スピード離婚とは?慰謝料請求できるケースとメリデメを弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- スピード離婚とは?よくある理由7つ
- スピード離婚で慰謝料請求できるケース・できないケース
- スピード離婚のメリット・デメリット
- スピード離婚の慰謝料相場と離婚する方法
あなたは、
- スピード離婚はどれくらいの期間なの?
- スピード離婚するよくある理由とは?
- スピード離婚だけど慰謝料請求できるか知りたい
などとお考えではありませんか?
スピード離婚は、一般的に結婚から2,3年程度で離婚するケースをいいます。
婚姻期間が短いスピード離婚では、慰謝料を請求できるか心配な方もいると思いますが、配偶者の不法行為が離婚原因の場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。
また、スピード離婚することで、親族や周囲の人に合わせる顔がない、恥ずかしいと感じる方もいることでしょう。
確かに、多くの方々から祝福を受けて結婚したのに、短期間で離婚することになれば、申し訳ない気持ちにもなります。
しかし、スピード離婚はこうしたネガティブな意味ばかりではなく、ポジティブな面もあります。
そこで、この記事では、
1章では、スピード離婚とは?よくある理由7つ
2章では、スピード離婚で慰謝料請求できるケース・できないケース
3章では、スピード離婚のメリット・デメリット
4章では、スピード離婚の慰謝料相場と離婚する方法
について詳しく解説します。
この記事を読んで、スピード離婚で慰謝料を請求できるケースや、スピード離婚のメリット・デメリットをよく理解してください。
目次
1章:スピード離婚とは?よくある理由7つ
スピード離婚とは、短い婚姻期間での離婚をいい、よく雑誌などのメディアで取り上げられる成田離婚は、新婚旅行の前後で離婚に至るスピード離婚の1つです。
しかし、一生添い遂げるべく結婚したはずなのに、短期間で離婚に至るにはどのような理由があるのでしょうか。
- スピード離婚とは一般的には結婚後2、3年以内に離婚すること
- スピード離婚でよくある離婚理由7つ
それぞれ解説します。
1-1:スピード離婚とは一般的には結婚後2、3年以内に離婚すること
スピード離婚とは、一般的には結婚から2、3年以内に離婚することを指します。
婚姻期間は特に定められているわけではありません。
スピード離婚をすると、世間からはネガティブに受け取られることが多いものの、厚生労働省の調査※によると、結婚後の同居期間が5年未満での離婚が全体の約3割に達しており、短い婚姻期間での離婚が意外と多いことがわかります。
※「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
1-2:スピード離婚でよくある離婚理由7つ
スピード離婚でよくある離婚理由としては、次の7つがあげられます。
- 性格の不一致
- 現実と理想のギャップ
- 不倫していた、不倫された
- DVやモラハラがあった
- 借金があった
- 嘘や隠し事があった
- 結婚観や将来設計の違い
離婚理由にはさまざまなものがありますが、中でも最も多いのは性格の不一致です。
結婚してから初めて知る一面がある、配偶者が豹変したなど、離婚を決意するほど耐えられないケースもあります。
また、結婚に対する自分の理想と、実際の結婚生活にギャップが大きい場合もあげられます。
たとえば、想像以上に配偶者の仕事が忙しくて、すれ違いの生活になっている場合や、配偶者の親族との付き合いがうまく行かないなどもあるでしょう。
2章:スピード離婚で慰謝料請求できるケース・できないケース
スピード離婚する場合、離婚理由によっては慰謝料請求できるケースとできないケースがあります。
離婚理由が不法行為に当たるかどうかが大きなポイントで、不法行為に該当する場合は、短い婚姻期間だったとしても慰謝料を請求できる可能性があります。
- スピード離婚で慰謝料請求できるケース
- スピード離婚で慰謝料請求できないケース
それぞれ解説します。
2-1:スピード離婚で慰謝料請求できるケース
スピード離婚で慰謝料請求できるケースには、配偶者に有責性が認められる次の3つがあげられます。
有責性とは、婚姻関係を破綻させる原因となる行動への責任のことです。
- 配偶者が不倫していた場合
- 配偶者からのDV(暴力)やモラハラがあった場合
- 生活費を入れないなど悪意の遺棄があった場合
それぞれ解説します。
2-1-1:配偶者が不倫していた場合
配偶者が不倫していた場合は、離婚慰謝料を請求することができます。
不倫は、配偶者のある者が、自由意思により配偶者以外の異性と性交渉を持つ不貞行為に当たるため、慰謝料請求が認められるケースが多いです。
また、不貞行為は性交渉のほかに、手淫や口淫などの性行為に準ずるものも含まれるケースがあり、これらが認められた場合も慰謝料請求できます。
2-1-2:配偶者からのDV(暴力)やモラハラがあった場合
配偶者からのDV(暴力)は、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、慰謝料請求することができます。
DVは、殴る・蹴るなどの身体的なものだけでなく、精神的(モラハラ)な暴力も含まれます。
ただし、夫婦間のDVは、家庭内など第三者の目の届かない場で行われることが多い傾向があるので、証拠を集めることが重要です。
たとえば、殴られた部位の診断書を取る、暴言の録音などしておくとよいでしょう。
2-1-3:生活費を入れないなど悪意の遺棄があった場合
結婚生活に必要な生活費を入れない、夫婦で協力して生活しようとしないなど、悪意の遺棄に該当する行為があった場合も、慰謝料請求できます。
夫婦には協力して婚姻生活を継続させる義務があり、配偶者がこれらを果たさない場合は、悪意の遺棄にあたり法定離婚事由となります。
具体的には、
- 同居の義務
- 協力の義務
- 扶助の義務
上記3つの義務があげられ、正当な理由なく生活費を入れない、同居を拒否し家庭を省みない場合は義務違反となります。
2-2:スピード離婚で慰謝料請求できないケース
スピード離婚で慰謝料請求できない場合として、次のようなケースがあげられます。
- 性格の不一致
- 生活習慣が合わない・結婚観が違う
- 金銭感覚が違う
- 相手の実家と折り合いが悪い
配偶者が不法行為を行っていない場合は、被害者が受けた精神的苦痛に対する損害賠償は認められないため、慰謝料を支払う義務はありません。
スピード離婚の離婚理由として、配偶者に有責性がない場合は、慰謝料請求できないケースがほとんどです。
3章:スピード離婚のメリット・デメリット
スピード離婚は、世間体が悪い、恥ずかしいといったネガティブな体験となりがちですが、メリットやデメリットがあります。
- スピード離婚のメリット
- スピード離婚のデメリット
それぞれ解説します。
3-1:スピード離婚のメリット
スピード離婚には、早期に人生をリセットできるなど、いくつかのメリットがあります。
- 貴重な時間を無駄にせずやり直しできる
- 精神的負担が少なく以前の生活に戻りやすい
- 離婚する際の決めごとが少なくすむ
それぞれ解説します。
3-1-1:貴重な時間を無駄にせずやり直しできる
長年、配偶者に対し我慢し続けて離婚するケースに比べ、スピード離婚することにより、人生の貴重な時間を無駄にせず、早期にやり直しできることがメリットです。
配偶者に我慢しながらの生活は、結果的に本当の幸せとは言いにくく、不満を抱き続けることになります。
その点、早めに見切りをつけて人生をリセットすることは、自分のために時間を使うことができ、自分らしい生き方ができるでしょう。
3-1-2:精神的負担が少なく以前の生活に戻りやすい
婚姻期間が短いために、離婚する際の精神的負担が少なくて済むこともメリットです。
そのため、結婚前の生活にも戻りやすいでしょう。
一般に、離婚は夫婦共に精神的負担が重い傾向があるため、それが少なければ気持ちの切り替えもしやすくなります。
3-1-3:離婚する際の決めごとが少なくすむ
婚姻期間が短いために、財産分与や慰謝料などの決めごとが少なくて済むこともメリットの1つです。
婚姻期間が長い場合、共同財産が多くなる傾向があるため、話し合う項目が複雑になったり増えたりする傾向があります。
その点、スピード離婚では条件や内容で揉めることが少なく、比較的決めごとが少なくて済む傾向があります。
3-2:スピード離婚のデメリット
スピード離婚には、メリットのみならずデメリットもあります。
- スピード離婚を報告するのが恥ずかしい・世間体が悪い
- 勢いで離婚したことを後悔する
- 次のパートナーから信頼を得づらい可能性がある
- 離婚後の生活の準備など経済的に厳しくなる
それぞれ解説します。
3-2-1:スピード離婚を報告するのが恥ずかしい・世間体が悪い
スピード離婚において、周囲への離婚報告をしなければならないことは、最大のデメリットです。
あなた自身が恥ずかしい思いをする可能性があるでしょう。
また、「忍耐力がない」などと心無いことを言われるなど、世間体が悪くなることも覚悟しておかなければなりません。
3-2-2:勢いで離婚したことを後悔する
夫婦喧嘩などの勢いで、感情的にスピード離婚を決めた場合は、時間の経過とともに離婚を後悔する可能性もあります。
「冷静になってもっと話し合えばよかった」などと思うこともあるでしょう。
3-2-3:次のパートナーから信頼を得づらい可能性がある
再婚を考えている場合、スピード離婚の経験が次のパートナーから信頼を得づらい可能性が出てきます。
たとえば、性格面で問題があるのではないか、金銭にだらしないのではないか、などという疑いを持たれてしまうことがあげられます。
もしも、再婚を希望する場合は、これらを乗り越えることも必要となるでしょう。
3-2-4:離婚後の生活の準備など経済的に厳しくなる
婚姻期間中に専業主婦やパートだった場合、離婚後は経済的に厳しくなる可能性があります。
仕事を探したり、住まいを確保したりと、離婚後の生活のための準備もしなければなりません。
十分な預貯金がなく、慰謝料ももらえない場合は、離婚後はかなり経済的に厳しくなる可能性があります。
4章:スピード離婚の慰謝料相場と離婚する方法
スピード離婚で請求する慰謝料は、婚姻期間が短いために一般的な離婚慰謝料の相場よりも低額になる傾向があります。
また、離婚方法によっても慰謝料は増減する可能性があります。
- スピード離婚の慰謝料相場
- スピード離婚する方法
それぞれ解説します。
4-1:スピード離婚の慰謝料相場
一般的な離婚慰謝料の相場では、離婚原因によって次のようになります。
- 不貞行為:150万円~300万円
- DV・モラハラ:50万円~300万円
- 悪意の遺棄:50万円~300万円
先にも述べたように、慰謝料金額は、有責性や婚姻期間など総合的に考慮して判断するため、スピード離婚の場合は、この相場よりも低くなる可能性があると考えておいてください。
スピード離婚は、婚姻期間が短いため精神的苦痛などダメージが少ないと判断されることもあるからです。
具体的な慰謝料の金額は、弁護士に相談・依頼して決めることをオススメします。
4-2:スピード離婚する方法
スピード離婚するには、次の3つの方法があります。
- 協議離婚
- 離婚調停
- 離婚裁判
協議離婚は夫婦の話し合いにより、離婚に合意することで離婚成立となります。
もしも、話し合いがまとまらないときは、離婚調停や弁護士に依頼して解決を目指すこともできます。
離婚調停を申し立てる場合は、調停委員が夫婦の間に入って話し合いがすすめられ、冷静な話し合いができることが特徴です。
しかし、調停でも折り合いがつかない場合は、裁判で離婚について判断してもらうことになります。
いずれの場合も、冷静に離婚の話し合いをしたいなら、弁護士に相談することをオススメします。
まとめ:スピード離婚で慰謝料を請求できるケースや慰謝料相場
最後に、今回の内容を振り返ります。
■スピード離婚とは一般的には結婚後2、3年以内に離婚すること
■スピード離婚でよくある離婚理由7つ
- 性格の不一致
- 現実と理想のギャップ
- 不倫していた、不倫された
- DVやモラハラがあった
- 借金があった
- 嘘や隠し事があった
- 結婚観や将来設計の違い
■スピード離婚で慰謝料請求できるケース
- 配偶者が不倫していた場合
- 配偶者からのDV(暴力)やモラハラがあった場合
- 生活費を入れないなど悪意の遺棄があった場合
■スピード離婚で慰謝料請求できないケース
- 性格の不一致
- 生活習慣が合わない・結婚観が違う
- 金銭感覚が違う
- 相手の実家と折り合いが悪い
■スピード離婚のメリット
- 貴重な時間を無駄にせずやり直しできる
- 精神的負担が少なく以前の生活に戻りやすい
- 離婚する際の決めごとが少なくすむ
■スピード離婚のデメリット
- スピード離婚を報告するのが恥ずかしい・世間体が悪い
- 勢いで離婚したことを後悔する
- 次のパートナーから信頼を得づらい可能性がある
- 離婚後の生活の準備など経済的に厳しくなる
この記事の内容を参考にして、スピード離婚で慰謝料請求する際に、役立ててください。