【協議離婚の慰謝料】請求できる5つのケースと相場、弁護士のメリット
この記事を読んで理解できること
- 協議離婚で慰謝料を請求できる5つのケースと相場
- 協議離婚で慰謝料を増額できる4つの要素
- 協議離婚を弁護士に依頼する4つのメリット
あなたは、
「協議離婚で慰謝料を請求する方法が知りたい」
「協議離婚の慰謝料相場が知りたい」
「正当な慰謝料を請求して早く離婚したい」
などとお考えではないですか。
結論から言うと、夫婦で話し合って離婚する協議離婚の場合、不倫やDV・モラハラなど相手に離婚の原因があり、その慰謝料について金額や支払い方法などを取り決める際は、十分に注意する必要があります。
なぜなら、
「慰謝料を請求すると言っても承諾してくれない」
「満足できる慰謝料で離婚できなかった」
「慰謝料を取り決めて離婚したが支払ってくれない」
などのトラブルが発生しやすいからです。
さらに、離婚条件に同意し協議離婚が成立した場合は、後になって慰謝料や養育費などを請求したり、慰謝料や養育費などの増額を求めたとしても認められない可能性があります。
そのため、離婚に際して相手に慰謝料を請求したい、正当な金額で合意したいと望む場合は、離婚を決意した段階や協議離婚の段階から、弁護士に相談することをおすすめします。
この記事では、1章では協議離婚で慰謝料を請求できる5つのケースと相場を、2章では協議離婚で慰謝料を増額できる4つの要素について、3章では協議離婚を弁護士に依頼する4つのメリットについて解説します。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
1章:協議離婚で慰謝料を請求できる5つのケースと相場
協議離婚で慰謝料を請求できるケースとして、相手による不法行為があげられます。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
慰謝料を請求できるケースでも、その内容・事例によって請求できる慰謝料の金額は様々ですが、大体の相場としては次のようになります。
- 不倫・浮気をした場合:150万~300万円
- DV、モラハラの場合:50万~300万円
- 悪意の遺棄(生活費を渡さないなど)の場合:50万~300万円
- セックスレスの場合
- 借金がある場合
それぞれ解説していきます。
1-1:不倫・浮気をした場合(150万~300万円)
相手の不倫や浮気などの不貞行為によって精神的苦痛を与えられ、その不法行為が原因で離婚に至った場合は、夫・妻の区別なく相手に対して慰謝料を請求することができます。
不貞行為の慰謝料相場としては、150万~300万円程度になります。
不貞行為は、夫婦相互の貞操義務に反する行為として、法律上離婚の訴えが認められる離婚事由(民法第770条)にも上げられています。
離婚事由が明らかな場合は、相手が離婚に納得していない状況でも、裁判において離婚が認められる可能性が高くなります。
この不貞行為を原因とする離婚は非常に多く、配偶者に対する慰謝料請求が認められるだけでなく、浮気相手に対しても不倫の慰謝料を請求できる可能性があります。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
※不倫慰謝料相場は50万~300万円!金額を決める7つの要因と高額請求法
1-2:DV、モラハラの場合(50万~300万円)
相手のDV(ドメスティックバイオレンス:身体的暴力)やモラハラ(言葉・精神的暴力)などの不法行為が原因で離婚に至った場合は、相手に対して慰謝料を請求することができます。
DV、モラハラの慰謝料相場としては50万~300万円程度になります。
特に暴力をふるうDVは、暴行・傷害といった犯罪行為であり、離婚に直結する事由と言えます。
また、モラルハラスメントによる言葉の暴力や態度によって、精神的に虐待した場合は、婚姻を継続し難い重大な事由として離婚できる可能性があります。
いずれも、その不法行為の内容や期間、回数、頻度などによって、離婚事由として認められるかどうかは変わってきます。
1-3:悪意の遺棄(生活費を渡さないなど)の場合(50万~300万円)
「生活費を渡さない」「家庭を捨てて省みない」などの悪意の遺棄とされる不法行為が原因による離婚の場合は、相手に対して慰謝料を請求することができます。
悪意の遺棄の慰謝料相場としては50万~300万円程度になります。
悪意の遺棄としては他に、同居を拒否して別居したり、健康なのに働かないなど、法律で定められた夫婦の義務(同居、協力、扶助)に反して、一方が悪意を持って放棄することです。
同居の義務とは、夫婦は一緒に生活しなければならないと定めたもので、あくまで倫理的規範ですが、正当な理由もなく一方的に同居を拒否することは、離婚事由となります。
協力・扶助の義務とは、夫婦は互いに協力・扶助して結婚生活を送るべきものであり、互いに同程度の生活が送れるように援助すべきだと定めたものです。
生活費を渡さない、病気や体の不自由な相手を支援しない場合などは、離婚事由となります。
1-4:セックスレスの場合
セックスレスや性的不調和が原因で夫婦関係を継続していくことが困難な場合は、離婚が認められる可能性があります。
また、夫婦のどちらかが一方的にセックスを長期間拒否している場合は、相手に対して慰謝料を請求できる場合もあります。
セックスレスの慰謝料はケースバイケースですが、単にセックスをしないだけでなく、配偶者以外の異性とセックスをしていた場合や、セックスを断る際に侮辱や暴力を伴う場合には慰謝料が認められやすくなります。
性的不調和としては、性的嗜好の違いや性行為の強要や、理由もなく拒否されている場合などがあげられます。
夫婦間のセックスは、婚姻関係においては大切な行為であり、夫婦関係を継続させるための重要な要素となっています。
そのため、正当な理由もなく、長期間にわたって一方的に性行為を拒否しているセックスレスの状態は、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められる可能性があります。
1-5:借金がある場合
相手に借金があること自体は、法律上離婚事由とは認められていませんが、単に借金があるだけでなく、借金によって夫婦関係が修復困難な状態まで破碇している場合は、認められる可能性があります。
相手が、ギャンブルや遊びで借金を繰り返していたり、多額の借金があり金銭面にルーズで、すでに信頼関係を失っているなど、婚姻を継続することが難しい場合です。
ただし、夫婦で加入したローン(住宅や車など)や、あなたが連帯保証人になっている借金については、あなたにも返済義務が生じます。
借金による離婚が認められ、慰謝料を請求できる場合でも、すでに借金をしている相手の財産状況などはさまざまです。
そのため、借金による離婚の場合の慰謝料は、少なくなる傾向があると考えられます。
離婚の原因となる不法行為を証明するには、証拠が必要となります。
2章:協議離婚で慰謝料を増額できる4つの要素
協議離婚の慰謝料を増額できる主な要素としては、次の4つがあげられます。
- 婚姻期間、同居期間が長い
- 収入・財産が多い
- 養育が必要な子供がいる
- 不法行為の内容が悪質、期間が長い、頻度が多い
それぞれ解説していきます。
2-1:婚姻期間・同居期間が長い
これまでの婚姻生活が円満なほど、例えば不貞行為などの不法行為による精神的被害が大きいと考えられるため、個々の事例にもよりますが、婚姻期間・同居期間が長ければ長いほど、慰謝料が高額になる可能性があります。
なぜなら、あくまでも慰謝料は不法行為によって受けた精神的苦痛の度合いに対して金額が決まるため、婚姻・同居期間が長いほど、婚姻生活を破綻に追いやった相手の不法行為による精神的被害が大きいと考えられるからです。
例えば、婚姻期間が20年の夫婦と婚姻期間が10年の、いずれも同じくらい仲が良い夫婦の場合、浮気されたときのショックが大きいのは、一般的には婚姻期間が20年の夫婦の方だと考えられます。
婚姻期間が長いからといって、慰謝料請求が必ず高額になるわけではありませんが、婚姻期間も1つの判断材料として採用される可能性があります。
2-2:収入・財産が多い
夫婦間の収入・財産が多い場合も、慰謝料が高額になる可能性があります。
なぜなら協議離婚では、お互いの話し合いによって慰謝料が決められるため、相手の年収が高い場合や財産が多い場合は、相手の同意が得られれば相場よりかなり高額な慰謝料を得られる可能性があるからです。
2-3:養育が必要な子供がいる
養育が必要な子供がいる場合は、慰謝料が高額になる可能性があります。
離婚が子供に与える影響は大きく、また子供が幼いほど精神的被害を受ける可能性が大きいと考えられるため、慰謝料は高額になる可能性があります。
2-4:不法行為の内容が悪質、期間が長い、頻度が多い
不法行為の内容が悪質であったり、期間が長い場合や、頻度が多い場合は、慰謝料が高額になる可能性があります。
不倫・浮気などの不貞行為が離婚原因の場合は、次のようなケースで慰謝料が高額になる可能性があります。
- 不貞行為の期間が長い
- 不貞行為が原因で別居した
- 不倫・浮気相手と同棲している
- 不倫・浮気相手が妊娠している
- 不貞行為を知ったことで精神疾患を患った
DV・モラハラが離婚原因の場合は、次のようなケースで慰謝料が高額になる可能性があります。
- DV・モラハラの期間が長い
- DV・モラハラの頻度が多い
- 特別な落ち度もなくDV・モラハラが始まった
- DV・モラハラによるケガ・後遺症が重い
- DV・モラハラによって精神疾患を患った
悪意の遺棄が離婚原因の場合は、次のようなケースで慰謝料が高額になる可能性があります。
- 別居期間が長い
- 特別な落ち度・理由がないのに別居している
- 健康で就労可能なのに働かない
- 相手に収入がないことを知りながら生活費を入れない
セックスレスが離婚原因の場合は、次のようなケースで慰謝料が高額になる可能性があります。
- セックスレスの期間が長い
- 婚姻後、一度もセックスがない
- 夫婦間ではセックスレスだが、不貞相手とはセックスしていた
- セックスを断るときに,配偶者を侮辱したり暴力を振るったりした。
以上、それぞれのケースで慰謝料が高額になる可能性があります。
3章:協議離婚を弁護士に依頼する4つのメリット
協議離婚を弁護士に依頼するメリットとしては、次の4つがあげられます。
- 話し合いを有利に進められる
- 手続きを弁護士に任せられる
- 離婚成立後のトラブルを防げる
- 離婚調停・訴訟に進んだときも安心
それぞれ解説していきます。
3-1:話し合いを有利に進められる
離婚交渉を法律のプロである弁護士に依頼することで、いろいろな離婚条件の話し合いを、有利に進められる可能性が高まります。
また、相手が離婚に応じない状況でも、弁護士に依頼することで、夫婦間では難しい離婚交渉もスムーズに進み、協議離婚が成立する場合もあります。
弁護士は、法律のプロであるだけでなく、交渉のプロでもあるので、あなたの主張を法的に有効な形で提示するだけでなく、落としどころを踏まえて交渉を進めていくことができます。
3-2:手続きを弁護士に任せられる
協議離婚を弁護士に依頼した場合、あなたの代理人として、相手との交渉だけでなく連絡の窓口となるので、あなたは相手と直接かかわる必要はなくなります。
また、離婚交渉だけでなく、各種手続きも弁護士に任せることができます。
協議離婚が成立した場合、弁護士が離婚協議書を作成し、協議離婚で合意が得られた各条件を書面化し、証拠として残しておくことができます。
また、離婚協議書で強制執行認諾文言付公正証書を作成する合意を得て、公正証書にする手続きを行うことができます。
強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくことで、慰謝料・養育費等の未払いなどが発生した際は、裁判を起こさなくても相手の給料や財産を差し押さえるなど法的手続きをとることができます。
3-3:離婚成立後のトラブルを防げる
協議離婚を弁護士に依頼することによって、離婚で合意された各条件が、こちらに不利な内容となっていないか、離婚後も合意を守ってもらえる内容となっているかなどを、チェックすることができます。
離婚成立後のよくあるトラブルとしては、主に次の4つがあげられます。
- 財産分与・慰謝料など金銭の未払い
- 不動産の名義変更やローンの未払い
- 養育費の未払いや最終年齢
- 離婚後の財産分与・慰謝料・年金分割の請求
弁護士は、こういったトラブルを防ぐための離婚協議書や公正証書など、対処法を熟知しているので、離婚後のこうした不安を抑えることができます。
3-4:離婚調停・訴訟に進んだときも安心
協議離婚での合意が得られず、離婚調停・訴訟に進んだ場合でも、弁護士はこれまでの当事者双方の状況を理解しているので、十分に対応することができます。
そのため、離婚調停の今後の見通しや、離婚条件に関するアドバイスなどが得られるので、離婚調停に進んでも安心して任せることができます。
また、離婚調停に必要な訴状や書類の作成、手続き等の煩雑な作業もすべて任せることができるため、離婚調停の準備や離婚調停期間中の精神的負担を、軽減することができます。
まとめ
ここまで、協議離婚で慰謝料を請求できる5つのケース、慰謝料を増額できる要素などについて解説してきました。
最後に今回の内容をまとめます。
■夫婦で話し合って離婚する協議離婚の場合でも、相手に慰謝料を請求したい、正当な金額で合意したいと望む場合は、離婚を決意した段階や協議離婚の段階から、弁護士に相談することをおすすめします。
■協議離婚で慰謝料を請求できる5つのケースと、慰謝料相場は次のようになります。
- 不倫・浮気をした場合:150万~300万円
- DV、モラハラの場合:50万~300万円
- 悪意の遺棄(生活費を渡さないなど)の場合:50万~300万円
- セックスレスの場合
- 借金がある場合
■協議離婚を弁護士に依頼するメリットとしては、次の4つがあげられます。
- 話し合いを有利に進められる
- 手続きを弁護士に任せられる
- 離婚成立後のトラブルを防げる
- 離婚調停・訴訟に進んだときも安心
離婚問題の解決は、離婚や慰謝料請求に強い弁護士に相談することをおすすめします。
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。