
あなたは、
「離婚したいけど慰謝料を請求できるかな?」
「離婚の慰謝料の相場はいくらくらいかな?」
「慰謝料を請求するにはどうすればいいの?」
などの、悩みや疑問をお持ちではありませんか。
結論から言うと、離婚すれば必ず離婚慰謝料が貰えるわけではありません。
離婚慰謝料は、相手(配偶者)の暴力や不倫などの不法行為よって、あなたが精神的な苦痛(損害)を受け、離婚に至らざる終えなくなった場合にのみ請求することができます。
「性格の不一致」「価値観の違い」などといった、相手に明確な不法行為が認められない場合は、離婚慰謝料を請求することはできません。
まずは、離婚の原因となる相手の不法行為を明確にして、離婚慰謝料を請求できるか、妥当な金額の慰謝料を請求するにはどうしたらいいか、しっかり知っておくことが重要です。
通常、離婚慰謝料の相場としては、50万円~500万円程度と言われています。
離婚慰謝料を決める要素は、相手の不法行為の内容だけでなく、婚姻期間や経済状況、子供の存在など様々です。
離婚慰謝料の金額は、それらの増額・減額を決める各要素によって、かなりの差が生じることになります。
この記事では、1章で離婚の慰謝料を請求できるケースと相場、2章で離婚の慰謝料を請求できないケースを、さらに3章で、離婚の慰謝料を増額する要素について解説します。
次に、離婚の慰謝料を請求する流れと、請求に必要な証拠を4、5章で、離婚時に慰謝料以外で請求できるお金について6章で解説します。
さらに、離婚慰謝料を請求された場合にとりたい行動や、離婚問題は弁護士への相談をおすすめする理由を解説していきます。
あなたが関心のあるところから読んで、今後の行動の参考にしてください。
目次
1章:離婚の慰謝料を請求できる5つのケースと相場
まず、法律上、離婚の訴えが認められる事由(理由・原因)としては、次の5つが定められています。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
(民法第770条)
これらの離婚事由が明らかな場合は、相手が離婚に納得していない状況でも、裁判において離婚が認められる可能性が高くなります。
さらにこの中で、相手の不法行為によって離婚に至り、離婚の慰謝料を請求できるケースとしては、次の5つがあげられます。
- 不倫・浮気をした場合
- DV(身体的暴力)、モラハラ(言葉・精神的暴力)の場合
- 悪意の遺棄(生活費を渡さない、他)の場合
- セックスレスの場合
- 借金がある場合
これらの慰謝料を請求できるケースでも、その内容・事例によって請求できる慰謝料の金額は様々ですが、大体の相場としては次の表のようになります。
それぞれのケースを、解説していきます。
あなたは、どのケースに該当するのか、よく確認してみてください。 不安な場合は、無料相談を利用して弁護士に相談されることをおすすめします。
1-1:不倫・浮気をした場合
相手の不倫や浮気などの不貞行為が原因による離婚の場合、慰謝料相場としては150万円~500万円程度になります。
不貞行為は、夫婦相互の貞操義務に反する行為として、離婚事由にも上げられています。
相手の不貞行為によって、精神的苦痛を与えられその不法行為が原因で離婚に至った場合は、夫・妻の区別なく慰謝料を請求することができます。
不貞行為を原因とする離婚は、非常に多くなっています。
このケースでは、配偶者に対する慰謝料請求が認められるだけでなく、浮気相手に対しても不倫の慰謝料を請求できる可能性があります。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
まさか自分の家庭で・・不倫の慰謝料相場と増額・減額を左右する7つの要因とは
1-2:DV(身体的暴力)、モラハラ(言葉・精神的暴力)の場合
相手のDV(身体的暴力)やモラハラ(言葉・精神的暴力)などが原因による離婚の場合、慰謝料相場としては50万円~300万円程度になります。
特に暴力をふるうDV(ドメスティックバイオレンス)は、暴行・傷害といった犯罪行為であり、離婚に直結する事由と言えます。
また、モラルハラスメントによる言葉の暴力や態度によって、精神的に虐待した場合は、婚姻を継続し難い重大な事由として離婚できる可能性があります。
いずれも、その不法行為の内容や期間、回数、頻度などによって、離婚事由として認められるかどうかは変わってきます。
離婚の原因となる不法行為を証明するには、証拠が必要となります。 それぞれの離婚事由に必要な証拠については、5章で解説します。
1-3:悪意の遺棄(生活費を渡さない、他)の場合
「生活費を渡さない」「家庭を捨てて省みない」などの悪意の遺棄とされる不法行為が原因による離婚の場合、慰謝料相場としては50万円~300万円程度になります。
悪意の遺棄としては他に、同居を拒否して別居したり、健康なのに働かないなど、法律で定められた夫婦の義務(同居、協力、扶助)に反して、一方が悪意を持って放棄することです。
同居の義務とは、夫婦は一緒に生活しなければならないと定めたものです。
あくまで倫理的規範ですが、正当な理由もなく一方的に同居を拒否することは、離婚事由となります。
協力・扶助の義務とは、夫婦は互いに協力・扶助して結婚生活を送るべきものであり、互いに同程度の生活が送れるように援助すべきだと定めたものです。
生活費を渡さない、病気や体の不自由な相手を支援しない場合などは、離婚事由となります。
1-4:セックスレスの場合
離婚の動機として性的不調和、セックスレスの場合は、慰謝料相場としては50万円~300万円程度になります。
性的不調和としては、性的嗜好の違いや性行為の強要や、理由もなく拒否されている場合などがあげられます。
それぞれ、婚姻を継続し難い重大な事由として離婚できる可能性があります。
1-5:借金がある場合
相手に借金があること自体は、法律上離婚事由とは認められていません。
しかし、単に借金があるだけでなく、借金によって夫婦関係が修復困難な状態まで破碇していることが必要となります。
相手が、ギャンブルや遊びで借金を繰り返している、多額の借金があり金銭面にルーズで信頼関係を失っているなどの場合は、婚姻を継続し難い重大な事由として離婚できる可能性があります。
ただし、夫婦で加入したローン(住宅や車など)や、あなたが連帯保証人になっている借金については、離婚事由とはならず、あなたにも返済義務が生じます。
借金による離婚が認められ、慰謝料を請求できる場合でも、すでに借金をしている相手の財産状況などさまざまです。
そのため、借金による離婚の場合の慰謝料は、少なくなる傾向があると考えられます。
コラム:離婚の慰謝料は原則非課税
離婚の慰謝料は、原則非課税になっています。
ただし、社会通念を超える多額の慰謝料の場合は、贈与税が課されることもあります。
離婚の慰謝料の相場としては、50万円~500万円程度ですが、3000万円など高額すぎる慰謝料の場合は、贈与を疑われる可能性が高くなります。
また、贈与税や相続税を免れるために偽装離婚したと認められる場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。
2章:離婚の慰謝料を請求できないケース
離婚の慰謝料を請求できないケースとして、主なものを4つあげます。
- 性格の不一致
- 相手親族との不和
- 健康上の問題
- 信仰上の対立
それぞれ解説していきます。
2-1:性格の不一致
性格の不一致を離婚原因とした場合は、お互いの協議によって離婚することは可能ですが、慰謝料を請求することはできません。
なぜなら、性格の不一致、または価値観の違いとよく言われる離婚原因の場合は、夫婦のどちらか片方に責任があるとはいえない問題だからです。
性格の不一致としてよくあげられる、
- 配偶者の言動や行動が許せない
- 性格が合わずよく喧嘩する
- ライフスタイルが違う
- 金銭感覚が合わない
などの問題は、それだけでは法律上の離婚原因としては認められていません。
離婚の慰謝料の請求が認められるのは、相手の不法行為によって精神的苦痛(損害)を負ったことが明らかな場合です。
性格の不一致による相手の言動や行動が、1章で解説したDVやモラハラ、悪意の遺棄などにまでエスカレートした場合は、離婚も慰謝料の請求も認められる可能性があります。
2-2:相手親族との不和
相手親族との不和を離婚原因とした場合は、お互いの協議によって離婚することは可能ですが、慰謝料を請求することはできません。
なぜなら、相手親族との間に生じた問題による不和は、離婚の当事者である夫婦間の問題ではないからです。
当然、法律上の離婚の事由としては認められず、慰謝料を相手(配偶者)に請求することもできません。
ただし、相手親族との不和を(配偶者に)相談したにもかかわらず、適切な対応や擁護をしてもらえなかったことで夫婦関係が悪化した場合は、婚姻関係が破綻していると認められることもあります。
また、相手の親族から日常的に暴力や暴言、モラハラ的な不法行為を受けていたなどの場合は、相手親族に対して直接慰謝料を請求できる可能性はあります。
2-3:健康上の問題
相手の健康上の問題を離婚原因とした場合は、お互いの協議によって離婚することは可能ですが、慰謝料を請求することは難しいです。
なぜなら、健康上の問題を理由として離婚が認められる可能性が低いからです。
夫婦は互いに協力・扶助して結婚生活を送るべき義務があり、相手が病気になったときにも、それを支えて夫婦関係を維持していくことが必要とされています。
健康に関する法律上の離婚事由として、
「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」
とありますが、病気になることは本人の責任とは限らず、離婚後の相手の生活も懸念されるため、離婚が認められる可能性はかなり低いです。
強度の精神病だけではなく、重篤な病気や障害で、「回復の見込みがない」「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められる場合もありますが、離婚後の治療費や介護費、介護方法など具体的な方策を提示する必要があります。
2-4:信仰上の対立
信仰上の対立を離婚原因とした場合は、お互いの協議によって離婚することは可能ですが、慰謝料を請求することは難しいです。
なぜなら、憲法によって「信教の自由」が認められているため、単純に相手の信仰している宗教や宗教活動に不満があるという理由だけでは、離婚が認められる可能性は低いからです。
ただし、相手が宗教活動にのめりこんで、仕事や家事を行わない、多額の資金をつぎ込んでいる、子供にも宗教活動を強要するなどといった場合は、婚姻を継続し難い重大な事由として認められる可能性はあります。
3章:離婚の慰謝料を増額する要素
離婚の慰謝料を決める要素は、過去の判例や離婚事由、個々の状況など様々です。
離婚の慰謝料を増額・減額する主な要素としては、次の4つがあげられます。
- 婚姻期間、同居期間
- 婚姻生活の状況
- 子どもの有無
- 不法行為の内容や期間、頻度
それぞれ解説していきます。
3-1:婚姻期間、同居期間
当然、個々の事例にもよりますが、婚姻・同居期間が長いほど慰謝料が高額となる傾向があるようです。
なぜなら、婚姻・同居期間が長いほど、婚姻生活を破綻に追いやった相手の不法行為による精神的被害が大きいと考えられるからです。
3-2:婚姻生活の状況
婚姻生活の状況によって、慰謝料の金額が左右されます。
それまでの婚姻生活が円満なほど、例えば不貞行為などの不法行為による精神的被害は、大きいと考えられます。
また、年収が高い場合や財産が多い場合ほど、慰謝料が高額となる傾向があります。
3-3:養育が必要な子どもの有無
養育が必要な子供がいる場合は、慰謝料が高額になる傾向があります。
離婚による子供への影響は大きく、また子供が幼いほど精神的被害を受ける可能性が大きいと考えられるので、慰謝料は高額になる可能性があります。
3-4:不法行為の内容や期間、頻度
不法行為の内容や期間、頻度によって慰謝料が高額になる可能性があります。
それぞれの不法行為別に、解説していきます。
3-4-1:不倫・浮気をした場合
不倫・浮気などの不貞行為が離婚原因の場合は、次のようなケースで慰謝料が高額になる可能性があります。
- 不貞行為の期間が長い
- 不貞行為が原因で別居した
- 不倫・浮気相手と同棲している
- 不倫・浮気相手が妊娠している
- 不貞行為を知ったことで精神疾患を患った
3-4-2:DV(身体的暴力)、モラハラ(言葉・精神的暴力)の場合
DV・モラハラが離婚原因の場合は、次のようなケースで慰謝料が高額になる可能性があります。
- DV・モラハラの期間が長い
- DV・モラハラの頻度が多い
- 特別な落ち度もなくDV・モラハラが始まった
- DV・モラハラによるケガ・後遺症が重い
- DV・モラハラによって精神疾患を患った
3-4-3:悪意の遺棄(生活費を渡さない、他)の場合
悪意の遺棄が離婚原因の場合は、次のようなケースで慰謝料が高額になる可能性があります。
- 別居期間が長い
- 特別な落ち度・理由がないのに別居している
- 健康で就労可能なのに働かない
- 相手に収入がないことを知りながら生活費を入れない
3-4-4:セックスレスの場合
セックスレスが離婚原因の場合は、次のようなケースで慰謝料が高額になる可能性があります。
- セックスレスの期間が長い
- 婚姻後、一度もセックスがない
- 夫婦間ではセックスレスだが、不貞相手とはセックスしていた
4章:離婚の慰謝料を請求する流れ
この章では、離婚の慰謝料を請求する流れについて解説します。
離婚の話し合いには、次の3段階があります。
- 話し合い(協議)をする
- 離婚調停をする
- 裁判離婚をする
順番に解説していきます。
4-1:話し合い(協議)をする
夫婦の話し合いによる離婚、協議離婚について解説します。
協議離婚の流れとしては、次のようになります。
- 夫婦の話し合いで、離婚条件(慰謝料、財産分与、親権など)を決める
- 離婚条件を離婚協議書にまとめる
- 作成した離婚協議書を公正証書にまとめる
- 離婚届を作成し、役場に提出する
離婚の方法としてはとても多い形ですが、話し合い、口頭で離婚条件を決めて、離婚届けを出すだけでは、後から問題が生じる可能性があります。
特に、離婚後に養育費など金銭による支払いを受けるときには、支払われない場合に備えて、できれば公正証書を作成されることをおすすめします。
4-2:調停離婚をする
夫婦間の話し合い(協議)がうまくいかなかった場合は、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることができます。
離婚調停では、裁判官1名と調停委員2名からなる調停委員会によって、双方の意見の聞き取りや条件面の話し合いが夫婦別々に行われます。
夫婦双方が合意した場合は、合意した内容が調停調書に記載され、調停離婚が成立することなります。
申立人は、調停成立の日から10日以内に、離婚届に離婚調停調書の謄本を添えて、市町村役場に提出しなければなりません。
もし、相手が離婚を拒否したり、金銭面や子供の親権等で合意が得られない場合は、調停不調となります。
その場合は、離婚をあきらめるか、離婚を再度協議するか、あるいは家庭裁判所に離婚訴訟するか選択することになります。
4-3:裁判離婚をする
裁判離婚とは、離婚調停で夫婦の合意ができない場合に、家庭裁判所に離婚訴訟を起こし、裁判所の判決によって離婚を成立させる手続きです。
裁判離婚では、夫婦の合意は必要なく裁判所からの離婚判決が確定することで離婚となります。
また、裁判の過程において、和解によって離婚が成立する場合もあります。
裁判離婚が認められるには、ここまで解説してきた法律上離婚の訴えが認められる事由(理由・原因)が必要となります。
裁判離婚の場合は、法廷で争うことになるので、不利益な判決を避けるためには弁護士への依頼をおすすめします。
コラム:離婚慰謝料の請求には3年の時効がある
離婚慰謝料を請求するには、離婚後3年以内という時効があります。
つまり、離婚による精神的損害に対して、離婚が成立したときから3年間は離婚慰謝料を請求できます。
たとえ、不法行為が行われた時から3年が経っていても、離婚してから3年以内であれば、離婚の原因として認められ離婚慰謝料を請求できます。
ただし、不法行為と離婚との因果関係が認められなかった場合、離婚してから3年以内であっても、不法行為から3年が経っていると時効が成立してしまうので注意しましょう。
5章:離婚慰謝料請求に必要な証拠
1章で、離婚の慰謝料を請求できる5つのケースを解説しましたが、慰謝料を請求するためには、相手の不法行為を明らかにする証拠が必要となります。
離婚の原因となる5つのケース、それぞれに必要な証拠について解説します。
5-1:不倫の場合
不倫の証拠として、認められる可能性があるものを上げてみます。
- 写真
- 録音した音声データや録画した撮影データ
- クレジットカードの利用明細、レシート
- Suica、PASMOなどの利用履歴
- メールや手紙
- SNSやブログ
- 手帳、日記、メモ
- GPS
- 住民票の写し
- 妊娠、堕胎を証明できるもの
- 子どもの血液型
- 興信所や探偵の調査報告書
これらの証拠を、できるだけ早い段階からより多く集めておくことが重要です。
なぜなら、これらの証拠によって不倫の事実、回数や期間、不倫相手等が明らかとなり、裁判官や弁護士等の第三者にも相手の不貞行為を認めてもらえるからです。
※上にあげた不倫の証拠については、次の記事でそれぞれ詳しく解説しています。
【浮気・不倫の13の証拠】証拠になるもの・ならないものを弁護士が解説
5-2:DV、モラハラの場合
DV、モラハラの証拠として、認められる可能性があるものを上げてみます。
■DVで受けたケガを撮影した画像
殴る、蹴る、叩くなどの暴行を受けた場合は、怪我をした箇所を撮影しておく。
■病院の診断書
暴行によるケガや精神的苦痛で精神科に言った場合など、病院に行って診断書をもらい保管しておく。
■DV・モラハラのメモ・日記
DV・モラハラを受けたことを、手書きのメモや日記に残していく。
残す場合は「日時」「受けた行為」「場所」「被害の重さ」などできる限り詳しく状況を記録しておく。
■警察に相談した記録
DVを受けた際に警察に相談することで、相談内容や警察の対応などの記録が警察署に保管される。
これらの証拠を集めておくことによって、裁判官や弁護士等の第三者に、相手の不法行為を認めてもらえる可能性が高まります。
5-3:悪意の遺棄の場合
悪意の遺棄の場合、「別居している」「生活費が振り込まれない」「働こうとしない」といったことを明らかにする証拠を集める必要があります。
悪意の遺棄の証拠として、認められる可能性があるものを上げてみます。
- 別居時期、原因、別居している場所が分かる記録や資料
- 生活費が振り込まれなくなったことが分かる通帳等
- 配偶者が夫婦関係を破綻させる意思を持っていたことが分かるメールやLINE等の文章
これらの証拠を集めておくことによって、裁判官や弁護士等の第三者に、相手の不法行為を認めてもらえる可能性が高まります。
5-4:セックスレスの場合
セックスレスの場合、相手に原因があることを示すことが難しいため、証拠を残しておくことが非常に重要です。
セックスレスの証拠として、認められる可能性があるものを上げてみます。
■セックスレスのことを手書きで残した日記、メモ
セックスレスになった時期や状況、原因、期間などについて詳細を記したもの。
■就寝時間などの夫婦の生活リズムを記録したメモ
生活リズム的にセックスが可能なのにしていなかったということを証明するため、お互いの生活時間を記録する。
■セックスレスを解決しようとした時の話し合いを記録したもの
相手が拒否するような言動、行動を撮っていた場合、それを記録する。
このような証拠を、できるだけ多く残しておくことが必要です。
5-5:借金の場合
相手の借金によって夫婦関係が修復困難な状態まで破碇している証拠として、認められる可能性があるものを上げてみます。
- 通帳のコピー
- 相手の給与明細やクレジットカードの利用明細
- 家計簿など収支がわかる記録
- 何度か注意した経過を示すメモやメール等
このような証拠を、できるだけ多く残しておくことが必要です。
6章:離婚時に慰謝料以外で請求できるお金
離婚時に、慰謝料以外で請求できるお金があります。
主なものとして、次の4つがあげられます。
- 財産分与
- 年金分割
- 養育費
- 婚姻費用
それぞれ解説していきます。
6-1:財産分与
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産を、離婚時に公平に分け合うことを言います。
財産分与は、離婚理由にかかわらず行われることになります。
ただし、婚姻前からそれぞれが個別に所有していた財産や、婚姻中にそれぞれの親から相続した財産(不動産や現金など)は対象となりません。
6-2:年金分割
年金分割とは、離婚をした場合に、婚姻期間中に納めた厚生年金の保険料を、夫婦間で通常50%の割合で分割することができる制度です。
これによって離婚後、将来受け取ることのできるそれぞれの老齢厚生年金額を、分割後の保険料納付実績に基づいて受給することができます。
ただし、年金分割の対象は厚生年金のみとなっており、国民年金は対象となっていません。
6-3:養育費
養育が必要な子供がいて親権を持った場合は、養育費を請求することができます。
養育費とは、子供が自立するまでに必要な費用のことで、子供のための生活費や教育費、医療費などを指します。
6-4:婚姻費用
婚姻費用とは、婚姻中の夫婦の生活にかかる費用のことで、食費や住居費、養育費、医療費などを指します。
夫婦が別居する際に、収入の少ないほうが収入の多い相手に、離婚までの婚姻費用を請求することができます。
7章:離婚慰謝料を請求された場合にとりたい行動
離婚慰謝料を請求された場合は、減額・免除される可能性があります。
1章で解説した、離婚の慰謝料を請求できる5つのケースでも、あなた自身が見に覚えがない時は請求に応じる必要はありません。
離婚の慰謝料を請求された場合は、相手が請求の根拠とする証拠の確認を求め、明確な証拠が確認できないのであれば、請求を拒否できる可能性があります。
慰謝料の支払いが避けられない場合、過剰な請求はもちろんですが、妥当な額の請求であっても、自身の支払い能力に不安がある場合は、減額や分割を求めることも不可能ではありません。
8章:離婚問題は弁護士に相談するのがおすすめ
離婚問題の解決に向けての行動として、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。
離婚は、これからの将来を左右する大きな問題であり、自分が望む形での解決を目指すためには、かなりの労力を必要とします。
ここまで解説してきたように離婚問題は、法律的な知識だけでなく、相手の不法行為の証拠の収集などの様々な準備・対策が必要です。
離婚を決意し、より妥当な額の慰謝料の請求を望まれるのであれば、ぜひ離婚や慰謝料請求に強い弁護士に相談されることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
■離婚の慰謝料を請求できる5つのケースと相場
- 不倫・浮気(不貞行為)をした場合
- DV(身体的暴力)、モラハラ(言葉・精神的暴力)の場合
- 悪意の遺棄(生活費を渡さない、他)の場合
- セックスレスの場合
- 借金がある場合
■離婚の慰謝料を請求できないケース
- 性格の不一致
- 相手親族との不和
- 健康上の問題
- 信仰上の対立
■離婚の慰謝料を増額する要素
- 婚姻期間、同居期間
- 婚姻生活の状況
- 子どもの有無
- 不法行為の内容や期間、頻度
■離婚の慰謝料を請求する流れ
- 話し合い(協議)をする
- 調停離婚をする
- 裁判離婚をする
■離婚時に慰謝料以外で請求できるお金
- 財産分与
- 年金分割
- 養育費
- 婚姻費用
■離婚慰謝料を請求された場合は、減額・免除を求める
■離婚問題の解決は、離婚や慰謝料請求に強い弁護士に相談されることをおすすめします。
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。
不倫慰謝料計算機で算出された数値は、
あなたが請求できる、または請求される慰謝料の相場額です。
実際の金額は、不倫の程度や証拠の有無などにより増額・減額します。
不倫相手への慰謝料請求やスムーズな支払いを希望される場合は、
弁護士への相談・依頼を検討してください。