- 2022.02.09
- 2024.12.02
- #性犯罪弁護士
【性犯罪を弁護士に相談】罰則や示談金相場から弁護士費用まで解説
この記事を読んで理解できること
- 性犯罪の種類と罰則
- 性犯罪で逮捕された場合に弁護士にできること
- 性犯罪事件の弁護士の選び方
- 性犯罪事件の弁護士費用の相場と内訳
あなたは、
「性犯罪をしてしまったので弁護士に相談したい」
「家族が性犯罪で逮捕されたので示談を弁護士に依頼したい」
「弁護士にできることや弁護士費用が知りたい」
などとお考えではありませんか?
結論から言うと、性犯罪をしてしまった、あるいは、家族が性犯罪で逮捕された場合は、すぐに弁護士に依頼されることをおすすめします。
なぜなら、性犯罪で逮捕された場合は、次にあげる5つのリスクがあるからです。
- 最長23日間身柄を拘束される可能性がある
- 慰謝料・示談金を支払わなければならないことがある
- 起訴されて有罪になる可能性がある
- 会社や学校に知られるおそれがある
- 家族の信頼や社会的信用を失うことがある
これらのリスクを最小限にするためには、すぐに弁護士に依頼することが重要です。
また、刑事事件で逮捕された場合、逮捕から判決までの流れは次の図のようになります。
逮捕後、警察で取り調べを受けて、48時間以内に検察官へ被疑者の身柄と捜査資料が送致され、さらに、24時間以内に検察官によって身柄の拘束(勾留)が必要か判断されます。
性犯罪で逮捕された場合は、勾留請求が出される逮捕後72時間以内に、身柄の解放を求める弁護活動が大変重要です。
この記事では、1章で、性犯罪の種類と罰則を、2章では、性犯罪で逮捕された場合に弁護士に出来ることについて解説します。
さらに、3章では、性犯罪に強い弁護士の選び方を、4章では、性犯罪の弁護士費用の相場と内訳について解説していきます。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
性犯罪で逮捕された場合、早期解決を図るためには、被害者との示談を成立させることが大変重要です。
なぜなら、示談が成立し被害者の許しを得ることによって、逮捕されない可能性や、身柄の解放や不起訴処分を得られる可能性が高まるからです。
ただし、弁護士でなければ、被害者との示談交渉は難しいため、弁護士に依頼することをおすすめします。
■性犯罪で逮捕された場合の主な罪と刑罰
■性犯罪の弁護士費用の内訳と相場
1章:性犯罪の種類と罰則
性犯罪で逮捕された場合、犯罪に該当する行為の態様によって、次の図にあげた罪に問われる可能性があります。
これらの罰則を、暴力や接触が伴う犯罪とそうでない犯罪に分けてそれぞれ解説していきます。
1-1:暴力や接触が伴う性犯罪
性犯罪で暴力や接触が伴う犯罪としては、次の4つがあげられます。
- わいせつ行為(強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪等)
- 性的暴行・レイプ(強制性交等罪、強制性交等致傷罪等)
- 児童買春、児童との性交等(児童買春罪、青少年保護育成条例)
- 痴漢(迷惑防止条例等)
それぞれ解説していきます。
1-1-1:わいせつ行為(強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪等)
わいせつな行為としては、次のような行為などがあげられます。
- 相手の身体に直接触る
- 自分の陰部を触らせる
- 無理やりキスをする
- 衣服を脱がせる
わいせつな行為に関連する罰則としては、次の4つがあげられます。
■強制わいせつ罪(悪質な痴漢行為や13歳未満に対する行為など)
強制わいせつ罪は、暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をした場合と、13歳未満の者に対しては、単にわいせつな行為をした、あるいはお互いに合意があった場合でも適用されます。
強制わいせつ罪では、被害者・加害者の性別は、限定されていないため、被害者が男性の場合や、同性間の場合でも成立することがあります。
強制わいせつ罪の罰則は、未遂に終わった場合でも原則として「6ヶ月以上10年以下の懲役刑」という罰金刑のない重いものになります。
■準強制わいせつ罪(泥酔状態の相手に対する行為など)
準強制わいせつ罪は、被害者が正常な判断できない、または物理的・心理的に抵抗できない状態にある時に、わいせつ行為を行った場合に適用されます。
準強制わいせつ罪の罰則は、未遂に終わった場合でも原則として「6ヶ月以上10年以下の懲役刑」となります。
■監護者わいせつ罪(親や養父母の立場を利用した行為など)
監護者わいせつ罪は、18歳未満の者に対して、親や養父母といった監護者の立場を利用して、わいせつ行為を行った場合に適用されます。
監護者わいせつ罪の罰則は、未遂に終わった場合でも原則として「6ヶ月以上10年以下の懲役刑」となります。
■強制わいせつ等致死傷罪(わいせつ行為をはたらき死傷させた場合)
強制わいせつ等致死傷罪は、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪、監護者わいせつ罪によって、人を死傷させた場合に適用されます。
該当する上記の犯罪が未遂に終わった場合でも、同じく人を死傷させた場合は適用されます。
強制わいせつ等致死傷罪の罰則は、原則として「無期または3年以上の懲役刑」という重いものになります。
1-1-2:性的暴行・レイプ(強制性交等罪、強制性交等致傷罪等)
性的暴行・レイプに関連する罰則としては、次の4つがあげられます。
■強制性交等罪(暴行または脅迫を用いての性交等)
強制性交等罪は、暴行または脅迫を用いて、相手が抵抗できない、あるいは抵抗するのが非常に難しい状態で性交等をした場合と、13歳未満の者に対しては、単に性交等をした場合でも適用されます。
処罰対象としての性交等とは、性交だけでなく、肛門性交や口腔性交も含みます。
例えば、相手を無理やり押さえつけて性交等をした場合や、「殴るぞ」などと脅して性交等を行った場合は、強制性交等罪が成立します。
強制性交等罪の罰則は、未遂の場合でも原則として「5年以上の有期懲役」となり得ます。
■準強制性交等罪(睡眠・酩酊状態の相手に対する行為など)
準強制性交等罪は、被害者が正常な判断できない、または物理的・心理的に抵抗できない状態にある時に、性交等を行った場合に適用されます。
準強制性交等罪の罰則は、未遂に終わった場合でも原則として「5年以上の有期懲役」となります。
■監護者強制性交等罪(監護者の立場を利用した行為など)
監護者性交等罪は、18歳未満の者に対して、親や養父母といった監護者の立場を利用して、性交等を行った場合に適用されます。
監護者性交等罪の罰則は、未遂に終わった場合でも原則として「5年以上の有期懲役」となります。
■強制性交等致死傷罪(強制性交等の行為をはたらき死傷させた場合)
強制性交等致死傷罪は、強制性交等罪、準強制性交等罪、監護者性交等罪によって、人を死傷させた場合に適用されます。
該当する上記の犯罪が未遂に終わった場合でも、同じく人を死傷させた場合は適用されます。
強制性交等致死傷罪の罰則は、原則として「無期又は6年以上の懲役」という重いものになります。
1-1-3:児童買春、児童との性交等(児童買春罪、青少年保護育成条例)
18歳未満の児童に対して性交等を行った場合は、次の2つの罰則が適用されます。
■児童買春罪
児童買春罪とは、18歳未満の児童に対して金銭等を払って性交等を行うことです。
性交等とは、性行為だけでなく性交類似行為(肛門性交・口淫・手淫など)や、児童の性器等を触る・自分の性器等を触らせるなどの行為も含まれます。
罰則としては、「5年以下の懲役または300万円以下の罰金」となります。
■青少年保護育成条例(青少年健全育成条例)
青少年保護育成条例(青少年健全育成条例)違反とは、18歳未満の児童との間で性交等を行うことです。
罰則としては、例えば東京都の場合では「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」となります。
青少年保護育成条例(青少年健全育成条例)は、各都道府県が定めたもので、それぞれ内容や罰則に若干の違いがあります。
1-1-4:痴漢(迷惑防止条例等)
痴漢行為を行った場合は、次の2つの罰則が適用されます。
■迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は、各都道府県が定めたもので、それぞれ内容や罰則に若干の違いがあります。
迷惑防止条例に違反する痴漢行為としては、一般的には直接または衣類の上から他人の身体に触れた場合となります。
罰則としては、例えば東京都の場合では「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」となります。
■強制わいせつ罪
痴漢行為であっても、着衣の中に手を入れたり、長時間触り続けるなど悪質な場合は、先に解説した強制わいせつ罪が適用されます。
1-2:暴力や接触が伴わない性犯罪
性犯罪で暴力や接触が伴わない犯罪としては、次の3つがあげられます。
- 盗撮、のぞき(迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反)
- 性的画像・動画の製造・配信(児童ポルノ提供・製造罪)
- 裸などの露出(公然わいせつ罪)
それぞれ解説していきます。
1-2-1:盗撮、のぞき(迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反)
盗撮やのぞき行為を行った場合は、次の2つの罰則が適用されます。
■迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は、各都道府県で内容が若干異なりますが、住居、便所、浴場、更衣室や不特定又は多数の人が、入れ替わり立ち替わり利用する学校、会社、カラオケボックス、タクシーなどの場所・乗物なども規制対象場所となっています。
盗撮行為としては、衣服を着けない状態の撮影だけでなく、着衣のままでも性的な部位の撮影なども処罰されたり、撮影目的でカメラを向けた、あるいはカメラを設置した場合も処罰される可能性があります。
迷惑防止条例違反では、各都道府県の条例によって差がありますが、例えば東京都の場合は、「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」が科されることになります。
常習の場合は、「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」となっています。
■軽犯罪法違反
軽犯罪法では、人の住居や浴場、更衣場、便所をはじめ、人が通常衣服をつけないでいるような場所での、のぞき見行為を規制しています。
現状では「盗撮罪」のような盗撮行為を犯罪とする法律がないため、迷惑防止条例違反に当たらない行為であっても、軽犯罪法違反として処罰される可能性があります。
軽犯罪法違反の罰則としては、「1日以上30日未満の拘留または1,000円以上1万円未満の科料」が科せられます。
1-2-2:児童ポルノの画像・動画(児童ポルノ所持・製造罪等)
児童ポルノの画像・動画に関する犯罪には、次の3つの罰則が適用されます。
■児童ポルノの所持罪
児童ポルノ所持罪では、自分の性的好奇心を満たすために、児童ポルノを単純所持していた場合に適用されます。
罰則としては、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。
パソコンや携帯・スマートフォン、または写真やDVDなどに、児童ポルノ画像や動画などのデータを所持している場合に適用されます。
■児童ポルノの提供・製造罪
児童ポルノ提供・製造罪では、児童ポルノのデータを他人に提供した場合や、児童の性交や性交類似行為、あるいは児童の性的なポーズを撮影して、児童ポルノを製造した場合に適用されます。
罰則としては、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科されます。
メールやSNSで、児童が自らを撮影した画像を送らせた場合も、児童ポルノ製造罪が成立する可能性があります。
■児童ポルノの提供・公然陳列罪
児童ポルノ公然陳列罪では、児童ポルノのデータを不特定もしくは多数の者への提供、あるいは公然と陳列した場合に適用されます。
罰則としては、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれを併科」が科されます。
併科とは、懲役・罰金の両方が科されることを言います。
店頭での販売だけでなく、SNSやブログ・掲示板等に投稿して、データが他人と共有できる状態にした場合も適用されます。
1-2-3:裸などの露出(公然わいせつ罪)
公共の場所で裸になったり、陰部を露出した場合は、公然わいせつ罪が適用されます。
また、自宅であっても外部から見える場所で裸になったり、インターネット等で陰部を露出したような場合も適用されます。
公然わいせつ罪の刑罰としては、「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金または拘留若しくは科料」が科されます。
2章:性犯罪で逮捕された場合に弁護士にできること
性犯罪で逮捕された場合に、弁護士に出来ることは、次の3つです。
- 被害者との示談を成立させる
- 逮捕直後から面会して助言をする
- 逮捕後の流れに沿った弁護ができる
それぞれ解説していきます。
2-1:被害者との示談を成立させる
被害者のいる性犯罪事件では、被害者との示談を成立させるためには、弁護士に依頼することが必須と言えます。
なぜなら、弁護士でなければ、被害者の連絡先を教えてもらうことが非常に難しいからです。
弁護士を通すことによって、被害者の心証も変わり、ようやく連絡先を教えてもらうことが許されて、示談交渉が始められるケースが多いです。
弁護士が代理人として、被害者との示談交渉を進めることによって、被害者の心情を考慮したうえで、適切な内容、示談金による示談が成立する可能性が高まります。
次に、性犯罪事件の被害者との示談交渉のメリットと、示談交渉の流れ、示談金の相場について解説します。
2-1-1:示談成立のメリット
性犯罪事件における示談のメリットは、次の3つです。
- 身柄を解放される可能性が高くなる
- 前科がつかない不起訴処分の可能性が高くなる
- 判決で減刑される可能性が高くなる
なぜなら、被害者との示談が成立しているということは、
「被害者とのトラブルは解決している」
「被害者の許しを得ている」
「被疑者は十分反省している」
と、警察や検察官、裁判官に判断されるからです。
そのため、示談が成立することによって、早期に身柄を解放される可能性や、初犯であれば不起訴処分になる可能性も高くなります。
不起訴処分とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない、つまり罪に問わない決定をすることです。
また、起訴された後でも、示談が成立し被害者の許しが得られたと判断されれば、量刑が軽くなり執行猶予がついて、実刑を免れる可能性も高くなります。
執行猶予とは、有罪の判決を下されたが、その刑の執行を猶予する期間を与えるということなので、被告人はすぐに社会復帰することができます。
そのため、性犯罪事件においては、なるべく早い段階で示談を成立させることがとても重要です。
2-1-2:示談交渉の流れと相場
弁護士による示談交渉の流れは、次のようになります。
1.検察官を通じて被害者と連絡を取る
2.被害者に被疑者の謝罪文を提出する
3.被害者と示談金額、示談条件を交渉する
4.示談書を作成する
5.示談内容を履行する
6.示談書を検察官や裁判所に提出する
示談金は、被害者との交渉によって決められますが、性犯罪事件の場合は、数万円~100万円程度の間で示談することが多いです。
しかし、性犯罪行為が悪質な場合は、100万円を超えることもあります。
このように、性犯罪事件での被害者との示談交渉は、連絡や交渉、示談金額の判断においても、弁護士でなければ成立しえないものと言えます。
2-2:逮捕直後から面会して助言をする
性犯罪で逮捕され身柄を拘束された場合は、家族であっても勾留が決定されるまでの約3日間は、被疑者と面会することはできません。
依頼された弁護士(弁護人)だけが、唯一逮捕直後から被疑者との接見(面会)が認められており、原則として自由に面会することができるので、必要なものや書類などを差し入れすることもできます。
さらに、接見の際に立会人が付くこともないので、被疑者に今後の流れや状況を説明し、適切なアドバイスをすることが可能になります。
そのため、弁護士による接見は、家族にも自由に面会できない被疑者にとっては、大きな支えとなります。
2-3:逮捕後の流れに沿った弁護ができる
弁護士であれば、逮捕後の流れに沿って様々な弁護活動を行うことができます。
性犯罪で逮捕されてから判決までの流れは、次の図のようになります。
弁護士に出来ることとしては、次の3つがあげられます。
- 警察・検察に早期釈放を求める
- 検察に不起訴を求める
- 執行猶予、減刑を求める
それぞれか解説していきます。
2-3-1:警察・検察に早期釈放を求める
図に示すように、性犯罪で逮捕後、検察に送られて勾留が決定される72時間以内に、被疑者の身柄の解放を求めることが重要です。
弁護士は、証拠隠滅や逃走のおそれがないことや、被害者との示談交渉を進めている、あるいは成立していることなどを訴えて、被疑者の身柄の解放を求めていきます。
また、勾留請求が出された場合は、裁判官に対して勾留請求の却下を求め、もし勾留が決定した場合は、勾留に対しての不服を申し立てる「準抗告」を行うことができます。
もし、釈放された後に事件の捜査が続いた場合でも、被疑者は普段通りの生活に戻ることができるので、会社や学校にも行くことができます。
早期に釈放されることで、性犯罪事件で逮捕されたことが周囲に知られるリスクは減り、社会生活への影響を最小限にすることができます。
2-3-2:検察に不起訴を求める
弁護士は、起訴が決定される最長23日間までに、検察官に対して、証拠が不十分で被疑者に対する嫌疑が認められないことや、示談書や意見書を提出して、不起訴処分を求めていきます。
不起訴処分とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない、つまり罪に問わない決定をすることで、当然前科はつきません。
現在の刑事裁判では、起訴されてしまうとほとんどのケースが有罪となってしまうので、その結果前科がつき、被疑者本人や家族にとっては大きなマイナスとなります。
そのため、弁護士の検察官に対する弁護活動によって、前科のつかない不起訴処分を得ることは、大変重要となります。
2-3-3:執行猶予、減刑を求める
起訴処分となった場合は、被告人が反省している点や、再犯の可能性が低く更生が見込める証拠等を提出して、執行猶予付きの判決や、減刑を求める弁護活動を行います。
逆に、被告人本人が犯行を否認している場合は、被害者の供述の不合理な点や、被告人に有利な証拠を早い段階から収集し、冤罪を主張していきます。
刑事裁判において、被告人を弁護できるのは弁護人だけであり、弁護人の豊富な知識と経験によって厳しい判決が下されるリスクを軽減することができます。
3章:性犯罪事件の弁護士の選び方
弁護士の弁護活動は多岐にわたり、様々な依頼に対応していますが、その中には今まで実績を積んできたそれぞれの得意分野があります。
性犯罪事件の弁護士の選び方としては、次の4つがあげられます。
- 性犯罪の弁護経験が豊富か
- 弁護士・法律事務所の対応が早いか
- 相性の良い弁護士か
- 妥当な料金設定になっているか
それぞれ解説していきます。
3-1:性犯罪の弁護経験が豊富か
性犯罪で逮捕された場合は、性犯罪の弁護経験が豊富で、実績のある弁護士を選ぶことが重要です。
弁護士の弁護活動は多岐にわたるため、ベテランの弁護士であっても、離婚問題や労働問題などの民事事件だけを担当していて、刑事事件の経験が少ない場合があります。
こういった、経験の少ない弁護士に依頼することは、少しリスクがあるかもしれません。
様々な事件の態様に合わせた弁護活動や、被害者との示談交渉を行うなど、初動のスピーディな行動が重要な刑事事件においては、その豊富な経験が重要となります。
3-2:弁護士・法律事務所の対応が早いか
刑事事件では、対応の早い弁護士・法律事務所に依頼することが重要です。
なぜなら、性犯罪においては、加害者とされるあなたの立場は不利な状況であり、法律のプロ・交渉のプロである弁護士の素早い対応が必要だからです。
特に、家族や会社に知られず、刑事事件にならないようにするためには、対応が早くスピーディに行動できる弁護士を選ぶことが重要です。
弁護士自身が忙しくて迅速な行動がとれない、またそれをカバーできる人員がいないような法律事務所では、取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
3-3:相性の良い弁護士か
弁護士を選ぶ時のポイントとしては、依頼者であるあなたとの相性が良いかどうかも重要な要素となります。
なぜなら、性犯罪では、依頼者にとって恥ずかしい内容が多く、弁護士とのやり取りがうまくいかない場合は、信頼関係が築けず、被害者との交渉にも影響が出たり、結果への不満につながるケースもあるからです。
弁護士に対して、話しづらいと感じたり、逆に弁護士が親身になって対応してくれない場合は、示談交渉にもデメリットが生じる可能性が高いので避けたほうが賢明です。
3-4:妥当な料金設定になっているか
弁護士に依頼した場合、当然弁護士費用は全額支払う必要があります。
刑事事件を弁護士に依頼するデメリットとしては、この「弁護士費用がかかる」ことだけだと言えます。
そのため、各法律事務所の無料相談などを利用して、着手金や成功報酬などは妥当な金額か、料金設定はきちんと説明されているかなど、十分に比較検討することが重要です。
ただし、性犯罪事件を一刻も早く解決するためには、費用はかかっても、刑事事件に強く信頼できる、相性の良い弁護士を選ぶことが一番大事だと言えます。
4章:性犯罪事件の弁護士費用の相場と内訳
性犯罪事件では、弁護士による早急なサポートや、被害者との示談交渉などの弁護活動はとても重要です。
しかし、弁護士に依頼した場合に発生する弁護士費用は、項目も多く事件に合わせて内容も様々なので、分かりづらい点が多いです。
この章では、その弁護士費用の内訳や相場について、詳しく解説していきます。
4-1:弁護士費用相場は合計で44万~143万円程度
性犯罪事件の弁護士費用としては、刑事事件化していない場合は、一般的に着手金22万円、成功報酬22万円~程度なので、合計して44万円~となります。
また、刑事事件化している場合は、一般的に着手金33万円~55万円程度、成功報酬は33万円~88万円程度となることが多いので、合計するとおよそ66万~143万円程度となります。
もちろん弁護士に相談はしたが刑事事件化していない場合や、自白事件や否認事件、事件の内容によって個々の金額は様々で、他に必要な費用も発生します。
また、被害者との示談が成立した際は、別に示談金も必要となります。
弁護士に依頼する際は、各法律事務所の見積もりと合わせて、総額いくら必要となるのかある程度把握しておくことが重要です。
4-2:弁護士費用の内訳
弁護士費用の内訳と相場は次の図のようになります。
それぞれ解説していきます。
4-2-1:相談料(1時間当たり0円~1.1万円)
相談料とは、弁護士に依頼する前に、トラブルの内容を弁護士に相談する際の費用です。
面談・電話・メール等の相談方法や相談料金は、各法律事務所によって違いがありますが、相場としては1時間当たり1.1万円としているところが多いようです。
最近では、電話での無料相談や初回相談料0円など、相談しやすい設定にしている法律事務所も増えています。
いずれの法律事務所でも、時間当たりの相談料となっているので、事前に事情・相談内容等を整理して的確に伝えられるように準備されることをお勧めします。
4-2-2:着手金(22万~55万円程度)
着手金とは、弁護士に依頼する段階で支払う費用で、相場としては22万~55万円程度となっています。
着手金は、事件の結果には関係ないので、依頼者の望む結果にならなかった場合でも返金されることはなく、成功報酬の一部(内金・手付)でもありません。
法律事務所によっては、捜査段階・公判段階と段階別に分けられていたり、自白事件と否認事件では、別の設定になっている場合もあります。
また、示談交渉や保釈請求などの際に、別途着手金が必要になる場合があります。
否認事件の場合は、被疑者が容疑または容疑の一部を否認しているため、検察側の立証を覆すための高度な弁護活動が必要となります。
そのため、犯行を認めている自白事件に比べて、着手金が高額になる場合があります。
4-2-3:成功報酬(33万~88万円程度)
成功報酬とは、弁護活動が成功したときの報酬で、性犯罪事件では、被害者との示談が成立した場合や、不起訴や執行猶予、減刑などが得られた場合に、それぞれ発生します。
一般的な刑事事件の成功報酬の相場としては、概ね33万~88万円程度です。
成功報酬は、次のように個別に設定している法律事務所が多いようです。
- 示談が成立した場合
- 不起訴が得られた場合
- 保釈が認められた場合
- 執行猶予付き判決が得られた場合
- 減刑された場合
さらに、高度な弁護活動が必要な否認事件で、無罪が得られた場合は、高額な成功報酬が発生する可能性があります。
4-2-4:接見費用(1回当たり3.3万円程度)
弁護士は、逮捕直後から被疑者と接見(面会)することによって、助言や今後の弁護方針を伝えることができます。
この接見費用の相場は、1回当たり3.3万円程度となっています。
事件解決のために何度も接見を必要とする場合は、接見費用がかさむ可能性もあります。
4-2-5:日当(1時間当たり1.1万円~)
日当とは、弁護士が検察や裁判所などの事務所以外の場所に出向いて、弁護活動を行う際にかかる弁護士に対する費用のことです。
出張や裁判所に出廷するごとにかかる費用で、時間で言うと1時間当たり1.1万円~、1回当たり2~5万円程度となっています
4-2-6:実費
弁護士が被疑者と接見する時の交通費や、弁護活動上のコピー代や通信費など事務経費の実費となります。
裁判に進んだ場合には、裁判資料をコピーするために必要な費用(裁判記録謄写費用)や、証拠として必要な場合は、鑑定費用等がかかることもあります。
各法律事務所によって、料金体系や金額は様々です。
示談が成立したときは、示談金だけでなく示談成立の報酬金が必要となる場合が多いですが、示談交渉にも着手金が必要な事務所もあるようです。
まとめ
ここまで、性犯罪の種類と罰則や、性犯罪で逮捕された場合に弁護士にできること、性犯罪事件に強い弁護士の選び方などについて解説してきました。
最後に、今回の内容をまとめます。
■性犯罪で逮捕された場合、早期解決を図るためには、被害者との示談を成立させることが大変重要です。
なぜなら、示談が成立し被害者の許しを得ることによって、逮捕されない可能性や、身柄の解放や不起訴処分を得られる可能性が高まるからです。
ただし、弁護士でなければ、被害者との示談交渉は難しいため、弁護士に依頼することが必須と言えます。
■性犯罪で逮捕された場合の主な罪と刑罰
■性犯罪の弁護士費用の内訳と相場
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。