【離婚を決意した方必見】4つの準備と貰えるお金について
この記事を読んで理解できること
- いきなり離婚を申し出てはダメです
- 離婚を決意したら始める4つの準備
- 離婚を申し出るタイミングとその後の流れ
- 離婚後の生活のための準備
- 離婚する際に貰えるお金について
- 円満離婚のための3つのポイント
あなたは、
「離婚はすぐできる?準備が必要?」
「離婚を決めたら何を準備すればいいの?」
「離婚後の準備も知りたい」
などの、疑問や不安をお持ちではないですか?
結論から言うと、離婚をしようと決意したら、相手に告げる前に十分な準備が必要です。
なぜなら、よく経験者の方が言われるように、離婚には、結婚の何倍ものエネルギーが必要で、さらに、離婚が成立し新しい暮らしを始めるまでには、たくさんの時間とお金が掛かるからです。
これまでの結婚生活の終わらせ方として、子供の問題、財産の問題、住まいの問題、仕事・経済面の問題、またそれぞれに必要な手続き等、様々な課題を克服していかなければなりません。
そのためには、離婚に必要な手続きや流れ、離婚に関する各条件の決め方等をよく理解して準備を整えておくことが大事です。
この記事では、離婚を決意した女性が、夫に離婚を申し出るまでの「離婚準備」について解説します。
まず1章で、準備なくいきなり離婚を申し出てはダメな理由を、2章では、離婚を決意したらまず始める4つの準備を、3章では、離婚を切り出すタイミングについて解説します。
さらに、4章では、離婚後の生活のための準備を、5章では、離婚後に貰えるお金について、そして最後の6章では、円満離婚のための3つのポイントについて解説します。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
目次
1章:いきなり離婚を申し出てはダメです
「もう一緒に暮らしたくない、離婚しよう!」
「どうしても離婚したい!」
と、あなたが決意したとしても、いきなり相手に離婚を申し出てはダメです。
なぜなら、離婚するためには、それ相応の準備が必要だからです。
また、離婚を切り出した時の相手の反応に、冷静に対応する必要があるからです。
これから、その2点について解説します。
1-1:離婚するには周到な準備が必要
離婚の準備として、離婚を成立させるまでの流れや手続きをよく理解し、離婚紛争を有利に進めるために必要な証拠や資料を集めることがとても重要です。
また、離婚の際に、相手に請求できる財産や慰謝料、養育費等だけでなく、退職金や年金分割、公的な助成金などもよく調べて準備しておく必要があります。
なぜなら、財産の分配や養育費の請求でも、相手の資産や収入を明らかにする資料がなければ、話し合いや調停・訴訟を有利に進めることができないからです。
もし、感情に任せて離婚を切り出し、何の準備もなく離婚した場合は、次のような問題が残るケースがよくあります。
- 財産が正当に分配されない
- 慰謝料を払ってもらえない
- 親権を得られない
- 養育費を払ってもらえない
それぞれ、あなたが望んでいたような結果ではなく、離婚後の生活を考えた場合には、とても大きな問題となります。
離婚に対する十分な準備をすることで、これらの問題を避けられる可能性が高まります。
1-2:準備することで冷静に対応できる
相手の不倫やDV、セックスレスなどのように、相手に離婚の原因がある場合は、離婚を相手に申し出る前に、それらを証明できる証拠を、十分に集めて準備しておくことが重要です。
なぜなら、離婚の原因である相手の行為を証明できる証拠がなければ、相手はもちろん、調停や訴訟でも離婚を認めてもらえない可能性があるからです。
離婚の準備をしておくことで、もし、あなたの意思に反して相手が離婚を拒否したり、逆にあなたに離婚の原因があると反論してきた場合など、冷静に対応できるようになります。
このように、相手に離婚の申し出をする前から、離婚に向けての十分な準備を進めておくことはとても重要です。
2章:離婚を決意したら始める4つの準備
離婚を決意したら始める準備としては、次の4つがあげられます。
- 経済的に自立する準備
- 離婚の理由をはっきりさせる
- 離婚後に貰えるお金や資産のリストアップ
- 使用する証拠・資料の収集
それぞれ解説します。
2-1:経済的に自立する準備
離婚を決意したら始める準備として、まずは、離婚後に経済的に自立する準備が必要です。
そのためには、離婚後の仕事での収入、財産分与や慰謝料、養育費などの貰えるお金、公的な助成金などを合計して、生活が成り立っていけるのか試算することが重要です。
例えば、厚生労働省の調査によれば、母子家庭の平成27年の平均年間収入は243万円で、この平均年間収入には、養育費や児童手当などの助成金も含まれています。
その内、母親自身が働いて得た平均就労収入は年間200万円となっています。※
母子家庭で、母親が1ヶ月働いて得られる平均収入としては、16万円程となります。
※厚生労働省の「平成28年度ひとり親世帯等調査結果」
また、母子家庭(子供1人)の1ヶ月当たりの生活費を概算すると、次の図のようになります。
母子家庭の1ヶ月の平均収入である16万円から、上図の最低費用の14万円を引くと、毎月2万円程貯蓄に回せることになります。
ただし、子供の成長とともに教育費がかさんだり、子供の数が多い場合は、費用がかさみ生活は厳しい状況になると考えられます。
ここで紹介した数値は、収入の平均値や費用の概算なので、実際の生活状況によっては当然変わってきます。
離婚後、経済的に自立できるか試算する際の、参考として活用してください。
2-2:離婚の理由をはっきりさせる
離婚を決意した場合は、あなたの離婚したい理由が、法的に定められた離婚するための理由(法的離婚事由)に当てはまるのか、確認しておくことが大事です。
通常、離婚は、夫婦双方の話し合いや離婚調停によって合意が得られれば成立しますが、合意が得られない場合は、離婚訴訟へと進んでいきます。
離婚訴訟を申し出た場合は、法的に定められた離婚するための理由(法的離婚事由)が必要となります。
法的離婚事由としては、次の5つが定められています。
1.配偶者に不貞な行為があったとき
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
(民法第770条)
これらの法的離婚事由が明らかな場合は、相手が離婚に納得していない状況でも、裁判において離婚が認められる可能性が高くなります。
ただし、原則として法的離婚事由にあたる不法行為を行った側からの離婚請求は認められません。
また、離婚の理由としてよくあげられる「性格の不一致」が理由の場は、離婚訴訟を申し出ても、離婚は認められない可能性が高いです。
2-3:離婚する際に貰えるお金や資産のリストアップ
離婚をする際に、夫婦の共有財産を分け合うだけでなく、慰謝料や養育費など請求できるお金があります。
離婚の準備として、そうしたお金や資産のリストアップをしておくことが重要です。
主にあげられるものとしては、次の6つがあげられます。
- 婚姻費用
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
- 年金分割
- 公的な助成金
それぞれ、詳しくは5章で解説します。
2-4:使用する証拠・資料の収集
1章で解説したように、離婚の際に、相手の財産や退職金、年金分割、公的な助成金などもよく調べて、資料を準備しておく必要があります。
また、不倫やDV、セックスレスなどの離婚原因の証拠となる画像や音声、詳細な記録なども集めておく必要があります。
集めておく資料としては、次のようになります。
- 預貯金通帳(通帳のコピー)
- 所得を証明する書類(給与明細、確定申告書類など)
- 不動産登記簿
- 証券口座の明細
- 生命保険に関する書類
- 夫の会社の就業規則の規定や現在の退職金支給実態
- 厚生年金保険料の支払い実績(標準報酬)
離婚の財産分与について、詳しくは次の記事で解説しています。
【弁護士が解説】離婚の財産分与の分け方と有利にする3つのポイント
また、不倫やDV、セックスレスなどの証拠の集め方について、詳しくは次の記事で解説しています。
離婚の慰謝料相場は?請求できる5つのケースと証拠を弁護士が解説
コラム:一人では難しい時は弁護士に相談する
離婚問題は、解決していかなければならない課題が多く、また相手がいるために自分の思うように進まない場合が多くあります。
これを、できるだけスムーズに解決するためには、離婚のための十分な準備が必要になります。
もし、一人で準備することが難しい場合や、自分で相手と交渉することが無理な状況にある場合は、離婚問題の経験が豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士は、離婚問題に関するアドバイスだけでなく、必要な手続きや資料の準備、自立後の生活のための支援制度の紹介など、幅広い範囲にわたってサポートすることができます。
3章:離婚を申し出るタイミングとその後の流れ
離婚を申し出るタイミングとしては、離婚の準備が十分に整った時と言えます。
その後、離婚についての話し合いを夫婦で行い、お互いの合意が得られれば離婚が成立することになります。
ただ実際は、このように簡単に進むことは非常に少ないといえます。
それぞれ、解説していきます。
3-1:適切なタイミングはケースバイケース
離婚を申し出る適切なタイミングは、ケースバイケースで、いつ切り出すのが一番いいということはありません。
しかし、離婚の準備を進めて、離婚後の生活のめどが立った時に、自分で冷静に切り出せる状況、タイミングを選ぶことが重要です。
相手が少しでも話を聞いてもらえるように、理路整然と離婚の理由やあなたの意思を伝え、離婚を真剣に希望していることを理解してもらう必要があります。
もし、相手のDVやモラルハラスメントなどが離婚の原因で、どうしても怖くて直接相手に伝えられない場合は、弁護士に代理人として離婚協議を依頼しましょう。
その他に、離婚を切り出すタイミングとしては、熟年離婚の場合は、夫の定年退職に合わせたり、子供がいる場合は、子供が進学する前に結論を出したい、というケースなどがあるようです。
3-2:離婚までの流れ
離婚を相手に申し出た後の流れとしては、上の図のようになります。
■離婚協議
夫婦間の話し合い(協議)によって、離婚をするかどうか、離婚する際の条件を決めていきます。
双方の合意が得られた場合は、合意した内容を記載した「離婚協議書」を作成します。
離婚後の養育費の未払いなどの金銭トラブルを避けるためには、「離婚協議書」を公証役場で「強制執行認諾付公正証書」にする方が安心です。
その後、市区町村役所に「離婚届」を提出します。
■離婚調停
夫婦間の協議でまとまらない場合に、家庭裁判所の調停委員会に離婚の話し合いの仲介を依頼する離婚調停の申し立てをします。
調停委員会によって、双方の意見の聞き取りや離婚の条件面の話し合いが、夫婦別々に行われます。
調停が成立した場合には、「調停調書」という文書が作成されます。
離婚届は、調停成立後10日以内に離婚調書の謄本と一緒に提出します。
■離婚審判
離婚することをはじめ、重要な離婚条件などほとんど合意ができているが、些細な食い違いで調停が成立していない場合に、裁判官の審判によって離婚が決まることです。
審判離婚は、当事者の異議申し立てによって簡単に無効となるため、現在はほとんど利用されていません。
■離婚訴訟
離婚調停でもまとまらなかった場合、家庭裁判所に離婚訴訟を起こすことができます。
離婚裁判によって、離婚が認められるか、離婚に伴う条件や慰謝料等の判決が下されます。
離婚を認める判決が確定したら、原告は確定後10日以内に、離婚届に「判決の謄本」と「判決確定証明書」を添えて、市区町村役所に提出します。
4章:離婚後の生活のための準備
離婚を決意し、これまでの生活から離れて自立していくには、離婚後の生活のための準備が大変重要となります。
そのためには、次の4つが必要となります。
- 貯金をためておく
- 離婚後の仕事を決めておく
- 離婚後の住まいを探しておく
- 精神的な自立を目指す
それぞれ、解説していきます。
4-1:貯金をためておく
離婚を決意したらまず、貯金をためておくことが重要です。
特に、現在婚姻中の経済状況や資産などを考えた場合に、まとまったお金がもらえる可能性が低い状況であれば、離婚までにできるだけ貯金をしておく必要があります。
なぜなら、離婚して新しい生活を始めるためには、当面の生活のための、まとまったお金が必要となるからです。
上の表はあくまで概算ですが、新しい住居の初期費用、家具・家電の購入代、当面の生活費などを考えると、80~100万円程度の貯金があると安心です。
主に夫の収入に依存している専業主婦や共働きの女性の場合は特に、新しい職に就くとか、今まで以上に倹約して貯金するなど、時間をかけて準備していきましょう。
4-2:離婚後の仕事を決めておく
離婚後に自立した生活を送るためには、安定した仕事を確保する必要があります。
特に女性の場合は、経済的な自立が早期に実現できるかが、離婚後の生活を左右するおおきな要因となります。
もしあなたが専業主婦の場合は、ハローワーク(子供がいる場合は、マザーズハローワーク)などを使って、就職先を見つける必要があります。
あなたがすでに働いている場合は、現在の仕事の収入で試算し、それでは足りない場合は、転職やスキルアップで収入増を目指すことが大事です。
4-3:離婚後の住まいを探しておく
離婚する際には、新しい生活を始めるための住まいが必要となります。
離婚後の住まい探しも、希望の場所や予算を検討して、さらに、引っ越すタイミングなども考えるとなかなか難しい場合もあります。
それでも、新しい住居を契約し、離婚後の生活の場が確保できると、覚悟も決まり新しい生活に向けてのスタートを切ることができます。
まとまったお金が必要となる住まい探しは、考えることが多く時間や労力も必要で、またどれが正解か悩むことも多々ありますが、根気よく探すことが重要です。
4-4:精神的な自立を目指す
ここまで解説してきた離婚に向けての準備を進めていくことで、これまでの結婚生活からの精神的な自立を目指すことがとても重要です。
離婚に際しては、様々な問題、乗り越えなければならない課題が次々に出てきます。
この章で解説した3つの項目もすべて、あなたが実際に行動し、努力し、決断していかなければならないことばかりです。
そのためには、精神的に自立して、離婚に対する覚悟と新しい生活を気付いていく強い決心が求められます。
5章:離婚する際に貰えるお金について
離婚を決意して別居した際や、離婚時に貰えるお金について解説します。
主なものとして、次の6つがあります。
- 婚姻費用
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
- 年金分割
- 公的な助成金
それぞれ解説していきます。
5-1:婚姻費用
離婚を決意して別居した時に、専業主婦など相手より収入が少ない場合は、離婚までの期間、相手に対して婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用とは、婚姻中の夫婦の生活にかかる費用のことで、食費や住居費、養育費、医療費などを指します。
この婚姻費用は、夫婦である以上別居しても受け取れるもので、別居後すぐに請求することができます。
具体的な金額は、話し合いによって決めることもできますが、合意が得られない場合は、家庭裁判所の定める算定表に基づいて、調停や審判でその金額が決定されます。
※平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
5-2:財産分与
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産を、離婚時に公平に分け合うことを言います。
共有財産の主なものとして、次の5つがあげられます。
- 現金・預貯金
- 不動産・自動車
- 株式・国債・会員権等
- 生命保険等の保険料
- 退職金
財産分与によって、離婚理由にかかわらず、所有する資産の少ない方が、資産の多い相手から一定の財産を離婚時に得られることになります。
ただし、婚姻前からそれぞれが個別に所有していた財産や、婚姻中にそれぞれの親から相続した財産(不動産や現金)等は対象となりません。
離婚の財産分与について、詳しくは次の記事で解説しています。
【弁護士が解説】離婚の財産分与の分け方と有利にする3つのポイント
5-3:慰謝料
離婚の原因が、相手の不倫やDV、モラハラなどの不法行為にある場合は、慰謝料を請求することができます。
離婚の慰謝料を請求できるケースとしては、次の5つがあげられます。
- 不倫・浮気をした場合
- DV(身体的暴力)、モラハラ(言葉・精神的暴力)の場合
- 悪意の遺棄(生活費を渡さない、他)の場合
- セックスレスの場合
- 借金がある場合
これらの慰謝料を請求できるケースでも、その内容・事例によって請求できる慰謝料の金額は様々ですが、大体の相場としては次の表のようになります。
離婚の際に、相手に慰謝料を請求するためには、不倫やDV、セックスレスなどの離婚原因の証拠となる画像や音声、詳細な記録などを集めておく必要があります。
離婚の慰謝料や、不倫やDV、セックスレスなどの証拠の集め方について、詳しくは次の記事で解説しています。
離婚の慰謝料相場は?請求できる5つのケースと証拠を弁護士が解説
5-4:養育費
離婚の際に、未成年の子供がいる場合は、子供と一緒に暮らす親(監護権者)が、収入の多い相手に対して養育費を請求することができます。
養育費とは、親が離婚した未成年の子供が自立するまでの、食費、学費、医療費、家賃などの子供の生活全般にかかる費用のことです。
養育費の決め方としては、現在子供を育てるのにかかっている費用や、今後の成長に伴って必要とされる費用、お互いの財産や今後の収入の増減などを想定して決めていくことになります。
そのため、双方の親の収入をもとに、裁判所が養育費の金額を算定した「養育費算定表※」を基準として、決められるのが一般的です。
この養育費算定表では、夫婦それぞれの収入や子の人数、年齢に応じて、標準的な養育費が算出されています。
※平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
離婚の養育費について、詳しくは次の記事で解説しています。
【離婚後の養育費】金額の決め方や相場、未払いを防ぐ4つのポイント
5-5:年金分割
平成19年から年金分割制度が運用され、婚姻中に納められた厚生年金保険料の支払い実績(標準報酬)を、夫婦間で通常2分の1の割合で分割することができるようになりました。
この制度によって、夫の扶養家族として厚生年金を支払うことのなかった専業主婦でも、婚姻中の夫の厚生年金保険料の支払い実績(標準報酬)を分割して受け取ることができ、年金が増額されることになります。
ここでの注意点は、支給される夫婦の年金額を分割するわけではなく、婚姻期間中の厚生年金保険料の算定基礎となる標準報酬を分割するという点です。
さらに、年金分割は、国民年金は対象にならず、厚生年金部分だけが分割されることになります。
年金分割の請求は、離婚の翌日から2年以内に申請を行わない場合は、年金分割を得ることができないので注意が必要です。
5-6:公的な助成金
離婚後に、もし母子家庭になるような場合は、児童扶養手当や児童手当、児童育成手当といった公的な助成金を受け取ることもできます。
その他にも、ひとり親世帯を対象とした住宅手当や、国民健康保険料の軽減や免除を認められる可能性があります。
こうした、ひとり親向けの公的な支援制度がたくさんありますので、お住まいの市区町村などの自治体にお尋ねになられることをおすすめします。
6章:円満離婚のための3つのポイント
円満離婚とは、離婚の話し合いにおいて、相手の主張や要望をお互いが認めあい、お互いが合意できる着地点を相談しながらスムーズに離婚を成立させることです。
離婚による精神的ストレスや、費用や時間を最小限にするためには、協議離婚で終わらせることが一番です。
そのためには、円満に離婚できるように準備することが重要です。
円満離婚のためのポイントとしては、次の3つがあげられます。
- 離婚準備をしっかりしておく
- 離婚に必要な手続きや流れを知っておく
- 離婚を決意したら弁護士に相談する
それぞれ解説していきます。
6-1:離婚準備をしっかりしておく
ここまで解説してきたように、離婚の準備をしっかり進めることによって、離婚に対する決意や心構え、離婚後の生活に対する見通しが得られます。
また、夫婦間の現在の経済状況や資産、お互いの収入などを確認することによって、離婚の際に貰えるお金の概算や資産などを把握することができます。
これによって、離婚の話し合いの際にも、相手の主張にしっかり耳を傾け、受け入れられない場合は理由を説明し、かつ、こちらの要望をきちんと伝える余裕が生まれます。
離婚の話し合いにはどうしても時間がかかるので、焦らずしっかり向き合う姿勢を相手に見せることが大事です。
6-2:離婚に必要な手続きや流れを知っておく
円満離婚を成立させるためには、離婚に必要な手続きや流れを知っておくことが重要です。
なぜなら、離婚の合意が得られた場合に、具体的に決めなければいけないことがいろいろあるからです。
特に、夫婦間にまだ未成年の子供がいる場合は、親権や養育費、面会交流など具体的に決めておかなければいけないことが多くあります。
主なものとしては、次の6つがあげられます。
- 財産分与について
- 慰謝料について
- 子供の親権を決める
- 養育費について
- 子供との面会交流について
- 周囲への説明方法
離婚後のトラブルを避けるためにも、それぞれの項目を決める手続きや金額等が、適正なものであるか十分に理解しておくことが重要です。
また、協議離婚の際は、離婚後の慰謝料や養育費の未払いなどの金銭トラブルを避けるために、「離婚協議書」を公証役場で「強制執行認諾付公正証書」にする方が安心です。
6-3:離婚を決意したら弁護士に相談する
離婚を決意したら、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
なぜなら、無料で相談できる法律事務所も多く、離婚に必要な準備や取り組み方、今後の見通しなどいろいろなアドバイスを受けることができるからです。
さらに、離婚を話し合う際に、自分で相手と交渉することが無理な状況にある場合は、離婚問題の経験が豊富な弁護士に依頼されることをおすすめします。
離婚問題を弁護士に依頼すべきケースやメリットについて、詳しくは次の記事で解説しています。
離婚問題を弁護士に依頼すべき5つのケースとメリット、費用相場も解説
まとめ
ここまで、離婚を決意したときの準備について解説してきました。
最後に、今回の内容をまとめます。
■いきなり離婚を申し出てはダメです
- 離婚するには周到な準備が必要です
- 準備することで冷静に対応できます
■離婚を決意したら始める4つの準備
- 経済的に自立する準備
- 離婚の理由をはっきりさせる
- 離婚をする際に貰えるお金や資産のリストアップ
- 使用する証拠・資料の収集
■離婚を申し出るタイミングとその後の流れ
- 適切なタイミングはケースバイケース
- 離婚までの流れ
■離婚後の生活のための準備
- 貯金をためておく
- 離婚後の仕事を決めておく
- 離婚後の住まいを探しておく
- 精神的な自立を目指す
■離婚する際に貰えるお金について
- 婚姻費用
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
- 年金分割
- 公的な助成金
■円満離婚のための3つのポイント
- 離婚準備をしっかりしておく
- 離婚に必要な手続きや流れを知っておく
- 離婚を決意したら弁護士に相談する
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。