【弁護士が解説】離婚で親権を獲得する3つのポイントとよくある疑問

監修者

弁護士法人新橋第一法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

【弁護士が解説】離婚で親権を獲得する3つのポイントとよくある疑問
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チェック
この記事を読んで理解できること
  • 親権に含まれる2つの権利
  • 親権者として認められる判断基準
  • 離婚時に親権を決める流れ
  • 親権を獲得するための3つのポイント
  • 【Q&A】親権を争うときの疑問
  • 親権が獲得できなかった時の対処法
  • 親権の獲得は弁護士に相談するのがおすすめ

あなたは、

親権を獲得するにはどうしたらいいの?
「離婚しても子供の親権は渡したくない
話し合いで決められないとどうなるの?」

などの疑問や不安をお持ちではないですか?

結論から言うと、離婚時に子供の親権が話し合いで決められない場合は、次の図のように離婚調停・審判、最終的には離婚訴訟によって決める必要があります。

離婚紛争の流れ

また、一言で親権といっても子供の監督保護・養育に関する権利身上監護権」と子供の財産を管理する権利財産管理権」が含まれており、親権者と認められるための判断基準として、主に次の5つがあげられます。

  • これまでの監護状況
  • 子供に対する愛情
  • 親権者としての経済力
  • 今後の生活(監護)環境
  • 子供の意思・希望 

親権の2つの権利

そこでこの記事では、まず1章で、親権に含まれる2つの権利について、2章では、親権者として認められる判断基準について説明します。

そして3、4章では、離婚時に親権を決める流れと、親権を獲得するための3つのポイントについて、5章では、親権を争うときによくある疑問について解説していきます。

さらに、6章で、親権が獲得できなかった場合の対処法と、7章では、親権問題を弁護士に相談するメリットについても解説していきます。

離婚時の親権問題で有利な結果を得られるように、個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。

目次

  1.  1章:親権に含まれる2つの権利
    1. 1-1:子供の監督保護・養育に関する権利(身上監護権)
    2. 1-2:子供の財産を管理する権利(財産管理権)
    3. 1-3:夫婦で親権者と監護権者に分ける場合もある
  2. 2章:親権者として認められる判断基準
    1. 2-1:これまでの監護状況
    2. 2-2:子供に対する愛情
    3. 2-3:親権者としての経済力
    4. 2-4:今後の生活(監護)環境
    5. 2-5:子供の意思・希望
  3. 3章:離婚時に親権を決める流れ
    1. 3-1:夫婦間の話し合い(協議)で決める
    2. 3-2:調停による仲介によって決める
    3. 3-3:裁判官の審判による決定
    4. 3-4:離婚訴訟による決定
  4. 4章:親権を獲得するための3つのポイント
    1. 4-1:家庭裁判所の調停委員に丁寧に説明する
    2. 4-2:家庭裁判所調査官の調査に備える
    3. 4-3:弁護士に依頼しアドバイスを受ける
  5. 5章:【Q&A】親権を争うときの疑問
    1. 5-1:専業主婦でも親権者になれる?
    2. 5-2:父親でも親権者になれる?
    3. 5-3:不倫をしても親権者になれる?
    4. 5-4:子供を連れて別居されたとき親権はどうなる?
    5. 5-5:養育費はどれくらい?
  6. 6章:親権が獲得できなかった時の対処法
    1. 6-1:面会交流権を求める
    2. 6-2:親権者の変更を求める
  7. 7章:親権の獲得は弁護士に相談するのがおすすめ
    1. 7-1:親権の獲得を弁護士に依頼するメリット
      1. 7-1-1:自分で対応するより早期解決が望める
      2. 7-1-2:親権獲得の可能性が高くなる
      3. 7-1-3:調停・訴訟に関する手続きを任せられる
    2. 7-2:親権の獲得を弁護士に依頼する時の費用
    3. 7-3:弁護士に依頼する際の注意点
      1. 7-3-1:無料相談を利用する
      2. 7-3-2:早い段階で弁護士に依頼する
  8. まとめ
不倫の慰謝料でお悩みのあなたへ、まずはお気軽にご相談ください
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 1章:親権に含まれる2つの権利

親権の2つの権利

親権には、子供のための2つの権利、子供の監督保護・養育に関する権利「身上監護権」と子供の財産を管理する権利「財産管理権」が含まれています。

それぞれ解説していきます。

1-1:子供の監督保護・養育に関する権利(身上監護権)

身上監護権には、子供の身の回りの世話や教育、しつけに関する権利・義務として、次の4つの権利があります。

  • 居所指定権:子供の住む場所を指定する権利
  • 懲戒権:子供に対してしつけをする権利
  • 職業許可権:子供が職業を営むときにその職業を許可する権利
  • 身分行為の代理権:子供が身分法上の行為を行うときの親の同意・代理権

身分行為とは、婚姻・離婚・養子縁組・離縁など、身分にかかわる行為を指します。

1-2:子供の財産を管理する権利(財産管理権)

財産管理権とは、子供の所有する財産を管理し、契約などの法律的行為を代理で行う権利のことです。

例えば、子供名義の預貯金の管理や、子供が単独で行った契約(売買やアルバイト契約など)の同意や取り消しなどを行うことができます。

また、財産管理権を有する親は、事故などによる損害賠償請求など、子供に代わって手続きを行うことができます。

1-3:夫婦で親権者と監護権者に分ける場合もある

監護権者とは、子供と一緒に生活をして、子供の世話や教育をする身上監護権を持つ親のことを指します。

通常、親権には身上監護権が含まれますから、親権者と監護権者が別に定められることはありません。

しかし、

「財産管理をする親権者としては父親がふさわしいが、子供がまだ幼いのでその世話は母親がする方が望ましい」

「離婚はするが、夫婦ともに子供に対する責任や義務などにかかわっていたい」

などの理由で、親権者と監護権者に分ける場合もあります。

ご自分の子供の成長を助け、健全な大人へと育てるためには、どういった形が最善の方法なのか、しっかりと話し合われることが大事です。

2章:親権者として認められる判断基準

子供の親権を夫婦間の話し合いで決める場合は、どちらかを親権者として認める合意が得られれば、特に親権者としての条件などはありません。

しかし、話し合いで合意が得られず、調停の申し立てや訴訟(裁判)となった場合は、子供や親の事情が考慮され、どちらを親権者とするか判断されることになります。

親権者と認められるための判断基準として、主に次の5つがあげられます。

  • これまでの監護状況
  • 子供に対する愛情
  • 親権者としての経済力
  • 今後の生活(監護)環境
  • 子供の意思・希望 

それぞれ解説していきます。

2-1:これまでの監護状況

子供に対するこれまでの監護状況が、親権者としての判断基準の一つとなります。

これまでの子供との接し方、養育の実情、子供の教育に対する関心、これまで主にどちらが監護にあたっていたかなどの、客観的な事実が判断材料となります。

それによって、今後、親権者として子供に適切な監護ができる親かどうかが判断されます。

例えば、現在すでに子供を連れて別居していて、生活も安定し子供の監護状況としても大きな問題がない場合などは、親権者と認められる可能性が高くなります。

2-2:子供に対する愛情

子供に対する愛情は目に見えるものではなく、また比べられるものでもありませんが、ここでは客観的事情から判断されることになります。

つまり、より子供と接する時間が長く、子供の世話を普段からしていたか、あるいは、仕事が忙しくても休日は子供との時間を優先していたかなど、子供とのかかわり方が判断されます。

当然、一般的に子供と接する時間の長い母親が有利となる傾向はありますが、父親でも子育てに積極的に行っていた場合などは、総合的に判断されることになります。

2-3:親権者としての経済力

子供を養育していくためには、生活費や学費などのための、安定的な経済力があることが重要な条件となります。

しかし、親権者の収入が少ない場合でも、相手からの養育費によって問題のない監護状況が得られると判断される場合は、親権者として認められる可能性があります。

ここでも、親権者としての経済力だけで決められるわけではなく、養育費を含めた各要件をもとに総合的に判断されることになります。

2-4:今後の生活(監護)環境

離婚後の生活(監護)環境が、将来的にどうなると予測されるかが、1つの判断基準となります。

子供がまだ幼い場合は、親権者ができるだけ長く子供と接する時間があるほうが、望ましいとされます。

そのため、親権者が仕事をしている間、代わりに子供の世話をしてくれる親・家族、または保育所等の有無が考慮されることになります。

また、子供の環境の変化が、できるだけ少ない方が良いと判断される場合があります。

例えば、家の引っ越しや転校が必要となるのか、離婚後の生活環境、生活水準が、これまでより厳しいものとなるのかなど、子供にとってより利益となる環境が重視される場合もあります。

2-5:子供の意思・希望

子供が15歳以上の場合、家庭裁判所は調査官によって子供の意思・希望を聞く必要があると定められています。

また実際には、子供が10歳前後でも、自分の意思を持ちそれを人に伝えられる場合は、その子供の意思が尊重され反映されることも多くあります。

その他にも、子供の事情として、年齢だけでなくその性別や兄弟姉妹の存在なども重要な判断要素となります。

3章:離婚時に親権を決める流れ

離婚紛争の流れ

子供が未成年者の場合、離婚を成立させるためには、夫婦どちらか一方を親権者として指定する必要があります。

そのため、親権を決める流れは、離婚紛争の流れと同じく、次のようになります。

  • 夫婦間の話し合い(協議)で決める
  • 調停による仲介によって決める
  • 裁判官の審判による決定
  • 離婚訴訟による決定

それぞれ解説していきます。

3-1:夫婦間の話し合い(協議)で決める

親権者の決定も、夫婦間の話し合いから始まります。

子供の将来を考えて、親として子供の利益を最優先事項として話し合い、親権者を決めることが重要です。

離婚、親権等に関する合意が得られた場合は、合意の内容を記載した離婚協議書を作成します。

養育費等の支払いを離婚後も受ける場合は、未払い等の金銭トラブルに備えて「公正証書」にしておく方が賢明です。

しかし、夫婦間の話し合いで、親権者の指定だけでなく、離婚に関するいろいろな条項が合意に至らない場合は、家庭裁判所へ離婚調停の申し立てを行う必要があります。

3-2:調停による仲介によって決める

離婚調停では、裁判官1名と調停委員2名からなる調停委員会によって、双方の意見の聞き取りや条件面の話し合いが夫婦別々に行われます。

親権が問題となる離婚調停の場合は、子供の実情や監護状況を把握するために、家庭裁判所の調査官による調査が行われます。

調査官は、子供や両親の心情等に配慮しながらも、専門的立場から2章であげた主な判断基準に沿って、調査を進めていきます。

裁判官は、調査官の作成した調査報告書に基づいて判断し、調停における助言やアドバイスとして仲介による合意を促していきます。

夫婦双方が合意した場合は、離婚、親権等の合意した内容が調停調書に記載され、調停離婚が成立することなります。

申立人は、調停成立の日から10日以内に、離婚届に離婚調停調書の謄本を添えて、市町村役場に提出しなければなりません。

もし、相手が離婚を拒否したり、子供の親権等で合意が得られない場合は、調停不調となります。

3-3:裁判官の審判による決定

離婚調停による話し合いで、離婚の合意は得られたが親権者の決定には至らなかった場合に、離婚調停は成立させて、裁判官の審判によって親権を決めてもらう方法もあります。

通常、このように親権者の合意が得られなかった場合は、離婚調停が不調に終わった時と同様に、離婚訴訟を起こして、離婚の成否や親権を含めた離婚条件を、離婚裁判の場で争うことになります。

3-4:離婚訴訟による決定

調停・審判と、親権者の決定ができなかった場合は、離婚訴訟を起こして、裁判所の判決によって親権者が指定されることになります。

決定した親権者を変更したい場合は、家庭裁判所に親権者変更の調停・審判を申し立てることができます。

ただし、この場合は、明らかに子供の利益のために、変更が必要だと判断される特別な事情がある場合に限られるので、変更が認められる可能性は低いといえます。

離婚訴訟では、離婚協議・調停のような話し合い、合意による決定ではなく、裁判官の判断によって親権者が決められます。

そのため、裁判官に、いかに親権者としてふさわしいか認めてもらえる実情を、裁判官に伝えるための準備が必要となります。

4章:親権を獲得するための3つのポイント

親権を獲得するためのポイントとして、次の3つがあげられます。

  • 家庭裁判所の調停委員にアピールする
  • 家庭裁判所調査官の調査に備える
  • 弁護士に依頼しアドバイスを受ける

それぞれ解説していきます。

4-1:家庭裁判所の調停委員に丁寧に説明する

離婚調停で親権を獲得するためには、家庭裁判所の調停委員に、自分の主張や心情を丁寧にわかりやすく説明することが重要です。

なぜなら、調停委員は、あくまで中立な立場で双方の意見を聞き取り、お互いの利害関係をうまく調節して、調停手続きを進めていきます。

そのため、調停委員を通して相手の主張や仲介役としての意見を十分に聞いて、決して独りよがりにならず冷静に自分の主張を伝え、理解してもらう必要があるからです。

最終的に調停委員は、こうした話し合いの中で抱いた印象や説明をもとに、調停委員としての判断を固め、調停委員会に自分の意見として提示することになります。

調停委員に、決して悪い印象を持たれることなく、自分の主張を丁寧に説明することは、大変重要だといえます。

4-2:家庭裁判所調査官の調査に備える

調停・訴訟の際に、家庭裁判所調査官によって親権者を判断するための調査が行われます。

調査官に対しては、決して悪い印象を抱かれないように、服装や言葉遣いには十分注意して、調査に備えることがとても重要です。

調査官調査としては、次の5項目があげられます。

  • 家庭裁判所での親の面接調査
  • 家庭訪問調査
  • 子供の意向調査
  • 子供の通う保育園、小学校等関係機関の調査
  • 家庭裁判所での交流調査 

裁判官から、調査官調査の調査事項などの説明があり、次に調査官から具体的な日程や調査方法等の打ち合わせがあります。

調査後、作成される調査報告書には、子供の監護状況や子供の意向、さらには調査官による親権者に関する意見も記載されます。

裁判所では、この調査報告書をもとに最終的な判断を下すことになります。

家庭裁判所の調査官調査には、真摯な姿勢で対応し、できる限りの対策を取っておく必要があります。

4-3:弁護士に依頼しアドバイスを受ける

弁護士に依頼しアドバイスを受けることで、離婚はもちろんですが、親権を得るための交渉も有利に進めることができます。

特に、3章の離婚時に親権を決める流れでも解説した、離婚協議の段階から弁護士に交渉を依頼されると、親権を得られる可能性はより高まります。

なぜなら、弁護士に交渉を一任することで、あなたの親権を渡さないという意志の強さを表すだけでなく、あなたの有利になる証拠や事情を調査し交渉に臨むことができるからです。

離婚協議だけでなく、その後の調停や訴訟を見据えた場合も、弁護士による客観的な根拠や証拠に基づいた交渉は、親権を獲得するための大きな強みとなります。

なお、弁護士に依頼するメリットについて、詳しくは7章で解説します。

5章:【Q&A】親権を争うときの疑問

この章では、親権を争うときの様々な疑問の中から、次の5つの疑問についてお答えします。

  • 専業主婦でも親権者になれる?
  • 父親でも親権者になれる?
  • 不倫をしても親権者になれる?
  • 子供を連れて別居されたとき親権はどうなる?
  • 養育費はどれくらい?

それぞれ解説していきます。 

5-1:専業主婦でも親権者になれる?

離婚時に収入のない専業主婦でも、親権者になれる可能性はあります。

ここまで見てきたように、親権は子供の利益を最優先にして決められるので、親権者として認められる判断基準に適しているか総合的に判断されます。

また、実際に平成28年度の裁判所のデータ(※)では、離婚調停・審判では約9割の母親が親権者として認められています。

※ 「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち未成年の子の処置をすべき件数―親権者別―全家庭裁判所

専業主婦でも、仕事に就き、公的援助養育費を受けることができれば、収入は少なくとも親権者として認められる監護環境を得ることはできます。

そのため、専業主婦が親権を得られる可能性は、十分にあるといえます。

5-2:父親でも親権者になれる?

父親でも、親権者になれる可能性はあります。

そのためには、父親が親権者になったほうが、子供の利益になるというしっかりとした主張と、それを明確にする証拠等を提示する必要があります。

普段から子供と接する時間を大事にし、子供の世話を率先して行っていたり、あるいは、仕事が忙しくても休日は子供との時間を優先していたなど、これまでの子供とのかかわり方も重要視されます。

先述のデータのとおり、母親が有利な点は認められますが、離婚の原因が母親にあり子供に悪影響を与えていたり、母親が育児放棄をしていたという証拠などがある場合は、父親が親権者となる可能性が高くなります。

5-3:不倫をしても親権者になれる?

自分が不倫をして離婚された場合でも、親権者になれる可能性はあります。

相手が、離婚の原因は浮気をした側にあるため、親権者としてふさわしくないと主張しても、

将来の子供の利益を優先して考えた場合、浮気をした側が親権者として認められる可能性は十分あります。

離婚した原因が自分にある場合でも、子供を思う気持ちが強く、どうしても親権をあきらめたくないときは、しっかりと主張して粘り強く交渉することが大事です。

5-4:子供を連れて別居されたとき親権はどうなる?

子供を連れて別居された場合、相手が離婚後のことを想定して子供と一緒に生活することになるので、その実績が監護環境として認められる可能性があります。

ここで、自分で子供を取り返す行動に出ると、事態を悪化させたり、子供に悪影響が出る可能性が十分にあります。

この場合は、速やかに弁護士に相談して、「子の監護者の指定調停・審判」「子の引き渡し請求の調停」を、家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

5-5:養育費はどれくらい?

平成28年度の厚生労働省のデータによると、1ヶ月分の養育費の平均月額は、母子家庭で4万3,707円、父子家庭で3万2,550円となっています。

さらに、母子家庭で子供が1人の場合は38,207円、2人の場合は48,090円、3人の場合は57,739円という平均月額になっています。

この養育費は、裁判所が算定した「養育費算定表」(※)をもとに、夫婦それぞれの年収や子供の人数、年齢を参考にして算出されます。

平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果

6章:親権が獲得できなかった時の対処法

離婚時に親権を獲得できなかった場合は、次の2つの対処法があります。

  • 面会交流権を求める
  • 親権者の変更を求める 

それぞれ解説していきます。

6-1:面会交流権を求める

離婚時に親権を得られなかった場合は、面会交流権を求めることができます。

面会交流権とは、離れて暮らしている親が、親権者(あるいは監護者)に対して、定期的な子供との面会を求める権利のことです。

面会の頻度や時間、方法等は、お互いの話し合いによって決められます。

面会交流について話し合いで決まらなかった場合は、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることができます。

離婚時には、必ず面会交流の細かい内容を決めておくことが大事です。

6-2:親権者の変更を求める

離婚後、子供が親権者と生活する中で、子供の生活環境や子供自身の素行などが、明らかに悪い方に変化している場合は、家庭裁判所に対して親権者変更調停を申し立てることができます。

離婚が成立した後の親権者の変更は、夫婦間の話し合いでは決めることできず、必ず家庭裁判所の調停・審判で行われる必要があると定められています。

申し立てを受けて、家庭裁判所の調査官によって、現在の子供の状況が調査され、調査報告書が作成されます。

裁判所によって子供の将来のために親権者の変更が必要だと判断された場合は、親権者変更が認められることになります。

7章:親権の獲得は弁護士に相談するのがおすすめ

4-3で解説したように、親権の獲得を目指す場合は、弁護士に相談されることをおすすめします。

この章では、親権の獲得を

  • 弁護士に依頼するメリット
  • 弁護士に依頼する時の費用
  • 弁護士の費用を安く抑えるポイント

について解説します。

7-1:親権の獲得を弁護士に依頼するメリット

親権の獲得を弁護士に依頼するメリットとしては、

次の3つがあげられます。

  • 自分で対応するより早期解決が望める
  • 親権獲得の可能性が高くなる
  • 調停・訴訟に関する手続きを任せられる

それぞれ解説していきます。 

7-1-1:自分で対応するより早期解決が望める

弁護士に依頼することによって、あなたの代理人として相手である配偶者や相手方の弁護士と、要点を押さえた素早い交渉ができます。

その結果、弁護士に依頼することで、離婚さらには親権の獲得も早期解決が望めるようになります。

離婚調停や審判、訴訟の場合では、法的なアドバイスだけでなく、あなたに有利な実情を論理的に説明し、必要な証拠等を揃えて裁判所との対応を有利に進めることができます。

また、離婚や親権争いの経験が豊富な弁護士に依頼することで、調停や裁判の流れや手続き、さらには、養育費等の相場などを踏まえて、スムーズに交渉を進めることが可能となります。

7-1-2:親権獲得の可能性が高くなる

弁護士に依頼することによって、自分一人で行うより親権獲得の可能性が、大きく高まります。

弁護士は、あなたの代理人として、親権獲得のために必要な行動・判断を、様々な視点から効果的に対応していきます。

ここまで解説してきたように、親権に関する法律的な基礎知識や親権者として認められる判断基準、また親権を決める流れなど、法律の知識と豊富な経験が親権を獲得するためには必要不可欠といえます。

弁護士は法律の専門家として、離婚・親権獲得のための相談だけでなく、離婚調停、離婚訴訟、養育費請求調停など、あらゆる問題に対応することができます。

7-1-3:調停・訴訟に関する手続きを任せられる

弁護士に依頼することで、離婚調停・訴訟の際に必要となる煩雑な法律手続きや申請書類などの作成を任せることができます。

離婚調停の申し立てには、次のような書類が必要となります。

  • 申立書3通
  • 事情説明書
  • お子さんについての事情説明書
  • 連絡先等の届出書
  • 進行に関する照会回答書
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)

離婚訴訟に必要な書類は、次のようになります。

  • 訴状2部
  • 離婚調停不成立調書
  • 夫婦の戸籍謄本及びそのコピー
  • その他、源泉徴収票や預金通帳などの証拠とする書類のコピー2部

これらの書類の作成は、法律の専門家でない一般の人にとっては、かなりハードルの高いものとなります。 

特に、離婚訴訟で提出する訴状の作成は、法律の知識やノウハウが必要不可欠で、弁護士でなければかなり難しいと思われます。

7-2:親権の獲得を弁護士に依頼する時の費用

親権を獲得するために必要な弁護士費用としては、次のようになります。

離婚協議の弁護士費用相場

着手金と離婚が成立した場合の成功報酬を合わせて、相場としてはおおよそ40~60万円となります。

離婚調停の弁護士費用相場

着手金と離婚が成立した場合の成功報酬を合わせて、相場としてはおおよそ60~80万円となります。

離婚訴訟の弁護士費用相場

裁判から弁護士に依頼した場合は、着手金と離婚が成立した場合の成功報酬を合わせて、相場としてはおおよそ70~100万円となります。

離婚調停を弁護士に依頼して、離婚調停では解決せずに離婚訴訟に進んだ場合は、合計して80~100万円程度となります。

ただし、これらの金額は、あくまで離婚の可否のみが争点となっている場合となります。

7-3:弁護士に依頼する際の注意点

離婚問題を弁護士に依頼する際の注意点として、次の2つがあげられます。

  • 無料相談を利用する
  • 早い段階で弁護士に依頼する

それぞれ解説していきます。

7-3-1:無料相談を利用する

最近では、離婚問題の相談料を無料とする法律事務所が多くなっています。

複数の法律事務所の無料相談を利用することによって、離婚問題の見通しなどを説明してもらうだけでなく、あなたに合った弁護士を選ぶこともできます。

また、各法律事務所によって、弁護士報酬は様々で、着手金や成功報酬、財産分与や慰謝料等の報酬など複雑な場合が多いです。

各法律事務所の弁護士の対応や、費用等の説明など総合的に判断して決めることが重要です。

無料相談をした事務所に、必ず依頼しなければいけないというわけではないので、積極的に活用されることをおすすめします。

7-3-2:早い段階で弁護士に依頼する

3-1で説明したように、早い段階で弁護士に依頼することで、離婚問題の早期解決が望めるだけでなく、弁護士費用を抑えることができます。

夫婦間の話し合いでまとまらず、離婚調停や裁判まで進んでしまうと、それぞれ着手金や日当、実費等が発生し、弁護士費用はだんだん高額になっていきます。

離婚問題は、離婚の成立・不成立だけでなく、親権の獲得や養育費など争点が多く存在します。

争点が多く法的手続きが進むほど、弁護士費用も加算されていくことになります。

離婚問題の早期解決、さらには弁護士費用を抑えるためにも、なるべく早い段階で弁護士に依頼することが重要です。

離婚問題を弁護士に依頼するメリットや費用などについて、詳しくは次の記事で解説しています。

離婚問題を弁護士に依頼すべき5つのケースとメリット、費用相場も解説

まとめ

いかがでしたか?

ここまで、離婚する際の子供の親権について解説してきました。

最後に今回の内容をまとめます。

■親権に含まれる2つの権利

  • 子供の監督保護・養育に関する権利(身上監護権)
  • 子供の財産を管理する権利(財産管理権)

親権の2つの権利

■親権者と認められる判断基準

  • これまでの監護状況
  • 子供に対する愛情
  • 親権者としての経済力
  • 今後の生活(監護)環境
  • 子供の意思・希望  

■離婚時に親権を決める流れ

離婚紛争の流れ

■親権を獲得するための3つのポイント

  • 家庭裁判所の調停委員にアピールする
  • 家庭裁判所調査官の調査に備える
  • 弁護士に依頼しアドバイスを受ける

■【Q&A】親権を争うときの疑問

  • 専業主婦でも親権者になれる?
  • 父親でも親権者になれる?
  • 浮気をしても親権者になれる?
  • 子供を連れて別居されたとき親権はどうなる?
  • 養育費はどれくらい?

親権を争うときの5つの疑問について、それぞれ解説しました。

■親権が獲得できなかった時の対処法

  • 面会交流権を求める
  • 親権者の変更を求める 

■親権の獲得は弁護士に相談するのがおすすめです

・弁護士に依頼するメリット

  • 自分でするより早期解決が望める
  • 親権獲得の可能性が高くなる
  • 調停・訴訟に関する手続きを任せられる

・弁護士に依頼する時の費用

  • 離婚協議:相場としてはおおよそ40~60万円
  • 離婚調停:相場としてはおおよそ60~80万円
  • 離婚訴訟;相場としてはおおよそ70~100万円
  • 離婚調停から離婚訴訟に進んだ場合:合計して80~100万円程度

親権や養育費等が争点となっている場合は、弁護士費用はさらに高額となる可能性がある

・弁護士に依頼する際の注意点

  • 無料相談を利用する
  • 早い段階で弁護士に依頼する

いかがでしたか。

この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。

【この記事で紹介した関連記事】

離婚問題を弁護士に依頼すべき5つのケースとメリット、費用相場も解説

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