【保存版】窃盗罪のすべて。逮捕後の流れや刑罰、示談のメリットなど

著者情報

住川 佳祐
(弁護士法人QUEST法律事務所 代表弁護士)

東京弁護士会所属。東京大学法学部卒。『NHK あさイチ』のTV出演の他、『プレジデント』『ダイヤモンド・セレクト』などメディア掲載多数。弁護士法人QUEST法律事務所のHPはこちら。

窃盗罪に関するポイント

あなたは、

「どんな行為が窃盗罪にあたるの?」

「窃盗罪の罰則は?罰金はいくら?」

「窃盗罪に問われたらどうすればいいの?」

などとお考えではありませんか。

窃盗罪とは、簡単に言うと「人のものを盗む」という犯罪です。

また、「つい魔が差して」誰もが犯してしまう可能性のある犯罪でもあります。

しかし、その刑罰は意外に重く、有罪判決を受けると「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられることになります。

もし、あなた自身やあなたの家族が、窃盗罪に問われた場合は、十分に反省して、被害者との示談交渉など適切な対応をすることが重要です。

この記事では、1章で窃盗罪の定義や刑罰について、2章では、窃盗罪で逮捕された後の処分・刑罰を、そして3章では、未成年者が逮捕された場合について解説します。

さらに、4章では、窃盗罪を犯したときの対処法について解説していきます。

個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。

【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点

窃盗罪の罰則

10年以下の懲役又は50万円以下の罰金

窃盗罪の定義

他人の財産的価値のあるものを、持ち主の意思に反して盗み、自分のものとすること

窃盗罪で逮捕された後の流れと処分・刑罰

処分と刑罰の流れ

窃盗罪を犯したときの対処法

  • 被害者との示談交渉
  • 弁護士に依頼する

窃盗罪に関するポイント

刑事事件解決

1章:窃盗罪とはどんな犯罪?

窃盗罪はよく耳にする犯罪であり、実際、数多くの犯罪の中でも、最も多く認知・検挙されている犯罪です。

この章では、窃盗罪とはどんな犯罪なのか、次の3つの項目に沿って解説していきます。

  • 窃盗罪の定義と刑罰
  • 窃盗罪の構成要素
  • 窃盗罪の時効

1-1:窃盗罪の定義と刑罰

窃盗罪は、刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。

窃盗罪の定義としては、

「他人の財産的価値のあるものを、持ち主の意思に反して盗み、自分のものとすること」

となります。

窃盗罪に問われる行為としては、万引きや空き巣、ひったくり、車上荒らしなど、様々な行為が対象とされています。

中には、お店の許可を受けずに、無断でお店のコンセントを使ってスマホの充電をした場合も、他人の財産物である電気を盗み取ったとして、窃盗罪に該当します。

また、盗もうとしたけれど失敗して、自分のものには出来なかった場合は、窃盗未遂罪に問われます。

その他に窃盗罪には、配偶者、直系血族または同居の親族の間で窃盗罪を犯した場合は、刑が免除される親族相盗例という特例が規定されています。

1-2:窃盗罪の構成要素

窃盗罪を構成する要素としては、次の3つがあげられます。

  • 他人の占有する財物であること
  • 不法領得の意思のもと行われたこと
  • 窃取の事実があること

それぞれ解説していきます。

1-2-1:他人の占有する財物であること

占有とは、その人の支配下にある状態をいうもので、例えば自分の家や部屋の中にあるものは、占有しているといえます。

その中に、他人が所有するものが含まれていた場合でも、所有はしていませんが占有していることになります。

そのため、本来自分が所有していたものでも、他の人が占有している状態から取り返した場合、窃盗罪に問われる可能性があります。

次に、財物とは基本的には有体物(固体・液体・気体)を指していますが、前述のように刑法では電気も財物に含まれるとされています。

また、企業や個人の所有する情報は、それ自体は財物ではありませんが、情報を記載・記録した書類やUSBメモリなどの記録媒体は財物として扱われます

1-2-2:不法領得の意思のもと行われたこと

不法領得の意思とは、他人が占有している物を自分の物として、その物の用法にしたがい自由に利用したり処分したりしようとする意思のことです。

これは、人のものを盗むだけでなく、自分のものとして使ったり、売ったりする意志があったということになります。

そのため、自分の物だと勘違いして持って帰った場合や、一時的に借りただけですぐに返すつもりだった場合などは、窃盗罪には問われない可能性があります。

この不法領得の意思の有無は、他人の占有する財物の効用を消滅・減少させて利用を妨げる、毀棄隠匿罪と区別する目的で定義されています。 

1-2-3:窃取の事実があること

窃盗罪において窃取とは、財物を占有する人の意思に反して、自分または第三者に財物の占有を移転することを言います。 

また、窃取とは、相手に見つからないように「こっそり盗む」という行為だけでなく、相手から無理やり財物を盗むひったくりも該当します。

(無理やりの程度によっては、強盗罪になることもあります。)

さらに、偽造又は盗難キャッシュカードを使って、ATMで不正な引出しを行った場合も、窃盗罪が認められます。

1-3:窃盗罪の時効

窃盗罪の時効(公訴時効)は、7年とされています。

公訴時効とは、検察官が公訴する権限を失う時効のことで、時効が成立した後は、加害者は起訴されることはありません。

しかし、窃盗にはもう一つ、民事の時効という損害賠償請求権が消滅する時効があります。

損害賠償請求権の消滅時効は、窃盗行為があってから20年、被害者が損害および加害者を知った時から3年とされています。

そのため、刑事事件の時効が成立した後でも、民事事件の時効が成立していない場合は、損害賠償を請求される可能性があります。

刑事事件解決

2章:窃盗罪で逮捕された後の流れと処分・刑罰

処分と刑罰の流れ

窃盗罪で逮捕された後の流れと、処分・刑罰は、上の図のようになります。

窃盗事件では、逮捕後の流れの中で、罪に問われない「微罪処分」「不起訴処分」が得られる場合と、起訴されて罰金刑または懲役刑が科される場合があります。

それぞれ解説していきます。

2-1:罪に問われない場合もある

窃盗罪で逮捕されて警察や検察による事情聴取の後、「微罪処分」「不起訴処分」として罪に問われずに釈放される場合があります。

2-1-1:警察での微罪処分

微罪処分とは、例えば万引きなど窃盗の疑いで逮捕されて警察へ連行された場合に、警官による厳重注意などで刑事手続きを終了し、釈放されるケースです。

微罪処分になる可能性が高い場合として、

  • 初犯である
  • 反省が見られ、素行不良ではない
  • 偶発的で再犯の恐れがない
  • 身元引受人があり、逃亡の恐れがない
  • 被害金額が少なく、被害弁償等されている
  • 被害者が許し、寛大な処分を望んでいる

などの条件を満たすケースがあげられます。

微罪処分の場合は、刑罰が科されることはありませから、被疑者に前科はつきません。

しかし、警察から「微罪処分事件報告書」として検察官に報告され、前歴は残されます。 

2-1-2:検察による不起訴処分

不起訴処分とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない、つまり罪に問わない判断をすることです。

不起訴処分になる可能性が高い場合として、

  • 初犯である
  • 余罪がない
  • 反省が見られ、素行不良ではない
  • 偶発的で再犯の恐れがない
  • 身元引受人があり、逃亡の恐れがない
  • 被害金額が少なく、被害弁償等されている
  • 被害者が許し、寛大な処分を望んでいる

などの条件を満たすケースがあげられます。

不起訴処分になると、罰金刑も懲役刑も適用されず、被疑者には前科はつきませんが、微罪処分と同じく前歴は残されます。

弁護士
ここで、簡単に前歴と前科の違いを説明します。

前歴は、被疑者として逮捕されたが、微罪処分や不起訴になったという記録です。

前科は、起訴されて有罪判決を受けた事実・経歴ですから、たとえそれが軽い犯罪で罰金刑になった場合でも、本人、家族には大きなデメリットとなります。

前科や前歴は、警察庁、検察庁、市区町村で記録として保管されていますが、当然公開はされていませんし、たとえ本人でも確認することはできません。

 

2-2:罰金刑と相場(1030万円程度が多い)

罰金刑とは、犯罪に対する刑罰として強制的に金銭を取り立てることです。

窃盗罪の場合は、50万円以下の罰金となっています。

窃盗罪で逮捕された場合は、被害額や前科の有無によって量刑も異なりますが、初犯であれば罰金刑になる可能性があります。

また、検察官が、罰金刑が相当と考えている場合には、通常裁判という形ではなく、被疑者の同意のもとに略式裁判という簡略化された手続によって、有罪の認定と罰金刑が決定される場合が多いです。

罰金額としては、こちらも被害額や前科の有無によって決定されますが、おおむね10~30万円程度の場合が多いようです。

罰金刑を科された場合は、当然、前科がつくことになります。

2-3:通常裁判による懲役刑

通常裁判による懲役刑とは、刑事施設に拘置して所定の作業(刑務作業)を行わせる刑罰です。

窃盗罪で逮捕された場合に、懲役刑となる可能性が高いのは次のようなケースです。

  • 被害額が高額である
  • 前科がある
  • 余罪がある
  • 犯行の状況が悪質である

実際は、懲役刑となった場合でも、執行猶予がつくケースもあります。

ただし、個々の状況によって違いはありますが、

  • 被害金額が高額で弁済が行われていない
  • 反省が見られず再犯の恐れがある

などの場合は、執行猶予のつかない実刑判決が出される可能性もあります。

懲役刑を科された場合も、当然、前科がつくことになります。

刑事事件解決

3章:未成年者(20歳未満)が逮捕された場合

窃盗は、万引きや置き引きなど犯罪行為としては簡単に行えるため、未成年者(20歳未満)による犯行も多くなっています。

この章では、14歳以上の未成年が逮捕された場合と14歳未満の場合について説明します。

3-114歳以上の未成年者が逮捕された場合

14歳以上の未成年者が逮捕された場合は、少年事件として、成人と同じように警察から検察官に被疑者として送致され勾留されます。

警察・検察による捜査が終了すると、たとえ被害者と示談が成立していたとしても、原則としてすべての少年事件は家庭裁判所へ全件送致されます。

家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所の調査官による事件や被疑者の家庭環境等の調査が行われます。

その間、少年鑑別所で身柄を拘束する観護処置を必要とする決定が下されると、原則として最大4週間少年鑑別所に収容されることになります。

裁判官に報告された調査票の結果、少年審判の必要がないと判断されると「審判不開始」となり身柄を釈放されます。

それ以外の場合は、少年審判が行われ裁判官によって被疑者の更生を目指した処分が下されます。

処分としては、次の4つとなります。

  1. 不処分:将来再び非行を行う危険性がないと判断される
  2. 保護観察:保護観察官や保護司の指導・監督を受ける
  3. 児童自立支援施設又は児童養護施設への送致:原則として自由で開放的な環境の中で生活指導・訓練を受ける
  4. 少年院送致:少年院に収容して矯正教育を受ける

3-2 14歳未満の未成年者が逮捕された場合

14歳未満の未成年者が逮捕された場合は、「触法少年」と呼ばれ、刑事事件を問われることはなく、逮捕されることはありません。

しかし、現実的には事件についての調査として、14歳以上の少年と同じように警察での事情聴取や身柄の拘束を受けることになります。

警察の調査によって保護措置が必要と判断されると、児童相談所に送致され本人、並びに保護者に指導や注意、さらには一時保護という形で身柄を拘束されることになります。

児童相談所長によって家庭裁判所の審判を受けることが適当であると認められた場合には、家庭裁判所に送致され、一般的な少年事件と同じ流れになります。

刑事事件解決

4章:窃盗罪を犯したときの対処法

窃盗罪を犯した場合や、家族が窃盗罪で逮捕された場合の対処法を解説します。

対処法としては、次の2つがあげられます。

  • 被害者との示談交渉
  • 弁護士に依頼する 

それぞれ解説していきます。

4-1:被害者との示談交渉

被害者との示談交渉とは、加害者が被害者の損害を賠償し、許してもらうための話し合いになります。

この章では、示談を成立させるメリットと、示談交渉の流れを解説します。

4-1-1:示談を成立させるメリット 

示談を成立させるメリットとしては、警察の捜査が開始される前であれば、そのまま事件化せず解決することができます。

また警察の捜査が開始された場合でも、次の4つのメリットがあります。

  • 被害届を取り下げてもらえる可能性がある
  • 罪に問われない微罪処分や不起訴処分の可能性がある
  • 身柄を釈放される可能性が高くなる
  • 判決で減刑される可能性が高くなる

被害者との示談とは、加害者が被害者に示談金を支払うことによって、損害賠償問題を解決し、被害者に許しを得ることです。

逮捕前であれば、被害届を取り下げてもらうことで、一般的には、それ以上問題にはなりません。

なぜなら、示談が成立しているということは

「被害者との損害賠償問題は解決している」

「被害者との和解が成立し、許しを得ている」

「被疑者は十分反省している」

と、警察や検察官、裁判官に判断されるからです。

また、弁護士を通して被害者との示談交渉を進めていることで、逮捕されるリスクを抑えることもできます。

また、逮捕後であっても、示談が成立することによって、身柄を解放され不起訴処分になる可能性が高まります。  

4-1-2:示談交渉の流れ

示談交渉の流れは、次のようになります。

  1. 被害者と連絡を取る
  2. 被疑者の謝罪文を提出する
  3. 被害者と示談金額、示談条件を交渉する
  4. 示談書を作成する
  5. 示談内容を履行する

窃盗事件の示談金とは、被害金額+慰謝料(迷惑料) となることが多いです。

また、示談条件には、被害者が被害届を取り下げる条項を入れる場合も多いです。

示談金額は、当事者間で決められるため、被疑者の反省の度合いや再犯の可能性、また被害者の感情によって、被害金額を超えて高額な示談金額が求められる場合もあるようです。

また、被害店舗が大手のチェーン店の場合は、企業の対応として示談交渉に応じない姿勢を示しているところもあります。

4-2:弁護士に依頼する

弁護士に依頼することで、早期の示談成立が望めます。

弁護士に依頼するメリットは、次の通りです。

  • 弁護士は被害者と連絡を取れる可能性がある
  • 被害者が示談交渉に応じてくれる可能性が高くなる
  • 被害者に、加害者の反省や謝罪を受け入れてもらえる可能性が高くなる
  • 適正な示談金の金額がわかる
  • 加害者への寛大な処分を求める嘆願書を依頼することができる
  • 被害届を取り下げてもらえる可能性が高まる
  • 示談書の作成を任せられる

逮捕された被疑者の家族では、被害者と直接示談交渉することは難しい場合もありますが、弁護士であれば被害者の対応も変わり示談交渉を進めやすくなります。

また、弁護士を通して示談交渉をすると、被害者に対して冷静に被疑者の反省の度合いや、謝罪を受け入れてほしい家族などの現在の状況を伝えることができます。

また、前述のように、被害者との示談成立は、早期解決に向けての最優先事項となります。

こうして、弁護士による早期の示談が成立すれば、被害届を取り下げてもらえる可能性もあるので、処分が軽くなり、不起訴になる可能性も高くなります。

起訴された後でも、示談が成立し被害者の許しが得られれば、執行猶予がつき実刑を免れる可能性や、罰金刑になるなど量刑が軽くなる可能性も高くなります。

窃盗罪で逮捕された場合は、被疑者の不利益を最小限にするためにも、早めに弁護士に依頼されることをお勧めします。

刑事事件解決

まとめ:窃盗罪

ここまで、窃盗罪とはどんな犯罪か、窃盗罪で逮捕された後の流れや処分・刑罰などについて解説してきました。

最後に、今回の内容をまとめます。

窃盗罪

刑法235

「他人の財物を窃取した者は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」

窃盗罪の定義

他人の財産的価値のあるものを、持ち主の意思に反して盗み、自分のものとすること

窃盗罪の構成要素

  • 他人の占有する財物であること
  • 不法領得の意思のもと行われたこと
  • 窃取の事実があること

窃盗罪で逮捕された後の流れと処分・刑罰

処分と刑罰の流れ

窃盗罪を犯したときの対処法

  • 被害者との示談交渉
  • 弁護士に依頼する

この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。

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