必要があります。 

それぞれ解説していきます。

1-2-1:離婚協議書のタイトル

離婚協議書のタイトルは「離婚協議書」と記載して、書面を作成する目的と内容を明確にする必要があります。

1-2-2:離婚の合意

まず、離婚に合意した夫婦それぞれの氏名と、離婚の合意と離婚届の提出者を記載します。

離婚協議書の内容

一般的には、婚姻によって改姓した側が、離婚届を提出することで合意する場合が多いです。

なぜなら、離婚後の改姓に関する手続きなどが必要となるため、離婚届を提出する際に一緒に行うことが多いからです。

1-2-3:未成年の子供がいる場合に必要な親権等

夫婦に未成年の子供がいる場合に必要な条項として、子供の親権や養育費、面会交流に関する合意内容等があげられます。

離婚協議書の内容

未成年の子供がいる場合は、離婚届にも親権者を記載する必要があるため、子供の親権は離婚協議書に必ず記載すべき条項と言えます。

またそれに伴って、子供の養育費や面会交流に関する合意内容も、子供の成長や進学なども踏まえて、できるだけ細かく記載することが重要です。

1-2-4:財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産を、離婚時に公平に分け合うことを言います。

財産分与に関して合意が得られた場合には、主に次の4つの内容を具体的に記載する必要があります。

  • 財産分与の対象となる財産
  • 財産分与として譲り渡すもの
  • 財産分与の支払い期日
  • 支払方法

離婚協議書の内容

ローンの残っている不動産の財産分与については、不動産の名義や離婚後も所有するか処分するかなど、名義変更やローンの引継ぎなどいろいろな取り決めが必要となります。

1-2-5:慰謝料

離婚に際して、慰謝料の支払いに関する合意が得られた場合には、主に次の4つの内容を具体的に記載する必要があります。

  • 慰謝料を支払う者
  • 慰謝料の金額
  • 慰謝料の支払い期日
  • 支払方法

離婚協議書の内容

1-2-6:年金分割

年金分割制度によって、婚姻中に納められた厚生年金保険料の支払実績(標準報酬)を、夫婦間で通常2分の1の割合で分割することができます。

離婚協議書の内容

ここでの注意点は、支給される夫婦の年金額を分割するわけではなく、婚姻期間中の厚生年金保険料の算定基礎となる標準報酬を分割するという点です。

さらに、年金分割は、国民年金は対象にならず、厚生年金部分だけが分割されることになります。

1-2-7:清算条項

清算条項とは、離婚協議書に記載した以外の債権債務が存在しないことを確認する条項です。

離婚協議書の内容

これによって、離婚後にさらなる慰謝料を請求されるなどの、後々のトラブルを防止することができます。

1-2-8:公正証書

離婚協議書を公正証書(強制執行認諾文言付公正証書)にすることに合意した条項です。

公正証書(強制執行認諾文言付公正証書)にすることで、相手の支払いが約束に反した場合は、裁判手続きを取ることなく給料や財産を差し押さえることができます。

離婚協議書の内容

詳しくは、3章で解説します。

1-2-9:作成日と氏名・住所

離婚協議書を作成した日時と、離婚する者の名前を記載します。

離婚協議書の内容

具体的には、双方の自署による署名と押印をします。

2章:離婚協議書を作成する流れ

離婚協議書を作成する流れとしては、次のようになります。

  • 離婚条件の話し合い
  • 離婚協議書の案文と加筆・修正
  • 合意後の署名・押印

それぞれ解説していきます。

2-1:離婚条件の話し合い

離婚の話し合い(離婚協議)の際には、離婚の合意だけでなく、1章で解説した離婚協議書の内容となる各条件について、合意に向けての話し合いを進めていく必要があります。

離婚する際に決めなければならない項目は多岐にわたるため、一つ一つの項目を確認しながら話し合いを進めていくことが重要です。

離婚条件に関して夫婦間で話し合いを進めることが難しい場合は、離婚調停を申し立てたり、弁護士に依頼することをおすすめします。

2-2:離婚協議書の案文と加筆・修正

夫婦間の話し合いによってある程度離婚条件等が決まった場合は、離婚協議書の案文を作成します。 

作成した離婚協議書の案文を基に双方で内容を確認し、最終的な合意に向けて加筆・修正を行っていきます。

離婚協議書の案文を作成したものの、その内容に不安がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

2-3:合意後の署名・押印

作成した離婚協議書の内容に問題なく合意が得られた場合は、作成日を記入しお互いの氏名を署名・押印します。

離婚協議書に署名・押印をした後に、その内容を変更することは容易ではないため、離婚協議書の内容に誤りがないか十分に確認することが重要です。

3章:離婚協議書は公正証書にするのがおすすめ

離婚協議書による離婚の合意が得られた場合は、条項にも記載したように公正証書にすることをおすすめします。

この章では、公正証書と離婚協議書の違いやそのメリット、さらには公正証書を作成するデメリットについて解説していきます。

3-1:公正証書とは

公正証書とは、公証役場において法務大臣に任命された公証人が作成し、その合意書の内容を証明する公文書のことです。 

そのため、離婚後に養育費や財産分与・慰謝料などの支払いが約束に反した場合は、公正証書(強制執行認諾文言付公正証書)にすることで、裁判手続きを取ることなく相手の給料や財産を差し押さえることができます。

3-2:公正証書のメリット

公正証書のメリットとしては、次の3つがあげられます。

  • 証拠としての価値が高い
  • 給料や預金を差し押さえるできる
  • 内容に誤りがなく確実性が高い

それぞれ解説していきます。

3-2-1:証拠としての価値が高い

離婚協議書は、離婚する夫婦が作成する私文書としての契約書になりますが、公正証書は公文書となるため、そこに記載された内容は公に証明されます。

そのため、養育費や慰謝料などの支払い等に関してトラブルになったとしても、公正証書に記載されている支払金額や支払い期日等の内容が、決定的な証拠になります。

3-2-2:給料や預金を差し押さえるできる

ここまで解説してきたように、公正証書は高い証明力を持つため、相手が養育費や慰謝料など金銭の支払いを怠った場合は、裁判手続きを取ることなく相手の給料や財産を差し押さえることができます。

もし、離婚協議書のままで公正証書にしなかった場合は、改めて養育費請求調停や慰謝料を請求する裁判を行う必要があるため、無駄な時間と費用が掛かることになります。

3-2-3:内容に誤りがなく確実性が高い

公正証書は、法律の専門家である公証人が内容をチェックして作成する公文書なので、記載された内容には誤りがなく確実性が高いです。

離婚協議書は、当事者同士で話し合いを行い作成することはできますが、文言が適切でなかったり、誤記・誤植によって合意内容と異なる記載になったり、体裁の不備によって無効となる場合もあります。

3-3:公正証書のデメリットは時間と費用

公正証書のデメリットとしては、時間と費用がかかることがあげられます。

公正証書を作成するためには、まず公正証書の案文を作成し、公証役場に公正証書(離婚公正証書)の作成を予約します。

次に、公正証書の案文を公証人に送付し、公証人による案文の形式等のチェックを受けて作成が行われるため、おおよそ1~2週間ほど時間がかかります。

その後、公正証書作成の日に夫婦で公証役場に行き、公正証書の内容を確認の上、夫婦それぞれと公証人が離婚公正証書に署名・押印します。 

公正証書作成の費用としては、次の図のようになります。

公正証書の手数料

公正証書の費用は、原則としてその目的価額によって定められており、目的価額が高額になるほど、手数料も高額になります。

目的価額とは、合意した財産分与や慰謝料によって得られる請求側の利益、相手からみれば支払わなければならない金銭的負担のことをいいます。

4章:有利な離婚協議書を作成する3つのポイント

有利な離婚協議書を作成するポイントとして、次の3つがあげられます。

  • 交渉可能な条項と交渉方法を知る
  • 各条項の相場観を知る
  • 弁護士に交渉・作成を依頼する

それぞれ解説していきます。

4-1:交渉可能な条項と交渉方法を知る

有利な離婚協議書を作成するためには、交渉可能な条項とその交渉方法を知る必要があります。

交渉可能な条項としては、養育費や財産分与、慰謝料などがあげられます。

養育費の金額は、夫婦双方の話し合いで合意が得られれば、自由に決めることができます。

また財産分与については、お互いの財産に関する資料を開示して、現在の財産に対する明確な算定を行い、相手に対する正当な金額を要求することができます。

さらに、相手の不貞行為やDV・モラハラなどの不法行為が原因で離婚する場合は、慰謝料を請求することができますが、そのためには相手の不法行為を証明する証拠が必要となり、慰謝料の金額については交渉の余地があります。

4-2:各条項の相場を知る

先にあげた各条項について交渉を有利にするためには、それぞれの相場を知ることが重要です。

例えば養育費の場合は、双方の親の収入をもとに、裁判所が養育費の金額を算定した「養育費算定表※」を基準として、決められるのが一般的です。

財産分与であれば、共有財産を離婚時に公平に分け合うことになるため、お互いの財産に関する資料の開示と、現在の財産に対する明確な算定が必要になります。

また慰謝料を請求できるケースでも、その内容・事例によって請求できる慰謝料の金額は様々ですが、過去の判例などから不貞行為やDV・モラハラなどそれぞれの慰謝料相場があります。

そのため、離婚協議書に記載するこれらの条項の金額を決定する際には、それぞれの相場を知ることが最も重要となります。

※平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

4-3:弁護士に交渉・作成を依頼する

有利な離婚協議書を作成するための、最も有効なポイントは、弁護士に交渉と作成を依頼することがあげられます。

離婚協議書の作成を弁護士に依頼すべき理由として、次の3つがあげられます。

  • 条件面での交渉を任せられる
  • 離婚協議書の作成や法的手続きを任せられる
  • 離婚成立後のトラブルを防げる

それぞれ解説していきます。

4-3-1:条件面での交渉を任せられる

弁護士であれば、先にあげた離婚協議の各条項の交渉方法や相場を熟知しているので、条件面での交渉を任せることができます。

またそれぞれの事案に合った交渉の落としどころも、長年の経験を踏まえて判断することができるため、交渉の長期化を防ぐことができます。

4-3-2:離婚協議書の作成や法的手続きを任せられる

離婚協議書の作成を弁護士に依頼することで、相手と合意する離婚条件の内容の判断だけでなく、適正かつ有効な離婚協議書にすることで離婚後の不要なトラブルを避けることができます。

さらに、離婚協議書で強制執行認諾文言付公正証書を作成する合意を得て、公証役場に申し込みを行い、公正証書にする手続きを行うことができます。

また弁護士が、公証役場との面倒なやり取りも全て行うため、依頼者の手間を大きく省くことができます。 

まとめ

ここまで、離婚協議書のサンプルと内容や、離婚協議書を作成する流れ、公正証書をおすすめする理由などついて解説してきました。

最後に今回の内容をまとめます。

■協議離婚では、離婚の各条件について合意が得られた場合は、離婚協議書を作成し合意した内容の証拠を残しておくことが重要です。

特に、養育費や慰謝料など金銭の支払いを含む場合は、必ず公正証書にすることをおすすめします。

■離婚協議書を作成する流れ

  • 離婚条件の話し合い
  • 離婚協議書の案文と加筆・修正
  • 合意後の署名・押印

■離婚協議書を公正証書にするメリット 

  • 証拠としての価値が高い
  • 給料や預金を差し押さえるできる
  • 内容に誤りがなく確実性が高い

■有利な離婚協議書を作成するための、最も有効なポイントは、弁護士に交渉と作成を依頼することです。

この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。

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