【家族が窃盗で逮捕】その後の流れと処分・刑罰、示談成立のメリット
この記事を読んで理解できること
- 窃盗による逮捕には「現行犯逮捕」「後日逮捕」の2種類がある
- 家族が窃盗で逮捕された場合は、示談成立が最も重要
- 窃盗で逮捕された場合の処分と刑罰
- 窃盗で逮捕された後の流れ
- 未成年者(20歳未満)が逮捕された場合
- 弁護士に依頼するその他のメリット
あなたは、
「窃盗で逮捕されたらどうなる?」
「家族が窃盗で逮捕されたらどうすべき?」
「家族が窃盗で逮捕されたが示談で済ませたい」
などとお考えではありませんか?
結論から言うと、家族が窃盗で逮捕された場合は、できるだけ早く被害者との示談を成立させて、早期釈放や、前科のつかない不起訴処分を得ることが重要です。
そのためには、すぐに弁護士にご相談されることをおすすめします。
なぜなら、窃盗で逮捕された場合、次のようなリスクがあるからです。
- 最長23日間、身柄を拘束される
- 会社や学校に知られる恐れがある
- 起訴され有罪になると前科がつく
これらのリスクを最小限にするためには、下の図にあるように、逮捕後72時間以内に、検察に対して身柄の解放を求めることがとても重要です。
弁護士に依頼することで、素早い弁護活動を行い
- 被害者との示談を成立させる
- 捜査機関と交渉して早期釈放を得る
- 検察官に意見書を提出して不起訴を得る
可能性が高まります。
この記事では、1章で窃盗による逮捕の2種類のケースを、2章では、窃盗で逮捕された時の処分と刑罰を、3章では、逮捕後の流れについてそれぞれ解説します。
さらに、4章では、未成年者が逮捕された場合を、5章では、示談を成立させるメリットを、6章では、弁護士に依頼するメリットについて解説していきます。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■窃盗で逮捕される2つのケース
- 現行犯逮捕:被害者や目撃者による逮捕(私人逮捕)
- 後日逮捕:現場に残された証拠や映像などの犯罪捜査による逮捕(通常逮捕)
家族が窃盗で逮捕された場合は、被害者との示談を成立させることが最も重要です。
■示談成立のメリット
- 被害届を取り下げてもらえる可能性がある
- 罪に問われない微罪処分や不起訴処分の可能性がある
- 身柄を釈放される可能性が高くなる
- 判決で減刑される可能性が高くなる
■示談交渉を弁護士に依頼するメリット
- 弁護士は被害者と連絡を取れる可能性がある
- 被害者が示談交渉に応じてくれる可能性が高くなる
- 被害者に、加害者の反省や謝罪を受け入れてもらえる可能性が高くなる
- 適正な示談金の金額がわかる
- 加害者への寛大な処分を求める嘆願書を依頼することができる
- 被害届を取り下げてもらえる可能性が高まる
- 示談書の作成を任せられる
目次
1章:窃盗による逮捕には「現行犯逮捕」「後日逮捕」の2種類がある
窃盗とは、
「他人の財産的価値のあるものを、持ち主の意思に反して盗み、自分のものとすること」
を言います。
窃盗罪に問われる行為としては、万引きや空き巣、ひったくり、車上荒らしなど、窃盗にあたる様々な行為が対象とされています。
窃盗で逮捕されるケースとしては、
- 現行犯逮捕:被害者や目撃者による逮捕(私人逮捕)
- 後日逮捕:現場に残された証拠や映像などの犯罪捜査による逮捕(通常逮捕)
以上の2種類があります。
窃盗の疑いをかけられて逮捕されると、捜査・取り調べを受けて起訴されるまで、法律では被疑者として扱われます。
1-1:現行犯逮捕とは
現行犯逮捕とは、犯行直後に被害者または犯行を目撃した人よって、現場で逮捕されることを言います。
窃盗の中でも現行犯逮捕が多い万引き事件の場合は、犯行後店外に出たところを取り押さえられるケースで、その時点または警備室に連れていかれた時点で逮捕が成立します。
現行犯逮捕後は、警察を呼ばれて引き渡され、身柄を拘束されることになります。
被害者や目撃者による現行犯逮捕は、私人逮捕として犯行直後で緊急を要する場合に認められていますが、見間違いによる誤認逮捕や、行き過ぎた対応などのトラブルになる場合もあります。
1-2:後日逮捕(通常逮捕)とは
後日逮捕とは、現場に残された証拠や防犯カメラの映像などをもとに捜査が行われ、犯人を特定し逮捕状に基づいて通常逮捕されることを言います。
窃盗事件では、被害者から警察に被害届が出され、犯人を特定できる画像や犯行を認められる相当な理由がある場合は、捜査が開始されます。
その後、数日から数週間の捜査の結果、犯人が特定されると、警察に「逮捕状」を示されて後日逮捕(通常逮捕)されることになります。
窃盗の被害金額が少なく、被疑者が逃亡や証拠隠滅する可能性が低い場合は、身柄は拘束されず在宅事件として捜査が進められる場合もあります。
2章:家族が窃盗で逮捕された場合は、示談成立が最も重要
窃盗事件では、被害品の返品や弁償を行い、できるだけ早く被害者との示談を成立させることが重要です。
被害者と直接交渉することが難しい場合は、弁護士に依頼することで、被害者の対応も変わり交渉がうまくいき、示談が成立する可能性が高まります。
2-1:示談を成立させるメリット
被害者との示談とは、加害者が被害者に示談金を支払うことによって、損害賠償問題を解決し、被害者に許しを得ることです。
被害者との示談が成立すれば、
「被害者との損害賠償問題は解決している」
「被害者との和解が成立し、許しを得ている」
「被疑者は十分反省している」
と、警察や検察官、裁判官に判断されます。
そのため、示談を成立させることによって、警察の捜査が開始される前であれば、そのまま事件化せず解決することができます。
また、警察の捜査が開始された場合でも、次の4つのメリットがあります。
- 被害届を取り下げてもらえる可能性がある
- 罪に問われない微罪処分や不起訴処分の可能性がある
- 身柄を釈放される可能性が高くなる
- 判決で減刑される可能性が高くなる
逮捕前であれば、被害届を取り下げてもらうことで、一般的には、それ以上問題にはなりません。
また、弁護士を通して被害者との示談交渉を進めていることで、逮捕されるリスクを抑えることもできます。
逮捕後の流れや微罪処分・不起訴処分については、次の3章で解説します。
2-2:示談交渉の流れ
示談交渉の流れは、次のようになります。
1.被害者と連絡を取る
2.被疑者の謝罪文を提出する
3.被害者と示談金額、示談条件を交渉する
4.示談書を作成する
5.示談内容を履行する
窃盗の示談金とは、被害金額+慰謝料(迷惑料) となることが多いです。
示談金額は、当事者間で決められるため、被疑者の反省の度合いや再犯の可能性、また被害者の感情によって、被害金額を超えて高額な示談金額が求められる場合もあるようです。
弁護士であれば、法外な請求に対しても冷静に示談交渉を進めることで、被害者の対応も変わり妥当な示談金による解決を図れる可能性が高まります。
2-3:示談交渉を弁護士に依頼するメリット
被害者との示談交渉を、弁護士に依頼することで、早期の示談成立が望めます。
弁護士に依頼するメリットは、次の通りです。
- 弁護士は被害者と連絡を取れる可能性がある
- 被害者が示談交渉に応じてくれる可能性が高くなる
- 被害者に、加害者の反省や謝罪を受け入れてもらえる可能性が高くなる
- 適正な示談金の金額がわかる
- 加害者への寛大な処分を求める嘆願書を依頼することができる
- 被害届を取り下げてもらえる可能性が高まる
- 示談書の作成を任せられる
逮捕された被疑者の家族では、被害者と直接示談交渉することは難しい場合もありますが、弁護士であれば被害者の対応も変わり示談交渉を進めやすくなります。
また、弁護士による示談交渉の場合は、被害者に対して冷静に被疑者の反省の度合いや、謝罪を受け入れてほしい家族などの現在の状況を伝えることができます。
さらに、窃盗事件の被疑者として特定される前であれば、弁護士を伴って自首することによって、逮捕を免れる可能性が高くなります。
3章:窃盗で逮捕された場合の処分と刑罰
窃盗で逮捕された場合の処分と刑罰は、上の図のようになります。
窃盗事件では、逮捕後の流れの中で、罪に問われない「微罪処分」「不起訴処分」が得られる場合と、起訴されて罰金刑または懲役刑が科される場合があります。
それぞれ解説していきます。
3-1:罪に問われない場合もある
窃盗で逮捕されて警察や検察による事情聴取の後、「微罪処分」「不起訴処分」として罪に問われずに釈放される場合があります。
3-1-1:警察での微罪処分
微罪処分とは、例えば万引きなど窃盗の疑いで逮捕されて警察へ連行された場合に、警官による厳重注意などで刑事手続きを終了し、釈放されるケースです。
微罪処分になる可能性が高い場合として、
- 初犯である
- 反省が見られ、素行不良ではない
- 偶発的で再犯の恐れがない
- 身元引受人があり、逃亡の恐れがない
- 被害金額が少なく、被害弁償等されている
- 被害者が許し、寛大な処分を望んでいる
などの条件を満たすケースがあげられます。
微罪処分の場合は、刑罰が科されることはありませから、被疑者に前科はつきません。
しかし、警察から「微罪処分事件報告書」として検察官に報告され、前歴は残されます。
3-1-2:検察による不起訴処分
不起訴処分とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない、つまり罪に問わない判断をすることです。
不起訴処分になる可能性が高い場合として、
- 初犯である
- 余罪がない
- 反省が見られ、素行不良ではない
- 偶発的で再犯の恐れがない
- 身元引受人があり、逃亡の恐れがない
- 被害金額が少なく、被害弁償等されている
- 被害者が許し、寛大な処分を望んでいる
などの条件を満たすケースがあげられます。
不起訴処分になると、罰金刑も懲役刑も適用されず、被疑者には前科はつきませんが、微罪処分と同じく前歴は残されます。
ここで、簡単に前歴と前科の違いを説明します。
前歴は、被疑者として逮捕されたが、微罪処分や不起訴になったという記録です。
前科は、起訴されて有罪判決を受けた事実・経歴ですから、たとえそれが軽い犯罪で罰金刑になった場合でも、本人、家族には大きなデメリットとなります。
3-2:罰金刑と相場(10~30万円程度が多い)
罰金刑とは、犯罪に対する刑罰として強制的に金銭を取り立てることです。
窃盗罪の場合は、50万円以下の罰金となっています。
窃盗罪で逮捕された場合は、被害額や前科の有無によって量刑も異なりますが、初犯であれば罰金刑になる可能性があります。
また、検察官が、罰金刑が相当と考えている場合には、通常裁判という形ではなく、被疑者の同意のもとに略式裁判という簡略化された手続によって、有罪の認定と罰金刑が決定される場合が多いです。
罰金額としては、こちらも被害額や前科の有無によって決定されますが、おおむね10~30万円程度の場合が多いようです。
罰金刑を科された場合は、当然、前科がつくことになります。
3-3:通常裁判による懲役刑
通常裁判による懲役刑とは、刑事施設に拘置して所定の作業(刑務作業)を行わせる刑罰です。
窃盗罪で逮捕された場合に、懲役刑となる可能性が高いのは次のようなケースです。
- 被害額が高額である
- 前科がある
- 余罪がある
- 犯行の状況が悪質である
実際は、懲役刑となった場合でも、執行猶予がつくケースもあります。
ただし、個々の状況によって違いはありますが、
- 被害金額が高額で弁済が行われていない
- 反省が見られず再犯の恐れがある
などの場合は、執行猶予のつかない実刑判決が出される可能性もあります。
懲役刑を科された場合も、当然、前科がつくことになります。
コラム:精神疾患者、クレプトマニア(窃盗症)の場合
窃盗事件を繰り返す人の中には「盗みをやめたくてもやめられない」と常習化し、何度も逮捕されてしまう人がいます。
その中には、商品を買うお金がないからなどという理由ではなく、精神疾患による場合があり、大きく分けると、次の3つがあげられます。
- 高齢者の認知症
- 摂食障害などの周辺症状
- 盗みそのものへの依存
高齢者の認知症の場合は、倫理観の低下や認識能力の欠如によって、あまり罪悪感もなく万引きなどの盗みを繰り返してしまうなどのケースです。
摂食障害の場合は、常に頭から食べ物のことが離れずに、気付いたら食べたい衝動にかられて盗みをしていたなどのケースです。
盗みそのものへの依存症の場合は、クレプトマニア(窃盗症)と呼ばれる精神疾患があげられます。
それぞれ、すでに窃盗を繰り返しているためさらに重い刑罰となりますが、犯行時の責任能力や本人の治療意欲など諸事情から減刑される場合もあります。
このように、お金を持っているにもかかわらず、衝動的に盗みを繰り返し、罪を重ねている場合などは、精神科などで診断・カウンセリング等を受ける必要があるかもしれません。
4章:窃盗で逮捕された後の流れ
窃盗で逮捕された後の流れは、他の犯罪と同様に、検察官への送致、捜査段階での勾留(身柄の拘束)、起訴、そして刑事裁判による判決という流れになります。
この章では、逮捕後の流れに沿って、それぞれ解説していきます。
4-1:逮捕から送致
窃盗で警察に逮捕されると、警察に連行後に取り調べが行われます。
さらに、警察では逮捕後48時間以内に、被疑者本人や、事件の証拠・資料などを検察官に引き継ぐ手続き「送致」をします。
つまり、窃盗事件の被疑者として、起訴の決定をする検察官のもとに送られるかは、この48時間で決められます。
この間に、被害者との示談を成立させることができれば、微罪処分を得られる可能性があります。
4-2:送致から勾留
勾留とは、被疑者の身柄を留置所など刑事施設に拘束することです。
送致後、検察官の判断で引き続き身柄拘束が必要な場合には、24時間以内に裁判所に対して勾留請求されます。
この24時間の間に、弁護士を通して検察官、裁判官に対して勾留しないように働きかけることによって、早期釈放を得られる可能性があります。
さらに、被害者との示談が成立している場合は、勾留されない可能性が高くなります。
4-2-1:勾留されると身柄事件として捜査される
裁判所が勾留を認めると、被疑者の身柄は引き続き警察の留置場で拘束され、身柄事件として捜査が続けられます。
身柄事件になった場合は、原則として10日間の勾留期間が認められており、その間に捜査が終わらない場合は、さらに10日間の勾留延長が請求されます。
勾留決定されると、警察に逮捕された後、最長23日間、身柄を拘束されることになります。
このように、被疑者の身柄が長期間拘束された場合、仕事など日常生活に支障が出るため、一日も早く身柄の解放を求めることが重要です。
4-2-2:釈放されると在宅事件として捜査される
検察官が勾留請求をしなかった場合や裁判所が勾留を決定しなかった場合は、被疑者の身柄は釈放されます。
被疑者は普段通りの生活ができ、会社や学校にも行くことができますが、釈放されても無罪というわけではなく、被疑者在宅のまま在宅事件として捜査は進められます。
在宅事件とされる可能性が高い場合として、
- 被害金額が少なく、反省している
- 逃亡や証拠隠滅のおそれがない
- 身元(住所/氏名/勤務先など)がはっきりしている
- 身元引受人、同居家族がいる
などの条件を満たすケースがあげられます。
被害者との示談が成立している場合は、勾留されない可能性が高くなります。
4-3:起訴、不起訴の判断
身柄事件の場合は、最長23日間の勾留期間が切れると検察官によって、起訴または不起訴の判断が下されます。
在宅事件の場合は、すでに釈放されていて勾留期限などの拘束がなく、捜査状況の進展に合わせて手続きが進められます。
そのため、起訴または不起訴の判断は事件発生から数ヶ月後となる場合もあります。
在宅事件の場合の手続きまでの流れは、次のようになります。
- 被疑者の検察への呼び出し
- 取り調べ
- 供述調書の作成
- 起訴または不起訴の判断
起訴が決まると、略式起訴による罰金刑または、通常裁判による懲役刑の処分が判断されます。
不起訴になると刑事裁判にはならず、そのまま身柄を解放されます。
その場合は、無罪放免に近く再度逮捕される可能性は非常に低くなります。
4-4:略式裁判(略式起訴)
略式起訴とは、懲役刑を求めるほどの事件内容ではなく、さらに被疑者が罪を認めている場合に、検察官の判断によって裁判所に対して罰金刑を請求することです。
窃盗罪では、略式起訴として50万円以下の罰金刑が請求され、略式裁判によって被疑者の同意のもとに、有罪の認定と罰金刑が決定されます。
身柄事件の場合は、家族または弁護士によって罰金を納付すると被疑者は釈放されます。
在宅事件の場合は、裁判所に出頭する必要はありませんが、罰金の納付書に指定された方法で罰金を支払います。
罰金金額としては、被害額や前科の有無によって違いもありますが、おおむね10~30万円程度の場合が多いようです。
簡略化された略式裁判の場合でも、有罪の判決を受けたことに変わりはないので、前科がつくことになります。
4-5:通常裁判(刑事裁判)
窃盗事件でも、懲役刑が妥当と判断された場合や、被疑者が犯行を認めていない場合は、通常裁判として公判が開かれます。
裁判によって懲役刑となる可能性が高いのは、次のようなケースです。
- 被害額が高額である
- 前科がある
- 余罪がある
- 犯行の状況が悪質である
さらには、執行猶予のつかない実刑判決が出される可能性もあります。
通常裁判の場合は、被疑者は必ず出廷し、検察、弁護人それぞれの証拠等をもとに、裁判官が判決を下すことになり、最終的に有罪の判決を受けた場合は前科がつくことになります。
5章:未成年者(20歳未満)が逮捕された場合
窃盗は、万引きや置き引きなど犯罪行為としては簡単に行えるため、未成年者(20歳未満)による犯行も多くなっています。
この章では、14歳以上の未成年が逮捕された場合と14歳未満の場合について説明します。
5-1:14歳以上の未成年者が逮捕された場合
14歳以上の未成年者が逮捕された場合は、少年事件として、成人と同じように警察から検察官に被疑者として送致され勾留されます。
警察・検察による捜査が終了すると、たとえ被害者と示談が成立していたとしても、原則としてすべての少年事件は家庭裁判所へ全件送致されます。
家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所の調査官による事件や被疑者の家庭環境等の調査が行われます。
その間、少年鑑別所で身柄を拘束する観護処置を必要とする決定が下されると、原則として最大4週間少年鑑別所に収容されることになります。
裁判官に報告された調査票の結果、少年審判の必要がないと判断されると「審判不開始」となり身柄を釈放されます。
それ以外の場合は、少年審判が行われ裁判官によって被疑者の更生を目指した処分が下されます。
処分としては、次の4つとなります。
- 不処分:将来再び非行を行う危険性がないと判断される
- 保護観察:保護観察官や保護司の指導・監督を受ける
- 児童自立支援施設又は児童養護施設への送致:原則として自由で開放的な環境の中で生活指導・訓練を受ける
- 少年院送致:少年院に収容して矯正教育を受ける
5-2:14歳未満の未成年者が逮捕された場合
14歳未満の未成年者が逮捕された場合は、「触法少年」と呼ばれ、刑事事件を問われることはなく、逮捕されることはありません。
しかし、現実的には事件についての調査として、14歳以上の少年と同じように警察での事情聴取や身柄の拘束を受けることになります。
警察の調査によって保護措置が必要と判断されると、児童相談所に送致され本人、並びに保護者に指導や注意、さらには一時保護という形で身柄を拘束されることになります。
児童相談所長によって家庭裁判所の審判を受けることが適当であると認められた場合には、家庭裁判所に送致され、一般的な少年事件と同じ流れになります。
6章:弁護士に依頼するその他のメリット
窃盗事件を弁護士に依頼するメリットとして、2章で解説した被害者との示談交渉だけでなく、次の3つがあげられます。
- 弁護士であれば逮捕直後から面会できる
- 精神的負担や事務的な負担を軽減できる
- 自分にとって不利な供述を防げる
それぞれ解説していきます。
6-1:弁護士であれば逮捕直後から面会できる
窃盗事件で逮捕され身柄を拘束された場合は、家族であっても勾留が決定されるまでの約3日間は、被疑者と面会することはできません。
依頼された弁護士(弁護人)だけが、唯一逮捕直後から被疑者との接見(面会)を認められます。
弁護人による接見は、原則として自由に面会することができるので、必要なものや書類などを差し入れすることもできます。
さらに、接見の際に立会人が付くこともないので、被疑者に今後の流れや状況を説明し、適切なアドバイスをすることが可能になります。
家族による面会でさえ逮捕後、約3日後となるため、弁護士による接見は、被疑者にとっては大きな支えとなります。
6-2:精神的負担や事務的な負担を軽減できる
弁護士に依頼することで、経験に基づいた今後の見通しや適切なアドバイス受けられるので、被疑者や家族の精神的な負担を軽減することができます。
さらに、迅速な行動によって、すぐに弁護活動や示談交渉にとりかかることで、早期の身柄の解放や示談成立を目指すことができます。
また、弁護士に依頼することによって、被害者との対応をはじめ、警察、検察さらには裁判所に対する手続きや、示談書・意見書の作成など様々な事務的負担を軽減することができます。
窃盗で逮捕された場合、被疑者本人はもとより家族も、どうしてよいのかわからず混乱されることが多いようです。
弁護士に依頼することで、逮捕後の被疑者・家族の不安や負担を最小限にすることができます。
6-3:自分や家族にとって不利な供述を防げる
弁護士は、逮捕直後から被疑者に接見することができるので、逮捕後の捜査・取り調べの流れなどの説明や、取り調べでの誤った自白や不利益な供述などを避けるための具体的なアドバイスをすることができます。
被疑者は、窃盗で逮捕されて、家族にも面会できない不安な状態で、警察による厳しい取り調べを受けると、間違った供述(不利益な供述)をしてしまう場合があります。
また、取調官の言いなりになって供述すると、十分な証拠や正当な手続きを得ないままの不当逮捕であっても、そのまま認めてしまう場合もあります。
窃盗事件で逮捕された場合は、被疑者の不利益を最小限にするためにも、早めに弁護士に依頼されることをお勧めします。
まとめ
ここまで、窃盗で逮捕された場合の示談成立のメリットや、逮捕後の流れや処分・刑罰などについて解説してきました。
最後に、今回の内容をまとめます。
■窃盗で逮捕される2つのケース
- 現行犯逮捕:被害者や目撃者による逮捕(私人逮捕)
- 後日逮捕:現場に残された証拠や映像などの犯罪捜査による逮捕(通常逮捕)
被害者との示談が成立することによって、身柄を解放され不起訴処分になる可能性が高まります。
■示談成立のメリット
- 被害届を取り下げてもらえる可能性がある
- 罪に問われない微罪処分や不起訴処分の可能性がある
- 身柄を釈放される可能性が高くなる
- 判決で減刑される可能性が高くなる
■示談交渉を弁護士に依頼するメリット
- 弁護士は被害者と連絡を取れる可能性がある
- 被害者が示談交渉に応じてくれる可能性が高くなる
- 被害者に、加害者の反省や謝罪を受け入れてもらえる可能性が高くなる
- 適正な示談金の金額がわかる
- 加害者への寛大な処分を求める嘆願書を依頼することができる
- 被害届を取り下げてもらえる可能性が高まる
- 示談書の作成を任せられる
■窃盗で逮捕され後の流れと処分・刑罰
■弁護士に依頼するその他のメリット
- 弁護士であれば逮捕直後から面会できる
- 精神的負担や事務的な負担を軽減できる
- 自分にとって不利な供述を防げる
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。