【専業主婦の離婚】お金、仕事、親権の問題の解消方法と3つの離婚の手続き
この記事を読んで理解できること
- 専業主婦でも離婚はできる
- 離婚したい専業主婦の不安やリスク
- 専業主婦が離婚するときの準備
- 離婚の流れと手続き3ステップ
あなたは、
- 専業主婦は離婚できるの?
- 離婚する場合、どのような準備をしたらよいの?
- お金、仕事、親権の問題をどうすればよいの?
とお考えではありませんか?
離婚の原因として、不倫や性格の不一致は代表的なものです。
そして、そのような理由で現在の夫と離婚できたとしても、専業主婦の立場では将来に色々な不安がありますよね。
結論から言えば、いくつかの条件を満たせば専業主婦が離婚することは可能です。
離婚できるのは、以下のような場合です。
- 協議や調停では、双方が合意に至った場合
- 裁判では、特定の離婚の原因を満たした場合
この記事を読むことで、専業主婦でも離婚する方法が分かり、適切な形で離婚の手続きを進められるようになります。
そこで、この記事では
1章で「専業主婦でも離婚はできる」
2章で「離婚したい専業主婦の不安やリスク」
3章で「専業が離婚するときの準備」
4章で「離婚の流れと手続き3ステップ」
について説明しています。
この記事を読んで、あなたが専業主婦でも離婚ができるのかどうかを確認しましょう。
目次
1章:専業主婦でも離婚はできる
結論から言えば、専業主婦でも離婚は可能です。
そもそも、離婚の形としては、次の三つがあります。
- 協議離婚(話し合いによる離婚)
- 調停離婚(家庭裁判所での話し合いによる離婚)
- 裁判離婚(家庭裁判所での判決による離婚)
このうち、協議離婚と調停離婚は、お互いが納得できるものであれば、どんな理由で離婚することも可能です。
なお、協議と調停が上手く行かなかったときには、裁判離婚になります。
この場合、民法で定められている離婚の理由がある場合にのみ、離婚が可能となるので注意が必要です。
2章:離婚したい専業主婦の不安やリスク
専業主婦が離婚しようとした場合、次の3つの不安やリスクが存在します。
- お金の問題
- 仕事の問題
- 親権の問題
それぞれ説明します。
2-1:お金の問題
専業主婦が離婚する場合、以下のような費用がかかります。
- 引っ越し費用
- 家賃
- 光熱費
- 通信費
- 食費
- 子どもにかかる費用
自立を図るためには、このような当面の生活費を自分一人で支えなければなりません。
そのため、まずは離婚後の生活にかかる費用の試算をしましょう。
また、経済的に自立するため、新しい仕事を探すことも必要です。
ただ、当面の生活は、離婚直後に得た資産でまかなえる場合もあります。
詳しくは3章で説明します。
2-2:仕事の問題
離婚後にもっとも重要なことは、経済的な自立です。
仕事から離れて専業主婦をしていると、長期間のブランクがある場合、正社員としての再就職が難しいのが現実です。
しかし、パートであっても、各種の手当・助成金や、元夫からの養育費を加えれば、生活は成り立ちます。
詳しくは3章で説明します。
2-3:親権の問題
子どもの親権がどちらに適切かどうかは、主に以下のような要素を考慮して総合的に行われます。
- 子どもの意思
- 子どもの年齢・性別・状況
- 子どもへの愛情
- 経済力
- 監護能力
- 住宅・学校などの環境
- 離婚前の環境との変化の度合い
子どもが幼いほど、母親が適任と判断される傾向にあります。
そして、年齢が高ければ高いほど、子どもの意思が重視される傾向にあります。
なお、15歳以上の子どもの親権を審判や訴訟で定める場合は、子ども本人の意思を聴くことになっています。
3章:専業主婦が離婚するときの準備
専業主婦が離婚するとき、以下のような準備が必要です。
- 生活費の試算
- 助成金の試算
- 財産分与や慰謝料の試算
- 養育費の試算
- 親権の確認
- 離婚後の仕事探し
それぞれ説明します。
3-1:生活費の試算
シングルマザーの生活費の内訳を費目別に解説すると、以下のとおりです。
その費目を合わせて、生活費を試算しましょう。
■家賃
住居費は、平均5~8万円程度かかります。
ただし、住む地域や住居形態や間取りにもよります。
なお、公営住宅に住む場合、民間の賃貸住宅よりも家賃が安く、2~3万円程度に設定されていることもあります。
シングルマザーとして、子育てのしやすさ、仕事のしやすさ、治安・安全面などを踏まえる必要があります。
■水道・光熱費
一般的には、1ヶ月あたり1万5,000円~2万円は見積もっておくべきです。
なお、水道代・ガス代・電気代などの水道光熱費は、居住している地域や住居の広さ、季節などによって変動します。
■食費
食費は、子どもの人数や年齢によって金額が変わります。
一般的には、子どもの年齢が低ければ、1ヶ月あたり3万円程度、小学生以上の子どもが2人以上いれば、1ヶ月あたり4~5万程度が目安です。
■日用品・雑費・交際費
日常生活で必要な雑貨などの費用として、1ヶ月あたり5,000~1万円程度は用意しましょう。
■通信費
固定電話・携帯電話・インターネット・NHKの受信料なども必要です。
通信費は、1ヶ月あたり1万5,000円~2万円程度用意しましょう。
■教育費
教育費は、小学校から高校まで公立の場合、1ヶ月あたり1~3万円程度必要です。
一方、私立の学校の場合、一般的には1ヶ月あたり6~9万円程度になります。
大学については、国公立大学の場合、1ヶ月あたり5~7万円、私立大学の場合、10~13万円となります。
■医療費・保険料
医療費・保険料は、1ヶ月あたり5,000~1万円程度、用意しておく必要があります。
自治体の医療費助成制度を利用すれば、負担は軽減されます。
3-2:助成金の試算
離婚してシングルマザーになった場合、さまざまな助成金を受け取れます。
助成金の種類や受給資格や条件は、自治体によって異なります。
たとえば、以下のような助成金があります。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 児童育成手当
- 母子家庭等の住宅手当
さまざまな助成金があるので、忘れずに調べたうえで、試算をしておきましょう。
3-3:財産分与や慰謝料などの試算
離婚の際には、離婚原因にかかわらず財産分与を請求できます。
財産分与とは、夫婦が結婚している間に協力して形成した財産を、離婚に伴って分ける制度です。
分け合うのは夫婦共同で得たものであり、結婚前から所有していたものは対象になりません。
また、配偶者の不貞行為や暴力など、有責行為がある場合は、慰謝料が請求できる場合があります。
民法770条1項には、法的離婚原因として以下の事由が挙げられています。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 強度の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
※「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく夫婦の同居義務・協力義務・扶助義務(民法第752条)を放棄する行為です。
不倫や浮気は「不貞行為」に該当し、DVやモラハラは「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
財産分与がいくらもらえるかは、夫婦の共有財産がいくらあるかによります。
相手方の預貯金や株式も、夫婦共有財産とみなされます。
その他、不動産、車、保険、貴金属、骨董品など、財産的価値があるものをリサーチしておきましょう。
慰謝料の額は、相手方にどれくらいの責任があるかによります。
たとえば、相手方の不倫の場合、100万~300万円が相場です。
また、慰謝料の請求には、証拠の確保が大切です。
そのためには、専門的な法律の知識が必要になるので、弁護士に相談するのがオススメです。
そのほか、婚姻費用を請求できる場合もあります。
婚姻費用とは、家族が、収入・財産・社会的地位に応じて、社会生活を維持するために必要な生活費のことです。
離婚成立前に別居している場合は、この婚姻費用を請求し、生活費を支払ってもらう権利があります。
3-4:養育費の試算
離婚した夫婦の間に未成熟の子どもがいる場合、子どもを引き取って直接育てる親が、もう一人の親に対して、養育費を請求できます。
養育費の金額は、裁判所の「養育費算定表」を参考にして決めます。
なお、算定表の金額は目安であり、交渉次第ではさらに高額の養育費を獲得できる場合もあります。
そのため、子どもの教育費を、具体的に想定・試算しておくことが必要です。
3-5:親権の確認
親権を取るには、経済的に安定していることが条件の一つです。
しかし、経済力がすべてではありません。
「子どもの年齢が低いほど母親が必要」と見られやすいため、専業主婦でも親権者になれる可能性は十分にあります。
仮に離婚調停や訴訟に進んだ場合でも、専業主婦の側が親権を取れるケースは多い傾向にあります。
ただし、次のような要因はマイナスになります。
- 離婚後の生活の見通しが立っていない
- 家事をしなかった
- ギャンブルで浪費する癖がある
その場合には、離婚を切り出す前にその要因に対処して、親権の獲得の可能性を高める必要があります。
3-6:離婚後の仕事探し
離婚後の仕事は、離婚前に探しておくのがベストです。
しかし、離婚後であっても仕事がまったく見つからない、ということにはなりません。
ただ、初めて仕事を探したところ、思いのほか採用状況が厳しいことも多いので、早めに仕事を探しておいた方がよいでしょう。
相手方にあまり財産がなく、財産分与や慰謝料をあまりもらえない場合もあるからです。
可能なら、専業主婦からワーキングマザーに転身するため、離婚の前に仕事を探しておくのが計画的です。
そして、隠れて貯金をしておけば、離婚後の生活費の足しにもなります。
ただ、離婚後にしか仕事を探せなかった場合でも、パートやアルバイトで時給の高い仕事を見つけることは可能です。
これにシングルマザー向けの手当・助成金や、元夫からの養育費を加えれば、生活は成り立ちます。
また、現代には、フリーランスとして働くという選択肢もあります。
何らかのスキルや資格を持っているか、これから学ぶ意欲や経済的余裕がある場合は、時間に融通が効くフリーランスという選択肢は有力です。
4章:離婚の流れと手続き3ステップ
専業主婦が離婚をする場合、以下のような3つの流れと手続きに沿って行う必要があります。
- 【ステップ1】離婚の切り出し方
- 【ステップ2】離婚の協議
- 【ステップ3】書類の準備と提出
それぞれ説明します。
4-1:【ステップ1】離婚の切り出し方
離婚の話を切り出すにあたり、注意したいのは以下の点です。
- 子どものいない状況を選ぶ
- 自分自身が感情的にならない
まず、離婚の話は、子どものいない状況を選ぶ必要があります。
なぜなら、離婚の話をするとき、夫が感情的になるリスクがあるからです。
そのような両親の姿は、子どもに見せるべきではありません。
そのため、離婚の話は、家の外で話すのが望ましいのです。
また、その話を切り出すときには、決して自分自身が感情的になってはいけません。
あくまでも淡々と、しかし固い意思があることを示しながら、言葉できちんと伝えるべきです。
DVが原因であるなど、話を切り出すこと自体にリスクが伴う場合は、人目のある場所を選び、可能ならば弁護士を介入させることも検討しましょう。
4-2:【ステップ2】離婚の協議
離婚の方法には、次の3つの方法があります。
■協議離婚
協議離婚とは、離婚すること自体や子どもの親権や財産分与が、何らトラブルなく夫婦間で話がまとまることです。
この場合、離婚届を役所に提出するだけで成立します。
家庭裁判所や弁護士など、第三者を介入させる必要はありません。
■調停離婚
調停離婚とは、協議の結果、話がまとまらない場合、家庭裁判所を通じて離婚の内容を話し合うことです。
■裁判離婚
裁判離婚とは、協議・調停を通じても、話がまとまらない場合、家庭裁判所に離婚請求を行うことで成立するケースです。
裁判所から判決が下るまでは、時間を要することが多いのが実情です。
離婚の協議の結果、どの方法が最適であるかはケースバイケースです。
そのため、夫と話し合い、また弁護士など専門家のアドバイスを受けながら、穏便かつ速やかに解決できる方法を探しましょう。
4-3:【ステップ3】書類の準備と提出
離婚をするには、当然ながら離婚届を提出しなければなりません。
その提出先は、夫婦の本籍地または夫婦の、所在地の市区町村の役所です。
離婚届で重要なことは、双方の合意のもとに提出する必要がある点です。
したがって、片方のサインでは受理されないので、きちんと合意を取り付けましょう。
提出の際には、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)が必要です。
また、本籍地以外の住所に住んでいる場合、戸籍謄本も求められます。
なお、調停協議の離婚では、調停調書の謄本も必要です。
まとめ:専業主婦でも離婚はできる
結論として、専業主婦が離婚することは可能です。
その際には、弁護士など専門家のアドバイスを受けると、円滑に離婚の問題を解決できます。
具体的な離婚の方法は、以下のとおりです。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
そして、専業主婦が離婚するときの準備は、以下のとおりです。
- 生活費の試算
- 助成金の試算
- 財産分与や慰謝料の試算
- 養育費の試算
- 親権の確認
- 離婚後の仕事探し
最後に、離婚の流れと手続きは以下の3ステップです。
- 離婚を切り出す
- 離婚を協議する
- 離婚届など、書類を準備・提出する
専業主婦が離婚したい場合、以上の内容を踏まえることで、新しい生活へのスタートを切れます。
専業主婦の方は、この記事を読んで、専業主婦が離婚する場合の適切な行動を取って行きましょう。