有責配偶者とは?5つのケースと離婚する時の慰謝料や離婚条件を解説

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住川 佳祐
(弁護士法人QUEST法律事務所 代表弁護士)

著者情報 弁護士法人QUEST法律事務所 代表弁護士 住川佳祐

東京弁護士会所属。東京大学法学部卒。『NHK あさイチ』のTV出演の他、『プレジデント』『ダイヤモンド・セレクト』などメディア掲載多数。弁護士法人QUEST法律事務所のHPはこちら。

有責配偶者からの離婚請求が認められるケース

あなたは、

  • 有責配偶者とは何か知りたい
  • 有責配偶者は自分から離婚請求できないの?
  • 有責配偶者の離婚請求が認められる条件が知りたい

などとお考えではないでしょうか。

有責配偶者とは、不貞行為やDV・モラハラなど、離婚の原因をつくった配偶者のことをいいます。  

自らの行為によって婚姻関係を破綻させた有責配偶者は、離婚請求しても裁判では原則として認められません。

どんなに離婚したいと思っても、相手が拒否している場合、離婚成立は難しくなります。

しかし、相手が離婚を受け入れるなど状況によっては、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合もあります。

そこで、この記事では、

1章では、有責配偶者とは、離婚原因を作った責任がある配偶者

2章では、有責配偶者からの離婚請求は認められない

3章では、有責配偶者が離婚するときの慰謝料と離婚条件

について詳しく解説します。

この記事を読んで、有責配偶者とみなされるケースや、離婚できる条件などしっかり理解してください。

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1章:有責配偶者とは、離婚原因を作った責任がある配偶者

有責配偶者とは、不貞行為やDV・モラハラなど法律で定められた離婚理由(法定離婚事由)に該当する行為によって、離婚原因をつくった責任がある配偶者のことをいいます。

有責配偶者になった場合、どのような責任を負うのか、また、有責配偶者にあたるケースにはどのようなものがあるのでしょうか。

  • 有責配偶者は自ら離婚原因を作りだした責任を負います
  • 有責配偶者にあたる5つのケース

それぞれ解説します。

1-1:有責配偶者は自ら離婚原因を作りだした責任を負います

有責配偶者は、不倫やDVなど自ら離婚の原因を作り、婚姻関係を破綻させた責任を負います。

そのため、有責配偶者からの離婚請求は、相手が拒否した場合は原則的に認められません。

離婚裁判で争うことになった場合でも、離婚請求が認められないケースがほとんどです。

また、有責配偶者は、離婚請求が認められないだけでなく、不法行為によって損害を受けた相手から、慰謝料を請求される可能性があります。

そのため、慰謝料を請求された場合は、支払う義務が生じます。

また、離婚を前提として調停や裁判を行っている場合は、慰謝料の支払いを受け入れることで、離婚が成立する場合もあります。

1-2:有責配偶者にあたる5つのケース

有責配偶者にあたる5つのケースとして、民法(第770条)で定められた法定離婚事由に該当する行為があげられます。

  • 配偶者の不貞行為があった
  • 配偶者から悪意の遺棄された
  • 配偶者の生死が3年以上明らかではない
  • 配偶者が強度の精神病で回復の見込みがない
  • 配偶者のDVなど婚姻を継続しがたい重大な理由がある

それぞれ解説します。

1-2-1:配偶者の不貞行為があった

配偶者が不貞行為を行った場合は、有責配偶者にあたります。

不貞行為とは、配偶者以外の第三者と自由な意思のもとに性交渉を行うことで、夫婦相互の貞操義務に反する行為として、法定離婚事由にあげられています。

また、口淫や手淫といった性交類似行為も、不貞行為とみなされる場合があります。

異性と親しい関係だったとしても肉体関係がない場合は、不貞行為には該当しないため原則として有責配偶者にはなりません。

 

1-2-2:配偶者から悪意の遺棄された

夫婦には協力して婚姻生活を継続させる義務があり、配偶者がこれらを果たさない場合は、悪意の遺棄として有責配偶者になる可能性があります。

民法(第752条)では、夫婦の義務として次の3つが定められています。

  • 同居の義務
  • 協力義務
  • 扶助の義務

これらの義務を果たさない場合は、悪意の遺棄に該当する可能性があります。

具体的には、生活費を家計に入れない、正当な理由なく別居し家庭を省みない場合などがあげられます。

1-2-3:配偶者の生死が3年以上明らかではない

配偶者の生死がわからない状態が3年以上続いている場合は、便宜上、有責配偶者として扱われます。

残された配偶者から離婚請求が可能となり、裁判所に生死不明であることを証明することで、離婚できるケースがあります。

ただし、この場合は生死がわからない状態であることがポイントであり、生きているが自宅に帰ってこない、住所不明の場合は、悪意の遺棄に該当する可能性があるので注意が必要です。

1-2-4:配偶者が強度の精神病で回復の見込みがない

配偶者が強度の精神病になり、回復の見込みがない場合は、法定離婚事由として認められるケースがあります。

この場合、便宜上、精神病の配偶者は有責配偶者になります。

ただし、裁判により回復する見込みがない強度の精神病を理由に、離婚が認められるケースは稀で、離婚を認める場合は、今後の生活や療養について考慮したうえで決定されます。

1-2-5:配偶者のDVなど婚姻を継続しがたい重大な理由がある

配偶者のDVやモラハラなどによって婚姻関係が破綻し、その他婚姻を継続しがたい重大な理由に該当する場合は、加害者側が有責配偶者になります。

具体的には、次のようなものがあげられます。

  • 身体的・精神的な暴力
  • 犯罪行為による服役
  • ギャンブルなどで借金を繰り返している

ただし、性格の不一致は離婚事由としては認められないので、その点には注意が必要です。

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2章:有責配偶者からの離婚請求は認められない

先にもお伝えしましたが、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められません。

しかし、夫婦の状況によっては、例外的に有責配偶者の離婚請求が認められるケースがあります。

  • 原則的に裁判での離婚請求は認められない
  • 有責配偶者でも離婚できる2つのケース

それぞれ解説します。

2-1:原則的に裁判での離婚請求は認められない

有責配偶者の場合、原則的に裁判での離婚請求は認められませんが、離婚協議や離婚調停などの話し合いの場を設けることはできます。

話し合いで相手が離婚に合意しない場合は、一般的には裁判を申し立てますが、裁判においては有責配偶者からの離婚請求は認められないことがほとんどです。

有責配偶者の不法行為によって相手にダメージを与えている以上、相手が望まない離婚を求めることは人道的・社会正義の観点から見ても反すると考えられているためです。

相手の立場で見れば、婚姻関係を破綻させられたことに加え、離婚させられるとなれば、さらなるダメージを負うことも考えられます。

裁判所では公平を保つ意味でも、有責配偶者からの離婚請求は認めないのです。

2-2:有責配偶者でも離婚できる2つのケース

有責配偶者からの離婚請求は、前述したように原則として認められていませんが、例外的に認められるケースがあります。

  • 話し合いや離婚調停で相手が離婚に合意した場合
  • 3つの条件を満たすことで例外的に離婚請求が認められた場合

それぞれ解説します。

2-2-1:話し合いや離婚調停で相手が離婚に合意した場合

話し合いや離婚調停で相手が離婚に合意した場合、有責配偶者からの離婚請求であっても離婚が認められます。

離婚は理由に関係なく、お互いが合意すれば成立するからです。

もし、相手方が冷静な話し合いができない場合は、夫婦間で話し合うよりも、第三者を入れた離婚調停の方が良いでしょう。

弁護士に相談することも選択肢の1つで、慰謝料や財産分与などを多く渡すなど、相手が納得するよう提案と交渉をすることで、離婚に合意してもらえる可能性があります。

2-2-2:3つの条件を満たすことで例外的に離婚請求が認められた場合

次にあげる3つの条件を満たすことで、例外的に離婚請求が認められる場合があります。

  • 別居期間が長期にわたっている場合
  • 夫婦の間に未成熟の子どもがいない場合
  • 配偶者が離婚によって過酷な状況に置かれない場合

1つ目の、別居期間が長期にわたっている場合は、婚姻関係がすでに破綻していると認められる可能性が高いです。

これまでに、有責配偶者からの離婚が認められた判例での具体的な別居期間は、10年未満から30年以上と幅広く、期間が定められているわけではありません。

そのため、別居期間に加えて、夫婦の諸事情が総合的に判断されるといえるでしょう。

2つ目は、夫婦の間に未成熟の子どもがいない、経済的に自立していない子どもがいないことです。

子どもの具体的な年齢は定められていませんが、成人していても親のサポートが必要な場合は、未成熟の子どもと判断されるため、子どもがどこまで自立しているかも含めて検討されます。

こうした子どもがいない場合は、有責配偶者からの離婚請求が認められる可能性があり、子どもがいたとしても親のサポートの必要性に応じて、離婚が認められる可能性があります。

3つ目は、有責配偶者本人が、離婚後に配偶者が生活に困らない状況をつくることで、離婚請求が認められるケースがあります。

相手方の状況によっては、離婚することにより、精神的・経済的・社会的にダメージを受ける可能性があるためです。

慰謝料や財産分与などを行い、離婚後の生活を保障できれば、離婚が認められる可能性が高くなります。

これら3つの条件を満たすことで、例外的に離婚請求が認められる場合があります。

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3章:有責配偶者が離婚するときの慰謝料と離婚条件

有責配偶者は、不法行為に対する損害賠償として、相手から慰謝料を請求される可能性があります。

また、有責という不利な立場となることから、離婚条件が厳しいものになることも考えられます。

慰謝料と離婚条件については、自分にとって不利になる可能性があることは、覚悟しておかなければなりません。

  • 有責配偶者は慰謝料を請求される可能性がある
  • 有責配偶者の離婚条件への影響

それぞれ、解説します。

3-1:有責配偶者は慰謝料を請求される可能性がある

離婚の原因をつくり、婚姻関係を破綻させた有責配偶者は、相手から慰謝料を請求される可能性があります。

不法行為を行った有責配偶者は、被害者が受けた精神的苦痛に対する損害賠償として、慰謝料を支払う義務があるからです。

離婚の原因と慰謝料相場は、次のようになります。

離婚の原因と慰謝料相場

あなたが有責配偶者の場合、慰謝料の請求に応じることで、離婚が成立できる場合も考えられます。

具体的な金額は、交渉次第で減額できる可能性もありますが、冷静に交渉するために弁護士に依頼することをオススメします。

3-2:有責配偶者の離婚条件への影響

離婚時は、財産分与をはじめ子どもの親権などを取り決めるのが一般的ですが、有責配偶者だからといって、これらの条件に大きな影響を与えることはありません。

たとえば、財産分与は、婚姻期間中の共有財産であり、離婚に対する有責性とは無関係です。

そのため、あなたが有責配偶者だったとしても、原則として1/2の割合で分けます。

また、子どもがいる場合の親権や養育費も、原則として有責性とは切り離して検討されます。

ただし、有責配偶者が子どもに暴力を振るうなど、虐待と見なされる行為がある場合は、親権者として不適切だと判断されるでしょう。

養育費は、離婚後の子どもの生活費となるため、有責配偶者が養育費を支払う場合でも、有責性による金額の増減などは基本的にありません。

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まとめ:有責配偶者が離婚を求める場合は厳しい条件が提示される

最後に、今回の内容を振り返ります。

有責配偶者とは、離婚原因を作った責任がある配偶者

■有責配偶者は自ら離婚原因を作りだした責任を負います

■有責配偶者にあたる5つのケース

  • 配偶者の不貞行為があった
  • 配偶者から悪意の遺棄された
  • 配偶者の生死が3年以上明らかではない
  • 配偶者が強度の精神病で回復の見込みがない
  • 配偶者のDVなど婚姻を継続しがたい重大な理由がある

【有責配偶者からの離婚請求は認められない】

■原則的に裁判での離婚請求は認められない

■有責配偶者でも離婚できる2つのケース

  • 話し合いや離婚調停で相手が離婚に合意した場合
  • 3つの条件を満たすことで例外的に離婚請求が認められた場合

【有責配偶者が離婚するときの慰謝料と離婚条件】

■有責配偶者は慰謝料を請求される可能性がある

■有責配偶者の離婚条件への影響

この記事の内容を参考にして、有責配偶者として離婚する際に役立ててください。

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