【痴漢の5つの証拠】疑われた時の対処法と弁護士に依頼するメリット

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

【痴漢の5つの証拠】疑われた時の対処法と弁護士に依頼するメリット
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 痴漢事件の5つの証拠
  • 痴漢の疑いをかけられた場合の対処法
  • 痴漢事件発生時の捜査と逮捕の流れ
  • 痴漢で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリット

あなたは、

「痴漢は被害者の証言(供述)だけで逮捕される?」

痴漢の証拠とされるものが知りたい」

「痴漢の疑いをかけられたらどうすればいい?」

などとお考えではありませんか。

結論から言うと、痴漢事件では、被害者の「痴漢です」という訴えによって発覚することが多く、その痴漢被害の証言(供述)が有力な証拠として重要視されます。

そのため、被害者の供述が、勘違いや思い込みによって事実と異なる場合でも、加害者と疑われたり、その場で現行犯逮捕されることもあります。

さらには、被害者の嘘の供述によって、痴漢行為を訴えられて、加害者とされてしまうケースもあります。

この記事では、1章で痴漢事件の5つの証拠を、2章では、痴漢の疑いをかけられた場合の対処法を解説します。

そして、3章では、痴漢事件発生時の捜査と逮捕の流れを、4章では、痴漢で逮捕された場合に、弁護士に依頼するメリットについて解説します。

個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。

【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】

痴漢事件では、被害者の供述や目撃者の供述、防犯カメラの映像などが証拠とされます。

そして、被疑者の自白が最も重要な証拠となります。

痴漢事件の被疑者として逮捕された場合は、長期間身柄を拘束され、起訴された場合は有罪になる可能性が高くなります。

そのため、痴漢で逮捕された場合、早期解決を図るためには、被害者との示談を成立させることが最も重要です。

また、痴漢冤罪の場合は、警察等の捜査機関に強要されて自白してしまうと大変不利になります。

■痴漢事件の逮捕から判決までの流れ

逮捕から判決までの流れ

目次

  1. 1章:痴漢事件の5つの証拠
    1. 1-1:被害者の供述
    2. 1-2:目撃者の供述
    3. 1-3:防犯カメラの映像
    4. 1-4:繊維鑑定・DNA鑑定
    5. 1-5:被疑者の自白
  2. 2章: 痴漢の疑いをかけられた場合の対処法
    1. 2-1:実際に痴漢をした場合
      1. 2-1-1:素直に罪を認め、逮捕(身柄の拘束)を避ける
      2. 2-1-2:被害者との示談を成立させ起訴を避ける
    2. 2-2:痴漢をしていない場合
      1. 2-2-1:逃げてはダメ!逃亡のおそれがないことを示す 
      2. 2-2-2:「すみません」はNG!痴漢をしていないことを主張する
      3. 2-2-3:「録音します」と言って堂々とその場のやり取りを残す
      4. 2-2-4:証拠隠滅のおそれがないことを示す
      5. 2-2-5:強要されても自白しない
    3. 2-3:いずれの場合でもすぐに弁護士に相談する
  3. 3章:痴漢事件発生時の捜査と逮捕の流れ
    1. 3-1:痴漢事件発生時の捜査7項目
    2. 3-2:現行犯逮捕されたケース
    3. 3-3:現行犯逮捕されていないケース
      1. 3-3-1:身柄を拘束せず在宅事件として捜査
      2. 3-3-2:後日、通常逮捕(後日逮捕)される
  4. 4章:痴漢で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリット
    1. 4-1:被害者との示談を成立させる
      1. 4-1-1:示談成立のメリット
      2. 4-1-2:示談交渉の流れと示談金相場
    2. 4-2:弁護士であれば逮捕直後から面会できる
    3. 4-3:被疑者にとって不利な供述を防げる
    4. 4-4:精神的負担や事務的な負担を軽減できる
  5. まとめ
刑事事件はスピードが重要!手遅れになる前に加害者専門の弁護士法人QUEST法律事務所にご相談ください
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1章:痴漢事件の5つの証拠

痴漢事件において、犯人を特定する証拠となり得るものとして、次の5つがあげられます。 

  • 被害者の供述
  • 目撃者の供述
  • 防犯カメラの映像
  • 繊維・DNA鑑定
  • 加害者の自白

それぞれ解説していきます。

1-1:被害者の供述

痴漢被害者の供述は、最も重要な証拠となります。

その供述が、具体的で迫真性があり、さらに不自然さ・不合理性がない場合は、信用できる証言として、犯人を特定する有力な証拠となり得ます。

また、最も発生件数の多い電車内での痴漢の場合は、目撃者が特定できず被害者の供述のみが証拠となるケースも多くあります。

こういった場合は特に、供述の信憑性が判決を左右する重要な鍵となるので、供述を鵜呑みにすることが、痴漢冤罪を引き起こす原因となる可能性もあります。

1-2:目撃者の供述

痴漢行為の目撃者がいる場合は、その供述は有力な証拠となり得ます。

目撃者の供述も被害者の供述同様、具体的で迫真性があり、さらに不自然さ・不合理性がない場合は、信用できる証言として、犯人を特定する有力な証拠となり得ます。

しかし、その供述を証拠とする場合も、被害者の供述との整合性や、痴漢行為の視認状況、被害者との関係など、その供述の信憑性をしっかり検討する必要があります。

また逆に、痴漢で疑われている人の、痴漢行為を否定する目撃者の供述が得られる可能性もあります。

1-3:防犯カメラの映像

電車内や駅構内の防犯カメラの映像に、痴漢行為を確認できる映像が残されている場合は、犯人を特定する有力な証拠となります。

ただし、混雑する電車内の映像では、痴漢行為を確認することは難しく、被害者や被疑者の位置関係が確認できるだけという場合がほとんどです。

この場合は、被害者や被疑者、目撃者の各供述と防犯カメラ映像との整合性を確認することで、各供述内容を裏付ける証拠となります。

1-4:繊維鑑定・DNA鑑定

痴漢事件では、被疑者の手や指に付着した繊維の鑑定が行われます。

繊維鑑定によって、被害者の衣服の繊維が検出された場合は、被疑者が被害者の身体に触ったことを裏付ける証拠となります。

また、被害者が痴漢被害にあった衣服や身体部分、さらには被疑者の手や指に付着したDNAの鑑定が行われます。

被疑者のDNAが被害者の衣服や身体から検出された場合や、逆に被害者のDNAが被疑者の手・指から検出された場合は、被疑者が被害者の身体に触ったことを裏付ける証拠となります。

ただし、繊維鑑定・DNA鑑定によって、被害者の衣服の繊維や、被疑者・被害者のDNAが検出されなかった場合でも、痴漢行為がなかったことを裏付ける証拠とはなりません。

1-5:被疑者の自白

痴漢事件では、被疑者の自白が最も重要な証拠となります。

被害者の供述と、被疑者の自白が揃った場合は、痴漢の証拠としては十分と判断され、有罪になることがほとんどです。

そのため、もし痴漢行為を行っていないのであれば、警察等の捜査機関に強要されたとしても、自白してしまうと大変不利になります。

2章: 痴漢の疑いをかけられた場合の対処法

痴漢の疑いをかけられた場合の対処法として、次の2つの場合に分けて解説していきます。

  • 実際に痴漢をした場合
  • 痴漢をしていない場合

また、いずれの場合でも、すぐに弁護士に相談することが重要であることも解説します。

2-1:実際に痴漢をした場合

実際に痴漢をした場合は、「逮捕」「起訴」されるリスクを避けるための対処法が必要です。

  • 素直に罪を認め、逮捕(身柄の拘束)を避ける
  • 被害者との示談を成立させ起訴を避ける

それぞれ解説していきます。

2-1-1:素直に罪を認め、逮捕(身柄の拘束)を避ける

痴漢の疑いをかけられ、実際に痴漢行為を行っていた場合は、逮捕されて長時間身柄を拘束されることを避けることが重要です。

なぜなら、痴漢の現行犯で逮捕された場合、身柄を拘束され勾留請求が認められると、一般的に逮捕時から23日間の身体拘束を受けることになるからです。

痴漢事件の被疑者として逮捕されることを避けるための対処法としては、素直に罪を認めて謝罪し、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを、警察に認めてもらう必要があります。

そのためには、家族や弁護士に連絡して警察署に急行してもらい、身柄引受人として「身柄引受書」を提出するなど、警察に即時釈放を求めることが重要となります。

それによって、痴漢の被疑者として警察署に連行されても、取り調べやDNA鑑定に必要な資料の確保等の必要な捜査が行われた後、逮捕も勾留もされずに釈放される可能性が高まります。

2-1-2:被害者との示談を成立させ起訴を避ける

痴漢行為によって逮捕された場合は、被害者との示談を成立させることがとても重要です。

なぜなら、示談が成立しているということは

「被害者との損害賠償問題は解決している」

「被害者との和解が成立し、許しを得ている」

「被疑者は十分反省している」

と、警察や検察官、裁判官に判断されるからです。

示談が成立することによって、早期の身柄の解放を望むことができ、初犯であれば不起訴になる可能性もあります。

また、起訴された後でも、示談が成立し被害者の許しが得られたと判断されれば、量刑が軽くなり罰金刑になる可能性や、執行猶予がつき実刑を免れる可能性も高くなります。 

そのため、なるべく早い段階で示談を成立させることが重要です。

しかし、痴漢事件の被害者は、加害者やその家族との接触を避けることが多く、捜査機関からも被害者の連絡先は開示してもらえません。

そのため、被害者との示談を成立させるためには、弁護士に依頼することが極めて重要であるといえます。

なお、痴漢で逮捕された場合に、知っておくべきことなどについて、詳しくは次の記事で解説しています。

【家族が痴漢で逮捕】すぐに取りたい行動と知っておきたい3つのこと

また、痴漢事件で弁護士にできること、弁護士費用相場などについて、詳しくは次の記事で解説しています。

【家族が痴漢で逮捕】弁護士にできること、弁護士費用相場と選び方

2-2:痴漢をしていない場合

痴漢をしていない場合は、痴漢冤罪を避けるための対処法が必要となります。

主な対処法としては次の5つがあげられます。

  • 逃亡のおそれがないことを示す 
  • 痴漢していないことを主張する
  • 録音してその場のやり取りを残す
  • 証拠隠滅のおそれがないこと示す
  • 強要されても自白しない

それぞれ解説していきます。

2-2-1:逃げてはダメ!逃亡のおそれがないことを示す 

痴漢の疑いをかけられた場合、被害者や周囲の人たちは、すでにあなたを痴漢行為の加害者とし見ているので、その場から逃げてしまうのは、後々不利益になる可能性が高くなります。

なぜなら、逃げようとした行為こそが、加害者である証拠だと受け取られますし、逃げ切れたとしても、その後の捜査で後日、逮捕される不安や可能性が残るからです。

また、痴漢の冤罪で逮捕されないためには、身分を証明するものを提示して、警察に痴漢行為を否認するだけでなく、「逃亡の恐れがない」ことを理解してもらう必要があります。

2-2-2:「すみません」はNG!痴漢をしていないことを主張する

痴漢の疑いをかけられた場合は、「私は痴漢行為などしていない」と被害者だけでなく、周囲の人たちに対してもしっかりと主張することが重要です。

その際、突然痴漢の疑いをかけてきた被害者に対して、思わず「すみません。」と言ってしまうことはNG行為となります。

なぜなら、日本人の習慣として思わず口にした言葉であっても、あなたを加害者だと疑っている被害者にとっては、痴漢行為を認めたと受け取られてしまうからです。

出来れば、大きな声ではっきりと痴漢行為をしていないことを主張して、目撃者はいないか周りの人に助けを求めることも有効です。

2-2-3:「録音します」と言って堂々とその場のやり取りを残す

痴漢の疑いをかけられた場合は、堂々と「会話を録音します」と言って、その場のやり取りをスマートフォンなどで録音することが大事です。

痴漢の被害者は、あなたを加害者だと思い込んでいるので、痴漢行為はしていないといくら主張しても、相手が納得してくれる可能性は低いと言えます。

そのため、被害者に痴漢行為を受けた細かい状況や、あなたを加害者だと主張する理由なども十分に聞く必要があります。

そうした会話を録音した中には、事実と異なる点やあいまいな点があるなど、その後の証拠となる可能性もあるので、会話を保存することは重要だと言えます。

また、現場で落ち着いて被害者の話を聞き、事実確認をすることによって、その場で食い違う点が明らかになるケースも多いです。

2-2-4:証拠隠滅のおそれがないことを示す

痴漢行為を行ったと疑われ、警察に事情を聴かれた際は、一貫して痴漢行為を否認すると同時に、鑑識による微物採取などに、積極的に応じる姿勢を示すことが重要です。

被害者の服と同じ繊維片が確認できなければ、客観的証拠はないことになり、また確認できたとしても、採取箇所が被害者の供述と矛盾する点を検証することもできます。

最近では、示談金目当ての痴漢被害常習者も存在するため、被害申告も鵜呑みにはできないので、被害者の供述内容も細かく検証されます。

2-2-5:強要されても自白しない

痴漢行為を行っていないのであれば、警察等の捜査機関の取り調べで繰り返し強要されても、やってもいない痴漢行為を自白してはいけません。

捜査機関に、「否認したままだと罪が重くなるぞ」などと圧力をかけられて、一度でも自白してしまうと、有罪を認定する有力な証拠とされてしまいます。

また、取り調べの際に、警察官の巧みな言い回しによって、あたかも痴漢行為を認めているような、供述調書を作成される可能性もあります。

そのため、痴漢冤罪の場合は、供述調書の署名押印は避けるだけでなく、弁護士のアドバイスを受けるまでは、取り調べに対しても痴漢行為については黙秘を続けることが重要です。

痴漢の疑いをかけられた場合に、知っておくべきことなどについて、詳しくは次の記事で解説しています。

電車で痴漢の疑いをかけられた場合の対処法と弁護士に依頼するメリット

2-3:いずれの場合でもすぐに弁護士に相談する

ここまで解説してきたいずれの場合でも、痴漢の疑いをかけられた場合は、すぐに弁護士に相談することが重要です。

なぜなら、痴漢事件の被疑者として逮捕されてしまうと、最長23日間にわたって身柄を拘束され、最悪の場合には、そのまま起訴されて有罪になる可能性もあるからです。

特に、痴漢行為を否認している痴漢冤罪の場合、検察官は捜査の必要性を重視し、勾留を請求することがほとんどです。

しかし、弁護士に依頼することによって、裁判官に意見書を提出し、勾留請求を却下してもらえるように働きかけるなど、早期釈放を得るための弁護活動を行うことができます。

また、痴漢事件においては、早期の身柄解放、不起訴処分を得るためには、被害者との示談を成立させることが最も重要となります。

しかし、加害者やその家族が被害者と連絡を取ることは現実的に難しく、被害者との示談を成立させるためには、弁護士に依頼することが極めて重要であるといえます。 

3章:痴漢事件発生時の捜査と逮捕の流れ

痴漢事件発生時の、警察の一般的な捜査方法と逮捕の流れについて解説します。

3-1:痴漢事件発生時の捜査7項目

痴漢事件では、1章であげた各証拠を収集するために、事件発生時の捜査項目として、次の7つがあげられます。

1.目撃者の確保

2.防犯カメラ映像の収集

3.犯行再現による証拠保全

4.被疑者、被害者の身体測定等

5.実況見分による証拠保全

6.被疑者の手指からの微物採取

7.被害者の供述調書作成 

各項目とも証拠の収集、保全が求められますが、そのためには膨大な作業が必要となります。

痴漢事件では、誤認逮捕を防ぐために、被害者の供述だけでなく、あらゆる客観的証拠を収集して、痴漢行為を細かく検証する捜査が進められます。

3-2:現行犯逮捕されたケース

痴漢で現行犯逮捕された場合は、被疑者として身柄を拘束され、警察の取り調べを受けます。

現行犯逮捕された後の流れとしては、次の図の様になります。

逮捕から判決までの流れ

痴漢の現行犯で逮捕された場合、身柄を拘束され勾留請求が認められると、一般的に逮捕時から23日間の身体拘束を受けることになります。

その後、検察官によって起訴された場合は、刑事裁判までさらに1~2ヶ月ほど勾留が続くことになります。

当然、通常の生活を送ることはできないので、勾留期間が長引くほど、被疑者の社会生活に対する悪影響は大きなものとなっていきます。

痴漢で逮捕され身柄を拘束された場合は、逮捕直後から適切な弁護活動を行い、早期の身柄の解放を求めていくことが重要です。

3-3:現行犯逮捕されていないケース

痴漢の疑いをかけられたが、現行犯逮捕(身柄が拘束)されていないケースとして、次の2つがあげられます。

  • 身柄を拘束せずに在宅事件として捜査される
  • 痴漢事件の捜査によって、後日、通常逮捕される  

それぞれ解説していきます。

3-3-1:身柄を拘束せず在宅事件として捜査

痴漢の疑いで警察署に連行されても、取り調べやDNA鑑定に必要な資料の確保等の必要な捜査が行われた後、逮捕も勾留もされずに釈放されることがあります。

痴漢を認めているのに釈放されるケースとしては、初犯で身元がしっかりしていて逃亡の恐れがなく、深く反省していて前科・前歴もない場合などがあげられます。

しかし、逮捕されない場合でも、取り調べの際の「供述調書」などの捜査書類は、検察官に送致(報道では「書類送検」)されます。

この段階では、まだ痴漢事件の捜査は終わっていないので、在宅事件として検察官による呼び出しや取り調べが行われ、起訴・不起訴が決められることになります。

当然、起訴される可能性もあり、刑罰も軽いとは限られていないので、示談を成立させるなど不起訴処分を目指した弁護活動が重要となります。 

3-3-2:後日、通常逮捕(後日逮捕)される

痴漢事件では、痴漢の疑いをかけられ現行犯逮捕されなかった場合でも、その後の捜査によって後日、犯人として特定される場合もあります。 

捜査によって犯人が特定されるケースとしては、

  • 防犯カメラの映像で犯人として特定された
  • DNA鑑定によって犯人として特定された

場合などがあげられます。

犯人として特定された場合は、逮捕されず任意同行を求められ、その後の取り調べの後、身柄を解放され在宅事件として処理されたり、逮捕状による通常逮捕(後日逮捕)されることになります。

痴漢事件の形態にもよりますが、加害者が現場から逃走した場合は、逮捕されるケースが多くなります。

また、痴漢行為が迷惑防止条例違反の場合より、重い罪となる強制わいせつ罪の方が逮捕されるケースは多くなりますが、明確な基準はなくケースバイケースと言えます。

この場合も当然、起訴される可能性もあるので、示談を成立させるなど不起訴処分を目指した弁護活動が重要となります。 

4章:痴漢で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリット

痴漢で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリットとして、次の5つがあげられます。

  • 被害者との示談を成立させる
  • 逮捕直後から面会して助言できる
  • 警察・検察に早期釈放を求める
  • 前科のつかない不起訴処分を求める
  • 執行猶予、減刑を求める

それぞれ解説していきます。

4-1:被害者との示談を成立させる

痴漢で逮捕された場合に、弁護士に依頼するメリットとして、被害者との示談を成立させることがあげられます。

なぜなら、痴漢の被害者は、加害者やその家族との接触を避けるため、弁護士でなければ、被害者の連絡先を教えてもらうことが非常に難しいからです。

弁護士を通すことで、被害者の心証も変わり、ようやく連絡先を教えてもらうことが許されて、示談交渉が始められるケースが多いです。

弁護士が代理人として、被害者との示談交渉を進めることによって、被害者の心情を考慮したうえで、適切な内容、示談金による示談が成立する可能性が高まります。

次に、痴漢事件の被害者との示談交渉の

  • 示談成立のメリット
  • 示談交渉の流れと示談金の相場

について解説します。

4-1-1:示談成立のメリット

痴漢事件における示談成立のメリットは、次の3つです。

  • 身柄を解放される可能性が高くなる
  • 前科がつかない不起訴処分の可能性が高くなる
  • 判決で減刑される可能性が高くなる

なぜなら、被害者との示談が成立しているということは、

「被害者とのトラブルは解決している」

「被害者の許しを得ている」

「被疑者は十分反省している」

と、警察や検察官、裁判官に判断されるからです。

そのため、示談が成立することによって、早期に身柄を解放される可能性や、初犯であれば不起訴処分になる可能性も高くなります。

不起訴処分とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない、つまり罪に問わない決定をすることです。

また、起訴された後でも、示談が成立し被害者の許しが得られたと判断されれば、量刑が軽くなり罰金刑になる可能性や、執行猶予がつき実刑を免れる可能性も高くなります。 

執行猶予とは、有罪の判決を下されたが、その刑の執行を猶予する期間を与えるということなので、被告人はすぐに社会復帰することができます。

そのため、痴漢事件においては、なるべく早い段階で、被害者との示談を成立させることがとても重要です。

4-1-2:示談交渉の流れと示談金相場

弁護士による示談交渉の流れは、次のようになります。

1.検察官を通じて被害者と連絡を取る

2.被害者に被疑者の謝罪文を提出する

3.被害者と示談金額、示談条件を交渉する

4.示談書を作成する

5.示談内容を履行する

6.示談書を検察官や裁判所に提出する 

弁護士に依頼することによって、示談交渉を進められるだけでなく、適正かつ妥当な示談条件・示談金額で示談を成立させことが望めます。

次に、痴漢事件の示談金は、示談交渉の際に当事者間の話し合いによって決められますが、痴漢事件の被害の程度や内容によって、その金額は大きく変わってきます。

前述したように、痴漢事件で適用される罪としては、「迷惑行為防止条例違反」と「強制わいせつ罪」の2つがあげられますが、それぞれの示談金相場としては、次のようになります。

  • 迷惑行為防止条例違反:10~50万円程度
  • 強制わいせつ罪:30~150万円程度

罰則の重い「強制わいせつ罪」の方が、痴漢行為も悪質になるため、示談金も高額になる傾向があります。 

4-2:弁護士であれば逮捕直後から面会できる

痴漢の疑いで逮捕された場合は、検察官が起訴の必要性を判断する勾留期間中(原則的には逮捕後13日以内)に、不起訴を求める弁護活動を行うことが大変重要です。

なぜなら、刑事事件で起訴された場合は、裁判によって有罪となる可能性が非常に高く、その結果前科がついた場合は、被疑者本人や家族にとっては大きなマイナスとなるからです。

また、起訴されて裁判が開かれるまでの間は、保釈が認められない限り、長期間にわたって身柄の拘束が続くことになります。

不起訴処分を得るためには、弁護士を通して検察官に、証拠が不十分で被疑者に対する嫌疑が認められないことを主張したり、示談書や意見書を提出して、不起訴とすべき事情を主張する必要があります。  

不起訴処分を得られた場合は、刑事裁判は行われず、そのまま身柄を解放され、再度逮捕される可能性は非常に低くなります。

4-3:被疑者にとって不利な供述を防げる

弁護士は、逮捕直後から被疑者に接見することができるので、逮捕後の捜査・取り調べの流れなどの説明や、取り調べでの誤った自白や不利益な供述などを避けるための具体的なアドバイスをすることができます。

特に、痴漢冤罪で逮捕された被疑者にとっては、2-2-5で解説したように、痴漢行為の自白やあたかも痴漢行為を行ったかのような供述は、有罪と判断される有力な証拠とされてしまいます。

弁護士による、早い段階からの接見によって、そのような不利益な供述をするリスクを、最小限にすることができます。

また、自白調書や不利な供述調書が作成されるのを防ぐためには、黙秘権を行使する必要がありますが、本人一人で最後まで続けることは容易ではありません。

極度のプレッシャーをかけられる取り調べの現場で、最後まで黙秘を貫くためには、信頼する弁護士の継続的な励ましがとても重要となります。

4-4:精神的負担や事務的な負担を軽減できる

痴漢の疑いで逮捕された場合、被疑者本人はもとより家族も、どうしてよいのかわからず混乱されることが多いようです。

弁護士に依頼することで、経験に基づいた今後の見通しや適切なアドバイス受けられるので、被疑者や家族の精神的な負担を軽減することができます。

さらに、迅速な行動によって、すぐに弁護活動にとりかかることで、早期の身柄の解放を目指すことができます。

また、弁護士に依頼することによって、警察、検察さらには裁判所に対する手続きや、意見書の作成など様々な事務的負担を軽減することができます。

弁護士に依頼することで、逮捕後の被疑者・家族の不安や精神的負担を最小限にすることができます。

【コラム】弁護士に依頼するデメリットは「費用」のみ

弁護士に依頼するデメリットとしては、弁護士費用がかかることがあげられます。

刑事事件化している場合は、着手金・成功報酬あわせておよそ66万~143万円程度となることが多いです。 

弁護士費用の内訳としては、主に次表の6つがあげられます。

弁護士費用の内訳と相場

しかし、痴漢の疑いで逮捕された場合の、本人や家族の今後のリスクを最小限にするためには、すぐに弁護士にご相談されることをおすすめします。

当事務所(弁護士法人QUEST法律事務所)では、ご相談は無料で受け付けていますので、ぜひお電話ください。

まとめ

ここまで、痴漢事件の証拠や、痴漢の疑いをかけられた場合の対処法や、逮捕後の流れ、弁護士に依頼するメリットについて解説してきました。

最後に、今回の内容をまとめます。

痴漢事件では、被害者の供述や目撃者の供述、防犯カメラの映像などが証拠とされます。

そして、被疑者の自白が最も重要な証拠となります。

痴漢事件の被疑者として逮捕された場合は、長期間身柄を拘束され、起訴された場合は有罪になる可能性が高くなります。

そのため、痴漢で逮捕された場合、早期解決を図るためには、被害者との示談を成立させることが最も重要です。

また、痴漢冤罪の場合は、警察等の捜査機関に強要されて自白してしまうと大変不利になります。

■痴漢事件の逮捕から判決までの流れ

逮捕から判決までの流れ

■痴漢で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリット

  • 被害者との示談を成立させる
  • 逮捕直後から面会して助言できる
  • 警察・検察に早期釈放を求める
  • 前科のつかない不起訴処分を求める
  • 執行猶予、減刑を求める

この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。

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