モラハラ配偶者と離婚できない時の対処法と離婚する方法を弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- モラハラ配偶者と離婚できない主な理由
- モラハラ配偶者と離婚できない場合の対処法
- モラハラ配偶者と離婚する方法
あなたは、
- モラハラ配偶者と離婚できないどうしよう?
- モラハラ配偶者と離婚できない場合の対処法が知りたい
- モラハラ配偶者と離婚して慰謝料も請求したい
などとお考えではないですか?
モラハラ配偶者と離婚したい場合、始めは話し合いによる協議離婚を目指しますが、モラハラの加害者である配偶者から合意を得ることは難しいケースが多いです。
なぜなら、モラハラ配偶者は、プライドが高く自分が正しいと思っているため、離婚を求められ自分が否定されることを認めたくないからです。
また、モラハラを理由として離婚するには、モラハラがあったことを公的な場で証明できるだけの証拠を集める必要があります。
しかし、モラハラの証拠は目に見える形で残りにくいため、裁判などの公的な場でその実態を証明することが難しい場合が多いです。
そこでこの記事では、
1章では、モラハラ配偶者と離婚できない主な理由を、
2章では、モラハラ配偶者と離婚できない場合の対処法を、
3章では、モラハラ配偶者と離婚する方法
について解説します。
この記事を読んで、モラハラ配偶者から離婚する方法をしっかり理解し、状況の改善に役立ててください。
1章:モラハラ配偶者と離婚できない主な理由
モラハラ配偶者と離婚できない主な理由は、次の4つです。
- プライドが高いから
- 自分が正しいと思っているから
- 自分が優位に立てる関係を継続したいから
- 世間体を気にしているから
それぞれ解説します。
1-1:プライドが高いから
モラハラ配偶者はプライドが高いため、離婚という形で自分を拒否された場合、「許せない」「応じたくない」という思いになります。
自分のプライドが傷つけられた事実を認めたくないため、離婚を求められても合意せず、話し合いに応じないケースも多いです。
1-2:自分が正しいと思っているから
モラハラ配偶者は自分が正しいと思っているため、相手の間違った行動を正しているだけだという意識があります。
そのため、自分の言動を否定し、さらに離婚の原因と主張する相手の考えが理解できません。
また、自分は正しいことをしているという意識から、相手が自分の言動に傷つき苦しんでいることに、気付けていない可能性もあります。
1-3:自分が優位に立てる関係を継続したいから
モラハラ配偶者の中には、夫婦生活の中で自分が優位に立てる関係を継続したいため、離婚に応じない場合もあります。
また、自分に自信がなく他人に対して強く言えない性格の場合、家庭内では上の立場で配偶者や子どもにきつく当たれるため、離婚を拒否するケースもあります。
1-4:世間体を気にしているから
モラハラ配偶者は、プライドが高く自分が正しいと思っているため、周囲や職場などの世間体を気にして離婚に応じない場合があります。
周囲の人に、自分のモラハラが原因で配偶者から離婚を求められたと、絶対に知られたくないという意識が働くのです。
離婚によって自分の評価が下がることを最も恐れているため、離婚の要求には応じられないという意識が働くのです。
2章:モラハラ配偶者と離婚できない場合の対処法
モラハラ配偶者と離婚できない場合の対処法として、次の4つがあげられます。
- モラハラを証明できる証拠を集める
- モラハラ配偶者と別居する
- 離婚後の準備をする
- モラハラに強い弁護士に依頼する
それぞれ解説します。
2-1:モラハラを証明できる証拠を集める
モラハラ配偶者と離婚するためには、モラハラの証拠を集めることが重要です。
モラハラを理由として離婚する場合、モラハラがあったことを公的な場で証明する必要があるからです。
モラハラの証拠を収集する方法としては、次の3つがあげられます。
- モラハラの内容や日時を記録しておく
- モラハラ発言を録音しておく
- スクリーンショット等でメッセージのやり取りを保存しておく
証拠の有無は、離婚の成否だけでなく、慰謝料の請求等にも影響してくる重要ポイントです。
モラハラを理由に離婚する場合、事前準備として、モラハラの証拠をしっかり掴むことを優先しましょう。
2-2:モラハラ配偶者と別居する
モラハラ配偶者と離婚するためには、別居して距離を置くことも大切です。
一旦、距離を置くことで、配偶者がモラハラに気付くこともありますし、事の重大さを冷静に判断できるようになれば、離婚を含めて夫婦関係を見直せます。
別居した場合、生活費が心配になるかもしれませんが、離婚するまでの間は、相手方に婚姻費用を請求できます。
婚姻費用とは、婚姻中の夫婦の生活にかかる費用のことです。
この婚姻費用は、夫婦である以上別居しても受け取れるもので、別居後すぐに請求できます。
もちろん、モラハラをするような相手がすんなり渡すことはないかもしれませんが、夫婦なら当然に認められる権利なので、弁護士に依頼したり、裁判所の調停手続を利用したりすることで、確実な回収が可能です。
2-3:離婚後の準備をする
モラハラ配偶者と離婚するためには、離婚後に相手に頼らず生活できる収入源を確保する必要があります。
モラハラで離婚する場合、慰謝料を請求できる場合もありますが、金額がはっきりしておらず、すぐに支払ってもらえるとも限りません。
そのため、自分の収入だけで生活していくための準備をしておく必要があります。
特に専業主婦だった場合、離婚後に新たに就職先を見つけようとしても、選択肢が限られてくる可能性が高いです。
生活に十分な収入を確保できない可能性もあるため、事前に資格を取得しておくなど、スキルアップのための準備が必要となるでしょう。
2-4:モラハラに強い弁護士に依頼する
モラハラに強い弁護士に相談することによって、モラハラが原因で別居や離婚する際のアドバイスを受けることができます。
別居の準備や別居するタイミング、離婚の成否や親権の獲得、財産分与・慰謝料・養育費等の請求など、それぞれに違った対応・解決法が必要になります。
弁護士に相談し適確なアドバイスを受けることによって、夫婦の実情に合った最善の方法を選択できる可能性が高くなります。
また、モラハラで別居し相手に会いたくない場合は、弁護士に依頼することによって、相手に一度も会わずに離婚交渉を進め、離婚を成立させることも可能になります。
また、離婚調停・訴訟などに進んだ時には、必要書類等の準備やすべての手続きを任せることができます。
特に、モラハラで相手と連絡を取りたくない、別居先・新しい住所を知られたくない場合は、弁護士に離婚交渉を任せることによって、離婚成立だけでなく精神的な負担も軽減することができます。
3章:モラハラ配偶者と離婚する方法
モラハラ配偶者と離婚するためのポイントを紹介します。
- 夫婦間のモラハラは話し合いでの離婚が難しい
- 夫婦間のモラハラで離婚する方法
- 夫婦間のモラハラの慰謝料相場
それぞれ解説します。
3-1:モラハラ配偶者は話し合いでの離婚が難しい
配偶者のモラハラが原因で離婚する場合、始めは話し合いによる協議離婚を目指しますが、モラハラ加害者から合意を得ることは難しいケースが多いです。
モラハラの加害者側は、モラハラの自覚がなく、むしろ良い夫(妻)であると思い込んでいるため、離婚を切り出されても、相手の心情を理解できず、拒絶することが多いからです。
また、モラハラの被害者側は、加害者に対して恐怖心を抱いていて、とても自分から離婚を切り出せる状況にはありません。
そのため、協議離婚を試みるなら、夫婦だけで話し合うのではなく、弁護士を代理人に立てて、話し合うのが現実的です。
3-2:モラハラ配偶者と離婚する方法
モラハラに強い弁護士に相談した後は、以下のような流れで、離婚に向けて話し合いが始まることが一般的です。
- 話し合いで離婚する場合(協議離婚)
- 調停を申し立てて離婚する場合(調停離婚)
- 裁判で離婚する場合(裁判離婚)
それぞれ解説します。
3-2-1:話し合いで離婚する場合(協議離婚)
協議離婚とは、裁判所を通さずに、夫婦間の話し合いによって離婚を成立させる方法です。
最も簡易的な離婚の方法で、離婚成立までに必要な期間も短期間で済むというメリットがあります。
もっとも、夫婦間の合意が前提となるため、例えば配偶者が離婚に応じない場合、離婚できないという問題点があります。
特に、モラハラを理由とした離婚では、配偶者が納得しないケースも少なくないため、交渉が難航する可能性があります。
夫婦間の話し合いで離婚がまとまらない場合、後述の「調停離婚」を利用することになります。
3-2-2:調停を申し立てて離婚する場合(調停離婚)
調停離婚とは、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停の場でお互いに合意し離婚することです。
調停離婚では、裁判官や調停委員が第三者として間に入るだけでなく、調停委員による聴き取りも夫婦別々に行われることが一般的です。
そのため、モラハラの場合も、お互いが感情的になることなく、話し合いがスムーズに進みやすいというメリットがあります。
3-2-3:裁判で離婚する場合(裁判離婚)
「離婚調停」でも夫婦間で合意できなかった場合、裁判所に訴状を提出し離婚訴訟を申し立てることになります。
離婚訴訟では、民法770条第1項に定められている離婚原因が存在するかを、裁判所が判断します。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
モラハラは、五の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると考えられます。
裁判が進むと、裁判上の和解が成立したり、判決によって裁判所の判断が下ったりします。
離婚が認められた場合、和解調書や判決を添えて離婚届を提出することで、離婚が成立します。
3-3:モラハラの慰謝料相場
配偶者のモラハラが原因で離婚する場合は、モラハラの加害者側に対して慰謝料を請求できます。
モラハラの慰謝料相場は、50万円〜300万円程度が目安とされていますが、次のような点を考慮して決められます。
- モラハラの程度や内容
- モラハラの被害を受けていた期間
- モラハラの被害者側に非があるかどうか
- モラハラにより精神疾患を発症したかどうか
例えば、モラハラの程度や内容が酷かったり、被害を受けていた期間が長かったりすれば、その分慰謝料は高くなります。
一方、被害者側にも非がある場合は、その程度に応じて減額されます。
どの程度の額がモラハラの慰謝料として適切なのかは判断が難しいため、弁護士などの専門家に相談しましょう。
まとめ:モラハラ配偶者と離婚できない場合の対処法
■モラハラ配偶者と離婚できない主な理由
- プライドが高いから
- 自分が正しいと思っているから
- 自分が優位に立てる関係を継続したいから
- 世間体を気にしているから
■モラハラ配偶者と離婚できない場合の対処法
- モラハラを証明できる証拠を集める
- モラハラ配偶者と別居する
- 離婚後の準備をする
- モラハラに強い弁護士に依頼する
■モラハラ配偶者と離婚する方法
- 話し合いで離婚する場合(協議離婚)
- 調停を申し立てて離婚する場合(調停離婚)
- 裁判で離婚する場合(裁判離婚)
配偶者からのモラハラで離婚できない場合は、早めに弁護士に相談し、状況を改善させるための一歩を踏み出しましょう!