- 更新日:2024.10.03
- #離婚調停費用
離婚調停の費用は?手続きの方法や弁護士依頼の相場について解説【早見表あり】
この記事を読んで理解できること
- 離婚調停の内容と流れ・申し立て方法
- 離婚調停にかかる費用
- 離婚調停を弁護士に依頼した方が良い5つのケース
- 離婚調停を弁護士に依頼する5つのメリット
- 離婚調停を有利に進めるための準備
- 弁護士(法律事務所)の選び方
あなたは、
「離婚調停の費用はいくらかかるの?」
「離婚調停は自分で出来るのか知りたい」
「離婚調停の費用を抑えて早く解決したい」
などとお考えではないですか。
結論から言うと、離婚調停は、家庭裁判所に自分で申し立てることができますし、費用としては3000円程度で済ませることができますが、親権や財産分与・慰謝料などの争いがある場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、離婚を希望する条件で解決するためには、法律の専門家で離婚交渉の経験が豊富な弁護士に任せることによって、早期に解決できる可能性が高まるからです。
また離婚調停では、離婚成立のための交渉だけでなく、各種手続きや必要書類の作成など、離婚調停に対するさまざまな準備が必要となるため、弁護士に任せることによって、その負担を軽減できます。
弁護士に依頼する場合は、どうしても弁護士費用が必要となりますが、離婚を希望する条件で早期に解決するためには必要な経費とも言えます。
まずは、各法律事務所の無料相談などを利用して、離婚の見通しや掛かる費用など、弁護士に相談することをおすすめします。
この記事では、1章では離婚調停の内容と流れ・申し立て方法を、2章では離婚調停にかかる費用を、3章では離婚調停を弁護士に依頼した方が良い5つのケースについて解説していきます。
さらに、4章では弁護士に依頼する5つのメリットを、5章では離婚調停を有利に進める準備と方法を、6章では離婚調停の弁護士(法律事務所)の選び方について解説していきます。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■離婚調停は、正式には「夫婦関係調整調停」といい、自分で家庭裁判所に申し立てることもできます。
申し立てる際の費用としては、収入印紙1200円、郵便切手代1000円程度、戸籍謄本取得費用450円、住民票取得費用300円などを合わせて、3000円程度で済ますことができます。
■弁護士費用の内訳と相場
■離婚調停を弁護士に依頼した方が良い5つのケース
- 相手方に弁護士がいる場合
- 子供の親権で争いがある
- 婚姻費用や養育費で争いがある
- 財産分与で争いがある
- 慰謝料を請求したい
■離婚調停を弁護士に依頼することによって、交渉を有利に進められる可能性が高くなるだけでなく、各種手続き必要書類の作成などを任せることができます。
■弁護士(法律事務所)の選び方
まずは、各法律事務所の無料相談などを利用し、弁護士の対応や費用等の説明などを通して、弁護士との相性や信頼感など総合的に判断して決めることが重要です。
目次
1章:離婚調停の内容と流れ・申し立て方法
離婚調停とは、正式には「夫婦関係調整調停」といい、家庭裁判所に申し立てることによって、家庭裁判所の仲介を受けて離婚条件等の合意を目指す手続きのことです。
夫婦間での離婚の話し合い(協議)がうまくいかなかった場合や、あるいは相手のDVなどによって話し合い自体ができない場合は、離婚調停を申し立てることは大変有効です。
この章では、離婚調停の内容や流れ、申し立て方法について、それぞれ解説していきます。
1-1:離婚調停の内容
離婚調停では、家庭裁判所の裁判官1名と裁判所から選任される調停委員男女2名からなる調停委員会によって、双方の意見の聞き取りや条件面の話し合いが夫婦別々に行われます。
離婚調停では、裁判官による判決が下される裁判と違い、調停委員が当事者双方に譲歩を促し、お互いに納得できる結論を求めていきます。
離婚調停では、離婚の合意だけでなく、財産分与や慰謝料、年金分割の割合、未成年の子供がいる場合は、子供の親権や養育費、面会交流などについても一緒に合意を目指す話し合いを行います。
1-2:離婚調停の流れ
離婚調停の流れは、次のようになります。
- 離婚調停の申し立て
- 第1回目の調停
- 第2回目以降の調停
- 離婚調停の終了
家庭裁判所に対して離婚調停の申し立てを行い、離婚調停の申し立てが受理されると、第1回目の調停の期日が決められ、調停期日通知書(呼出状)が当事者双方に送付されます。
第1回目の調停では、夫婦別々に意見の聞き取りや話し合いが行われます。
さらに、第2回目の調停が行われ、必要であればそれ以降も、調停による双方の合意を目指した話し合いを行っていきます。
調停によって夫婦双方が合意した場合は、合意した内容が調停調書に記載され、調停離婚が成立することなるため、申立人は調停成立の日から10日以内に、離婚届に離婚調停調書の謄本を添えて、市町村役場に提出する必要があります。
もし、相手が離婚を拒否したり金銭面や子供の親権等で合意が得られない場合は、調停不調となるため、離婚をあきらめるか、離婚を再度協議するか、あるいは家庭裁判所に離婚訴訟するか選択することになります。
1-3:離婚調停の申し立て方法
離婚調停を申し立てる方法は、申し立てに必要な書類を揃えて、管轄の家庭裁判所が定める収入印紙・切手と一緒に裁判所に提出します。
離婚調停の申し立てに必要な書類は、次のようになります。
- 申立書3通(裁判所用、相手方用、申立人控え)
- 事情説明書
- 子についての事情説明書(未成年の子供がいる場合)
- 連絡先等の届出書
- 進行に関する照会回答書
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
さらに、離婚条件等の調停のために、次のような書類が必要な場合もあります。
- 夫婦の所得証明書や源泉徴収票、確定申告書
- 不動産登記事項証明書、残高証明書
- 年金分割の情報通知書(年金分割を請求する場合)
申立書は、裁判所の公式サイト「夫婦関係調整調停(離婚)の申立書」からダウンロードできます。
2章:離婚調停にかかる費用
離婚調停の申し立てを自分で行う場合の費用と、弁護士に依頼した場合の費用について解説します。
2-1:自分で申し立てを行う場合の費用(3000円程度)
管轄の家庭裁判所に、自分で離婚調停を申し立てる場合の費用について解説します。
離婚調停の申し立てに必要な費用は、次のようになります。
- 収入印紙1,200円分
- 連絡用の郵便切手1,000円前後
- 戸籍謄本取得費用(全部事項証明書)450円
- 住民票取得費用300円
財産分与や慰謝料、養育費の請求などを同時に申し立てる場合は、その分の収入印紙(各1,200円分)が必要となります。
2-2:弁護士に依頼した場合の費用(約44万円〜66万円)
離婚調停を弁護士に依頼した際の費用は、それぞれの法律事務所の料金体系によって異なりますが、主な費用としては次のようになります。
最近では、離婚問題の相談料は、初回無料としている法律事務所も多いようですが、相場としては1時間1.1万円となります。
弁護士に依頼した時点で発生する着手金の相場は、22~33万円程度、離婚が成立した場合の成功報酬の相場は、22~33万円程度となるため合計すると約44万円〜66万円となります。
成功報酬が個別に設定されている場合は、財産分与や慰謝料、養育費などで得られた利益に対する10~20%の報酬金や、親権を得られた場合の報酬金11~22万円などがあります。
離婚協議の段階で弁護士に依頼していて、離婚調停へと進んだ場合は、法律事務所によって離婚調停の着手金が発生しないところと、着手金を通常の半額程度とするところがあるようです。
3章:離婚調停を弁護士に依頼した方が良い5つのケース
離婚調停を行う際に、弁護士に依頼した方が良いケースとして、次の5つがあげられます。
- 相手方に弁護士がいる場合
- 子供の親権で争いがある
- 養育費・面会交流で争いがある
- 財産分与で争いがある
- 慰謝料を請求したい
それぞれ解説していきます。
3-1:相手側に弁護士が付いている場合
離婚調停で相手側に弁護士が付いている場合、弁護士は自分の依頼者に有利なように調停委員への説明や交渉を進めていくため、あなた一人で調停に臨むと圧倒的に不利になる可能性があります。
なぜなら、離婚調停では、弁護士は依頼人にアドバイスを送るだけでなく、代理人として調停の場に同席し、依頼人の主張を調停委員に直接説明することができるからです。
弁護士は法律のプロであり、依頼人の利益のために熟練したスキルによって交渉を進めていくだけでなく、調停委員自身も一方の当事者だけに弁護士が付いている場合は、弁護士の付いていない当事者に妥協を求めてくる傾向が少なからずあるからです。
相手方だけに弁護士がついている状態では、離婚の合意だけでなく、財産分与や慰謝料の請求、親権や養育費の請求など、離婚条件の交渉で不利な結果となる可能性が高くなります。
3-2:子供の親権で争いがある
離婚の際に、未成年の子供がいる場合は、必ず両親のどちらかに親権者を決める必要があるため、離婚調停において子供の親権を争う場合は、弁護士のアドバイスがとても重要となります。
親権は子供のためにある制度ですから、子供の監護状況や子供の意向、親権者の適格性などが調査されて総合的に判断されることになります。
しかし、お互いに子供の親権を求めて調停によって争われる場合は、未成年の子供には母親の愛情が大切だとして女性に有利となる傾向があるようです。
ただし、母親でも不倫によって子供に悪影響がある場合や、長時間労働をして家事ができないなど十分な養育環境が築けない場合は、親権獲得が難しいこともあります。
離婚調停において、子供の親権を争う場合は、弁護士に依頼することで、あなたの親権を求める気持ちや主張を正しく調査員に理解してもらえる可能性が高くなります。
離婚の際に、親権を獲得するためのポイントなど、詳しくは以下の記事で解説しています。
【弁護士が解説】離婚で親権を獲得する3つのポイントとよくある疑問
3-3:婚姻費用や養育費で争いがある
離婚調停で、婚姻費用や養育費で争いがある場合は、弁護士に依頼することで、夫婦それぞれの収入状況などをもとに、適切な金額を算定しアドバイスをもらうことができます。
婚姻費用とは、婚姻中の夫婦の生活にかかる費用のことで、食費や住居費、医療費、子供の学費などを指し、夫婦が別居する際に収入の少ないほうが、収入の多い相手に離婚までの婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用を得ることによって、現状収入のない専業主婦でも別居して相手に離婚を求めることができるようになります。
養育費については、子供を養育している間は、離婚後も認められることになります。
養育費の話し合いでは、現在子供を育てるのにかかっている費用や、今後の成長に伴って必要とされる費用、お互いの財産や今後の収入の増減など、双方からの聞き取りが行われます。
また、離婚調停では、養育費の金額は、双方の親の収入をもとに、裁判所が養育費の金額を算定した「養育費算定表※」を基準として、決められるのが一般的です。
しかし、子供が私立学校を希望していたり、大学進学のために塾通いが必要な場合などは、弁護士に依頼することで、特別な事情として養育費の増額が認められる可能性もあります。
離婚の養育費について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【離婚後の養育費】金額の決め方や相場、未払いを防ぐ4つのポイント
※平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
3-4:財産分与で争いがある
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産を、離婚時に公平に分け合うことを言い、この財産分与で争いがある場合は、弁護士に依頼することで現在の財産に対する明確な算定や、相手に対する正当な要求を行うことができます。
ただし、特有財産と呼ばれる婚姻前からそれぞれが個別に所有していた財産や、婚姻中にそれぞれの親から相続した財産(不動産や現金など)は対象となりません。
財産分与の内容としては、ここまで説明してきた清算的財産分与のほかに、扶養的財産分与と慰謝料的財産分与があります。
扶養的財産分与とは、離婚後に夫婦の片方が生活に困窮してしまう状況の場合に、生活費を補助する扶養的目的で分与される財産のことです。
通常は、経済的に自立していない専業主婦や健康上の問題がある配偶者に対して、生活費の補助として一定の金額を定期的に支払う形が多いです。
慰謝料的財産分与とは、離婚の際に請求される慰謝料と財産分与を明確に区別せず、慰謝料的意味合いで分与される財産のことです。
また、ローンの残っている不動産の財産分与については、不動産の名義や離婚後も所有するか処分するかなど、名義変更やローンの引継ぎなどいろいろな手続きが必要となります。
さらに、不動産の場合は、税金の問題や不動産の持ち分やローンの負担分、分与の差額分の支払いなど金銭的トラブルになる可能性も多くあります。
離婚の財産分与について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【弁護士が解説】離婚の財産分与の分け方と有利にする3つのポイント
3-5:慰謝料を請求したい
離婚の原因が、相手の不貞行為(不倫や浮気)やDVなどの不法行為にある場合は、あなたが負った精神的な苦痛(損害)に対する慰謝料を請求することができます。
弁護士に依頼することによって、相手の不法行為を明らかにする手段や証拠の集め方、相手との協議や調停の進め方などの適確なアドバイスを受けることができます。
慰謝料を請求できるケースでも、その内容・事例によって請求できる慰謝料の金額は様々ですが、大体の相場としては次の表のようになります。
さらに、弁護士に依頼することで、それぞれの状況に合わせて慰謝料を増額できる可能性もあります。
離婚の慰謝料や相場について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
離婚の慰謝料相場は?請求できる5つのケースと証拠を弁護士が解説
4章:離婚調停を弁護士に依頼する5つのメリット
離婚調停を弁護士に依頼するメリットとして、次の5つがあげられます。
- 離婚調停の手続きを任せられる
- 離婚調停を有利に進められる
- 離婚調停外でも弁護士に任せられる
- 調停成立後のトラブルを防げる
- 離婚訴訟に進んだときも安心
それぞれ解説していきます。
4-1:離婚調停の手続きを任せられる
1章で説明したように離婚調停の申し立てには、必要な書類や手続きが多く、さらに、調停で財産分与や養育費等の離婚条件を交渉する際の、資料・証拠となる書類等も揃える必要があります。
弁護士に依頼することで、これらの必要な書類の準備やチェックまで、煩雑な手続きをまとめて任せることができます。
4-2:離婚調停を有利に進められる
離婚調停では、調停委員に自分の主張をしっかりと説明し、正当性を理解してもらう必要があります。
弁護士は調停の際に同席し、あなたの説明の補足や必要なことを、法的なポイントを抑えて調停委員に分かりやすく伝えることができます。
また、弁護士に同席してもらうことによって、相手の主張や提示した条件に対して、即座に対応することができ、適切な交渉によって反論することもできます。
4-3:離婚調停外でも弁護士に任せられる
弁護士に依頼することによって、調停外で相手があなたと直接連絡を取ることを避けることができます。
離婚の原因がDVやモラハラなどの場合は特に、調停と弁護士に守られる形で、相手との離婚交渉を進められるのは大きなメリットとなります。
離婚調停のメリットとしても上げられますが、調停では夫婦が別々に調停委員に聞き取りを行われるため、夫婦が直接顔を合わせて交渉する必要がありません。
4-4:調停成立後のトラブルを防げる
弁護士であれば、調停で合意された各条件(調停条項)が、こちらに不利な内容となっていないか、離婚後も合意を守ってもらえる内容となっているかなどを、チェックすることができます。
離婚成立後のよくあるトラブルとしては、主に次の4つがあげられます。
- 財産分与・慰謝料など金銭の未払い
- 不動産の名義変更やローンの未払い
- 養育費の未払いや最終年齢
- 離婚後の財産分与・慰謝料・年金分割の請求
弁護士は、こういったトラブルを防ぐための対処法を熟知しているので、不利な調停条件での調停成立の不安を抑えられます。
4-5:離婚訴訟に進んだときも安心
離婚調停での合意が得られず、離婚訴訟に進んだ場合でも、弁護士はこれまでの当事者双方の状況を理解しているので、十分に対応することができます。
そのため、離婚訴訟の今後の見通しや、離婚条件に関するアドバイスなどが得られるので、訴訟に進んでも安心して任せることができます。
また、離婚調停の時と同様に、離婚訴訟に必要な訴状や書類の作成、手続き等の煩雑な作業もすべて任せることができます。
これによって、離婚訴訟の準備や公判中の時間や精神的負担を、軽減することができます。
コラム:弁護士に依頼するデメリット
離婚調停を弁護士に依頼するデメリットとしては、先に解説した着手金や成功報酬などの弁護士費用がかかることがあげられます。
しかし、あなたが無料相談などを利用して相談する際に、弁護士はあなたの希望を聞き、依頼者であるあなたに不利益が出る場合は、その依頼を受けることはありません。
もし財産分与や慰謝料請求で争いがある場合は、あなた自身が交渉に当たるより、弁護士に依頼することでより多くの財産や金銭等を得られる可能性も高まります。
まずは、各法律事務所の無料相談などを利用して、離婚で得られるメリットやおおまかな費用について弁護士に相談することをおすすめします。
5章:離婚調停を有利に進めるための準備
離婚調停を有利に進めるための準備として、次の4つがあげられます。
- 離婚したい理由・原因を明確にする
- 離婚で希望する条件と優先順位を明確にする
- 現在の状況を知る資料・証拠を集める
- 調停委員に悪い印象を与えない
それぞれ解説していきます。
5-1:離婚したい理由・原因を明確にする
離婚したい理由が、法的に定められた離婚するための理由(法定離婚事由)に当てはまるのか、確認しておく必要があります。
なぜなら、法定離婚事由が明らかな場合は、裁判で離婚が認められるため、相手が離婚に納得していない状況でも、調停委員が相手を説得してくれる可能性が高いからです。
また、相手に対して慰謝料などを請求できる可能性も高くなります。
法定離婚事由としては、次の5つが定められています。
1.配偶者に不貞な行為があったとき
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
(民法第770条)
また、離婚の理由としてよくあげられる「性格の不一致」のほかに理由がない場合は、離婚訴訟を申し出ても、離婚は認められない可能性が高いため、離婚調停によって、夫婦間の話し合いによる離婚の合意を得て離婚を目指すことになります。
5-2:離婚で希望する条件と優先順位を明確にする
離婚調停の際に希望する条件と優先順位を、明確にしておく必要があります。
例えば、希望する条件としては、次のようなものがあげられます。
- とにかく離婚したい
- 未成年の子供がいるので、親権を獲得したい
- 未成年の子供を育てる為の、養育費が欲しい
- 離婚の原因が相手の不倫にあるので、慰謝料を請求したい
- 財産分与として今住んでいる家が欲しい
離婚の条件を明確にして優先順位をつけることで、離婚交渉において最優先にする条件と、譲歩できる条件を選ぶことができます。
こうした選択の幅を明確にすることによって、離婚調停の際に、相手との交渉をスムーズに進めることができます。
5-3:現在の状況を知る資料・証拠を集める
離婚調停の際に、相手の財産や退職金、年金分割、公的な助成金などもよく調べて、現在の状況を知る資料を準備しておく必要があります。
また、不倫やDV、セックスレスなどの離婚原因の証拠となる画像や音声、詳細な記録なども集めておく必要があります。
集めておく資料としては、次のようものがあげられます。
- 預貯金通帳(通帳のコピー)
- 所得を証明する書類(給与明細、確定申告書類など)
- 不動産登記簿
- 証券口座の明細
- 生命保険に関する書類
- 夫の会社の現在の退職金支給実態
- 厚生年金保険料の支払い実績(標準報酬)
また、不倫やDV、セックスレスなどの証拠となるものや、証拠の集め方について、詳しくは以下の記事で解説しています。
離婚の慰謝料相場は?請求できる5つのケースと証拠を弁護士が解説
また、離婚の準備について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【弁護士が解説】離婚を決意したら始める5つの準備と離婚のタイミング
5-4:調停委員に悪い印象を与えない
離婚調停の際は、調停委員に対する言葉遣いや態度だけでなく、身だしなみや姿勢にも気を付けるようにしましょう。
基本的には、調停委員に悪い印象を与えないように注意する必要があります。
また調停を申し立てられた場合は、調停自体を軽視したり、調停期日を守らないといった行動は、その後不利になる可能性もあるため避ける方が良いでしょう。
6章:弁護士(法律事務所)の選び方
離婚を決意した場合は、離婚に必要な準備や取り組み方、今後の見通しなどいろいろなアドバイスを受けることができるので、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
離婚を相談する弁護士(法律事務所)の選び方として、次の2つがあげられます。
- 各法律事務所の無料相談を利用する
- 弁護士との相性や信頼感、費用等を比較する
それぞれ解説していきます。
6-1:各法律事務所の無料相談を利用する
最近では、離婚問題の相談料を無料とする法律事務所が多くなっています。
複数の法律事務所の無料相談を利用することによって、離婚問題の見通しなどを説明してもらうだけでなく、あなたに合った弁護士を選ぶことができます。
無料相談をした事務所に、必ず依頼しなければいけないというわけではないので、積極的に活用することをおすすめします。
当事務所(新橋第一法律事務所)も相談無料ですので、ぜひ相談先として検討してみてください。
6-2:弁護士との相性や信頼感、費用等を比較する
複数の法律事務所との無料相談を利用して、弁護士費用の安い法律事務所を探す方法もあります。
各法律事務所によって、弁護士報酬は様々で、着手金や成功報酬、財産分与や慰謝料等の報酬など複雑な場合が多いです。
各法律事務所の弁護士の対応や、費用等の説明などを通して、弁護士との相性や信頼感など、総合的に判断して決められることが重要です。
弁護士への離婚相談をおすすめする5つのケースや、弁護士に依頼するメリットなどついて、詳しくは次の記事で解説しています。
離婚問題を弁護士に依頼した方が良い5つのケースとメリット、費用相場も解説
コラム:法テラスを利用する
弁護士費用を負担する経済的余裕がない場合は、法テラス(日本司法支援センター)の弁護士費用立替制度を利用することができます。
そのため、下記の表のような「資力基準」(収入基準と資産基準)が定められています。
弁護士費用立替制度は、上図の資力基準を満たしている利用者に対して、弁護士に依頼した場合の着手金や実費などの費用を立て替えるものです。
利用者は、法テラスに立て替え払いしてもらった弁護士費用を、原則として月々1万円(月々5000円に減額も可)ずつ返済していくことになります。
法テラスの基準による弁護士費用は、通常の弁護士報酬の相場よりかなり低く、またその分割返済には利息が付かないという大きなメリットがあります。
まとめ
ここまで、離婚調停の内容や申し立て方法、離婚調停にかかる費用、弁護士に依頼した方が良い5つのケースなどついて解説してきました。
最後に今回の内容をまとめます。
■離婚調停は、正式には「夫婦関係調整調停」といい、自分で家庭裁判所に申し立てることもできます。
申し立てる際の費用としては、収入印紙1200円、郵便切手代1000円程度、戸籍謄本取得費用450円、住民票取得費用300円などを合わせて、3000円程度で済ますことができます。
■弁護士費用の内訳と相場
■離婚調停を弁護士に依頼した方が良い5つのケース
- 相手方に弁護士がいる場合
- 子供の親権で争いがある
- 婚姻費用や養育費で争いがある
- 財産分与で争いがある
- 慰謝料を請求したい
■離婚調停を弁護士に依頼することによって、交渉を有利に進められる可能性が高くなるだけでなく、各種手続き必要書類の作成などを任せることができます。
■弁護士(法律事務所)の選び方
まずは、各法律事務所の無料相談などを利用し、弁護士の対応や費用等の説明などを通して、弁護士との相性や信頼感など総合的に判断して決めることが重要です。
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。